説明

媒体搬送装置及び画像形成装置

【課題】搬送部材表面を確実に清掃しつつ寿命を延ばすこと。
【解決手段】媒体(S)の側端が接触して媒体(S)の姿勢を揃える側端揃え部材(3)と、側端揃え部材(3)に向けて斜行して媒体(S)を搬送して媒体(S)の側端を前記側端揃え部材に接触させる斜行搬送部材(Rc)であって、回転駆動する駆動部材(6)と従動部材(8)とを有する前記斜行搬送部材(Rc)と、駆動部材(6)の表面に先端が接触して配置され、駆動部材(6)表面の付着物を除去する除去部材(18)であって、駆動部材(6)の回転方向の下流側に向けて先端が沿う方向に配置された前記除去部材(18)と、を備えた媒体搬送装置(Sk)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置において、媒体を搬送する媒体搬送装置に関して、以下の特許文献1、2に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開平6−161164号公報には、感光体ドラムに用紙を搬送するタイミングローラ(5)に対して、タイミングローラ(5)の回転方向の上流側に向けて接触させるブレード状のクリーニングブレード(15)を設けて、紙粉を掻き落とす技術が記載されている。すなわち、特許文献1記載の技術では、いわゆるドクター方向、カウンター方向にクリーニングブレード(15)を接触させて、タイミングローラ(5)に比較的弱い付着力で付着している紙粉を除去している。
【0004】
特許文献2としての特開平6−211374号公報には、感光体(11)に向けてシート(S)を搬送するレジストローラ対(20)に、回転方向の上流側に向かう方向にブレード状のクリーニング部材(40)を接触させて、上レジストローラ(20)の外周面に付着した紙粉等の異物を掻き取る技術が記載されている。すなわち、特許文献2記載の技術では、いわゆるドクター方向、カウンター方向にクリーニング部材(40)を接触させて、上レジストローラ(20)に付着した紙粉を除去する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−161164号公報(図1、図3)
【特許文献2】特開平6−211374号公報(「0017」〜「0024」、図1〜図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、搬送部材表面を確実に清掃しつつ寿命を延ばすことを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体搬送装置は、
画像が記録される媒体の搬送方向に対して交差する媒体幅方向の一端側に配置され、媒体の側端が接触して媒体の姿勢を揃える側端揃え部材と、
前記媒体搬送方向に対して前記側端揃え部材に向けて斜行して媒体を搬送して前記媒体の側端を前記側端揃え部材に接触させる斜行搬送部材であって、回転駆動する駆動部材と、前記駆動部材に対向して配置された従動部材とを有する前記斜行搬送部材と、
前記駆動部材の表面に先端が接触して配置され、駆動部材表面の付着物を除去する除去部材であって、前記駆動部材の回転方向の下流側に向けて先端が沿う方向に配置された前記除去部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体搬送装置において、
回転する前記駆動部材の軸方向の幅に対して、先端の接触位置が、前記幅の中心からずれた位置に配置された前記除去部材、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の媒体搬送装置において、
前記駆動部材の回転方向に対して前記除去部材よりも上流側に配置され、且つ、前記駆動部材表面に接触して前記駆動部材に付着した付着物を除去する上流除去部材、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の画像形成装置は、
媒体に画像を記録する画像記録部と、
前記媒体を搬送する請求項1ないし3のいずれかに記載の媒体搬送装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、4に記載の発明によれば、除去部材を設けない場合に比べて、搬送部材表面を確実に清掃しつつ寿命を延ばすことができる。
請求項2に記載の発明によれば、接触位置が幅方向の中心に配置されている場合に比べて、片当りを低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、上流除去部材を設けない場合に比べて、上流除去部材で除去できなかった除去部材で付着力の強い付着物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1のプリンタの全体説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1のプリンタの画像形成装置本体の説明図である。
【図3】図3は本発明の実施例1のプリンタのインターフェースモジュール及びスタッカ装置の説明図である。
【図4】図4は画像形成装置本体の要部拡大説明図であり、可視像形成装置とベルトモジュールの説明図である。
【図5】図5は実施例1のスキュー補正装置の要部拡大図である。
【図6】図6は実施例1のスキュー補正装置の要部断面説明図である。
【図7】図7はクロストクリーナの説明図であり、図7Aは斜視図、図7Bは側面図である。
【図8】図8は実施例1の制御部の要部説明図である。
【図9】図9は実施例1の電流制御処理のフローチャートである。
【図10】図10は実施例1の電流制御の一例の説明図であり、図10Aはクロストロール部分の要部側面説明図、図10Bはクロストロール部分の平面図、図10Cはタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0014】
(実施例1のプリンタUの説明)
図1は本発明の実施例1のプリンタの全体説明図である。
図2は本発明の実施例1のプリンタの画像形成装置本体の説明図である。
図3は本発明の実施例1のプリンタのインターフェースモジュール及びスタッカ装置の説明図である。
図1〜図3において、画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像記録部の一例としての画像形成装置本体U1と、湾曲除去装置の一例として、画像形成装置本体U1の媒体排出方向下流側に配置され、プリンタUを操作するための操作部UIを有するインターフェースモジュールU2と、媒体排出積載装置の一例として、前記インタフェースモジュールU2の媒体排出方向下流側に配置されたスタッカ装置U3と、を有する。
