説明

安全性の高いシリコーン含有眼用レンズ材料およびその製造方法

酸素透過性や表面の水濡れ性および潤滑性/易潤性に優れ、表面の粘着性が少なく、かつ優れた柔軟性と反発性を有し、さらに最終製品からのモノマー溶出物が抑制された安全な眼用レンズ材料を提供する。(A)ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物と(B)重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体を含む、眼用レンズ材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、眼用レンズ材料およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、高酸素透過性、優れた柔軟性に加え、表面水濡れ性に優れ、かつ表面の潤滑性/易潤性に優れた、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜、角膜オンレイ、角膜インレイなどとして好ましく用いることができる眼用レンズ材料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
1−ビニル−2−ピロリドン(以下、N−VPという)は工業的に有益、かつ代表的な水溶性ポリマーを製造するために用いられる。しかし、ビニル基を有するため工業的に頻繁に使用されるアルキル(メタ)アクリレートやアルキル(メタ)アクリルアミドとの共重合性が低いといった欠点を有する。このため、N−VPを用いた材料の重合、とくに短時間で硬化させるようなUV重合を行う場合には、未反応のモノマーが多くなる傾向にある。
重合性を改善し、種々の工業において有用な水溶性ポリマーを作製するために、ピロリドン骨格を有する1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン(以下、1,3−MMPという)を使用することが特開昭58−152017号公報に記載されている。また、1,3−MMPを主成分とした含水性コンタクトレンズ材料については特公平1−15847号公報および特公平6−82177号公報に記載されている。1,3−MMPは、メチレン基に隣接したアミド基を有しており、本発明の属する技術分野において頻繁に使用されるアルキル(メタ)アクリルアミドと類似の構造をもつ化合物である。したがって、1,3−MMPは、アルキル(メタ)アクリルアミドやアルキル(メタ)アクリレートとの相溶牲がよく、共重合性にも優れる。たとえば、特公平6−82177号公報では1,3−MMPとN−VPを共重合させた含水率70重量%以上の高含水率のハイドロゲルが記載されている。これらの文献には、1,3−MMPを主成分として用いることで柔軟性に優れたハイドロゲルが得られることが記載されている。しかし、高含水率のハイドロゲルにおいては、柔軟性は高いものの、形状保持性に劣るコンタクトレンズしか作製できない。さらに、これらの特許文献に記載されているような高含水性ゲルからなるコンタクトレンズの酸素透過性は、水の酸素透過性を大きく下回っており、連続装用時またはうたた寝時などにおける装用状態を考慮した場合、角膜に必要な酸素を充分に透過できるとはいえない。
一方、レンズの角膜への酸素透過性を向上させる目的で、主成分として疎水性のシリコーン化合物を使用したシリコーンハイドロゲル材料が近年多く報告されている。そして、シリコーン化合物を使用するため材料表面の水濡れ性は低く、これを改善するために強親水性のモノマーであるN−VPを共重合させることが米国特許第5,486,579号明細書に記載されている。しかし、前述のとおり、N−VPは重合性が低いため、共重合体を医療用具として用いる場合、製品材料中に未反応モノマーとして残留する可能性が高い。また、残留物のない安全な医療用具を提供するには多くの労力を要する。そこで、この問題を改善することを目的に米国特許第5,486,579号明細書では、N−VPとの共重合性を向上させるために、その他の重合性成分の重合性基を統一化するためのモノマーの構造設計をしている。しかし、さまざまな機能を有する成分を用いるためには、すべての重合性成分のモノマー設計と製造を行う必要があり、これはいかなる業者においても非常に困難である。
また、特開平6−214197号公報には、1,3−MMPとシリコーン含有(メタ)アクリレートおよび/またはフルオロアルキル(メタ)アクリレートからなるコンタクトレンズが記載されている。この中では、形状保持性および機械的強度を付与させることを目的として、酸素透過性コンタクトレンズの材料として用いられているシリコーン含有(メタ)アクリレートおよび/またはフルオロアルキル(メタ)アクリレートを共重合させることが記載されている。しかし、ここでターゲットとしているコンタクトレンズ材料は含水率が37〜58重量%程度、酸素透過係数は26〜35程度であり、連続装用時またはうたた寝時などにおける装用状態を考慮した場合、十分な酸素透過性を有するとはいえない。また、特開平6−214197号公報に記載の、シリコーン含有(メタ)アクリレートおよび/またはフルオロアルキル(メタ)アクリレートと親水性モノマーを主成分とする共重合体では、形状保持性および機械的強度が不十分である。
シリコーンを含有するハイドロゲルの製造においては、材料を構成する成分の相溶性が重要となる。シリコーン含有モノマーと強親水性モノマーからなる材料においては、材料が相分離しやすく、透明な材料を得ることは困難である。こうした相溶性に乏しい系の重合では、しばしば有機溶媒が使用される。たとえば、特許第3249123号公報には有機希釈剤を5〜60重量%使用するコンタクトレンズの製造方法が、また特表平8−503173号公報には前記製造方法において、特定温度で溶媒を蒸発させて除去する方法が示されている。しかし、実際に、これらの文献においては、有機溶媒の使用量が数十%と多く、透明な材料を得るために充分な有機溶媒を使用した場合、有機溶媒へのラジカル連鎖移動により高分子の重合度は低くなる傾向にあり、材料自体の強度低下は避けられない。また、同じ理由により、材料からのモノマーやオリゴマーの溶出量が多くなる。さらに、大量の有機溶媒を系中から除去することは煩雑かつ困難であり、大量生産を考慮に入れた場合には不向きである。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、酸素透過性や表面の水濡れ性および潤滑性/易潤性に優れ、表面の粘着性が少なく、かつ優れた柔軟性と反発性を有する眼用レンズ材料およびその製造方法を提供することを目的とした。さらに、N−VPを親水性成分として使用した系で見られる重合性の低さを改善し、レンズ製造において残留成分を低減できる系を確立し、最終製品からのモノマー溶出物を抑制することによって安全な眼用レンズ材料を提供することを目的とした。
【発明の開示】
前記の特性を有する眼用レンズ材料を得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定のウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する化合物と、1,3−MMPに代表される、重合性基がメチレン基であるピロリドン誘導体、たとえば、1−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−アルキル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドンを必須成分とする眼用レンズ材料が前記特性を兼ね備えることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、A)ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物と(B)重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体を含む眼用レンズ材料に関する。
また、本発明は、眼用レンズ材料の製造方法であって、
a)ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物(A)、重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体を含む親水性モノマー(B)ならびに光重合開始剤および/または熱重合開始剤を含む混合液を得る工程、
b)該混合液を成型用型へ導入する工程、
c)該成型用型内の混合液にUV光を照射するか、および/または加熱することにより、硬化した眼用レンズ材料を得る工程、
d)該眼用レンズ材料を脱離した後、該眼用レンズ材料に表面処理を施して、親水性および/または耐汚染性を付与する工程、
e)該眼用レンズ材料から未反応物を取り除く工程、および
f)該眼用レンズ材料を水和させる工程、
を含む眼用レンズ材料の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の眼用レンズ材料は、ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物(A)と重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)を含むものである。
化合物(A)は、ウレタン結合という弾性力のある結合を有し、シロキサン部分により材料の柔軟性や酸素透過性を損なうことなく補強し、かつ弾力的反発性を付与して脆さをなくし、機械的強度を向上させるという性質を付与する成分である。また、化合物(A)は、分子鎖中にシリコーン鎖を有するので、製品に高酸素透過性を付与することができる。
化合物(A)は、分子の両末端に重合性基であるエチレン型不飽和基を有し、かかる重合性基を介して他の共重合成分と共重合されるので、得られる眼用レンズ材料に分子の絡み合いによる物理的な補強効果だけでなく、化学的結合(共有結合)による補強効果を付与するというすぐれた性質を有するものである。すなわち、化合物(A)は、高分子架橋性モノマーとして作用するものである。
化合物(A)は、一般式(1):
−U−(−S−U−)−S−U−A (1)
[式中、Aは一般式(2):
21−Z21−R31− (2)
(式中、Y21は(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはアリル基、Zは酸素原子または直接結合、R31は直接結合または炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖もしくは芳香環を有するアルキレン基を示す)で表わされる基;
は一般式(3):
−R34−Z22−Y22 (3)
(式中、Y22は(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはアリル基、Zは酸素原子または直接結合、R34は直接結合または炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖もしくは芳香環を有するアルキレン基を示す)で表わされる基(ただし、一般式(2)中のY21および一般式(3)中のY22は同一であってもよく、異なっていてもよい);
は一般式(4):
−X21−E21−X25−R32− (4)
(式中、X21およびX25は、それぞれ独立して直接結合、酸素原子およびアルキレングリコール基から選ばれ、E21は−NHCO−基(ただし、この場合、X21は直接結合であり、X25は酸素原子またはアルキレングリコール基であり、E21はX25とウレタン結合を形成している)、−CONH−基(ただし、この場合、X21は酸素原子またはアルキレングリコール基であり、X25は直接結合であり、E21はX21とウレタン結合を形成している)または飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(ただし、この場合、X21およびX25はそれぞれ独立して酸素原子およびアルキレングリコール基から選ばれ、E21はX21およびX25のあいだで2つのウレタン結合を形成している)、R32は炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基;
およびSはそれぞれ独立して一般式(5):

(式中、R23、R24、R25、R26、R27およびR28は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、フッ素置換されたアルキル基またはフェニル基、Kは10〜100の整数、Lは0または1〜90の整数であり、K+Lは10〜100の整数である)で表わされる基;
は一般式(6):
−R37−X27−E24−X28−R38− (6)
(式中、R37およびR38は、それぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖を有するアルキレン基;X27およびX28はそれぞれ独立して酸素原子またはアルキレングリコール基;E24は飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(ただし、この場合、E24はX27およびX28のあいだで2つのウレタン結合を形成している)で表わされる基;
は一般式(7):
−R33−X26−E22−X22− (7)
(式中、R33は炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖を有するアルキレン基、X22およびX26は、それぞれ独立して直接結合、酸素原子およびアルキレングリコール基から選ばれ、E22は−NHCO−基(ただし、この場合、X22は酸素原子またはアルキレングリコール基であり、X26は直接結合であり、E22はX22とウレタン結合を形成している)、−CONH−基(ただし、この場合、X22は直接結合であり、X26は酸素原子またはアルキレングリコール基であり、E22はX26とウレタン結合を形成している)または飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(ただし、この場合、X22およびX26はそれぞれ独立して酸素原子およびアルキレングリコール基から選ばれ、E22はX22およびX26のあいだで2つのウレタン結合を形成している)で表わされる基;
nは0または1〜10の整数を示す]で表わされる重合性基が1個以上のウレタン結合を介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマクロモノマーである。
