説明

太陽電池用多結晶シリコン

【課題】結晶性が良好で、ライフタイムの長い、太陽電池の基板材として好適な多結晶シリコンを提供する。
【解決手段】冷却るつぼを用いた電磁誘導連続鋳造法により製造された太陽電池用多結晶シリコンであって、凝固界面から300mmまでの領域が1275℃以上に保持され、リン拡散後のライフタイムが80μsec以上である多結晶シリコン。凝固界面から300mmまでの領域の保持温度が1280℃以上であれば、当該多結晶シリコンを基板として太陽電池を構成したときにより高い変換効率が期待できるので、望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の基板材として用いられる多結晶シリコンに関する。
【背景技術】
【0002】
現在製造されている太陽電池の大半は、シリコン結晶が基板材として用いられている。シリコン結晶としては単結晶と多結晶とがあり、一般に、単結晶を基板に用いた方が、変換効率(入射した光のエネルギーに対し、電気エネルギーに変換して取り出すことができるエネルギーの割合)の高い太陽電池を作製することができる。
【0003】
このシリコン単結晶は、半導体集積回路の基板材料に用いられるものと同等の高品質な低欠陥無転位の結晶が要求されるため、溶融シリコンから直接単結晶を引き上げ育成するチョクラルスキー法により製造される。このため、製造コストが上昇し、太陽電池の製造コストが高くなる。
【0004】
一方、多結晶シリコンは、石英るつぼ中で原料の高純度シリコンを加熱溶解し、そのままるつぼの中で凝固させるか、鋳型に流し込んで凝固させる鋳造法で製造される。チョクラルスキー法よりも低コストで基板材料を製造することができるので、この低コストの多結晶シリコンを基板に用い、得られる太陽電池の変換効率をできるだけ高めることを目的として、種々の検討が行われてきた。
【0005】
例えば、特許文献1には、ドープ剤としてGa(ガリウム)を添加した多結晶シリコンが開示されている。
【0006】
太陽電池の基板では、光によって発生するキャリアの寿命が長いほど高い変換効率が得られる。また、強い光により長期にわたって照射されても、そのキャリア寿命が劣化しないことが望ましい。多結晶シリコン基板に格子欠陥や金属不純物が存在すると、これらがトラップ(捕獲)準位となり、キャリアが再結合して消滅し、その結果、変換効率が低下することとなる。
【0007】
ドーパントとしてB(ボロン)が添加された通常の多結晶シリコンを基板として作製した太陽電池では、長時間使用後のキャリア寿命が短くなり、太陽電池の変換効率が低下するという問題がある。これは、ドーパントとして添加されたボロンとシリコン中に存在する酸素が反応してボロンの効果を減退させるためと考えられている。特許文献1に記載の発明は、この問題を解消したものである。
【0008】
しかしながら、るつぼおよび鋳型を用いる鋳造法では、溶融したシリコンとルツボなどの容器壁とが接触することによる不純物汚染、また、インゴットと鋳型との融着を防止するために用いられる離型剤の溶融シリコンへの混入、あるいは石英るつぼからの酸素の混入等が避けがたく、このような多結晶シリコンを基板として作製した太陽電池では、変換効率が低下する。こうした問題に対し、溶融シリコンをるつぼや鋳型にほとんど接触させずに、多結晶シリコンを鋳造することができる鋳造法が開発されている。
【0009】
この鋳造法は、例えば、特許文献2に開示されているような方法であって、高周波誘導コイルの内側に、周方向に相互に電気的に絶縁され、かつ内部が水冷された、電気伝導性と熱伝導性のよい物体(通常は銅)を短冊状に並べた構造の装置を使用する。コイルの断面形状および溶解容器(冷却るつぼ)になる短冊状の物体で囲まれた部分の形状は、円筒状でも角筒状でもよい。また、それらの下部には下方に移動可能な支持台を設ける。
【0010】
