説明

媒体処理装置及びそれを用いた自動改札機

【課題】非接触券及びバーコード券を処理することのできる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置の本体のアンテナ部に無線通信機能を備えたICカードからなる媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の処理(入出場処理)を行うとともに、その媒体処理装置の本体のバーコード読取部に媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の処理(入出場処理)を行う媒体処理装置であって、前記バーコード読取部は、前記アンテナ部に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機能を備えたICカードからなる媒体とバーコードを印字した媒体とを処理できる媒体処理装置に関するとともに、その媒体処理装置を用いた自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動改札機は、従来の磁気情報を記録した媒体である磁気券以外に、無線通信機能を備えたICカードからなる媒体の非接触券(非接触カードと称されることもある。以下、本発明で非接触券というときは、無線通信機能を備えたICカードからなる媒体を指している。)も使用できるようになってきている。この非接触券からなる媒体は、定期券入れから出し入れすることなく自動改札機の本体に設けられているアンテナ部に軽くタッチするだけで、あるいはそのアンテナ部にかざすだけで入出場(入場又は出場を意味している。)ができるので、利用者(旅客)の利便性を高めることができるという優れた特長を有している。
【0003】
また、この非接触券からなる媒体は、ICカードからなるので記憶容量が大きく、このために定期券やストアードフェアカード(SFカード)等の乗車券としての媒体以外に、駅の売店等で購入した商品の代金を支払うときのマネーカードとしても使用されるようになってきている。したがって、駅の売店等の所定の場所には、非接触券から減額処理を行うための媒体処理装置を組み込んだ支払機が設置されている。さらに、乗車券として用いられる媒体の中には、バーコードを印字したものも提案されている(特許文献1参照)。このバーコードを用いた媒体は、磁気情報のように外部から影響を受けることがなく、したがって安定した媒体とすることができるという特長を有している。
【特許文献1】特開平5−101235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、自動改札機で使用できる媒体には、磁気券、非接触券及びバーコード券のように複数種存在している。特に、近年、バーコードがQRコードのように二次元化されて多くの情報を安定して保持できるようになってきているので、このバーコードを用いた媒体が注目されるようになってきている。
【0005】
しかし、このバーコードを用いた媒体を処理する媒体処理装置を従来の非接触券を処理する自動改札機に単に組み込んだときは、自動改札機の本体の筐体上面に非接触券用のアンテナ部とバーコード券用のバーコード読取部とを並べて設けることになり、利用者は、媒体をどの部分にタッチあるいはかざせばよいか分らず、改札通路の流動性を阻害することが懸念される。また、非接触券用のアンテナ部とバーコード読取部とを単に併設したときは、設置面積が大きくなり、装置の大型化を招来してしまうという問題点があった。
【0006】
さらに、近年の情報管理の安全性の確保の面から情報源を複数とし、これら複数の情報源の情報の照合等を行って正当性の確認を行えるようにすることが望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するとともに、上記要望に応えるためになされたものであって、その目的は、無線通信機能を備えたICカードからなる媒体に記憶されている情報と媒体に印字されているバーコード情報とを効果的に処理できる媒体処理装置を提供するとともに、その媒体処理装置を用いた自動改札機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る媒体処理装置は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、媒体処理装置の本体のアンテナ部に無線通信機能を備えたICカードからなる媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の処理を行うとともに、その媒体処理装置の本体のバーコード読取部に媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の処理を行う媒体処理装置であって、前記バーコード読取部は、前記アンテナ部に設けられていることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の媒体処理装置において、アンテナ部は平面状を呈し、バーコード読取部はそのアンテナ部の中央の部分に位置していることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の媒体処理装置において、バーコード読取部は、バーコードに光線を照射して又はそのバーコードを撮像して読み取るものであることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の媒体処理装置において、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の処理を行うときに、媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の処理を禁止し、又は、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の処理を行うときに、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の処理を禁止する処理制御手段を設けたことを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の媒体処理装置において、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の処理と、媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の処理とを同時に行うことを特徴としている。
【0009】
本発明に係る自動改札機は、上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、自動改札機の本体に設けられている媒体処理装置の本体のアンテナ部に無線通信機能を備えたICカードからなる媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の入出場処理を行うとともに、その媒体処理装置の本体のバーコード読取部に媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の入出場処理を行う自動改札機であって、前記バーコード読取部は、前記アンテナ部に設けられていることを特徴としている。
本発明の請求項7に記載の自動改札機において、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の入出場処理を行うときに、媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を禁止し、又は、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の入出場処理を行うときに、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理を禁止する処理制御手段を設けたことを特徴としている。
本発明の請求項8に記載の自動改札機において、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理と媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理とを同時に行うことを特徴としている。
本発明の請求項9に記載の自動改札機において、自動改札機の本体には、その自動改札機の本体に設けられている投入口に投入された磁気情報の記録された媒体に基づいて所定の入出場処理を行う磁気媒体処理部が設けられていることを特徴としている。
本発明の請求項10に記載の自動改札機において、磁気情報の記録された媒体に基づいて所定の入出場処理を行うときに、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理及び前記媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を禁止し、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理を行うとき又はその媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を行うときに、その磁気情報の記録された媒体に基づく所定の入出場処理を禁止し、又は、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理とその媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理とを同時に行うときに、その磁気情報の記録された媒体に基づく所定の入出場処理を禁止する処理制御手段を設けたことを特徴としている。
本発明の請求項11に記載の自動改札機において、アンテナ部は平面状を呈し、バーコード読取部はそのアンテナ部の中央の部分に位置していることを特徴としている。
本発明の請求項12に記載の自動改札機において、バーコード読取部は、バーコードに光線を照射して又はそのバーコードを撮像して読み取るものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の媒体処理装置は、媒体処理装置の本体に設けられるバーコード読取部がその媒体処理装置の本体に設けられるアンテナ部に設けられているので、ICカードからなる媒体もバーコードを印字した媒体も同じ箇所にタッチ又はかざすことができ、利用者の使い勝手の向上を図ることができるとともに小型化を図ることができる。
本発明の請求項2に記載の媒体処理装置は、アンテナ部が平面状を呈し、バーコード読取部はそのアンテナ部の中央の部分に位置しているので、より使い勝手の向上と装置の小型化を図ることができるとともに、ICカードのデータとバーコード情報とを同時に読取るときに便利となる効果がある。