一般式(1)において、Aは、前記したように、一般式(2):
21−Z21−R31− (2)
(式中、Y21、Z21およびR31は前記と同じ)で表わされる基であり、またAは一般式(3):
−R34−Z22−Y22 (3)
(式中、Y22、Z22およびR34は前記と同じ)で表わされる基である。
21およびY22は、いずれも重合性基であるが、親水性モノマー(D)と容易に共重合しうるという点で、アクリロイル基がとくに好ましい。
21およびZ22は、いずれも酸素原子または直接結合であり、好ましくは酸素原子である。
31およびR34は、いずれも直接結合または炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖もしくは芳香環を有するアルキレン基であり、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。
、UおよびUは、いずれも化合物(A)の分子鎖中でウレタン結合を含む基を表わす。
およびUにおいて、E21およびE22は、前記したように、それぞれ−CONH−基、−NHCO−基または飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基を表わす。ここで、飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基としては、たとえばエチレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの飽和脂肪族系ジイソシアネート由来の2価の基;1,2−ジイソシアネートシクロヘキサン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式系ジイソシアネート由来の2価の基;トリレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアネートナフタレンなどの芳香族系ジイソシアネート由来の2価の基;2,2’−ジイソシアネートジエチルフマレートなどの不飽和脂肪族系ジイソシアネート由来の2価の基があげられる。これらのなかでは、比較的入手しやすく、かつ強度を付与しやすいので、ヘキサメチレンジイソシアネート由来の2価の基、トリレンジイソシアネート由来の2価の基およびイソホロンジイソシアネート由来の2価の基が好ましい。
において、E21が−NHCO−基である場合には、X21は直接結合であり、X25は酸素原子またはアルキレングリコール基であり、E21はX25と式:−NHCOO−で表わされるウレタン結合を形成する。また、E21が−CONH−基である場合には、X21は酸素原子またはアルキレングリコール基であり、X25は直接結合であり、E21はX21と式:−OCONH−で表わされるウレタン結合を形成する。さらにE21が前記ジイソシアネート由来の2価の基である場合には、X21およびX25はそれぞれ独立して酸素原子および好ましくは炭素数1〜6のアルキレングリコール基から選ばれ、E21はX21とX25とのあいだで2つのウレタン結合を形成している。R32は炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖を有するアルキレン基である。
において、E24は、前記したように、飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基を表わす。ここで、飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基としては、たとえば前記UおよびUにおける場合と同様の2価の基があげられる。これらのなかでは、比較的入手しやすく、かつ強度を付与しやすいので、ヘキサメチレンジイソシアネート由来の2価の基、トリレンジイソシアネート由来の2価の基およびイソホロンジイソシアネート由来の2価の基が好ましい。また、E24はX27とX28とのあいだで2つのウレタン結合を形成している。X27およびX28はそれぞれ独立して酸素原子または好ましくは炭素数1〜6のアルキレングリコール基であり、またR37およびR38はそれぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖を有するアルキレン基である。
において、R33は炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖を有するアルキレン基である。E22が−NHCO−基である場合には、X22は酸素原子またはアルキレングリコール基であり、X26は直接結合であり、E22はX22と式:−NHCOO−で表わされるウレタン結合を形成する。また、E22が−CONH−基である場合には、X22は直接結合であり、Xは酸素原子またはアルキレングリコール基であり、E22はX26と式:−OCONH−で表わされるウレタン結合を形成する。さらにE22が前記ジイソシアネート由来の2価の基である場合には、X22およびX26はそれぞれ独立して酸素原子および好ましくは炭素数1〜6のアルキレングリコール基から選ばれ、E22はX22とX26とのあいだで2つのウレタン結合を形成している。
ここで、前記X21、X25、X27、X28、X22およびX26における好ましくは炭素数1〜20のアルキレングリコールとしては、たとえば一般式(8):
−O−(C2x−O)− (8)
(式中、xは1〜4の整数、yは1〜5の整数を示す)で表わされる基などがあげられる。
およびSはいずれも、前記したように、一般式(5)で表わされる基である。
一般式(5)において、R23、R24、R25、R26、R27およびR28は、前記したように、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、フッ素置換されたアルキル基またはフェニル基である。
前記フッ素置換されたアルキル基としては、たとえば、−(CH−C2n+1(m=1〜10、n=1〜10)で表される基があげられ、その具体例としては、たとえば、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、2−(ペルフルオロオクチル)エチル基などの側鎖状または2−(ペルフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル基などの分枝鎖状のフッ素置換されたアルキル基などがあげられる。なお、本発明においては、かかるフッ素置換されたアルキル基を有する化合物(A)を用い、その配合量を多くすると、得られる眼用レンズ材料の抗脂質汚染性が向上する傾向がある。
また、Kは10〜100の整数、Lは0または1〜90の整数であり、K+Lは、好ましくは10〜100の整数であり、より好ましくは10〜80である。K+Lが、100よりも大きい場合には、化合物(A)の分子量が大きくなり、これとピロリドン誘導体やこれ以外の親水性モノマーとの相溶性がわるくなり、配合時に均一に溶解しなかったり、重合時に相分離して白濁を呈し、均一で透明な眼用レンズ材料が得られない傾向があり、また10未満である場合には、得られる眼用レンズ材料の酸素透過性が低くなり、柔軟性も低下する傾向がある。
さらに、nは0または1〜10の整数であることが好ましい。nが10よりも大きい場合には、化合物(A)の分子量が大きくなり、これとピロリドン誘導体やこれ以外の親水性モノマーとの相溶性がわるくなり、配合時に均一に溶解しなかったり、重合時に相分離して白濁を呈し、均一で透明な眼用レンズ材料が得られない傾向がある。nはより好ましくは0または1〜5の整数である。
また、化合物(A)は、一般式(9):
−U−T−U−(−S−U−)−S−U−T−U−A (9)
[式中、A、A、U、U、U、S、S、nについては、一般式(1)と同一であり、U、Uは、それぞれU、Uと同一である。ただし、A、A中のY21、Y22については、(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはアリル基である。
およびTは、一般式(10):
−Q−(CHCHD−Q−)− (10)
(式中、Dは水素原子、メチル基または水酸基であり、Qは直接結合または酸素原子、nは5〜10,000である。)
あるいは、一般式(11):
−(M)− (11)
((式中、Mは、1,3−MMP、N−VP、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン、オキセタン、オキサゾリン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどから選択される親水性モノマー単位を示し、それらから構成されるポリマーの重合連鎖については、直鎖状でも分岐状でもよく、またランダム状、ブロック状に結合していてもよい。Xは5〜10,000である)で表される親水性ポリマー含有セグメントまたは親水性オリゴマー含有セグメントである)]で表わされる重合性基が1個以上のウレタン結合を介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマクロモノマーである。
化合物(A)は、さらに親水性ポリマー構造を有していてもよい。この構造により、化合物(A)と親水性モノマーとの相溶性が向上し、これらからなる材料の水濡れ性を向上させることができる。親水性ポリマー部分の構造としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリテトラヒドロフラン、ポリオキセタン、ポリオキサゾリン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリジエチルアクリルアミド、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)などの双性イオン性基含有モノマーを重合して得られる1種以上のポリマーがあげられる。この親水性ポリマー構造部分の分子量は、100〜1,000,000であり、好ましくは1,000〜500,000である。分子量が100未満である場合、化合物(A)を親水性モノマーに溶解させるのに十分な親水性を付与できなくなる傾向がある。一方、分子量が1,000,000を超える場合、親水性・疎水性のドメインが大きくなり、透明な材料が得られなくなる傾向がある。
化合物(A)の代表例としては、たとえば式:

で表わされる化合物(以下、化合物(A−1)という)、式:

で表わされる化合物(以下、化合物(A−2)という)などがあげられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明において使用される重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)、たとえば、1−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−アルキル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドンは、眼用レンズ材料に優れた柔軟性および水濡れ性を付与し、さらに装用感を向上させる成分である。また、反応系において、親水性モノマーであるN−ビニルピロリドンを使用する場合と比較して、重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)は重合性が高いため、製品材料中に残留する未反応モノマーなどの溶出を低く抑えることができる。とくに、全重合性成分に対する重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)の使用量を多くすると、眼用レンズ材料に優れた表面の水濡れ性と潤滑性/易潤性を付与することができる。具体的には、重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)の使用量は、全重合性成分に対して、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜55重量%である。重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)の使用量が5重量%未満である場合、所望の水濡れ性および表面の潤滑性/易潤性を達成できず、材料表面の水濡れ性が劣る傾向がある。一方、60重量%を超える場合、酸素透過性が含水率支配となり、連続装用時またはうたた寝時などにおける装用状態を考慮した場合、十分な酸素を角膜に供給できない傾向がある。
本発明において使用される重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)としては、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−i−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−i−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−t−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドンなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体のうち、親水性が高く、少量の使用で親水性に優れた材料が得られること、さらに製造方法が比較的容易である点から、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドンが好ましい。
本発明において、得られる眼用レンズ材料の酸素透過性をさらに向上させ、かつ柔軟性を付与するために、前記化合物(A)以外のシリコーン化合物(C)を眼用レンズ材料として含有させることが好ましい。
シリコーン化合物(C)としては、シリコーン含有アルキル(メタ)アクリレート、シリコーン含有スチレン誘導体およびシリコーン含有フマル酸ジエステルがあげられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、本明細書にいう「〜(メタ)アクリレート」とは、「〜アクリレートおよび/または〜メタクリレート」を意味し、他の(メタ)アクリレート誘導体についても同様である。
シリコーン含有アルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、トリメチルシロキシジメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキシプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキシメチル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。シリコーン含有スチレン誘導体としては、たとえば一般式(12):

