説明

孔位置測定装置

【課題】簡単かつ安価な構成で、測定対象とこれに形成された孔との相対位置を測定することができる孔位置測定装置を提供する。
【解決手段】孔位置測定装置23は、測定対象21の幅方向両端縁と、この幅方向両端縁の間に形成された孔13との相対位置を測定するものであり、孔13に挿入されて測定対象を位置決めする位置決め軸31と、位置決め軸31の軸心方向に互いに相対移動可能であるとともに、位置決め軸31に対して当該位置決め軸31の軸心に直交する方向への相対移動が規制され、かつ位置決め軸31の軸心を幅方向に挟んで測定対象21の幅方向両端縁に当接可能な傾斜状の当接面を有する一対の測定子33,34と、一対の測定子33,34の相対的な前記軸心方向の変位量を計測する計測器36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象と、これに形成された孔との相対位置を測定するために利用される孔位置測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪を装着するために用いられるハブユニットは、ハブ中央から径方向外方に突出するフランジ部を備え、このフランジ部に、ハブボルトを圧入するための複数のボルト挿通孔が周方向等間隔に形成されている。
ハブユニットのフランジ部として、円盤状に形成されるとともに、その軸方向一側面におけるボルト挿通孔の形成部位に、部分的にフランジ部の肉厚を厚くするように膨出する膨出部を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。また、ハブユニットのフランジ部として、ハブ中央から径方向に放射状に突出する複数の部分フランジから構成され、各部分フランジの先端部にボルト挿通孔が形成されたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
ボルト挿通孔は、通常、フランジ部の膨出部や部分フランジにおける幅方向(周方向)の中央部に形成されるように設計されるが、製造誤差によって当該中央部から所定以上にずれて形成されてしまう場合もあり、そのような製品は規格外として取り除く必要がある。そのため、フランジ部にボルト挿通孔を形成した後、ボルト挿通孔が膨出部や部分フランジに対して正確に形成されているか否か(所定以上に位置ずれしていないかどうか)を検査する工程が行われる。
【0004】
従来、この検査は、スケールを用いてボルト挿通孔の位置ずれ量を目視により測定したり(従来技術1)、センサを利用した簡易的なゲージによってボルト挿通孔の位置ずれを確認したり(従来技術2)することにより行われていた。
一方、ワークに形成された孔の位置を求める一般的な技術として、画像処理を利用する方法も知られている(例えば、特許文献3,4参照;従来技術3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−154601号公報
【特許文献2】特開2006−7791号公報
【特許文献3】特開平6−281411号公報
【特許文献4】特開平9−42915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1のように、スケールを用いてボルト挿通孔の位置ずれ量を目視により測定する方法は、検査を行う人によって測定のバラツキが大きく、また、人手による作業のため時間と手間を要するという欠点がある。ボルト挿通孔の検査は全てのハブユニットに対して行われるため、従来技術1の方法を用いると全体の検査に要する時間が多大なものとなる。また、従来技術2の方法は、膨出部等に対するボルト挿通孔の位置ずれ量を正確な数値として求めることができず、数値管理を行うことができないという欠点がある。また、通常、回転側軌道部材は鍛造によって製造され、膨出部等の幅方向寸法自体にバラツキがあるため、このようなバラツキに応じてゲージの寸法調整を行う必要もある。
一方、画像処理を利用した従来技術3の方法は非常にコストがかかるため、ボルト挿通孔の検査に採用するのは不適である。
【0007】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、簡単かつ安価な構成で測定対象と、これに形成された孔との相対位置を測定することができる孔位置測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る孔位置測定装置は、測定対象の幅方向両端縁と、この幅方向両端縁の間に形成された孔との相対位置を測定するための孔位置測定装置であって、