溶解容器として構成された冷却るつぼに原料シリコンを装入し、高周波誘導コイルに交流電流を通じると、冷却るつぼを構成する短冊状の各素片は互いに電気的に分割されているので、各素片内で電流がループをつくり、冷却るつぼの内壁側の電流が冷却るつぼ内に磁界を形成して、るつぼ内のシリコンを加熱溶解することができる。溶融したシリコンは、冷却るつぼの内壁側の電流がつくる磁界と溶融シリコン表皮の電流の相互作用によって、溶融シリコン表面の内側法線方向の力を受け、るつぼと非接触の状態で溶解が行われる。
【0011】
この状態で、支持台を徐々に下方へ移動させると、高周波コイルの下端から遠ざかる部位では誘導磁界が小さくなるために電流が減少して発熱が弱まり、溶融液の底部で上方に向けて凝固が進行する。同時に、支持台の下方への移動に合わせて、るつぼの上方から原料を連続的に投入し、溶解および凝固を継続すれば、シリコンの溶融液をるつぼ壁と接触させずに、多結晶シリコンを連続して製造することができる。
【0012】
シリコン溶融液を凝固させて鋳塊にする際には、結晶粒を大きく成長させるとともに、凝固に伴う体積膨張による割れを防ぐため、一方向凝固が採用されるが、この装置を使用すれば、下方から上方への一方向凝固を容易に行える。
【0013】
前記のような冷却るつぼを用いた電磁誘導による連続鋳造によれば、溶融シリコンがルツボ壁にほとんど接触することがなく、不純物汚染を防ぐことができる。ルツボからの汚染がないので、ルツボの材質として高純度材料を使用する必要がないという利点もある。また、連続して鋳造することができるので、製造コストの大幅な低下が可能である。
【0014】
しかしながら、この冷却るつぼを用いた電磁誘導による連続鋳造では、不純物汚染を防ぐことはできるが、結晶性(結晶中の原子配列の規則性の度合い)と鋳造パラメータとの関係が明確ではなく、結晶性に係る品質管理が必ずしも十分ではない。そのため、結晶性が良好な(すなわち、結晶欠陥が少ない)、キャリア寿命の長い多結晶シリコンが安定して得られるまでには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−64007号公報
【特許文献2】特開昭61−52962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、冷却るつぼを用いた電磁誘導による連続鋳造法を適用して製造された多結晶シリコンであって、結晶性が良好で、ライフタイムが長く、太陽電池の基板材として好適な多結晶シリコンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
多結晶シリコンの鋳造においては、シリコンの凝固過程における熱的条件(凝固速度、温度勾配等)が鋳塊、さらにはそれを素材とする基板の品質を左右する重要因子として考えられている。そこで、本発明者は、筒状の冷却るつぼを用いた電磁誘導による連続鋳造法(以下、単に「電磁誘導連続鋳造法」ともいう)により多結晶シリコン鋳塊を製造するに際し、凝固過程にあるシリコン鋳塊(具体的には、凝固界面に近い位置にある高温の鋳塊)の温度を変化させ、それらの温度条件で得られたシリコン鋳塊のライフタイム(抵抗率が1〜2Ω・cmのp型半導体としたときのライフタイム)を測定した。なお、凝固過程にあるシリコン鋳塊の温度の変化は、冷却るつぼの下方に設けられている複数段の保温装置(ヒータ)の温度を制御することにより行った(後述する図2参照)。
【0018】
得られたシリコン鋳塊のライフタイムを測定したのは、ライフタイムがシリコン基板の結晶性(結晶の完全性)を電気的に評価する指標の一つとされており、このライフタイムによって、当該シリコン基板を用いて太陽電池を構成したときの変換効率をある程度評価できるからである。
【0019】
すなわち、太陽電池の基板では、光によって発生するキャリアの寿命が長いほど高い変換効率が得られる。基板に格子欠陥や金属不純物が存在すると、これらがトラップ(捕獲)準位となって、キャリアが再結合により消滅し(つまり、キャリア寿命が短く)、変換効率が低下する。一方、ライフタイムは、キャリアの濃度が再結合により減少して1/eになる時間で定義されており、この時間が短いということは、キャリア寿命が短いということに対応する。したがって、基板のライフタイムを測定することにより、その基板を用いた太陽電池の変換効率についてのある程度の評価が可能となる。
