説明

安定化させたMAMLペプチドおよびその使用法

ヒトMAMLに関連している安定に架橋されたポリペプチドを記載する。これらの架橋されたポリペプチドには、ICNおよびCSLを含む複合体であるNotch転写複合体へのMAMLペプチドの結合に重要であると考えられるαへリックス二次構造の安定化を補助することができる内部架橋またはテザーを一緒になって形成する、少なくとも2つの修飾アミノ酸が含まれる。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
Notch受容体は、様々な重要なシグナル伝達経路に関与する膜貫通受容体である。ヒトNOTCH1内の変異は通常、ヒトT細胞急性リンパ球性白血病(T-ALL)で見出され、Notchシグナル伝達における異常は他の癌に関与していると考えられる。
【0002】
Notchシグナル伝達経路は複雑である。適切なリガンドがNotchに結合した場合、タンパク質分解事象が生じ、これによりICNと呼ばれるNotch受容体の一部が細胞核へ進入することが可能になり、そこでDNAと結合する転写因子であるCSLと、マスターマインド(Mastermind)様(MAML)ファミリーのメンバーであるタンパク質と相互作用する。構築された複合体は、特定の遺伝子の転写を活性化することができる。MAMLの特定の断片(例えばヒトMAML-1のアミノ酸13〜74内)が、転写のNotch活性化を干渉するよう作用可能であることが公知である。
【発明の開示】
【0003】
概要
ヒトMAMLに関連した安定に架橋されたポリペプチドを以下に記載する。これらの架橋されたポリペプチドには、ICNおよびCSLを含む複合体であるNotch転写複合体へのMAMLペプチドの結合に重要であると考えられるαへリックス二次構造の安定化を補助することができる内部架橋(テザーとも称される)を一緒になって形成する少なくとも2つの修飾されたアミノ酸が含まれる。制約された二次構造がポリペプチドのタンパク質分解切断に対する耐性を増大できると考えられる。したがって、本明細書に記載する架橋されたポリペプチドは、架橋されていない対応するポリペプチドに対して生物活性を改善することが可能であった。本明細書に記載する架橋されたポリペプチドは、例えば対象における様々な癌の処置などに治療的に使用することができる。Notch機能の阻害因子は、不要な免疫応答と望ましくない血管新生の低減、ヒトT細胞急性リンパ球性白血病の処置、粘液性類表皮癌の処置、乳癌の処置、髄芽腫の処置、および膵臓癌の処置、肺癌の処置、卵巣癌の処置、アテローム性動脈硬化症の処置(例えば心疾患)、黒色腫の処置、結腸癌の処置、およびγセクレターゼ阻害因子に耐性を示す癌の処置に有用である可能性がある。
【0004】
一つの局面において、本発明は、式(I)の修飾されたポリペプチドを特徴とする:

式中、
各R1およびR2は独立して、H、またはC1〜C10アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、もしくはヘテロシクリルアルキルであり;
R3は、アルキル、アルケニル、アルキニル;[R4-K-R4]nであり;その各々は、0〜6個のR5で置換され;
R4は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
R5は、ハロ、アルキル、OR6、N(R6)2、SR6、SOR6、SO2R6、CO2R6、R6、蛍光部分、または放射性同位元素であり;
Kは、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR6、または

であり;
R6は、H、アルキル、または治療的物質であり;
nは、3、4、または6であり;
xは、2〜10の整数であり;
wおよびyは独立して、0〜100の整数(例えば1、2、3、4、5、6、または7)であり;
zは、1〜10の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)であり;かつ
各Xaaは独立して、アミノ酸であり、
ポリペプチドは、以下を除くSEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、または7の少なくとも8個(例えば8、9、10、11、12、13、またはそれ以上)の連続したアミノ酸を含む:(a)SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、または7の8個の連続したアミノ酸内に、3、4、または6アミノ酸で隔てられた少なくとも1対のアミノ酸の側鎖が、式Iに示すアミノ酸対のα炭素に接続している連結基R3で置き換えられている;および(b)アミノ酸対の第一のα炭素は式Iに示すR1で置換されており、アミノ酸対の第二のα炭素は式Iに示すR2またはその薬学的に許容される塩で置換されている。
【0005】
SEQ ID NO:1は、ヒトMAML-1、2、および3のアライメントから作製された配列であり、MAML-1のアミノ酸19から始まり、アミノ酸61まで伸びている。SEQ ID NO:2〜4はそれぞれ、この同じ領域全体にわたるMAML-1、2、および3のアミノ酸配列である。SEQ ID NO:5〜7はそれぞれ、いくらかの大きな領域にわたるMAML-1、2、および3のアミノ酸配列である。

配列中、
Xaa3は、AlaまたはThrであり、
Xaa4は、Vlaまたはlleであり、
Xaa5は、MetまたはValであり、
Xaa10は、Arg、Ala、またはGlnであり、
Xaa13は、GluまたはAlaであり、
Xaa14は、Leu、Val、またはGlyであり、
Xaa17は、ArgまたはGlnであり、
Xaa20は、Ser、Leu、またはValであり、
Xaa21は、Thr、Ser、またはAsnであり、
Xaa24は、Arg、Gly、またはAsnであり、
Xaa27は、GluまたはGlnであり、
Xaa28は、Ala、Arg、またはGlnであり、
Xaa29は、Val、Gly、またはAlaであり、
Xaa30は、Ser、Arg、またはGlnであり、
Xaa31は、Pro、Ala、またはValであり、
Xaa33は、Arg、Ser、またはGlnであり、
Xaa34は、LeuまたはSerであり、
Xaa35は、GluまたはAspであり、
Xaa36は、LeuまたはArgであり、
Xaa39は、Gln、Glu、またはArgであり、
Xaa40は、His、Ser、またはAspであり、
Xaa42は、Phe、Leu、またはValであり、
Xaa43は、Ala、Gln、またはSerであり、
Xaa45は、His、Leu、またはTyrであり、
Xaa46は、GlnまたはSerであり、
Xaa47は、ArgまたはLeuである。
【0006】
SEQ ID NO:1内では、以下のアミノ酸対が架橋され得る:2/9、6/13、13/17、17/20、20/27、20/24、35/39、39/46、および39/43。SEQ ID NO:2〜8内の対応する残基が架橋され得る。
SEQ ID NO:2(MAML-1;アミノ酸19〜62):

SEQ ID NO:3(MAML-2):

SEQ ID NO:4(MAML-3):

SEQ ID NO:5(MAML-1;転写複合体に結合するための推定ドメインを含む):

SEQ ID NO:6(MAML-2;転写複合体に結合するための推定ドメインを含む):

SEQ ID NO:7(MAML-3;転写複合体に結合するための推定ドメインを含む):

SEQ ID NO:8(MAML-1コア)

SEQ ID NO:9(MAML-2コア)

SEQ ID NO:10(MAML-3コア)

【0007】
場合によっては、修飾されたポリペプチドは、ICNおよびCSLの複合体、例えばDNAに結合したICNおよびCSLに結合する。
【0008】
場合によっては、各yは独立して、3〜15の間の整数である。
【0009】
場合によっては、各yは独立して、1〜15の間の整数である。
【0010】
場合によっては、R1およびR2は各々独立して、HまたはC1-C6アルキルである。
【0011】
場合によっては、R1およびR2は各々独立して、C1-C3アルキルである。
【0012】
場合によっては、R1およびR2の少なくとも一方は、メチルである。例えば、R1およびR2は、両方がメチルである。
【0013】
場合によっては、R3は、アルキル(例えばC8アルキル)であり、およびxは、3である。
【0014】
場合によっては、R3は、C11アルキルであり、およびxは6である。
【0015】
場合によっては、R3は、アルケニル(例えばC8アルケニル)であり、およびxは、3である。
【0016】
場合によっては、xは6であり、およびR3は、C11アルケニルである。
【0017】
場合によっては、R3は、直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニルである。
【0018】
場合によっては、R3は、-CH2-CH2-CH2-CH=CH-CH2-CH2-CH2-である。
【0019】
ある態様において、2つのα,α二置換された立体中心(α炭素)は、R立体配置またはS立体配置の両方にあるか(例えば、i、i+4架橋)、または一方の立体中心はRであり、および他方はSである(例えば、i、i+7架橋)。したがって、式Iは、

