説明

姿勢評価装置

【課題】利用者の姿勢の評価を簡易な方法で詳細に行うことができ、利用者の姿勢の改善を効果的に支援することのできる姿勢評価装置を提供する。
【解決手段】本発明の姿勢評価装置は、利用者によって両手で保持される保持部と、利用者が両足で乗る台部と、前記保持部の傾きを検出する傾き検出手段と、前記台部に作用する荷重の重心位置を検出する重心位置検出手段と、前記保持部の傾きと前記台部に作用する荷重の重心位置とに基づいて、利用者の姿勢を評価する姿勢評価手段と、前記姿勢評価手段の評価結果を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の姿勢を評価する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正しい姿勢を保つことは、生活面、健康面などにおいて非常に重要視されている。例えば、悪い姿勢は、見た目が悪いだけでなく、身体の歪み、視力の低下、内臓機能の低下、肩こり、腰痛、頭痛、疲労などを引き起こすと言われている。一方、正しい姿勢は、見た目がよいだけでなく、歯の噛み合わせ、寝つきなどをよくすると言われている。そのため、姿勢や骨格の歪みなどを評価する技術が望まれている。
【0003】
姿勢の評価に関する技術は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。特許文献1には、手電極部(体脂肪計のグリップ部)が水平に保たれた場合に、測定を開始する体脂肪計が開示されている。特許文献2には、荷重センサを用いて姿勢バランス(身体の重心がどちらに偏っているのか)を測定する機能を有する体重計が開示されている。特許文献3には、被験者の姿勢を撮影する撮影装置と被験者の足圧を測定する足圧測定装置を用いた姿勢診断設備が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている体脂肪計は、測定の際に望ましい角度に両腕を保つための技術である。特許文献2に開示されている体重計は、姿勢バランスを評価することはできるが、体の歪みを評価することはできない。特許文献3に開示されている姿勢診断設備は、被験者の姿勢を撮影する撮影装置が必要であるため、大がかりな装置になってしまう。そのため、簡便に姿勢を診断することができない。
【特許文献1】特開2001−149328号公報
【特許文献2】特開2003−339671号公報
【特許文献3】特開2005−224452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用者の重心位置のみを用いて姿勢を評価する装置(例えば、特許文献2に開示されている体重計)では、利用者の重心位置が中心(正しい姿勢のときの重心位置)にある場合に姿勢が良好であると評価される。しかしながら、利用者の体が歪んでいる場合であっても(例えば、右肩下がり)、利用者の立ち方によっては重心位置が中心になることがある。利用者の重心位置のみを用いて姿勢を評価する装置では、そのような利用者に対して良好な姿勢であると誤評価してしまう。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、利用者の姿勢の評価を簡易な方法で詳細に行うことができ、利用者の姿勢の改善を効果的に支援することのできる姿勢評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の姿勢評価装置は、利用者によって両手で保持される保持部と、利用者が両足で乗る台部と、前記保持部の傾きを検出する傾き検出手段と、前記台部に作用する荷重の重心位置を検出する重心位置検出手段と、前記保持部の傾きと前記台部に作用する荷重の重心位置とに基づいて、利用者の姿勢を評価する姿勢評価手段と、前記姿勢評価手段の評価結果を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、保持部の傾きと台部に作用する荷重の重心位置(利用者の重心位置)に基づいて利用者の姿勢を評価するという非常に簡易な方法で姿勢の評価を行うことができる。また、この構成によれば、保持部の傾きと台部に作用する荷重の重心位置に基づいて利用者の姿勢が評価されるので、保持部の傾きや台部に作用する荷重の重心位置のみによる姿勢評価よりも詳細な評価結果を得ることができる。例えば、保持部の傾きは利用者の肩のずれ(例えば、右肩下がり)として考えることができるため、重心位置が中心であっても、保持部の傾きがずれている場合に、悪い姿勢であると評価することができる。即ち、台部に作用する荷重の重心位置のみを用いて姿勢を評価するという従来の方法で生じる誤評価を減らすことができる。これにより、利用者の姿勢の改善を効果的に支援することができる。