【0015】
(実施例1の画像形成装置本体U1の説明)
図2において、前記画像形成装置本体U1は、記録部本体U1aと、定着反転部U1bとを有し、画像形成装置本体U1の制御を行う本体側制御部C1や、外部の情報送信装置COMからインターフェースモジュールU2を介して送信された画像情報を受信する図示しない情報送受信装置、および前記本体側制御部C1により制御される潜像形成装置駆動回路D、電源回路E等を有する。
本体側制御部C1により作動を制御される記録部本体U1aの潜像形成装置駆動回路Dは、前記インターフェースモジュールU2を介して送信された画像情報に基づいて、G:グリーン、O:オレンジ、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像情報を作成し、それらに応じた駆動信号を予め設定された時期に各色G〜Kの潜像形成装置ROSg,ROSo,ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0016】
図4は画像形成装置本体の要部拡大説明図であり、可視像形成装置とベルトモジュールの説明図である。
図2、図4において、前記各色G〜Kの潜像形成装置ROSg〜ROSkの下方には、各色G〜Kの像保持体ユニットUG,UO,UY,UM,UC,UKと、現像装置の一例としての各色G〜Kの現像器GG,GO,GY,GM,GC,GKとが着脱可能に装着される。
黒Kの像保持体ユニットUKは、像保持体の一例としての感光体ドラムPk、帯電器CCkおよび像保持体用清掃器の一例としてのドラムクリーナCLkを有する。また、前記感光体ドラムPkの右方には、黒Kの現像器GKの現像部材の一例としての現像ロールR0kが隣接して配置される。
【0017】
そして、他の各色G〜Cの像保持体ユニットUG〜UCも、感光体ドラムPg,Po,Py,Pm,Pc、帯電器CCg,CCo,CCy,CCm,CCc、ドラムクリーナCLg,CLo,CLy,CLm,CLcを有する。また、前記他の各色G〜Cの感光体ドラムPg〜Pcの右方には、他の各色G〜Cの現像器GG〜GCの現像部材の一例としての現像ロールR0g,R0o,R0y,R0m,R0cが、それぞれ隣接して配置される。
なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPg〜Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化が図られている。
前記各像保持体ユニットUG〜UKと前記各現像器GG〜GKとにより、可視像形成装置(UG+GG),(UO+GO),(UY+GY),(UM+GM),(UC+GC),(UK+GK)が構成される。
【0018】
図2、図4において、前記感光体ドラムPg〜Pkは、それぞれ帯電器CCg〜CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSg〜ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLg,Lo,Ly,Lm,Lc,Lkにより、その表面に静電潜像が形成される。前記感光体ドラムPg〜Pk表面の静電潜像は、現像器GG〜GK内の現像剤により、G:グリーン、O:オレンジ、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像、可視像の一例としてのトナー像に現像される。
なお、現像により現像器Gg〜Gk内の現像剤が消費されると、画像形成装置本体U1の上部に設けられた現像剤補給装置U1cから現像剤が現像器Gg〜Gkに補給される。前記現像剤補給装置U1cには、現像剤補給容器の一例としてのトナーカートリッジKg,Ko,Ky,Km,Kc,Kkが着脱、交換可能に支持されている。
【0019】
図2、図4において、感光体ドラムPg〜Pk表面上のトナー像は、1次転写領域Q3g,Q3o,Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、1次転写部材の一例としての1次転写ロールT1g,T1o,T1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合は黒Kの感光体ドラムPkおよび現像器GKのみが使用され、黒Kのトナー像のみが形成される。また、Y,M,C,Kの4色印刷や、使用者の設定等に応じた2色、3色印刷等が行われる場合には、該当する感光体ドラムPg〜Pkおよび現像器GG〜GKが使用される。
1次転写後、感光体ドラムPg〜Pk表面の残留トナーは感光体ドラム用の各ドラムクリーナCLg〜CLkによりクリーニングされ、帯電器CCg〜CCkで再帯電される。
【0020】
図1、図2、図4において、各感光体ドラムPg〜Pkの下方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが、前記各感光体ドラムPg〜Pkの下面に接触する上昇位置と前記下面から下方に離れた下降位置との間で昇降可能に支持されている。
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBを有している。前記中間転写ベルトBは、中間転写ベルトBを裏面から支持する中間転写体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRdにより矢印Ya方向に回転駆動され、張力付与部材の一例としてのテンションロールRtにより張力が付与されて張架される。また、前記中間転写ベルトBは、前記中間転写ベルトBの蛇行を防止する蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRwや、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRf、2次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aにより裏面側が支持される。
【0021】