として示され、例えばxが3である場合、C'およびC''二置換された立体中心は、両方ともR立体配置であるか、またはこれらは両方ともS立体配置であることができる。xが6である場合、C'二置換された立体中心はR立体配置であり、およびC''二置換された立体中心はS立体配置である。R3二重結合は、EまたはZ立体化学的立体配置であってよい。
【0020】
場合によっては、R3は、[R4-K-R4]nであり;および、R4は直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニルである。
【0021】
場合によっては、本ポリペプチドは、

のアミノ酸配列と少なくとも約60%(70%、80%、85%、90%、95%、または98%)同一であるアミノ酸配列を含む。場合によっては、修飾されたポリペプチドは、8個(例えば8、9、10、11、12、13、またはそれ以上)の連続したアミノ酸内の少なくとも1対のアミノ酸が内部架橋を形成することができる修飾されたアミノ酸で置き換えられていることを除いて、

の少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む。
【0022】
このテザーは、アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分(例えば、C5、C8、もしくはC11アルキル、またはC5、C8、もしくはC11アルケニル、またはC5、C8、もしくはC11アルキニル)を含むことができる。テザーアミノ酸は、α二置換することができる(例えば、C1-C3またはメチル)。[Xaa]yおよび[Xaa]wは独立して、MAMLポリペプチドの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25またはそれ以上の連続したアミノ酸を含むことができるペプチドであり、[Xaa]xは、MAMLペプチドの3または6個の連続したアミノ酸を含むことができるペプチドである。
【0023】
本ポリペプチドは、MAMLポリペプチド(例えばヒトMAML-1、2、もしくは3、またはコンセンサスMAMLポリペプチド)の8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50アミノ酸を含むことができる。このアミノ酸は、3または6アミノ酸で隔てられた1つまたは複数の対のアミノ酸が、例えばR3を介して架橋を形成するアミノ酸置換基で置き換えられている以外は連続的である。したがって少なくとも2個のアミノ酸は、テザーアミノ酸またはテザーアミノ酸置換基により置き換えることができる。したがって、式Iは以下のように表され:

[Xaa]y'および[Xaa]y''は、それぞれ同じまたは異なるMAMLペプチド由来の連続したポリペプチド配列を含むことができる。
【0024】
場合によっては、本ポリペプチドは、SEQ ID NO:8、9、および10から選択されたアミノ酸配列を含み、(a)アミノ酸8および12の側鎖は、式Iに示すアミノ酸8および12のα炭素に接続している連結基R3で置き換えられ、かつ(b)アミノ酸8のα炭素は式Iに示すR1で置換され、アミノ酸12のα炭素は式Iに示すR2で置換される。
【0025】
本発明は、MAMLポリペプチドの少なくとも8個(例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、またはそれ以上)の連続したアミノ酸を含む架橋されたポリペプチドを特徴とし、3アミノ酸(または6アミノ酸)で隔てられた2つのアミノ酸のα炭素は、R3を介して連結され、2つのα炭素の一方はR1で置換され、他方はR2で置換され、それぞれはさらなるアミノ酸に結合したペプチドを介して連結している。
【0026】
いくつかの態様において、本ポリペプチドはNotchのドミナントネガティブな阻害因子として作用する。
【0027】
場合によっては、本ポリペプチドは、蛍光部分または放射性同位元素も含む。
【0028】
場合によっては、R1およびR2はメチルであり、R3はC8アルキル、C11アルキル、C8アルケニル、C11アルケニル、C8アルキニル、C11アルキニルであり、xは2、3、または6である。
【0029】
場合によっては、本ポリペプチドは、PEG、tatタンパク質、アフィニティー標識、標的化部分、および/またはビオチン部分を含む。
【0030】
別の局面において、本発明は、式(III)のポリペプチドを作製する方法を特徴とし、本方法は、
式(II)のポリペプチドを提供する工程:

、および
式(II)の化合物を触媒で処理して閉環メタセシスを促進し、それによって式(III)の化合物を提供する工程:

を含み、
式中、
各R1およびR2は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり;
各nは独立して、1〜15の整数であり;
xは、2、3、または6であり;
wおよびyは独立して、0〜100の整数であり;
zは、1〜10の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)であり;かつ
各Xaaは独立して、アミノ酸である。
【0031】
場合によっては、ポリペプチドはICNとCSLの複合体に結合する。
【0032】
場合によっては、この触媒は、ルテニウム触媒である。
【0033】
場合によっては、この方法は、閉環メタセシスに続いて、還元剤または酸化剤を提供する工程も含む。
【0034】
場合によっては、この還元剤はH2であるか、または酸化剤は四酸化オスミウムである。
【0035】
場合によっては、本発明は、本明細書に記載する任意の化合物を対象へ投与することを含む、対象を処置する方法を特徴としている。場合によっては、この方法は、追加の治療的物質を投与する工程も含む。
【0036】
場合によっては、本発明は、本明細書に記載する化合物を対象へ投与することを含む、対象の癌を処置する方法を特徴としている。場合によっては、この方法は、追加の治療的物質を投与する工程をさらに含む。
【0037】
場合によっては、本発明は、本明細書に記載する化合物のライブラリーを特徴としている。
【0038】
本発明により想起された置換基および変種の組み合わせは、安定した化合物の形成を生じるもののみである。本明細書において使用される「安定した」という用語は、製造を可能にするのに十分な安定性を有しかつ本明細書に詳述された目的(例えば、対象への治療的投与、またはインビトロもしくはインビボのいずれかで生物学的経路を試験もしくは発見するための試薬の生成)に有用である十分な期間にわたり化合物の完全性を維持するような化合物を意味する。
【0039】
本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、その結果ラセミ体およびラセミ混合物、単独のエナンチオマー、個別のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物を生じる。これらの化合物のこのような異性体型は全て、明白に本発明に含まれている。本発明の化合物は、複数の互変異性体型においても表され、このような場合、本発明は明白に、本明細書に記載する化合物の全ての互変異性体型を含んでいる(例えば、環システムのアルキル化は、複数の部位のアルキル化を生じてもよく、本発明は明白にそのような反応生成物を全て含む)。そのような化合物のそのような異性体型は全て、明白に本発明に含まれる。本明細書に記載する化合物の全ての結晶型は、明白に本発明に含まれる。
【0040】
「アミノ酸」という用語は、アミノ基およびカルボキシル基の両方を含む分子を意味する。適当なアミノ酸は、ペプチドにおいて認められる20種の一般的な天然のアミノ酸のD型およびL型の両異性体(例えば、A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y、V(一文字略号として公知))に加え、有機合成または他の代謝経路により調製された天然および非天然のアミノ酸を含むが、これらに限定されるものではない。20の共通する天然アミノ酸の各々に対する側鎖の構造を以下の表に提供する。この表中で、各構造の右側の「−」は、α炭素への結合である。

【0041】
「非必須」アミノ酸残基は、その活性を根絶または実質的に変更することなく、ポリペプチドの野生型配列から変更することができる残基である。「必須」アミノ酸残基は、ポリペプチドの野生型配列から変更された場合に、ポリペプチド活性の根絶または実質的に根絶を生じる残基である。
【0042】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似側鎖を有するアミノ酸残基で交換される置換である。類似側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非帯電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝した側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を伴うアミノ酸である。したがってMAMLポリペプチド中の推定される非必須アミノ酸残基は、例えば、優先的に同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基と置き換えられる。
【0043】
記号

