説明

安定化された骨移植片

内在する分解性酵素(例えば、プロテアーゼなど)の活性を低下させるために、組成物のpHを低下させること、水分含量を低減させること、水代替物を添加することおよび/または組成物中に存在する重水の量を増加させることにより安定化された脱灰骨基質(DBM)または他の基質組成物を提供する。水和された形態の安定化されたDBM組成物は、酸性pHで室温で1年まで安定であり得る。酸性化したDBM組成物は、安定化剤、例えば、重水、水代替物、ポリマー、プロテアーゼインヒビター、グリセロール、ヒドロゲルなどの添加によって、さらに安定化され得る。本発明はまた、本発明の安定化された骨誘導性基質組成物の調製方法、試験方法および使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2004年1月27日に出願された米国特許仮出願番号60/539,555号(これは、引用により、その全体が本明細書に組み込まれる)に35U.S.C.§119(e)の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
(背景)
傷害、疾患、創傷、手術などによって引き起こされる骨欠損の迅速かつ有効な修復は、長い間、整形外科手術の目標とされている。この目的に対し、いくつかの組成物および材料が、骨欠損の修復における使用のために使用または提案されている。このような組成物および材料の生物学的、物理的および機械的特性は特に、種々の整形外科適用用途におけるその適合性および性能に影響する主な要因である。
【0003】
自己海綿質(「ACB」)は、骨移植片のゴールドスタンダード(gold standard)と考えられている。ACBは、骨誘導性で非免疫原性であり、定義上、特定のレシピエントに適した適切な構造的および機能的特徴のすべてを有する。残念ながら、ACBは、限定された状況においてしか得られ得ない。一部の個体は、移植に適切な大きさおよび質のACBを欠く。その上、ドナーサイトモービィディティ(donor site morbidity)は、患者およびその医師にとって深刻な問題を課し得る。
【0004】
代替骨移植材料の同定または開発における多大な取り組みがなされている。脱灰骨基質(「DBM」)インプラントは、特に有用であることが報告されている(例えば、米国特許第4,394,370号(特許文献1);同第4,440,750号(特許文献2);同第4,485,097号(特許文献3);同第4,678,470号(特許文献4)および;同第4,743,259号(特許文献5);Mullikenら,Calcif:Tissue Int.33:71,1981(非特許文献1);Neigelら,Opthal.Plast.Reconstr.Surg.12:108,1996(非特許文献2);Whitemanら,J.Hand.Surg.18B:487,1993(非特許文献3);Xiaoboら,Clin.Orthop.293:360,1993(非特許文献4)(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる)参照のこと)。脱灰骨基質は、典型的には、解剖用死体から得る。骨を、無菌的に取り出す、および/または処理してあらゆる感染性因子を死滅させる。次いで、骨を、ミリングまたは磨砕することにより微粒子状にし、次いで、無機成分を抽出する(例えば、骨を酸性溶液中に浸漬させることにより)。残留した基質は、展性(malleable)であり、レシピエントの特定部位内への移植のために、さらに処理および/または整形および成形し得る。このようにして作製された脱灰骨は、さまざまな成分(タンパク質、糖タンパク質、成長因子およびプロテオグリカンが挙げられる)を含有する。移植後、DBMの存在が、傷害部位に対して細胞漸増を誘導する。漸増された細胞は、最終的に、骨形成性細胞に分化し得る。細胞のかかる漸増は、創傷治癒速度の増加をもたらし、したがって、より速い患者の回復をもたらす。DBM内の活性因子の存在に加え、DBMインプラントの全体構造もまた、インプラントの骨治癒能力に寄与すると考えられている。
【0005】
現在のDBM製剤は、種々の欠点を有する。第1に、DBMのコラーゲン系基質は比較的安定しているが、DBM基質内の活性因子が急速に分解される。DBMの骨形成活性は、移植後24時間以内にかなり分解され得、場合によっては、骨形成活性が6時間以内に不活化され得る。したがって、DBMと会合する因子は、移植後、短時間の間でしか傷害部位への細胞の漸増に利用可能でない。治癒プロセス(数週間から数ヶ月かかり得る)の多くでは、インプラントされた材料は、細胞の漸増を全くまたは殆ど補助し得ない。第2に、現在のDBM製剤は、DBM製剤内に存在する分解性酵素のため、貯蔵寿命が限定されている。
【特許文献1】米国特許第4,394,370号明細書
【特許文献2】米国特許第4,440,750号明細書
【特許文献3】米国特許第4,485,097号明細書
【特許文献4】米国特許第4,678,470号明細書
【特許文献5】米国特許第4,743,259号明細書
【非特許文献1】Mullikenら,Calcif:Tissue Int.33:71,1981
【非特許文献2】Neigelら,Opthal.Plast.Reconstr.Surg.12:108,1996
【非特許文献3】Whitemanら,J.Hand.Surg.18B:487,1993
【非特許文献4】Xiaoboら,Clin.Orthop.293:360,1993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より大きな、および/またはより長期の骨誘導活性を有する改善された骨移植材料を開発する必要性がある。このような改善された製剤はまた、現在の製剤よりも長期の貯蔵寿命を有するはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、安定化された脱灰骨基質(「DBM」)組成物、本発明の組成物を調製および使用するための関連する方法、および本発明の組成物を含むキットを提供する。DBMに内在する酵素(例えば、プロテアーゼ)による骨誘導剤の分解に鑑み、本発明は、骨誘導剤に対する内在酵素の活性を、(1)DBM組成物のpHを低減させること;(2)DBM組成物から水分を除去し、任意選択で、脱水されたDBM粒子をコートして水分が再水和しないようにすること;(3)DBM組成物中の重水の濃度を増加させること;(4)プロテアーゼインヒビターをDBM組成物に添加すること;(5)水代替物をDBM組成物を添加すること;および/または(6)DBM内の骨誘導性因子を共有結合により修飾することにより低下させたDBM組成物を提供する。安定化されたDBM組成物のDBMは、任意の形態、例えば、繊維、平板、粒子(例えば、立方形、球形、円錐形、くさび形、不定形粒子など)、糸、ゲルなどで提供され得る。これらの上記のストラテジーの1つ以上を用いて、所望の貯蔵寿命を有する、例えば、室温で1年後、最初の骨誘導活性の少なくとも90%が残存するDBM組成物が調製され得る。
【0008】
1つの態様において、本発明のDBM組成物のpHを低下させ、本発明のDBM組成物の酸性環境は、DBM組成物内の骨誘導性因子のタンパク質分解を減速させ、より長期の貯蔵寿命を有するDBM組成物がもたらされる。酸性pH(例えば、pH2、3、4、5または6)を有するDBM組成物は、生理的pHのDBM組成物と比べた場合、増大した安定性を有する。ある特定の好ましい実施形態では、酸性化したDBM組成物は、室温での保存の6ヶ月または1年後、その最初の骨誘導性の75%より多くを保持している。この延長された貯蔵寿命は、DBM組成物をより低温(例えば、4℃など)で保存することにより、さらに延長され得る。酸性化したDBM組成物の生物学的活性は、組成物へのプロテアーゼインヒビターの添加(米国特許出願第10/271,140号(2002年10月15日に出願、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)および/または水代替物、例えば、重水(DO)、DMSOおよびポリオール(例えば、グリセロール)の添加によってさらに安定化され得る。加えて、酸性化したDBM組成物は、安定化剤、例えば、米国特許出願第10/271,140号(2002年10月15日に出願、引用により本明細書に組み込まれる)に記載されたものなど(例えば、タンパク質、ポリマー、ヒドロゲル、コラーゲン、糖類、アミノ酸、脂質など)の添加によってさらに安定化され得る。
【0009】
骨誘導性を担うDBM内の因子は、特に、水和されたDBM組成物では、DBM内に見られる内在酵素による分解を受けやすい。したがって、DBM組成物は、凍結乾燥することにより、部分的または完全に脱水された形態で保存するのがよい。凍結乾燥された形態では、DBM組成物の骨誘導性は、該組成物を室温で保存した場合であっても安定である。この安定化効果は、DBM組成物より低温で保存することによりさらに増大され得る。DBM組成物の凍結乾燥は、酸性化したDBM組成物ならびに糖類、ポリマー、脂質、水代替物(例えば、ポリオールおよび重水など)を有するが、またはプロテアーゼインヒビターが添加されたDBM組成物において行われ得る。
【0010】
重水(DO)、グリセロール、流動性ポリマー、流動性脂質またはポリオールなどの水代替物もまた、その生物学的活性を担うDBM内の因子の分解を低減するために使用され得る。例えば、重水(DO)の添加は、DBM組成物内に見られる骨誘導因子の分解に関与する酵素を抑制することがわかっている。DBM組成物内のDO含量を増加させることにより、酵素の分化が抑制され、DBM組成物は、より長期の貯蔵寿命を有する。本発明のDBM組成物内のDOの濃度は、5%〜98%まで、好ましくは、10%〜80%、より好ましくは、20%〜75%の範囲であり得る。DOの安定化効果は、DBM組成物の酸性化、該組成物の脱水、プロテアーゼインヒビターの添加、ポリマーの添加、脂質の添加および/または他の水代替物の添加と組合せ得る。
【0011】
本発明のDBM組成物は、DBMを安定化剤(例えば、タンパク質、ポリマー、ヒドロゲル、コラーゲン、糖類、アミノ酸、脂質など)でカプセル化することにより、さらに安定化させ得る。水和の前、水和間または水和後でのDBMのカプセル化または流動性担体のDBMへの添加は、DBM組成物内の骨誘導性因子のタンパク質分解を減速させ、より長期の貯蔵寿命を有するDBM組成物をもたらす。乾燥DBM内の粒子は、コート、カプセル化、あるいは脂質または他の薬剤(例えば、ポリマー)と会合させ、骨誘導剤が水分の存在下で分解させるのを保護する。例えば、DBMを脱水し、次いで、脂質またはポリマーでコートして水分がDBMに再水和するのを防止し得る。これにより、水または別の担体をDBM組成物に、安定性を低下させることなく補助(back)添加することが可能になる。所望の粘稠度および取り扱い特性を有する組成物を生成させるために、水性担体または水を添加してもよい。DBM内の粒子(これは、脂質またはポリマーで処理する)の割合は、10%〜100%までの範囲である。該薬剤の安定化効果は、DBM組成物の酸性化、プロテアーゼインヒビターの添加および/または水代替物(例えば、重水(DO))の添加によってさらに増強させ得る。
【0012】
別の態様では、本発明は、本発明の安定化されたDBM組成物の調製方法を提供する。例えば、本発明は、6ヶ月、1年、2年、3年、5年または10年の貯蔵寿命を有するDBM組成物の配合方法を提供する。1つの実施形態では、本発明のDBM組成物のpHを、DBMを、所望の酸性pHの溶液中ですすぐか、または浸すことにより低下させる。任意選択で、酸性化したDBM組成物を、凍結乾燥し、該組成物中の水分含量を低下させてもよい。重水、他の水代替物、または脂質およびポリマーなどの薬剤を、調製プロセス中に本発明のDBM組成物に添加し、さらに安定化させ、骨誘導剤の分解を防止し得る。ある特定の実施形態では、該組成物を流動性にするため、担体を用いて調製する。
【0013】
本発明はまた、本発明のDBM組成物を調製および使用するためのキットを提供する。該キットは、本発明のDBM組成物を用いて骨欠損を処置するために使用され得る。例えば、DBM組成物は、ペーストとして、臨床設定における使用のための送達用デバイス(例えば、シリンジなど)にて提供され得る。DBM組成物は、好ましくは、該組成物の使用を容易にするために流動性である。好ましくは、DBM組成物は、滅菌または無菌条件下(例えば、手術室内)で適用され得るように、滅菌されており、パッケージングされる。
【0014】
本発明は、さらに、DBM組成物を特徴付けるため、および改善された特性を有するDBM含有組成物を同定および調製するためのシステムを提供する。例えば、本発明は、DBM組成物の骨誘導性を評価する方法を提供する。本発明はまた、DBM組成物の貯蔵寿命の測定方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(定義)
酸性または酸性化:酸性または酸性化したDBMまたはDBM組成物は、該基質のpHを生理的pH(pH7.4)未満に低減させた任意の組成物である。酸性化は、当該技術分野で知られた任意の方法(例えば、DBMを酸性溶液(例えば、HCl、酢酸、EDTA、リン酸、カルボン酸などの溶液)中での浸漬またはすすぎ)を用いて成され得る。他の実施形態では、緩衝溶液をDBMの酸性化に使用してもよい。好ましくは、浸漬またはすすぎは、DBM粒子内部、好ましくは実質的に粒子全体で所望の低pHを達成するため、充分に行う。ある特定の好ましい実施形態では、pHは、2〜6に低下させる。より好ましくは、DBMのpHは、3〜4である。他の実施形態では、所望の低pHは、およそ6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5または1である。
【0016】
と会合している:安定化剤、標的化剤または他の化学的存在物(entity)は、インプラントの骨誘導性、安定性または他の特性に有意に影響する(例えば、組成物の骨誘導性スコアが増加する)のに充分長期間、インプラントによって保持されている場合、本発明によるDBMまたは他の骨形成基質と会合している。具体例としては、1)体液でシミュレーションしたインビトロ拡散アッセイで測定したとき、DBMから自由に拡散可能でないこと;および/または2)溶液中に遊離している場合と比べ、延長されたDBMの半減期を有すること(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、100%長い)が挙げられる。一部の実施形態では、会合は、共有結合性であり、他の実施形態では、非共有結合性である。非共有結合性相互作用の例としては、物理的包埋、静電的相互作用、水素結合、疎水性相互作用、π−πスタッキングおよびファン・デル・ワールス相互作用が挙げられる。例えば、生物活性剤を、該基質からの生物活性剤の拡散を制限するポリマー系安定化剤によって、DBMまたは他の本発明の基質と会合させてもよい。あるいはまたさらに、生物活性剤を、自身がDBMと会合した1種類以上の存在物との物理的相互作用によって、DBM会合させてもよい。