本発明の請求項3に記載の媒体処理装置は、バーコード読取部がバーコードに光線を照射して又はそのバーコードを撮像して読み取るものであるので、効果的にバーコードを読取ることができる。
本発明の請求項4に記載の媒体処理装置は、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の処理を行うときに、媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の処理を禁止し、又は、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の処理を行うときに、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の処理を禁止する処理制御手段を設けたので、混信を防止して所定の処理を効率よく行うことができる。
本発明の請求項5に記載の媒体処理装置は、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の処理と、媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の処理とを同時に行うことができるので、安全性に優れた高度な情報処理を行うことができる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の自動改札機は、バーコードの印字されている媒体からバーコードを読み取るバーコード読取部が無線通信機能を備えたICカードとの間で交信を行うアンテナ部に設けられているので、ICカードからなる媒体もバーコードを印字した媒体も同じ箇所にタッチ又はかざすことができ、利用者の使い勝手の向上を図ることができるとともに装置の小型化を図ることができる。
本発明の請求項7に記載の自動改札機は、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の入出場処理を行うときに、媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を禁止し、又は、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の入出場処理を行うときに、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理を禁止する処理制御手段を設けたので、混信を防止して所定の入出場処理を効率よく行うことができる。
本発明の請求項8に記載の自動改札機は、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理と媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理とを同時に行うことができるので、安全性に優れた高度な入出場処理を行うことができる。
本発明の請求項9に記載の自動改札機は、自動改札機の本体には、その自動改札機の本体に設けられている投入口に投入された磁気情報の記録された媒体に基づいて所定の入出場処理を行う磁気媒体処理部が設けられているので、磁気券をも処理できる自動改札機とすることができる。
本発明の請求項10に記載の自動改札機は、磁気情報の記録された媒体に基づいて所定の入出場処理を行うときに、ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理及び前記媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を禁止し、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理を行うとき又はその媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を行うときに、その磁気情報の記録された媒体に基づく所定の入出場処理を禁止し、又は、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理とその媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理とを同時に行うときに、その磁気情報の記録された媒体に基づく所定の入出場処理を禁止する処理制御手段を設けたので、混信を防止して所定の入出場処理を効率よく行うことができる。
本発明の請求項11に記載の自動改札機は、アンテナ部は平面状を呈し、バーコード読取部はそのアンテナ部の中央の部分に位置しているので、より使い勝手の向上と装置の小型化を図ることができるとともに、ICカードとバーコード情報とを同時に読取るときに便利となる効果がある。
