説明

媒体処理装置

【課題】 媒体処理装置のインサータ部を小型にする。
【解決手段】 通帳ステージ3にセットされた媒体を右基準面30もしくは左基準面31方向に搬送する幅寄せフィードローラ14と、前記幅寄せフィードローラ14に媒体を押し付ける幅寄せプレッシャローラ15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金融機関に設置され、オペレータ等の操作者がセットした通帳や伝票等の媒体を受け入れて、磁気ストライプの読み書き処理や所定の印字処理を行う通帳伝票プリンタと呼ばれる媒体処理装置に関するもので、特に、媒体を受け入れるインサータ部に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通帳や伝票を扱う通帳伝票プリンタと呼ばれる媒体処理装置において、媒体を受け入れるインサータ部には、通帳用と伝票用の2つのステージが設けてあり、各ステージにおいて、それぞれ所定の基準面(右側あるいは左側)に媒体を幅寄せして突き当てて、位置合わせする処理を行っている。
【0003】これは、磁気ストライプの読み取り、書き込みの際に媒体が斜めであると、エラーを引き起こす原因となることや、斜めにセットされたまま媒体を搬送して印字を行うと、文字が斜めに印字されたり、決められた範囲外に印字を行ってしまう等の不具合を生じることから、これらを防止する目的でなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の媒体処理装置であると、媒体を幅寄せするアームが移動するためのスペースが必要で、インサータ部の小型化が困難であった。また、幅寄せをアームで行うことで、フィードローラを駆動するモータと独立したモータを設ける必要があったので、やはり、インサータ部の小型化の妨げになっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、幅寄せをローラで行うことで、インサータ部の小型化を目指すとともに、さらに、駆動源を共用化することで、インサータ部の一層の小型化と軽量化を可能とし、これにより、媒体処理装置全体の小型化を図れるようにする。すなわち、請求項1にかかる発明は、操作者が媒体をセットするステージと、前記ステージにセットされた媒体を搬送する搬送フィードローラと、前記搬送フィードローラに媒体を押し付ける搬送プレッシャローラと、前記搬送フィードローラによる媒体搬送方向に対して、前記ステージの左右両側の少なくとも一方に設けられた基準面と、前記ステージにセットされた媒体を前記基準面方向に搬送する幅寄せフィードローラと、前記幅寄せフィードローラに媒体を押し付ける幅寄せプレッシャローラと、前記搬送プレッシャローラを、媒体を搬送フィードローラに押し付ける位置からステージから退避する位置まで移動させる搬送プレッシャローラ移動手段と、前記幅寄せ搬送プレッシャローラを、媒体を幅寄せフィードローラに押し付ける位置からステージから退避する位置まで移動させる幅寄せプレッシャローラ移動手段とを備えた媒体処理装置である。
【0006】請求項2にかかる発明は、上述した請求項1にかかる発明において、前記搬送プレッシャローラ移動手段として、搬送プレッシャローラを、媒体を搬送フィードローラに押し付ける位置に移動させる形状とステージから退避する位置に移動させる形状を持つ第1のカムを備え、前記幅寄せプレッシャローラ移動手段として、幅寄せプレッシャローラを媒体を幅寄せフィードローラに押し付ける位置に移動させる形状とステージから退避する位置に移動させる形状を持つ第2のカムを備え、前記第1のカムと第2のカムの間で駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、前記駆動力伝達手段に駆動力を与える駆動手段とを備えた媒体処理装置である。
【0007】請求項3にかかる発明は、上述した請求項2にかかる発明において、搬送フィードローラと幅寄せフィードローラを駆動する搬送駆動手段と、前記搬送駆動手段からの駆動力の伝達経路を、搬送フィードローラか幅寄せフィードローラかのどちらかに切り換える駆動力切り換え手段と、前記駆動力切り換え手段を作動させる駆動力切り換えカムとを備え、前記駆動力切り換えカムは、前記第1のカムと第2のカムの間で駆動力を伝達する前記駆動力伝達手段につなげ、前記駆動手段により駆動力を受けることとした媒体処理装置である。
【0008】請求項4にかかる発明は、上述した請求項1、2または3にかかる発明において、前記幅寄せフィードローラは、円周面の一部に媒体を搬送する力を発生する高摩擦部材を設け、その他の円周面は低摩擦部材で構成した媒体処理装置である。請求項5にかかる発明は、上述した請求項4にかかる発明において、前記高摩擦部材は、幅寄せフィードローラの円周面上の対向する2か所に設けた媒体処理装置である。
【0009】請求項6にかかる発明は、上述した請求項4または5にかかる発明において、前記高摩擦部材の位置を管理する位置管理手段を備え、幅寄せフィードローラを停止させる時は、高摩擦部材が媒体に接触しない位置に退避したとき停止させることとした媒体処理装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の媒体処理装置(以下、通帳伝票プリンタと称す)の実施の形態を説明するにあたり、まず、通帳伝票プリンタの全体構成を説明する。図2は通帳伝票プリンタの外観斜視図で、本発明の通帳伝票プリンタの外観構造の実施の形態の一例を示す。まず、この図2を用いて通帳伝票プリンタの外側から見た構成を説明する。
【0011】図において、1は通帳伝票プリンタである。この通帳伝票プリンタ1は、その正面側に、種類の異なる媒体を受け入れるため、2段のステージが設けてある。ここでは、上の段が媒体の中の伝票等を受け入れるための伝票ステージ2で、下の段が媒体の中の通帳等を受け入れるための通帳ステージ3である。4はオペレータが操作をボタン等が設けられた操作部である。
【0012】図3は通帳伝票プリンタの概略構成図で、本発明の通帳伝票プリンタ内部の全体構造の実施の形態の一例を示している。次に、この図3を用いて通帳伝票プリンタ全体の内部構造の概略について説明する。5は通帳伝票プリンタ1内の正面側に実装されるインサータユニットである。このインサータユニット5は、オペレータによる通帳や伝票等の媒体のセットを受け、セットされた媒体を取り込んだり、処理の終了した媒体を排出する機能等を備える。
