説明

奥能登珪藻土壁材料

【課題】 近年の日本家屋の内壁は、従来多く見られた木舞土壁式を用いず、調湿機能などに劣るより簡便なクロスなどの内装材の貼り付け方式によることが多い。その理由は、木舞土壁方式は多湿な日本の気候風土の欠点である室内の温・湿度問題を調整する能力に優れ、更には、耐火、防音の機能を有しているにもかかわらず、木舞掻きの職人不足や荒塗りや中塗りなどの多くの工程、更には原料の土壁材の入手難から施工が困難になってきていることによる。
【解決手段】 奥能登珪藻土壁材をクロスなどの内装材の代わりに壁面に塗りつけることにより、木舞土壁の性質に優る内壁を作り上げる。尚、この奥能登珪藻土壁材の成分は奥能登珪藻土の焼成粉末を主成分(約41%)に、珪砂・天然軽石・パーライトの混合材を骨材(約31%)とし、硬化材として石膏(約25.5%)、凝結遅延剤として消石灰(約0.5%)・クエン酸(約0.5%)、増粘保湿剤としてメチルセルロース(約0.1%)、防カビ剤としてベンズイミダゾール系製剤(約0.1%)、ひび割れ防止材として麻(1.3%)の割合であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木造家屋等の壁における奥能登珪藻土壁材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の木造家屋の壁は木舞土壁が多く見られた。この木舞土壁は多湿の日本の気候風土に適合し、室内の温・湿度をコントロールする役目をそなえていた。更には防音、防火の機能も有していた。
【0003】
土壁は、壁面の構造として、柱に通し貫きを設け、貫と貫の間に木舞を掻き、左官作業として、荒塗り→裏塗り→貫伏せ→中塗り→(時には上塗り)の工程を経て出来上がる。
【0004】
この様に従来の土壁では、木舞という作業を必要とし、最近ではこの木舞掻きの職人が少なくなって来ている。又、多量の土を使用するため、土自体の入手が困難になって来た。などの理由から土壁を用いた家屋の建築を出来難くなった。
【0005】
最近では、壁面構造としてグラスウールなどの断熱材を用い、プラスタボードなどを取り付け、接着剤によりクロスなどの内装材を貼り付ける方法が一般的になってきた。この様な方法では、家屋が気密化し、木舞土壁家屋では問題とならなかった結露などの湿気にかかわる問題が発生、更には内装材や家具・日用品などの影響による刺激臭の問題。クロスなど石油製品の多用化による防火能力の低下、火災になった場合の不完全燃焼による窒息問題も発生している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、グラスウールなどの断熱材を用い、プラスタボードなどを取り付け、接着剤によりクロスなどの内装材を貼り付けたような内壁を有する家屋の欠点である湿気にかかわる問題・防音、防火の問題・刺激臭の問題という不具合を解決することが出来る木造家屋等の壁用材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、壁用材料として多孔質の奥能登珪藻土の性質を利用しようとするものである。奥能登珪藻土が壁材料として使用できるように、奥能登珪藻土の焼成粉末に対し、骨材、硬化材、凝結遅延剤、増粘保湿剤、防カビ剤、ひび割れ防止材を混ぜたものである。これを水と混練して壁材料として使用する。
尚、前記奥能登珪藻土壁材料の配合比は、奥能登珪藻土の焼成粉末を主成分(約41%)に、珪砂・天然軽石・パーライトの混合材を骨材(約31%)とし、硬化材として石膏(約25.5%)、凝結遅延剤として消石灰(約0.5%)・クエン酸(約0.5%)、増粘保湿剤としてメチルセルロース(約0.1%)、防カビ剤としてベンズイミダゾール系製剤(約0.1%)、ひび割れ防止材として麻(1.3%)の割合であることを特徴とする。
前記麻は1cm程度に切ったものを使用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、最近の内壁面構造と同じ様に、グラスウール断熱材を用い、プラスタボードなどを取り付けた後、クロスなどの内装材を貼り付ける代わりに奥能登珪藻土壁材を左官作業として厚み「5mm」程度に塗りつけることにより、木舞土壁家屋に優る温・湿度のコントロール・防音・防火効果、更には脱臭の効果も得られる。
【0009】
即ち、木舞土壁のように、木舞掻き作業・土による荒塗りや裏塗り作業など多くの工程を必要とせず、クロスなどの内装材を貼り付ける代わりに左官作業として「5mm」程度の奥能登珪藻土壁を施工すれば木舞土壁に優る効果が得られる。
【0010】
更に、奥能登珪藻土壁は主成分が珪藻土の焼成粉末であることより、きめの細かい仕上がりとなり、木舞土壁のような上塗り仕上げが必要でない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は前記したように、内壁面構造として柱・梁・貫などで作られた構造物の空間にグラスウールなどの断熱材を配し、プラスタボードを取り付け、次の工程として奧能登珪藻土壁材を左官作業として塗りつける。
この奥能登珪藻士壁材を構成する素材などの配合率は概ね次の通りである。
主成分として能登珪藻土の焼成粉末(約41%)、骨材として珪砂・天然軽石・パーライトの混合材(約31%)、硬化材として石膏(約25.5%)、凝結遅延剤として消石灰(約0.5%)・クエン酸(約0.5%)、増粘保湿剤としてメチルセルロース(約0.1%)、防カビ剤トシテベンズイミダゾール系製剤(約0.1%)、ひび割れ防止材として麻(約1.3%)。これらを水と混練して塗りつけるものである。
尚、前記麻は1cm程度に切ったものを使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥能登珪藻土の焼成粉末に対し、骨材、硬化材、凝結遅延剤、増粘保湿剤、防カビ剤、ひび割れ防止材に麻を混ぜ、水で混練したものを材料とする土壁材料である。
前記麻は1cm程度切ったものを使用する。
【請求項2】
前記土壁材料の配合比率は、奥能登珪藻土の焼成粉末を主成分(約41%)に、骨材として珪砂・天然軽石・パーライトの混合材を(約31%)、硬化材として石膏(約25.5%)、凝結遅延剤として消石灰(約0.5%)・クエン酸(約0.5%)、増粘保湿剤としてメチルセルロース(約0.1%)、防カビ剤としてベンズイミダゾール系製剤(約0.1%)、ひび割れ防止材として麻(1.3%)の割合であることを特徴とする請求項1記載の土壁材料である。

【公開番号】特開2011−111883(P2011−111883A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286931(P2009−286931)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(509213635)
【Fターム(参考)】