本発明の請求項12に記載の自動改札機は、バーコード読取部がバーコードに光線を照射して又はそのバーコードを撮像して読み取るものであるので、効果的にバーコードを読取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係わる媒体処理装置を鉄道用の自動改札機に組み込んだときのその自動改札機の本体(以下、「改札機本体」という。)Gを構成する一対の筐体のうち、一方の筐体G1を改札通路P側から見たときの正面図である。この改札機本体Gの筐体G1の入口側(図1において右側)の上面には、磁気券からなる乗車券(この改札機本体Gが空港用のときは搭乗券、この改札機本体Gが船舶用のときは乗船券)を投入するための投入口1が設けられているとともに、その投入口1よりも改札通路Pの内側の上面には、図示しない無線通信機能を備えたICカードからなる非接触券(非接触カード)と交信するためのアンテナ部A、及び図示しないバーコード券に印字されているバーコードを読取るためのバーコード読取部Bが設けられている。これらアンテナ部A及びバーコード読取部Bは、本発明の媒体処理装置の本体の構成要素を成している。なお、これらアンテナ部A及びバーコード読取部Bについては後述する。
【0013】
また、この筐体G1の出口側の上面には、利用者へ乗車券を返却するための取出口2が設けられている。さらに、この改札機本体Gの内側には、図示しないが、投入口1から投入された乗車券を取出口2又は集札箱(図示せず)まで搬送するカードハンドラが設けられている。
【0014】
図中、D1,D2はドアであり、このうちドアD1は改札通路Pの出口側(図1に示す例では左側)に設けられ、ドアD2は改札通路Pの入口側に設けられている。これらドアD1,D2は後述する制御器によって開閉制御されて利用者の改札通路Pの通過を許可したり、または阻止できるように構成されている。そして、改札通路Pの出口側のドアD1は、乗車券類(乗車券、搭乗券又は乗船券等の磁気券、非接触券又はバーコード券)を基にして開閉制御され、改札通路Pの入口側のドアD2は、改札通路Pを利用者が逆進してきたとき、すなわち、改札通路Pを出口側から入口側に進入したときに閉じられるとともに、改札機本体Gが稼動停止中に閉じられるように構成されている。
【0015】
図1中、3a〜3fは、光電素子からなる透過型人間検知器であって、改札機本体Gの筐体G1,G2の側面に所定の間隔を保って設けられている。さらに、この人間検知器は、改札機本体Gの筐体G1,G2の上面の改札通路Pと反対側で、その改札通路Pの通過方向に沿って設けられたセンサ取付ボックス4内にそれぞれ設けられている赤外線を利用した測距式の反射型人間検知器5a〜5cによっても構成されている。この反射型人間検知器5a〜5cは、改札通路P内の大人の利用者を検知できるように、改札通路Pの床面から所定高さ以上の物体(利用者)を検知できるように構成されている。したがって、透過型人間検知器3a〜3f及び反射型人間検知器5a〜5cの両方で検知されたときは、その利用者を大人の利用者と判定し、反射型人間検知器5a〜5cで検知されることなく透過型人間検知器3a〜3fのみで検知されたときは、その利用者を子供(小児)の利用者と判定することができる。
【0016】
上記透過型人間検知器3a〜3fは、改札通路P内への利用者の進入及び進出を検出するとともに、改札通路Pのほぼ中央部に設けられている透過型人間検知器3c,3dは、他の透過型人間検知器よりも間隔が狭く設けられていて、これら透過型人間検知器3c,3dの検知順序により利用者の進行方向を検知できるように構成されている。
【0017】
上記改札機本体Gの筐体G1の側面には、利用者に対して音声により所定の案内を行うためのスピーカ6が取付けられている。また、この改札機本体Gの筐体G1の上面の出口側には、利用者に対して文字により所定の案内を行うための表示画面7が取付けられている。さらに、筐体G1のセンサ取付ボックス4の上面で改札通路Pの出口側には、係員に対して無効券の発生及び利用者が子供である旨を報知するための報知灯Lが設けられている。
【0018】
図2(a)は、上記アンテナ部A及びバーコード読取部B部分の拡大斜視図、同図(b)はその縦断面図、同図(c)はその平面図である。これら図から明らかなように、これらアンテナ部A及びバーコード読取部Bは、一つの部材として構成され、アンテナ部Aの上面が平面状に、つまり偏平状に形成され、その中央の部分にバーコード読取部Bが設けられる配置で構成されている。
【0019】
アンテナ部Aは、筐体G1の上面位置から少し突出する枠体10を有し、その枠体10の平面形状は改札通路Pの方向に沿って長い長方形を呈し、その枠体10の上部は、電波及び光線を通す材質、例えば透明強化ガラスからなるカバー11が設けられている。そして、そのカバー11の中央部分を除いてスモーク処理(図2(c)の網掛け部分参照)がなされていて、枠体10の内部が外部から見えないように工夫されている。また、このカバー11の上面は、改札通路Pの入口側(図示の例では右側)が出口側よりも少し低くなるように傾斜していて、非接触券及びバーコード券のタッチ、あるいはかざしが容易にできるように工夫されている。
【0020】
カバー11のスモーク処理されている部分の表面には、このカバー11の部分が非接触券と交信するためのアンテナの箇所であることを示すためのマーク12が刻印により表示されている。そして、カバー11の裏面側には、非接触券と交信するためのアンテナ13が設けられている。
【0021】
カバー11の中央部分の透明部14に対向した枠体10の内側には、バーコード読取部Bの器具箱15が設けられていて、この器具箱15には、カバー11の透明部14を通して外部へ光線を照射する発光部16と、その発光部16から照射された光線がバーコード券に当って反射してきた光線を受光する受光部17とが設けられている。また、この器具箱15は特定の材質からなり、バーコード読取部Bの存在がアンテナ13による交信の障害とならないように、発光部16及び受光部17の側面側及び底面側を遮蔽するように構成されている。
