説明

媒体処理装置及び媒体処理装置の制御方法

【課題】記録媒体が搬送路から引き抜かれたことを確実に判別できる媒体処理装置及び媒体処理装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】媒体搬送路5を搬送される小切手Sに記録する印刷ヘッド48を備える複合処理装置1であって、媒体搬送路5の媒体挿入口3から小切手Sが挿入されたことを検出するTOFセンサー43と、媒体搬送路5の媒体排出口4から小切手Sが排出されたことを検出するEJDセンサー49と、これらTOFセンサー43とEJDセンサー49との間に小切手Sの有無を検出するMOPセンサー47とを備え、MOPセンサー47、TOFセンサー43、EJDセンサー49のいずれかが小切手Sを検出している状態から、TOFセンサー43、MOPセンサー47及びEJDセンサー49のすべてが小切手Sを検出しない状態に変化した場合には、当該小切手Sが媒体搬送路5から引き抜かれたと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録を行う媒体処理装置及び媒体処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、搬送路の挿入口から記録媒体が挿入されたことを検出する媒体挿入検出器と、この搬送路の排出口から記録媒体が排出されたことを検出する媒体排出検出器と、記録媒体に記録する記録手段とを備える媒体処理装置が知られている。この種の媒体処理装置では、媒体検出器として、組立精度等の理由からフォトセンサーが用いられ、発光素子から発した光に対し、記録媒体がある状態での反射光と、記録媒体がない状態での反射光とのそれぞれの受光素子で受光する光量を検出することによって、記録媒体の有無について検出できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−68529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の媒体処理装置では、当該媒体処理装置の設置状況によっては、挿入口または排出口から、例えば、太陽光等の外乱光が入射し、その外乱光を受光素子が受光するおそれがあり、記録媒体がないにもかかわらず記録媒体があると誤って検出するという問題が生じうる。
このため、媒体検出器による検出を所定間隔で複数回実行し、この検出結果が複数回連続した場合に、その状態(記録媒体の有無)を確定することにより、外乱光による誤検出を抑制することができる。しかしながら、この構成では、媒体検出器による検出結果が確定するまでに時間がかかり、この間に記録媒体がユーザーによって搬送路から抜かれたとしても、この引き抜きを判別できないことがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、記録媒体が搬送路から引き抜かれたことを確実に判別できる媒体処理装置及び媒体処理装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、搬送路を搬送される記録媒体に記録する記録手段を備える媒体処理装置であって、前記搬送路の挿入口から前記媒体が挿入されたことを検出する媒体挿入検出器と、前記搬送路の排出口から前記媒体が排出されたことを検出する媒体排出検出器と、これら媒体挿入検出器と媒体排出検出器との間に媒体の有無を検出する媒体中間検出器とを備え、少なくとも、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のいずれかが前記記録媒体を検出している状態から、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のすべてが前記記録媒体を検出しない状態に変化した場合には、前記記録媒体が前記搬送路から引き抜かれたと判定する判定手段を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、例えば、特に、搬送路の挿入口や排出口から入る外乱光を抑制するために、媒体検出器による検出を所定間隔で複数回実行して記録媒体の有無を検出するものであっても、簡単な構成で当該記録媒体が搬送路から引き抜かれたことを確実に判別することができる。
【0008】
また、本発明は、少なくとも、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のいずれかは、発光素子及び受光素子を有するフォトセンサーで構成され、前記発光素子を発光させずに前記受光素子で受光する光量を検出する消灯読みと、前記発光素子を発光させて前記受光素子で受光する光量を検出する点灯読みとを行い、これら消灯読み及び点灯読みでの差分値に基づいて前記記録媒体の有無を検出することを特徴とする。この構成によれば、太陽光等の外乱光の影響を抑制することができ、記録媒体の有無を精度良く検出することができる。
【0009】
また、本発明は、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器は、所定のサンプリング間隔で前記記録媒体の有無を検出し、この検出結果が連続した場合に当該記録媒体の有無を確定することを特徴とする。この構成によれば、外乱光が強く、消灯読みと点灯読みとでの差分が小さい場合であっても、記録媒体の有無の判定の精度を高めることができ、当該記録媒体の検出をより確実に行うことができる。
【0010】
また、本発明は、前記媒体中間検出器は、前記媒体排出検出器から、前記媒体搬送路を搬送される処理対象の記録媒体の搬送方向の長さよりも近い距離に配置されることを特徴とする。この構成によれば、媒体中間検出器もしくは媒体排出検出器が記録媒体の有無を検出することにより、この記録媒体の有無を確実に検出することができる。
【0011】