また、図4において、実施例1では、G色の1次転写ロールT1gの矢印Ya方向上流側には、矢印Ya方向に対して垂直な方向であって前記感光体ドラムPgに対して前記中間転写ベルトBを接触・離隔させる方向である接離方向に移動可能に支持された接離用中間転写体支持部材の一例としての第1リトラクトロールR1が配置されている。また、O色の各1次転写ロールT1oの矢印Ya方向下流側且つY色の各1次転写ロールT1yの矢印Ya方向上流側には、前記第1リトラクトロールR1と同様に構成された前記接離用中間転写体支持部材の一例としての第2リトラクトロールR2および第3リトラクトロールR3が並んで配置されている。また、C色の各1次転写ロールT1cの矢印Ya方向下流側且つK色の各1次転写ロールT1kの矢印Ya方向上流側には、前記第1リトラクトロールR1と同様に構成された前記接離用中間転写体支持部材の一例としての第4リトラクトロールR4が配置されている。さらに、K色の各1次転写ロールT1kの矢印Ya方向下流側には、前記第1リトラクトロールR1と同様に構成された前記接離用中間転写体支持部材の一例としての第5のリトラクトロールR5が配置されている。
【0022】
また、図4において、前記各1次転写ロールT1g〜T1kの矢印Ya方向下流側には、前記中間転写ベルトB裏面の電荷を除電する除電部材の一例としての平板状の除電板金JBが配置されている。なお、実施例1の前記除電板金JBは、前記中間転写ベルトBとは非接触で配置されており、例えば、前記中間転写ベルトBの裏面から2mm離れた位置に配置できる。
前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2a,R1〜R5により、前記中間転写ベルトBを裏面から回転可能に支持する中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2a,R1〜R5が構成される。
また、前記中間転写ベルトB、前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2a,R1〜R5、前記各1次転写ロールT1g〜T1k、前記除電板金JB等により、実施例1の前記ベルトモジュールBMが構成される。
【0023】
前記バックアップロールT2aの下方には、2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtには、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが設けられている。前記2次転写ロールT2bは、中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに接触、離隔可能に配置されており、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと圧接する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには、接触導通部材の一例としてのコンタクトロールT2cが当接している。前記コンタクトロールT2cには、本体側制御部C1により制御される電源回路Eから予め設定された時期に現像剤の帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b、コンタクトロールT2cにより、実施例1の2次転写器T2が構成される。前記1次転写ロールT1g〜T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2により、実施例1の転写装置T1g〜T1k+T2+Bが構成される。
【0024】
前記ベルトモジュールBMの下方には、媒体の一例としての記録シートSが収容される媒体収容部の一例として給紙トレイTR1,TR2が設けられている。前記給紙トレイTR1,TR2に収容された記録シートSは、媒体取出部材の一例としてのピックアップロールRpにより給紙トレイTR1,TR2から取り出され、捌き部材の一例としての捌きロールRsで一枚ずつ分離されて、媒体供給路SH1に搬送される。
前記媒体供給路SH1に搬送された記録シートSは、媒体搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、媒体不要部除去装置の一例としてのバリ取り装置Btに搬送される。前記バリ取り装置Btは、加圧部材の一例としての加圧ロールBt1と、対向部材の一例として、前記加圧ロールBt1に加圧されて接触する対向ロールBt2とを有する。前記加圧ロールBt1と対向ロールBt2とによって、記録シートSは、加圧されて挟まれて搬送され、記録シートS端部の不要部の除去、いわゆる、記録シートSのバリ取りが行われる。
【0025】
バリ取りされた記録シートSは、重送検知装置Jkに搬送される。前記重送検知装置Jkは、記録シートSについて、前記捌きロールRsにより捌ききれずに搬送され、複数枚の記録シートSが重なって搬送されているか否か、すなわち、重送か否かを検知する。
なお、前記重送検知装置Jkの媒体搬送方向上流側には、手差し供給路SH0が接続されており、図示しない手差し媒体供給部から供給された記録シートSも重送検知装置Jkで重送の検知がされる。
重送か否かが検知された記録シートSは、媒体搬送装置の一例であって、姿勢補正装置の一例としてのスキュー補正装置Shに搬送される。前記スキュー補正装置Shは、斜行搬送部材の一例としてのクロストロールRcを有し、前記クロストロールRcによって、記録シートSの側縁を、後述するサイドガイドに接触させて、記録シートSの傾斜姿勢、いわゆる、スキューを補正する。
スキューが補正された記録シートSは、搬送時期調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。
【0026】
前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、中間転写ベルトB上の多色画像または単色画像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて、転写前媒体案内部材SG1を通って、2次転写領域Q4に搬送される。
前記中間転写ベルトB上の多色画像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記記録シートSに転写される。なお、多色画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録シートSに2次転写される。2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃される。
【0027】
図1〜図3において、未定着可視像が2次転写された記録シートSは、転写後媒体案内部材SG2を通って、定着前媒体搬送部材の一例としての搬送ベルトHBによって、定着反転部U1bに設けられた定着装置Fに搬送される。