前記孔に挿入されて測定対象を位置決めする位置決め軸と、この位置決め軸の軸心方向に沿って互いに相対移動可能であるとともに、この位置決め軸に対して当該位置決め軸の軸心に直交する方向への相対移動が規制され、かつ前記位置決め軸の軸心を幅方向に挟んで前記測定対象の幅方向両端縁に当接可能な傾斜状の当接面を有する一対の測定子と、一対の測定子の相対的な前記軸心方向の変位量を計測する計測器と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記構成の孔位置測定装置を用いて、測定対象の幅方向両端縁と孔との相対位置を測定するには、測定対象に形成された孔に位置決め軸を挿入し、一対の測定子の当接面を測定対象の幅方向両端縁に当接させる。孔が測定対象に対して幅方向に位置ずれして形成されていると、その位置ずれ量に応じて測定対象の幅方向両端縁に対する一対の測定子の当接面における当接位置が変化し、一対の測定子における位置決め軸の軸心方向に沿った相対的な位置が変化する。そして、この一対の測定子の相対的な変位量を計測器により計測することにより、その計測値と当接面の傾斜角度とから、測定対象に対する孔の位置ずれ量を求めることが可能となる。
したがって、本発明の孔位置測定装置によれば、簡単かつ安価な構成で測定対象に対する孔の位置ずれ量を正確に求めることができる。
【0010】
本発明の第2の観点に係る孔位置測定装置は、ハブユニットのフランジ部を載置可能な載置テーブルと、上下方向の軸心を有するとともに、前記載置テーブル上に載置されたフランジ部のボルト挿通孔に挿入されて当該フランジ部を位置決めする位置決め軸と、互いに相対的に上下移動可能であるとともに、前記位置決め軸に対して水平方向への相対移動が規制され、かつ前記位置決め軸の軸心を幅方向に挟んで前記フランジ部における前記ボルト挿通孔の形成部位の幅方向両端縁に当接可能な傾斜状の当接面を有する一対の測定子と、この一対の測定子の相対的な上下方向の変位量を計測する計測器と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の孔位置測定装置によれば、フランジ部に形成されたボルト挿通孔に位置決め軸を挿入し、一対の測定子の当接面をフランジ部におけるボルト挿通孔の形成部位、例えばフランジ部の側面から膨出する膨出部の幅方向両端縁に当接させる。ボルト挿通孔がその形成部位に対して幅方向に位置ずれして形成されていると、その位置ずれ量に応じて当該形成部位の幅方向両端縁に対する一対の測定子における当接面の当接位置が変化し、一対の測定子の相対的な高さが変化する。そして、この一対の測定子の相対的な高さの変位量を計測器により計測することにより、その計測値と当接面の傾斜角度とからフランジ部の膨出部等に対するボルト挿通孔の位置ずれ量を求めることが可能となる。
したがって、本発明の孔位置測定装置によれば、簡単かつ安価な構成でフランジ部に対するボルト挿通孔の位置ずれ量を正確に求めることができる。
【0012】
前記一対の測定子における当接面の傾斜角度は、前記位置決め軸の軸心に対して45°の角度に設定されていることが好ましい。
このような構成によって、一対の測定子の相対的な変位量を、測定対象(フランジ部におけるボルト挿通孔の形成部位)に対する孔(ボルト挿通孔)の位置ずれ量に簡単に変換して求めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の孔位置測定装置によれば、簡単かつ安価な構成で測定対象に形成された孔の位置ずれ量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る孔位置測定装置を概略的に示す正面図である。
【図2】孔位置測定装置を概略的に示す側面図である。
【図3】位置決め軸及び一対の測定子の配置関係を示す概略平面図である。
【図4】一方の測定子及び保持ブロックを示す断面図である。
【図5】測定ユニットを概略的に示す説明図である。
【図6】孔位置測定の一例を示す説明図である。
【図7】孔位置測定の他の例を示す説明図である。
【図8】ハブユニットの断面図である。
【図9】ハブユニットにおける回転側軌道部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態の孔位置測定装置23は、図8に示されるようなハブユニット11の回転側軌道部材12に形成されたボルト挿通孔13の位置(位置ずれ量)を測定するために利用される。このハブユニット11は、車両の車体側に固定される固定側軌道部材14と、車輪が取り付けられる回転側軌道部材12と、固定側軌道部材14と回転側軌道部材12との間に配置された転動体としての複数の玉15と、この複数の玉15の周方向間隔を保持する保持器16と、を備えている。