【0020】
ライフタイム測定の結果、冷却るつぼの下方1段目の保温装置の平均温度が1275℃以上であれば、鋳塊を抵抗率が1〜2Ω・cmのp型半導体としたときに、ライフタイムが80μsec以上となることが判明した。ライフタイムがこの範囲であれば、結晶欠陥が比較的少なく、結晶性が概ね良好といえる。
【0021】
本発明はこのような知見に基づいてなされたもので、下記の太陽電池用多結晶シリコンを要旨とする。
すなわち、冷却るつぼを用いた電磁誘導連続鋳造法により製造された太陽電池用多結晶シリコンであって、凝固界面から300mmまでの領域が1275℃以上に保持され、リン拡散後のライフタイムが80μsec以上であることを特徴とする太陽電池用多結晶シリコンである。
【0022】
ここで、「凝固界面から300mmまでの領域」とは、凝固界面の各位置から下方へ(すなわち、凝固相内へ)向けてそれぞれ300mmまでの領域をいう。凝固界面は、るつぼの周辺近傍では外側への抜熱が大きいため浅く、るつぼの中心部へ近づくとともに深くなり、下方に凸形の形状を呈する。したがって、凝固界面から300mmまでの領域は、その縦断面で見ると、るつぼの中心部で深く湾曲した形状となる(図2参照)。
【0023】
「凝固界面から300mmまでの領域が1275℃以上」とは、正確には、冷却るつぼの下方に設けられている複数段の保温装置(ヒータ)のうちの1段目(冷却るつぼの直下)のヒータの平均温度が1275℃以上であることを意味する。ヒータ温度の変化に対応して前記領域にあるシリコン鋳塊の温度も変化していると考えられる。なお、ヒータの温度は、ヒータと鋳塊側面の中間付近に熱電対を差し込むことにより測定した。
【0024】
また、「リン拡散後のライフタイム」とは、ライフタイム測定の際にノイズとなる金属不純物の影響を除くため、リンによりゲッタリング処理した後に測定したライフタイムである。以下、単に「ライフタイム」と記す。なお、ここでいうライフタイムは、抵抗率が1〜2Ω・cmのp型半導体としたときのライフタイムである。
【0025】
本発明の太陽電池用多結晶シリコンにおいて、前記凝固界面から300mmまでの領域の保持温度が1280℃以上であり、ライフタイムが100μsec以上であることとする実施の形態を採ることができる。この多結晶シリコンは、当該多結晶シリコンを基板として太陽電池を構成したときにより高い変換効率が期待できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の太陽電池用多結晶シリコンは、結晶性が良好で、ライフタイムが長く、太陽電池の基板材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の太陽電池用多結晶シリコンの製造に好適な電磁誘導連続鋳造装置の構成例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の太陽電池用多結晶シリコンの鋳塊製造時における凝固過程を模式的に示す図である。
【図3】実施例の結果で、電磁誘導連続鋳造装置の1段目保温装置の平均温度と得られた多結晶シリコンのライフタイムの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の太陽電池用多結晶シリコンは、冷却るつぼを用いた電磁誘導連続鋳造法により製造される。
【0029】
図1は、本発明の多結晶シリコンの製造に好適な電磁誘導連続鋳造装置の構成例を模式的に示す図である。同図に示すように、加熱用誘導コイル2の内側に、内部を水冷できる縦方向に長い銅製の板状片3が、誘導コイル2の巻き軸方向と平行に、かつ誘導コイル2内では相互に絶縁された状態で配列されている。
【0030】
加熱用誘導コイル2の下端位置には下方に移動できる支持台4が設置されている。この底部の支持台4と板状片3とによって囲まれた空間がるつぼ(内部が水冷されている冷却るつぼ)を構成する。
【0031】
支持台4の上方には、溶融後下方へ引き抜くことによってるつぼ断面と同じ形状の断面を有する鋳塊8すなわち多結晶シリコンが形成される。この鋳塊8は搬送機6により下方に引き抜きが可能である。