図3において、前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。前記記録シートSは、一対の定着部材Fh,Fpが、圧力が作用した状態で接触する定着領域Q5に搬送される。前記記録シートS上の未定着可視像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。
【0028】
図2において、加熱定着された記録シートSは、冷却装置Coに搬送される。前記冷却装置Coは、無端帯状の上側搬送部材の一例として、回転可能に張架された上側搬送ベルトCo1と、無端帯状の下側搬送部材の一例として、前記上側搬送ベルトCo1に対向して回転可能に張架された下側搬送ベルトCo2とを有する。前記上側搬送ベルトCo1の内側には、放熱部材の一例としてのヒートシンクCo3が配置されており、上側搬送ベルトCo1の熱が奪われて、図示しない送風部材により外部に放出される。
これにより、定着装置Fによって加熱された記録シートSが、一対の搬送ベルトCo1,Co2に挟まれて搬送されると、記録シートSの熱が、搬送ベルトCo1,Co2によって奪われて、前記記録シートSが冷却される。
【0029】
冷却された記録シートSは、本体側の湾曲除去装置の一例としての本体デカール装置Hdに搬送される。前記本体デカール装置Hdは、第1湾曲除去部材の一例として、大径で上側の軟性円筒部材と小径で下側の硬性円筒部材とによって記録シートSを挟み、記録シートSの湾曲、いわゆる、カールを除去するロール型デカール部材Hd1を有する。前記ロール型デカール部材Hd1の媒体搬送方向下流側には、第2湾曲除去部材の一例として、張架された無端帯状部材と前記無端帯状部材に上側から接触する円筒部材とによって記録シートSを挟み、カールを除去するベルト型デカール部材Hd2が配置されている。
本体デカール装置Hdでは、ロール型デカール部材Hd1、ベルト型デカール部材Hd2によって、カールが除去された後に、排出部材Hd3によって、記録シートSが本体デカール装置Hdから排出される。
【0030】
前記本体デカール装置Hdの媒体搬送方向下流側には、搬送路切替部材GT1が設けられている。前記搬送路切替部材GT1は、媒体搬送路の一例としての本体処理路SH2を搬送された記録シートSの搬送先を、本体排出路SH3または媒体反転路SH4のいずれかに選択的に切り替える。
前記本体排出路SH3に搬送された記録シートSは、本体排出部材の一例としての本体排出ロールRhにより、画像の記録された画像記録面が上向きの状態のまま、いわゆる、フェイスアップの状態で、インターフェースモジュールU2に搬送される。
【0031】
記録シートSの画像記録面を上向きの状態から下向きの状態に反転して、いわゆる、フェイスダウンの状態でインターフェースモジュールU2に搬送する場合、本体処理路SH2から搬送された記録シートSは、前記搬送路切替部材GT1によって媒体反転路SH4に案内される。そして、前記記録シートSの媒体搬送方向後端が、媒体反転路SH4の分岐部に設けられた搬送路切替部材GT2を通過すると、反転搬送部材の一例としての正逆回転可能な反転ロールRbによって、記録シートSが逆搬送されて、いわゆる、スイッチバックする。そして、スイッチバックした記録シートSは、前記搬送路切替部材GT2によって本体排出路SH3に案内されて、記録シートSの画像記録面が上向きの状態から下向きの状態に反転されて、インターフェースモジュールU2に搬送される。
【0032】
記録シートSの両面に画像が記録される場合、本体処理路SH2から搬送された片面に画像が記録済みの記録シートSは、搬送路切替部材GT1によって、媒体反転路SH4に案内される。そして、前記記録シートSは、媒体反転路SH4の反転ロールRbによって、媒体循環路SH5に搬送され、両面記録反転路SH6に向けて搬送される。前記記録シートSの媒体搬送方向後端が、媒体循環路SH5と両面記録反転路SH6の接続部に設けられた搬送路切替部材GT3を通過すると、記録シートSがスイッチバックされる。スイッチバックした記録シートSは、前記搬送路切替部材GT3によって媒体供給路SH1側に案内され、媒体供給路SH1に再送される。
これにより、片面に画像が記録された記録シートSは、表裏が反転した状態で、媒体供給路SH1を搬送されて2次転写領域Q4に再送され、画像の記録されていないもう一方の面にも画像が記録される。
【0033】
(実施例1のインターフェースモジュールU2の説明)
図3において、インターフェースモジュールU2の操作部UIは、情報を表示する表示部UI1やプリンタUの各種設定を行うための入力釦UI2を有する。また、インターフェースモジュールU2は、外部の情報送信装置COMから送信された画像情報を受信して、各種処理およびプリンタUの制御を行う主制御部C2を有する。
前記インターフェースモジュールU2の内部には、湾曲除去装置の搬送路の一例としてのカール除去路SH21が設けられている。前記カール除去路SH21には、画像形成装置本体U1の本体排出路SH3から記録シートSが搬送される。前記カール除去路SH21に搬送された記録シートSは、搬送ロールMRaによって、湾曲除去装置本体の一例としてのモジュールデカール装置Mdに搬送される。前記記録シートSは、前記モジュールデカール装置Mdによって、カールが除去され、排出ロールMRhによって、カール除去路SH21からスタッカ装置U3に排出される。なお、前記モジュールデカール装置Mdは、従来公知であり、例えば、特開2006−520333号公報に記載されている構成と同様の構成を採用可能であるため、その詳細な説明は省略する。
【0034】
(実施例1のスタッカ装置U3の説明)
図3において、実施例1のスタッカ装置U3は、媒体排出積載装置の搬送路の一例として、前記インターフェースモジュールU2のカール除去路SH21に接続されたスタッカ排出路SH31を有する。前記スタッカ排出路SH31の媒体搬送方向下流側には、媒体排出積載装置の媒体排出部材の一例としてのスタッカ排出ロールSRhが配置されている。前記スタッカ排出ロールSRhによって、下方に配置された積載容器の一例としてのスタッカ容器TRhに、記録シートSが排出、積載される。前記スタッカ容器TRh内には、積載部材の一例として、上面に記録シートSが積載される底板TRh1が配置されている。前記底板TRh1は、記録シートSの積載量に応じて自動的に昇降する。
【0035】
(媒体搬送装置の説明)
図5は実施例1のスキュー補正装置の要部拡大図である。
図6は実施例1のスキュー補正装置の要部断面説明図である。
なお、図5、図6において、理解の容易の為に説明に必要ない部材の図示は適宜省略している。例えば、図6において、上側のシートガイドの図示は省略している。