【0010】
前記重心位置検出手段は、前記台部に設けられた荷重センサであることが好ましい。また、前記傾き検出手段は、前記保持部に設けられた傾斜センサであることが好ましい。この構成によれば、姿勢評価装置を容易に構成することができる。
【0011】
前記姿勢評価手段は、前記保持部の傾きと前記台部に作用する荷重の重心位置とに基づいて、身体の歪みを評価することが好ましい。この構成によれば、利用者はより詳細に自分の姿勢を把握することができる。これにより、利用者の姿勢の改善を効果的に支援することができる。
【0012】
前記出力手段は、前記姿勢評価手段の評価結果に応じて、姿勢を正しくするためのアドバイスを出力することが好ましい。この構成によれば、利用者は、姿勢を正しくするためにはどうするべきかをすぐに把握することができる。これにより、利用者の姿勢の改善を効果的に支援することができる。
【0013】
姿勢評価装置は、利用者のインピーダンスを測定し、インピーダンスから体組成を推定する体組成推定手段を更に備えることが好ましい。この構成によれば、利用者は、体重や体脂肪率などの体組成に関する情報も得ることができる。実際、体型と姿勢は関係していると言われており、姿勢を正しくすることによって体型も改善されると考えられる。そのため、利用者は、体重や体組成についての情報を得ることにより、姿勢を正しくしたことによる効果を知ることができる。これにより、利用者の姿勢の改善に対するモチベーションの向上が期待できる。また、体重や体組成についての情報を得ることにより、利用者に、姿勢の改善だけでなく、体型の改善についての意識を持たせることができると思われる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、利用者の姿勢の評価を簡易な方法で詳細に行うことができ、利用者の姿勢の改善を効果的に支援することのできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下に図面を参照して、この発明の第1の実施形態について例示的に詳しく説明する。なお、第1の実施形態では、本発明の実施形態に係る基本的な姿勢評価装置について説明する。
【0016】
(姿勢評価装置の構成)
図1は、本実施形態に係る姿勢評価装置1の概略図である。この姿勢評価装置1は、保持部2と台部3で構成される。利用者は、台部3の上に立ち(両足で乗り)、保持部2を両手で保持した状態で姿勢評価の計測を行う。なお、本実施形態では、姿勢評価装置は利
用者の体重も測定可能な構成を有するものとする。そのため、台部3は体重計ユニットと呼ぶこともできる。
【0017】
保持部2は、傾斜センサ21と、表示パネル22を備えている。台部3は、複数の荷重センサ31と、収納状態検知部32を備えている。
【0018】
傾斜センサ21は、保持部2の傾きを検出するためのセンサである。傾斜センサ21としては、加速度センサを用いた傾斜センサなどの既存の技術を適用すればよい。なお、傾きを検出できるものは全て傾斜センサに含むものとする。
【0019】
表示パネル22は、姿勢評価の結果などを表示する表示部である。表示パネル22は、液晶ディスプレイやELディスプレイなど種々の表示パネルを適用できる。また、本実施形態では、表示パネル22はタッチパネル方式の操作部(操作パネル)も兼ねており、電源のオン/オフ、計測の開始/中断、身体情報(身長、年齢、性別など)の入力などの操作を行うことができる。なお、操作部は、タッチパネル方式である必要は無く、表示パネルとは別の位置に設けられていてもよい。操作部や表示パネルの一部または全部は台部に設けられていてもよい。
【0020】
荷重センサ31は台部3に作用する荷重の重心位置を検出するためのセンサである。荷重センサ31としては、歪ゲージなどの既存の技術を適用すればよい。本実施形態では、台部3に4つの荷重センサ31を設ける。
【0021】
本実施形態に係る保持部2は、台部3に収納することが可能な構成である。収納状態検知部32は保持部2の収納状態を検知する検知部である。収納状態検知部32としては、力学的に切り替えが行われる接触型のスイッチであってもよいし、光センサ、磁気センサなどの非接触型のスイッチであってもよい。
【0022】
なお、保持部2と台部3は有線または無線で信号のやり取りが可能な構成になっている。図1の例では、保持部2と台部3はケーブル4により接続されており、ケーブル4を介して計測等に用いる信号のやり取りや、駆動のための電力供給などが行われる。