(式中、pは1〜15の整数、qは0または1、rは1〜15の整数を示す)で表わされる化合物などがあげられる。一般式(12)で表わされるシリコーン含有スチレン誘導体においては、pまたはrが16以上の整数である場合には、その精製や合成が困難となり、さらには得られる眼用レンズ材料の硬度が低下する傾向があり、またqが2以上の整数である場合には、該シリコーン含有スチレン誘導体の合成が困難となる傾向がある。
前記一般式(12)で表わされるシリコーン含有スチレン誘導体としては、たとえば、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルスチレン、(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシジメチルシリルスチレン、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシロキシ]ジメチルシリルスチレン、(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルスチレン、ヘプタメチルトリシロキサニルスチレン、ノナメチルテトラシロキサニルスチレン、ペンタデカメチルヘプタシロキサニルスチレン、ヘンエイコサメチルデカシロキサニルスチレン、ヘプタコサメチルトリデカシロキサニルスチレン、ヘントリアコンタメチルペンタデカシロキサニルスチレン、トリメチルシロキシペンタメチルジシロキシメチルシリルスチレン、トリス(ペンタメチルジシロキシ)シリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)メチルシリルスチレン、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、トリメチルシロキシビス[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、ヘプタキス(トリメチルシロキシ)トリシリルスチレン、ノナメチルテトラシロキシウンデシルメチルペンタシロキシメチルシリルスチレン、トリス[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、(トリストリメチルシロキシヘキサメチル)テトラシロキシ[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]トリメチルシロキシシリルスチレン、ノナキス(トリメチルシロキシ)テトラシリルスチレン、ビス(トリデカメチルヘキサシロキシ)メチルシリルスチレン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサニルスチレン、ヘプタメチルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、トリプロピルテトラメチルシクロテトラシロキサニルスチレン、トリメチルシリルスチレンなどがあげられる。シリコーン含有フマル酸ジエステルとしては、たとえば、一般式(13):

(式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立してメチル基または式:

で表されるトリメチルシロキシ基、mおよびnはそれぞれ独立して1〜3の整数を示す)で表される化合物などがあげらえる。
前記一般式(13)で表される化合物としては、たとえば、ビス(3−(トリメチルシリル)プロピルフマレート、ビス(3−(ペンタメチルジシロキサニル)プロピル)フマレート、ビス(3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリル)オキシ)ジシロキサニル)プロピル)フマレート、ビス(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)フマレートなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、材料の柔軟性の付与、および化合物(A)とピロリドン誘導体(B)との共重合性の点から、シリコーン含有アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、重合性、酸素透過性、柔軟性の付与の点から、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートがより好ましい。
シリコーン化合物(C)のうちシリコーン含有アルキル(メタ)アクリレートを使用する場合の使用量は、全重合性成分に対して、好ましくは3〜65重量%であり、より好ましくは5〜60重量%である。シリコーン含有アルキル(メタ)アクリレートの使用量が3重量%未満である場合、得られる眼用レンズ材料は、高弾性率で脆く、柔軟性に劣る傾向がある。一方、65重量%を超える場合、弾性率は低下するものの、材料の反発性は劣り、さらに表面の粘着性が増す傾向がある。
シリコーン化合物(C)のうちシリコーン含有スチレン誘導体を使用する場合の使用量は、全重合性成分に対して、好ましくは1〜30重量%であり、より好ましくは3〜20重量%である。シリコーン含有スチレン誘導体の使用量が1重量%未満である場合、得られる眼用レンズ材料の酸素透過性および機械的強度を充分に向上させることができない傾向がある。一方、30重量%を超える場合、得られる眼用レンズ材料の柔軟性が低下する傾向がある。
シリコーン化合物(C)のうちシリコーン含有フマル酸ジエステルを使用する場合の使用量は、全重合性成分に対して、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは3〜40重量%である。シリコーン含有フマル酸ジエステルの使用量が1重量%未満である場合、得られる眼用レンズ材料の酸素透過性を十分に向上させることができない傾向がある。一方、50重量%を超える場合、十分な機械的強度が得られない傾向がある。
本発明の眼用レンズ材料には、N−置換アクリルアミド(D)を含有させることが好ましい。N−置換アクリルアミド(D)を眼用レンズ材料として含有させることで、ピロリドン誘導体(B)とともにシリコーン成分の相溶化剤として働き、かつ透明性に優れた均一な含水ゲルを作製できる。
N−置換アクリルアミド(D)を使用せずに、ピロリドン誘導体(B)のみでは、化合物(A)およびシリコーン化合物(C)といったシリコーン含有成分との相溶性がわるく、得られる眼用レンズ材料の透明性が低下してしまう傾向がある。これに対して、本発明において、ピロリドン誘導体(B)と同時に、N−置換アクリルアミド(D)を用いることにより、シリコーン含有成分との相溶性が向上し、得られる眼用レンズ材料の透明性を向上させることができる。
N−置換アクリルアミド(D)としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどがあげられる。これらのなかでも、少量で相溶性を向上し得る点から、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドおよびアクリロイルモルホリンが好ましい。
本発明において、N−置換アクリルアミド(D)を使用する場合は、全重合性成分に対して、好ましくは3〜40重量%であり、より好ましくは5〜35重量%である。N−置換アクリルアミド(D)の使用量が3重量%未満である場合、重合系が白濁し、眼用レンズ材料の透明性が低下する傾向がある。一方、40重量%を超える場合、N−置換アクリルアミドは、両親媒性ゆえ涙液中の脂質を多く取り込み、眼用レンズとしては汚れやすい傾向がある。この時、さらに所望の酸素透過性を得るために、ピロリドン誘導体(B)の使用を少なくした場合には、眼用レンズ材料の表面の水濡れ性および潤滑性が損なわれる傾向がある。
本発明の眼用レンズ材料として、ピロリドン誘導体(B)とN−置換アクリルアミド(D)とを併用する場合、ピロリドン誘導体(B)とN−置換アクリルアミド(D)との割合[(B)/(D)(重量比)]は、ピロリドン誘導体(B)が少ない場合、眼用レンズ材料の表面水濡れ性および潤滑性/易潤性が損なわれるおそれがあるので、好ましくは40/60以上、より好ましくは45/55以上、さらに好ましくは50/50以上であり、またピロリドン誘導体(B)が多い場合、重合系が白濁し、眼用レンズ材料の透明性が低下するほか、材料自体の硬度が高くなり、装用感に悪影響を与えるおそれがあるので、好ましくは100/0以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下である。
本発明の眼用レンズ材料として、必須成分である化合物(A)およびピロリドン誘導体(B)に、さらに、シリコーン化合物(C)およびN−置換アクリルアミド(D)を含有させる場合、それぞれの割合は、以下のように設定することが好ましい。
化合物(A)およびシリコーン化合物(C)の合計と、ピロリドン誘導体(B)およびN−置換アクリルアミド(D)の合計との割合[{(A)+(C)}/{(B)+(D)}(重量比)]は、(B)+(D)が多い場合、眼用レンズ材料の酸素透過性が含水率に依存してしまい、高い酸素透過性を得ることが不可能となるので、好ましくは30/70以上であり、より好ましくは35/65以上であり、さらに好ましくは40/60以上である。また、(A)+(C)が多い場合、眼用レンズ材料の柔軟性が失われ、硬くごわついた感触の材料または表面のべたついた材料となり、装用感に悪影響を与えるので、好ましくは70/30以下であり、より好ましくは67/33以下であり、さらに好ましくは65/35以下である。
(A)+(C)と(B)+(D)の割合[{(A)+(C)}/{(B)+(D)}(重量比)]と同時に要求される条件として、化合物(A)とシリコーン化合物(C)との割合[(A)/(C)(重量比)]は、シリコーン化合物(C)が多い場合、眼用レンズ材料表面のべたつきが顕著になり、また材料の形状保持性が低下するので、好ましくは25/75以上であり、より好ましくは27/73以上であり、さらに好ましくは30/70以上である。また、化合物(A)が多い場合、眼用レンズ材料の柔軟性が失われ、硬く脆くなるので、好ましくは75/25以下であり、より好ましくは73/27以下であり、さらに好ましくは70/30以下である。
また、本発明においては、ピロリドン誘導体(B)と共重合される、N−置換アクリルアミド(D)以外の親水性モノマー(E)を使用することができる。親水性モノマー(E)を眼用レンズ材料として含有させることで、得られる眼用レンズ材料に柔軟性および表面水濡れ性を付与し、装用感を向上させ、しかも潤滑性/易潤性を付与することができる。
本発明において使用可能な親水性モノマー(E)としては、たとえば、(メタ)アクリルアミド;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(アルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;エチレングリコールアリルエーテル;エチレングリコールビニルエーテル;(メタ)アクリル酸;アミノスチレン;ヒドロキシスチレン;酢酸ビニル;グリシジル(メタ)アクリレート;アリルグリシジルエーテル;プロピオン酸ビニル;N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタムなどのN−ビニルラクタム;N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニルフタルイミドなどのN−ビニルアミドなどがあげられる。これらの親水性モノマー(E)のなかでは、シリコーン含有成分との相溶性によりすぐれ、眼用レンズ材料に親水性を付与できるという点から、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−ビニルラクタムおよびN−ビニルアミドが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なお、たとえば、酸や塩基によって加水分解を受ける酢酸ビニルなどの成分を用いた系においては、眼用レンズ材料を製造したのちに酸や塩基にて処理することにより、眼用レンズ材料にさらなる柔軟性および表面水濡れ性を付与することができる。
得られる眼用レンズ材料にさらに所望の特性を付与しようとする場合には、アルキル(メタ)アクリレート、フッ素含有アルキル(メタ)アクリレート、硬度調節モノマー、重合性および非重合性の紫外線吸収剤、色素、紫外線吸収性色素などをモノマー(F)として用いることもできる。
アルキル(メタ)アクリレートは、眼用レンズ材料の硬度を調節して硬質性や軟質性を付与する成分である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル(メタ)アクリレートがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
フッ素含有アルキル(メタ)アクリレートは、眼用レンズ材料の抗脂質汚染性を向上させる成分である。
フッ素含有アルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば一般式(14):
CH=CRCOOC(2s−t+1) (14)
(式中、Rは水素原子またはCH、sは1〜15の整数、tは1〜(2s+1)の整数を示す)で表わされる化合物があげられる。
前記一般式(14)で表わされる化合物の具体例としては、たとえば2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−t−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−t−ヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
アルキル(メタ)アクリレートやフッ素含有アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、必須成分である化合物(A)およびピロリドン誘導体(B)、さらには、シリコン化合物(C)、N−置換アクリルアミド(D)および親水性モノマー(E)などの重合成分による効果が充分に発現されるように、好ましくは全重合性成分の20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。また、アルキル(メタ)アクリレートやフッ素含有アルキル(メタ)アクリレートの効果を充分に発現させるためには、前記重合成分の0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上である。