は、分子構造の一部として使用される場合、単結合、またはトランスもしくはシス二重結合を意味する。
【0044】
「アミノ酸側鎖」という用語は、アミノ酸のα-炭素に結合した部分を意味する。例えば、アラニンのアミノ酸側鎖はメチルであり、フェニルアラニンのアミノ酸側鎖はフェニルメチルであり、システインのアミノ酸側鎖はチオメチルであり、アスパラギン酸のアミノ酸側鎖はカルボキシメチルであり、チロシンのアミノ酸側鎖は4-ヒドロキシフェニルメチルであるなどである。他の非天然のアミノ酸側鎖も、例えば自然に生じるもの(例えば、アミノ酸代謝産物)または合成により生成されたもの(例えば、α二置換されたアミノ酸)などが含まれる。
【0045】
ポリペプチドという用語は、共有結合(例えばアミド結合)により連結された、2個またはそれよりも多い天然または合成のアミノ酸を包含している。本明細書に記載するようなポリペプチドは、完全長タンパク質(例えば、完全にプロセッシングされたタンパク質)に加え、より短いアミノ酸配列(例えば、天然のタンパク質の断片または合成ポリペプチド断片)を含む。
【0046】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の任意のラジカルを意味する。「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖であることができ、指定された数の炭素原子を含む、炭化水素鎖を意味する。例えばC1-C10は、その基がその中に1〜10(を含む)個の炭素原子を有し得ることを示している。任意の数値指定がない場合、「アルキル」は、その中に1〜20個(を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。「アルキレン」という用語は、二価アルキル(すなわち-R-)を意味する。
【0047】
「アルケニル」という用語は、1個または複数の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖であることができる炭化水素鎖を意味する。アルケニル部分は、指定された数の炭素原子を含む。例えばC2-C10は、その基がその中に2〜10(を含む)個の炭素原子を有し得ることを示している。「低級アルケニル」という用語は、C2-C8アルケニル鎖を意味する。任意の数値指定がない場合、「アルケニル」は、その中に2〜20(を含む)個の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
【0048】
「アルキニル」という用語は、1個または複数の炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖であることができる炭化水素鎖を意味する。アルキニル部分は、指定された数の炭素原子を含む。例えばC2-C10は、その基がその中に2〜10(を含む)個の炭素原子を有し得ることを示している。「低級アルキニル」という用語は、C2-C8アルキニル鎖を意味する。任意の数値指定がない場合、「アルキニル」は、その中に2〜20(を含む)個の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
【0049】
「アリール」という用語は、各環の0、1、2、3、または4個の原子が、置換基により置換され得る、6炭素の単環式または10炭素の二環式芳香環システムを意味する。アリール基の例は、フェニル、ナフチルなどを含む。「アリールアルキル」という用語または「アラルキル」という用語は、アリールで置換されたアルキルを意味する。「アリールアルコキシ」という用語は、アリールで置換されたアルコキシを意味する。
【0050】
本明細書において使用される「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素、好ましくは3〜8個の炭素、より好ましくは3〜6個の炭素を有する、飽和および部分的に不飽和の環式炭化水素基を含み、ここでシクロアルキル基はさらに、任意に置換されてよい。好ましいシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0051】
「ヘテロアリール」という用語は、芳香族5〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式の環システムで、単環式ならば1〜3個のヘテロ原子を、二環式ならば1〜6個のヘテロ原子を、または三環式ならば1〜9個のヘテロ原子を有するものを意味し、ここで該ヘテロ原子は、O、NまたはSから選択され(例えば、単環、二環または三環であるならば、各々、炭素原子、1〜3、1〜6、または1〜9個のN、OもしくはSのヘテロ原子)、ここで各環の0、1、2、3または4個の原子は、置換基により置換されてよい。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどである。「ヘテロアリールアルキル」という用語または「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを意味する。「ヘテロアリールアルコキシ」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルコキシを意味する。
【0052】
「ヘテロシクリル」という用語は、単環式ならば1〜3個のヘテロ原子を、二環式ならば1〜6個のヘテロ原子を、または三環式ならば1〜9個のヘテロ原子を有する、非芳香族5〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式の環システムを意味し、該ヘテロ原子は、O、NまたはSから選択され(例えば単環、二環または三環であるならば、各々、炭素原子、および1〜3、1〜6、または1〜9個のO、NもしくはSのヘテロ原子)、ここで各環の0、1、2、3個の原子は、置換基により置換されてよい。ヘテロシクリル基の例は、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルなどである。
【0053】
「置換基」という用語は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基上の任意のその基の原子での「置換された」基を意味する。適当な置換基は、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、チオアルオッキシ、アリールオキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、アミド、カルボキシ、アルカンスルホニル、アルキルカルボニル、およびシアノ基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本発明の1種または複数の態様の詳細は、添付図面および以下の説明に記されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに「特許請求の範囲」から明らかであると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】MAMLポリペプチドおよび修飾の位置を表す。
【図2】オレフィン側鎖を含むα,α-二置換された非天然アミノ酸の生成のための合成戦略を表す。
【図3】本明細書に記載の研究で用いた特定のMAMLポリペプチドを表す。
【図4】ステープルされた(stapled)MAMLポリペプチドを表す。
【図5】ステープルされたポリペプチドのCDスペクトルを表す。
【図6】ステープルされたMAMLポリペプチドを表す。
【図7】BioSAHN11がICNに用量依存性様式で結合することを示す表面プラズモン共鳴法の結果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の修飾されたポリペプチド:

式中、
各R1およびR2は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり;
各R3は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル;[R4-K-R4]nであり;その各々は、0〜6個のR5で置換され;
各R4は独立して、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
各R5は独立して、ハロ、アルキル、OR6、N(R6)2、SR6、SOR6、SO2R6、CO2R6、R6、蛍光部分、または放射性同位元素であり;
各Kは独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR6、または

であり;
各R6は独立して、H、アルキル、または治療的物質であり;
nは、1〜4の整数であり;
xは、3、4、または6であり;
yおよびwは独立して、0〜100の整数であり;
zは、1〜10の整数であり;かつ
各Xaaは独立して、アミノ酸であり;
該修飾されたポリペプチドは、
(a)8個の連続したアミノ酸内に、3、4、または6アミノ酸で隔てられた少なくとも1対のアミノ酸の側鎖が、式Iに示すアミノ酸対のα炭素に接続している連結基R3で置き換えられていること;および
(b)アミノ酸対の第一のα炭素が式Iに示すR1で置換されており、かつアミノ酸対の第二のα炭素が式Iに示すR2で置換されていること
を除いて、MAMLポリペプチドの少なくとも8個の連続したアミノ酸を含み;かつ
NまたはCは、PEG、スペルミン、または炭水化物で置換することができる。
【請求項2】
MAMLポリペプチドがSEQ ID NO:1〜7のいずれかを含む、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項3】
修飾されたポリペプチドが、CSLとICNを含む複合体に結合する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
MAMLポリペプチドがヒトMAML-1、MAML-2、およびMAML-3から選択される、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項5】
MOLT4細胞、ALL-SIL T-ALL細胞、KOPTK1 T-ALL細胞、およびTALL1細胞の少なくとも1つの生存度を低下させる、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項6】
xが3である、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項7】
xが4である、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項8】
xが6である、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項9】
xが2または6であり、R3が単一の二重結合を含むアルケニルであり、かつR1およびR2が両方ともHである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項10】
各yが独立して、3〜15の間の整数である、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項11】
R1およびR2が各々独立して、HまたはC1-C6アルキルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項12】
R1およびR2が各々独立して、C1-C3アルキルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項13】
R1およびR2の少なくとも一方がメチルである、請求項11記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項14】
R1およびR2がメチルである、請求項12記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項15】
R3がアルキルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項16】
xが3である、請求項14記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項17】
R3がC8アルキルである、請求項15記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項18】
xが6である、請求項14記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項19】
R3がC11アルキルである、請求項17記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項20】
R3がアルケニルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項21】
xが3である、請求項18記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項22】
R3がC8アルケニルである、請求項20記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項23】
xが6である、請求項19記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項24】
R3がC11アルケニルである、請求項19記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項25】
R3が、直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項26】
R3が[R4-K-R4]であり、かつR4が直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項27】
8個の連続したアミノ内に、3または6アミノ酸で隔てられた少なくとも1対のアミノ酸の側鎖が、アミノ酸対のα炭素に接続している式Iに示す連結基R3で置き換えられていること、および
アミノ酸対の第一のα炭素が式Iに示すR1で置換されており、かつアミノ酸対の第二のα炭素が式Iに示すR2で置換されていること
を除いて、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、またはSEQ ID NO:4の少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項28】
[Xaa]wが、AVMERL、RLRRRI、LCR、LCRRHH、TCE、RYE、TCEARY CEARYE、LERQHT、HTF、およびHTFALHから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項29】
R1またはR2の少なくとも一方がアルキルである、請求項15記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項30】
各R1およびR2が独立して、HまたはC1-C3アルキルである、請求項11記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項31】
R1およびR2がメチルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項32】
xが3または6であり、かつzが1である、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項33】
R3が、C8またはC11のアルキルまたはアルケニルである、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項37】
乳酸とグリコール酸のコポリマーをさらに含む、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項38】
PEGをさらに含む、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項39】
標的化部分をさらに含む、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項40】
ビオチン部分をさらに含む、請求項1記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項41】
下記式(II)のポリペプチドを提供する工程:

