説明

学習用具

【課題】 この発明は、子どもが負担を感じることなく基礎的な学習(例えば簡単な英単語、文字、計算)を行うことができるように、回答を選択式とし、かつスロットマシンの楽しさを加味した学習用具を得ることを課題とするものである。
【解決手段】 複数の回答候補8を一列に表示して構成された回答候補群が複数組表示された回転体7を筐体1内に装着し、前記各回答候補には電気的な座標情報を付与する。前記筐体には、1組の回答候補が表示される回答候補表示窓2と、1組の回答候補を構成する数と同じ数の回答スイッチ3と、スピーカーと、前記回転体を回転させるための操作部と、出題回路とを設けて学習用具を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットマシンの要素を取り入れ、子どもが楽しみながら基礎的な学習を行えるようにした学習用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、設問をカード状に構成して音声による出題と組み合わせた学習用具は知られているが、スロットマシン状に構成し、選択式の回答を行えるようにしたものは存在しない。
【特許文献1】特開昭58−211182号公報
【0003】
上記特許文献に開示された発明は、表示部に1つの文字や図柄を表示し、表示された文字や図柄の読み方などを音声により出題し、回答者はこれに対して音声又はキー入力により回答するものである。
ここに開示された発明においては、回答は回答者が自ら考え出すものであって、回答候補の中から選択することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、子どもが負担を感じることなく基礎的な学習(例えば簡単な英単語、文字、計算)を行うことができるように、回答を選択式とし、かつスロットマシンの楽しさを加味した学習用具を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の学習用具は以下のように構成する。
複数の回答候補を一列に表示して構成された回答候補群が複数組表示された回転体を筐体内に装着し、前記各回答候補には電気的な座標情報を付与する。前記筐体には、1組の回答候補が表示される回答候補表示窓と、1組の回答候補を構成する数と同じ数の回答スイッチと、スピーカーと、前記回転体を回転させるための操作部と、出題回路とを設ける。
前記出題回路は、予め記録された複数の設問から回答候補表示窓に表示された回答候補に対応する設問を選択して前記スピーカーから音声出力し、前記回答スイッチによる回答入力の正誤を前記座標情報に基づき判別し、判別結果を前記スピーカーから音声出力するものとする。前記出題回路に記録された設問には、正解となる回答候補の座標情報を記録しておく。
【0006】
前記回答候補は、図柄、文字、数字のいずれでもよい。例えば以下のように回答候補を表示する。なお、1組の回答候補群は3ないし5程度の回答候補で構成することが適当である。
この学習用具を英単語の学習用に使用する場合は、回答候補に絵柄を表示し、回答候補群に表示された複数の絵柄のうち一つの絵柄に対応する英単語を音声で出力して対応する絵柄を回答させる。また少し高度な回答者に対しては、回答候補に英単語の綴りを表示して英単語を音声で出力して対応する綴りを回答させる。
この学習用具を文字の学習用に使用する場合は、回答候補に文字を表示し、回答候補群に表示された複数の文字のうち一つの文字に対応する音声を出力して対応する文字を回答させる。
この学習用具を計算の学習用に使用する場合は、回答候補に数字を表示し、回答候補群に表示された複数の数字のうち一つが正解となる計算式を音声で出力して対応する数字を回答させる。
なお、複数の設問をまとめて出力して回答させることもできる。
【0007】
各回答候補に電気的な座標情報を付与するのは、回答候補表示窓に表示された1群の回答候補に対応した出題を選択するため、そして解答の正誤を判別するためである。したがって、座標情報はこれらの目的が達せられる態様で付与されていればよく、必ずしも「行」と「列」とによる情報でなくともよい。
例えば、全ての回答候補に一連の数字で情報が付与されていても、何れの数字の回答候補が何れの回答候補群に属しているか、そして出題に対する正解がいずれの回答スイッチに対応しているかが判別されるように出題選択回路を構成すればよい。
【0008】
回答スイッチは、回答候補表示窓に近接して配置すると、子どもが誤操作することがないが、回答候補表示窓に番号を付し、回答スイッチにも対応する番号を付しておいて番号に従って回答するようにすれば、必ずしも近接して配置しなくともよい。
各回答スイッチは固有の座標情報を出力するように構成する。
【0009】
回転体の駆動はバネによる駆動、モーターによる駆動の他、手動式とすることもできる。