【0022】
なお、この器具箱15に組み込まれるバーコード読取機構としては、上述のような光線をバーコード券に照射する方式以外に、バーコード券をCCDカメラ等により撮像してバーコード情報を読取る撮像方式とすることもできる。また、本発明で採用可能なバーコードの形式としては、二次元バーコードのQRコード等の各種バーコードであり、また、バーコードは、カード基体に印字(印刷)されている場合だけでなく、携帯電話機等の携帯型の情報機器の表示画面に表示されたバーコードであってもよい。したがって、本発明で媒体に印字されているバーコードというときは、表示画面に表示されるバーコードも含んでいる。
【0023】
図1中、Cは、改札機本体Gの制御動作を司る筐体G1内に設けられた制御器であり、本発明の媒体処理装置の本体における所定の処理(所定の入出場処理)を司る部分に相当していて、CPUを中心に形成される演算部20を有している。この演算部20は、メモリ21に記憶されているシステムプログラム及びワーキングデータを用いて所定の演算処理を行えるように構成されている。そして、この演算部20には、図示しないI/O装置を介してカードハンドラを駆動制御するカードハンドラドライバ22と、ドアD1,D2のドア駆動機構を駆動制御するドアドライバ23と、バーコード読取部Bを駆動制御するバーコード読取ドライバ24と、各人間検知器3a〜3f,5a〜5cの検知信号を入力するセンサアンプ25とが接続されている。またこの演算部20には、非接触券を処理するためのリーダライタ26も接続されている。このリーダライタ26には、非接触券と交信を行うためのアンテナ13が接続されている。そしてこのアンテナ13は、非接触券とデータ授受を行う機能と、非接触券に電力を供給するための機能とを有している。なお、この演算部20には、表示画面7の表示内容を駆動制御する表示ドライバや報知灯Lを駆動制御するランプドライバ等も接続されているが、ここでは省略されている。
【0024】
以下、図4のフローチャートを用いて制御動作を説明する。今、改札機本体Gが稼動していて、磁気券が投入口1に投入されたとする(ステップ100肯定。以下、ステップを「S」とする。)。投入口1に磁気券が投入されると他の媒体(非接触券又はバーコード券)との競合を回避するために、つまり他の媒体との混信を避けるためにアンテナ部A及びバーコード読取部Bを介しての処理が禁される。
【0025】
投入口1に投入された磁気券は、周知の自動改札機と同様の入出場処理が行われる。すなわち、投入口1に投入された磁気券は、そこに記録されているデータが読取られ、その読取られたデータを基にしてCPU20において所定の入出場の演算処理が行われる。そして、その演算処理の結果、入出場を許可できるときは、ドアD1が開かれて(改札機本体Gがノーマルオープン型のときはそのまま)利用者の改札通路Pの通過が許されるとともに、投入口1に投入された磁気券が定期券のように利用者に返却する必要のある磁気券の場合は、その磁気券に新たな入出場データが記録された後、取出口2に排出されて返却される。また、投入口1に投入された磁気券が普通乗車券のような場合で、かつ出場処理場合は、その磁気券は筐体G1内に設けられた図示しない集札箱へ集札される。
【0026】
上述の所定の入出場の演算処理の結果、入出場が許可できないときは、ドアD1が閉じられて利用者の改札通路Pの通過が拒否されるとともに、表示画面7及びスピーカ6を介して精算案内等の所定の案内が行われ、また、投入口1に投入された磁気券は取出口2に排出されて返却される。
【0027】
磁気券を用いた所定の入出場処理が終了すれば(S106肯定、S107否定)、他の媒体の処理が可能となり、今度は、アンテナ部Aに非接触券がタッチ又はかざされた場合について説明する(S100否定、S108肯定)。この場合、非接触券と他の媒体(磁気券又はバーコード券)との混信を避けるために、投入口1に設けられている図示しないシャッタが閉じられて磁気券の処理(投入)が禁止されるとともに、バーコード読取部Bを介しての処理も禁止される(S110)。
【0028】
この非接触券を用いた入出場処理は、周知の非接触式自動改札機と同様に行われる。すなわち、非接触券がアンテナ13の交信範囲に入ると非接触券はそのアンテナ13から送出された電力波を受けて駆動され、非接触券に記憶されている定期券データやSFカードデータ等のカードデータが改札機本体Gに取込まれる。そして、その取込まれたカードデータは、CPU20における入出場用の演算処理に用いられる。
【0029】
上述の演算処理の結果、入出場を許可できるときは、ドアDが開かれて利用者の改札通路Pの通過が許可されるとともに、新たな入出場データ(カードデータ)がアンテナ13を介して非接触券に送出されてその非接触券のメモリに書き込まれる。また、上述の演算処理の結果、入出場を許可できないときは、ドアD1が閉じられるとともに、表示画面7及びスピーカ6を介して精算処理等の所定の案内が行われる。この非接触券を用いた処理が終了すれば(S114肯定、S107否定)、他の媒体の処理が可能となる。
【0030】