また、本発明は、前記搬送路には、前記媒体挿入検出器と前記媒体排出検出器との間に、前記記録媒体の裏面に記録する第1の記録手段と、当該記録媒体の表面に記録する第2の記録手段とを備え、前記媒体中間検出器は、これら第1の記録手段及び第2記録手段の間に配置されたことを特徴とする。この構成によれば、媒体処理装置の搬送路に各部材をまとまりよく配置しつつ、記録媒体の引き抜きを確実に判別することができる。
【0012】
また、本発明は、搬送路を搬送される記録媒体に記録する記録手段を備える媒体処理装置の制御方法であって、前記媒体処理装置は、前記搬送路の挿入口から前記媒体が挿入されたことを検出する媒体挿入検出器と、前記搬送路の排出口から前記媒体が排出されたことを検出する媒体排出検出器と、これら媒体挿入検出器と媒体排出検出器との間に媒体の有無を検出する媒体中間検出器とを備え、少なくとも、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のいずれかが前記記録媒体を検出している状態から、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のすべてが前記記録媒体を検出しない状態に変化した場合には、前記記録媒体が前記搬送路から引き抜かれたと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外乱光を抑制するために、媒体検出器による検出を所定間隔で複数回実行して記録媒体の有無を検出するものであっても、簡単な構成で当該記録媒体が搬送路から引き抜かれたことを確実に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る複合処理装置を示す外観斜視図である。
【図2】複合処理装置の装置本体を示す概略側面図である。
【図3】媒体搬送路に設けられた各部材を示す模式図である。
【図4】複合処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】各センサーの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】MOPセンサーと搬送される小切手Sとの位置関係を示す模式図である。
【図7】判別動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る媒体処理装置としての複合処理装置を示す外観斜視図である。複合処理装置(媒体処理装置)1は、小切手(記録媒体)に記録されている磁気インク文字(MICR(Magnetic Ink Character Recognition)文字ともいう)を読み取り、その内容に応じて小切手に印刷(記録)処理を行うとともに、ロール紙に対して印刷(記録)処理を行うものである。
複合処理装置1は、図1に示すように、全体として直方体形状をした本体ケース2を備え、この本体ケース2の前面の左側寄りの部分には、小切手Sを挿入するための媒体挿入口3が装置幅方向に沿って所定幅で設けられている。本体ケース2の上面の装置前後方向の中央部分には、処理された小切手Sが排出される媒体排出口4が装置幅方向に沿って所定幅で設けられている。媒体挿入口3と媒体排出口4との間には、媒体挿入口3から装置後方に延びた後に上方に湾曲して延びる媒体搬送路(搬送路)5が形成されている。これら媒体挿入口3、媒体排出口4及び媒体搬送路5は、本体ケース2の左側面を開放して形成されており、当該媒体挿入口3、媒体排出口4及び媒体搬送路5よりも幅の広い小切手Sを搬送することが可能となっている。
【0016】
本体ケース2の上面において、媒体排出口4よりも前側は前側カバー6によって被われており、前側カバー6の前端部分には複合処理装置1の各種操作を行う操作パネル7が設けられている。また、本体ケース2の上面には、媒体排出口4よりも後側に印刷処理されたロール紙Rが排出されるロール紙排出口8が装置幅方向に沿って所定幅で設けられている。本体ケース2の上面において、ロール紙排出口8よりも後側には開閉蓋9が設けられ、この開閉蓋9は、後端を中心として回動可能に本体ケース2に取り付けられている。開閉蓋9を開くと、ロール紙Rを収納するロール紙収容部10が露出し、ロール紙Rの交換を行うことができる。ロール紙Rは、長尺の感熱紙を芯管にロール状に巻きつけて構成されている。
【0017】
図2は、複合処理装置1の装置本体を示す概略側面図である。図2は本体ケース2、前側カバー6および開閉蓋9などの外装部品を取り除いた状態を示している。複合処理装置1は、図2に示すように、装置本体11を備え、この装置本体11は、小切手Sに印刷処理を行うスリップ印刷部12と、ロール紙Rに印刷処理を行うロール紙印刷部13とを一体に備えて構成されている。
ロール紙印刷部13は、左右一対の左サイドフレーム14及び右サイドフレーム(不図示)と、これらサイドフレーム間に設けられてロール紙収容部10の床面、前面及び背面を形成するロール紙ホルダー(不図示)を備える。このロール紙ホルダーは、ロール紙Rを回転自在に保持し、ロール紙収容部10でロール紙Rが自由に転動することを確保している。
【0018】
左右のサイドフレーム間には、ロール紙排出口8の近傍に、プラテンローラー15が回転自在に掛け渡されている。プラテンローラー15の前方には、当該プラテンローラー15に対向する位置にサーマルヘッド16が配置されており、このサーマルヘッド16は、プラテンローラー15との対向面に複数の発熱抵抗体を備えている。ロール紙収容部10に収納されたロール紙Rの先端部分は、プラテンローラー15とサーマルヘッド16とで挟持され、プラテンローラー15が回転することによりロール紙排出口8へと送られる。そして、プラテンローラー15とサーマルヘッド16との間を通過する際に、サーマルヘッド16が発熱することにより文字や画像がロール紙Rに記録される。左サイドフレーム14には、ロール紙搬送モーター17が配置され、このロール紙搬送モーター17の回転が中間ギア18を介してプラテンローラー15と同軸上に形成される駆動ギア19に伝達され、プラテンローラー15が回転する。