硬度調節モノマーは、眼用レンズ材料の硬度を調節して硬質性や軟質性を付与する成分である。
硬度調節モノマーとしては、たとえば、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;エチルチオエチル(メタ)アクリレート、メチルチオエチル(メタ)アクリレートなどのアルキルチオアルキル(メタ)アクリレート;スチレン;α−メチルスチレン;メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、t−ブチルスチレン、イソブチルスチレン、ペンチルスチレンなどのアルキルスチレン;メチル−α−メチルスチレン、エチル−α−メチルスチレン、プロピル−α−メチルスチレン、ブチル−α−メチルスチレン、t−ブチル−α−メチルスチレン、イソブチル−α−メチルスチレン、ペンチル−α−メチルスチレンなどのアルキル−α−メチルスチレンなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
重合成分中の硬度調節モノマーの含有量は、眼用レンズ材料に所望の硬質性や軟質性を充分に付与するためには、1重量%以上であり、好ましくは3重量%以上である。また、眼用レンズ材料の酸素透過性や機械的強度が低下しないようにするには、30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
重合性および非重合性の紫外線吸収剤、色素ならびに紫外線吸収性色素は、眼用レンズ材料に紫外線吸収性を付与したり、材料を着色する成分である。
前記重合性紫外線吸収剤の具体例としては、たとえば、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−5−t−ブチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2’,4’−ジクロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシ−3’−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合性紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−t−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2”−メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−t−ブチルフェニル)−5−メチル−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系重合性紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシメチル安息香酸フェニルなどのサリチル酸誘導体系重合性紫外線吸収剤;2−シアノ−3−フェニル−3−(3’−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロペニル酸メチルエステルなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記重合性色素の具体例としては、たとえば、1−フェニルアゾ−4−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−フェニルアゾ−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−ナフチルアゾ−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−(α−アントリルアゾ)−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−((4’−(フェニルアゾ)−フェニル)アゾ)−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−(2’,4’−キシリルアゾ)−2−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−(o−トリルアゾ)−2−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、2−(m−(メタ)アクリロイルアミド−アニリノ)−4,6−ビス(1’−(o−トリルアゾ)−2’−ナフチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、2−(m−ビニルアニリノ)−4−(4’−ニトロフェニルアゾ)−アニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2−(1’−(o−トリルアゾ)−2’−ナフチルオキシ)−4−(m−ビニルアニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2−(p−ビニルアニリノ)−4−(1’−(o−トリルアゾ)−2’ナフチルアミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、N−(1’−(o−トリルアゾ)−2’−ナフチル)−3−ビニルフタル酸モノアミド、N−(1’−(o−トリルアゾ)−2’−ナフチル)−6−ビニルフタル酸モノアミド、3−ビニルフタル酸−(4’−(p−スルホフェニルアゾ)−1’−ナフチル)モノエステル、6−ビニルフタル酸−(4’−(p−スルホフェニルアゾ)−1’−ナフチル)モノエステル、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−フェニルアゾフェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−(8’−ヒドロキシ−3’,6’−ジスルホ−1’−ナフチルアゾ)−フェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−(1’−フェニルアゾ−2’−ナフチルアゾ)−フェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−(p−トリルアゾ)フェノール、2−アミノ−4−(m−(2’−ヒドロキシ−1’−ナフチルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(N−メチル−p−(2’−ヒドロキシ−1’−ナフチルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(m−(4’−ヒドロキシ−1’−フェニルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(N−メチル−p−(4’−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(m−(3’−メチル−1’−フェニル−5’−ヒドロキシ−4’−ピラゾリルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(N−メチル−p−(3’−メチル−1’−フェニル−5’−ヒドロキシ−4’−ピラゾリルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(p−フェニルアゾアニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、4−フェニルアゾ−7−(メタ)アクリロイルアミド−1−ナフトールなどのアゾ系重合性色素;1,5−ビス((メタ)アクリロイルアミノ)−9,10−アントラキノン、1−(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、4−アミノ−1−(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、5−アミノ−1−(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、8−アミノ−1−(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、4−ニトロ−1−(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、4−ヒドロキシ−1−(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−(3’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−(2’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−(4’−イソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−(3’−イソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−(2’−イソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1,4−ビス(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1,4−ビス(4’−イソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1,5’−ビス(4’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1,5−ビス(4’−イソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−メチルアミノ−4−(3’−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−メチルアミノ−4−(4’−ビニルベンゾイルオキシエチルアミノ)−9,10−アントラキノン、1−アミノ−4−(3’−ビニルフェニルアミノ)−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−アミノ−4−(4’−ビニルフェニルアミノ)−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−アミノ−4−(2’−ビニルベンジルアミノ)−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−アミノ−4−(3’−(メタ)アクリロイルアミノフェニルアミノ)−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−アミノ−4−(3’−(メタ)アクリロイルアミノベンジルアミノ)−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−(β−エトキシカルボニルアリルアミノ)−9,10−アントラキノン、1−(β−カルボキシアリルアミノ)−9,10−アントラキノン、1,5−ジ−(β−カルボキシアリルアミノ)−9,10−アントラキノン、1−(β−イソプロポキシカルボニルアリルアミノ)−5−ベンゾイルアミド−9,10−アントラキノン、2−(3’−(メタ)アクリロイルアミド−アニリノ)−4−(3’−(3”−スルホ−4”−アミノアントラキノン−1”−イル)−アミノ−アニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2−(3’−(メタ)アクリロイルアミド−アニリノ)−4−(3’−(3”−スルホ−4”−アミノアントラキノン−1”−イル)−アミノ−アニリノ)−6−ヒドラジノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−((4”−メトキシアントラキノン−1”−イル)−アミノ)−6−(3’−ビニルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−(2’−ビニルフェノキシ)−4−(4’−(3”−スルホ−4”−アミノアントラキノン−1”−イル−アミノ)−アニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジンなどのアントラキノン系重合性色素;o−ニトロアニリノメチル(メタ)アクリレートなどのニトロ系重合性色素;(メタ)アクリロイル化テトラアミノ銅フタロシアニン、(メタ)アクリロイル化(ドデカノイル化テトラアミノ銅フタロシアニン)などのフタロシアニン系重合性色素などがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記重合性紫外線吸収性色素の具体例としては、たとえば、2,4−ジヒドロキシ−3(p−スチレノアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−スチレノアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(p−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(p−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(p−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(p−(N,N−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(N,N−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(N,N−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(N,N−ジ(メタ)アクリロイルエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(p−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(p−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合性紫外線吸収色素や、2−ヒドロキシ−4−(p−スチレノアゾ)安息香酸フェニルなどの安息香酸系重合性紫外線吸収色素などがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