【0013】6は前記インサータユニット5に続いて該インサータユニット5の後ろ側に実装される印字ユニットである。この印字ユニット6は、媒体への印字、および印字のための印字済行の検出等の機能を備える。7は前記印字ユニット6に続いて該印字ユニット6の後ろ側に実装されるオートターンページ(ATP)ユニットである、このATPユニット7は、取り扱う媒体のうち、通帳のページめくりを行う機能を有する。
【0014】次に、インサータユニット5の説明を行う。10は媒体を搬送する搬送フィードローラ、11は前記搬送フィードローラ10に媒体を押し付ける搬送プレッシャローラである。伝票ステージ2および通帳ステージ3において、搬送フィードローラ10は、各ステージのそれぞれ上面ガイド12側に設けられ、該搬送フィードローラ10の円周面の一部が、この上面ガイド12のガイド面から突出している。伝票ステージ2においては、搬送フィードローラ10は、媒体の搬送方向に沿った方向に対しては例えば1組、搬送方向に直交する方向に対しては例えば3個設けられている。また、通帳ステージ3においては、搬送フィードローラ10は、媒体の搬送方向に沿った方向に対しては例えば2組、搬送方向に直交する方向に対しては例えば3個設けられている。
【0015】伝票ステージ2および通帳ステージ3において、搬送プレッシャローラ11は、各ステージのそれぞれ下面ガイド13側に設けられる。この搬送プレッシャローラ11の配置としては、搬送フィードローラ10と1対1で対応する位置とする。また、搬送プレッシャローラ11は、下面ガイド13のガイド面から突出して媒体を搬送フィードローラ10に押し付ける位置から、下面ガイド13のガイド面から退避する位置まで移動する機構を備える。
【0016】14は媒体を後述する基準面に突き当てるための搬送を行う幅寄せフィードローラ、15は前記幅寄せフィードローラ14に媒体を押し付ける幅寄せプレッシャローラである。伝票ステージ2および通帳ステージ3において、幅寄せフィードローラ14は、各ステージのそれぞれ上面ガイド12側に設けられ、該幅寄せフィードローラ14の円周面の一部が、この上面ガイド12のガイド面から突出している。各ステージにおいて、幅寄せフィードローラ14は、例えば1個設けられている。この幅寄せフィードローラ14の構造の詳細については、後述する。
【0017】伝票ステージ2および通帳ステージ3において、幅寄せプレッシャローラ15は、各ステージのそれぞれ下面ガイド13側に設けられる。この幅寄せプレッシャローラ15の配置としては、幅寄せフィードローラ14と1対1で対応する位置とする。また、幅寄せプレッシャローラ15は、下面ガイド13のガイド面から突出して媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付ける位置から、下面ガイド13のガイド面から退避する位置まで移動する機構を備える。なお、この幅寄せプレッシャローラ14を上下動させる機構の詳細および上述した搬送プレッシャローラ11を上下動させる機構の詳細については後述する。
【0018】16は前記伝票ステージ2による搬送経路と通帳ステージ3による搬送経路の合流点に設けられたブレードで、媒体の搬送方向を切り換える。なお、図示しないが、通帳ステージ3の下面ガイド13側には、磁気ヘッドが設けてある。次に、印字ユニットの説明を行う。
【0019】17は印字ユニット6に設けられた媒体の搬送路で、媒体を搬送する複数の搬送フィードローラ18と、これら搬送フィードローラ18に媒体を押しつける搬送プレッシャローラ19と、媒体をガイドする上下のガイド部20等から構成される。この搬送路17の装置正面側は、前記インサータユニット5のブレード16の部分と繋がり、印字ユニット6で処理の終了した媒体を排出する場合、その媒体の種類に応じてブレード16が作動し、搬送路17を搬送される媒体が伝票ステージ2か通帳ステージ3に送り込まれる。また、ブレード16を作動させて通帳ステージ3と搬送路17を接続しておき、通帳ステージ3にセットされた媒体(通帳)を搬送路17に送り込むか、ブレード16を作動させて伝票ステージ2と搬送路17を接続しておき、伝票ステージ3にセットされた媒体(伝票)を搬送路17に送り込むことができるようになっている。
【0020】21は前記搬送路17に取り込んだ通帳のページマークや印字済行等を読み取る読み取り部である。22は前記搬送路17に取り込んだ通帳や伝票に印字を行う印字ヘッド等を備えた印字部である。なお、前記読み取り部21の方を印字部22より装置正面側に設けてある。次にATPユニットの説明を行う。
【0021】23はATPユニット7に設けられた媒体の搬送路で、媒体を搬送する搬送フィードローラ24と、搬送フィードローラ24に媒体を押しつける搬送プレッシャローラ25と、媒体をガイドする上下のガイド部26等から構成される。この搬送路23の装置正面側は、前記印字ユニット6の搬送路17の装置後ろ側と繋がり、ページめくりが必要と判断された通帳が搬送路17から送り込まれ、ページめくりの終わった通帳を搬送路17に送り込む。
【0022】27は通帳のページめくりを行うはね上げローラ、28はこのはね上げローラ27に対向配置されたプレッシャローラである。次に、本発明の通帳伝票プリンタの詳細を説明する。図1は通帳伝票プリンタのインサータユニットの要部説明図で、本発明の通帳伝票プリンタのインサータユニットの実施の形態の一例を示している。この図1は、インサータユニットのステージ部分の平面図である。なお、図1(a)は通帳ステージ3の下面ガイド13を上から見た平面図、図1(b)は通帳ステージ3の上面ガイド12を下から見た平面図、図1(c)は通帳ステージ3の側面図である。なお、図1は通帳ステージ3を例に示すが、伝票ステージ2も搬送フィードローラ10および搬送プレッシャローラ11の数以外は同様の構成を有する。
【0023】搬送フィードローラ10は、通帳ステージ3において、矢印Aで示す方向に媒体を搬送するもので、この搬送フィードローラ10は、通帳ステージ3においては、媒体搬送方向(矢印A方向)に対して直交する方向に所定の間隔を開けて2個設けてある。搬送プレッシャローラ11は、個々の搬送フィードローラ10に対応して設けてあり、媒体を搬送フィードローラ10に押し付けるものである。