次に、バーコード券が使用されたときの制御動作について説明する。バーコード券がカバー11の透明部14にそのバーコード券に印字されているバーコードを向けてタッチ又はかざされたとする(S100否定、S108否定、S116肯定)。このタッチ又はかざしによりバーコード券からバーコードが読取られると他の媒体(磁気券又は非接触券)との混信を避けるために、投入口1に設けられている図示しないシャッタが閉じられて磁気券の処理が禁止されるとともに、アンテナ部Aを介しての処理も禁止される(S118)。
【0031】
バーコードを用いた入出場処理(S120)は、読取られたバーコード情報を用いて行われる。すなわち、CPU20では、読取られたバーコード情報があらかじめメモリ21に記憶されている照合用のデータと一致するときに正常なバーコードであると判定してドアD1が開かれて利用者の改札通路Pの通過が許可される。また、正当でないバーコードと判定されたときは、ドアD1が閉じられて改札通路Pの通過が拒否されるとともに、表示画面7及びスピーカ6を介して係員案内等の所定の案内が行われる。
【0032】
なお、このバーコード券からなる乗車券の場合は、その乗車券が特急券等の1回限り有効な場合は一度の入場で再度の入場は拒否され、また、途中下車を除いて一度出場すれば無効となるように、改札機本体Gを含む改札機システム側で統括的に管理される。また、このバーコード券からなる乗車券の場合は、入出場に伴ってそのバーコード券の利用者の銀行口座等の所定の口座から利用料金が引落としできるように運用されることも可能である。このバーコード券の乗車券の使用に際しては、いずれにしても不正使用に対する対策が講じられる。
【0033】
上述のバーコード券の処理が終了すると(S122肯定、S107否定)、他の媒体の処理が可能となり、このような処理が改札機本体Gの稼動停止まで継続される(S107肯定)。
【0034】
上述の説明は、媒体が磁気券、非接触券又はバーコード券に分かれている場合であるが、非接触券又はバーコード券の正当性判定の確度を高めるため、あるいは媒体の情報の安定性を高めるため、さらには媒体の情報量を増加させるため等の理由により、非接触券(携帯電話機等の携帯型情報機器に組み込まれた非接触券を含んでいる。)とバーコード券とを一緒にした複合券にする場合が考えられる。
【0035】
この複合券の場合は、複合券に印字されているバーコードをカバー11の透明部14に向けてタッチ又はかざすと、非接触券に記憶されている情報(カードデータ)とバーコード券に印字されているバーコード情報が同時に読取られる。したがって、CPU20では、これら読取られた二つの情報を基に入出場用の演算処理を行うことができる。この場合も、複合券の処理が終了するまで投入口1に設けられているシャッタが閉じられて磁気券の処理は禁止される。
【0036】
また、上述の説明は、本発明に係る媒体処理装置を鉄道用の自動改札機に適用した場合であるが、自動改札機が空港用、船舶用又はバス用等の各種交通機関用であってもよい。さらに本発明に係る媒体処理装置は、媒体に記憶されているSFデータ(金額データ)から商品購入に伴う金額を減額処理する、駅の売店等の所定の金銭支払い場所に設けられる支払機に適用することもでき、あるいは、媒体に記憶されている社員コードを用いて入退出を管理する入退出管理機等に適用することもできる。このように、本発明に係る媒体処理装置は、無線通信機能を備えたICカードからなる媒体及びバーコード券からなる媒体に記憶されているデータに基づいて所定の処理を行うことのできる各種処理機に組み込むことができ、その処理機の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る媒体処理装置を自動改札機に組み込んだときのその改札機本体を改札通路側から見たときの正面図である。
【図2】(a)はアンテナ部及びバーコード読取部の部分の拡大斜視図、(b)はその縦断面図、(c)はその平面図である。
【図3】制御器のブロック図である。
【図4】制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
G 改札機本体
G1 筐体
P 改札通路
1 投入口
2 取出口
3a〜3f 透過型人間検知器
4 センサ取付ボックス
5a〜5c 反射型人間検知器
6 スピーカ
7 表示画面
L 報知灯
D1,D2 ドア
C 制御器
A アンテナ部
B バーコード読取部
10 枠体
11 カバー
12 マーク
13 アンテナ
14 透明部
15 器具箱
16 発光部
17 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体処理装置の本体のアンテナ部に無線通信機能を備えたICカードからなる媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の処理を行うとともに、その媒体処理装置の本体のバーコード読取部に媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の処理を行う媒体処理装置であって、