また、プラテンローラー15の上方には、可動刃20及びこの可動刃20を進退させるカッター駆動モーター24(図4参照)を内蔵したオートカッターユニット21が配置されており、このオートカッターユニット21の後方には、ロール紙排出口8を挟んで、固定刃22が設けられている。ロール紙Rの先端部分は、可動刃20と固定刃22との間を通ってロール紙排出口8に延びており、ロール紙Rを切断する際には、カッター駆動モーター24の駆動により可動刃20が固定刃22に向かって後方に遥動し、固定刃22と協働してロール紙Rを切断する。
さらに、左サイドフレーム14には、ロール紙収容部10内のロール紙Rの残量を検知するロール紙残量センサー23が設けられている。
【0019】
スリップ印刷部12は、図2に示すように、ベースフレーム31と、このベースフレーム31に立設された左サイドフレーム32及び右サイドフレーム(不図示)とを有する本体フレーム33を備える。この本体フレーム33には下案内面35及び上案内面36を構成する上下一対の紙案内部材が設けられ、下案内面35と上案内面36との隙間が上述した媒体搬送路5として形成されている。この媒体搬送路5は、媒体挿入口3から装置後方に延びる水平搬送路部分5aと、この水平搬送路部分5aの後端から上方に湾曲する湾曲搬送路部分5bと、この湾曲搬送路部分5bの上端から上方に延びて媒体排出口4に連なる垂直搬送路部分5cとを備える。
【0020】
水平搬送路部分5aと湾曲搬送路部分5bとの境界部分には、一対の第1搬送ローラー34が下案内面35及び上案内面36にそれぞれ対向配置され、垂直搬送路部分5cには、一対の第2搬送ローラー37が下案内面35及び上案内面36にそれぞれ対向配置されている。これら第1搬送ローラー34及び第2搬送ローラー37は、それぞれスリップ搬送モーター38(図4)の駆動により回転して小切手Sを搬送する。また、第1搬送ローラー34及び第2搬送ローラー37は、それぞれ一方のローラー部材が他方のローラー部材に対して進退自在に構成されるとともに、当該一方のローラー部材に連結されるローラー開閉モーター39(図4)の駆動に応じた進退動作により媒体搬送路5を開閉する。また、ベースフレーム31上には、制御プログラムに基づいて複合処理装置1全体の動作を制御する制御基板40が配置されている。
【0021】
図3は、媒体搬送路に設けられた各部材を示す模式図である。
媒体搬送路5上には、媒体挿入口3側から順にBOF(Bottom of Form)センサー41、MICRヘッド42、第1搬送ローラー34、TOF(Top of Form)センサー43、整列手段44、バリデーションセンサー45、第1印刷ヘッド(第1記録手段)46、MOP(Middle of Paper pass)センサー47、第2搬送ローラー37、第2印刷ヘッド(第2記録手段)48、EJD(Slip Eject Detector)センサー49が設けられている。
→EJDは何を短縮したものなのかご教示くださいますようお願いします。
【0022】
BOFセンサー41は、TOFセンサー43、バリデーションセンサー45、MOPセンサー47及びEJDセンサー49は、例えば透過型もしくは反射型のフォトセンサーで構成されており、それぞれ発光素子41a,43a,45a,47a,49a(図4)と受光素子41b,43b,45b,47b,49b(図4)とを備え、これら受光素子41b,43b,45b,47b,49bで受光した受光量に応じて、媒体搬送路5の各位置で小切手Sの有無を非接触で検出するものである。
BOFセンサー41は、媒体挿入口3から挿入された小切手Sの後端を検出するものであり、媒体挿入口3近傍の下案内面35に設けられている。TOFセンサー(媒体挿入検出器)43は、媒体挿入口3から挿入された小切手Sの先端を検出するものであり、第1搬送ローラー34よりも媒体排出口側近傍の上案内面36に設けられている。EJDセンサー(媒体排出検出器)49は、スリップ印刷部12で処理された小切手Sが媒体排出口4から排出されたことを検出するものであり、この媒体排出口4近傍に設けられている。MOPセンサー(媒体中間検出器)47は、媒体搬送路5を搬送される小切手Sの有無を検出するものであり、第2搬送ローラー37よりも媒体挿入口側近傍の上案内面36に設けられている。
【0023】
本実施形態のスリップ印刷部12は、小切手Sを媒体排出口4から挿入して第1印刷ヘッド46及び第2印刷ヘッド48により印刷を行い、印刷後に再び媒体排出口4から小切手Sを排出するバリデーション印刷を行うことが可能に構成されている。このため、媒体搬送路5の湾曲搬送路部分5bの上端には、媒体排出口4から挿入される小切手Sの先端が進入し、当該小切手Sを整列するための凹部50が形成されている。バリデーションセンサー45は、小切手Sの先端が凹部50に進入したことを検出するものであり、この凹部50に対向する位置に設けられている。
【0024】
MICRヘッド42は、小切手Sの表面に記録された磁気インク文字の読取処理を行うためのものであり、媒体搬送路5の水平搬送路部分5aにおける上案内面36に設けられている。このMICRヘッド42にて読み取られたデータに基づいて小切手Sの有効・無効が判断される。整列手段44は、媒体挿入口3から挿入された小切手Sを一旦停止させるためのものであり、TOFセンサー43よりも媒体排出口側の近傍位置に設けられている。整列手段は、例えばソレノイド等のストッパー駆動部44aと、このストッパー駆動部44aの動作に応じて、媒体搬送路5内に進退するストッパー部材44bとを備え、このストッパー部材44bに小切手Sの先端が当接することで小切手Sが整列される。
【0025】