【0024】幅寄せフィードローラ14は、通帳ステージ3において、矢印Bで示す方向(媒体搬送方向と直交する方向)に媒体を搬送するもので、この幅寄せフィードローラ14は、通帳ステージ3においては、搬送フィードローラ10の手前側に1個設けてある。幅寄せプレッシャローラ15は、前記幅寄せフィードローラ14に対応して設けてあり、媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付けるものである。
【0025】30は右基準面、31は左基準面である。これら右基準面30および左基準面31は、通帳ステージ3における媒体搬送方向に対して左右両側に設けられるもので、下面ガイド13と上面ガイド12の左右両端にそれぞれ壁面を形成して、媒体の側面を右基準面30か左基準面31のいずれかに突き当てた状態で搬送できるようにしたものである。
【0026】32a,32bは右基準面30の近傍に設けた右幅寄せ検知センサである。この右幅寄せ検知センサ32a,32bは、上面ガイド12側に例えば発光素子、これに対応して下面ガイド13側に受光素子を設けてなるもので、受光素子への光の到来の有無で媒体の有無を検知する。右幅寄せ検知センサ32a,32bの搬送方向の位置関係は、一方の右幅寄せ検知センサ32aは、搬送フィードローラ10および搬送プレッシャローラ11より手前に設け、他方の右幅寄せ検知センサ32bは、搬送フィードローラ10および搬送プレッシャローラ11の奥に設ける。
【0027】33a,33bは左基準面31の近傍に設けた左幅寄せ検知センサである。この左幅寄せ検知センサ33a,33bは、右幅寄せ検知センサ32a,32bと同様に、上面ガイド12側に例えば発光素子、これに対応して下面ガイド13側に受光素子を設けてなるもので、受光素子への光の到来の有無で媒体の有無を検知する。左幅寄せ検知センサ33a,33bの搬送方向の位置関係は、一方の左幅寄せ検知センサ33aは、搬送フィードローラ10および搬送プレッシャローラ11より手前に設け、他方の左幅寄せ検知センサ33bは、搬送フィードローラ10および搬送プレッシャローラ11の奥に設ける。
【0028】34a,34bは挿入検知センサである。この挿入検知センサ34a,34bは、上面ガイド12側に例えば発光素子、これに対応して下面ガイド13側に受光素子を設けてなるもので、受光素子への光の到来の有無で媒体の有無を検知する。挿入検知センサ34a,34bの搬送方向の位置関係は、一方の挿入検知センサ34aは、搬送フィードローラ10および搬送プレッシャローラ11より手前に設け、他方の挿入検知センサ34bは、搬送フィードローラ10および搬送プレッシャローラ11の奥に設ける。
【0029】次に、上述した本実施の形態のインサータユニットの詳細を説明して行く。図4は幅寄せフィードローラの構造を示す説明図で、図4(a)は幅寄せフィードローラの正面図、図4(b)は幅寄せフィードローラの側面図である。35は幅寄せフィードローラ14に設けたゴムチップである。このゴムチップ35は、幅寄せフィードローラ14の円周面上の対向する2か所に、該幅寄せフィードローラ14の円周面からゴム部分が突出するように設けてある。幅寄せフィードローラ14は摩擦係数の低い材質で形成されているので、該幅寄せフィードローラ14の円周面は摩擦係数が低い。これに対して、ゴムチップ35は幅寄せフィードローラ14に対して摩擦係数が高いものである。よって、幅寄せプレッシャローラ15で媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付けた状態で該幅寄せフィードローラ14が回転したとき、主としてこのゴムチップ35の部分で搬送力を発生するようにしてある。
【0030】36は幅寄せフィードローラ14の円周面の両側端に形成したテーパ部である。幅寄せフィードローラ14は、図1で説明したように、媒体の搬送方向に対して、直交する方向に向いている。このため、搬送フィードローラ10による媒体搬送時に、媒体の端部が幅寄せフィードローラ14に引っ掛からないように、該幅寄せフィードローラ14の円周面の両側端にはテーバ部36を設けておく。
【0031】図5は幅寄せフィードローラと上面ガイドとの関係を示す説明図である。幅寄せフィードローラ14は、常時上面ガイド12のガイド面から突出した状態となっており、上面ガイド12のガイド面から幅寄せフィードローラ14の円周面のゴムチップ35を設けていない部分までの高さが、上面ガイド12のガイド面から搬送フィードローラ10の円周面までの高さと同じとしてある。
【0032】そして、搬送フィードローラ10による媒体搬送時や、オペレータによる媒体挿入、あるいは取り出し時に、ゴムチップ35の部分に媒体が引っ掛かると、媒体の搬送の妨げになったり、媒体を汚す可能性等があるため、ゴムチップ35の部分が退避した状態を作りだす必要がある。このため、幅寄せフィードローラ14の円周面上の対向する2箇所にゴムチップ35を設けることとし、幅寄せフィードローラ14の円周方向の長さの内、ゴムチップ35が占める割合を、それぞれ、おおよそ15°〜30°の範囲に収まるようにした場合に、幅寄せフィードローラ14と上面ガイド12の高さ方向の位置関係は、幅寄せフィードローラ14をゴムチップ35が水平な状態で停止させたとき、このゴムチップ35が上面ガイド12のガイド面から突出しないような位置関係として、ゴムチップ35が退避した状態と作りだしている。
【0033】そして、幅寄せフィードローラ14をゴムチップ35が水平な状態としたときを、幅寄せフィードローラ14のホームポジションとし、該幅寄せフィードローラ14による幅寄せ動作時以外は、幅寄せフィードローラ14はこのホームポジションで停止させておく。すなわち、搬送フィードローラ10による媒体搬送時や、オペレータによる媒体挿入、あるいは取り出し時に、ゴムチップ35の部分に媒体が引っ掛かると、媒体の搬送の妨げになったり、媒体を汚す可能性等があるため、幅寄せフィードローラ14による幅寄せ動作時以外は、幅寄せフィードローラ14はこのホームポジションで停止させておくことで、ゴムチップ35が上面ガイド12のガイド面から突出しないようにしておく。幅寄せフィードローラ14は、上述したように、ゴムチップ35の部分以外は摩擦係数の低い材質で形成されており、その形状は、円周面の両側端にテーパ部を設けてあるので、該幅寄せフィードローラ14をホームポジションとしておけば、搬送フィードローラ10による媒体搬送時や、オペレータによる媒体挿入、あるいは取り出し時に、その動作の妨げになることはない。