、および
式(II)の化合物を触媒で処理して閉環メタセシスを促進し、それによって下記式(III)の化合物を提供する工程:


を含む、式(III)のポリペプチドを作製する方法であって、
式中、各R1およびR2が独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり;
各nが独立して、1〜15の整数であり;
xが、3、4、または6であり;
各yが独立して、0〜100の整数であり;
zが、1〜3の整数であり;かつ
各Xaaが独立してアミノ酸であり;かつ
該ポリペプチドが水溶液中でαヘリックス構造を含む、方法。
【請求項42】
ポリペプチドがICNとCSLを含む複合体に結合する、請求項41記載の方法。
【請求項43】
触媒がルテニウム触媒である、請求項41記載の方法。
【請求項44】
閉環メタセシスに続いて、還元剤または酸化剤を提供する工程をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
還元剤がH2であるか、または酸化剤が四酸化オスミウムである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
請求項1記載の化合物を対象へ投与する工程を含む、対象を処置する方法。
【請求項47】
追加の治療的物質を投与する工程をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
請求項1記載の化合物を対象へ投与する工程を含む、対象の癌を処置する方法。
【請求項49】
追加の治療的物質を投与する工程をさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
式(I)である、請求項1記載の化合物のライブラリー。
【請求項51】
下記式を有する化合物:

R1は、-CH2CH2COOH [E]もしくは-CH2COOH [D]であるか、またはR1およびR8は合わせてRxであり;
R2は、-CH2CH(CH3)2 [L]または-CH2CH2CH2N(H)C(NH)NH2 [R]であり;
R3は、-CH2CH2COOH [E]であり;
R4は、-CH2CH2CH2N(H)C(NH)NH2 [R]であり;
R5は、-CH2CH2C(O)NH2 [Q]、-CH2CH2COOH [E]、もしくはCH2CH2CH2N(H)C(NH)NH2 [R]であるか、またはR5およびR9は合わせてRyであるか、またはR5およびR12は合わせてRxであり;
R6は、-CH2OH [S]、

、または-CH2COOH [D]であり;
R7は、-C(OH)CH3 [T]であり;
R8は、ベンジル[F]、-CH2CH(CH3)2 [L]、-CH(CH3)2 [V]であるか、またはR1およびR8は合わせてRxであり;
R9は、-CH3 [A]もしくは-CH2CH2C(O)NH2 [Q]、および-CH2OH [S]から選択されるか、またはR5およびR9は合わせてRyであり;
R10は、-CH2CH(CH3)2 [L]であり;
R11は、

、-CH2CH(CH3)2 [L]、および

であり、
R12は、-CH2CH2C(O)NH2 [Q]および-CH2OH [S]であるか、またはR5およびR12は合わせてRxであり
ただし、R1およびR8が合わせてRxである場合、R5およびR9は合わせてRyではなく、かつR5およびR12は合わせてRxではなく;
さらに、ただし、R5およびR9が合わせてRyである場合、R1およびR8は合わせてRxではなく、かつR5およびR12は合わせてRxではなく;
さらに、ただし、R5およびR12が合わせてRxである場合、R5およびR9は合わせてRyではなく、かつR1およびR8は合わせてRxではなく;
RxおよびRyは、アルキル、アルケニル、アルキニル;[Rx1-K-Rx1]nであり;その各々は、0〜6個のRx2で置換され;
Rx1は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
Rx2は、ハロ、アルキル、ORx3、N(Rx3)2、SRx3、SORx3、SO2Rx3、CO2Rx3、Rx3、蛍光部分、または放射性同位元素であり;
Kは、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONRx3、または

であり;
Rx3は、H、アルキル、または治療的物質であり;かつ
RzおよびRwは独立して、H、ヒドロキシル、アミノ酸、ペプチド結合によって連結された2〜10アミノ酸、tat、およびPEGである。
【請求項52】
各yが独立して、3〜15の間の整数である、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項53】
R1およびR2が各々独立して、HまたはC1-C6アルキルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項54】
R1およびR2が各々独立して、C1-C3アルキルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項55】
R1およびR2の少なくとも一方がメチルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項56】
R1およびR2がメチルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項57】
R3がアルキルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項58】
xが3である、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項59】
R3がC8アルキルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項60】
xが6である、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項61】
R3がC11アルキルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項62】
R3がアルケニルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項63】
R3がC8アルケニルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項64】
R3がC11アルケニルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項65】
R3が、直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項66】
R3が[R4-K-R4]であり、かつR4が直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニルである、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項66】
xが3であり、かつzが1である、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項67】
細胞膜を通って輸送される、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項68】
(a)アミノ酸8および12の側鎖が、式Iに示すアミノ酸8および12のα炭素に接続している連結基R3で置き換えられ、かつ
(b)アミノ酸8のα炭素が式Iに示すR1で置換され、かつアミノ酸12のα炭素が式Iに示すR2で置換される、
SEQ ID NO:8、9、および10から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のポリペプチド。

【図7】固定したICNがCSLに用量依存性様式で会合することを示す表面プラズモン共鳴法の結果を表す。
【図9】固定されステープルされたSAHN1およびステープルされていないSAHN1のICN1への結合を検討する研究結果を表す。
【図10】SAHN1、SAHN2、およびSAHN6の細胞取り込みに関する研究結果を表す。
【図11】ステープルされたSAHN1およびステープルされていないSAHN1の細胞取り込みに関する研究結果を表す。
【図12】ステープルされたSAHN11がCSL応答性レポーターの発現を用量依存性様式で減少させることを示した研究結果を表す。
【図13】SAHN11-FlTCまたはSAHN1-FITCのいずれかに曝露したT-ALL1細胞がハウスキーピング遺伝子の発現に対してHES1発現の低下を示すことを示した研究結果を表す。
【図14】ステープルされたSAHN2がMOLT4細胞の生存度を低下させることを示した研究結果を表す。
【図15】ステープルされたSAHN1はALL-SIL細胞の生存度を低下させるが、ステープルされていないSAHN1は低下させないことを示した研究結果を表す。
【図16】ステープルされたSAHN1はKOPTK1細胞の生存度を低下させるが、ステープルされていないSAHN1は低下させないことを示した研究結果を表す。
【図17】ステープルされたSAHN11がMOLT4細胞の生存度を低下させることを示した研究結果を表す。
【図18】ステープルされたSAHN11がTALL1細胞の生存度を低下させることを示した研究結果を表す。
【図19】SAHN1はT-ALL細胞溶解物中でICN1/CSLに結合することができるが、SAHNl-Dは結合できないことを示した研究結果を表す。
【図20】SAHN1がT-ALL細胞溶解物中でMAMLに結合するICN1と競合可能であることを示した研究結果を表す。
【図21】SAHN1-DがT-ALL細胞溶解物中でMAMLに結合するICN1と競合できないことを示した研究結果を表す。
【図22】SAHN1およびSAHN11が、T-ALL細胞中でCSL応答性レポーターからの転写の低減を引き起こすことができることを示した研究結果を表す。
【図23】SAHN1は、T-ALL細胞中でCSL応答性の内因性遺伝子からの転写の低減を引き起こすことができるが、SANNl-Dnはできないことを示した研究結果を表す。
【図24】SAHN1がT-ALL細胞内でのアポトーシス反応を誘発可能であることを示した研究結果を表す。
【図25】SAHN1がMOLT4 T-ALL細胞の生存度を低下させることを示した研究結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
ヒトMAMLに関連する内部で架橋されたαへリックスドメインポリペプチドを、本明細書に記載する。これらのポリペプチドは、2つの非天然のアミノ酸間にテザーを含み、このテザーは、ポリペプチドのαヘリックス二次構造を著しく増強する。一般にテザーまたは架橋(ステープルと呼ばれることもある)は、1個または2個のヘリックスターンの長さ(すなわち、約3.4個または約7個のアミノ酸)にわたって伸びる。したがって、iおよびi+3;iおよびi+4;またはiおよびi+7に位置したアミノ酸は、化学修飾および架橋の理想的な候補である。したがって、例えばペプチドは以下の配列を有する:
image rotate