【0023】
図2は、姿勢評価装置1の内部構成を示すブロック図である。図1で説明したものと同じ機能については同じ符号をつけ、説明は省略する。図2に示すように、保持部2は、傾斜センサ21、表示パネル22、操作部23、タイマー24、メモリ25、電源26、及び、CPU(中央演算処理装置)27を備えている。台部3は、荷重センサ31、及び、収納状態検知部32を備えている。なお、傾斜センサ21以外の機能は台部3に設けられていてもよい。
【0024】
タイマー24は、計測時間などをカウントするためのタイマーである。
【0025】
メモリ25は、身体情報や計測(評価)結果などを記憶させるためのメモリである。メモリ25は、揮発性メモリであってもよいし、不揮発性メモリであってもよい。
【0026】
電源26は、保持部2及び台部3を駆動するための電力を供給するための電源である。電源26は、家庭用電源であってもよいし、バッテリーなどであってもよい。
【0027】
CPU27は、姿勢評価装置1の各機能からの信号に基づいて種々の演算処理を行う演算処理部である。CPU27は、具体的には、以下に示すような演算を行う。
・傾斜センサ21の出力信号から保持部2の傾きを算出する。
・複数の荷重センサ31の出力信号から台部3に作用する荷重の重心位置を算出する。
・複数の荷重センサ31の出力信号から利用者の体重を算出する。
・保持部2の傾きと台部3に作用する荷重の重心位置とから利用者の姿勢を評価する。
・保持部2の傾き、台部3に作用する荷重の重心位置、体重、姿勢などの結果を出力する。
なお、図2ではCPU27が1つしか描かれていないが、CPUは複数設けられていてもよい。例えば、上記演算の種類毎に設けられていてもよい。
【0028】
(計測の流れ)
図3を用いて本実施形態に係る姿勢評価装置による計測の流れについて説明する。図3は、本実施形態に係る姿勢評価装置の計測の流れを示すフローチャートである。なお、利用者は、台部3の上に立ち、保持部2を両手で保持しているものとする。また、利用者は意識的に保持部2を水平に保っているものとする。
【0029】
まず、CPU27が、複数の荷重センサ31の出力信号から利用者の体重を算出する(ステップS31)。体重は、例えば、それぞれの荷重センサ31で検知された荷重の合計などである。その際、算出結果をリアルタイムで表示パネル22に表示させてもよい。
【0030】
そして、CPU27が、傾斜センサ21の出力信号から保持部2の傾きを算出する(ステップS32)。なお、利用者が両手を前にまっすぐ突き出していない場合、正確な評価結果を得ることができない。そのため、予め、CPU27が、表示パネル22に「両手を前にまっすぐ突き出してください」などの表示をしてもよい。これにより、より正確な評価結果を得ることが期待される。
【0031】
次に、CPU27が、複数の荷重センサ31の出力信号から台部3に作用する荷重の重心位置を算出する(ステップS33)。例えば、それぞれの荷重センサ31で検知された荷重の大小関係などから、重心位置を算出する。本実施形態では、両手を前に突き出した状態で重心位置の計測が行われる。なお、両手を前に突き出した状態での重心位置は後寄りになりがちなため、重心位置計測時は直立不動が望ましい。そこで、重心位置計測時に、CPU27が、保持部2を放し、まっすぐな姿勢で両脇に手を添えるべき旨を、表示パネル22に表示してもよい。
【0032】
そして、CPU27が、ステップS32で算出された保持部の傾きと、ステップS33で算出された台部3に作用する荷重の重心位置とから当該利用者の姿勢を評価する(ステップS34)。
【0033】
次に、CPU27が、ステップS34での評価結果を表示パネル22に表示する(ステップS35)。
【0034】
(姿勢の評価方法と評価結果の表示方法)
図4,5を用いて姿勢の評価方法と評価結果の表示方法について説明する。図4は、本実施形態に係る姿勢評価装置による姿勢の評価方法の一例を示す図である。図5は、本実施形態に係る姿勢評価装置による評価結果の表示方法の一例を示す図である。
【0035】
図4の例では、姿勢の評価は、保持部2の傾きと台部3に作用する荷重の重心位置との組み合わせにより決定される。本実施形態では、姿勢の良い順に「○」、「△」、「×」の3段階で姿勢が評価される。例えば、「(保持部の傾き)右下がり;(重心位置)前後左右均等」の場合に「△」と評価される。同様に、「右下がり;右寄り」の場合には「×」、「右下がり;左寄り」の場合には「×」、「右下がり;前寄り」の場合には「×」、「右下がり;後寄り」の場合には「×」と評価される。また、「左下がり;前後左右均等」の場合には「△」、「左下がり;右寄り」の場合には「×」、「左下がり;左寄り」の