【0034】そして、幅寄せフィードローラ14にゴムチップ35を設けておくことで、該幅寄せフィードローラ14による幅寄せ動作時には、ゴムチップ35の部分が媒体に接したときに、必要十分な搬送力が発生し、媒体を移動することができるようになっている。なお、ゴムチップ35の数は、2個に限るものではないが、3個以上設けた場合は、ゴムチップ35が退避した状態を作り出すために、幅寄せフィードローラ14の停止位置精度や、幅寄せフィードローラ14の上面ガイド12のガイド面からの突出量と、ゴムチップ35の部分の幅寄せフィードローラ14の円周面からの突出量の精度を高める必要があり、コストアップにつながる。また、ゴムチップ35を幅寄せフィードローラ14の円周面上の対向する2箇所に設けておくことで、幅寄せフィードローラ14が1回転する間に均等なタイミングで2度、ゴムチップ35が媒体と接触することになり、媒体を短時間で移動させることができるようになるとともに、薄い媒体の場合に、必要以上の搬送力が生じない。このように、ゴムチップ35は、幅寄せフィードローラ14の円周面上の対向する2箇所に設けることが望ましい。
【0035】図6は上述した幅寄せフィードローラの位置を管理する機構の一例を示す説明図である。37はスリットディスクである。このスリットディスク37は、幅寄せフィードローラ14の駆動軸に設けられ、幅寄せフィードローラ14とスリットディスク37は同期して回転する。このスリットディスク37は、対向する位置に2枚の羽部38を持った形状である。39はセンサで、このセンサ39はスリットディスク37の羽部38を検知する。そして、幅寄せフィードローラ14とスリットディスク37は、このセンサ39が羽部38を検知したとき、幅寄せフィードローラ14がホームポジションとなるような位置関係となっており、回転している幅寄せフィードローラ14を停止させる場合、センサ39が羽部38を検知すると幅寄せフィードローラ14の回転を停止させることで、該幅寄せフィードローラ14はホームポジションで停止する。なお、ゴムチップ35が円周面上の対向する2か所に設けてあるので、スリットディスク37も羽部38を対向する位置に2枚設けておくことで、いずれの羽部38をセンサ39で検知したときも、幅寄せフィードローラ14はホームポジションであり、幅寄せフィードローラ14が1回転する間に2度ホームポジションを検知できるタイミングがあるので、回転している幅寄せフィードローラ14を停止させる必要が生じたとき、必要以上に幅寄せフィードローラ14を回転させずに、ホームポジションで停止させることができる。
【0036】次に、搬送プレッシャローラと幅寄せプレッシャローラの支持機構について説明する。図7は搬送プレッシャローラおよび幅寄せプレッシャローラの支持機構を示す斜視図である。なお、この図7は通帳ステージ3側を用いて説明するが、伝票ステージ2も、搬送フィードローラ10と搬送プレッシャローラ11の数以外は同様の構成を有する。
【0037】搬送プレッシャローラ11は、それぞれ板バネ40を介して支持シャフト41に取り付けられている。支持シャフト41は、図示しないフレームに回転自在に支持される。前記板バネ40の一方の端部は、支持シャフト41に対して固定してある。また、この板バネ40の他方の端部に、搬送プレッシャローラ11が回転自在に取り付けられており、支持シャフト41の回転により、2個の搬送プレッシャローラ11が同期して上下動可能となるとともに、板バネ40のたわみにより、2個の搬送プレッシャローラ11はそれぞれ媒体を搬送フィードローラ10に押し付け、かつ、2個の搬送プレッシャローラ11は独立してそれぞれ板バネ40により支持シャフト40に取り付けられているので、2個の搬送プレッシャローラ11は独立して媒体に追従可能となっている。
【0038】幅寄せプレッシャローラ15は、アーム42を介して支持シャフト41に取り付けられている。このアーム42の一方の端部は、支持シャフト41に対して回転自在に取り付けられており、支持シャフト41の回転と同期する板バネ40とは独立して動作可能となる。よって、搬送プレッシャローラ11と幅寄せプレッシャローラ15は、独立して媒体に接触あるいは非接触を切り替えることができるようになる。
【0039】前記幅寄せプレッシャローラ15は、ブラケットアッセンブリ43を介してアーム42に取り付けてある。図8はブラケットアッセンブリの説明図で、図8(a)は薄い媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付けた状態、図8(b)は厚い媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付けた状態を示す。
【0040】ブラケットアッセンブリ43は、幅寄せプレッシャローラ15を回転自在かつ、プリテンションをかけた状態で支持する。その構造としては、幅寄せプレッシャローラ15をシャフト44に対して回転自在に取り付け、このシャフト44を支持する溝45を有するブラケット46に、該シャフト44が溝45に入るように幅寄せプレッシャローラ15を取り付け、かつ、シャフト44をバネ47により押し上げた状態としたものである。そして、図8(a)に示すように、薄い媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付けた状態では、バネ47の変形量は少なく、媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付ける力を弱くして、幅寄せ動作時の媒体の変形を防ぐ。これに対して、図8(b)に示すように、厚い媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付けた状態では、バネ47の変形量は多く、媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付ける力を強くして、幅寄せ動作時に確実に媒体を移動できるようにする。このように、媒体の厚みに応じて、最適な押し付け力が得られるようになっている。