重合性紫外線吸収剤、重合性色素および重合性紫外線吸収性色素の含有量は、レンズの厚さに大きく影響される。その使用量は、重合成分全量100部に対して3部以下であり、好ましくは0.01〜2部である。これらの量が3部を超える場合、眼用レンズ材料の機械的強度などが低下する傾向がある。さらに、紫外線吸収剤や色素の毒性も考慮すると、生体組織に直接接触するコンタクトレンズや生体中に埋め込む眼内レンズといった眼用レンズの材料として適さなくなる傾向がある。とくに色素の場合、その量が多すぎると、レンズの色が濃くなって透明性が低下し、レンズが可視光線を透過しにくくなる傾向がある。また、作製する眼用レンズにおいて、含水率が低く、非重合性の紫外線吸収剤、色素、紫外線吸収性色素の溶出が認められない場合には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノールなどの非重合性成分も使用できる。
2官能の重合性基を有する化合物(A)とピロリドン誘導体(B)とを主成分としてなる本発明の眼用レンズ材料においては、重合性成分の残留は非常に少なく、基本的には架橋剤を必要としない。しかし、材料の柔軟性や硬質性の調節のために架橋剤(G)を添加することができる。
本発明において使用される架橋剤(G)としては、たとえば、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、4−ビニルベンジルメタクリレート、3−ビニルベンジルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(p−メタクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(m−メタクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(o−メタクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(m−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(o−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−メタクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メタクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メタクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メタクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メタクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メタクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼンなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
架橋剤(G)の含有量は、眼用レンズ材料が脆くならないようにするには、架橋剤以外の重合性成分の合計量100重量部(以下、部という)に対して1部以下であり、好ましくは0.8部以下である。また、眼用レンズ材料の機械的強度をさらに向上させ、耐久性を付与する効果を充分に発現させるためには、架橋剤以外の重合成分の合計量100部に対して0.05部以上であり、好ましくは0.1部以上である。
本発明の眼用レンズ材料において、架橋剤(G)を用いる場合、化合物(A)と架橋剤(G)とが、架橋性成分として同時に使用されることになり、眼用レンズ材料の共重合性を著しく向上させ、得られる眼用レンズ材料の各種物性を向上させることができる。
本発明の眼用レンズ材料の応力緩和率は、一定の荷重負荷下、30秒間における応力の緩和率を示し、緩和率は8〜15%が好ましく、8〜13%がより好ましい。8%未満の場合、材料は反発性に優れるものの、材料の伸びがなく硬く柔軟性に欠ける傾向がある。一方、15%を超える場合、材料は反発性に乏しく形状回復性に劣り、コンタクトレンズの装用時に動き量が少なくなる傾向があり、場合によっては吸着することもある。そのため、いずれも眼用レンズとして適切な反発性を有しているとはいえない。
また、本発明の眼用レンズ材料の引張弾性率は、0.2〜0.8MPaであることが好ましく、0.2〜0.7MPaであることがより好ましい。0.2MPa未満である場合、材料にはコシがなく眼用レンズとして用いるには手指上での形状保持性が悪く取り扱いが困難となる傾向がある。一方、0.8MPaを超える場合、材料は硬く、装用感を悪化させ、角膜や結膜のステイニングといった障害の原因となる傾向がある。そのため、いずれも眼用レンズとして適切な柔軟性を有しているとはいえない。
さらに、本発明の眼用レンズ材料は、応力緩和率と引張弾性率の両者が好ましい範囲にあることが必要である。両者が好ましい範囲にない材料では、とくに連続装用時またはうたた寝時などにおける装用状態においては吸着または角膜、結膜のステイニングが発生する可能性が高くなり、コンタクトレンズとしては不適切な材料といえる。快適な装用のためには前記反発性と柔軟性のバランスのとれた材料であることが必要である。
本発明の眼用レンズ材料の含水率は、好ましくは10〜60重量%であり、より好ましくは32〜55重量%である。含水率が10重量%未満であると、材料はセミハード的になり、たとえば、コンタクトレンズとして用いる場合には、装用感を悪化させる傾向がある。一方、含水率が60重量%を超えると、酸素透過性が含水率依存となり、連続装用、あるいはうたた寝時といった装用状態を考慮すると、充分な酸素を角膜に供給できない傾向がある。
本発明の眼用レンズ材料は、以下の手順によって製造することができる。
a)ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物(A)、重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体を含む親水性モノマー(B)ならびに光重合開始剤および/または熱重合開始剤を含む混合液を得る工程、
b)前記混合液を成型用型へ導入する工程、
c)前記成型用型内の混合液にUV光を照射するか、および/または加熱することにより、硬化した眼用レンズ材料を得る工程、
d)前記眼用レンズ材料を脱離した後、該眼用レンズ材料に対して表面処理をして、親水性および/または耐汚染性を付与する工程、
e)前記眼用レンズ材料から未反応物を取り除く工程、および
f)前記眼用レンズ材料を水和させる工程。
前記混合液においては、前記のとおり、それぞれの重合性成分の特性を発現させるために、化合物(A)、ピロリドン誘導体(B)、シリコーン化合物(C)およびN−置換アクリルアミド(D)を含むことが好ましい。
本発明においては、重合性成分中の成分の均一性を向上させるために、前記混合液中に水溶性有機溶媒を含むことが好ましい。具体的には、重合性成分に対して、ごくわずかな非重合性の有機溶媒を存在させることにより、重合反応が進行した後も未反応のモノマーを系中に拡散させて重合反応に関与させ得る。すなわち、水溶性有機溶媒を使用することによって、残留する重合性成分を低減できる。
本発明において使用される水溶性有機溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの炭素数1〜4のアルコールまたはアセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルおよびN−メチル−2−ピロリドンから選択される水溶性有機溶媒である。この有機溶媒は、重合性成分の種類に応じ、用いた重合性成分を溶解し得るものを適宜選択して用いればよい。また、これらは単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における水溶性有機溶媒は、眼用レンズ材料用重合性成分を溶解しうるものである。前記混合液中におけるその使用量は、5重量%以下であることが好ましく、0.1〜5重量%で含有させることがより好ましく、0.2〜4重量%がさらに好ましい。使用量が0.1重量%未満である場合、重合時の残留成分の量が増加する傾向がある。一方、5重量%を超える場合、希釈剤を添加した重合性成分の混合液は不均一となり、後に行われる重合反応時において相分離が生じ、得られる材料は白濁する傾向がある。
また、使用する有機溶媒は水溶性のため、後に行われる溶出処理の工程において容易に水と置換し得る。
眼用レンズ材料の作製においては、従来からバルク重合法が用いられている。この重合方法においては重合性成分のみを混合して重合に共するため、重合の進行と共に系の粘度が極端に上昇し、高粘度の系中で拡散できず、重合反応に関与できなくなったモノマーが多く残留する。医療用具であるコンタクトレンズの製造においては、この残留するモノマーを極力減量させるべく水または有機溶媒による溶出処理が施される。
本発明の眼用レンズ材料を構成する共重合体を得るには、必須成分として化合物(A)およびピロリドン誘導体(B)、そして必要に応じて、シリコーン化合物(C)、N−置換アクリルアミド(D)、親水性モノマー(E)、モノマー(F)および架橋剤(G)の含有量を、それぞれ前記範囲内となるように適宜調整した重合成分を、加熱および/または紫外線照射して鋳型法にて重合させる。
重合成分を加熱して鋳型法にて重合させる場合には、所望の眼用レンズの形状に対応した鋳型内に重合成分およびラジカル重合開始剤を配合したのち、該鋳型を徐々に加熱して重合成分の重合を行ない、得られた成形体に必要に応じて切削加工、研磨加工などの機械的加工を施す。また切削は成形体(共重合体)の少なくとも一方の面または両方の面の全面にわたって行なってもよいし、成形体(共重合体)の少なくとも一方の面または両方の面の一部に対して行なってもよい。本発明の眼用レンズ材料としては、特殊レンズなど、製品の使用用途に広がりを持たせるということを考慮して、成形体(共重合体)の少なくとも一方の面またはその一部を切削したものであることがとくに好ましい。かかる成形体(共重合体)の少なくとも一方の面を切削するとは、ブランクスモールドを行なうこと、すなわち鋳型法にて重合して得られたブランクスを切削して所望の眼用レンズ形状にすることを含む概念である。なお、重合は、たとえば塊状重合法でなされてもよく、溶媒などを用いた溶液重合法でなされてもよい。
前記ラジカル重合開始剤の具体例としては、たとえば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシヘキサノエート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。該ラジカル重合開始剤の量は、重合成分100部に対して約0.001〜2部であり、好ましくは0.01〜1部である。
鋳型内の重合成分を加熱する際の加熱温度は、重合時間の短縮および残留モノマー成分の低減という点から、50℃以上であり、好ましくは60℃以上である。また、各重合成分の揮発を抑制するという点および型の変形を防止するという点から、150℃以下であり、好ましくは140℃以下である。また、鋳型内の重合成分を加熱する際の加熱時間は、重合時間の短縮および残留モノマー成分の低減という点から、10分間以上であり、好ましくは20分間以上である。また、型の変形を防止するという点から、120分間以下であり、好ましくは60分間以下である。なお、かかる加熱は、段階的に昇温させて行なってもよい。
重合成分を紫外線照射して鋳型法にて重合させる場合には、所望の眼用レンズの形状に対応した鋳型内に重合成分および光重合開始剤を配合したのち、該鋳型に紫外線を照射して重合成分の重合を行ない、得られた成形体に必要に応じて切削加工、研磨加工などの機械的加工を施す。また切削は成形体(共重合体)の少なくとも一方の面または両方の面の全面にわたって行なってもよいし、成形体(共重合体)の少なくとも一方の面または両方の面の一部に対して行なってもよい。本発明の眼用レンズ材料としては、特殊レンズなど、製品の使用用途に広がりを持たせるということを考慮して、成形体(共重合体)の少なくとも一方の面またはその一部を切削したものであることがとくに好ましい。かかる成形体(共重合体)の少なくとも一方の面を切削するとは、前記重合成分を加熱して得られた成形体(共重合体)の場合と同様に、ブランクスモールドを行なうこと、すなわち鋳型法にて重合して得られたブランクスを切削して所望の眼用レンズ形状にすることを含む概念である。なお重合は塊状重合法でなされてもよく、溶媒などを用いた溶液重合法でなされてもよい。また、本発明では前記のごとき紫外線照射にて重合が行なわれるが、かかる紫外線照射のかわりに電子線照射を行なうこともできる。この場合、光重合開始剤なしで重合成分が重合される。
紫外線照射による重合に用いられる鋳型の材質は、材料硬化に必要な紫外線を透過しうる、たとえばポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステルなどの汎用樹脂が好ましく、ガラスであっても良い。これらを成形、加工することによって所望の形状とする。眼用レンズの形状に対応した、または対応していない鋳型内に重合性成分および光重合開始剤、色素、紫外線吸収剤、有機希釈剤を配合した後、該鋳型に紫外線を照射して重合性成分の重合を実施する。眼用レンズ材料の機能に応じて、照射されるUVの波長域を選択することができる。ただし、照射するUV波長域によって、使用する光重合開始剤の種類を選択する必要がある。
鋳型内の重合成分を紫外線照射する際の好ましい紫外線照度は、材料を十分に硬化させるためには、1.0mW/cm以上で、材料の劣化を防ぐという目的から50mW/cm以下である。また照射時間は、材料を十分に硬化させるためには、1分以上が好ましい。紫外線の照射は、一段階にて行っても良く、また、異なる照度の紫外線を段階的に照射しても良い。さらに、重合時には紫外線の照射と同時に加熱をしてもよく、このことにより重合反応は促進され、効果的に眼用レンズを成形しうる。