(式中、「...」はさらなるアミノ酸の任意の存在を示す)、Xaa1とXaa4の間、またはXaa1とXaa5の間、またはXaa1とXaa8の間の架橋は、Xaa2とXaa5の間、またはXaa2とXaa6の間、またはXaa2とXaa9の間などの架橋のように有用である。本ポリペプチドは、配列をさらに安定化するかまたはより長い一連のポリペプチドの安定性を促進するかのいずれかのために、本ポリペプチド配列内の複数の架橋を含むことができる。これらのポリペプチドが、一部容易に合成するには長すぎる場合は、独立して合成され架橋されたペプチドを、ネイティブケミカルライゲーションと称される技術により結合することができる(Bang, et al., J. Am. Chem Soc. 126:1377)。
【0057】
新規の架橋ポリペプチドは、例えば、1つまたは複数のα-ヘリックスドメインを有するタンパク質またはポリペプチドを模倣または試験するために有用である。
【0058】
MAML-1、2、および3の間で保存された残基の分析;MAMLとNotchの間の予測された相互作用の分析;および予測されたαへリックス領域の分析は、Notchへの結合を有意に阻害することなく架橋を提供するために置き換えられ得るアミノ酸の同定をもたらした。したがって、MAML-1について図2に示すように、架橋されている可能性のある残基を二重下線で示す。αへリックスの同じ面上に反応性の残基を配置することにより、架橋化学を容易にする各フェーズ(1〜6)について示した別々の位置、すなわち「iおよびi+4位」または「iおよびi+7位」で置換を生じることができる。MAMLポリペプチド内で高度に保存されたアミノ酸、およびX線結晶学に基づきタンパク質間相互作用に重要であると考えられているアミノ酸は、好ましくは置き換えられない。図2では、変化が許容されると予想される残基を一重線で示す。特定の状況では、保存アミノ酸を他のアミノ酸(例えば合成した非天然アミノ酸)で置き換えることができる。
【0059】
可変長のオレフィン側鎖を含むα,α-二置換非天然アミノ酸を、公知の方法で合成することができる(Williams et al. 1991 J Am. Chem. Soc. 113 :9276;Schafmeister et al. 2000 J. Am. Chem Soc. 122:5891)。図2は、i+4ペプチドに連結したiの固相ペプチド合成(SPPS)に用いる非天然アミノ酸(Fmoc-S5)の調製を図で示したものである(αへリックスの1ターンは安定化されている)。i+7ステープルに連結したiが用いられるペプチド(へリックスの2ターンが安定化)について、1つのS5アミノ酸が用いられ、1つのR8が用いられる。R8は、出発のキラル補助基がR-アルキル-立体異性体を与えることを除き、同じ経路を用いて合成される。同様に、8-ヨードオクテンを、5-ヨードペンテンの代わりに用いる。MBHA樹脂上の固相ペプチド合成(SPPS)を用いて、固体支持体上で阻害因子を合成する。ペプチド最終産物への組み込みのために、Moelleringによって非天然アミノ酸を合成した。
【0060】
図3に示す様々な内部架橋ペプチド(REM-G1〜REM-G13、それぞれSAHN1〜SAHN13とも呼ばれる)を生成した(Xは架橋を形成する修飾されたアミノ酸である)。下線部分は各ポリペプチドの範囲を示し、各場合のMAML-1配列の残りを前後に提供する。
【0061】
図4は、REM-G1(SAHN1)の配列を有する修飾されたポリペプチドの図式画および詳細な構造図である。図5の円二色性スペクトルに見られるように、修飾されたポリペプチドは、架橋されていない場合の40%と比較して、96%αへリックスであり得る。図6は、ビオチンまたはFITC標識のいずれかを含む、数種の修飾され内部で架橋されたポリペプチドREM-G11(SAHN11)の詳細な構造を示す。
【0062】
表面プラズモン共鳴法を用いて、ビオチン標識された架橋バージョンのREM-G11(BioSAHN11)がICNに用量依存性様式で結合することを実証した(図7)。
【0063】
ステープルされたペプチドとNotch複合体間の生化学的会合を同様に、表面プラズモン共鳴法を用いて調べた。これらの研究では、固定したICNタンパク質(抗GST抗体、およびRAMとANKドメインを含むGSTタグ付加して精製したICNタンパク質)を使用した。他の研究では、ビオチン化されステープルされたペプチドおよびストレプトアビジン官能性センサー表面を使用した。
【0064】
本発明者らは、固定されたICNがCSLと用量依存性様式で会合することを実証した。この会合は、第一にRAM結合および続いてANKドメインとの低親和性会合を伴う、二相の動的会合を示した(図8)。抗GST抗体による参照表面への非特異的結合は最小限のものだけであった。
【0065】
固定されステープルされたSAHN11およびステープルされていないSAHN11のICN1への結合により、ステープルされていないSAHN11(Kd=2.63μM)よりもステープルされた(架橋された)SAHN11がICNに高い親和性(Kd=0.96μM)で結合することが実証された(図9)。
【0066】
MOLT4細胞溶解物、ALL-SIL細胞溶解物、およびKOPTKl細胞溶解物を用いた免疫沈降研究により、ビオチン標識したSAHN1を用いて、ICNをプルダウンできることが見出された。FITC標識SAHN1を用いる逆免疫沈降アッセイにより、SAHN1を用いてMOLT4細胞溶解物中でICNをプルダウンできることが見出された。
【0067】
自動定量的免疫蛍光法を用いて、フルオロフォアで標識されステープルされたαへリックスの細胞内分布を決定した。細胞をFITC結合ペプチドSAHN1、SAHN2、もしくはSAHN6、または対照とインキュベートした。落射蛍光顕微鏡を用いて、細胞の蛍光を16時間で測定した。これらの研究の結果を図10に示す。図中で各円は個々の細胞を表し、各カラムは処理状態を表す。SAHN1とSAHN2の両方が、有意な細胞内通路を示したのに対し、SAHN6は示さなかった。
【0068】
自動定量的免疫蛍光法を同様に用いて、フルオロフォアで標識されステープルされたαへリックスの細胞内分布を決定した。細胞をFITC結合ペプチドSAHN1またはステープルされていないSAHN1とインキュベートした。図11に示すように、ペプチドをステープルすることは、この場合、細胞内通路に影響を及ぼさないようである。
【0069】
落射蛍光顕微鏡により、SAHN11が細胞内分布を示すことが実証された。共焦点顕微鏡分析により、ステープルされたSAHN1ペプチドとステープルされていないSAHN1ペプチドの両方が、エンドサイトーシスを介して細胞内区画へ分散するようであることが示唆された。
【0070】
CSL応答性レポーターをトランスフェクトしたMOLT4細胞を用いて、Notchが介在する転写の活性化を、ステープルされたSAHN11が干渉することができるか否かを試験した。図12に見られるように、ステープルされたSAHN11は、CSL応答性レポーターの発現を用量依存性様式で減少させた。
【0071】
HES1はNotch応答性遺伝子である。図13に示すように、SAHN11-FITCまたはSAHN1-FITCのいずれかに曝露したT-ALL1細胞は、ハウスキーピング遺伝子(βアクチン)の発現に対してHES1発現の低下を示す。
【0072】
図14に示すように、ステープルされたSAHN2は、MOLT4細胞の生存度を低下させた。図15に示すように、ステープルされたSAHN1はALL-SIL細胞の生存度を低下させたが、ステープルされていないSAHN1は低下させなかった。図16に示すように、ステープルされたSAHN1はKOPTKl細胞の生存度を低下させたが、ステープルされていないSAHN1は低下させなかった。図17に示すように、ステープルされたSAHN11は、MOLT4細胞の生存度を低下させた。図18に示すように、ステープルされたSAHN11は、TALL1細胞の生存度を低下させた。
【0073】
固定されたSAHN1を用いて、組み立てられる前のICN-CSL複合体に対する見かけ上のKdを、表面プラズモン共鳴法により測定した。この分析結果により、見かけ上のKdが98 nMであることが明らかになった。(本発明者は、スライド8を示す必要はないと考える)。
【0074】
図6に図示したSAHN1内の*で示したGluをArgに変更し、図6に図示したSAHN1内の+で示したArgをGluに変更することにより、SAHN1の損傷した変種を作製した。SANNlと同じ正味荷電を有するこの損傷した変種をSAHNl-Dと称する。
【0075】
固定されたSAHNl-Dを用いて、組み立てられる前のICN-CSL複合体に対する見かけ上のKdを、表面プラズモン共鳴法により測定した。この分析結果により、見かけ上のKdが1.40μMであることが明らかになった。(本発明者は、スライド10を示す必要はないと考える)。
【0076】
T-ALL(KOPTKl)細胞溶解物を用いた免疫沈降研究により、SAHN1およびSAHN11はICNとCSLの両方をプルダウンすることができるが、SAHN1-Dはできないことが実証された。分析結果を図19に示す。
【0077】
T-ALL細胞溶解物を用いた研究により、SAHN1が免疫沈降されたMAMLに結合しているICN1に競合できることが見出された。分析結果を図20に示す。
【0078】
T-ALL細胞溶解物を用いた研究により、SAHN1-Dが免疫沈降されたMAMLに結合しているICN1に有効に競合できないことが見出された。分析結果を図21に示す。
【0079】
CSL応答性プロモーターの制御下にβラクタマーゼ遺伝子を保有するT-ALL細胞(MOLT4)を用いて、Notch複合体が介在する転写に対するSAHN1とSAHN11の効果を研究した。本研究により、SAHN1とSAHN11の両方が転写を低下させること、ならびにその低下が、Notchに対するRNAiおよびラクタマーゼに対するRNAiによって引き起こされるのと同程度であることが見出された。分析結果を図22に示す。
【0080】
T-ALL細胞(MOLT4)における研究により、SAHN1は、共にNotch駆動性遺伝子であるHES1およびHEY1の発現を用量依存性様式で減少させるが、SAHN1-Dは減少させないことが見出された。分析結果を図23に示す。
【0081】
γセクレターゼ耐性T-ALL細胞(MOLT4)における研究により、SAHN1は24または48時間後にアポトーシス反応を誘導するが、SAHN1-Dは誘導しないことが見出された。分析結果を図24に示す。
【0082】
T-ALL細胞(KOPTKl)における研究により、SAHN1が細胞生存度を低下させることが見出された(IC50=8μM)。SAHN1-Dは細胞生存度に対してほとんど影響を及ぼさなかった。分析結果を図25に示す。
【0083】
さらなる研究により、SAHN1は、臨床的に関連性のあるヒトNotch変異(1601位でのLからPへの変化およびPESTドメインの変異)を保有するトランスジェニックマウス由来の新生物マウスのリンパ球に対して細胞傷害性であるが、SAHN1-Dはそうではないことが見出された。
【0084】
ポリペプチド
場合によっては、本明細書に記載する炭化水素テザー(すなわち、架橋)はさらに操作することができる。一例として、炭化水素アルケニルテザーの二重結合(例えば、ルテニウム触媒した閉環メタセシス(RCM)を用いて合成された)は、酸化され(例えば、エポキシ化またはジヒドロキシル化を介して)、以下の化合物のひとつを提供する。
image rotate