【0041】図7に戻り全体説明を行う。前記アーム42には、幅寄せプレッシャローラ上下動用ピン48が設けられている。また、支持シャフト41にはブラケット49が固定され、このブラケット49には、搬送プレッシャローラ上下動用ピン50が設けられている。51は第1のカムである。この第1のカム51は、前記搬送プレッシャローラ上下動用ピン50に接している。これに対して、第2のカム52は、前記幅寄せプレッシャローラ上下動用ピン48に接している。そして、第1のカム51と第2のカム52は、切り換えシャフト53に固定され、該切り換えシャフト53が回転すると、第1のカム51と第2のカム52は共に回転する。
【0042】54はDCモータで、このDCモータ54からギヤ列55を介して切り換えシャフト53に駆動力が伝達され、DCモータ54が駆動されて回転すると、切り換えシャフト53が回転する。図9は第1のカムと第2のカムの形状を示す説明図である。第1のカム51と第2のカム52は、それぞれ中心、ここでは切り換えシャフト53からの半径が短い部分と中心からの半径が長い部分を有するカム面を持つ。
【0043】第1のカム51において、図9(a)に示すように、前記搬送プレッシャローラ上下動用ピン50が中心からの半径が短い部分で接しているとき、搬送プレッシャローラ11は下がって下面ガイド13のガイド面から退避した状態となる。以後、第1のカム51の中心からの半径が短い部分を、搬送POFF領域とする。
【0044】これに対して、図9(b)に示すように、搬送プレッシャローラ上下動用ピン50が中心からの半径が長い部分で接しているとき、搬送プレッシャローラ11は押し上げられて下面ガイド13のガイド面から突出し、媒体を搬送フィードローラ10に押し付け可能な状態となる。以後、第1のカム51の中心からの半径が長い部分を、搬送PON領域とする。
【0045】第2のカム52において、図9(c)に示すように、前記幅寄せプレッシャローラ上下動用ピン48が中心からの半径が短い部分で接しているとき、幅寄せプレッシャローラ15は下がって下面ガイド13のガイド面から退避した状態となる。以後、第2のカム52の中心からの半径が短い部分を、幅寄せPOFF領域とする。
【0046】これに対して、図9(d)に示すように、幅寄せプレッシャローラ上下動用ピン48が中心からの半径が長い部分で接しているとき、幅寄せプレッシャローラ15は押し上げられて下面ガイド13のガイド面から突出し、媒体を幅寄せフィードローラ14に押し付け可能な状態となる。以後、第2のカム52の中心からの半径が長い部分を、幅寄せPON領域とする。
【0047】図10は第1のカムと第2のカムの関係を示す説明図である。この図10において、第1のカム51は実線で示し、第2のカム52は破線で示している。第1のカム51と第2のカム52は、中心からの半径が短い部分と長い部分の位置関係をずらしてある。これにより、搬送POFFと幅寄せPOFFが重なる領域と、搬送POFFと幅寄せPONが重なる領域と、搬送PONと幅寄せPOFFが重なる領域と、搬送PONと幅寄せPONが重なる領域の4つの状態を存在させてある。以後、搬送POFFと幅寄せPOFFが重なる領域を搬送POFF/幅寄せPOFF、搬送POFFと幅寄せPONが重なる領域を搬送POFF/幅寄せPON、搬送PONと幅寄せPOFFが重なる領域を搬送PON/幅寄せPOFF、搬送PONと幅寄せPONが重なる領域を搬送PON/幅寄せPONと称す。
【0048】図11は第1のカムと第2のカムの位置を管理する機構の説明図である。56はスリットディスクで、このスリットディスク56は、切り換えシャフト53に固定されており、第1のカム51および第2のカム52と同期して回転する。このスリットディスク56は、切り換えシャフト53の位置が、上述した搬送POFF/幅寄せPOFFの状態か、搬送POFF/幅寄せPONの状態か、搬送PON/幅寄せPOFFの状態か、搬送PON/幅寄せPONの状態のいずれにあるかを検知するための4本のスリット56a,56b,56c,56dと、間隔の短いスリット56eを設けてある。
【0049】57はセンサで、このセンサ57はスリットディスク56のスリット56a〜56dとスリット56eを検知する。第1のカム51および第2のカム52とスリットディスク56は、このセンサ57がスリット56aを検知したとき、搬送PON/幅寄せPONの状態、スリット56bを検知したとき、搬送PON/幅寄せPOFFの状態、スリット56cを検知したとき、搬送POFF/幅寄せPOFFの状態、スリット56dを検知したとき、搬送POFF/幅寄せPONの状態となるような位置関係となっている。そして、前記スリット56eの間隔は、他のスリット56a〜56dの間隔より狭いので、センサ57の出力からこのスリット56eを認識し、このスリット56eを検出してからのスリット56a〜56dを検出した数で、切り換えシャフト53の位置管理を行い、これにより、搬送プレッシャローラ11と幅寄せプレッシャローラ15を状況に応じて出し入れする。
【0050】上述したスリットディスク56を用いた切り換えシャフト53の位置管理は、例えば、スリットディスク56を矢印C方向に回転させたとき、スリット56eを検出した後、1つめのスリット、すなわち、スリット56aを検知すると、搬送PON/幅寄せPONの状態、2つめのスリット、すなわち、スリット56bを検知すると、搬送PON/幅寄せPOFFの状態、3つめのスリット、すなわち、スリット56cを検知すると、搬送POFF/幅寄せPOFFの状態、4つめのスリット、すなわち、スリット56dを検知すると、搬送POFF/幅寄せPONの状態であると認識する。
【0051】なお、図3で説明した通帳ステージ3のように、搬送プレッシャローラ11が搬送方向に2組設けられている場合は、DCモータ54は共用とし、このDCモータ54の駆動力を伝達する機構等を設けて、2組の搬送プレッシャローラを同期させて上下動できるようにする。次に、搬送フィードローラと幅寄せフィードローラの駆動機構について説明する。図12は駆動力切り換え機構を示す説明図である。