【0017】
生体適合性:生体適合性という用語は、本発明で用いる場合、インビボでの投与時、長期間の望ましくない効果を誘導しない材料を示すことが意図される。
【0018】
生分解性:本明細書で使用する場合、生分解性材料は、生理学的条件下で分解され、器官に損傷を与えることなく代謝または排泄され得る生成物を形成する材料である。生分解性材料は、必ずしも加水分解により分解可能なものではなく、完全に分解するのに酵素的作用を必要とし得る。また、生分解性材料には、細胞内で分解される材料も含まれる。
【0019】
脱灰骨活性は、脱灰骨の骨誘導性および/または骨伝導性活性をいう。
【0020】
脱灰骨基質は、本発明で用いる場合、骨生組織から無機成分物質を除去して作製した任意の材料をいう。好ましい実施形態では、DBM組成物は、本発明で用いる場合、重量基準で、5%未満のカルシウム、好ましくは1%カルシウム未満を含有する調製物を含む。部分脱灰骨(例えば、重量基準で5%より多いカルシウムを有するが、最初の当初の量の100%未満のカルシウムを含有する調製物)もまた、本発明の範囲内とみなす。
【0021】
拡散バリアは、バリアの一方の側面から他方の側面へ、より具体的には、外側から内側へ(またはその逆)の物質の拡散速度を低減させる任意の材料、コーティング、皮膜または物質をいう。ある特定の実施形態の拡散バリアは、活性化剤(例えば、水、酵素など)および/または分解性酵素のDBM組成物内への拡散を防止するポリマーであり得、タンパク質、多糖類、セルロース、人工ポリマー、PLGAなどが挙げられる。拡散バリアはまた、骨誘導性因子がDBM組成物の外部に移動するのを防止し得る。ある特定の実施形態では、拡散バリアは生分解性であり、長期間にわたって骨誘導性因子の分解、活性化または放出をもたらす。他の実施形態では、拡散バリアは、断片的および/または局部的に分解し、該組成物のある特定の領域内で放出速度を制御するものであり得る。DBM組成物を安定化するのに有用な拡散バリアのより詳細な記述については、米国特許出願第10/271,140号(2002年10月15日に出願);米国特許出願第60/392,462号(2002年6月27日に出願);および米国特許出願第60/329,156号(2001年10月12日に出願)(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0022】
基質は、本発明で用いる場合、インプラント部位への送達のために少なくとも1種類の成長因子と会合することができる天然または合成の媒体(vehicle)をいう。基質は、完全に不溶性であってもよく、移植後、ゆっくりと可溶化されるものであってもよい。移植後、好ましい基質は、ゆっくりと再吸収または分解され、少なくとも1〜7日間、最も好ましくは2ないし4週間またはより長期間、しばしば60日間より長期間、実質的に元の状態が続く。成長因子は、ほとんどの脱灰骨がそうであるように、基質内に内因的に存在するものであってもよく、基質に外添されてもよい。また、基質は、内在成長因子と外来成長因子の組合せも含み得る。基質は、微粒子状または繊維状の形態であり得、またはモノリシックであり得る。基質は、いくつかの材料を含んでいてもよく、繊維と粒子などの組合せの形態であってもよい。好ましい1つの実施形態では、基質は熱圧縮脱灰骨繊維から構成される。他の実施形態では、基質は、再吸収性可塑性ポリマー、例えば、拡散バリアとしての使用に好適であるとして以下に記載するものを含む。ある特定の実施形態では、該ポリマーは、剛性を本発明の組成物に付与する。他の好ましい実施形態では、微粒子状の非晶質リン酸カルシウムを、吸着された成長因子、例えば、BMP(より具体的には、BMP−2もしくはBMP−4またはその誘導体)と会合した基質として使用する。外来成長因子の添加を必要とするさらに他の基質の実施形態としては、限定されないが、微粒子状セラミックス、好ましくは、硫酸カルシウムまたはリン酸カルシウムが挙げられる。最も好ましい基質はリン酸カルシウムであり、その調製は、当該技術分野において実務担当者によく知られている(例えば、Driessensら“Calcium phosphate bone cements”Wise,D.L.編.Encyclopedic Handbook of Biomaterials and Bioengineering,Part B,Applications New York:Marcel Decker;Elliott Structure and Chemistry of the Apatites and Other Calcium Phosphates Elsevier,Amsterdam,1994(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。また、好都合なのは、沈降性リン酸カルシウム調製物、例えば、α−BSM(ETEX Corp.,Cambridge,MA)である。リン酸カルシウム基質としては、限定されないが、リン酸二カルシウム二水和物、モネタイト、リン酸三カルシウム,リン酸四カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ナノ結晶性ヒドロキシアパタイト、(poorly)微結晶性ヒドロキシアパタイト、置換ヒドロキシアパタイトおよびカルシウム欠損ヒドロキシアパタイトが挙げられる。
【0023】
骨誘導性は、本発明で用いる場合、骨形成を促進することができる特質をいう。動物の軟組織内に胃所性の骨の形成を誘導し得る任意の材料を骨誘導性とみなす。例えば、ほとんどの骨誘導性材料は、Edwardsらの方法(“Osteoinduction of Human Demineralized Bone:Characterization in a Rat Model”Clinical Orthopeadics & Rel.Res.,357:219−228,December 1998(引用により本明細書に組み込まれる))に従ってアッセイした場合、胸腺欠損ラットにおいて骨形成を誘導する。場合によっては、骨誘導性は、細胞漸増および漸増した細胞の骨形成表現型への誘導を介して起こると考えられる。また、骨誘導性は、組織培養物において、培養細胞(初代、二次または外植片)に骨形成表現型を誘導する能力として測定され得る。組織培養方法を、Zhangら“A quantitative assessment of osteoinductivity of human demineralized bone matrix” J.Periodontol.68(11):1076−84,November 1997(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようなインビボの胃所性の骨形成アッセイで較正することが推奨される。証明されたインビボ胃所性骨形成モデルに対するインビトロアッセイの較正は、化合物が組織培養物において明白な「骨形成」表現型を誘導する能力が、新しい骨形成のインビボ誘導と常に相関し得ないため、必須である。BMP、IGF、TGF−β、副甲状腺ホルモン(PTH)および血管由来因子は、細胞を髄または血管周囲腔から傷害部位に漸増させ、次いで、これらの漸増した細胞の、骨形成を担う細胞株への分化を引き起こすことわかっている骨誘導性因子のほんの一部である。骨または象牙質のいずれかから単離されたDBMは、ともに、骨誘導性材料であることがわかっている(Rayら,“Bone implants”J. Bone Joint Surgery 39A:1119,1957;Urist, “Bone:formation by autoinduction”Science 150:893, 1965(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる))。
【0024】
骨誘導性スコアは、Edwardsら(1998)の方法または同等の較正された試験にしたがって測定したときの0〜4の範囲のスコアをいう。Edwardsらの方法では、スコア「0」は、新しい骨形成なしを表し、「1」は、インプラントの1%〜25%が新しい骨形成に関与していることを表し、「2」は、インプラントの26〜50%が新しい骨形成に関与していることを表し、「3」は、インプラント51%〜75%が新しい骨形成に関与していることを表し、「4」は、インプラントの>75%が新しい骨形成に関与していることを表す。ほとんどの場合において、スコアは、移植の28日後に評価する。しかしながら、改善された本発明の製剤、特に、BMPに匹敵する骨誘導性を有するものでは、骨誘導性スコアを、より早い時点、例えば、移植の7、14または21日後などに得てもよい。このような場合では、通常のDBM対照(例えば、担体を有しないDBM粉末)、可能であれば、陽性対照(例えば、BMPなど)を含めることが重要である。ときには、骨誘導性はまた、もっと後の時点、例えば、移植の40、60日後など、または100日後にさえスコアリングされ得る。骨誘導性の割合は、所与の時点での骨誘導性スコアであって、特定の参照スコアの活性の割合で示されるものをいう。あるいはまた、脱灰骨基質の骨誘導活性のための定量的で感度のよいインビトロアッセイを、脱灰骨基質(DBM)の骨形成潜在性を確認するために使用する。DBM内に存在する骨形成タンパク質(BMP)の骨誘導性は、多能性筋芽細胞C2C12細胞株を用い、インビトロで測定され得る。DBMのC2C12細胞とのコインキュベーションによって誘導されるアルカリホスファターゼ活性は、用量応答性であり、DBM内の活性なBMPの量に相当する。骨形成潜在性を、ヌードラットにDBMを筋肉内にインプラントすることにより、インビボで同時に試験した。C2C12細胞内に誘導されたアルカリホスファターゼ活性は、インビボ骨形成(r=0.88、アルカリホスファターゼ活性によって測定)、石灰化密度およびDBM外植片の組織形態と相関した。DBMバッチ(5つの確立された骨バンク由来)の結果は、インビトロアッセイとインビボアッセイ間の充分な一致を示した。しかしながら、DBM活性は、バンク間および同じバンク内のバッチ間で大きく異なった(Hanら J. Orthop.Res.21(4):648−54(2003年7月)(引用により本明細書に組み込まれる))。
【0025】
粒子または繊維は、ミリング、磨砕、粉砕、あるいは縮分して微粒子状形態にしたDBM、DBM組成物または骨試料の調製物をいう。粒子または繊維の大きさは、典型的には、50ミクロンより大きく、好ましくは75ミクロンより大きく、より好ましくは100ミクロンより大きく、最も好ましくは150ミクロンより大きい。これらの大きさは、より球形状粒子については平均粒径を指し、他の形状の粒子では、特に記載のない限り、粒子の最小断面の寸法を指す。ある特定の実施形態では、組成物は、さらに大きい粒子、好ましくは、その最大寸法が1mmより大きい、1.5mmより大きい、または最も好ましくは2mmより大きい粒子を含み得る。粒子または繊維は、任意の形状であり得、くさび形、桿形、球形、立方形、円板形、長円形、コイル状、二重らせん状、不定形状などが挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、粒子は、楔形形状であり得、その最大寸法がおよそ2mmであり得、別の寸法では、100ミクロン以下であり得る。粒子または繊維は、特定の大きさの粒子を回収するために篩分けするか、または分取してもよい。これらの粒子または繊維は、溶液、スラリー、変形可能な固体または液体と混合し、DBM、本発明のDBM組成物または骨試料の移植片の投与または適用において使用されるペーストを形成してもよい。粒子または繊維の調製の好ましい方法は、発行済みの米国特許第5,607,269号;同第5,236,456号;同第5,284,655号;同第5,314,476号;および同第5,507,813号(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0026】
ポリオールは、繰り返し単位1つあたり少なくとも1個のヒドロキシル基を有する任意のポリマーをいう。場合によっては、ポリオールは、繰り返し単位1つあたり2個、3個、4個またはそれ以上のヒドロキシル基を有する。ポリオールは、天然または非天然のポリマーであり得る。天然ポリオールとしては、多糖類が挙げられる。非天然ポリオールとしては、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。ポリオールの例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エリスリトール、水添デンプン加水分解物(hydrogenated starch hydrolysate)、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールが挙げられる。ある特定の実施形態では、ポリオールは、DBM組成物において水代替物として使用される。
【0027】
多糖は、本発明で用いる場合、炭水化物残基の任意のポリマーまたはオリゴマーをいう。ポリマーは、2つから数百〜数千の糖単位のいずれの場合からなるものであり得る。多糖類は、天然供給源(例えば、植物など)から精製したものであってもよく、研究室で新たに合成したものであってもよい。天然供給源から単離された多糖類は、化学的に改質してその化学的または物理的特性を変化させてもよい(例えば、リン酸化、架橋)。多糖類はまた、直鎖または分枝鎖のいずれかであり得る。これらは、いずれも、天然および/または非天然の炭水化物残基を含有し得る。残基間の結合は、典型的には、天然に見られる結合、または合成化学者によってのみ得られ得る結合のいずれかであり得る。多糖類の例としては、セルロース、マルチン(maltin)、マルトース、デンプン、改質デンプン、デキストランおよびフルクトースが挙げられる。グリコサミノグリカンもまた多糖類とみなす。糖アルコールは、本発明で用いる場合、任意のポリオール、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ガラクチトール、エリスリトール、イノシトール、リビトール、ズルシトール、アドニトール、アラビトール、ジチオエリスリトール、ジチオトレイトール、グリセロール、イソマルトおよび水添デンプン加水分解物などをいう。
【0028】