第1印刷ヘッド46は、媒体搬送路5を搬送される小切手Sの裏面に、買い物客の認証番号、日付、使用金額等の店側として必要な裏書き事項を印刷するためのもので、インクリボンに記録ワイヤーを打ち当ててインクリボンのインクを付着させて印刷するシリアル・インパクト・ドット・マトリクス(SIDM)印刷ヘッドとして構成されている。この第1印刷ヘッド46は、媒体搬送路5の垂直搬送路部分5cの下端部に位置し、この垂直搬送路部分5cを挟んで当該第1印刷ヘッド46と対向する位置には本体フレーム33(図2)の幅方向に亘って第1プラテン51が設けられている。また、第1印刷ヘッド46は、垂直搬送路部分5cよりも装置後側に配置される第1キャリッジ52に搭載される。この第1キャリッジ52は、本体フレーム33(図2)のサイドフレーム間に略水平に掛け渡された第1キャリッジ軸53に摺動自在に設けられ、第1キャリッジ駆動モーター54の駆動により、第1キャリッジ軸53に沿って往復移動する。第1キャリッジ52は、タイミングベルト(不図示)を介して、第1キャリッジ駆動モーター54と連結されている。この第1キャリッジ駆動モーター54は、ステッピングモーターで構成されており、制御基板40の制御下、第1キャリッジ52を所望のステップに相当する距離だけ移動させることができる。
また、第1キャリッジ52の下部には、この第1キャリッジ52の位置検出を行う第1キャリッジセンサー55が設けられている。この第1キャリッジセンサー55は、透過型のフォトセンサーであり、第1キャリッジ52の往復移動に伴って、第1キャリッジ軸53と略平行に設けられた第1スケール56を走査する。この第1スケール56には、所定幅のスリットが複数形成されており、第1キャリッジセンサー55が第1スケール56を走査する際に、これらスリットを通過する光信号を取得することにより、第1キャリッジ52の変位量を検出して当該第1キャリッジ52(第1印刷ヘッド46)の位置検出を行う。なお、本実施形態では、第1キャリッジセンサー55には、第1キャリッジ駆動モーター54の駆動中にのみ電源が供給されるようになっており、第1キャリッジ駆動モーター54が停止した際には第1キャリッジセンサー55への電源供給が遮断されるため、待機電力の消費量が減少し、省エネルギー化を図ることができる。
【0026】
第2印刷ヘッド48は、媒体搬送路5を搬送される小切手Sの表面に、支払い先、日付、金額等の表書き事項を印刷するためのもので、第1印刷ヘッド46と同様にSIDM印刷ヘッドとして構成されている。この第2印刷ヘッド48は、第1印刷ヘッド46よりも上方であって、垂直搬送路部分5cを挟んだ装置前側に配置されている。また、垂直搬送路部分5cを挟んで当該第2印刷ヘッド48と対向する位置には本体フレーム33(図2)の幅方向に亘って第2プラテン57が設けられている。第2印刷ヘッド48は、上記第1印刷ヘッド46と同様に、第2キャリッジ58に搭載され、この第2キャリッジ58は、第2キャリッジ駆動モーター59の駆動により、第2キャリッジ軸60に沿って往復移動する。また、第2キャリッジ58の下部には第2キャリッジセンサー61が設けられ、この第2キャリッジセンサー61は、第2キャリッジ58の往復移動に伴って、第2キャリッジ軸60と略平行に設けられた第2スケール62を走査する。なお、第2キャリッジ駆動モーター59も第1キャリッジ駆動モーター54と同様にステッピングモーターとして構成されている。
【0027】
また、本体フレーム33には、第1印刷ヘッド46と第1プラテン51との間、及び、第2印刷ヘッド48と第2プラテン57との間にそれぞれ繰り出されるインクリボンを収容した第1インクリボンカセット63(図2)及び第2インクリボンカセット64(図2)が着脱可能な状態で装着されている。
【0028】
図4は、複合処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。
この図4に示すように、複合処理装置1の制御系は、制御基板40に実装された制御部に、各種モーター等の駆動部及び各種センサーが接続された構成となっている。
制御基板40には、制御プログラムを実行して各部を制御するCPU(判定手段)101、CPU101によって実行されるプログラムや処理されるデータ等を一時的に格納するRAM103、CPU101によって実行される基本制御プログラムや、各種設定値を記憶するフラッシュROM105、複合処理装置1の外部装置としてのホストコンピューター200との間でコマンドやデータ等を送受信する通信インターフェイス107、A/Dコンバーター108を内蔵し、複合処理装置1の各種センサーの検出値をデジタルデータに変換してCPU101に出力するセンサー駆動回路109、複合処理装置1が備える印刷ヘッドを駆動するヘッド駆動回路111、及び、複合処理装置1が備える各モーターを駆動するモータードライバー113を備えて構成され、これらの各部は相互に通信可能に接続されている。なお、制御基板40が備える各機能部は各々が独立した半導体デバイスとして実装されていてもよいし、複数の機能部の機能がSOC(System-on-a-chip)等の形態で統合された構成としてもよく、具体的な実装形態は任意である。
【0029】
制御基板40には、モータードライバー113の温度を検出する基板温度センサー115が実装されている。基板温度センサー115は、制御基板40においてモータードライバー113が実装された裏面またはモータードライバー113の近傍に配置されるサーミスタである。
さらに、CPU101には、ロール紙収容部10(図1)に収容されたロール紙Rの残量が所定以上あるか否かを検出するロール紙残量センサー23、開閉蓋9が開いたことを検出するカバー開閉センサー117、上述した第1キャリッジセンサー55及び第2キャリッジセンサー61が接続される。ロール紙残量センサー23は、ロール紙Rの外径が所定以上の場合にオンに切り替わるスイッチであり、カバー開閉センサー117は、開閉蓋9が開かれるとオンに切り替わるスイッチ式のセンサーであり、それぞれオン/オフ状態に対応して出力値をHigh/Loに切り換える。第1キャリッジセンサー55及び第2キャリッジセンサー61は、例えばフォトインタラプターとして構成され、受光部における受光量が内蔵するしきい値を超えるか否かにより出力値をHigh/Loに切り換える。
【0030】