【0052】60は搬送ギヤで、この搬送ギヤ60は、搬送フィードローラ10と、シャフトやギヤ列等を介してつながっている。61は幅寄せギヤで、この幅寄せギヤ61は、幅寄せフィードローラ14と、シャフトやギヤ列等を介してつながっている。62はスライドギヤで、このスライドギヤ62は、ガイドシャフト63に沿ってスライドし、前記搬送ギヤ60と幅寄せギヤ61のどちらか一方とかみ合うもので、図12に実線で示す位置にあって幅寄せギヤ61にかみ合うか、図12に破線で示す位置にあって搬送ギヤ60とかみ合う。
【0053】64はモータギヤで、このモータギヤ64は、前記スライドギヤ62と常時かみ合う。そして、このモータギヤ64に、カウンタギヤ65やピニオンギヤ66を経てパルスモータ67の駆動力が伝達される。68は駆動力切り換えカムで、この駆動力切り換えカム68は、前記切り換えシャフト53に取り付けられている。この駆動力切り換えカム68は、側面に斜面設けてなるカムである。アーム69は、その一端がこの駆動力切り換えカム68の斜面に接し、他端はスライドギヤ62を移動かつ回転可能な状態で該スライドギヤ62に接続している。前記アーム69は、シャフト70を支点として回転可能で、バネ71により、アーム69の一端が、常に駆動力切り換えカム68に接するようにしてある。これにより、駆動力切り換えカム68が回転することで、アーム69はその一端が駆動力切り換えカム68の斜面によって変位することでシャフト70を支点に回転する。そして、アーム69の他端によりスライドギヤ62が動かされ、該スライドギヤ62は搬送ギヤ60か幅寄せギヤ61にかみ合う。これにより、パルスモータ67からの駆動力を、搬送フィードローラ10か幅寄せフィードローラ14のいずれかに伝達されるように切り替えることができるので、搬送フィードローラ10と幅寄せフィードローラ14の駆動源を共用化できる。なお、幅寄せフィードローラ14と搬送フィードローラ10は回転軸の方向が異なるので、駆動力の伝達経路に傘歯車を入れてある。
【0054】上述したように、前記駆動力切り換えカム68は、切り換えシャフト53に固定されている。この切り換えシャフト53には、上述したように第1のカム51と第2のカム52が取り付けられているので、搬送プレッシャローラ11と幅寄せプレッシャローラ15の上下動と、搬送フィードローラ10と幅寄せフィードローラ14の駆動力の切り換えを連動させ、これを1つの駆動源、ここではDCモータ54で行うことができる。
【0055】以下に、搬送用プレッシャローラと幅寄せ用プレッシャローラの上下動と、搬送用フィードローラと幅寄せ用フィードローラの駆動力の切り替えの関係を説明する。第1のカムおよび第2のカムにより、搬送POFF/幅寄せPOFFの状態では、スライドギヤ62は搬送ギヤ60にかみ合う位置に駆動力切り換えカム68により移動しており、搬送POFF/幅寄せPOFFの状態では搬送フィードローラ10側に駆動力が伝達される。
【0056】搬送PON/幅寄せPOFFの状態でも、スライドギヤ62は搬送ギヤ60にかみ合位置に駆動力切り換えカム68により移動しており、搬送PON/幅寄せPOFFの状態でも搬送フィードローラ10側に駆動力が伝達される。搬送POFF/幅寄せPONの状態では、スライドギヤ62は幅寄せギヤ61にかみ合う位置に駆動力切り換えカム68により移動しており、搬送POFF/幅寄せPONの状態では幅寄せフィードローラ14側に駆動力が伝達される。
【0057】搬送PON/幅寄せPONの状態では、搬送フィードローラ10と幅寄せフィードローラ14のいずれも駆動しないので、切り換えシャフト53の回転方向により、スライドギヤ62のかみ合わせ相手が搬送ギヤ60から幅寄せギヤ61に切り替わる段階か、幅寄せギヤ61から搬送ギヤ60に切り替わる段階となるようにしてある。
【0058】次に、本実施の形態の通帳伝票プリンタの制御系を説明する。図13は通帳伝票プリンタの制御ブロック図である。なお、この図13に示す制御ブロックはインサータユニットの制御ブロックを中心に記載してある。80は主制御部であり、この主制御部80により、図2で説明したインサータユニット5、印字ユニット6、ATPユニット7が制御される。なお、印字ユニット6とATPユニット7の詳細についてはここでは図示しない。
【0059】インサータユニット5においては、この主制御部80に、通帳ステージ3側の右幅寄せ検知センサ32a,32b、左幅寄せ検知センサ33a,33b、挿入検知センサ34a,34b、DCモータ54、パルスモータ67、センサ39、センサ57と、伝票ステージ3側の右幅寄せ検知センサ32a,32b、左幅寄せ検知センサ33a,33b、挿入検知センサ34a,34b、DCモータ54、パルスモータ67、センサ39、センサ57等が接続してある。
【0060】以下に、本実施の形態のインサータユニットの動作を説明する。なお、以下の説明も通帳ステージ3側を例に説明するが、伝票ステージ2側でも同じ動作を行う。また、図1において媒体(通帳)を右基準面30に突き当てた状態で処理を行う場合を例に説明する。オペレータが媒体を通帳ステージ3にセットしたことにより、主制御部80は、吸入検知センサ34a,34bの両方のONを検知すると、媒体がセットされたものと判断する。なお、吸入検知センサを2か所設けたのは、吸入検知センサが一つであると、指等を検知して誤作動することを防ぐためである。
【0061】主制御部80は、媒体がセットされたと判断すると、右幅寄せ検知センサ32a,32bの出力を監視し、媒体が右基準面30に突き当てられているか判断する。主制御部80は、右幅寄せ検知センサ32a,32bの両方がONの場合は、媒体が右基準面30に突き当てられているものと判断する。なお、幅寄せ検知センサを搬送方向に2個設けたのは、斜行を検知できるようにするためであり、搬送方向前後の幅寄せ検知センサがONであれば、媒体は真っ直ぐに基準面に突き当てられ、位置が合っていると判断する。
【0062】媒体が右基準面30に突き当てられているものと判断すると、主制御部80は、センサ57の出力を監視し、スリット56eを検出してからのスリット56a〜56dの検出数から、搬送POFF/幅寄せPOFFの状態から搬送PON/幅寄せPOFFの状態となるまで、DCモータ54を回転させる。主制御部80はセンサ57の出力から搬送PON/幅寄せPOFFの状態となったと判断すると、DCモータ54を停止させる。搬送PON/幅寄せPOFFの状態では、搬送プレッシャローラ11により媒体は搬送フィードローラ10に押しつけられ、かつ、スライドギヤ62は搬送ギヤ60にかみ合い、パルスモータ67の駆動力は搬送フィードローラ10側に伝達されるようになっている。