前記加熱温度は、反応促進の点から、好ましくは25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、鋳型の変形を抑制するためには好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下である。重合後、得られた成形体に必要に応じて切削加工、研磨加工などの機械加工を施す。なお、切削は成形体(共重合体)の少なくとも一方の面または両方の面の全面にわたって行っても良いし、成形体(共重合体)の少なくとも一方の面または両方の面の一部に対して行っても良い。本発明の眼用レンズ材料としては、特殊レンズなど製品の使用用途に広がりを持たせることを考慮して、成形体(共重合体)の少なくとも一方の面またはその一部を切削したものであることがとくに好ましい。成形体(共重合体)の少なくとも一方の面またはその一部を切削することは、すなわち、鋳型法にて重合して得られたブランクスを切削して所望の眼用レンズ形状にすることを含む概念である。なお、本発明では前記のごとき紫外線を照射することによって重合が行われるが、かかる紫外線照射の代わりに電子線照射を行うこともでき、この場合、光重合開始剤なしで重合性成分が重合され得る。
前記光重合開始剤の具体例としては、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(TPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド系光重合開始剤;メチルオルソベンゾイルベンゾエート、メチルベンゾイルフォルメート、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテルなどのベンゾイン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、N,N−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノンなどのフェノン系光重合開始剤;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム;2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソンなどのチオキサンソン系光重合開始剤;ジベンゾスバロン;2−エチルアンスラキノン;ベンゾフェノンアクリレート;ベンゾフェノン;ベンジルなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
また、光重合開始剤とともに、光増感剤を用いてもよい。これら光重合開始剤および光増感剤の含有量は、重合成分100部に対して約0.001〜2部であり、好ましくは0.01〜1部である。
なお、重合成分を加熱して重合する場合および紫外線または電子線照射して重合する場合いずれにおいても、眼内レンズを作製する際には、レンズの支持部をレンズとは別に作製してあとでレンズに取り付けてもよいし、レンズと同時に一体的に成形してもよい。
眼用レンズの表面特性を改良するために、以下の表面処理を施すことができる。これらの表面処理により、より水濡れ性および/または耐汚染性に優れた眼用レンズ材料表面を作製することができる。
当業者において公知である、炭素数1〜6のアルカンおよびフッ素置換されたアルカン、チッ素、酸素、アルゴン、水素、空気、水、シランまたはこれらの混合物などの希薄気体雰囲気下において、特定条件下で低温プラズマ処理を行うことができる。とくに、イオンエッチングによる物理的な表面改質効果とラジカルのインプランテーション(酸素原子の導入)による化学的表面改質が期待されるという理由から、酸素単独、あるいは酸素の、水、テトラフルオロメタン、有機シラン、メタン、チッ素との混合物が好ましい。
ここで、低温プラズマ処理は減圧(低圧)下であってもよいし、大気圧下であってもよい。低温低圧プラズマ処理あるいは低温大気圧プラズマ処理は、高周波RF(たとえば、13.56MHz)および低周波AF(たとえば、15.0〜40.0KHz)、マイクロ波(たとえば、2.45GHz)、出力(周波数により最適値が異なる)、処理時間(マイクロ秒オーダーの処理から1時間程度まで)、ガス濃度(低圧の場合、減圧度、たとえば、10〜150Pa)を適宜調整することにより、表面改質効果を制御することができる。
たとえば、酸素を用いた場合、イオンエッチングによる物理的な表面改質効果とラジカルのインプランテーション(酸素原子の導入)による化学的表面改質が期待される。また、ラジカルのインプランテーションのみによる化学的表面改質を行うことも可能である。この場合、パルス変調型(プラズマのON/OFFの時間を調整しながら処理を繰り返す)あるいはプラズマを発生させるチャンバーと基材に処理を施すチャンバーが異なるリモート型あるいはダウンフロー型の装置が使用できる。
また、メタンと空気の混合ガスを用いた場合、基材表面にチッ素含有の炭素蒸着膜が、またテトラメトキシシランおよび酸素を用いた場合、基材表面に規則的で強固なシリケート膜が形成される。これにより非常に親水性の高い耐久性に優れた表面被膜を形成できる。
これらの方法において作製された表面は、水濡れ性および/または耐汚染性にすぐれ、さらにその特性の耐久性にも優れ、眼用レンズ材料として好適に使用しうるものである。
さらに効果的な表面の水濡れ性および/または耐汚染性の向上は、眼用レンズ基材表面に親水性ポリマーの被膜を形成させることによって達成し得る。
親水性ポリマーの被膜を形成させる方法としては、当業者に公知な手法がとられる。たとえば、ガス化した親水性モノマーの雰囲気下においてグロー放電(プラズマ)を行うことによるプラズマ重合被膜による表面改質方法が使用できる。この場合、モノマーのフラグメントや活性種が基材とランダムに再結合し、加えて発生したラジカルからのモノマーの重合も起こり、基材表面に不規則で高度に架橋したポリマー被膜を形成することができる。
プラズマ重合は、たとえば、以下の条件にて実施される。
プラズマガス流量(アルゴン、チッ素など:1〜50sccm)
モノマーガス流量(1〜50sccm)
グロー放電(周波数13.56MHz、出力30〜100W、圧力1.0〜30Pa)。
ここで使用する親水性モノマーとしては、低圧、加熱下で、ガス化できる化合物ならば限定されない。なかでも、1−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドンなどのピロリドン誘導体、N−VPなどのビニルラクタム、DMAAなどのアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
また、酸素、チッ素、アルゴンなどの気体雰囲気下においてプラズマ処理を行って基材表面にラジカルを発生させ、その後に眼用レンズ材料を親水性モノマー溶液に浸漬し、UV照射や加熱により硬化させポリマー被膜を形成させる方法(プラズマ開始グラフト重合法)を使用することができる。この場合、ポリマー被膜を形成するためのUV照射の条件や加熱の条件はとくに制限されない。使用するモノマーを十分に硬化できる条件を選択することができる。たとえば、UV照射条件としては、0.5〜15mW/cm(365nm)の照度で、1〜30分間の照射を必要に応じて繰り返し実施することが効果的である。また、加熱の場合、40〜100℃において、10〜24時間の加熱が効果的である。なお、UV照射または加熱処理は、前記親水性モノマー溶液に浸漬した状態あるいは撹拌した状態で実施してもよいし、浸漬後、基材を取り出した状態あるいは乾燥させた状態で実施してもよい。
ここで使用する親水性モノマーとしては、1−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドンなどのピロリドン誘導体、N−VPなどのビニルラクタム、DMAAなどのアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)やN−(3−スルホプロピル)メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン(SPE)などの双性イオン含有化合物およびそれらの混合物があげられる。この場合、基材表面のラジカルを開始点としてモノマーがグラフト重合していくため、効果的で耐久性に優れた被膜を形成させるためには、モノマー水溶液中に架橋剤を混在させることが好ましい。架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート(AMA)、ジエチレングリコールジアリルエーテルなどがあげられる。ただし、使用できる架橋剤もとくに限定はされない。架橋剤は、使用するモノマーおよび溶媒によって適宜選択することができる。また、使用される溶媒に関しても、とくに限定はされないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、THFなどの水溶性溶媒があげられる。なかでも、眼用レンズとして考慮した場合、水和処理としてそのまま使用できる水が最も好ましい。
得られた成形体(共重合体)が本質的に含水性の材料であるならば、切削加工により眼用レンズ形状にした成型物、あるいは鋳型から取り出した眼用レンズ形状の成型物を蒸留水、または生理食塩液に浸漬することによって、所望の眼用レンズ材料の形状となり、また同時に未重合の重合性成分や有機希釈剤などを除去することができる。前記溶出可能な化合物を効果的に除去するためにレンズの水和と同時に、または水和の後に、蒸留水または生理食塩液を加温させてもよい。かかる加熱温度は、短時間で残存物が除去できる温度かつ眼用レンズ材料の変形温度未満であることが好ましく、たとえば35〜100℃であることが好ましい。
さらに、溶出処理後の無色透明レンズは、建染染料を使用して着色することもできる。使用される建染染料としては、インダントロン系、ピラントロン系、ベンザントロン系、アントラキノンカルバゾール系、アントラキンオキサゾール系、インジゴ系などの染料である。好ましい例としては、インダントロン系では、C.I.VAT BLUE 4、C.I.VAT BLUE 6、C.I.VAT BROWN 1、ピラントロン系では、C.I.VAT GREEN 1、アントラキノンカルバゾール系では、C.I.VAT BROWN 2、インジゴ系では、C.I.VAT BLUE 1などがあげられる。
これらの建染染料の染色工程としては、以下の工程があげられる。
1)水不溶性建染染料を水中に分散させる
2)染料を還元して、水溶性のロイコ染料とする
3)ロイコ染料を基材に吸着させる
4)基材上で染料を酸化して元の水不溶性染料に戻す
5)還元液や過剰の染料を洗浄・除去する。
建染染料の還元条件は、その染色性を大きく左右するために重要である。一般的には、アルカリ濃度、還元剤濃度、そして還元・染色温度により影響を受ける。また、ロイコ化合物の溶解度や基材に対する親和性なども染色性に大きな影響を及ぼす。還元条件としては、苛性ソーダ濃度が0.0050〜5.0モル/L、還元剤であるハイドロサルファイトナトリウムの濃度が0.001〜50g/L、還元温度は室温〜80℃、染色温度も同様に室温〜80℃が好ましい。また染料濃度は、0.0001〜1.0g/Lが好ましい。浸漬時間は、染料濃度との相関があるが、概ね、30秒〜1時間の浸漬により、染色の濃淡を制御することができる。
また、水不溶性の建染染料をあらかじめロイコ硫酸エステル化させた可溶性建染染料による染色もまた可能である。例として、前記インダントロン系では、C.I.solubilised VAT BLUE 6、ピラントロン系では、C.I.solubilised VAT GREEN 1、インジゴ系では、C.I.solubilised VAT BLUE 1などがあげられる。可溶性建染染料を使用する場合は、直接、眼用レンズ材料の原料モノマー原液中に可溶性建染染料を混合して使用することができる
こうして得られる本発明の眼用レンズ材料は、高酸素透過性および高機械的強度を有することに加え、さらに表面水濡れ性にすぐれ、かつ表面が潤滑性/易潤性に優れるといった特性を兼備しているので、たとえばコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜、角膜オンレイ、角膜インレイなどに好ましく使用することができる。
つぎに、本発明の眼用レンズ材料を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(マクロモノマー(A1)の製造)
あらかじめチッ素置換された側管にジムロート冷却管、機械式撹拌器および温度計を取り付けた1L三つ口フラスコ内に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)75.48g(0.34モル)および鉄アセチルアセトネート(FeAA)0.12gを添加した。ついで、両末端水酸基ジメチルシロキサン(重合度40、水酸基当量1560g/モル、信越化学工業(株)製KF−6002、以下、DHDMSi40という)529.90gを添加し、80℃に加熱したオイルバス中で約4時間、撹拌した。
つぎに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)39.47g(0.34モル)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール(MEHQ)0.20gを三つ口フラスコ内に添加し、80℃のオイルバス中で撹拌した。約3時間後、反応溶液から、H−NMRおよびFT/IRを使用して反応の確認を行い、所定の化合物が得られていることを確認した。さらに、粗化合物はn−ヘキサンとアセトニトリルにて抽出・洗浄し、n−ヘキサン層を回収して、減圧下にて有機溶媒ならびに低分子化合物を留去した。精製化合物522.33g(収率81%)を得た。
H−NMR(in CDCl3);δ0.06ppm(Si−CH,m),0.52(Si−CH,2H,m),2.91(NH−CH,2H,d),3.02(CH−N=C=O,2H,s),3.42(−O−CH,2H,t),3.61(−O−CH,2H,m),4.18−4.34(−(O)CO−CH−,6H,m),4.54(NH,1H,s),4.85(NH,1H,s),5.84(CH=,1H,dd),6.14(CH=,1H,dd),6.43(CH=,1H,dd)
FT/IR;1262および802cm−1(Si−CH),1094および1023(Si−O−Si),1632(C=C)1728付近(C=O、エステルおよびウレタン)。
(マクロモノマー(A2)の製造)