CPU101は、フラッシュROM105に記憶された基本制御プログラムを読み出して実行することにより、制御基板40に実装された各部を制御する。また、CPU101は、センサー駆動回路109を介して入力される各種センサーの検出値、及び、ロール紙残量センサー23、カバー開閉センサー117、第1キャリッジセンサー55、及び第2キャリッジセンサー61の出力値に基づいて、複合処理装置1の動作状態を監視し、ヘッド駆動回路111によって各ヘッドを駆動するとともに、モータードライバー113によって各モーターを動作させ、小切手Sの表面および裏面への印刷、MICR読み取り、ロール紙Rへの印刷等の動作を実行する。
【0031】
RAM103は、CPU101の動作時にプログラムやデータ等を一時的に格納するワークエリアを形成する。また、RAM103には、通信インターフェイス107によりホストコンピューター200から受信したコマンドやデータを一時的に記憶する受信バッファー104が設けられる。CPU101は、受信バッファー104に格納されたコマンドを、受信順に読み出して実行する。
センサー駆動回路109は、BOFセンサー41、TOFセンサー43、バリデーションセンサー45、MOPセンサー47、EJDセンサー49、及び基板温度センサー115の各センサーに接続され、これら各センサーの出力値をデジタルデータに変換して、CPU101に出力する。また、センサー駆動回路109はMICRヘッド42に接続され、小切手Sに形成された磁気インク文字をMICRヘッド42によって読み取る動作中、MICRヘッド42の出力値をデジタルデータとしてCPU101に出力する。
【0032】
ヘッド駆動回路111は、CPU101の制御に従って、第1印刷ヘッド46及び第2印刷ヘッド48の各々に対し、記録ワイヤーを突出させるソレノイドコイルに通電することで、小切手Sへの記録を実行させる。また、ヘッド駆動回路111は、CPU101の制御に従ってサーマルヘッド16が備える発熱素子(図示略)に通電して、ロール紙Rの記録面に熱を与えて記録を行う。
モータードライバー113は、ステッピングモーターとして構成されるロール紙搬送モーター17、カッター駆動モーター24、スリップ搬送モーター38、ローラー開閉モーター39、ストッパー駆動部44a、第1キャリッジ駆動モーター54、及び第2キャリッジ駆動モーター59の各モーターに対し、CPU101の制御に従って、駆動電源、及び、駆動パルスを出力する。モータードライバー113が各モーターに供給する駆動電源は、電源ユニット120が各部に供給する24Vの直流電源である。電源ユニット120は、図4に示す複合処理装置1の各駆動部、すなわち各印刷ヘッド(第1印刷ヘッド46、第2印刷ヘッド48、サーマルヘッド16)、各モーター(カッター駆動モーター24、第1キャリッジ駆動モーター54、第2キャリッジ駆動モーター59、スリップ搬送モーター38、ロール紙搬送モーター17、ローラー開閉モーター39)、ストッパー駆動部44a、および、制御基板40に直流電源を供給する。また、複合処理装置1が備える各センサーに対しては、制御基板40を介して、或いは制御基板40に実装されたセンサー駆動回路109を介して、電源ユニット120からの電源が供給される。
【0033】
この複合処理装置1は、電源投入後に待機状態に移行する。この待機状態では、ローラー開閉モーター39によって第1搬送ローラー34及び第2搬送ローラー37を開位置に移動させて、媒体挿入口3に小切手Sを挿入可能とする。また、ストッパー駆動部44aによってストッパー部材44bを媒体搬送路5内に進出させる。
この待機状態において、媒体挿入口3から小切手Sが挿入されると、CPU101は、センサー駆動回路109から入力されるBOFセンサー41の出力値に基づいて、この小切手Sを検出する。ここで、CPU101は、モータードライバー113を制御し、ローラー開閉モーター39を駆動して第1搬送ローラー34及び第2搬送ローラー37を閉位置に移動させて、これら第1搬送ローラー34によって小切手Sを挟持する。CPU101は、ストッパー部材44bが媒体搬送路5に進出した状態で、スリップ搬送モーター38を動作させて第1搬送ローラー34を回転駆動し、小切手Sを往復搬送する動作を複数回行う。この動作により、小切手Sはストッパー部材44bに突き当てられてその向きが整う。
【0034】
続いて、ホストコンピューター200から受信したコマンドにより、磁気インク文字の読み取りが指示されると、CPU101は、ストッパー駆動部44aを駆動してストッパー部材44bを媒体搬送路5から退避させる。続いてCPU101は、第1搬送ローラー34によって小切手Sを搬送し、この間のMICRヘッド42の出力値に基づき、小切手Sの磁気インク文字を読み取る。CPU101は、ホストコンピューター200から受信したコマンドにより小切手Sの裏面への印刷が指示されると、印刷位置まで小切手Sを搬送し、第1印刷ヘッド46によって小切手Sに印刷する。ホストコンピューター200から受信したコマンドにより小切手Sの表面への印刷が指示されている場合は、CPU101は、表面の印刷位置まで小切手Sを搬送する。ここで、CPU101は、小切手Sにおける印刷位置に合わせてスリップ搬送モーター38を正転させて媒体搬送路5の下流側へ搬送し、或いは、スリップ搬送モーター38を逆転させて小切手Sを上流側へ搬送する。小切手Sが表面の印刷位置に達したところで、CPU101はヘッド駆動回路111を制御して、第2印刷ヘッド48によって小切手Sの表面に印刷する。表面の印刷終了後、CPU101はスリップ搬送モーター38を駆動し、第2搬送ローラー37により小切手Sを媒体排出口4から排出可能な位置とする。ここで小切手Sは媒体排出口4から突出した位置に達しているが、小切手Sの後端は媒体排出口4の内部にあり、EJDセンサー49によって小切手Sの存在が検出されている。CPU101は、オペレーターが小切手Sを取り出すまで待機し、小切手Sが取り出されてEJDセンサー49の検出値が切り替わったことを検出すると、ローラー開閉モーター39及びストッパー駆動部44aを駆動して、上記の待機状態に戻る。以上の動作により、小切手Sが挿入された場合に磁気インク文字の読み取り、小切手Sの表面および裏面への印刷を行う。