プロテアーゼインヒビターは、本発明で用いる場合、タンパク質を切断する酵素(すなわち、プロテアーゼ)の酵素的活性を阻害することができる化合物である。このような化合物によって阻害されるプロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼ、酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ(いくつかのマトリックスメタロプロテアーゼインヒビターの例を図6に示す)、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、システインプロテアーゼなどが挙げられる。プロテアーゼインヒビターは、特定のプロテアーゼまたは特定のクラスのプロテアーゼのみを阻害するために特異的に作用するものであってもよく、またはすべてではないがほとんどのプロテアーゼを阻害することにより、より一般的に作用するものであってもよい。好ましいプロテアーゼインヒビターは、タンパク質系またはペプチド系であり、化学薬品会社(例えば、Sigma−Aldrichなど)から市販されている。DBM(またはリン酸カルシウムまたはセラミックス担体)に付着するタンパク質系またはペプチド系インヒビターは、自由に拡散可能なインヒビターよりもより長期間、基質と会合して安定化効果を提供する状態が続くため特に好ましい。プロテアーゼインヒビターの例としては、アプロチニン、フッ化4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニル(AEBSF)、アマスタチン−HCl、α1−アンチキモトリプシン、アンチトロンビンIII、α1−アンチトリプシン、フッ化4−アミノフェニルメタンスルホニル(APMSF)、アルファメニンA、アルファメニンB、E−64、ベスタチン、CA−074、CA−074−Me、カルパインインヒビターI、カルパインインヒビターII、カテプシンインヒビター、キモスタチン、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター、ジプロチン(diprotin)A、E−64c、E−64d、E−64、エベラクトンA、エベラクトンB、EGTA、エラスタチナール、ホルオキシミチン(foroxymithine)、ヒルジン、ロイヒスチン、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ペプスタチンA、フェベスチン(phebestin)、1,10−フェナントロリン、ホスホラミドン、キモスタチン、ベンズアミジンHCl、アンチパイン、ε−アミノカプロン酸、N−エチルマレイミド、トリプシンインヒビター、l−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノン(TLCK)、l−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン(TPCK)、トリプシンインヒビター、EGTAナトリウムおよびEDTAナトリウムが挙げられる。
【0029】
ペプチドまたはタンパク質は、本発明によれば、互いにペプチド結合で連結された一連の少なくとも2個のアミノ酸を含む。本発明のペプチドは、好ましくは、天然アミノ酸のみを含有するが、非天然アミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖内に組み込まれ得る化合物)および/または当該技術分野で知られたアミノ酸アナログを、代替的に用いてもよい。また、本発明のペプチド内のアミノ酸の1種類以上を、例えば、化学的存在物、例えば、炭水化物基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーション、官能化または他の修飾のためのリンカーなどの付加によって修飾してもよい。
【0030】
安定化剤は、DBMおよび/または成長因子を含む本発明の組成物中に含めると、特定の参照試料と対照させて測定した場合、該組成物の骨誘導活性の寿命を保持または延長する任意の化学的存在物である。ほとんどの場合、参照試料は、安定化剤を含有しないが、すべての他の点で、安定化剤を含有する組成物と同じである。また、安定化剤は、一般的に、自身として骨誘導性をほとんどまたは全く持たず、安定化剤を欠く以外は同一組成物と比べ、本発明の組成物内の活性存在物の1種類以上の半減期を増大させるかのいずれかにより功を奏する。他の実施形態では、安定化剤は、内在プロテアーゼまたは糖分解性酵素の活性を阻害する化合物であり得る。好ましい実施形態では、安定化剤は、1種類以上の活性因子を分解することが知られた酵素の1種類以上の接近を遅滞させる。半減期は、基質に付着しているか、または基質から抽出されたいずれかの特定の因子の免疫学的または酵素的アッセイによって測定され得る。あるいはまた、骨誘導性の半減期の増大の測定、または骨誘導性プロセスの生成物(例えば、骨、軟骨または骨形成原細胞、軟骨形成と関連する生成物またはその指標(例えば、遺伝子発現レベルなど))の出現の増強の測定は、増強された骨誘導性基質組成物に対する安定化効果の有用な指標となる。延長または増強された骨誘導性応答の測定は、一般的に、因子の安定性の増大を示す。DBM組成物の安定化に有用な安定化剤のより詳細な記述については、米国特許出願第10/271,140号(2002年10月15日に出願);米国特許出願第60/392,462号(2002年6月27日に出願);および米国特許出願第60/329,156号(2001年10月12日に出願(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0031】
安定化手段は、室温または加速条件下のいずれかで測定したとき、その貯蔵寿命安定性を改善する製剤化の任意の操作をいう。本発明のDBM組成物に好ましい安定化手段としては、保存中、生物学的活性の分解を促進する水分の利用可能性の制限、低減または削減、熱力学的安定化剤(例えば、ポリオール)の添加、およびプロテアーゼインヒビターの使用が挙げられる。
【0032】
水代替物は、DBM組成物において水分の代替物としての機能を果たし得る任意の液状または流動性の化学的存在物である。典型的には、これは、所望の取り扱い性をDBM組成物に提供することを意味する。ある特定の実施形態では、水代替物は、液体または半固体であり得る。水代替物は、典型的には、水分子を模擬するヒドロキシル部分を有する。好ましくは、水代替物は、多数のヒドロキシル基を有する。水代替物の例としては、グリセロール、炭水化物、多糖類,ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、糖タンパク質、重水(DO)、液状ポリマー、液状脂質などが挙げられる。水代替物は、DBM組成物などの水性混合物の粘度を増加させるために添加され得る。水代替物は、DBM組成物の水成分の粘度を増加させることにより、または該組成物中に存在する水の活性を減少させることにより、DBM組成物を安定化させるために該組成物に添加され得る。
【0033】
(ある特定の好ましい実施形態の記載)
本明細書に記載するように、本発明は、改善されたDBM組成物に関する組成物および方法を提供する。以下に、本発明の好ましい実施形態のある特定の態様を、より詳細に、図面の図を参照しながら記載する。当業者には、本発明のさまざまな実施形態または変形型が、以下に具体的に記載しないが、それでも添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内に含まれることが認識されよう。
【0034】
DBMは、主に、タンパク質および糖タンパク質から構成され、コラーゲンは、DBMの主なタンパク質代替物である。コラーゲンは、比較的安定であり、比較的稀なコラーゲナーゼ酵素によってのみ分解されるが、DBM内に存在するその他のタンパク質および活性因子は、比較的不安定で、DBMに内在する酵素または他の不活性化プロセスによる分解を受けやすい。本発明は、DBM組成物の骨誘導性を、DBM内に存在する骨誘導性因子の分解を遅延させることにより安定化する。本発明はまた、DBM組成物内の活性因子のタンパク質溶解性分解を低減することにより、DBM組成物の有効な骨誘導性を増大させ得る。
【0035】
本発明は、宿主由来または内在性のいずれかの酵素による活性因子を分解から保護する数種類のアプローチを提供する。保護される因子は、DBM調製物に内在にするもの、またはDBMまたは合成の基質組成物のいずれかに添加された因子であり得る。保護は、DBM組成物のpHを低下させ、それにより、内在酵素の分解活性を阻害すること;および/またはDBM調製物においてDBM内の活性因子を不活化するのに利用され得る水分の量を、化学的または酵素的プロセスによって低減、最小化または削減することによりによりもたらされる。利用可能な水分は、DOの濃度を増大させて内在する分解性酵素を阻害すること;および/または水代替物(例えば、グリコール、ポリオール、ヒアルロン酸など)を添加すること;および/または水分拡散バリア添加することにより低減される。加水分解および内在酵素の分解活性を抑制する化学的および/または酵素的インヒビター(例えば、プロテアーゼインヒビター)の添加もまた、本発明の一部とみなされる。水分を本発明の安定化されたDBM組成物から除去し、該組成物をさらに安定化させてもよい。骨誘導性を長引かせる、または安定化させる他の方法を、本発明の方法と組み合わせて使用してもよい。好ましくは、DBM組成物内の活性因子の分解を抑制し、保存後の所望の骨誘導性スコアを得る。DBM組成物を安定化させるためのこのようなストラテジーは、室温で1年後、最初の試料の骨誘導性の50%より多く、一般的には75%より多く、しばしば90%より多くが残るようにDBM組成物の貯蔵寿命を延長するために使用する。
【0036】
脱灰骨基質
DBM調製物は、長年にわたって、骨の形成を促進するための整形外科用医薬において使用されている。例えば、DBMは、骨折の修復、椎骨の融合、関節置換手術、歯科手術および原因疾患(例えば、慢性関節リウマチなど)による骨破壊の処置における有用性がわかっている。DBMは、骨誘導プロセスおよび骨誘導プロセスによって、骨形成をインビボで促進すると考えられている。骨伝導は、インプラントされた材料が新しい骨成長の支持体のための骨格(scaffold)としての機能を果たす場合に起こる。骨誘導は、骨成長が、大きなまたは「危機的大きさ」の欠損したところ全体、骨治癒が遅々としてしか進行し得ないか、全く進行し得ないところ全体に所望される場合、特に重要である。一般的に、DBM調製物の骨伝導性は、インプラントの実際の形状および密着力によってもたらされると考えられる。したがって、絡み合った繊維を含むDBM組成物は、繊維性が低く、粒状性の高い調製物と比べ、卓越した骨伝導性を有する傾向にある。DBM代替物の形状および/または密着力を保存する傾向にある薬剤、担体または賦形剤は、より良好な骨形成特性をもたらし得る。
【0037】
インプラントされたDBM組成物の骨誘導性効果は、単離されたコラーゲン系基質上に存在する活性な成長因子の存在に由来すると考えられる。このような因子としては、TGF−β、IGFおよびBMPタンパク質ファミリーに属するものが挙げられる。骨誘導性因子の具体例としては、TGF−β、IGF−1、IGF−2、BMP−2、BMP−7、副甲状腺ホルモン(PTH)および血管由来因子が挙げられる。他の骨誘導性因子(例えば、オステオカルシンおよびオステオポンチンなど)もまた、同様に、DBM調製物中に存在する可能性が高い。また、他の無名または未知の骨誘導性因子も、DBM中に固有に存在する可能性が高く、これらは、本明細書に記載する本発明により保護され得る。
【0038】
任意のさまざまな脱灰骨基質調製物が、本発明の実施において利用され得る。任意の方法によって調製されるDBMが使用され得、微粒子状または繊維系調製物、繊維と微粒子状調製物の混合物, 完全または部分的に脱灰した調製物、完全および部分的に脱灰した調製物の混合物、例えば表面脱灰調製物(Gertzmanら(米国特許第6,326,018号(2001年12月4日に発行)(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されたものなど)が挙げられる。好ましいDBM組成物は、Dowdら、米国特許第5,507,813号(これは、引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。また、例えば、グリセロール、ポリヒドロキシル化合物、ポリオール、多糖類、グリコサミノグリカンタンパク質、ヒアルロン酸、コラーゲン、脂質、核酸、ポリマー、ポロキサマー(polaxomer)、樹脂、クレイ、カルシウム塩および/またはその誘導体などの添加剤または担体を含むDBM調製物も有用である。ある特定の実施形態では、担体は非グリセロール担体である。他の実施形態では、担体はグリセロールである。脱灰骨基質に添加される担体は、該組成物を安定化し、骨形成因子の分解を防止し得る。例えば、担体は、拡散バリアまたは水代替物としての機能を果たし得る。
【0039】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物を製剤化するために利用されるDBM材料は、リン酸カルシウムの50%より多く、好ましくは75%より多く、より好ましくは80%、85%、90%または95%より多く、最も好ましくは98%より多くが除去されている。DBMを作出するのに使用される骨は、生組織または死組織の任意の供給源から得られたものであり得る。多くの場合、骨の供給源は、本発明の組成物の最終的なレシピエントに適合していることが好ましい。少なくとも、ドナーとレシピエントが同じ種であることが多くの場合、望ましいが、異種供給源もなお、許容され得る。
【0040】
骨試料が得られたら、これを、ミリング、磨砕、粉砕、あるいは縮分して微粒子状形態にする。好ましい実施形態では、粒子は、その最小寸法が75ミクロンより大きく、より好ましくは100ミクロンより大きく、より好ましくは150ミクロンより大きい。ある特定の実施形態では、該粒子は、最大寸法のところが少なくとも200ミクロンである。該粒子は、任意の形状であり得、長円形、球形、立方形、円錐形、錐体形、くさび形、コイル状、二重らせん状などが挙げられる。ある特定の実施形態では、該粒子は、その最長寸法のところが200ミクロンであるくさび形、錐体形または円錐形である。他の実施形態では、DBM組成物には、数種類の異なる大きさおよび/または形状の粒子の混合物が含まれ得る。
【0041】
微粒子化の後、DBMを処理し、無機成分を骨から除去する。塩酸は、当該業界で認められた最適な脱灰剤であるが、文献にはDBM調製のための方法が数多く報告されている(例えば、Russellら Orthopaedics 22(5):524−531,1999年5月(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。本発明の目的のため、活性な骨誘導性因子を含有する骨格を提供する任意の材料がDBMとみなされる。DBMは、当該技術分野で知られた任意の方法または当業者が必要以上に実験することなく開発し得る他の方法によって調製され得る。場合によっては、大きな断片または骨全体でさえ脱灰し得、次いで、脱灰後に微粒子状にする。このようにして調製されるDBMは本発明の範囲内である。
【0042】