【0063】次に、主制御部80はパルスモータ67を正転させて、搬送フィードローラ10を取り込み方向に回転させ、媒体を取り込み、後段の印字ユニット6に送り込む。なお、媒体搬送時の搬送PON/幅寄せPOFFの状態では、幅寄せプレッシャローラ15は下面ガイド13のガイド面から退避した状態であり、媒体が幅寄せフィードローラ14に押し付けられることはない。また、幅寄せフィードローラ14は、幅寄せ動作時以外は図5で説明したように、ゴムチップ35が上面ガイド12のガイド面から退避した位置で停止しているので、ゴムチップ35が搬送時の媒体に接触し、搬送の妨げになることはない。
【0064】主制御部80は、媒体がセットされたと判断したときに、右幅寄せ検知センサ32a,32bの少なくとも一方のセンサがOFFだった場合は、センサ57の出力を監視しながら搬送POFF/幅寄せPONの状態となるまで、DCモータ54を回転させる。主制御部80はセンサ57の出力から搬送POFF/幅寄せPONの状態となったと判断すると、DCモータ54を停止させる。搬送POFF/幅寄せPONの状態では、幅寄せプレッシャローラ15により媒体は幅寄せフィードローラ14に押し付けられ、かつ、スライドギヤ62が移動して幅寄せギヤ61にかみ合い、パルスモータ67の駆動力は幅寄せフィードローラ14側に伝達されるようになる。
【0065】次に、主制御部80はパルスモータ67を正転させる。上述したように、搬送POFF/幅寄せPONの状態では、幅寄せプレッシャローラ15により媒体は幅寄せフィードローラ14に押し付けられ、かつ、スライドギヤ62は幅寄せギヤ61にかみ合い、パルスモータ67の駆動力は幅寄せフィードローラ14側に伝達されるようになっているので、幅寄せフィードローラ14が回転することで、媒体を右基準面30方向に移動させる。幅寄せフィードローラ14は、図4で説明したように、ゴムチップ35が円周面上の対向する2か所に設けてあるので、このゴムチップ35の部分が媒体に接触したとき、主として搬送力が発生し、媒体を移動させる。そして、主制御部80は、右幅寄せ検知センサ32a,32bの両方がONとなると、センサ39の出力から複数回、ここでは2回羽部38を検知すると、この2回目の検知時にパルスモータ67の駆動を停止させる。このパルスモータ67の停止時、センサ39が羽部38を検知しているので、幅寄せフィードローラ14は図5に示すホームポジションの状態で停止する。
【0066】このように、幅寄せ動作時に右幅寄せ検知センサ32a,32bの両方がONとなってから、複数回、例えば2回羽部38をセンサ39が検知するだけ幅寄せフィードローラ14の回転を続けると、少なくとも1回はゴムチップ35が媒体に接触する。これにより、厚みのある媒体であっても、確実に右基準面30に突き当てることができる。なお、媒体が伝票のような薄いものである場合、幅寄せフィードローラ14はゴムチップ35の部分以外は搬送力が弱いので、媒体を傷めることはない。
【0067】次に、主制御部80は、センサ57の出力を監視しながら、搬送PON/幅寄せPOFFの状態となるまで、DCモータ54を回転させる。主制御部80はセンサ57の出力から搬送PON/幅寄せPOFFの状態となったと判断すると、DCモータ54を停止させる。搬送PON/幅寄せPOFFの状態では、搬送プレッシャローラ11により媒体は搬送フィードローラ10に押しつけられ、かつ、スライドギヤ62は搬送ギヤ60にかみ合い、パルスモータ67の駆動力は搬送フィードローラ10側に伝達されるようになっている。
【0068】次に、主制御部80はパルスモータ67を正転させて、搬送フィードローラ10を取り込み方向に回転させ、媒体を取り込み、後段の印字ユニット6に送り込む。主制御部80は、媒体を印字ユニット6に送り込んだ後は、インサータユニット5においては搬送PON/幅寄せPOFFの状態を保持し、媒体排出時は、パルスモータ67を逆転させて、媒体を排出する。そして、主制御部80は、媒体が所定位置まで搬送されたと判断すると、センサ57の出力を監視しながら搬送POFF/幅寄せPOFFの状態となるまで、DCモータ54を回転させる。主制御部80はセンサ57の出力から搬送POFF/幅寄せPOFFの状態となったと判断すると、DCモータ54を停止させる。このように、搬送POFF/幅寄せPOFFとすることで、いずれのプレッシャローラによっても媒体はフィードローラに押し付けられなくなり、オペレータは媒体を抜き取ることが可能となる。
【0069】なお、上述した動作の説明では、右基準面30に媒体を突き当てる動作を説明したが、左基準面31に媒体を突き当てる場合は、主制御部80は、左幅寄せ検知センサ33a,33bの出力を監視しながら、幅寄せが必要な場合、幅寄せフィードローラ14の回転方向を、媒体が左基準面31方向に搬送される方向とする以外は、同様である。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ステージにセットされた媒体を基準面方向に搬送する幅寄せフィードローラと、前記幅寄せフィードローラに媒体を押し付ける幅寄せプレッシャローラとを備えて、媒体を基準面に突き当てて位置合わせをする幅寄せをローラで行うこととしたので、少ないスペースで幅寄せ動作のための機構を設置でき、これにより、インサータ部を小型にできる。
【0071】また、搬送プレッシャローラを、媒体を搬送フィードローラに押し付ける位置に移動させる形状とステージから退避する位置に移動させる形状を持つ第1のカムと、幅寄せプレッシャローラを、媒体を幅寄せフィードローラに押し付ける位置に移動させる形状とステージから退避する位置に移動させる形状を持つ第2のカムを備え、前記第1のカムと第2のカムの間で駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、前記駆動力伝達手段に駆動力を与える駆動手段とを備えたので、搬送プレッシャローラの上下動と幅寄せプレッシャローラの上下動を1つの駆動源で実現でき、インサータ部を小型にできる。