エポキシド部分またはひとつの遊離ヒドロキシル部分のいずれかは、さらに官能基化することができる。例えばエポキシドは、求核試薬により処理され、これは例えばタグ(例えば、放射性同位元素または蛍光タグ)の結合に使用することができる追加の官能性を提供する。このタグは、化合物の体内の所望の位置への指示、または体内の化合物の位置の追跡を補助するために使用することができる。あるいは、追加の治療的物質を、官能基化されたテザーへ化学的に付着することができる(例えば、ラパマイシン、ビンブラスチン、タキソールなどの抗癌剤)。このような誘導体化は、代わりに、ポリペプチドのアミノもしくはカルボキシ末端の合成操作によるか、またはアミノ酸側鎖を介して実現することができる。他の物質を、例えばポリペプチドの細胞への進入を促進する物質など、官能基化されたテザーに付着させることができる。
【0085】
炭化水素テザーが説明される一方で、他のテザーも想起される。例えば、このテザーは、エーテル、チオエーテル、エステル、アミンまたはアミド部分の1種または複数を含むことができる。場合によっては、天然のアミノ酸側鎖を、このテザーへ組込むことができる。例えば、テザーは、セリンのヒドロキシル、システインのチオール、リシンの第1級アミン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸の酸、またはアスパラギンもしくはグルタミンのアミドなどの官能基とカップリングすることができる。したがって、2個の非天然のアミノ酸のカップリングにより作製されたテザーを使用するよりもむしろ、天然のアミノ酸を用いテザーを作製することが可能である。天然のアミノ酸と共に1個の非天然のアミノ酸を使用することも可能である。
【0086】
さらにテザーの長さは変動することが想起される。例えばα-ヘリックス二次構造上に比較的高度の拘束を提供することが望ましい場合には、より短い長さのテザーを使用することができるのに対し、α-ヘリックス二次構造上により少ない拘束を提供することが望ましい場合には、したがって比較的長いテザーが望ましい。
【0087】
加えて、アミノ酸iからi+3、iからi+4;および、iからi+7に広がるテザーの例が、主としてαヘリックスの単一面上にあるテザーを提供するために説明されているが、これらのテザーは、多くのアミノ酸の任意の組み合わせに広がるように合成することができる。
【0088】
場合によっては、αヘリックス二次構造の安定性を改善するために、α二置換されたアミノ酸がこのポリペプチドにおいて使用される。しかしモノ-α置換基(例えば、テザーアミノ酸)の使用も想起される場合は、α二置換されたアミノ酸は不要である。
【0089】
当業者に理解されるように、本明細書に記載する化合物の合成法は、当業者には明らかであると思われる。加えて所望の化合物を得るために、様々な合成工程を、別の手順または順番で行うことができる。本明細書に記載する化合物の合成において有用な合成化学の転換および保護基の方法論(保護および脱保護)は、当該技術分野において公知であり、ならびに例えばR. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers (1989);T. W. Greene and P. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、2d. Ed.、John Wiley and Sons (1991);L. Fieser and M. Fieser、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1994);および、L. Paquette編集、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1995)およびそれらの続版に説明されたものを含む。
【0090】
本発明のペプチドは、化学合成法により生成することができ、これは当業者に周知である。例えば、Fields et al.、Chapter 3、「Synthetic Peptides: A User's Guide」、Grant, W. H.編集 Freeman & Co.、New York、NY、1992、p.77を参照のこと。ここでペプチドは、例えばApplied Biosystems Peptide Synthesizer Model 430Aまたは431上で、側鎖が保護されたアミノ酸を使用する、t-BocまたはF-mocケミストリーのいずれかにより保護されたα-NH2による固相合成の自動Merrifield技術を用いて合成することができる。
【0091】
本明細書に記載するペプチドを作製するひとつの方法は、固相ペプチド合成(SPPS)を使用する。C末端アミノ酸は、リンカー分子との、酸に不安定な結合を介して、架橋したポリスチレン樹脂に付着される。この樹脂は、合成に使用される溶媒中に不溶性であり、このことは、過剰な試薬および副産物の洗浄除去を、比較的単純かつ迅速なものとしている。N末端は、Fmoc基により保護され、これは酸の中で安定しているが、塩基により除去することができる。任意の側鎖の官能基は、塩基に安定し、酸に不安定な基により保護される。
【0092】
比較的長いペプチドは、未変性ケミカル連結を使用し、個々の合成ペプチドの結合により作製される。あるいは、比較的長い合成ペプチドは、周知の組換えDNA技術を用い合成することができる。このような技術は、詳述されたプロトコールを伴う周知の標準マニュアルにおいて提供される。本発明のペプチドをコードしている遺伝子を構築するために、そのアミノ酸配列は、逆に翻訳され、アミノ酸配列をコードしている核酸配列、好ましくはそこで遺伝子が発現される生物に最適であるコドンを伴う核酸配列を得ることができる。次に、典型的にはこのペプチドおよび必要ならば任意の調節エレメントをコードしているオリゴヌクレオチドの合成により、合成遺伝子が作製される。合成遺伝子は、適当なクローニングベクターへ挿入され、および宿主細胞へ形質移入される。その後このペプチドは、選択された発現システムおよび宿主に適した適当な条件下で発現される。このペプチドは、常法により精製および特徴決定される。
【0093】
これらのペプチドは、例えば、Advanced Chemtechから入手可能なハイスループット多チャネルコンビナトリアル合成装置を使用して、ハイスループット、コンビナトリアル様式で作製することができる。修飾されたポリペプチド内で、従来の1つまたは複数のペプチド結合は、体内のポリペプチドの安定性を増大し得る異なる結合によって置き換えられている。ペプチド結合は以下によって置き換えられ得る:レトロインベルソ(retro-inverso)結合(C(O)-NH);減少したアミド結合(NH-CH2);チオメチレン結合(S-CH2またはCH2-S);オキソメチレン結合(O-CH2またはCH2-O);エチレン結合(CH2-CH2);チオアミド結合(C(S)-NH);トランスオレフィン結合(CH=CH);フルオロ置換トランスオレフィン結合(CF=CH);ケトメチレン結合(C(O)-CHR)またはCHR-C(O)、式中RはHまたはCH3;およびフルオロ-ケトメチレン結合(C(O)-CFRまたはCFR-C(O)、式中RはHまたはFまたはCH3)。
【0094】
これらのポリペプチドはさらに、以下によって修飾され得る:アセチル化、アミド化、ビオチン化、シナモイル化(cinnamoylation)、ファルネシル化、ホルミル化、ミリストイル化、パルミトイル化、リン酸化(Ser、Tyr、またはThr)、ステアロイル化、スクシニル化、およびスルフリル化。本発明のポリペプチドはまた、例えばポリエチレングリコール(PEG)、アルキル基(例えばC1-C20直鎖または分岐アルキル基)、脂肪酸ラジカル、およびそれらの組合わせに共役してもよい。
【0095】
処置方法
本発明は、異常な(例えば過剰な)Notch活性と関連した障害のリスクがある(または感受性がある)またはその障害を有する対象を処置する予防的および治療的方法の両方を提供する。これは、ポリペプチドがNotch活性のドミナントネガティブ阻害因子として作用すると予測されるためである。本明細書において使用される「処置」という用語とは、疾患、疾患の症状もしくは疾患への素因の治癒、回復、軽減、緩和、変更、救済、改善、改良、もしくは影響することを目的として、疾患、疾患の症状もしくは疾患への素因を有する患者への治療的物質の適用もしくは投与、または患者から単離された組織もしくは細胞株への治療的物質の適用もしくは投与と定義される。治療的物質は、小型分子、ペプチド、抗体、リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0096】
本発明のポリペプチドは、癌および新生物性状態を処置、予防、および/または診断するために使用することができる。本明細書において使用される「癌」、「過増殖物」および「新生物」という用語は、自律増殖能、すなわち迅速に繁殖する細胞増殖により特徴付けられる異常な状態または条件を有する細胞を意味する。過増殖性および新生物性の病態は、病原性として、すなわち病態の特徴もしくは構成として分類することができるか、または非病原性として、すなわち正常からは逸脱しているが病態には関連していないとして分類することができる。この用語は、組織病理学的型または侵襲の段階に関わりなく、全ての種類の癌性増殖または腫瘍形成性プロセス、転移性組織または悪性転換された細胞、組織もしくは臓器を含むことを意味する。「病原性過増殖性」細胞は、悪性腫瘍増殖を特徴とする病態において生じる。非病原性過増殖性細胞の例は、創傷修復に関連した細胞の増殖を含む。