あらかじめチッ素置換された側管にジムロート冷却管、機械式撹拌器および温度計を取り付けた1L三つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)44.60g(0.20モル)および鉄アセチルアセトネート(FeAcAc)0.07gを添加した。ついで、両末端水酸基ジメチルシロキサン(重合度10、水酸基当量1000g/モル、信越化学工業(株)製KF−6001、以下、DHDMSi10という)90.80gを添加し、オイルバスを80℃に加熱し、約4時間、撹拌した。
つぎに、鉄アセチルアセトネート(FeAA)0.07gおよびポリエチレングリコール(水酸基当量1020g/モル、Aldrich社製)156.80gをクロロホルム200mLに溶解させた溶液を添加し、約4時間、環流した。反応溶液の一部を取り出し、溶媒を減圧にて留去した後、得られた中間体の水酸基価を測定した(アセチル化法、4210g/モル)。
前記中間体106.50gを取り分けた500mL三つ口フラスコに、2−イソシアネートエチルアクリレート(IEM)7.90g(0.05モル)を添加した。重合禁止剤としてp−メトキシフェノール(MEHQ)0.05gを三つ口フラスコ内に添加し、80℃のオイルバス中で撹拌した。約3時間後、反応溶液から、H−NMRおよびFT/IRを使用して反応の確認を行い、ウレタン化合物が得られていることを確認した。さらに、粗化合物はn−ヘキサンとメタノールにて抽出・洗浄し、n−ヘキサン層を回収して、減圧下にて有機溶媒ならびに低分子化合物を留去した。精製化合物84.56g(収率74%)を得た。
H−NMR(in CDCl3);δ0.06ppm(Si−CH,m),0.52(Si−CH,2H,m),2.91(NH−CH,2H,d),3.02(CH−N=C=O,2H,s),3.5付近(−O−CH,m),4.18−4.34(−(O)CO−CH−,6H,m),4.54(NH,1H,s),4.85(NH,1H,s),5.84(CH=,1H,dd),6.14(CH=,1H,dd),6.43(CH=,1H,dd)
FT/IR;1262および802cm−1(Si−CH),1094および1023(Si−O−Si),1632(C=C)1728付近(C=O、エステルおよびウレタン)。
実施例では以下の略称を用いる。
TRIS:トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
1,3−MMP:1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン
1,5−MMP:1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン
5,3−MMP:5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン
NiPMP:1−i−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン
N−VP:N−ビニル−2−ピロリドン
MMA:メチルメタクリレート
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
NMP:1−メチル−2−ピロリドン
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド
HMPPO:2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド
ADMVN:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
CBDMP:2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール
HPT:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール
BZT−MA:2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2’’−メタクリロリルオキシエトキシ)−3’−t−ブチルフェニル)−5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール
APMA:テトラ−(4−メタクリルアミド)銅フタロシアニン
PAMNp:1−フェニルアゾ−3−メタクリロイルオキシ−2−ナフトール
なお、表中の架橋剤、重合開始剤、紫外線吸収剤、着色剤および希釈剤の量(重量部)は、それ以外の重合性成分100重量部に対する量である。
実施例において得られたコンタクトレンズ重合体中の残留モノマーの定量、水和処理後の処理液中の溶出物定量、コンタクトレンズの透明性、表面の潤滑性、水濡れ性、接触角、反発性、引張り弾性、酸素透過性、屈折率、含水率および脂質付着性は、以下の方法にしたがって調べた。
(残留モノマーの定量(HPLC))
重合の後、型から取り出したレンズをアセトニトリルに浸漬し、残留成分の抽出を行った。この抽出液をHPLCにて分析し、比較的残留量の多い1,3−MMP、1,5−MMP、5,3−MMPまたはN−VPについて、配合量に対するモノマーの残留率を算出した。残留率の定量の際は濃度既知の1,3−MMP、1,5−MMP、5,3−MMPまたはN−VPのアセトニトリル溶液を調製してHPLCにて分析を行い、この分析結果より、x軸に各モノマー濃度(ppm)、y軸に各ピーク面積分析値をとり、検量線を作成した。ピロリドンモノマー使用量に対する残留率S1(%)、レンズ全量に対する残留率S2(%)はV:抽出溶媒量(mL)、A:モノマーのピーク面積、a:検量線傾き、b:検量線切片、W:プレート重量(g)、w:配合時の目的モノマーの重量分率(%)を用いて次のように示される。
S1(%)={V×(A−b)}/(a×W×w×100)
S2(%)={V×(A−b)}/(a×W×10000)
(TOC分析)
重合直後の実施例1および比較例1のレンズ材料を試料とした。これらの試料を、重量測定した後、超純水20mLを入れたバイアル瓶に1枚ずつ入れ、121℃で10分間オートクレーブ処理を実施した。同一材料につき5サンプルを作製し、冷却直後(0日)、処理後1、3、8、14日目にレンズを取り出し、TOCにて処理液の分析を行った。測定は(株)島津製作所製 全有機炭素計(TOC)TOC−VCSH)を使用し、NPOC(Non Purgeable Organic Carbon)モードで実施した。結果を表4に示す。表中の定量値(ppmC)は、オートクレーブ直後(0日)の濃度を0としたときの抽出液の濃度を示す。すなわち、値が大きいことは溶出量が多いことを示す。
(透明性)
コンタクトレンズの外観を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
評価基準
A:曇りが全くなく、透明性にきわめて優れており、コンタクトレンズとして好適である。
B:わずかに曇りが認められるが、コンタクトレンズとして問題のない透明性を有する。
C:白濁が認められ、透明性に劣るため、コンタクトレンズとしての使用が困難である。
D:白濁しており透明性にきわめて劣るため、コンタクトレンズとしての使用が不可能である。
(表面潤滑性、水濡れ性)
コンタクトレンズを手指上で二つ折りにして挟み、指でレンズをこすりあわせた際の潤滑性(レンズ同士の接着感、レンズと手指との接着感)を評価した。またレンズ表面の水濡れ性も目視にて確認した。
評価基準
A:水濡れ性が良好で、レンズ同士の滑りが良好であり、コンタクトレンズとして好適である。
B:やや水濡れ性に欠け、レンズ同士をこすりあわせるとわずかにきしみが感じられる。
C:レンズと手指の接着性はないが、レンズ同士の滑りが悪く動きがなくなる時がある。
D:レンズ表面に粘着性があり、レンズと手指との接着感が強い。
(接触角(気泡法))
エルマ販売(株)製の接触角計G−I,2MGを用いて温度25℃の生理食塩液中で接触角(°)(気泡法)を測定した。生理食塩液に浸漬したフィルムに、シリンジを用いて10μLの気泡を付着させ、気泡とプレートの左右の接角値を平均して接触角値とした。接触角値が小さいほど、水濡れ性が良い。
(反発性)
眼用レンズ材料の周辺を固定し、その中心を、先端の直径が1/16インチの球形状の冶具で荷重を加える装置に固定した。この眼用レンズ材料に約20gの荷重を加えて停止し、停止直後の応力(So(g/mm))を測定し、さらにこれを30秒間放置した後、その応力(S(g/mm)を測定した。測定したSoおよびSを用い、以下の式に従って応力緩和率(%)を算出した。
なお、この応力緩和率の値が15%以上である場合、眼用レンズ材料は反発性に乏しく、形状回復性に劣り、眼用レンズ材料として適切な柔軟性を有するとはいえない。
応力緩和率(%)={(So−S)/So}×100
(引張り弾性率)
インストロン万能材料試験機 Model4300を用いて伸張部分の幅2mm、厚み0.3mmのダンベル形状のサンプルを打ち抜いて引張り試験を実施した。測定は35℃生理食塩液中で行い、応力―伸び曲線からヤング率(MPa)を算出した。なおこのヤング率が0.8MPaより大きい場合、眼用レンズ材料は弾性が高く、レンズ装用時にはレンズの固着や角膜ステイニングなどの障害をもたらす可能性が高い。
(酸素透過係数Dk
理化精機工業(株)製の製科研式フィルム酸素透過率計を用いて35℃の生理食塩液中にて試験片の酸素透過係数を測定した。いずれもシガレットペーパーを使用し、ISO 9913−1に従って0.1〜0.4mm厚みの試験片の測定を実施した。エッジ効果を考慮した算出を行い、またリファレンズスタンダードとしてメニコンEX((株)メニコン製)を用い、このDk値を64として規格化した。なお酸素透過係数の単位は(×10−11(cm/sec)(mLO/mL×hPa))であり、これは当業者間において従来から用いられてきた単位(×10−11(cm/sec)(mLO/mL×mmHg))に0.75を乗じた値である。
(屈折率)
アタゴ社製のアタゴ屈折率計1Tを用いて温度25℃、湿度50%の雰囲気下で屈折率(単位なし)を測定した。
(含水率)
試験片を水和処理した後、次式に従って試験片の含水率(重量%)を測定した。ただし、Wは水和処理後の平衡含水状態での試験片の重量(g)、Wは水和処理後、105℃乾燥器中にて16時間乾燥した状態での試験片の重量(g)を表す。
含水率(重量%)=(W−W)×100/W
(脂質付着性試験)
オレイン酸、トリパルミチン、パルミチン酸、コレステロール、パルミチン酸コレステロールおよび卵黄レシチンからなる人工眼脂溶液中にレンズを37℃にて5時間浸漬した後、エタノールおよびジエチルエーテルにて抽出し、リン酸硫酸バニリン法にて、付着量(mg/cm)を定量した。
実施例1〜3および比較例1
表1に示す重合性成分および重合開始剤を混合した眼用レンズ成分を、コンタクトレンズ形状を有する鋳型(ポリプロピレン製、直径約13mmおよび厚さ0.1mmのコンタクトレンズに対応)内に注入した。次いで、この鋳型にUV光を60分照射して光重合を行い、コンタクトレンズ形状の重合体を得た。重合体中の未反応の残留モノマー量を評価した結果を表2および3に、水和処理後の処理液中のTOCによる溶出物濃度評価結果を表4に示した。




実施例4〜31および比較例2〜5
表5〜9に示す重合性成分、重合開始剤、UV吸収剤、着色剤および希釈剤を混合した眼用レンズ成分を、コンタクトレンズ形状を有する鋳型(ポリプロピレン製)内に注入した。次いで、この鋳型にUV光を30分照射して光重合を行い、コンタクトレンズ形状の重合体を得た。得られた重合体は、酸素雰囲気下でプラズマ照射(RF出力50W、圧力100Pa)を3分間実施した。生理食塩液中に浸漬し、吸水させて水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表10〜14に示した。










実施例32および33
実施例1および11と同様の混合溶液を使用して、得られた水和前の重合体を、酸素雰囲気下でプラズマ照射(出力50W、圧力100Pa、3分)を実施した後、N−VPの5.0モル%水溶液中(ジエチレングリコールジアリルエーテル5.0重量%含有)に浸漬し、60℃にて30分間加熱することにより、グラフト重合膜を形成させた。水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表15に示した。
実施例34および35
実施例1および11と同様の混合溶液を使用して、得られた水和前の重合体を、酸素雰囲気下でプラズマ照射(出力50W、圧力100Pa、3分)を実施した後、MPC(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)の1.0モル%水溶液中(テトラエチレングリコールジメタクリレート5.0重量%含有)に浸漬し、UV照射を10分間実施することにより、グラフト重合膜を形成させた。水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表15に示した。
実施例36および37
実施例1および11と同様の混合溶液を使用して、得られた水和前の重合体を、テトラメトキシシラン(TMS)/酸素(ガス流量比1/2sccm)雰囲気下でグロー放電(圧力13Pa、RF出力40W、5分×2回)を実施し、プラズマ重合膜を形成させた。水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表15に示した。
実施例38および39
実施例1および11と同様の混合溶液を使用して、得られた水和前の重合体を、メタン(CH4)/空気(ガス流量比3/2sccm)雰囲気下でグロー放電(圧力4Pa、AF出力40W、5分×2回)を実施し炭素蒸着膜を形成させた。さらに通常の酸素プラズマ、水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表15に示した。

実施例40および41
実施例1および11と同様の混合溶液を使用して、得られた水和前の重合体を、テトラフルオロメタン(CF4)/酸素(ガス流量比9/1)雰囲気下でグロー放電(圧力13Pa、RF出力300W、5分)を実施した。水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表16に示した。
【実施例42】
実施例1と同様の混合溶液を使用して、得られた水和前の重合体を、酸素雰囲気下でプラズマ照射(出力50W、圧力100Pa、3分)を実施した後、水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表16に示した。