【0016】
回転側軌道部材12の外周面には、径方向外方に突出するフランジ部18が形成されている。このフランジ部18の外周部には、複数(例えば5個)のボルト挿通孔13が形成され、各ボルト挿通孔13には、ブレーキディスクや車輪の装着に使用されるハブボルト19が圧入されている。
【0017】
図9は、ハブユニット11における回転側軌道部材12の側面図である。図8及び図9に示されるように、回転側軌道部材12のフランジ部18は円盤状に形成されており、その軸方向一側面(車輪装着側とは反対の側面)におけるボルト挿通孔13の形成部位には、当該フランジ部18の肉厚を増大するように軸方向に膨出する膨出部21が形成されている。そして、本実施の形態の孔位置測定装置は、この膨出部21の部分を測定対象とし、当該膨出部21の幅方向(フランジ部18の周方向)の中央にボルト挿通孔13が正確に形成されているか否かを判別するために、膨出部21の幅方向両端縁とボルト挿通孔13との相対位置(位置ずれ量)を測定する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る孔位置測定装置23を概略的に示す正面図、図2は、孔位置測定装置23を概略的に示す側面図である。
孔位置測定装置23は、主に、装置フレーム24と、この装置フレーム24に設けられたセット機構25及び測定機構26とから構成されている。セット機構25は、ワークとしての回転側軌道部材12を載置する載置テーブル27と、この載置テーブル27を上下に昇降させるリフトシリンダ28とを有している。リフトシリンダ28は装置フレーム24に固定されている。
【0019】
図2に示されるように、載置テーブル27の略中央には、回転側軌道部材12の軸方向他端部(車輪装着側の端部)を嵌合させる嵌合孔30が形成され、この嵌合孔30に回転側軌道部材12の軸方向他端部を嵌合させた状態でフランジ部18の軸方向他側面を載置テーブル27上に載置することが可能となっている。また、載置テーブル27には、上下方向の軸心を有する位置決め軸31が突設され、この位置決め軸31は、載置テーブル27に載置されたフランジ部18のボルト挿通孔13に挿入されることによってフランジ部18を位置決めする。
【0020】
測定機構26は、回転側軌道部材12の膨出部21の幅方向両端縁に接触する一対の測定子33,34と、この測定子33,34を保持する保持ブロック35と、一方の測定子33と他方の測定子34との相対的な高さの変化(変位量)を計測する計測器36とを有している。
一対の測定子33,34は、上下方向の軸心を有する断面円形状の棒体によって構成されており、各測定子33,34の下端部は、下方先細りの円錐形状に形成されている。
【0021】
図3は、位置決め軸31及び一対の測定子33,34の平面的な配置関係を示す説明図である。一対の測定子33,34は、位置決め軸31の左右方向両側(膨出部21の幅方向両側)に配置され、これら測定子33,34の軸心と位置決め軸31の軸心とは、互いに平行で左右方向に一直線上に並べられている。また、一対の測定子33,34は、位置決め軸31に対して水平方向(左右前後方向)への相対移動が規制されている。位置決め軸31の軸心から一方の測定子33の軸心までの間隔と、他方の測定子34の軸心までの間隔とは、同一の寸法dに設定されている。なお、フランジ部18に形成されるボルト挿通孔13は、その幅方向両外側における膨出部21の幅Aの中央部に形成されている。したがって、ボルト挿通孔13は、膨出部21の一方の幅方向端縁までの間隔aと、他方の幅方向端縁までの間隔aとが同一の寸法に形成されている。
【0022】
図1に示されるように、一対の測定子33,34のうち、一方(右側)の測定子33(以下、「第1測定子」ともいう)は保持ブロック35に対して固定されており、他方(左側)の測定子34(以下、「第2測定子」ともいう)は保持ブロック35に対して上下方向に移動可能に設けられている。具体的には、図4に示されるように、保持ブロック35には、上下方向に貫通する貫通孔39が形成され、この貫通孔39にブッシュ40を介して第2測定子34が上下摺動可能に挿通されている。したがって、第1測定子33と第2測定子34とは、互いに上下方向に相対移動可能である。
【0023】