図1、図2、図5、図6において、実施例1の媒体搬送装置の一例としてのスキュー補正装置Shは、媒体案内部材の一例として、媒体供給路SH1を構成する上下一対の板状のシートガイド1,2を有する。前記シートガイド1,2の後端部には、側端揃え部材の一例として、上下方向に延びるサイドガイド3が配置されている。
【0036】
前記下側のシートガイド1の下側には、駆動部材支持体の一例として、シートガイド1に平行して延びる板状の駆動支持プレート4が支持されている。前記駆動支持プレート4とシートガイド1との間には、3つのクロストロールRc1,Rc2,Rc3の駆動部材の一例としての駆動ローラ6が配置されている。実施例1の駆動ローラ6は、媒体搬送方向に対して後方のサイドガイド3に向けて傾斜して配置されており、搬送方向下流側に搬送しつつサイドガイド3に向けて搬送する方向に回転する。
前記駆動ローラ6には、駆動源の一例としてのクロストモータM1から駆動が伝達される。なお、実施例1では、クロストモータM1として、入力された矩形波の数に応じた角度回転するモータ、いわゆるパルスモータまたはステッピングモータと呼ばれるモータが使用されている。なお、クロストモータM1から各駆動ローラ6には、複数のベルト7を介して駆動が伝達されるが、このような構成は従来公知であり、例えば、特開2005−112543号公報等に記載された構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
前記上側のシートガイド2の上側には、従動部材の一例として、各駆動ローラ6に対向する3つの従動ローラ8が配置されている。前記従動ローラ8は、昇降部材の一例としての昇降アーム11に回転可能に支持されており、昇降アーム11は、上側のシートガイド2に回転軸11aを中心として、回転可能に支持されている。各昇降アーム11は、図示しない昇降駆動源の一例としての昇降モータで駆動され、従動ローラ8が駆動ローラ6に対して接触する下降位置と、従動ローラ8が駆動ローラ6から離間する上昇位置との間で移動可能に構成されている。
前記媒体供給路SH1には、上流側から順に第1、第2、第3のクロストローラRc1〜Rc3の上流側近傍に、媒体検出部材の一例として、記録シートSを検出する第1クロストセンサSN1、第2クロストセンサSN2、第3クロストセンサSN3が配置されている。また、最下流の第3のクロストローラRc3と、レジロールRrとの間には、媒体検出部材の一例として、レジインセンサSN4が配置されている。
【0038】
(除去部材および上流除去部材の説明)
図7はクロストクリーナの説明図であり、図7Aは斜視図、図7Bは側面図である。
図5〜図7において、各駆動ロール6の搬送方向上流側には、除去支持体の一例として、駆動支持プレート4に支持されたクリーナ支持部16が支持されている。前記クリーナ支持部16には、上流除去部材の一例として、駆動ロール6に対向する側の面に、紙粉除去パッド17が支持されている。紙粉除去パッド17は、弾性部材の一例としてのフェルトにより構成されており、駆動ロール6の表面に予め設定された接触圧力で接触して、駆動ロール6に付着した紙粉等の比較的付着力の弱い付着物を除去する。なお、紙粉除去パッド17は、フェルトに限定されず、発泡部材の一例としてのスポンジ等の紙粉を除去可能な任意の材料を使用可能である。
【0039】
図5〜図7において、前記クリーナ支持部16には、除去部材の一例として、紙粉除去パッド17の駆動ロール6の回転方向下流側において、駆動ロール6に接触するクロストクリーニングブレード18が支持されている。前記クロストクリーニングブレード18は、弾性部材の一例としての板バネ状の板状体により構成されており、駆動ロール6に固着した現像剤のような紙粉よりも付着力が大きな付着物を除去する。なお、クロストクリーニングブレード18は、一例として、ステンレス、SUS:Stainless Used Steelが使用可能であるが、ステンレスのような金属材料に限定されず、固着した現像剤が除去可能な任意の材料を使用可能である。
【0040】
前記クロストクリーニングブレード18は、駆動ロール6に接触しておらず外力が作用していない自由状態では図7Bの破線に示す状態になるように駆動ロール6に食い込む設定になっている。そして、クロストクリーニングブレード18は、駆動ロール6に接触した状態では弾性変形して、図7Bの実線で示すように、駆動ロール6の回転方向の下流側に先端が沿う方向、いわゆるワイパー方向またはウィズ方向に配置され、予め設定された接触圧力で駆動ロール6に接触する。実施例1では、図7Bの実線で示すクロストクリーニングブレード18が駆動ロール6の表面とが接触した状態では、駆動ロール6の接線方向とクロストクリーニングブレード18とが成す角が、15°〜45°に設定されている。これは、15°より小さければ、クロストクリーニングブレード18の駆動ロール6への接触圧力が不足しやすく組み立て時の設定がしにくい問題がある。一方、45°より大きくなると、回転時に駆動ロール6に押されて跳ねたりめくれたりしやすく接触にばらつきが生じやすくなる問題がある。
【0041】
(制御部Cの説明)
図8は実施例1の制御部の要部説明図である。
図8において、前記制御部Cは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力インターフェース:I/O、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたリードオンリーメモリ:ROM、必要なデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ:RAM、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置:CPU、ならびに発振器等を有する小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0042】
(制御部Cに接続された信号入力要素)
制御部Cには、次の信号出力要素UI、SN1〜SN4等の出力信号が入力されている。
UI:操作部
操作部UIは、表示部UI1、入力釦UI2等を備えている。
SN1:第1クロストセンサ
第1クロストセンサSN1は、最上流の第1クロストロールRc1の上流側に記録シートSが進入したかを検知する。
【0043】
SN2:第2クロストセンサ
第2クロストセンサSN2は、搬送方向中央の第2クロストロールRc2の上流側に記録シートSが進入したかを検知する。
SN3:第3クロストセンサ