場合には「×」、「左下がり;前寄り」の場合には「×」、「左下がり;後寄り」の場合には「×」と評価される。また、「水平;前後左右均等」の場合には「○」、「水平;右寄り」の場合には「△」、「水平;左寄り」の場合には「△」、「水平;前寄り」の場合には「△」、「水平;後寄り」の場合には「△」と評価される。
【0036】
台部に作用する荷重は利用者の体重であるため、当該荷重の重心位置は利用者の重心位置とみなせる。重心位置のみに基づいて姿勢を評価する場合、台部に作用する荷重の重心位置が「前後左右均等」であると、利用者の姿勢は良好(「○」)と評価される。しかしながら、利用者の体が歪んでいる場合であっても(例えば、右肩下がり)、利用者の立ち方によっては重心位置が中心になることがある。重心位置のみによる姿勢の評価は、そのような利用者に対して(良好な姿勢であるという)誤評価となってしまう。
【0037】
一般に、右肩下がりの人は、両手を前に突き出しても左手よりも右手が下がった状態になる。そのため、両手で保持部を保持した場合、保持部の傾きは右下がりとなる。即ち、保持部の傾きは、利用者の肩のずれを表していると考えることができる。本実施形態では保持部の傾きを考慮して姿勢を評価することにより、「右下がり;前後左右均等」の場合に「△」と評価することができる(図4)。このように、本実施形態に係る姿勢評価装置では、台部や保持部のみからでは得ることのできない詳細な評価結果を得ることができる。具体的には、台部のみによる姿勢の評価などによって生じる誤評価を減らすことができる。
【0038】
図5に示すように、表示パネル22には、評価結果として、保持部(肩)の傾き、重心位置、姿勢の評価(「○」、「△」、「×」)が表示される。なお、保持部の傾き、重心位置などについては、その傾き量やずれ量を表す数値や画像で表示してもよい。
【0039】
以上説明したように、第1の実施形態では、保持部の傾きと台部に作用する荷重の重心位置に基づいて利用者の姿勢を評価するという非常に簡易な方法で姿勢の評価を行うことができる。また、保持部の傾きと台部に作用する荷重の重心位置に基づいて利用者の姿勢を評価することにより、保持部の傾きや台部に作用する荷重の重心位置のみによる姿勢評価よりも詳細な評価結果を得ることができる。
【0040】
また、本実施形態では、姿勢評価装置が、姿勢の評価だけでなく、体重計測機能を更に備える。そのため、利用者は、自身の体重を知ることができる。実際、体型と姿勢は関係していると言われており、姿勢を正しくすることによって体型も改善されると考えられる。そのため、利用者は、自身の体重を知ることにより、姿勢を正しくしたことによる効果を知ることができる。これにより、利用者の姿勢の改善に対するモチベーションの向上が期待できる。また、自身の体重を知ることにより、利用者に、姿勢の改善だけでなく、体型の改善についての意識を持たせることができる。
【0041】
<第2の実施形態>
次に、この発明の第2の実施形態について例示的に詳しく説明する。第2の実施形態では、姿勢の評価として、身体(背骨)の歪みも評価する姿勢評価装置について説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能などについては、その説明を省略する。
【0042】
(姿勢評価装置の構成)
第2の実施形態に係る姿勢評価装置の構成は、第1の実施形態に係る姿勢評価装置の構成(図1、図2)と同様のため、その説明を省略する。ただし、本実施形態におけるCPU27は、保持部2の傾きと台部3に作用する荷重の重心位置とから身体の歪みを評価する機能を更に有する。
【0043】
(計測の流れ)
第2の実施形態に係る姿勢評価装置による計測の流れは、第1の実施形態に係る姿勢評価装置による計測の流れ(図3)と同様のため、その説明を省略する。
【0044】
(姿勢の評価方法と評価結果の表示方法)
図6,7を用いて姿勢の評価方法と評価結果の表示方法について説明する。図6は、本実施形態に係る姿勢評価装置による姿勢の評価方法の一例を示す図である。図7は、本実施形態に係る姿勢評価装置による評価結果の表示方法の一例を示す図である。
【0045】