改善されたDBM組成物の調製において、DBM成分を、脱灰の前または後に、磨砕あるいは処理して適切な大きさの粒子にしてもよい。ある特定の実施形態では、該粒径は75ミクロンより大きく、より好ましくは約100〜約3000ミクロンの範囲であり、最も好ましくは約200〜約2000ミクロンである。DBM成分を所望の大きさに磨砕した後、混合物を篩分けし、所望の大きさの粒子を選択してもよい。ある特定の実施形態では、DBM粒子を、50ミクロン篩、より好ましくは75ミクロン篩、最も好ましくは100ミクロン篩で篩分けし得る。
【0043】
DBMへの水分の接近を制限するのに特に有用な方法の1つは、DBMをモノリシック生体吸収性基質内に包埋し、次いで、粒子含有モノリシック基質を、その最小寸法が70ミクロンより大きい、好ましくは100ミクロンより大きい、最も好ましくは150ミクロンより大きい粒径に細分化することである。小さいDBM粒子を包埋するために好ましい基質としては、生体適合性ポリマーおよび硬化性リン酸カルシウムセメントが挙げられる。一般的に、微粒子状DBM/ポリマーの重量比は、約1:5〜約1:3の範囲である。リン酸カルシウムの場合、DBMは、25%〜90重量%まで、好ましくは50%〜80%、より好ましくは60%〜80%、最も好ましくはおよそ75%存在する。モノリスの微粒子化は、慣用のミリングまたは磨砕によって、または低温ミリング(cryomilling)もしくはミリング後の凍結の使用によりなされ得る。好ましい1つの実施形態では、凍結乾燥された、または脱水されたDBMを、再吸収性ポリマー内に包埋する。第2の好ましい実施形態では、凍結乾燥された、または脱水されたDBMを、当該技術分野で知られた硬化性リン酸カルシウムのうちの1つに包埋する。微粒子化の後、調製物を、さらに凍結乾燥および/または担体と混合してもよい。
【0044】
脱灰骨組成物の安定化のためのストラテジー
脱灰骨基質を調製した後、以下に記載するストラテジーのいずれかを用いてDBMの骨誘導性活性または骨伝導性活性を安定化し得る。ストラテジーとしては、酸性化、脱水、水代替物の使用、プロテアーゼインヒビターの使用および拡散バリアの使用が挙げられる。これらのストラテジーは、単独または組合せで使用され得る。当業者には認識されようが、DBM組成物を安定化するために使用される1つのストラテジーまたは複数のストラテジーは、該組成物の使用、例えば、移植部位、必要とされる骨誘導性または骨伝導性の経過時間、取り扱い要件、修復対象の傷害などに依存する。
【0045】
脱水。DBMまたは本発明のDBM組成物の調製後、該組成物は、水和された形態、または内在する水分が除去された凍結乾燥もしくは脱水された形態で保存され得る。DBM組成物の骨誘導性は、水和された形態では不安定であることが示されており、pH7.4で37℃にて急速に分解されることが示されている(Uristら J.Theor.Biol.38:155,1973(引用により本明細書に組み込まれる))。したがって、貯蔵寿命を改善するためには、水分を基質から除去するのがよい。凍結乾燥または脱水された組成物は、50%より多く、60%より多く、70%より多く、80%より多く、90%より多く、95%より多く、または98%より多くの水分が最初の試料から除去されたものであり得る。DBM中の水分は真空にて除去され得、例えば、DBMを凍結し、減圧下で凍結乾燥機内に入れ、所望のレベルの脱水が達成されるまで内在する水分を除去し得る。他の実施形態では、DBMを、有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、ブタノールなど)で抽出し、水分をDBMから除去する。有機溶媒での抽出は、所望の量の水分を基質から除去するために反復してもよい。基質はまた、脱水剤(例えば、シリカゲル、DRI−RITE、P、炭酸カルシウムなど)を伴う密閉環境内に基質を置くことにより脱水してもよい。凍結乾燥または脱水された形態では、本発明のDBM組成物の骨誘導性または骨伝導性活性は、室温またはそれ以下で数ヶ月から数年保存した場合であっても実質的により安定である。ある特定の好ましい実施形態では、脱水または凍結乾燥されたDBM組成物は、37℃で1週間まで、3週間まで、5週間まで、1年まで、2年まで、または3年まで保存した後、その最初の活性の少なくとも99%、95%、90%または80%を保持している。他の実施形態では、凍結乾燥または脱水されたDBM組成物は、室温または4℃で6ヶ月、1年または2年後、最初の組成物の生物学的活性の少なくとも75%、80%、90%、95%、98%または99%を保持している。好ましくは、凍結乾燥または脱水されたDBM組成物は、4℃で1年後、その最初の生物学的活性の少なくとも90%を保持している。
【0046】
酸性化。内在タンパク質分解酵素は、生理的pHにおけるDBMの不安定性の原因に関係するとされている。(Uristら J.Histochem.& Cytochem.22:88−103,1974(引用により本明細書に組み込まれる))。このような内在プロテアーゼのタンパク質分解活性は、DBM組成物のpHを低下させることにより低減させ得る。2〜6の間、好ましくは3〜5の間、より好ましくは3〜4の間のpHでは、本発明のDBM組成物は、凍結乾燥または脱水された形態であろうとなかろうと、増大した安定性を有する。ある特定の好ましい実施形態では、酸性化したDBM組成物は、37℃で1週間まで、3週間まで、5週間まで、1年まで、2年まで、または3年まで保存した後、その最初の生物学的活性の少なくとも99%、95%、90%または80%を保持している。他の実施形態では、酸性化および/または脱水されたDBM組成物は、室温または4℃で6ヶ月、1年または2年後、最初の組成物の骨誘導性または骨伝導性活性の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持している。
【0047】
ある特定の実施形態では、DBM組成物のpHは、生理学的pH(pH7.4)未満に低下させる。本発明のDBM組成物は、所望のまたは低いpH、好ましくは<7、より好ましくはおよそ2〜およそ5の間、最も好ましくはおよそ3〜およそ4の間のpHを有する酸性溶液または緩衝溶液中でDBMをリンスすること、および/または該溶液中にDBMを浸漬させることによってDBM組成物を酸性化することにより調製され得る。ある特定の実施形態では、DBMを、所望のpHが達成されるまでリンスおよび/または浸漬させ得る。他の実施形態では、酸性化したDBM組成物は、脱灰工程(これは、通常、HClなどの酸を用いて行われる)後、脱灰されたDBMを水でリンスすることにより得られ得る。水または緩衝溶液でのリンス処理は、脱灰工程後、DBMの所望のpHが達成されるまで継続してもよい。酸性化工程は、追加の安定化剤(以下に記載する拡散バリア;プロテアーゼインヒビターもしくは他の酵素インヒビター;DO;共有結合性修飾化学薬品;担体;ポリオール、ソルビトール;または水代替物など)の添加前、添加中または添加後に行い得る。
【0048】
DBMの酸性環境の結果、内在プロテアーゼのタンパク質分解活性が低減され、DBM内に存在する骨誘導性因子の安定性の増大がもたらされる。酸性化したDBM組成物の安定性の増大は、当該技術分野で知られた任意の方法、例えば、DBM組成物をラットの筋肉間にインプラントし、規定した期間後、骨形成を調べることにより試験し得る(Edwardsら Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。好ましい実施形態では、DBM組成物の骨誘導性は、4℃、25℃、室温または37℃で1週間、3週間、5週間、6ヶ月、1年、1.5年、2年、3年および10年後、DBMの最初の骨誘導性の>50%、>75%、>80%、>90%、>95%または>98%を保持している。
【0049】
安定化剤が添加された、または添加されていない本発明の酸性化したDBM組成物は、水和された、または脱水/凍結乾燥された形態で保存し得る。該組成物は、重量基準で約10%〜約99%の水分を含有し得る。ある特定の好ましい実施形態では、水分含量は>10重量%である。該組成物は、本発明のDBM組成物の貯蔵寿命をさらに増大させるため、室温またはそれ以下で保存してもよい。当業者には認識されようが、温度を低下させると、本発明のDBM組成物の生物学的活性の半減期が増大する。
【0050】
重水。重水は、生物学的組成物において安定化剤としての機能を果たすことが示されている。例えば、DOは、有機系分子、巨大分子、ウイルスおよびワクチンの安定性を増大させることが示されている(Katz,“The biology of heavy water”Scientific American July 1960,106−115;Katz“Chemical and biological studies with deuterium”39th Priestly Lecture,Pennsylvania State University,1−110;Jainら Biochem.Biophys.Acta 860:448,1986(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる))。CrainicおよびSimpsonは、ある特定の巨大分子の増大した熱的および微生物学的安定性ならびに解離の減速について記載した(公開されたPCT出願WO 94/21298(引用により本明細書に組み込まれる))。95%DOの存在は、ワクチンの場合では、HOと比べ、保存温度の4〜5℃低下に相当することがわかっている。加えて、7〜25%DOは、タンパク質変性の防止を補助する(Wenzel,DE2253086;Hamaya and Horikoshi,JP01179689;Teva Pharm.Industries,Ltd.EP 332826(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。本発明は、DBMへの重水の添加または重水中へのDBMの浸漬もしくは重水中でのリンス処理が、DBM組成物の骨誘導性の安定化をもたらすことを実証する。ある特定の実施形態では、DBMを脱水してHOを除去し、次いでDOで再水和する。好ましくは、DOの割合は50%より多く、より好ましくは75%より多く、さらにより好ましくは90%より多い。ある特定の実施形態では、DOの割合は95%より多い。しかしながら、一部の実施形態では、DOの割合は、5〜10%、10〜20%、20〜30%または40〜50%であり得る。他の実施形態では、DBM組成物を調製するために使用されるDO溶液またはバッファーのpDは、7.0未満、好ましくは2〜5の間、より好ましくは3〜4の間である。DO溶液またはバッファーのpDを低下させることによって、上記のように内在プロテアーゼの活性が低減され、骨誘導性がさらに安定化される。また、水代替物としてのDOの使用を、DBM組成物を安定化させるための上記の他のストラテジー(例えば、糖などの安定化剤の添加、プロテアーゼインヒビター(1種類または複数種類)の添加および他の水代替物の添加など)と組み合わせてもよい。
【0051】
他の水代替物。水代替物はまた、水が関与するか、または水が必要とされる媒体である化学反応も抑制し得る。水代替物としては、ポリオール、例えばグリセロール、液状ポリマー、流動性ポリマー、成形用ポリマー、ポリエチレングリコール、ヒドロゲル、ヒアルロン酸、液状脂質、流動性脂質、成形用脂質、ヒドロキシル化低分子、DMSO、DMF、油類、油と水のエマルジョン、油と脱気水のエマルジョンなどが挙げられ得る。好ましくは、水代替物は、生体適合性である。水代替物は、水分が関与する化学反応(例えば、DOによる同位体効果)、例えば、生物学的に活性な因子の酵素的分解およびタンパク質構造の熱力学的不安定化など、または水が反応に必要とされる媒体である化学反応を抑制する。したがって、室温であっても、得られる水代替物含有DBM組成物は、水代替物無含有DBM組成物よりも増大した貯蔵寿命を有する。水代替物の効果は、DBM組成物をより低温で保存することにより、さらに増大され得る。また、他の安定化剤および/またはDBM組成物の他の安定化方法(例えば、pHの低下)を水代替物と組み合わせて使用してもよい。
【0052】
好ましくは、水代替物は液体である。しかしながら、半固体の物質も水代替物として使用され得る。ある特定の実施形態では、水代替物として、ヒドロキシル基または他の極性官能基を有する化合物、例えば、アミン、チオール、カルボニルなどが挙げられる。ある特定の実施形態では、水代替物の極性基は水素結合を形成することができる。水代替物は、極性であり、かつ水と混和しやすいものであり得る。他の実施形態では、水代替物は、非極性(例えば、油、脂質)であり、水と混和しやすくないものであり得る。水代替物の例としては、硬化ヒマシ油、骨髄脂質、硬化牛脂、硬化ラード油、カカオバター、多糖類、ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、脂肪酸グリセロールエステル、例えば、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノミリステート、グリセロールモノパルミテート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジラウレート、グリセロールジミリステート、グリセロールジパルミテート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリミリステート、グリセロールトリパルミテートおよびグリセロールトリステアレートが挙げられる。ある特定の実施形態では、DBM組成物は、グリセロールを含んでいない。
【0053】
水代替物として使用され得るワックス状材料の例としては、蜜蝋、カルナウバワックス、木蝋、鯨蝋、炭化水素、例えばパラフィン、微晶質ワックス、および脂肪族アルコール、例えば、セチルアルコールおよびステアリルアルコールならびに高級脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびアラキジン酸が挙げられる。
【0054】
組成物への水代替物の添加はまた、組成物を流動性で成形可能にするという利点を有する。
【0055】
安定化剤の添加。本発明の製剤への安定化剤の組込みは、一般的に、目的の1つの分子または複数の分子を適切に適合し得るバッファー(当業者に知られている)中に懸濁することによりなされる。次いで、このバッファーを基質と、比較的低い液体/固体容量比で混合し、スラリーを形成する。好ましくは、バッファーのpHは、およそpH7.4である。組成物が酸性化された実施形態では、バッファーのpHは、生理学的pH未満であり、ほぼ、最終DBM組成物において所望されるpHである。ある特定の実施形態では、安定化剤(1種類または複数種類)を含むバッファーを、凍結乾燥された基質と混合する。そのスラリーを、次いで、凍結乾燥し、所望のDBM製剤の調製に使用し得る。
【0056】