【0097】
細胞の増殖および/または分化の障害の例は、癌、例えば癌腫、肉腫、または転移性障害を含む。本化合物(すなわちポリペプチド)は、乳癌、T細胞癌、およびB細胞癌の制御のための新規治療的物質として作用することができる。本ポリペプチドはまた、粘液性類表皮癌および髄芽腫を処置するために有用である可能性がある。
【0098】
増殖性障害の例は、造血系新生物性障害を含む。本明細書において使用される「造血系新生物性障害」という用語は、例えば、骨髄系、リンパ系もしくは赤血球系統、またはそれらの細胞の前駆体から生じる、造血起源の過形成細胞および/または新形成細胞が関連した疾患を含む。例示的な疾患には、急性白血病、例えば赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病が含まれる。骨髄系障害の追加例は、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)を含むが、これらに限定されるものではなく(Vaickus, L. (1991) Crit Rev. in Oncol./Hemotol. 11:267-97において検証);リンパ系悪性疾患転移は、B細胞系ALLおよびT細胞系ALLを含む急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、多発性骨髄腫、毛様細胞性白血病(HLL)およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を含むが、これらに限定されるものではない。悪性リンパ腫の追加例は、非ホジキンリンパ腫およびそれらの変種、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン疾患およびリード-スターンバーグ疾患を含むが、これらに限定されるものではない。
【0099】
乳房の細胞増殖性および/または分化性の障害の例は、例えば上皮過形成、硬化性腺疾患、および小管乳頭腫などを含む、増殖性乳房疾患;例えば、線維腺腫などの間質性腫瘍、葉状腫瘍、および肉腫、ならびに大管乳頭腫のような上皮腫瘍などの、腫瘍;原位置の腺管癌(パジェット病を含む)および原位置の小葉癌を含む原位置(非侵襲性)癌腫、ならびに侵襲性腺管癌、侵襲性小葉癌、髄様癌、膠様癌(粘液性癌腫)、管状腺癌、および侵襲性乳頭状癌を含むが、これに限定されない侵襲性(浸潤する)癌腫、ならびにその他の悪性新生物を含む、乳房の癌腫を含むが、これらに限定されるものではない。男性乳房の障害は、女性化乳房および癌腫を含むが、これらに限定されるものではない。
【0100】
薬学的組成物および投与経路
本明細書において使用される、本明細書に説明した式の化合物を含む本発明の化合物は、それらの薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグを含むように定義される。「薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグ」は、レシピエントへの投与の場合に、本発明の化合物を(直接または間接に)提供することが可能であるような、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩、エステル、エステルの塩、または他の誘導体を意味する。特に好ましい誘導体およびプロドラッグは、このような化合物が哺乳類に投与された場合に、本発明の化合物のバイオアベイラビリティを増大する(例えば、経口投与された化合物が血中により迅速に吸収されることを可能にすることにより)か、または親種と比べ親化合物の生物学的区画(例えば、脳またはリンパ系)への送達を増強するものである。好ましいプロドラッグは、水への溶解度または消化管膜を通る能動輸送を増強する基が、本明細書に記載する式の構造に付加されている誘導体を含む。
【0101】
本発明の化合物は、選択的生物学的特性を増強する適当な官能性を付加することにより修飾されてもよい。このような修飾は、当該技術分野において公知であり、かつ所定の生物学的区画(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的透過を増大し、経口のアベイラビリティを増加し、注射による投与を可能にするために溶解度を増加し、代謝を変更しおよび排泄率を変更するものを含む。
【0102】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機および有機の酸および塩基に由来するものを含む。適当な酸塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩を含む。適当な塩基に由来する塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN-(アルキル)4+塩を含む。本発明は、本明細書に明らかにされた化合物の塩基性窒素含有基の四級化も想起している。水または油へ溶解性または分散性の生成物は、このような四級化により得ることができる。
【0103】
本明細書に記載する式の化合物は、例えば、注射により、静脈内、動脈内、皮内、腹腔内、筋肉内もしくは皮下に;または、経口、口腔内、鼻腔内、経粘膜、局所的、眼用調製物、もしくは吸入により、用量約0.001〜約100mg/kg体重の範囲で、もしくは具体的薬物の必要要件に従い、投与することができる。本明細書の方法は、所望のまたは言及された作用を実現するのに有効な量の化合物または化合物組成物を投与することを企図している。典型的には、本発明の薬学的組成物は、1日に約1〜約6回で、あるいは連続注入として投与される。このような投与は、慢性または急性の療法として使用することができる。単位剤形を製造するために担体物質と一緒にすることができる活性成分の量は、処置される宿主および投与の具体的様式に応じて変動すると考えられる。典型的調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含有すると考えられる。あるいは、このような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含有する。
【0104】
先に言及したものよりもより低いまたはより高い投与量が、必要なこともある。任意の特定の患者に関する具体的用量および治療方式は、使用される具体的化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、併用薬、疾患、状態または症状の重症度および経過、患者の疾患、状態または症状に対する素因、および治療担当医の判断を含む、様々な要因によって決まると考えられる。
【0105】
患者の状態の改善時には、必要ならば、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持量が投与されてよい。その後改善された状態が維持されるレベルへ、用量または投与頻度、または両方が、症状の関数として減量される。しかし患者は、疾患症状の何らかの再発を基に、長期にわたり断続的処置を必要とすることができる。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、本明細書に記載する式の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩;例えば、モルヒネまたはコデインを含む、追加の物質;ならびに、任意の薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含有する。本発明の別の組成物は、本明細書に記載する式の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩;および、薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含有する。本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の式の化合物に加え、存在するならば追加の治療的物質を、疾患または疾患症状の変調を実現するのに有効な量で含む。
【0107】
「薬学的に許容される担体または補助剤」という用語は、患者へ本発明の化合物と一緒に投与することができ、ならびに化合物の治療量を送達するのに十分な用量で投与した場合にそれらの薬理学的活性を破壊せずおよび無毒であるような、担体または補助剤を意味する。
【0108】