また、第2測定子34の上端には抜け止め部材41が設けられ、第2測定子34の下部にはバネ受け部材42が設けられている。バネ受け部材42と保持ブロック35の下面との間にはコイルバネ43が設けられ、このコイルバネ43によって第2測定子34が下方に付勢されている。なお、本実施形態の第1測定子33及び第2測定子34の下端部の頂角αは、90°に設定されている。
【0024】
図1に示されるように、計測器36は、保持ブロック35に支持アーム44を介して取り付けられている。この計測器36は、例えばデジタル変位計とされており、下方に突出するロッド36aを備えている。そして、計測器36は、このロッド36aの上下方向の変位を測定し、変位量を数値で出力する。ロッド36aの先端部は、第2測定子34の上端に接触しており、この第2測定子34の上下方向の変位量を測定可能となっている。
【0025】
また、測定機構26は、装置フレーム24に固定された昇降シリンダ46と、この昇降シリンダ46によって上下に昇降する昇降フレーム47とを更に備えている。昇降フレーム47には、上下方向に延びるガイド部材48が設けられ、このガイド部材48に保持ブロック35の背面が上下移動可能に連結されている。
また、昇降フレーム47には、載置テーブル27上に載置された回転側軌道部材12の上端を押さえるワーク押さえ部材49が設けられている。
【0026】
<測定動作の手順>
次に、孔位置測定装置23による測定動作の手順について説明する。
実際に、フランジ部18の膨出部21に対するボルト装置孔13の位置ずれ量の測定を行う前に、まず、マスタ用のワーク(以下、「マスタワーク」という)を使用して一対の測定子33,34の基準レベル(原点レベル)を設定するための準備作業を行う。
【0027】
図5は、孔位置測定装置23を概略的に示す説明図である。マスタワーク50には、膨出部51と、膨出部51の幅方向中央部に形成された孔52とを有している。これら膨出部51及び孔52は、それぞれフランジ部18に形成された膨出部21及びボルト挿通孔13に対応し、これらの設計値通りに形成されている。したがって、孔52は、膨出部51の幅方向中央部に正確に形成されている。
【0028】
まず、載置テーブル27上にマスタワーク50を載置し、孔52に位置決め軸31を挿入する。そして、保持ブロック35を下降させて一対の測定子33,34の下端部の傾斜面(当接面)33a,34aをマスタワーク50の膨出部21の幅方向両端縁に当接させる。
【0029】
孔13は、膨出部21の幅方向中央部に正確に形成されているので、膨出部21の幅方向両端縁に当接する一対の測定子33,34の高さは同一のレベルとなる。このときの計測器36による計測値を「0」(原点)に設定し、測定子33,34の基準レベルを設定する。
【0030】
次いで、準備作業が終了した孔位置測定装置23を使用して、実際にフランジ部18の膨出部21に対するボルト装置孔13の位置ずれ量を測定する。一例として、図6に示されるように、ボルト挿通孔13が膨出部21の幅方向中央から寸法bだけ左側にずれて形成されているケースを想定する。
【0031】
ボルト挿通孔13に位置決め軸31を挿入し、一対の測定子33,34を膨出部21の幅方向両端縁に当接させると、第1測定子33は、基準レベルよりも高い状態で膨出部21の幅方向端縁に当接する。第1測定子33の下端部は頂角が90°の円錐形状に形成され、膨出部21の幅方向端縁に当接する傾斜面33aは、第1測定子33の軸心(位置決め軸31の軸心)に対して45°の傾斜となっているので、第1測定子33は、膨出部21に対する位置決め軸31の位置ずれ量bと1:1の関係で基準レベルよりも高い位置に配置される。
【0032】
一方、第2測定子34は、基準レベルよりも低い状態で膨出部21の幅方向端縁に当接する。第2測定子34の下端部も、頂角が90°の円錐形状に形成され、膨出部21の幅方向端縁に当接する傾斜面34aは、第2測定子34の軸心(位置決め軸31の軸心)に対して45°の傾斜となっているので、膨出部21に対する位置決め軸31の位置ずれ量bと1:1の関係で基準レベルよりも低い位置に配置される。そのため、計測器36は、第1測定子33と第2測定子34との相対的な高さの差(変位量)として値2bを計測する。したがって、計測器36による計測値2bの1/2の値を求めれば、膨出部21に対するボルト挿通孔13の位置ずれ量bを取得することができる。
【0033】
次に、他の例として、図7に示されるように、ボルト挿通孔13が膨出部21の幅方向中央に形成されているものの、この膨出部21の幅方向寸法が設計値よりも寸法2cだけ小さいケースを想定する。