本発明の特徴の1つは、拡散バリア、酵素インヒビター(例えば、プロテアーゼインヒビター)、競合性基質、マスキング剤または他の安定化剤を組み込むことが、多くの場合、基質内に存在する活性因子に対して内在的に存在する分解性酵素が接近するのを防止することにより、DBM製剤の貯蔵寿命をさらに改善するという付加的な特徴を有することである。これは、調製されるDBM製剤が水を含有する場合(例えば、ヒドロゲル担体、例えば、ヒアルロン酸もしくはコラーゲンまたは水和されたデンプン担体を含むDBM調製物)は、特にそうである。
【0057】
拡散バリアは、本発明の製剤内の活性部分への分解性酵素および/または水の拡散を遅滞させる。内包されるDBM内での拡散を遅滞させた酵素は、基質からの活性因子の放出および/または活性因子を分解もしくは不活性化を行い得る。これらはまた、インプラント部位からの活性因子の拡散を遅滞させることにより作用し得る。このようにして、バリアは、インプラント部位における活性因子のより長期の滞留時間をもたらす。これは、骨形成が活性因子の存在をより長期間必要とすると思われる高等種(例えば、ヒトなど)における骨の形成に特に有用である。
【0058】
一般的に、拡散バリアとしての機能を果たすのに最も適した材料は、DBMまたは最適な合成基質と容易に混合され、ゲル、ペーストまたはパテ状粘稠物を形成するが、一部の実施形態では、バリア/基質製剤は、比較的非変形性の固体として調整される(例えば、後外側脊椎固定に使用される基質調製物の場合)。好ましい実施形態では、拡散バリア自体が予測可能な様式で分解し、通常、拡散バリアの非存在下で起こり得るよりも後の時点で活性因子をアンマスキングする。既知の加水分解速度を有する再吸収性ポリマーは、拡散バリアとして、ならびに酵素的に分解されるポリマーとして有用である。特に有用なものは、リパーゼ感受性脂質系担体、例えば、脂肪酸およびリン脂質であり、これらはDBMと良好に混合される。ある特定のDBMの実施形態では、該組成物は、ホスファチジルコリンを含まない。一部の特に効果的な調製物は、骨誘導性因子のアンマスキングを制御することにより延長された安定性を提供する。このような調製物は、一般的に、異なる分解時間を有して同じ活性因子の少なくとも2つの異なるアンマスキング速度をもたらす2種類以上の拡散バリアの使用を伴う。
【0059】
本発明の安定化された基質/成長因子組成物の調製に有用な生分解性ポリマーとしては、天然ポリマー、例えば、タンパク質(例えば、コラーゲン)および多糖類(例えば、デンプン、改質デンプン、マルトリン(maltrin))ならびに人工再吸収性ポリマー、例えば、ポリオルトエステルが挙げられる。これらのポリマーは、本発明の成長因子含有組成物と混合すると、組成物内に含有された活性因子への宿主の分解性酵素および/または水の拡散を遅滞させ、それにより、内包された活性因子の放出および/または分解を遅滞させる。
【0060】
本発明の組成物に包含され得るポリマーとしては、例えば、天然ポリマー(脂質、多糖類、プロテオグリカンおよびタンパク質など)が挙げられる。好ましい多糖類としては、デンプン、デキストランおよびセルロースが挙げられ、好ましいタンパク質としては、コラーゲンが挙げられる。多糖類(例えば、デンプン、デキストランおよびセルロースなど)は、改質されていないものであってもよく、その特性(例えば、その水和された状態での特徴、その溶解性、その易分解性またはそのインビボ半減期)の1つ以上に影響を与えるために物理的または化学的に改質されたものであってもよい。多糖類(例えば、デンプンおよびセルロースなど)はまた、既知分解速度を有するため、魅力的である。一般的に、セルロースは、体内では、より低速で分解され、数週間または数ヶ月の単位で分解されるが、多くのデンプン調製物および脂質調製物は、急速に(数時間または数日間の単位で)分解される。天然状態のデンプンは、2種類の多糖類、アミロースおよびアミロペクチンの混合物である。特定のデンプンのデンプン分解性酵素(例えば、アミラーゼ、ペクチナーゼおよびβ−グルコシダーゼなど)に対する感受性は、本発明の製剤の設計における重要な考慮事項である。当業者は、種々の植物供給源から調製されるデンプンには、さまざまなアミラーゼ感受性があることを承知しており、この知識を、所望の安定性時間を有する製剤の作製に適用し得る。好ましいデンプンは、1日あたり10%程度、好ましくは、1日あたり50%程度、最も好ましくは、1日あたり90%より多くが分解する。ペクチナーゼおよび/またはアミラーゼによってあまり分解されにくいデンプン(アミラーゼ抵抗性デンプン;Starch Australasia,Sydney,Australia)を用い、インビボ骨誘導性半減期を、より酵素感受性のデンプンから調製される改善されたDBMまたは合成成長因子/基質製剤よりもはるかに高程度まで最大限に延長し得る。一部の改質デンプンは、アミラーゼによってあまり分解されず、したがって、改質デンプンを含む改善されたDBMは、おそらく、非改質デンプンを含む改善されたDBMと比べ、より長期のインビボ半減期を有し得る。デンプンのアミラーゼ感受性に影響を与える好ましい方法の1つは、デンプンと脂質の組合せの使用によるものである。アミラーゼ感受性に影響を与えるための脂質とデンプンの組合せに関する手引きは、Croweら“Inhibition of Enzymic Digestion of Amylose by Free Fatty Acids In Vitro Contributes to Resistant Starch Formation”J.Nutr.130(8):2006−2008,2000年8月(引用により本明細書に組み込まれる)に示されている。同様の考慮事項が、脂質とその分解性酵素リパーゼに適用される。リパーゼ分解に対する種々の感受性を有する多種多様なモノ−、ジ−およびトリグリセリドが、市販品供給源から入手可能である。実施形態の一部は、1種類以上のポリマー系材料(好ましくは、生分解性)、例えば、チロシンポリカーボネート、ポリフマレート、チロシンポリアクリレートおよびポリオルトエステル(ポリラクチド、ポリガラクチド(polygalactide)など)、ならびにそのコポリマーなどを含むものである。これらのポリマーは生分解性であり、その特性は、ポリマーの鎖長もしくは架橋度および/またはモノマーの化学的構造を変更することにより改質され得る。さらに、コポリマーは、再吸収性ポリマーの組合せを用いて調製され得る。
【0061】
本発明の実施に有用な酵素インヒビターとしては、例えば、酸プロテアーゼインヒビター、セリンプロテアーゼインヒビター、メタロプロテアーゼインヒビター(Whittakerら“Matrix Metalloproteinases and their Inhibitors−Current Status and Future Challenges”Celltransmissions 17 (1):3−14(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、システインプロテアーゼインヒビター、グリコナーゼ(glyconase)インヒビターおよびグリコシダーゼインヒビターが挙げられ得る。本発明の実施に有用な具体的なプロテアーゼインヒビターとしては、例えば、アプロチニン、フッ化4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニル(AEBSF)、アマスタチン−HCl、α1−アンチキモトリプシン、アンチトロンビンIII、α1−アンチトリプシン、フッ化4−アミノフェニルメタンスルホニル(APMSF)、アルファメニンA、アルファメニンB、E−64、ベスタチン、CA−074、CA−074−Me、カルパインインヒビターI、カルパインインヒビターII、カテプシンインヒビター、キモスタチン、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター、ジプロチンA、E−64c、E−64d、E−64、エベラクトンA、エベラクトンB、EGTA、エラスタチナール、ホルオキシミチン、ヒルジン、ロイヒスチン、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ペプスタチンA、フェベスチン、1,10−フェナントロリン、ホスホラミドン、キモスタチン、ベンズアミジンHCl、アンチパイン、ε−アミノカプロン酸、N−エチルマレイミド、トリプシンインヒビター、1−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノン(TLCK)、1−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン(TPCK)、トリプシンインヒビター、EDTAナトリウム、およびメタロプロテアーゼインヒビターのTIMPクラスのものが挙げられる。特に有用なものは、酸性条件下で安定であり、酸性条件で有効なものである。
【0062】
宿主の分解性または活性化酵素に対する競合性基質の使用もまた、DBMの骨誘導性因子または外添される成長因子を安定化させるために用いられ得る。競合性基質の例としては、ジ−およびポリ−リシンが挙げられる。二糖類および多糖類をグリコシダーゼ、アミラーゼおよび/またはペクチナーゼの競合性基質として用いてもよい。特に有用なものは、立体異性体の競合性基質である。
【0063】
一般的に、単一の存在物または一類型の存在物を酵素的分解から特異的に阻止されるように、特異的なマスキング用存在物を用いる。阻止対象の分解性または活性化酵素は、内在または外来の基質であり得る。マスキング用存在物は、一般的に、基質上に存在するリガンド(活性因子自体であってもそうでなくてもよい)に結合する。結合したら、マスキング用存在物は、1種類以上の活性因子の分解および/または放出を立体的に障害する。経時的に、マスキング用存在物は、離脱するか、または自身が分解され、リガンドおよびまたは成長因子を分解されやすくする。拡散バリアは、基質と会合した成長因子の多くまたはすべてに分解性または活性化酵素が接近するのを抑制することにより、マスキング用存在物の全般性形態を表す。
【0064】
DBMの共有結合性修飾。DBMは、ポリエチレングリコールの添加またはシリル化によって共有結合により修飾され得る。
【0065】
例示的な安定化されたDBM組成物。DBM組成物を安定化させるための上記のストラテジーおよび他の出願書類に記載されたストラテジー(引用により本明細書に組み込まれる)に基づくと、以下のDBM組成物が特に有用である。
【0066】
ある特定のDBM組成物は、グリセロールを含まない。ある特定の実施形態では、DBM組成物は、DBMおよび非グリセロール安定化手段を含む。安定化手段としては、水代替物(例えば、重水、ポリオール、脂質、油類、ワックス、多糖類など);プロテアーゼインヒビター;酸;拡散バリア;競合性基質;マスキング剤;および共有結合性修飾体が挙げられ得る。ある特定の特別な実施形態では、安定化手段は、水代替物、プロテアーゼインヒビター、酸または拡散バリアである。特に有用な水代替物はDOおよび非グリセロールポリオールである。ある特定の実施形態では、DBM組成物は酸性化されており、水代替物が添加されている。他の実施形態では、DBM組成物は酸性化されており、プロテアーゼインヒビターが添加されている。さらに他の実施形態では、DBM組成物は、水代替物とプロテアーゼインヒビターを含む。DBM組成物由来の水分は、凍結乾燥または本明細書に記載の他の手段によって任意選択で、除去し得る。DBM組成物は、好ましくは、室温で1年後、その最初の骨誘導活性の少なくとも95%を保持しているのがよい。
【0067】
本発明のDBM組成物は、非グリセロール担体をさらに含み得る。DBM組成物に含めるのに(in the include)有用な非グリセロール担体としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、脂質、ポリマーおよび水が挙げられる。担体をDBM組成物に添加し、該組成物を、より流動性, 易成形性および/または易取り扱い性とし得る。好ましくは、担体の添加は、DBM組成物の安定性または半減期に実質的に影響を与えない。
【0068】
ある特定の実施形態では、DBM組成物は、グリセロールを水代替物として含む。ある特定の実施形態では、DBM組成物は、DBM、グリセロールおよび安定化手段を含む。安定化手段は、水代替物、酸性化,拡散バリアまたはプロテアーゼインヒビターであり得る。特に有用な安定化手段の例としては、ヒアルロン酸、デンプンおよび脂質が挙げられる。
【0069】
ある特定の実施形態では、DBMを、外来の不安定化存在物と混合する。例えば、DBMは、プロテアーゼまたは他の分解性酵素を含有する組織と混合され得る。DBM内の活性因子を分解から保護するため、先に概要を示した種々のストラテジーを用い、そうしないと不安定化される組成物を安定化し得る。例えば、外来の不安定化存在物の効果を少なくとも部分的に打ち消すために、プロテアーゼインヒビターを該組成物に添加し得る。
【0070】
安定化の試験
本発明はまた、好適な安定化剤をスクリーニングするためのインビトロ試験を提供する。本明細書に記載のようにして調製されるDBM組成物を、模擬的な生理条件(例えば、pH7.4、生理食塩水)下で、DBMの構成成分タンパク質の一部または全部を分解できることが知られた酵素または酵素の組合せに曝露する。ほとんどの場合、これは、プロテアーゼ、例えば、トリプシン、ペプシン、パパイン、ペプチダーゼなどである。基質または基質成分の分解の証拠を2つの調製物間で比較する。分解プロセスを遅滞させる物質を、さらなる試験に充分な候補とみなす。分解の好ましいインジケーターとしては、TGF−βの免疫学的検出および/またはIGF分解が挙げられる。上記に示した酵素に加え、他の酵素、例えばコラーゲナーゼまたは酵素の組合せおよびグリコシダーゼもまた、使用され得る。これに関して特に有用なものは、血清または組織抽出物の自然な分解活性である。このような条件下では、DBM内に存在する特異的マーカータンパク質を、免疫学的方法(例えば、ウェスタンブロットを用いたラジオイムノアッセイもしくはゲル電気泳動)、または当該技術分野で知られた他の解析方法によって追跡し得る。例えば、特定のタンパク質の分解がモニターされ得、または分解産物(例えば、ペプチド断片など)のレベルの増加がモニターされ得る。
【0071】
上記アッセイでの候補安定化剤の同定後、候補安定化剤を含有するDBM製剤を、本明細書において別途記載した骨誘導性アッセイで試験する。
【0072】
加速安定性の試験
本発明はまた、加速安定性の試験のためのインビトロ試験を提供する。各DBM製剤の数連の試料を耐湿性容器(アルミニウムホイル)内にパッケージングし、高温温度(例えば、40℃)で数ヶ月間置く。種々の時点(例えば、インキュベーションの0、5.3、10.6、21.2および31.8週間後)、パッケージを開封し、内容物の骨誘導活性を測定する。任意の試料の加速安定性は、各DBM製剤の骨誘導活性(初期骨誘導活性に対する割合に標準化したもの)を時間に対してプロットすることにより得られるベストフィット直線の傾きから決定され得る。該材料の室温安定性は、Reickら,Medical Device and Diagnostic Industry 10(3):34−39,1998(引用により本明細書に組み込まれる)に記載された酵素反応速度論のファント・ホッフの法則を用いて外挿され得る。