【実施例43】
実施例11と同様の混合溶液を使用して得られた水和前の重合体を、酸素/水(ガス流量比9/1)雰囲気下でプラズマ照射(出力2.5KW、圧力133Pa、3分)を実施した後、水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表16に示した。
【実施例44】
実施例1と同様の混合溶液を使用して、得られた水和前の重合体を、水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表16に示した。

建染染料による着色レンズの製造
【実施例45〜50】
実施例1、11および21と同様の手順にて得られたコンタクトレンズを、以下の方法により、建染染料を使用して着色コンタクトレンズを得た。
水和処理後のコンタクトレンズを、水酸化ナトリウム0.1g、ナトリウムハイドルサルファイト0.1g、精製水19.8gからなる還元液に浸漬した後、還元液と同組成の混合液に表10に示す各種建染染料それぞれ300ppmを溶解させた染色液約2.0gを、あらかじめコンタクトレンズを浸漬させた還元液に混合し、15分間撹拌し、十分に洗浄して、コンタクトレンズを得た。評価結果を表17に示した。

【実施例51〜55】
表18に示す重合性成分、重合開始剤、UV吸収剤、着色剤、希釈剤を混合した眼用レンズ成分を、コンタクトレンズ形状を有する鋳型(ポリプロピレン製)内に注入した。次いでこの鋳型を100±2℃に調整したオーブン中で30分加熱し、コンタクトレンズ形状の重合体を得た。得られた重合体は、酸素雰囲気下でプラズマ照射(RF出力50W、圧力100Pa)を3分間実施した。生理食塩液中に浸漬し、吸水させて水和処理を施し、コンタクトレンズを得た。評価結果を表19に示した。


臨床評価
実施例4、8、17、32、34に記載されるコンタクトレンズは装用時に良好な装用感を与え、前眼部の障害はみられなかった。一方、比較例2に記載されるコンタクトレンズの装用では障害はないものの、装用感は実施例記載のコンタクトレンズには劣った。また、反撥性の低い比較例3に記載のコンタクトレンズの装用試験においては、装用直後からレンズの動き量は少なくゆっくりで、角膜上での吸着を認めた。
以上の結果から、実施例1〜55に示されたコンタクトレンズ材料は、
透明性、低摩擦性に優れるほか、表面水濡れ性が高く、応力緩和率が13%以下であることから柔軟性、反撥性に優れ、さらにモノマーの残留率が低く、オートクレーブ処理液への溶出量が少ないため安全性が高い。加えてコンタクトレンズ装用時にも良好な装用感を与えるなどコンタクトレンズとして好適なものであることが分かる。
さらに、前記ピロリドン誘導体と特定のシリコーン含有マクロモノマーを用いた材料においては、重合後のレンズ中のピロリドン誘導体の残留率が低いことから、眼用レンズ製造工程の短縮化を達成できる。
一方、請求項に含まれない組成範囲の比較例の材料は、透明性、低摩擦性、柔軟性、表面の水濡れ性はすぐれるものの、モノマーの残留率が多く、オートクレーブ処理液への溶出も認められ、さらにレンズ装用時に吸着を認めるなど眼用レンズ材料としては好ましくない。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、透明性、酸素透過性、柔軟性、反発性、表面の水濡れ性および潤滑性に優れ、表面の粘着性が少なく、かつ適切な機械的強度を有し、さらに、モノマーの残留率が低く、オートクレーブ処理液へのモノマー溶出量が少ない安全性の高い良好な装用感を有するコンタクトレンズが得られる。
また、重合性基がメチレン基であるピロリドン誘導体と特定のシリコーン含有マクロモノマーからなる眼用レンズ材料は、重合性に優れる点で、体内に埋殖される眼内レンズや人工角膜、または角膜オンレイや角膜インレイの、安全性の高い眼用レンズ材料として使用することができる。
したがって、本発明は、コンタクトレンズに限らず、用途の広い眼用レンズ材料を提供する。
さらに、本発明は、前記重合性基がメチレン基であるピロリドン誘導体と特定のシリコーン含有マクロモノマーを用いたコンタクトレンズにおいて、重合後のレンズ中の重合性基がメチレン基であるピロリドン誘導体の残留率が低いことから、その製造工程の簡略化を達成できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物と(B)重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体を含む、眼用レンズ材料。
【請求項2】
前記重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体を5〜60重量%含有する、請求の範囲第1項記載の眼用レンズ材料。
【請求項3】
前記重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体が、1−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドンである、請求の範囲第1項または第2項記載の眼用レンズ材料。
【請求項4】
前記1−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドン(B)が、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドンである請求の範囲第3項記載の眼用レンズ材料。
【請求項5】
前記重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体が、1−アルキル−5−メチレン−2−ピロリドンである、請求の範囲第1項または第2項記載の眼用レンズ材料。
【請求項6】
前記1−アルキル−5−メチレン−2−ピロリドン(B)が、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドンである請求の範囲第5項記載の眼用レンズ材料。
【請求項7】
前記重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体が、5−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドンである、請求の範囲第1項または第2項記載の眼用レンズ材料。
【請求項8】
前記5−アルキル−3−メチレン−2−ピロリドン(B)が、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドンである請求の範囲第7項記載の眼用レンズ材料。
【請求項9】
前記ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する化合物(A)中のポリジメチルシロキサン構造のシロキサン繰り返し数が10〜100である請求の範囲第1項記載の眼用レンズ材料。
【請求項10】
引張弾性率が0.2〜0.8MPaであり、かつ定荷重負荷下、30秒間における応力緩和値が8〜15%である請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第7項、第8項または第9項記載の眼用レンズ材料。
【請求項11】
含水率が10〜60重量%である請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第7項、第8項または第9項記載の眼用レンズ材料。
【請求項12】
含水率が32〜55重量%である請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第7項、第8項または第9項記載の眼用レンズ材料。
【請求項13】
前記ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する化合物(A)以外の(C)シリコーン化合物がさらに含有されている請求の範囲第1項記載の眼用レンズ材料。
【請求項14】
前記シリコーン化合物(C)が、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートである請求の範囲第13項記載の眼用レンズ材料。
【請求項15】
(D)N−置換アクリルアミドがさらに含有されている請求の範囲第1項または第13項記載の眼用レンズ材料。
【請求項16】
前記N−置換アクリルアミド(D)が、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドから選択される1種類以上のN−置換アクリルアミドである請求の範囲第15項記載の眼用レンズ材料。
【請求項17】
少なくとも1種類以上の架橋剤がさらに含有されている請求の範囲第1項、第13項または第15項記載の眼用レンズ材料。
【請求項18】
請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第7項、第8項、第9項、第10項、第11項、第12項、第13項、第14項、第15項、第16項または第17項記載の眼用レンズ材料からなる眼用レンズ。
【請求項19】
眼用レンズ材料の製造方法であって、
a)ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物(A)、重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体を含む親水性モノマー(B)ならびに光重合開始剤および/または熱重合開始剤を含む混合液を得る工程、
b)該混合液を成型用型へ導入する工程、
c)該成型用型内の混合液にUV光を照射するか、および/または加熱することにより、硬化した眼用レンズ材料を得る工程、
d)該眼用レンズ材料を脱離した後、該眼用レンズ材料に表面処理を施して、親水性および/または耐汚染性を付与する工程、
e)該眼用レンズ材料から未反応物を取り除く工程、および
f)該眼用レンズ材料を水和させる工程、
を含む眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項20】
前記混合液中に、ウレタン結合を介してエチレン型不飽和基およびポリジメチルシロキサン構造を有する少なくとも1種の化合物(A)、重合性基がメチレン基である少なくとも1種のピロリドン誘導体(B)、シリコーン化合物(C)およびN−置換アクリルアミド(D)を含む請求の範囲第19項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項21】
前記混合液中に架橋剤を含む請求の範囲第19項または第20項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項22】
前記混合液中に少なくとも1種以上の重合性もしくは非重合性の紫外線吸収剤、および/または、重合性もしくは非重合性染料を含む請求の範囲第19項、第20項または第21項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項23】
前記混合液中に0.1〜5重量%の水溶性有機溶媒を含む請求の範囲第19項、第20項、第21項または第22項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項24】
前記水溶性有機溶媒が、炭素数1〜4のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルおよびN−メチル−2−ピロリドンから選択される1種類以上の水溶性有機溶媒である請求の範囲第23項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項25】
前記表面処理がプラズマ処理である請求の範囲第19項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項26】
前記プラズマ処理において、酸素または酸素の混合物を使用する請求の範囲第25項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項27】
前記プラズマ処理において、酸素と水との混合物を使用する請求の範囲第26項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項28】
前記プラズマ処理において、酸素とテトラフルオロメタンとの混合物を使用する請求の範囲第26項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項29】
前記プラズマ処理において、酸素と有機シランとの混合物を使用する請求の範囲第26項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項30】
前記有機シランがテトラメトキシシランである請求の範囲第29項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項31】
前記プラズマ処理において、酸素とメタンとの混合物を使用する請求の範囲第26項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項32】
前記プラズマ処理において、酸素とチッ素とメタンとの混合物を使用する請求の範囲第26項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項33】
前記表面処理が親水性ポリマー被膜の被覆方法による処理である請求の範囲第19項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項34】
前記被覆方法が親水性モノマーのプラズマ重合方法である請求の範囲第33項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項35】
前記被覆方法がプラズマ開始グラフト重合法である請求の範囲第33項記載の眼用レンズ材料の製造方法。
【請求項36】
さらに(g)眼用レンズ材料を、建染染料を使用して着色する工程を含む請求の範囲第19項記載の眼用レンズ材料の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/063795
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507976(P2005−507976)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000071
【国際出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】