図6に示すように、本実施形態に係る姿勢評価装置による姿勢の評価は、保持部2の傾きと台部3に作用する荷重の重心位置との組み合わせにより決定される。例えば、図6の例では、「(保持部の傾き)右下がり;(重心位置)前後左右均等」の場合に「右肩下がり」と判例される。同様に、「右下がり;右寄り」の場合には「右肩下がり+背骨右曲がり」、「右下がり;左寄り」の場合には「右肩下がり+背骨右曲がり」、「右下がり;前寄り」の場合には「右肩下がり+前かがみ」、「右下がり;後寄り」の場合には「右肩下がり+腹だし後ろ反り気味」と評価される。また、「左下がり;前後左右均等」の場合には「左肩下がり」、「左下がり;右寄り」の場合には「左肩下がり+背骨左曲がり」、「左下がり;左寄り」の場合には「左肩下がり+背骨左曲がり」、「左下がり;前寄り」の場合には「左肩下がり+前かがみ」、「左下がり;後寄り」の場合には「左肩下がり+腹だし後ろ反り気味」と評価される。また、「水平;前後左右均等」の場合には「正常」、「水平;右寄り」の場合には「重心右寄り」、「水平;左寄り」の場合には「重心左寄り」、「水平;前寄り」の場合には「前かがみ」、「水平;後寄り」の場合には「腹だし後ろ反り気味」と評価される。
【0046】
表示パネル22に表示される評価結果は、上述したような文字のみの評価結果であってもよいし、画像で表示してもよい。また、図7に示すように画像と文字の両方を表示してもよい。図7の例では、表示パネル22に、評価結果に対応した画像が表示されると共に、画像の対応する箇所に文字が表示される。具体的には、評価結果が「前かがみ」の場合には、前かがみの人の画像を表示すればよい。評価結果が「右肩下がり+背骨右曲がり」の場合には、右肩が下がりで背骨が右方向に曲がっている人の画像を表示し、その画像の右肩付近に「右肩下がり」、「背骨右曲がり」の文字を表示すればよい。
【0047】
以上説明したように、第2の実施形態では、身体(背骨)の歪みを評価する。これにより、利用者はより詳細に自分の姿勢を把握することができる。
【0048】
<第3の実施形態>
以下に図面を参照して、この発明の第3の実施形態について例示的に詳しく説明する。なお、第3の実施形態では、評価結果に応じて、姿勢を正しくするためのアドバイスを表示パネルに表示する姿勢評価装置について説明する。なお、上記実施形態と同様の機能などについては、その説明を省略する。
【0049】
姿勢評価装置の構成(図1、図2)、計測の流れ(図3)、及び、姿勢の評価方法(図4、図6)は、上記実施形態と同様のため、その説明を省略する。ただし、本実施形態におけるCPU27は、評価結果に応じて、姿勢を正しくするためのアドバイスを表示パネル22に表示する。
【0050】
(アドバイスの表示方法)
図8を用いてアドバイスの表示方法について説明する。図8は、本実施形態に係る姿勢評価装置によるアドバイスの表示方法の一例を示す図である。なお、図8では、表示パネル22にアドバイスと評価結果の両方が表示されているが、評価結果は表示しなくてもよ
い。評価結果の表示方法は上記実施形態で説明したものと同様のため、説明を省略する。
【0051】
アドバイスの表示方法は、例えば、姿勢評価装置に予め評価結果とそれに対応するアドバイスを記憶させておけばよい。そして、CPU27が、評価結果に対応するアドバイスを選択し、表示パネル22に選択したアドバイスを表示すればよい。アドバイスは、例えば、評価結果が「右肩下がり」、「右肩下がり+背骨右曲がり」の場合、「右肩を上げることを意識しましょう。」などであればよい。同様に、「前かがみ」の場合には「胸を張ることを意識しましょう。」などであればよい。また、「右肩を上げた状態でもう一度計測してみるのもよいでしょう。」や「胸を張った状態でもう一度計測してみるのもよいでしょう。」などをアドバイスとしてもよい。このようなアドバイスは、利用者に再計測を行わせるきっかけとなる。再計測することにより、利用者はどの程度意識的な調整が必要なのかを把握することができる。
【0052】
以上説明したように、第3の実施形態では、評価結果に応じて、姿勢を正しくするためのアドバイスが表示パネルに表示される。これにより、利用者は、姿勢を正しくするためにはどうするべきかを把握することができる。
【0053】
<第4の実施形態>
以下に図面を参照して、この発明の第4の実施形態について例示的に詳しく説明する。なお、第4の実施形態では、姿勢の評価だけでなく、体組成推定機能を更に備える姿勢評価装置について説明する。なお、上記実施形態と同様の機能などについては、その説明を省略する。
【0054】
(姿勢評価装置の構成)
図9は、本実施形態に係る姿勢評価装置91の概略図である。この姿勢評価装置91において、保持部92は、図1の保持部2が有する機能のほかに、手用電極94a、94bを備えている。台部93は、図1の台部3が有する機能のほかに、足用電極95a、95bを備えている。
【0055】