【0073】
以下に実施例に記載する本発明者らの試験では、DBM組成物の酸性化または水和されたDBM製剤へのグリセロールの添加は、DBMの骨誘導安定性を有意に増大させる。
【0074】
骨誘導活性の測定
骨誘導性活性は、目的のDBM製剤を胸腺欠損ラットの非骨格部位内にインプラントし、インプラント部位で誘導された新しい骨、軟骨および骨髄の量を評価することにより測定する。骨誘導活性の測定手順は、以前に詳細に報告されている(Edwards JT,Diegmann MH,Scarborough NL.“Osteoinduction of human demineralized bone:characterization in a rat model”Clin.Orthop.1998 Dec;(357):219−28(引用により本明細書に組み込まれる))。
【0075】
骨誘導物質
DBM組成物には、他の骨誘導剤を添加してもよい。このような薬剤は、活性化形態または非活性化形態で添加され得る。このような薬剤は、本発明の材料の調製時の任意の時点で添加され得る。例えば、骨誘導剤は、添加された骨誘導剤が、いったんインプラントされた外来の分解性酵素から保護されるように、脱灰工程後、安定化剤の添加前に添加され得る。一部の実施形態では、DBMを、骨誘導剤を含有する溶液の状態で凍結乾燥する。ある特定の他の好ましい実施形態では、骨誘導剤は水和された脱灰骨基質上に付着しており、解け易くない。他の場合では、骨誘導剤を改善されたDBMに、DBMを移植したらすぐに骨誘導剤が利用可能となるように、安定化剤の添加後に添加する。
【0076】
骨誘導剤には、骨の形成をもたらすか、またはこれを増強する任意の薬剤が含まれる。骨誘導剤は、これを任意の様式で行い得、例えば、該薬剤は、骨形成を担う細胞の漸増をもたらすものであり得る;該薬剤は、後で石灰化作用を受け得る基質の分泌をもたらすものであり得る;該薬剤は、骨の吸収の低減をもたらすものであり得る、などである。特に好ましい骨誘導剤としては、骨形成タンパク質(BMP)、トランスホーミング成長因子 (TGF−β)、インスリン様成長因子(IGF−1)、ホルモン(例えば、副甲状腺ホルモン(PTH)など)、および血管由来因子(例えば、VEGFなど)が挙げられる。好ましい1つの実施形態(実施例12)では、該誘導剤は、DBMまたは担体に対する該誘導剤の結合を促進するアミノ酸配列を含むように遺伝子操作されたものである。SebaldらのPCT/EP00/00637(引用により本明細書に組み込まれる)には、DBMとの使用に適した例示的な操作された成長因子の産生が記載されている。
【0077】
製剤化
本発明の改善された骨形成組成物は、特定の用途のために製剤化され得る。製剤化は、DBM調製物の物理的、生物学的または化学的特性を改変するために用いられ得る。医師ならば、傷害の型、傷害部位、患者の健康、感染の危険などの要素を考慮して、特定の適用に必要とされる製剤化を容易に決定することができよう。
【0078】
本発明の組成物は、したがって、選択した吸収速度/骨誘導速度の低下を有するように、またはインプラントの異なる部分において異なる速度を有するようにさえ調製され得る。例えば、製剤化プロセスとしては、特定の大きさまたは組成のDBM粒子の選択を、特定の1種類の安定化剤または複数種類の安定化剤およびかかる薬剤の量の選択と組合せることが挙げられる。一例にすぎないが、その骨誘導性因子が比較的一定量で所与の期間、活性である組成物を提供することが望ましかろう。より長期の半減期を有する因子を含むDBM組成物は、生分解性の低いポリマーまたは大量の(例えば、コーティング厚の大きい)ポリマー系化合物を用いて調製され得る。また、所望の半減期を有するDBM組成物を提供するために、プロテアーゼインヒビターの量または型を調整し得る。あるいはまたさらに、粒径は、本発明のDBM組成物の半減期の決定において重要であり得る。ある特定の好ましい実施形態では、本発明の製剤化としては、各々が異なる半減期を有する粒子の混合が挙げられ得る。かかる混合物は、傷害の必要性に応じて数日間から数週間や数ヶ月の範囲の長期間、一様な、または可能な限りの骨誘導性因子のアンマスキングを提供し得る。このような組成物の製剤化は、ヒト患者において、コラーゲンスポンジにて10μgのrhBMPでの処置によって誘導される骨成長匹敵する、好ましくは100μg、最も好ましくは1〜10mgのrhBMPでの処置に匹敵する骨成長を刺激し得る。
【0079】
また、DBMの変形可能性および粘度などの物理的特性は、具体的な臨床適用に応じて選択され得る。改善されたDBMの粒子を他の材料および因子と混合し、インプラントの他の特徴を改善し得る。例えば、改善されたDBM材料を他の薬剤と混合し、創傷治癒を改善し得る。このような薬剤としては、薬物、タンパク質、ペプチド、ポリヌクレオチド、溶媒、化合物、生物学的分子などが挙げられ得る。
【0080】
DBM(または本発明のDBM材料)の粒子は、種々の形状および立体構造に形成され得る。該粒子は、桿形、糸状、シート形、波型、固形、円錐形、円板形、繊維、くさび形、コイル状、二重らせん状などに形成され得る。ある特定の実施形態では、DBM組成物内の粒子の形状および大きさは、骨誘導性の経時変化に影響を及ぼす。例えば、円錐形またはくさび形の形状では、先細りした末端が、DBM組成物を移植した後、短時間で骨誘導性をもたらし、一方、厚みのある末端は、治癒プロセスにおいて、後から(例えば、数時間から数日間や数週間後に)骨誘導性をもたらす。ある特定の実施形態では、粒子は、その最も広い幅の寸法のところが、2mmより大きい、1.5mmより大きい、1mmより大きい、好ましくは500ミクロンより大きい、最も好ましくは200ミクロンより大きい長さを有する。また、大きい粒径ほど、小さい粒子よりも長期間にわたって骨形成の誘導を有する。異なる特性(例えば、組成物、大きさ、形状)の粒子を、このような異なる形状および立体構造の形成に使用し得る。例えば、シート状のDBMでは、半減期の長い粒子の層を、半減期の短い粒子の層間に交互に配置し得る(米国特許第5,899,939号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。織物状のものでは、半減期の短い粒子から構成された糸を、半減期がより長い糸と一緒に織り込み得る。
【0081】
本発明の好ましい1つの実施形態では、繊維状DBMを、米国特許第5,507,813号(引用により本明細書に組み込まれる)に記載の基質形態に成形する。次いで、成形したDBMを、基質の一部分が基質材料にない露出した状態になるように、拡散バリア型基質内に包埋する。特に好ましいブロッキング(blocking)基質は、デンプン、ホスファチジルコリン、チロシンポリカーボネート、チロシンポリアクリレート、ポリラクチド、ポリガラクチドまたは他の再吸収性ポリマーもしくはコポリマーである。このようにしてこれらの基質から調製されたデバイスは、即時かつより長期持続性が両立した骨誘導特性を有し、ヒト脊椎後側方固定適応における骨塊形成の促進に特に有用である。
【0082】
本発明の別の実施形態では、予め選択した三次元形状を有する本発明のDBM組成物は、例えば、Cimaらの米国特許第5,490,962号;および同第5,518,680号(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる);ならびにSachsらの米国特許第5,807,437号(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されているような3−Dプリンティングによる、DBMの個々の層の適用の反復により調製される。異なる層が、個別の安定化されたDBM調製物を含むものであってもよく、あるいはまた、多数の層を堆積した後、安定化剤で処理されたDBM層を含むものであってもよい。
【0083】
改善された本発明のDBM材料の調製方法では、該材料は、あらゆる感染性因子(例えば、HIV、B型肝炎またはC型肝炎など)が排除されるように、完全に無菌的に作製され得るか、または滅菌され得る。滅菌は、任意の方法または方法の組合せ、例えば、1種類以上の抗生物質、放射線照射、化学的滅菌(例えば、エチレンオキシド)または加熱滅菌を用いてなされ得る。当該技術分野で知られた他のDBMの調製方法、例えば、脱脂、超音波処理および凍結乾燥などもまた、改善されたDBMの調製において使用され得る。脱灰骨の生物学的活性は、ほとんどの加熱滅菌プロセスによって有害な影響を受けることが知られているため、本発明の組成物を滅菌する際は、注意しなければならない。好ましい実施形態では、本明細書に記載するDBM組成物は、無菌的に調製するか、または実施例6に記載のようにして滅菌する。
【0084】
適用
本発明の改善された骨形成組成物は、骨の傷害の治癒を促進するために使用され得る。該組成物は、身体の任意の骨において、任意の型の傷害に対して使用され得る。この改善されたDBM組成物は、コラーゲンスポンジでの10μg〜100μg、好ましくは200μg〜1mgのrhBMPと同様のタイミングで同様のレベルで、ヒト患者において骨を生成させるために設計した。例えば、本発明の材料を用いて修復され得る具体的な骨としては、篩骨、前頭骨、鼻骨、後頭骨、頭頂骨、側頭骨、下顎骨、上顎骨、頬骨、きぬた骨、あぶみ骨、つち骨、頚椎骨、胸部の椎骨、腰椎骨、仙骨、胸骨、肋骨、鎖骨、肩甲骨、上腕骨、尺骨、橈骨、手根骨、中手骨、指趾節骨、回腸、坐骨、恥骨、骨盤、大腿、膝蓋骨、脛骨、腓骨、踵骨、距骨、および中足骨が挙げられる。改善されたDBMで処置されやすい傷害の型としては、傷害により生じた骨欠損、手術、感染症、悪性疾患の過程で引き起こされた骨欠損、または先天性発育異常が挙げられる。本発明の材料は、整形外科、神経外科、美容術ならびに口腔および顎顔面外科手術、例えば、単純骨折および複雑骨折ならびに癒着不能の修復、外固定および内固定、関節再構成、例えば、関節固定術、一般的な関節形成術、腰部のカップ関節形成術、大腿および上腕頭置換、大腿骨頭表面置換および関節全置換、脊柱の修復、例えば、脊椎固定術および内固定、腫瘍手術(例えば、欠損部の充填)、椎間板切除術、椎弓切除術、脊髄腫瘍の切除、前頚および胸部の手術、脊椎傷害の修復、脊柱側弯症、脊柱前弯症および脊柱後弯の処置、骨折の上顎骨間固定、おとがい形成術、顎関節症の関節置換、歯槽突起増加および再構成、インレー骨移植片、インプラント設置および修正、サイナスリフトなどに有用であり得る。
【0085】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の実施例を考慮すると、さらに認識されよう。以下の実施例は、本発明のある特定の特別な実施形態を説明することを意図するものであって、特許請求の範囲に規定されたその範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0086】
実施例1:脱灰骨基質(DBM)の調製
DBMは、当該技術分野で知られた任意の方法または手法(Russellら Orthopedics 22(5):524−531,1999年5月(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)を用いて調製され得る。以下は、Glowackiら“Demineralized Bone Implants”Clinics in Plastic Surgery 12(2):233−241,1985年4月(これは、引用により本明細書に組み込まれる)から得られる脱灰骨を調製するための例示的な手順である。ドナーからの骨または骨断片を、きれいにしてあらゆる付着骨膜、筋肉、結合組織、腱、靱帯および軟骨を除去する。海綿質骨を、密な皮質骨から分離し、大きな骨片として処理してもよい。後続の洗浄および抽出の効率を向上させるため、皮質骨を小片に切断してもよい。より大きな動物からのより蜜な骨は、1cm未満のチップを作製するために、凍結させ、ハンマーで砕く必要があり得る。得られた骨片を冷脱イオン水で充分洗浄し、髄および軟組織を除去する。
【0087】
きれいにした骨を、次いで、絶対エタノール(頻繁に交換する)で少なくとも1時間抽出する。典型的には、合計4リットルのエタノールを、100gの骨に対して使用する。次いで、骨を、ドラフト内にて、無水ジエチルエーテル(頻繁に交換する)で1時間抽出する。典型的には、2リットルのエーテルを100gの骨に対して使用する。骨は、これらのエタノールとエーテルの抽出によって脱水し、室温で保存し得る。
【0088】
脱水した骨を、次いで凍結し、次いで、液体窒素中で衝撃式製粉機にて粉砕する。粉砕した骨を、次いで、篩分けし、75〜250、250〜450および450ミクロンより大きい画分に分ける。骨粒子画分を、次いで、0.5M塩酸(50mL/グラム)を用い、3時間、室温または4℃で、過熱を防止するために断熱したマグネチックスターラーにて脱灰する。大きな骨チップおよびブロックを、4℃にて0.5M塩酸(頻繁に交換する)で完全に抽出する。脱灰プロセスは、灰化により、または非脱灰組織学的手法(ホン・コッサ染色)によりX線写真上にてモニターし得る。酸および遊離した無機成分を冷脱イオン水で、洗浄液のpHが水のpHと一致するまで洗い流す。水での洗浄は、大粒子および骨チップからのデカンテーションでもよい;しかしながら、洗浄液は、遠心分離によって、より微細な粒子から除去されなければならない。洗浄工程では、およそ500mLの水が当初の骨粒子1グラムに対して必要とされる。
【0089】
脱灰骨粉末は、絶対エタノール(交換する)で1時間抽出し、200mLのエタノールを当初の骨粒子1グラムに対して使用する。この材料を、ドラフト内にて無水エチルエーテル(交換する)で1時間抽出し、100mLのエーテルを当初の骨粒子1グラムに対して使用する。最後に交換したエーテルを除去した後、脱灰骨粉末を、すべての残留エーテル が蒸発するまで一晩フード内に放置する。この粒子は、無臭で真っ白であり、離散(discrete)しているはずである。脱灰骨材料を滅菌するため、冷エチレンオキシドで処理するか、または放射線を照射し得る。
【0090】
調製したDBMの生物活性を試験するため、25mgのこの材料を、剃毛し麻酔した28日齢雄Charles River CDラットの2つの胸部の皮下ポケットの各々にインプラントする。インプラントされた試験片を、次いで、移植の数日後に回収し、検査し得る。誘導された組織の組成を、組織形態計測解析および生化学的手法によって定量し得る。
【0091】
実施例2:DBMの別の調製方法
DBMは、当該技術分野で知られた任意の方法または手法(Russellら Orthopedics 22(5):524−531,1999年5月(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)を用いて調製され得る。