モーター駆動とする場合、モーター、伝導ギアとスイッチとで操作部を構成する。例えば、最初の操作でモーターが回転し、2回目の操作でモーターが停止するようにする。手動式とする場合は、例えば回転体の回転軸に手動操作用のリングを付け、このリングを回答者が回すようにする。
【0010】
前記出題回路は、予め記録された複数の設問から回答候補表示窓に表示された回答候補に対応する設問を選択して前記スピーカーから音声出力する。
設問の選択は、回答候補表示窓に表示された回答候補群を回転体の停止位置に基づいて特定し、次いで特定された回答候補群に対応する複数の設問から一つの設問をランダムに選択するように構成されたプログラムにより行われる。
回答者が回答スイッチを操作すると、操作された回答スイッチに対応する回答候補の座標情報が得られるので、この座標情報を設問に記録された正解となる回答候補の座標情報と比較し、前記回答スイッチによる回答入力の正誤を判別し、判別結果を前記スピーカーから音声出力する。
【0011】
請求項2の発明は、回転体における回答候補群の列の間には、それぞれ一群の回答候補と同じ数の回答候補とは無関係の図柄が一列に表示され、複数列の無関係な図柄群のうち一列のみ同一の図柄を表したものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の学習用具での学習の流れは以下のとおりである。
学習者は、最初に回転体の操作部を操作して回転体を回転させる。回転体が停止すると、回答候補表示窓には一組の回答候補が表示される。他方出題回路において、回転体の停止位置に基づいて回答候補表示窓に表示された回答候補に対応した一組の設問候補が特定される。次いで前記設問候補から出題する設問がランダムに選択され、スピーカーから音声出力される。
この音声出力に対応して、学習者は回答スイッチを操作して回答する。この回答スイッチの操作により特定された回答候補の座標情報が前記出題回路に入力され、設問に記録された正解の座標情報と比較される。そして、正誤判別されて判別結果が前記スピーカーから音声出力される。
【0013】
この発明において、学習者は回転体がどこで止まるか、そして止まった後にどんな問題が出題されるか、という2度の緊張感、ワクワク感を感じることができるので、楽しみながら学習することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はこの発明実施形態の斜視図である。
筐体1の上面には、1組の回答候補が表示される3つの回答候補表示窓2a、2b、2c(以下まとめて「2」と表示する場合がある。)が設けてあり、各回答候補表示窓の下方には、各回答候補表示窓に近接して押しボタンスイッチである回答スイッチ3a、3b、3c(以下まとめて「3」と表示する場合がある。)が配設してあり、その下方にはスピーカー用の透孔4が設けてある。また筐体1の側面にはスリット5が設けてあり、このスリット5から回転体の操作部を構成するレバー6が突出している。
【0015】
前記筐体1の内部には、回転体7、回転体の操作部を構成する駆動装置、スピーカー、出題回路、乾電池が装着してある。
【0016】
回転体7は円筒であって、その表面に3つの回答候補を横に並べて表示した回答候補の図柄8が縦に4組表示されている。図2は回答候補表示面の展開図であり、最上列はリンゴ、イチゴ、ミカンの図柄8が表され、その他の列も簡単な英単語に対応する絵が表されている。
前記各図柄には以下の要領で電気信号で認識される二進法の座標情報が与えられている。
上下方向に、最上列から下列に向けて各列の列情報として(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,1)。
各列において左から順に(0,0)、(1,0)(0,1)。
【0017】
前記上下に隣接する回答候補3の間には、回答候補とは無関係の図柄9が各3個表示されている。この回答候補とは無関係な図柄の内1列の図柄は全て同じ図柄として(図2において最上列の回答候補図柄の下の列。その他の列は全て同じ図柄ではない)あり、スロットマシンゲームで全てそろった場合と同じ楽しさを学習者が学習の合間に味わえるようにしてある。
同じ絵柄がそろったときに、「おめでとう!」等の音声がスピーカーから出力されるように出題回路を構成すると、より一層楽しさが増す。
【0018】
前記回転体7の回転軸10にはギア11が装着してあり、このギア11が連動ギア12を介してラックギア13に連動してある。前記ラックギア13にはコイルバネ14の先端及び前記レバー6が固定してある。なお、前記連動ギア12にはクラッチギアを使用してコイルバネ14が原状に復帰した後も回転軸9が回転を継続できるようにすることが好ましい。
前記回転軸10,ギア11,連動ギア12,ラックギア13,コイルバネ14で回転体の駆動装置を構成する。
【0019】