第3クロストセンサSN3は、最下流の第3クロストロールRc3の上流側に記録シートSが進入したかを検知する。
SN4:レジインセンサ
レジインセンサSN4は、レジロールRrの上流側に記録シートSが進入したか否かを検知する。
【0044】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、次の被制御要素の制御信号を出力している。
DL:レーザ駆動回路
レーザ駆動回路DLは、潜像形成装置ROSy〜ROSgを駆動して感光体PRy〜PRg表面に静電潜像を形成する。
D0:メインモータ駆動回路
主駆動源駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D0は、メインモータM0を駆動することにより図示しないギヤを介して感光体PRy〜PRgおよび現像装置Gy〜Ggの図示しない現像ローラ、加熱ローラFh、搬送ローラRa、レジロールRr等を回転駆動する。
【0045】
E:電源回路
電源回路Eは次の電源回路を有している。
E1y〜E1g:現像電源回路
現像電源回路E1y〜E1gは、現像装置Gy〜Ggの現像ローラに現像電圧を印加する。
E2y〜E2g:帯電電源回路
帯電電源回路E2y〜E2gは、帯電器CCy〜CCgに帯電電圧を印加する。
E3y〜E3g:1次転写電源回路
1次転写電源回路E3y〜E3gは、1次転写ローラT1y〜T1gに1次転写電圧を印加する。
【0046】
E4:2次転写電源回路
2次転写電源回路E4は、2次転写ローラT2bに2次転写電圧を印加する。
E5:定着電源回路
定着電源回路E5は、加熱ローラFhに加熱用の電力を供給する。
D1:クロストモータ駆動回路
斜行駆動源駆動回路の一例としてのクロストモータ駆動回路D1は、クロストモータM1を介してクロストロールRcを駆動する。
D2:クロスト昇降回路
斜行接離回路の一例としてのクロスト昇降回路D2は、昇降モータM2を介して昇降アーム11を昇降させる。
【0047】
(前記コントローラCの機能)
前記コントローラCは、前記各信号出力要素からの出力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を実現するプログラムである機能実現手段を有している。前記コントローラCの各種機能を実現する機能実現手段を次に説明する。
C1:メインモータ回転制御手段
主駆動源制御手段の一例としてのメインモータ回転制御手段C1は、前記メインモータ駆動回路D0を制御して、感光体PRy〜PRg、現像装置Gy〜Ggの現像ローラ、定着装置F等の回転を制御する。
【0048】
C2:電源回路制御手段
電源回路制御手段C2は、次の手段C2a〜C2eを有しており、前記電源回路Eを制御して、前記現像電圧、帯電電圧、転写電圧、加熱ローラFhのヒータのオン・オフ等を制御する。
C2ay〜C2ag:現像電圧制御手段
現像電圧制御手段C2ak〜C2akは、前記現像電源回路E1y〜E1gの動作を制御して現像装置Gy〜Ggの現像ローラに印加する現像電圧を制御する。
C2by〜 C2bg:帯電電圧制御手段
帯電電圧制御手段C2by〜C2bgは、前記帯電電源回路E2y〜E2gの動作を制御して各帯電器CRy〜CRgに印加する帯電電圧を制御する。
【0049】
C2cy〜C2cg:1次転写電圧制御手段
1次転写電圧制御手段C2cy〜C2cgは、一次転写電源回路E3y〜E3gの動作を制御して1次転写ローラT1y〜T1gに印加する転写電圧を制御する。
C2d:2次転写電圧制御手段
2次転写電圧制御手段C2dは、2次転写電源回路E4の動作を制御して2次転写ローラT2bに印加する2次転写電圧を制御する。
C2e:定着電源制御手段
定着電源制御手段C2eは定着電源回路E5の動作を制御して、前記加熱ローラFhのヒータをオン・オフ制御して、定着温度を制御する。
C3:ジョブ制御手段
画像形成動作制御手段の一例としてのジョブ制御手段C3は、情報送信装置COMからの入力に応じて、潜像形成装置ROSy〜ROSg、感光体PRy〜PRg、転写ローラT1y〜T1g,T2、定着装置F等の動作を制御して、画像形成動作であるジョブを実行する。
【0050】
C4:スキュー補正制御手段
スキュー補正制御手段C4は、駆動開始時期判別手段C4Aと、媒体位置検出手段C4Bと、駆動信号入力手段C4Cと、従動昇降制御手段C4Dと、電源制御手段の一例としての電流制御手段C4Eと、基準電流印加時間記憶手段の一例としての前励磁時間記憶手段C4Fと、強電流印加時間記憶手段の一例としての第3クロスト到達時間記憶手段C4Gと、基準電流復帰時間記憶手段の一例としての離間完了時間記憶手段C4Hと、計時手段の一例としてのタイマTM1とを有し、スキュー補正装置Shを制御する。
C4A:駆動開始時期判別手段
駆動開始時期判別手段C4Aは、クロストモータM1の駆動を開始して、クロストロールRcの駆動を開始する時期になったか否かを判別する。実施例1の駆動開始時期判別手段C4Aは、一例として、上流側の重送検知装置Jkに記録シートSが搬入されると駆動を開始する時期になったと判別する。
【0051】
C4B:媒体位置検出手段
媒体位置検出手段C4Bは、各センサSN1〜SN4の検出結果に基づいて、記録シートSが、各センサSN1〜SN4の位置に到達したか否かを検出する。
C4C:駆動信号入力手段
駆動信号入力手段C4Cは、パルスモータにより構成されたクロストモータM1に駆動信号の一例としてのパルスを入力する。実施例1の駆動信号入力手段C4Cは、クロストモータM1の駆動開始時期になった後、前励磁期間t1が経過後に駆動信号の入力を開始して、クロストモータM1を駆動する。
【0052】
C4D:従動昇降制御手段
従動昇降制御手段C4Dは、昇降モータM2を制御して、従動ローラ8を昇降する。実施例1の従動昇降制御手段C4Dは、記録シートSの前端がレジロールRrに挟まれて搬送され始めると従動ローラ8を上昇位置に移動させると共に、記録シートSの後端が第3クロストロールRc3を抜け且つ後続の記録シートSの前端が第1クロストロールRc1に到達する前に下降位置に移動させる。
C4E:電流制御手段
駆動力制御手段の一例としての電流制御手段C4Eは、弱電流供給手段C4E1と、基準電流供給手段の一例としての中電流供給手段C4E2と、高電流供給手段の一例としての強電流供給手段C4E3と、を有し、クロストモータM1への電源供給を制御する。実施例1の電流制御手段C4Eは、パルスモータの駆動力、いわゆるトルクに関連する電流値を制御して、パルスモータのトルクを制御する。
【0053】
C4E1:弱電流供給手段