この場合、第1測定子33と第2測定子34とは、いずれも基準レベルよりも寸法cだけ低い状態で膨出部21の幅方向端縁に当接するが、計測器36によって測定される両者の相対的な高さの差は0となる。したがって、膨出部21の幅方向寸法に誤差があったとしても、ボルト挿通孔13が膨出部21の幅方向中央に形成されていることを正確に測定することができる。
【0034】
なお、図9に示されるように、フランジ部18には複数のボルト挿通孔13が形成されているが、孔位置測定装置23によって位置ずれ量を測定するボルト挿通孔13は一つだけでよい。ハブユニット11の製造過程において、フランジ部18は、まず1つのボルト挿通孔13が形成された後、当該ボルト挿通孔13を基準として所定の角度間隔(例えば、72°間隔)で他のボルト挿通孔13が形成されるため、一つのボルト挿通孔13が膨出部21に対して正確な位置に形成されていれば、他のボルト挿通孔13も正確な位置に形成されていると見なすことができるからである。
【0035】
本発明の孔位置測定装置23は、ハブユニット11におけるフランジ部(膨出部21、部分フランジ)を測定対象とするに限らず、孔が形成されたあらゆる部品等を測定対象とすることができる。また、孔が測定対象の幅方向中央部に形成される部品だけでなく、孔が幅方向中央部からずれた位置に形成される部品に対しても本発明の孔位置測定装置23を使用することができる。この場合、孔が測定対象の幅方向中央部からずれた位置に形成されているマスタワークを使用して各測定子の基準レベルを求め、この基準レベルをもとに測定を行えばよい。
【0036】
また、各測定子33,34と、位置決め軸31との間隔dは、必ずしも同一でなくてもよい。この場合においても、マスタワークを使用して各測定子の基準レベルを求めることで測定が可能となる。
【0037】
上記実施の形態では、一対の測定子33,34の下端部が円錐形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも測定対象の幅方向両端縁に当接する部分が傾斜面に形成されていればよい。また、当該傾斜面の角度は、測定子33,34の軸心(位置決め軸31の軸心)に対して45°の角度で傾斜しているのが好ましいが、これとは異なる角度で傾斜していてもよい。この場合、計測器36による計測値と、傾斜面の傾斜角度についての三角関数とを用いて測定対象に対する孔の位置ずれ量を求めることが可能である。
また、一対の測定子33,34は、棒体によって構成するに限らず、ブロック形状等の他の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0038】
11:ハブユニット、12:回転側軌道部材、13:ボルト挿通孔、18:フランジ部、21:膨出部、23:孔位置測定装置、27:載置テーブル、31:位置決め軸、33:第1測定子、34:第2測定子、36:計測器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の幅方向両端縁と、この幅方向両端縁の間に形成された孔との相対位置を測定するための孔位置測定装置であって、
前記孔に挿入されて前記測定対象を位置決めする位置決め軸と、
前記位置決め軸の軸心方向に沿って互いに相対移動可能であるとともに、前記位置決め軸に対して当該位置決め軸の軸心に直交する方向への相対移動が規制され、かつ前記位置決め軸の軸心を幅方向に挟んで前記測定対象の幅方向両端縁に当接可能な傾斜状の当接面を有する一対の測定子と、
一対の測定子の相対的な前記軸心方向の変位量を計測する計測器と、を備えていることを特徴とする孔位置測定装置。
【請求項2】
ハブユニットのフランジ部を載置可能な載置テーブルと、
上下方向の軸心を有するとともに、前記載置テーブル上に載置されたフランジ部のボルト挿通孔に挿入されて当該フランジ部を位置決めする位置決め軸と、
互いに相対的に上下移動可能であるとともに、前記位置決め軸に対して水平方向への相対移動が規制され、かつ前記位置決め軸の軸心を幅方向に挟んで前記フランジ部における前記ボルト挿通孔の形成部位の幅方向両端縁に当接可能な傾斜状の当接面を有する一対の測定子と、
この一対の測定子の相対的な上下方向の変位量を計測する計測器と、を備えていることを特徴とする孔位置測定装置。
【請求項3】
前記一対の測定子における当接面の傾斜角度が、前記位置決め軸の軸心に対して45°の角度に設定されている請求項1又は2に記載の孔位置測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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