前記バーコード読取部は、前記アンテナ部に設けられていることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体処理装置において、前記アンテナ部は平面状を呈し、前記バーコード読取部はそのアンテナ部の中央の部分に位置していることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の媒体処理装置において、前記バーコード読取部は、バーコードに光線を照射して又はそのバーコードを撮像して読み取るものであることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の媒体処理装置において、前記ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の処理を行うときに、前記媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の処理を禁止し、又は、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の処理を行うときに、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の処理を禁止する処理制御手段を設けたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の媒体処理装置において、前記ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の処理と、前記媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の処理とを同時に行うことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】
自動改札機の本体に設けられている媒体処理装置の本体のアンテナ部に無線通信機能を備えたICカードからなる媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の入出場処理を行うとともに、その媒体処理装置の本体のバーコード読取部に媒体がタッチ又はかざされたときに、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の入出場処理を行う自動改札機であって、
前記バーコード読取部は、前記アンテナ部に設けられていることを特徴とする自動改札機。
【請求項7】
請求項6に記載の自動改札機において、前記ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づいて所定の入出場処理を行うときに、前記媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を禁止し、又は、その媒体に印字されている所定のバーコードに基づいて所定の入出場処理を行うときに、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理を禁止する処理制御手段を設けたことを特徴とする自動改札機。
【請求項8】
請求項6に記載の自動改札機において、前記ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理と前記媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理とを同時に行うことを特徴とする自動改札機。
【請求項9】
請求項6から8のいずれかに記載の自動改札機において、前記自動改札機の本体には、その自動改札機の本体に設けられている投入口に投入された磁気情報の記録された媒体に基づいて所定の入出場処理を行う磁気媒体処理部が設けられていることを特徴とする自動改札機。
【請求項10】
請求項9に記載の自動改札機において、前記磁気情報の記録された媒体に基づいて所定の入出場処理を行うときに、前記ICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理及び前記媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を禁止し、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理を行うとき又はその媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理を行うときに、その磁気情報の記録された媒体に基づく所定の入出場処理を禁止し、又は、そのICカードからなる媒体に記憶されている所定のデータに基づく所定の入出場処理とその媒体に印字されている所定のバーコードに基づく所定の入出場処理とを同時に行うときに、その磁気情報の記録された媒体に基づく所定の入出場処理を禁止する処理制御手段を設けたことを特徴とする自動改札機。
【請求項11】
請求項6から10のいずれかに記載の自動改札機において、前記アンテナ部は平面状を呈し、前記バーコード読取部はそのアンテナ部の中央の部分に位置していることを特徴とする自動改札機。
【請求項12】
請求項6から11のいずれかに記載の自動改札機において、前記バーコード読取部は、バーコードに光線を照射して又はそのバーコードを撮像して読み取るものであることを特徴とする自動改札機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−47960(P2007−47960A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230328(P2005−230328)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】