手用電極94a及び足用電極95aは、利用者の体内に電流を流すための電極である。以後、これらの電極を第1の電極とよぶ。手用電極94b及び足用電極95bは、電圧(手−手間や手−足間などの電圧)を検知するための電極である。以後、これらの電極を第2の電極とよぶ。
【0056】
図10は、姿勢評価装置91の内部構成を示すブロック図である。図9で説明したものと同じ機能については同じ符号をつけ、説明は省略する。図10に示すように、保持部2は、インピーダンス算出部101を更に備えている。なお、インピーダンス算出部101は台部に設けられていてもよい。
【0057】
インピーダンス算出部101は、インピーダンスを算出する算出部である。具体的には、インピーダンス算出部101は、第1の電極から流した電流値と、第2の電極による検知結果とを用いてインピーダンスを算出する。
【0058】
なお、本実施形態に係るCPU27は、第1の電極及び第2の電極を制御する機能や、インピーダンス算出部101による算出結果から体組成を推定し、表示パネル22に表示する機能なども有する。
【0059】
(測定の流れ)
図11を用いて本実施形態に係る姿勢評価装置による測定の流れについて説明する。図11は本実施形態に係る姿勢評価装置の測定の流れを示すフローチャートである。なお、
利用者は、台部3の上に立ち、保持部2を両手で保持しているものとする。また、利用者は意識的に保持部2を水平に保っているものとする。
【0060】
まず、CPU27が、利用者に身体情報(身長、年齢、性別など)の入力を行わせるための表示を、表示パネル22に表示する(ステップS111)。利用者が身体情報を入力すると、ステップS112へ進む。
【0061】
ステップS112〜ステップS115までの工程は図3のステップS31〜ステップS34と同様のため、その説明を省略する。
【0062】
(ステップS115の)次に、CPU27が第1の電極から微小電流を体内に流し、第2の電極で電圧を検知する。そして、インピーダンス算出部101が、利用者の体内のインピーダンスを算出する(ステップS116)。
【0063】
そして、CPU27がステップS116での計測結果から利用者の体組成を推定する(ステップS117)。
【0064】
次に、CPU27が、ステップS115での評価結果とステップS117での推定結果を表示パネル22に表示する(ステップS118)。
【0065】
以上説明したように、第4の実施形態では、姿勢評価装置が、姿勢の評価だけでなく、体組成推定機能を更に備える。そのため、利用者は、体脂肪率などの体組成に関する情報も得ることができる。実際、体型と姿勢は関係していると言われており、姿勢を正しくすることによって体型も改善されると考えられる。そのため、利用者は、体組成についての情報を得ることにより、姿勢を正しくしたことによる効果を知ることができる。これにより、利用者の姿勢の改善に対するモチベーションの向上が期待できる。また、体組成についての情報を得ることにより、利用者に、姿勢の改善だけでなく、体型の改善についての意識を持たせることができる。
【0066】
以上、姿勢評価装置を上記4つの実施形態で述べた構成にすることにより、利用者の姿勢の評価を容易且つ詳細に行うことができ、利用者の姿勢の改善を効果的に支援することができる。なお、上記4つの実施形態は可能な限り組み合わせ可能なものである。
【0067】
なお、上記実施形態では、4つの荷重センサを用いる場合について説明したが、荷重センサの数はいくつでもよい。
【0068】
なお、姿勢の評価結果は、図4や図6に示した結果に限らない。例えば、「(保持部の傾き)右下がり;(重心位置)右より」の場合に「右肩下がり+背骨右曲がり(小)」、「(保持部の傾き)右下がり;(重心位置)左より」の場合に「右肩下がり+背骨右曲がり(大)」などのように、背骨の曲がり度合いを評価してもよい。
【0069】
なお、図3のステップS31〜ステップS33は適宜入れ替えてもよい。例えば、ステップS33−ステップS32−ステップS31という順番で行ってもよい。CPU27が同時に複数の演算を行うことが可能である場合には、ステップS31〜ステップS33は同時に行ってもよい。また、ステップS31は、どのタイミングで行ってもよい。
【0070】
なお、図11のステップS111〜ステップS117は適宜入れ替えてもよい。少なくとも、ステップS111、ステップS112、及び、ステップS116の後にステップS117が行われればよい。
【0071】