【0092】
脱灰骨基質を、長骨から調製した。
骨幹領域を、あらゆる接着性軟組織がない状態にし、次いで、ミル内で磨砕した。磨砕された材料を篩分けし、直径がおよそ100μm〜500μmの粒子を有する粉末を得た。微粒子状の骨を、Triton X−100(Sigma Chemical Company,St Louis,MO)と0.6N HClの溶液を室温で用いた後、新たな0.6N HClの溶液を用い、約1%(重量基準)未満の残留カルシウムに脱灰した。この粉末材料を脱イオン水で、pHが3.0より大きくなるまでリンスした。次いで、70%エタノール中に浸漬し、凍結乾燥して残留湿分を5%未満とした。
【0093】
実施例3:pH安定化したDBMのインビトロ評価
安定化剤(または種々の濃度および/または配合の安定化剤)を含むか、または含まないpH安定化したDBMの試料を調製し、血清または個々の酵素(例えば、パパイン)を含むPBSバッファー(pH7.4)とともにインキュベートし、37℃で0.5、1、2、4、8および24時間インキュベートする。次いで、試料を抽出し、Uelandら(“Increased cortical bone content of insulin−like growth factors in acromegalic patients”J. Clin. Endocrinol.Metab.1999 Jan;84(1):123−7(引用により本明細書に組み込まれる))に概要を示したようにして、成長因子および他の基質タンパク質の濃度を測定する。ネイティブまたは変性SDSゲル電気泳動のための試料を調製した後、ウェスタンブロット解析またはUelandら(1999)に記載され、引用により本明細書に組み込まれるウェスタンリガンドブロッティング(Uelandら“Increased cortical bone content of insulin−like growth factors in acromegalic patients”J Clin Endocrinol Metab 1999 Jan;84(1):123−7;およびWalker,J.M.(編)The Protein Protocols Handbook,第2版 2002年,Humana Press Totowa, New Jersey(これらの各々は、引用により本明細書に組み込まれる))を行う。
【0094】
次いで、試料を、7、14、21、28、30、60または90日間での骨誘導性に関して、胸腺欠損ラットアッセイまたは他の適切な種において試験し得る。また、抽出物試料は、Zhangら(1997)に記載のような組織培養物アッセイにおいて、生物学的活性に関して速やかに試験し得る。
【0095】
実施例4: 筋肉内インプラントによる骨成長の誘導の経時変化測定
この実施例は、本発明の材料を用いた筋肉内部位における骨成長の誘導の経時変化の特徴を示し、DBM系粉末(実施例1と同様)と、第7、14、28および35日の時点で比較する。この実施例は、Edwardsら“Osteoinduction of Human Demineralized Bone: Characterization in a Rat Model”Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998年12月(引用により本明細書に組み込まれる)に示されたDBMの骨誘導の評価のためのラットモデルと類似する。
【0096】
本研究は、ヒト組織インプラントに対する異種間応答不適合の可能性を最小限に抑えるため、胸腺欠損(ヌード)ラットにおいて行う。自然な状態では骨を含まない部位であるため、後肢筋肉内部位を、異所的骨誘導特性の初期測定に使用する。
【0097】
雌ホモ接合性rnu/rnuラット(50〜75gの範囲)を、Harlan(Indianapolis,IN)から入手する。手術前、ラットを1週間、馴化の目的で収容する。本研究調査を通して滅菌マイクロアイソレーターケージを使用し、滅菌水および齧歯類試料を随意に摂取させる。
【0098】
インプラントの設置:30匹のラットの各後肢において、単一の筋肉内(IM)部位を使用する。すべての動物に対して共通の陽性対照を提供するため、ラットDBM粉末の単一の40mg試料を各ラットの左胸筋(LP)筋の筋肉内に配置する。外科手術後、動物には通常の活動を行わせる。
【0099】
インプラント材料:DBMおよび試験材料を室温で維持する。試料を、7、14および28日間の移植時間で試験する。DBM粉末の試料を100μLの滅菌ALLOPREPTM(Ostetotech,Eatontown,NJ)で再水和する。試料の各々を、1mL容ブラントカット(blunt cut)シリンジ内に封入する。移植は、1匹の動物が2つの同じインプラントを受容しないように無作為化する。
【0100】
麻酔:ラットは、ケタミン(200mg)、キシラジン(400mg)および生理食塩水(10mL)の混合物で麻酔する。投薬量は3.5mL/kg体重であり、腹腔内に投与する。
【0101】
手順:無菌的外科手術を、層流フード内で行う。1cmの皮膚切開部を、側方アプローチを用いて各上後肢上に作製し、皮膚を筋肉から鈍的切開により分離する。表在切開部が筋肉面に沿って並んでいることにより、はさみの先端の挿入が可能である。鈍的切開を、このラインから筋肉深部内へと行い、インプラントされた材料を保持するためのポケットを作出する。一針の縫合を加え、筋肉のポケットを閉じ、皮膚を金属クリップで閉じる。
【0102】
左胸筋筋肉内への試験片の移植は、胸部上の1cmの皮膚切開部の作製、ポケット作出のための筋肉の鈍的切開、およびブラントシリンジを用いたラットDBM粉末の配置を伴う。一針の縫合を加え、筋肉のポケットを閉じ、皮膚を金属クリップで閉じる。
【0103】
ラットを、所定の移植時間後COで安楽死させる。インプラント材料は、触知(palpitation)によって位置確認し、鈍的切開によって取り出し、注意深いトリミングによって周囲組織を除く。インプラントの型を知らない観察者が、インプラント材料の肉眼評価を行った。色、血管分布像、硬度および統合性を、以下の表に概要示すスキームに従ってスコアリングする。(最も強い応答の最高スコアは4であり得、一方、骨誘導性潜在性をほとんど、または全く示さない試験片は0とスコアリングされ得る)。このモデルを用いた実験(experience)は、測定目盛りの両末端でのみ、インプラント性能の目視観察と組織学的観察との間の高度な相関性を示した。
【0104】
【表1】

組織学検査:取り出した材料を、中性緩衝ホルマリン中に固定する。ホルマリン中に固定後、試料を10%ギ酸中で石灰質除去し、等級品アルコール中で脱水し、JB−4(グリコールメタクリレート、Polysciences,Inc.,Warrington,PA)内に包埋し、細分する。5ミクロンの切片を、トルイジンブルーで染色し、光学顕微鏡使用により評価する。
【0105】
これらの外植片を、半定量的方法を用いて組織学的に評価する。簡単には、5段階の基準に基づく数値スコアを、各切片の小塊に対して割り当てる。4=75%より多くが新しい骨形成に関与;3=51〜75%が新しい骨形成に関与;2=26〜50%が新しい骨形成に関与;1=外植片の1〜25%が新しい骨形成に関与;および0=軟骨内骨形成のプロセス(例えば、軟骨または軟骨細胞、活性な骨芽細胞、類骨、新しく形成および石灰化された骨、および/または髄および関連する脂肪細胞の存在)の痕跡なし。
【0106】
【表2】

組織学的解析後、各材料型の平均スコアを計算する。この動物モデルでの以前の実験に基づき、各群を、平均組織学的スコアによって骨誘導性潜在性を評価する。
【0107】
実施例5:ウサギモデルにおける骨誘導
55匹の雄New Zealand白ウサギを3つの処置群に割り当てる。被験物質は、本明細書に記載のようにして調製した。低用量処置群群(n=20)に割り当てた動物には、3.5mLの試験物質を、右傍脊椎筋内に、プロトコルに指定された手順に従って与える。高用量処置群(n=20)に割り当てた動物には、3.5mLの試験物質を右傍脊椎筋内に、および7.0mLの試験物質を胸部背面領域の両側の皮下組織に与える。対照処置群(n=15)に割り当てた動物には、3.5mLの対照物質(再水和されたDBM粉末)を右傍脊椎筋内にインプラントする。移植の7、14および28日後、低用量処置群および高用量処置群から4匹の動物、対照群から3匹の動物を、人道的に致死させる。移植60日後、残りの動物を致死させる(低用量処置群および高用量処置群から8匹の動物および対照処置群から6匹)。インプラント部位を各ウサギから回収し、10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中に固定する。移植試験後60日の間をあけた試験インプラント部位および対照インプラント部位を、充分なホルマリン固定後、石灰質除去溶液中に3日間入れる。すべての組織試料は、標準的な組織学的手法を用いて処理し、5μmの切片にし、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。
【0108】
実施例6:最終滅菌
この実施例では、本発明の調製物の骨誘導性低下を最小限にする最終滅菌方法を記載する。
【0109】
本発明のDBM調製物は、無菌室環境内で、ヒト組織から作製する。完成品インプラントは、個別のトレイパッケージ内に入れる。
【0110】
各トレイを、Audionvac密封装置(Audion Electro B.V.,Weesp−Holland)内に入れ、この装置には、50/50水素/アルゴンガスからなるシリンダーを設ける。トレイパッケージを密封し、空気を抜き、再度、ガス混合物を2回充填する。密封後、ガス混合物をトレイパッケージ内に残留させる。
【0111】
パッケージングされたインプラントを、次いで、パッケージ密封し、次いで、コバルト60供給源から15 KGyのγ放射線で処理し、インプラント内部の生育微生物数(bioburden)を所望のレベルに低下させる。
【0112】
実施例7:室温での酸性DBMの保存
実際の時間での酸性DBMの安定性を測定するため、プールしたヒト脱灰骨粉末(100〜500ミクロン粒径)を含むDBM組成物(pH約5.0)を調製し、室温での保存に供した。16個の試料をその都度調製し、次いで、DBM試料の半数を水和された形態で保存し、一方、他の半数からは、内在する水を凍結乾燥により除去した。試験試料をホイルパウチ内に封入し、密封し、周囲温度および周囲湿度で、移植まで0、5.3、10.6、21.3および31.8週間保存した。試料は、Edwardsら Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようにして、雌ヌードラットの大腿上方内の筋肉間にインプラントした。続いて、DBMを、手術の28日後に外植し、上記の参考文献に記載のようにして組織学的評価および骨誘導性のスコアリングを行った。組織学的検討の結果、水和状態または凍結乾燥状態で31.8週間まで保存したDBM試料の骨誘導性の有意な減少はないことが示された(図7)。このデータは、酸性DBMが、水和された形態または凍結乾燥された形態のいずれの場合も少なくとも31.8週間、室温で安定であることを示す。
【0113】
【表3】

実施例8:40℃での酸性DBMの保存
酸性DBMの長期安定性を評価するため、プールしたヒト脱灰骨粉末(100〜500ミクロン粒径)を含むDBM組成物(pH約5.0)を調製し、加速熟成に供した。16個の試料をその都度調製した。次いで、DBM試料の半数を水和された形態で保存し、一方、他の半数は、内在する水を除去することにより凍結乾燥した状態で保存した。試験試料をホイルパウチ内に封入し、密封し、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で、インプラントするまで0、5.3、10.6、21.2および31.8週間保存した。温度の10℃の上昇が化学反応速度のおよそ2倍の変化をもたらす(Q10=2)ことを示すアレニウス反応速度式を適用すると、40℃で表示した時間保存することは、室温で、実際の時間で3年まで保存することに相当し得る。試料は、Edwardsら Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようにして、雌ヌードラットの大腿上方内の筋肉間にインプラントした。続いて、DBMを、手術の28日後に外植し、凍結乾燥された状態で3年までに相当する間保存したDBM試料の組織学的評価および骨誘導性のスコアリングを行った(加速熟成に基づく)。対照的に、水和された形態で保存したDBM試料は、同じ時間枠内で、その骨誘導性が約50%低下した(加速熟成に基づく)(図8)。このデータは、両方の保存方法、すなわち、水和された状態または凍結乾燥された状態では、酸性DBMの骨誘導性は保持されるが、凍結乾燥した酸性DBMのほうが、より安定であり、3年まででその骨誘導性を少なくとも75%保持していることを示す。
【0114】
【表4】

実施例9:40℃での酸性DBM+デンプン担体の保存
デンプン担体を含有する酸性DBMの安定性を評価するため、プールしたヒト脱灰骨粉末(100〜500ミクロン粒径)および担体(マルトデキストリン、改質デンプンおよび水)を含むDBM組成物(pH約4.3)を作製し、40℃の加速熟成に供した。試料をパッケージングし、ホイルパッケージ内に密封した。加速熟成試験は、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で行った。8個の試料をその都度調製し、水和された形態で保存した。試験試料をホイルパウチ内に封入し、密封し、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で、インプラントするまで0、5.3、10.6、21.2および31.8週間保存した。40℃で表示した時間保存することは、室温で、実際の時間で、それぞれ0、6、12、24および36ヶ月まで保存することに相当する(Q10=2に基づく)。各加速熟成試料は、室温での0、6、12、24および36ヶ月の熟成後にパラレルで解析した実際の時間の試料を有した。試料は、Edwardsら Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようにして、雌ヌードラットの大腿上方内の筋肉間にインプラントした。続いて、DBMを、手術の28日後に外植し、上記の参考文献に記載のようにして組織学的評価および骨誘導性のスコアリングを行った。組織学的検討の結果、実際の時間で試験した試料と、実際の時間に相当する加速熟成条件との間にはわずかな差があることが示された。このデータは、デンプン担体を含有する酸性DBMは、3年後、その骨誘導性の75%より多くで約80%を保持していることを示す。これはまた、DBMの実際の時間の熟成との間に相関性があることを実証する。
【0115】
【表5】

実施例10:40℃での酸性対中性でのDBMの保存