【0032】
加熱用誘導コイル2の下側には、凝固した鋳塊8を保温するための保温装置(ヒータ)5が設置されている。鋳塊8は、加熱用誘導コイル2から下方へ離れることにより急速に冷却され、温度差による収縮の相違から過大な熱応力が発生し、鋳塊8に割れが発生することがあるからである。
【0033】
るつぼの上方には、溶解中に原料をるつぼ内に投入できる原料投入機9が設置されている。さらに、この例では、るつぼの上方に、原料シリコンを加熱するための発熱体10が取り付けられている。
【0034】
これらの諸装置は、溶融シリコンおよび高温の結晶(鋳塊)が大気と直接触れることがないように、密閉容器1内に設置され、容器1内は真空、不活性ガス、あるいは減圧された不活性ガス雰囲気で置換して連続鋳造が行えるように構成されている。
【0035】
多結晶シリコンの製造に際しては、るつぼに相当する空間にシリコン原料を充填し、加熱用誘導コイル2に高周波誘導電流を通じると、原料は発熱し、溶解する。このとき、発熱体10を併用することもできる。るつぼ内の溶融シリコン7は、誘導電流により板状片3と反発し、るつぼの側壁とは接触しない。溶融シリコン7が十分均一化した後、支持台4を少しずつ下方に移動させていけば、誘導コイル2から離れることにより冷却が始まり、るつぼ内の溶融シリコン7に向けての一方向性凝固が進行する。
【0036】
支持台4の下方への移動分に対応して溶融シリコン7の量が減少するので、その分の原料シリコンを原料投入機9から供給し、溶融液の上面が常に同じ位置にあるようにして、加熱溶解、引き抜き、原料供給を継続していくことにより、多結晶シリコン鋳塊を連続して製造することができる。
【0037】
本発明の多結晶シリコンは、上記のように、冷却るつぼを用いた電磁誘導連続鋳造法により製造された多結晶シリコンであって、凝固界面から300mmまでの領域が1275℃以上に保持され、ライフタイムが80μsec以上であることを特徴とする多結晶シリコンである。
【0038】
図2は、本発明の太陽電池用多結晶シリコンの鋳塊製造時における凝固過程を模式的に示す図で、鋳塊の中心軸を含む縦断面を表している。同図に示すように、板状片3と支持台(図示せず)とによって囲まれた空間(るつぼ)内の溶融シリコン7は、支持台の下方への移動により誘導コイル2から離れる。それと同時に溶融シリコン7の冷却が始まるが、保温装置(ヒータ)5−1、5−2により加熱されるので急激な温度低下はなく、るつぼ内の溶融シリコン7に向けての一方向性凝固が進行する。
【0039】
凝固界面は、溶融シリコン7と鋳塊8との境界面(図2中に、符号S1と表示)であり、るつぼの周辺近傍では外側への抜熱が大きいため浅く、るつぼの中心部へ近づくとともに深くなる。図2の鋳塊8内に破線S2で示した、るつぼの中心部で下方へ凸状に湾曲した形状の曲線が、凝固界面から300mmの曲面の縦断面(鋳塊の中心軸を含む断面)を表している。「凝固界面から300mmまでの領域」とは、この破線S2で示した曲面(当該曲面を含む)の上側にある領域を指す。
【0040】
本発明の多結晶シリコンにおいて、前記所定温度で保持する領域を凝固界面から300mmまでの領域としたのは、この300mmまでの領域の温度を適切に制御することにより、結晶性が良好で、ライフタイムが長い多結晶シリコンが得られるからである。この300mmまでの領域の温度制御は、この場合、冷却るつぼの下方1段目の保温装置(図2の保温装置5−1)の平均温度を制御することにより行うことができる。
【0041】
本発明の多結晶シリコンにおいて、凝固界面から300mmまでの領域の保持温度を1275℃以上としたのは、後述する実施例で示すように、1275℃以上に保持することによってライフタイムの長い多結晶シリコンが得られるからである。
【0042】
また、本発明の多結晶シリコンにおいて、ライフタイムが80μsec以上であることとしたのは、凝固界面から300mmまでの領域の保持温度を1275℃以上とすることにより、得られる多結晶シリコンのライフタイムを80μsec以上とすることができるからである。ライフタイムがこの範囲であれば、結晶欠陥が比較的少なく、結晶性が概ね良好で、この多結晶シリコンを基板として太陽電池を構成すれば、安定して高い変換効率が期待できる。