【0072】さらに、搬送フィードローラと幅寄せフィードローラを駆動する搬送駆動手段と、前記搬送駆動手段からの駆動力の伝達経路を、搬送フィードローラか幅寄せフィードローラかのどちらかに切り換える駆動力切り換え手段と、前記駆動力切り換え手段を作動させる駆動力切り換えカムとを備え、前記駆動力切り換えカムは、前記第1のカムと第2のカムの間で駆動力を伝達する前記駆動力伝達手段につなげ、前記駆動手段により駆動力を受けることとしたので、1つの駆動源で、搬送フィードローラと幅寄せフィードローラを選択的に駆動でき、かつ、この駆動力伝達経路の切り換えを、搬送プレッシャローラの上下動と幅寄せプレッシャローラの上下動を行う駆動源と共用化したので、インサータ部を小型にできる。
【0073】このように、インサータ部を小型にすることで、媒体処理装置全体の小型化を図ることが可能となるものである。また、幅寄せ動作をローラで行うにあたり、前記幅寄せフィードローラは、円周面の一部に媒体を搬送する力を発生する高摩擦部材を設け、その他の円周面は低摩擦部材で構成したことにより、薄い媒体を幅寄せする時には必要以上強い搬送力が発生しないようにし、厚い媒体を幅寄せする時には十分な搬送力が発生するようになり、確実な幅寄せが行える。
【0074】さらに、前記高摩擦部材の位置を管理する位置管理手段を備え、幅寄せフィードローラを停止させる時は、高摩擦部材が媒体に接触しない位置に退避したとき停止させるで、搬送フィードローラによる媒体搬送時や、操作者が媒体をセットする時や取り出す時に、この幅寄せフィードローラの高摩擦部材がその動作の妨げになることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】通帳伝票プリンタのインサータユニットの要部説明図
【図2】通帳伝票プリンタの外観斜視図
【図3】通帳伝票プリンタの概略構成図
【図4】幅寄せフィードローラの構造を示す説明図
【図5】幅寄せフィードローラと上面ガイドとの関係を示す説明図
【図6】幅寄せフィードローラの位置を管理する機構の一例を示す説明図
【図7】搬送プレッシャローラおよび幅寄せプレッシャローラの支持機構を示す斜視図
【図8】ブラケットアッセンブリの説明図
【図9】第1のカムと第2のカムの形状を示す説明図
【図10】第1のカムと第2のカムの関係を示す説明図
【図11】第1のカムと第2のカムの位置を管理する機構の説明図
【図12】駆動力切り換え機構を示す説明図
【図13】通帳伝票プリンタの制御ブロック図
【符号の説明】
【符号の説明】
10 搬送フィードローラ
11 搬送プレッシャローラ
12 上面ガイド
13 下面ガイド
14 幅寄せフィードローラ
15 幅寄せプレッシャローラ
30 右基準面
32a,32b 右幅寄せ検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作者が媒体をセットするステージと、前記ステージにセットされた媒体を搬送する搬送フィードローラと、前記搬送フィードローラに媒体を押し付ける搬送プレッシャローラと、前記搬送フィードローラによる媒体搬送方向に対して、前記ステージの左右両側の少なくとも一方に設けられた基準面と、前記ステージにセットされた媒体を前記基準面方向に搬送する幅寄せフィードローラと、前記幅寄せフィードローラに媒体を押し付ける幅寄せプレッシャローラと、前記搬送プレッシャローラを、媒体を搬送フィードローラに押し付ける位置からステージから退避する位置まで移動させる搬送プレッシャローラ移動手段と、前記幅寄せ搬送プレッシャローラを、媒体を幅寄せフィードローラに押し付ける位置からステージから退避する位置まで移動させる幅寄せプレッシャローラ移動手段とを備えたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】 請求項1において、前記搬送プレッシャローラ移動手段として、搬送プレッシャローラを、媒体を搬送フィードローラに押し付ける位置に移動させる形状とステージから退避する位置に移動させる形状を持つ第1のカムを備え、前記幅寄せプレッシャローラ移動手段として、幅寄せプレッシャローラを媒体を幅寄せフィードローラに押し付ける位置に移動させる形状とステージから退避する位置に移動させる形状を持つ第2のカムを備え、前記第1のカムと第2のカムの間で駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、前記駆動力伝達手段に駆動力を与える駆動手段とを備えたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】 請求項2において、搬送フィードローラと幅寄せフィードローラを駆動する搬送駆動手段と、前記搬送駆動手段からの駆動力の伝達経路を、搬送フィードローラか幅寄せフィードローラかのどちらかに切り換える駆動力切り換え手段と、前記駆動力切り換え手段を作動させる駆動力切り換えカムとを備え、前記駆動力切り換えカムは、前記第1のカムと第2のカムの間で駆動力を伝達する前記駆動力伝達手段につなげ、前記駆動手段により駆動力を受けることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】 請求項1、2または3において、前記幅寄せフィードローラは、円周面の一部に媒体を搬送する力を発生する高摩擦部材を設け、その他の円周面は低摩擦部材で構成したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項5】 請求項4において、前記高摩擦部材は、幅寄せフィードローラの円周面上の対向する2か所に設けたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】 請求項4または5において、前記高摩擦部材の位置を管理する位置管理手段を備え、幅寄せフィードローラを停止させる時は、高摩擦部材が媒体に接触しない位置に退避したとき停止させることを特徴とする媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2000−281234(P2000−281234A)
【公開日】平成12年10月10日(2000.10.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−87292
【出願日】平成11年3月29日(1999.3.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】