【0035】
また、CPU101は、待機状態において媒体排出口4から小切手Sが挿入されて、その先端が凹部50に達した場合に、バリデーションセンサー45の出力値の変化に基づいて小切手Sの挿入を検出する。CPU101は、ホストコンピューター200から受信したコマンドに従って、小切手Sに対して第1印刷ヘッド46または第2印刷ヘッド48によってバリデーション印刷を行う。印刷完了後、CPU101は、小切手Sがオペレーターによって抜去されるまで待機する。そして、バリデーションセンサー45及びEJDセンサー49の出力値の変化に基づいて小切手Sの抜去を検出すると、CPU101は、上述した待機状態に戻る。
【0036】
また、CPU101は、ロール紙Rへの印刷を指示するコマンドを、ホストコンピューター200から受信した場合、このコマンドを受信バッファー104から読み出して実行する。CPU101は、ロール紙搬送モーター17を駆動してロール紙Rを搬送しながら、サーマルヘッド16に通電して、ロール紙Rの印刷面に熱を与えて印刷を行う。印刷が完了すると、ロール紙Rの印刷終了位置がオートカッターユニット21の位置に達するまでロール紙Rを搬送し、カッター駆動モーター24を駆動してロール紙Rを切断する。
【0037】
ところで、本実施形態にかかる複合処理装置1では、上述したように、媒体搬送路5には、BOFセンサー41、TOFセンサー43、バリデーションセンサー45、MOPセンサー47及びEJDセンサー49の各フォトセンサーを配置する構成としている。この種の複合処理装置1では、当該複合処理装置1の設置状況によっては、媒体挿入口3または媒体排出口4から、太陽光等の外乱光が入射し、その外乱光を各センサーの受光素子が受光するおそれがあり、媒体搬送路5に小切手Sが搬送されていないにもかかわらず当該小切手Sがあると誤って検出するという問題が生じうる。
これを解消するために、本実施形態では、各センサーは、図5に示すように、発光素子(LED)を発光させずに受光素子で受光する光量を検出する消灯読みと、この発光素子を発光させて受光素子で受光する光量を検出する点灯読みとを、所定時間T1(例えば20msec)ごとに繰り返し実行する。このため、消灯読み及び点灯読みを実行するために必要な所定時間T2は、T1の2倍となり、本実施形態では40msecとなる。この消灯読み及び点灯読みでは、いずれも所定時間(例えば、300μsec)間隔で2回検出した値の平均値が採用される。
そして、これら消灯読み及び点灯読みでの差分に基づいて小切手Sの有無が検出される。これらの動作は、CPU(判定手段)101の制御の下、センサー駆動回路109により実行される。この構成によれば、発光素子を発光させずに受光素子で受光する光量を検出する消灯読みと、この発光素子を発光させて受光素子で受光する光量を検出する点灯読みとを行い、これら消灯読み及び点灯読みでの差分に基づいて小切手Sの有無が検出されるため、従来のように、発光素子を発光させて受光素子で受光する光量により小切手Sの有無を検出するものに比べて、外乱光の影響を抑制することができ、当該小切手Sの有無を精度良く検出することができる。
さらに、本構成では、上記した消灯読み及び点灯読みでの差分による小切手Sの有無の検出を複数回実行し、同一の検出結果が2回連続した場合に、小切手Sの有無を確定することとしている。消灯読み及び点灯読みの差分に基づく小切手Sの有無の検出では、上述のように、外乱光の影響を抑制することができ、当該小切手Sの有無を精度良く検出することができるが、例えば、外乱光が強く、消灯読みと点灯読みとでの差分が小さい場合には、小切手Sの有無の判定が困難となる。このため、1回の検出結果に基づくのではなく、小切手Sの有無の検出を複数回実行し、同一の検出結果が2回連続した場合に、小切手Sの有無を確定することにより、特に、外乱光が強くて消灯読みと点灯読みとでの差分が小さい場合における小切手Sの有無の判定の精度を高めることができ、当該小切手Sの検出をより確実に行うことができる。
【0038】
このように、本構成では、外乱光の影響を抑制して小切手Sの有無を精度良く実行することが可能となっている。一方、消灯読み及び点灯読みによる判定結果が2回連続したら、その状態(小切手Sの有無)を確定するようになっているため、各センサーの検出状態が確定するためには、T2の2倍である最大80msec(図5参照)の時間がかかることになる。小切手Sは、この検出未確定時間内も所定の搬送速度(195mm/sec)で搬送されるとともに、当該時間内は、媒体搬送路5を搬送される小切手Sの検出が確定していないため、この間に小切手Sが最大15.6mm(195×0.08)だけ搬送される。この場合、小切手Sの先端が媒体排出口4から突出することもあり、上記検出未確定時間内に小切手Sをユーザーが搬送路から引き抜いたとしても、この引き抜きの有無を判別できないことがある。
【0039】
このため、本実施形態では、上記したMOPセンサー47を媒体搬送路5に設けて、小切手Sの引き抜きを判別可能としている。
このMOPセンサー47は、媒体搬送路5の垂直搬送路部分5cに設けられ、特に、第1印刷ヘッド46と第2印刷ヘッド48との間に配置されている。このように、第1印刷ヘッド46と第2印刷ヘッド48との間にMOPセンサー47を配置することにより、複合処理装置1の媒体搬送路5に各部材をまとまりよく配置しつつ、上記小切手Sの引き抜きを確実に判別することができる。
【0040】
次に、小切手Sの引き抜き時の判別動作について説明する。
図6は、MOPセンサーと搬送される小切手Sとの位置関係を示す模式図であり、図7は、この判別動作を示すフローチャートである。
この図6に示すように、MOPセンサー47は、TOFセンサー43とEJDセンサー49との間に設けられ、具体的には、EJDセンサー49との距離L1が、この複合処理装置1で使用される処理対象として最短の小切手Sの搬送方向の長さL2(本実施形態では63mm)よりも近い位置に配置されている。