【0043】
本発明の多結晶シリコンにおいては、前記凝固界面から300mmまでの領域の保持温度が1280℃以上であり、ライフタイムが100μsec以上であることとする実施の形態を採ることが望ましい。この多結晶シリコンはライフタイムがより長いことから、これを基板として用いた太陽電池では、より高い変換効率が期待できる。
【実施例】
【0044】
前記図1に示した構成を有する電磁誘導連続鋳造装置(A炉、B炉、C炉、D炉またはE炉)を用いて多結晶シリコン鋳塊を製造するに際し、凝固過程にあるシリコン鋳塊(凝固界面から300mmまでの領域にあるシリコン鋳塊)の温度を変化させて、それらの温度条件で得られたシリコン鋳塊のライフタイム(抵抗率が1〜2Ω・cmのp型半導体としたときのライフタイム)を測定した。なお、鋳塊の製造に際しては、ドーピング材を添加してp型半導体とし、抵抗率を1〜2Ω・cmに調整した。
【0045】
凝固界面から300mmまでの領域にあるシリコン鋳塊の温度の変化は、冷却るつぼの下方に設けられている保温装置(ヒータ)5−1、5−2の温度を変化させることにより行った。ヒータの温度は、図2中に例示するように、ヒータと鋳塊側面の中間付近に熱電対11を差し込むことにより測定した。
【0046】
ライフタイムの測定は、反射マイクロ波を用いて光導伝減衰により測定するμ−PCD法により行った。
【0047】
図3は、ライフタイムの測定結果で、電磁誘導連続鋳造装置の1段目保温装置の平均温度(言い換えれば、凝固界面から300mmまでの領域にあるシリコン鋳塊の温度)とその条件で得られた多結晶シリコンのライフタイムとの関係を示した図である。使用した電磁誘導連続鋳造装置(炉)には関係なく、シリコン鋳塊の温度と多結晶シリコンのライフタイムの間には一定の相関関係が認められる。
【0048】
図3から、1段目保温装置の平均温度が高くなるに伴い、ライフタイムが長くなり、凝固界面から300mmまでの領域の保持温度を1275℃以上とすることによって、多結晶シリコンのライフタイムを80μsec以上に維持できることがわかる。前記保持温度を1280℃以上とすれば、ライフタイムを100μsec以上とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の太陽電池用多結晶シリコンは、結晶性が良好で、ライフタイムが長く、太陽電池の基板材として好適である。したがって、太陽電池の製造分野において有効に利用することができ、自然エネルギー利用技術の進展に大きく寄与することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:密閉容器、 2:加熱用誘導コイル、
3:板状片、 4:支持台、
5:保温装置(ヒータ)、 6:搬送機、
7:溶融シリコン、 8:鋳塊、
9:原料投入機、 10:発熱体、
11:熱電対、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却るつぼを用いた電磁誘導連続鋳造法により製造された太陽電池用多結晶シリコンであって、
凝固界面から300mmまでの領域が1275℃以上に保持され、
リン拡散後のライフタイムが80μsec以上であることを特徴とする太陽電池用多結晶シリコン。
【請求項2】
前記凝固界面から300mmまでの領域の保持温度が1280℃以上であり、
ライフタイムが100μsec以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用多結晶シリコン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−176180(P2011−176180A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39876(P2010−39876)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】