本発明の薬学的組成物中で使用することができる薬学的に許容される担体、補助剤およびビヒクルは、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型ドラッグデリバリーシステム(SEDDS)、例えばd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネートなど、薬学的剤形で使用される界面活性剤、例えばTweensまたは他の同様の高分子送達マトリックス、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和した植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むが、これらに限定されるものではない。α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンおよびγ-シクロデキストリンのようなシクロデキストリン類も、本明細書に記載する式の化合物の送達を増強するために、有利に使用することができる。
【0109】
本発明の薬学的組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所的、直腸、鼻腔内、口腔内、膣内または埋込み式貯蔵庫を介して投与してもよく、好ましくは経口投与または注射による投与である。本発明の薬学的組成物は、任意の通常の無毒の薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含んでもよい。場合によってはこの製剤のpHは、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝液により、製剤された化合物またはその送達型の安定性を増強するように調節される。本明細書において使用される非経口という用語とは、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、陰嚢内、鞘内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技術を含む。
【0110】
この薬学的組成物は、無菌の注射可能な調製物の形、例えば、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液であることができる。この懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤(例えばTween 80など)および懸濁化剤を使用し、当該技術分野において公知の技術に従い製剤することができる。無菌の注射可能な調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール溶液のような、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能な液体または懸濁液であってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中で使用されるものは、マンニトール、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒として、通常利用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激性の(bland)不揮発油を使用することができる。オリーブ油またはひまし油、特にそれらのポリオキシエチレン型のような、天然の薬学的に許容される油分である、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、注射可能な調製物において有用である。これらの油性溶液または懸濁液は、乳剤および/または懸濁剤のような、薬学的に許容される剤形の製剤において通常使用される、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、またはカルボキシメチルセルロースもしくは同様の分散剤を含むこともできる。薬学的に許容される固形、液体、または他の剤形の製造において通常使用される、他の通常使用される界面活性剤、例えばTweensまたはSpansおよび/または他の同様の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増加剤も、製剤目的で使用することができる。
【0111】
本発明の薬学的組成物は、カプセル剤、錠剤、乳剤および水性懸濁剤、分散剤および液剤を含むが、これらに限定されるものではない任意の経口的に許容される剤形で、経口投与することができる。経口使用するための錠剤の場合、通常使用される担体は、乳糖およびコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤も、典型的には添加される。カプセル剤での経口投与のためには、有用な希釈剤は、乳糖および無水コーンスターチである。水性懸濁剤および/または乳剤が経口的に投与される場合は、活性成分は、油相中に懸濁または溶解され、乳化剤および/または懸濁化剤と組合わせられる。望ましいならばある甘味剤および/または矯味矯臭剤および/または着色剤を添加することができる。
【0112】
本発明の薬学的組成物は、直腸投与のために、坐剤の形で投与することもできる。これらの組成物は、本発明の化合物を、室温では固形であるが直腸温度で液体であり、その結果直腸中で溶融し活性成分を放出するような、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製することができる。このような物質は、ココアバター、ビーズワックスおよびポリエチレングリコールを含むが、これらに限定されるものではない。
【0113】
本発明の薬学的組成物は、鼻腔用エアゾールまたは吸入により投与することができる。このような組成物は、薬学的製剤の技術分野において周知の技術に従い調製され、ならびにベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを促進するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の当該技術分野において公知の溶解剤もしくは分散剤を使用し、生理食塩水中の溶液として調製されてよい。
【0114】
本発明の組成物が、本明細書に記載する式の化合物と1種または複数の追加の治療的または予防的物質の組み合わせを含有する場合、化合物および追加の物質の両方は、単剤療法様式で通常投与される用量の約1〜100%、より好ましくは約5〜95%の間の用量レベルで存在しなければならない。追加の物質は、反復投与様式の一部として、本発明の化合物とは個別に投与されてもよい。あるいはこれらの物質は、単独の組成物中に本発明の化合物と一緒に混合された、単位剤形の一部であってもよい。
【0115】
スクリーニングアッセイ法
本発明は、1つまたは複数のNotch複合体の活性を調節するポリペプチドを同定するための方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも称する)を提供する。
【0116】
Notchに対するポリペプチドの結合アフィニティーは、本明細書に記載の方法を用いて、例えば滴定結合アッセイを用いて測定することができる。MAMLを欠くNotch複合体(すなわちICNとCSLの複合体)を、候補化合物(すなわちポリペプチド)の濃度を変化させながら(例えば1 nM、10 nM、100 nM、1μM、10μM、100μM、1 mM、および10 mM)曝露し、表面プラズモン共鳴法を用いて結合を測定し、結合に対するKdを決定することができる。例えば適した細胞内、例えばMOLT-4細胞内でNotch応答性レポーターの発現を測定することにより、インビボで生物活性について、候補化合物をスクリーニングすることもできる。細胞透過性スクリーニングアッセイ法も用いることができ、この方法では、蛍光標識された候補化合物を無傷の細胞に適用し、その後顕微鏡またはハイスループット細胞蛍光検出により、細胞の蛍光についてアッセイする。
【0117】
本明細書に記載するアッセイ法は、個々の候補化合物と共に行うか、または複数の候補化合物と共に行うことができる。アッセイ法が複数の候補化合物で行われる場合、このアッセイ法は、候補化合物の混合物を使用し行うか、または単独の候補化合物を有する各反応と平行反応で試行することができる。被験化合物または物質は、当該技術分野において公知であるコンビナトリアルライブラリー法の多くの手法を用いて得ることができる。
【0118】
他の適用
多くの本発明の態様を説明してきた。しかし、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な修飾を行うことができることは理解されると思われる。したがって他の態様も、特許請求の範囲内である。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2010−510236(P2010−510236A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537371(P2009−537371)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/084838
【国際公開番号】WO2008/061192
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(399052796)ダナ−ファーバー キャンサー インスティテュート インク. (36)
【出願人】(507244910)プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ (18)
【Fターム(参考)】