弱電流供給手段C4E1は、前励磁電流の一例としての弱電流i1をクロストモータM1に供給する。実施例1の弱電流供給手段C4E1は、クロストモータM1の駆動開始時期になってから前励磁期間t1が経過するまでの間だけ、弱電流i1を供給する。
C4E2:中電流供給手段
中電流供給手段C4E2は、基準電流の一例としての中電流i2をクロストモータM1に供給する。実施例1の中電流供給手段C4E2は、前励磁期間t1が経過した後にクロストモータM1に中電流i2を供給する。
【0054】
C4E3:強電流供給手段
強電流供給手段C4E3は、高電流の一例として、中電流i2よりも電流値が高い強電流i3をクロストモータM1に供給する。実施例1の強電流供給手段C4E3は、記録シートSがサイドガイド3に接触する時期に合わせて強電流i3を供給する。
C4F:前励磁時間記憶手段
前励磁時間記憶手段C4Fは、クロストモータM1の駆動を開始してから前励磁が終了するまでの期間である前励磁時間t1を記憶する。
【0055】
C4G:第3クロスト到達時間記憶手段
第3クロスト到達時間記憶手段C4Gは、高電流印加開始時間の一例として、第3クロストセンサSN3で記録シートSの前端が検知されてから第3クロストローラRc3に到達するまでの時間である第3クロスト到達時間t2を記憶する。
C4H:離間完了時間記憶手段
離間完了時間記憶手段C4Hは、中電流復帰時間の一例として、従動ローラ8が上昇位置に移動を開始してから完了するまでの時間である離間完了時間t3を記憶する。
TM1:タイマ
タイマTM1は、各時間t1〜t3が入力され、各時間t1〜t3を計時する。
【0056】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆる、フローチャートを使用して説明する。
(電流制御処理の説明)
図9は実施例1の電流制御処理のフローチャートである。
図9のフローチャートの各ST:ステップの処理は、前記制御部CのROMに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は複写機Uの他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
図9に示すフローチャートは電源オンにより開始される。
【0057】
図9のST1において、クロストモータM1の駆動開始時期になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST3に進む。
(1)弱電流i1を供給する。
(2)前励磁時間t1をタイマTM1にセットする。
ST3において、タイマTM1がタイムアップしたか否か、すなわち、前励磁時間t1が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST4に進み、ノー(N)の場合はST3を繰り返す。
【0058】
ST4において、クロストモータM1に中電流i2を供給する。そして、ST5に進む。
ST5において、第3クロストセンサSN3が記録シートSを検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST5を繰り返す。
ST6において、第3クロスト到達時間t2をタイマTM1にセットする。そして、ST7に進む。
ST7において、タイマTM1がタイムアップしたか否か、すなわち、第3クロスト到達時間t2が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST8に進み、ノー(N)の場合はST7を繰り返す。
【0059】
ST8において、クロストモータM1に強電流i3を供給する。そして、ST9に進む。
ST9において、クロストロールRcの従動ロール8が駆動ロール6から離間を開始したか否か、すなわち、昇降モータM2の駆動が開始したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST10に進み、ノー(N)の場合はST9を繰り返す。
ST10において、離間完了時間t3をタイマTM1にセットする。そして、ST11に進む。
【0060】
ST11において、タイマtM1がタイムアップしたか否か、すなわち、離間完了時間t3が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST11を繰り返す。
ST12において、クロストモータM1に中電流i2を供給する。そして、ST13に進む。
ST13において、次にスキュー補正装置Skに搬送される記録シートSがあるか否かを判別する。すなわち、画像形成動作であるジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に戻り、ノー(N)の場合はST14に進む。
ST14において、クロストモータM1への電流の供給を終了する。そして、ST1に戻る。
【0061】
(実施例1の作用)
図10は実施例1の電流制御の一例の説明図であり、図10Aはクロストロール部分の要部側面説明図、図10Bはクロストロール部分の平面図、図10Cはタイムチャートである。
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、スキュー補正装置Skに記録シートSが搬入される場合、3つのクロストロールRcを駆動する1つのクロストモータM1へ弱電流i1が供給されて前励磁がされ、中電流i2が印加されて駆動が開始される。そして、記録シートSが最上流の第1クロストセンサSN1で検知され、第1クロストロールRcにより搬送され始める。このとき、記録シートSの搬送抵抗に伴って、クロストモータM1に作用する負荷トルクが上昇し、第1クロストロールRc1は記録シートSをサイドガイド3に向けて搬送する。なお、第1クロストロールRc1のみで搬送される間は、記録シートSの後端縁はサイドガイド3に接近するが、接触はしないように設定されている。
【0062】
記録シートSが第2クロストロールRc2で搬送され始めると、2つのクロストロールRc1,Rc2に搬送抵抗が作用し、負荷トルクが更に上昇する。そして、2つのクロストロールRc1,Rc2で記録シートSがサイドガイド3に向けて搬送される。
そして、第3クロストロールRc3で搬送され始めると、記録シートSの側端がサイドガイド3に突き当てられた状態となり、突き当てに伴う記録シートSとサイドガイド3との摩擦抵抗も搬送抵抗となって、負荷トルクが最も大きくなる。