【0041】
まず、CPU101は、センサー駆動回路109を介して、各センサーによる小切手Sの検出を実行する(ステップS51)。この場合、センサー駆動回路109は、所定時間T1ごとに消灯読みと点灯読みとを実行させ、その出力値を取得してCPU101に出力する。
次に、CPU101は、MOPセンサー47、TOFセンサー43、EJDセンサー49のいずれかオンとなっているかを判別する(ステップS52)。MOPセンサー47がオンとは、例えば、図6のAの状態に示すように、小切手SがMOPセンサー47まで搬送され、このMOPセンサー47が小切手Sを検出した状態であり、消灯読み及び点灯読みによる判定結果が2回連続して小切手S有りが確定した状態をいう。他のセンサーにおけるオンについても同様の状態を示し、オフとは消灯読み及び点灯読みによる判定結果が2回連続して小切手S無しが確定した状態をいう。この判別において、MOPセンサー47、TOFセンサー43、EJDセンサー49のいずれかがオンでなければ(ステップS52;No)、オンとなるまで処理を繰り返し実行し、いずれかがオンであれば(ステップS52;Yes)、処理をステップS53に移行する。
MOPセンサー47のみが小切手Sを検出している状態では、この小切手Sの先端が媒体排出口4(図3)から突出していないため、当該小切手Sを引き抜くことはできない。
【0042】
続いて、CPU101は、小切手Sを排出するコマンドを、ホストコンピューター200から受信した場合(S53、Yes)、このコマンドを受信バッファー104から読み出して小切手Sの排出動作を実行する(S57)。
小切手Sを排出するコマンドを、ホストコンピューター200から受信していない場合(S53、No)、CPU101は、MOPセンサー47、TOFセンサー43、EJDセンサー49のすべてがオフとなっているかを判別する(ステップS54)。この判別において、すべてがオフでなければ(ステップS54;No)、オフとなるまで処理を繰り返し、すべてがオフであれば(ステップS54;Yes)、処理をステップS55に移行する。
MOPセンサー47、TOFセンサー43、EJDセンサー49のすべてがオフの状態では、小切手Sの後端がMOPセンサー47から外れたことを含め、小切手Sが抜き去られたことを判別できる(S55)。
本実施形態では、MOPセンサー47とEJDセンサー49との距離L1が小切手Sの長さL2よりも近く設定されていることから、通常であれば、小切手Sの後端がMOPセンサー47から外れたとしても、当該小切手Sの先端がEJDセンサー49により検出される。
これに対して、MOPセンサー47が小切手Sを検出したオンの状態から、これらMOPセンサー47、TOFセンサー43、EJDセンサー49のすべてが小切手Sを検出できないオフの状態に変化した場合には、通常の動作では起こりえないため、小切手Sが媒体搬送路5から引き抜かれたものと判別できる。
MOPセンサー47は、そもそも、媒体搬送路5に設けられたTOFセンサー43とEJDセンサー49との距離よりも短い長さの小切手Sの引き抜きを確実に検出するために配置されたものである。このため、少なくともMOPセンサー47がオンの状態から、これらMOPセンサー47、TOFセンサー43、EJDセンサー49のすべてがオフの状態への変化に基づいて、小切手Sの引き抜きを判別することが望ましい。これによれば、小切手Sが媒体排出口4から通常動作に伴い排出されたのか、印刷動作中に引き抜かれたのかを確実に判別することができる。
小切手Sが抜き去られたことを判別すると(S55)、CPU101は、ホストコンピューター200に引き去られたことをステータスとして送信する(S56)。
【0043】
以上、説明したように、媒体搬送路5を搬送される小切手Sに記録する印刷ヘッド48を備える複合処理装置1であって、媒体搬送路5の媒体挿入口3から小切手Sが挿入されたことを検出するTOFセンサー43と、媒体搬送路5の媒体排出口4から小切手Sが排出されたことを検出するEJDセンサー49と、これらTOFセンサー43とEJDセンサー49との間に小切手Sの有無を検出するMOPセンサー47とを備え、少なくともTOFセンサー43、MOPセンサー47及びEJDセンサー49のいずれか小切手Sを検出している状態から、TOFセンサー43、MOPセンサー47及びEJDセンサー49のすべてが小切手Sを検出しない状態に変化した場合には、当該小切手Sが媒体搬送路5から引き抜かれたとCPU101が判定するため、簡単な構成で小切手Sの引き抜きを確実に判別することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、TOFセンサー43、MOPセンサー47及びEJDセンサー49は、それぞれ、発光素子43a,47a,49a及び受光素子43b,47b,49bを有するフォトセンサーで構成され、発光素子43a,47a,49aを発光させずに受光素子43b,47b,49bで受光する光量を検出する消灯読みと、発光素子43a,47a,49aを発光させて受光素子43b,47b,49bで受光する光量を検出する点灯読みとを行い、これら消灯読み及び点灯読みでの差分値に基づいて小切手Sの有無を検出するため、例えば、太陽光等の外乱光の影響を抑制することができ、当該小切手Sの有無を精度良く検出することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、TOFセンサー43、MOPセンサー47及びEJDセンサー49は、所定時間T2間隔で小切手Sの有無を検出し、この検出結果が2回連続した場合に小切手Sの有無を確定するため、例えば、外乱光が強く、消灯読みと点灯読みとでの差分が小さい場合であっても、小切手Sの有無の判定の精度を高めることができ、当該小切手Sの検出をより確実に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、MOPセンサー47は、EJDセンサー49から、媒体搬送路5を搬送される搬送対象の小切手Sの搬送方向の長さL2よりも近い距離L1に配置されるため、通常であれば、MOPセンサー47もしくはEJDセンサー49が小切手Sを検出することにより、この小切手Sの有無を確実に検出することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、媒体搬送路5の垂直搬送路部分5cには、TOFセンサー43とEJDセンサー49との間に、小切手Sの裏面を印刷する第1印刷ヘッド46と小切手Sの表面を印刷する第2印刷ヘッド48とを備え、MOPセンサー47は、これら第1印刷ヘッド46と第2印刷ヘッド48との間に配置されているため、複合処理装置1の媒体搬送路5に各部材をまとまりよく配置しつつ、上記小切手Sの引き抜きを確実に判別することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、これに限るものではない。例えば、本実施形態の複合処理装置では、ロール紙Rを印刷するロール紙印刷部13を備えているが、スリップ印刷部12を設けた構成であれば適用可能である。また、本実施形態では、スリップ印刷部12はドットインパクト式の印刷ヘッドを備える構成としたが、印刷ヘッドをキャリッジに搭載して駆動させるものであれば、インクジェット式の印刷ヘッドを備えるものにおいても適用可能である。
上述のフローチャートの動作をCPU101に実行させるプログラムを、複合処理装置1の記録媒体や外部に接続した記録媒体に記憶させ、読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…複合処理装置(媒体処理装置)、5…媒体搬送路(搬送路)、33…本体フレーム、 43 TOFセンサー(媒体挿入検出器)、43a…発光素子、43b…受光素子、46…第1印刷ヘッド(第1の記録手段)、47…MOPセンサー(媒体中間検出器)、47a…発光素子、47b…受光素子、48…第2印刷ヘッド(第2の記録手段)、49…EJDセンサー(媒体排出検出器)、49a…発光素子、49b…受光素子、101…CPU(判別手段)、109…センサー駆動回路、S…小切手(記録媒体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を搬送される記録媒体に記録する記録手段を備える媒体処理装置であって、
前記搬送路の挿入口から前記媒体が挿入されたことを検出する媒体挿入検出器と、前記搬送路の排出口から前記媒体が排出されたことを検出する媒体排出検出器と、これら媒体挿入検出器と媒体排出検出器との間に媒体の有無を検出する媒体中間検出器とを備え、
少なくとも、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のいずれかが前記記録媒体を検出している状態から、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のすべてが前記記録媒体を検出しない状態に変化した場合には、前記記録媒体が前記搬送路から引き抜かれたと判定する判定手段を備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
少なくとも、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のいずれかは、発光素子及び受光素子を有するフォトセンサーで構成され、前記発光素子を発光させずに前記受光素子で受光する光量を検出する消灯読みと、前記発光素子を発光させて前記受光素子で受光する光量を検出する点灯読みとを行い、これら消灯読み及び点灯読みでの差分値に基づいて前記記録媒体の有無を検出することを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器は、所定時間間隔で前記記録媒体の有無を検出し、この検出結果が連続した場合に当該記録媒体の有無を確定することを特徴とする請求項1または2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記媒体中間検出器は、前記媒体排出検出器から、前記媒体搬送路を搬送される処理対象の記録媒体の搬送方向の長さよりも近い距離に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記搬送路には、前記媒体挿入検出器と前記媒体排出検出器との間に、前記記録媒体の裏面に記録する第1の記録手段と、当該記録媒体の表面に記録する第2の記録手段とを備え、前記媒体中間検出器は、これら第1の記録手段及び第2記録手段の間に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
搬送路を搬送される記録媒体に記録する記録手段を備える媒体処理装置の制御方法であって、
前記媒体処理装置は、前記搬送路の挿入口から前記媒体が挿入されたことを検出する媒体挿入検出器と、前記搬送路の排出口から前記媒体が排出されたことを検出する媒体排出検出器と、これら媒体挿入検出器と媒体排出検出器との間に媒体の有無を検出する媒体中間検出器とを備え、
少なくとも、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のいずれかが前記記録媒体を検出している状態から、前記媒体挿入検出器、媒体中間検出器、及び媒体排出検出器のすべてが前記記録媒体を検出しない状態に変化した場合には、前記記録媒体が前記搬送路から引き抜かれたと判定することを特徴とする媒体処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−62184(P2012−62184A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209661(P2010−209661)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】