前記回転軸10の端縁には前記各列の回答候補3に対応して4つの凸部15が形成してあり、この凸部15には前記各列に与えられ座標情報を伝達するための端子が設けてある。他方回転軸10の軸受けには凹部が一つ設けてあり、この凹部には前記凸部15に設けられた端子と接続する端子が設けてある。前記両端子を介して回転体7の位置情報が出題回路に入力される。
【0020】
前記出題回路には設問データと、プログラムが記録されている。
【0021】
前記設問データは、表示画面に表示される1組の回答候補に対応してグループ化されている。各グループのグループ番号は前記回答候補の組、すなわち一列の表示される図柄の列情報と同じ二進法の情報、(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,1)としてある。
前記グループ化された各グループには、回答候補の数である3個に対応して3個の設問が記録されている。図2に基づけば、最上段の回答候補図柄に対応する設問である「APPLE」「STRAWBERRY」「ORANGE」の音声データが記録されている。そして、各設問には正解の座標情報(例えば、「STRAWBERRY」であれば(1、0))が記録されている。そして、各設問データには自己の座標情報が記録されている。この座標情報は前記各回答候補図柄8の座標データに対応するものとする。
【0022】
前記出題回路に組み込まれるプログラムは以下のとおりである。
(出題の特定)
回転体7の停止により、回転軸10に形成された何れの凸部15から前記軸受けが取得した回転体7の位置情報に基づき、出題すべき設問グループを特定し、次いで各設問グループに記録された3個の設問から何れを出題するかを乱数表に基づきランダムに特定し、特定された1つの設問データを出力する。
前記出力はスピーカーから音声出力される
【0023】
(正誤判別)
前記スピーカーから音声出力される出題に対し、学習者は正解と考える図柄に対応した位置にある回答スイッチ3を操作して回答する。学習者のスイッチ操作により、回答された図柄の座標データが特定され、これが出題回路に入力される。
出題回路は、前記入力された座標データと設問の座標データとを比較する比較回路を有し、比較回路の演算において入力された座標データと設問に記録された座標データとが一致した場合は正解信号を、異なる場合は誤答信号を発信し、各信号に対応する音声がスピーカーから出力される。
【0024】
上記においては、一組の回答候補に対して一つの設問を発信するものとして説明したが、一組の回答候補に対して複数の設問を発信し、複数の回答を求めることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、子ども達が楽しく学習することのできる学習用具を提供するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明実施例の斜視図
【図2】この発明実施例の図柄の展開図
【図3】この発明実施例の操作部を示す斜視図
【図4】出題回路のフローチャート
【符号の説明】
【0027】
1 筐体
2a、2b、2c 回答候補表示窓
3a、3b、3c 回答スイッチ
4 スピーカー用透孔
5 スリット
6 レバー
7 回転体
8 回答候補図柄
9 回答候補と無関係な図柄
10 回転軸
11 ギア
12 連動ギア
13 ラックギア
14 コイルバネ
15 凸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回答候補を一列に表示して構成された回答候補群が複数組表示された回転体を筐体内に装着し、
前記各回答候補は電気的な座標情報を有し、
前記筐体には、1組の回答候補が表示される回答候補表示窓と、1組の回答候補を構成する数と同じ数の回答スイッチと、スピーカーと、前記回転体を回転させるための操作部と、出題回路とを設け、
前記出題回路は、予め記録された複数の設問から回答候補表示窓に表示された回答候補に対応する設問を選択して前記スピーカーから音声出力し、前記回答スイッチによる回答入力の正誤を前記座標情報に基づき判別し、判別結果を前記スピーカーから音声出力するものとし、
前記出題回路に記録された設問には、正解となる回答候補の座標情報が記録された、
学習用具
【請求項2】
回転体における回答候補群の列の間には、それぞれ一群の回答候補と同じ数の回答候補とは無関係の図柄が一列に表示され、複数列の無関係な図柄群のうち一列のみ同一の図柄が表示された、請求項1に記載の学習用具

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−212266(P2006−212266A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29267(P2005−29267)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】