このとき、従来の構成では、DCサーボモータが使用されることが一般的であり、DCサーボモータでは、負荷が上昇すると、モータの回転数が変動し、搬送性能にバラツキが出てしまう問題があった。また、従来の制御においてパルスモータを使用する場合、クロストモータM1の駆動中は、前励磁以外は一定の電流値で制御されており、負荷トルクが大きくなると、脱調してしまい、記録シートSが搬送不能になってしまう恐れがあった。これに対して、実施例1では、負荷トルクに応じて、供給される電流が中電流i2から強電流i3に変更されており、脱調が発生しにくく、搬送不良が低減されている。
【0063】
また、実施例1では、従動ロール8が離間してクロストロールRcで搬送が行われなくなると、供給される電流が強電流i3から中電流i2に戻される。したがって、強電流i3を供給し続けられたクロストモータM1が発熱して、性能が低下したり、寿命が短くなることが低減されると共に、消費電力が抑制されている。すなわち、同一の電流値を供給する従来技術において、強電流i3を常時印加した場合には、クロストモータM1の発熱や性能低下、低寿命化、高消費電力の問題があるが、実施例1ではこれらが解決されている。
【0064】
さらに、実施例1では、クロストクリーニングブレード18がクロストロールRcに接触しており、付着物、特に、両面印刷時等に駆動ロール6に付着して固まった現像剤、すなわち、固着した現像剤を除去している。媒体搬送方向に媒体を搬送する通常の搬送部材の場合、表面に現像剤が固着しても、上流側からの搬送速度もあって、ある程度は影響なく搬送可能であるが、クロストロールRcのように斜行させる搬送部材では、記録シートSを斜行させており、固着した現像剤で摩擦が低下しているとスキュー補正ができなくなる恐れがある。これに対して、実施例1ではクロストクリーニングブレード18は、駆動ロール6に固着した現像剤を除去しており、クロストロールRcの摩擦抵抗が低下して、搬送不良が発生することが低減されている。なお、従動回転する従動ロール8に現像剤が固着しても、従動ロール8は駆動されておらず、記録シートSとの間で滑ってもそれほど問題にはならない。
【0065】
特に、実施例1のクロストクリーニングブレード18では、ワイパー方向に駆動ロール6に接触しており、ドクター方向に接触する従来技術に比べて、駆動ロール6やクロストクリーニングブレード18の先端が摩耗で削れにくくなっている。したがって、駆動ロール6やクロストクリーニングブレード18の寿命が短くなったり、清掃性能が低下することが低減されている。したがって、駆動ロール6やクロストロールクリーニングブレード18を交換部品としなくてもよくなり、維持費用、いわゆるメンテナンスコストも低減される。
【0066】
また、実施例1では、クロストクリーニングブレード18の上流側に紙粉除去パッド17が配置されており、クロストクリーニングブレード18で清掃される前に、紙粉が除去される。仮に、紙粉除去パッド17が設けられていない場合、クロストクリーニングブレード18と駆動ロール6との接触領域に紙粉等が進入し、紙粉で滑ってしまい、固着した現像剤が除去できない恐れがあった。すなわち、従来のクリーニングブレードのみで紙粉を除去する構成では、紙粉は除去できるが、固着した現像剤は除去できない恐れがあった。
これに対して、実施例1では、上流側の紙粉除去パッド17で紙粉が除去され、下流側のクロストクリーニングブレード18で確実に固着した現像剤が除去されやすくなっている。
【0067】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H04)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタUを例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、プリンタUとして、6色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、5色以下または7色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0068】
(H03)前記実施例において、中電流と強電流の2段階で電流を制御する構成を例示したが、これに限定されず、3段階以上で電流を制御する構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、紙粉除去パッド17は設けることが望ましいが、省略することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
3…側端揃え部材、
6…駆動部材、
8…従動部材、
17…上流除去部材、
18…除去部材、
Rc…斜行搬送部材、
S…媒体、
Sk…媒体搬送装置、
U…画像形成装置、
U1…画像記録部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が記録される媒体の搬送方向に対して交差する媒体幅方向の一端側に配置され、媒体の側端が接触して媒体の姿勢を揃える側端揃え部材と、
前記媒体搬送方向に対して前記側端揃え部材に向けて斜行して媒体を搬送して前記媒体の側端を前記側端揃え部材に接触させる斜行搬送部材であって、回転駆動する駆動部材と、前記駆動部材に対向して配置された従動部材とを有する前記斜行搬送部材と、
前記駆動部材の表面に先端が接触して配置され、駆動部材表面の付着物を除去する除去部材であって、前記駆動部材の回転方向の下流側に向けて先端が沿う方向に配置された前記除去部材と、
を備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
回転する前記駆動部材の軸方向の幅に対して、先端の接触位置が、前記幅の中心からずれた位置に配置された前記除去部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記駆動部材の回転方向に対して前記除去部材よりも上流側に配置され、且つ、前記駆動部材表面に接触して前記駆動部材に付着した付着物を除去する上流除去部材、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体に画像を記録する画像記録部と、
前記媒体を搬送する請求項1ないし3のいずれかに記載の媒体搬送装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−121748(P2011−121748A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282028(P2009−282028)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】