なお、CPU27は、保持部2の傾き具合をリアルタイムで表示パネル22に表示してもよい。また、CPU27は、台部に作用する荷重の重心位置をリアルタイムで表示パネル22に表示してもよい。それにより、利用者は、正しい姿勢を身につけるための訓練を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、第1〜第3の実施形態に係る姿勢評価装置の概略図である。
【図2】図2は、第1〜第3の実施形態に係る姿勢評価装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1〜第3の実施形態に係る姿勢評価装置の計測の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る姿勢評価装置による姿勢の評価方法の一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る姿勢評価装置による評価結果の表示方法の一例を示す図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係る姿勢評価装置による姿勢の評価方法の一例を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る姿勢評価装置による評価結果の表示方法の一例を示す図である。
【図8】図8は、第3の実施形態に係る姿勢評価装置によるアドバイスの表示方法の一例を示す図である。
【図9】図9は、第4の実施形態に係る姿勢評価装置の概略図である。
【図10】図10は、第4の実施形態に係る姿勢評価装置の内部構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、第4の実施形態に係る姿勢評価装置の測定の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1 姿勢評価装置
2 保持部
3 台部
4 ケーブル
21 傾斜センサ
22 表示パネル
23 操作部
24 タイマー
25 メモリ
26 電源
31 荷重センサ
32 収納状態検知部
91 姿勢評価装置
92 保持部
93 台部
94a 手用電極
94b 手用電極
95a 足用電極
95b 足用電極
101 インピーダンス算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によって両手で保持される保持部と、
利用者が両足で乗る台部と、
前記保持部の傾きを検出する傾き検出手段と、
前記台部に作用する荷重の重心位置を検出する重心位置検出手段と、
前記保持部の傾きと前記台部に作用する荷重の重心位置とに基づいて、利用者の姿勢を評価する姿勢評価手段と、
前記姿勢評価手段の評価結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする姿勢評価装置。
【請求項2】
前記重心位置検出手段は、前記台部に設けられた荷重センサである
ことを特徴とする請求項1に記載の姿勢評価装置。
【請求項3】
前記荷重センサは、利用者の体重を測定する体重測定手段を兼ねている
ことを特徴とする請求項2に記載の姿勢評価装置。
【請求項4】
前記傾き検出手段は、前記保持部に設けられた傾斜センサである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の姿勢評価装置。
【請求項5】
前記姿勢評価手段は、前記保持部の傾きと前記台部に作用する荷重の重心位置とに基づいて、身体の歪みを評価する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の姿勢評価装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記姿勢評価手段の評価結果に応じて、姿勢を正しくするためのアドバイスを出力する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の姿勢評価装置。
【請求項7】
利用者のインピーダンスを測定し、インピーダンスから体組成を推定する体組成推定手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の姿勢評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−219622(P2009−219622A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66463(P2008−66463)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】