長期安定性を酸性pHのDBMと中性pHのDBMとで比較するため、プールしたヒト脱灰骨粉末(100〜500ミクロン粒径)を含むDBM組成物を作製し、pHを調整し、加速熟成に供する。加速熟成試験は、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で行う。各pHの試料をその都度調製し、水和された形態で保存する。試験試料をホイルパウチ内に封入し、密封し、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で、インプラントするまで0、5.3、10.6、21.2および31.8週間保存する。40℃で表示した時間保存することは、室温で、実際の時間で、それぞれ0、6、12、24および36ヶ月まで保存することに相当する(Q10=2に基づく)。試料は、Edwardsら Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようにして、雌ヌードラットの大腿上方内の筋肉間にインプラントする。続いて、DBMを、手術の28日後に外植し、上記の参考文献に記載のようにして組織学的評価および骨誘導性のスコアリングを行う。組織学的検討の結果は、酸性DBMが、骨誘導安定性を少なくとも3年間維持しているが、pHが中性のDBMの骨誘導性は安定が低いことを示すはずである。
【0116】
実施例11:中性DBMのヒアルロン酸担体での安定化
ヒアルロン酸担体でpHを安定化させた中性DBMの安定性を評価するため、プールしたヒト脱灰骨粉末(100〜500ミクロン粒径)をヒアルロン酸担体とともに含むか、またはこれを含まない中性pHのDBMを作製し、加速熟成に供する。ヒアルロン酸担体を含む、または含まない8個の試料をその都度調製し、水和された形態で保存する。試験試料をホイルパウチ内に封入し、密封し、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で、インプラントするまで0、2および5.3週間保存する。アレニウス反応速度式を適用すると、40℃で5.3週間保存することは、室温で、実際の時間でおよそ1年まで保存することに相当する。試料は、Edwardsら Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようにして、雌ヌードラットの大腿上方内の筋肉間にインプラントする。続いて、DBMを、手術の28日後に外植し、上記の参考文献に記載のようにして組織学的評価および骨誘導性のスコアリングを行う。組織学的検討の結果は、pHが中性のDBMへのヒアルロン酸担体の添加により骨誘導安定性が少なくとも1年またはそれ以上維持されるが、pHが中性のDBMの骨誘導性は安定が低いことを示すことが期待される。
【0117】
結果:加速温度で5週間後、両方の非安定化ヒアルロン酸含有試料は、その当初の50%未満の骨誘導性を有した(図3参照)。2つの安定化した試料は、その当初の50%より多くの活性を有した。すべての試料について、分析回帰解析を行った。この解析から決定された傾き(分解速度)を、以下の表に示す。先の試験で測定した、凍結乾燥状態または水分の存在下のDBMに関する傾きを、比較の目的で表に含める
【0118】
【表6】

実施例12:中性DBMのコラーゲン担体での安定化
コラーゲン担体の添加によりpHを安定化させた中性DBM組成物の安定性を評価するため、プールしたヒト脱灰骨粉末(100〜500ミクロン粒径)をコラーゲン担体とともに含むか、またはこれを含まない中性pHのDBMを作製し、加速熟成に供する。加速熟成試験は、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で行う。コラーゲン担体を含む、または含まない試料をその都度調製し、水和された形態で保存する。試験試料をホイルパウチ内に封入し、密封し、40℃±2℃、75%±5%相対湿度で、インプラントするまで0、5.3、10.6、21.2および31.8週間保存する。40℃で表示した時間保存することは、室温で、実際の時間で、それぞれ0、6、12、24および36ヶ月まで保存することに相当する(Q10=2に基づく)。試料は、Edwardsら Clinical Orthopaedics 357:219−228,1998(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようにして、雌ヌードラットの大腿上方内の筋肉間にインプラントする。続いて、DBMを、手術の28日後に外植し、上記の参考文献に記載のようにして組織学的評価および骨誘導性のスコアリングを行う。組織学的検討の結果は、pHが中性のDBMへのコラーゲン担体の添加により骨誘導安定性が少なくとも3年またはそれ以上維持されるが、pHが中性のDBMの骨誘導性は安定が低いことを示すはずである。
【0119】
実施例13:脂質で安定化されたDBMSの調製
既知量のレシチンを、既知容量の70%または100%エタノール中で可溶化する。例えば、4.5g、2.25gまたは1.125gのレシチンを、13.5mLのエタノールに溶解する。得られたレシチン含有エタノール混合物は、任意選択で、0.2ミクロンフィルターで濾過してもよい。レシチン/アルコール混合物を、次いで、DBM(4.5 g)に添加し、この物質を基質に30分間浸透させる。この物質を、次いで、凍結および凍結乾燥する。次いで、レシチン/DBM組成物を、骨置換材料の製剤化に使用し得る。脂質安定化DBMは、例えば、改善された外観および感触、活性の増強、改善された安定性および貯蔵寿命の延長などの利点を提供し得る。
【0120】
実施例14:DBM製剤
DBM製剤の調製。DBM製剤は、以下の表に記載のようにして調製される。疎水性の脂質をDBMに、適切な溶媒(アセトン、クロロホルムなど)中で添加し、この物質を、水和された担体を添加する前に凍結乾燥する。組織を不可逆なプロテアーゼインヒビターで処理する場合、該プロテアーゼインヒビターは、一般的に、組織の移植前に洗い流すのがよい。デンプンは、DBMと混合する前に火を通す(水分の存在下でオートクレーブする)のがよい。
【0121】
【表7】


安定性試験。試料を耐湿性容器(アルミニウムホイル)内にパッケージングし、3年を超える期間、室温に置く。種々の期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年など)で、パッケージを開封し、試料の骨誘導性を、適切な動物モデル(例えば、胸腺欠損ラット)において測定する。任意の試料の骨誘導安定性は、任意の試料の骨誘導安定性は、試料の骨誘導活性を時間に対してプロットすることにより得られるベストフィット直線の傾きから決定され得る。加速安定性試験は、高温温度(例えば、37℃または45℃)で行うのがよく、結果を室温安定性に外挿する。
【0122】
骨誘導活性の測定。
骨誘導性活性は、目的のDBM製剤を胸腺欠損ラットの非骨格部位内にインプラントし、インプラント部位で誘導された新しい骨、軟骨および骨髄の量を評価することにより測定する。骨誘導活性の測定手順は、以前に詳細に報告されている(Edwards JT,Diegmann MH,Scarborough NL.“Osteoinduction of human demineralized bone:characterization in a rat model”Clin.Orthop.1998 Dec;(357):219−28(引用により本明細書に組み込まれる))。
【0123】
(他の実施形態)
前述のことは、本発明のある特定の非限定的な好ましい実施形態の説明である。当業者には、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正が本記載内容に対して行われ得ることが認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、水和された(湿潤)DBMおよび乾燥(凍結乾燥された)DBM組成物の室温での骨誘導性の比較である。
【図2】図2は、40℃で熟成を加速した、水和された(湿潤)DBM組成物および乾燥(凍結乾燥)DBM組成物の骨誘導性の比較である。
【図3】図3は、5週間温度加速すると、両方の非安定化ヒアルロン酸含有試料は、その最初の骨誘導性の50%以下を有した。この2種類の安定化試料は、その最初の活性の50%より大きかった。すべての試料について、分析回帰解析を行った。この解析から決定された傾き(分解速度)を、実施例11の表に示す。先の試験で測定した、凍結乾燥状態または水分の存在下のDBMに関する傾きを、比較の目的で表に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱灰骨基質;
少なくとも1種類の非グリセロール安定化手段
を含み、
室温で1年後、その最初の骨誘導性の少なくとも50%を保持している、
脱灰骨基質組成物。
【請求項2】
グリセロールを含んでいない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脱灰骨基質が、繊維、平板、粒子、糸およびゲルからなる群より選択される形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記非グリセロール安定化手段が、重水(DO)、プロテアーゼインヒビター、非グリセロールポリオール、多糖類および酸からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
水をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ヒアルロン酸をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記非グリセロール安定化手段が、プロテアーゼインヒビターまたはプロテアーゼインヒビターの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記プロテアーゼインヒビターが、アプロチニン、フッ化4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニル(AEBSF)、アマスタチン−HCl、α1−アンチキモトリプシン、アンチトロンビンIII、α1−アンチトリプシン、フッ化4−アミノフェニルメタンスルホニル(APMSF)、アルファメニンA、アルファメニンB、E−64、ベスタチン、CA−074、CA−074−Me、カルパインインヒビターI、カルパインインヒビターII、カテプシンインヒビター、キモスタチン、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター、ジプロチンA、E−64c、E−64d、E−64、エベラクトンA、エベラクトンB、EGTA、エラスタチナール、ホルオキシミチン、ヒルジン、ロイヒスチン、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ペプスタチンA、フェベスチン、1,10−フェナントロリン、ホスホラミドン、キモスタチン、ベンズアミジンHCl、アンチパイン、ε−アミノカプロン酸、N−エチルマレイミド、トリプシンインヒビター、l−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノン(TLCK)、l−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン(TPCK)、トリプシンインヒビター、EDTAナトリウム、およびその組合せからなる群より選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記非グリセロールポリオールが、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エリスリトール、水添デンプン加水分解物、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
pHが7未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
pHが5未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
pHが4未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
pHが2未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
pHがおよそ3〜4である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
pHがおよそ4〜5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
室温で1年後、その最初の骨誘導性の少なくとも75%を保持している、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
室温で1年後、その最初の骨誘導性の少なくとも90%を保持している、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
室温で2年後、その最初の骨誘導性の少なくとも75%を保持している、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
室温で2年後、その最初の骨誘導性の少なくとも90%を保持している、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1種類の外来の骨誘導剤または骨形成剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
脱灰骨基質;
非グリセロール担体;および
安定化手段
を含み、
1年後、少なくとも90%生物学的活性を保持している、
脱灰骨組成物。
【請求項22】
前記脱灰骨基質が、繊維、平板、粒子、糸およびゲルからなる群より選択される形態である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記担体が、ヒアルロン酸、コラーゲン、脂質、ポリマー、タンパク質および水からなる群より選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記担体が、ヒアルロン酸、コラーゲン、脂質、ポリマーおよび水からなる群より選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記安定化手段が、重水(DO)、プロテアーゼインヒビター、非グリセロールポリオール、ソルビトールおよび酸からなる群より選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
脱灰骨基質;
グリセロール;および
ヒアルロン酸、デンプン、脂質および水からなる群より選択される因子
を含み、
1年後、その最初の骨誘導性の少なくとも90%を保持している、
脱灰骨基質組成物。
【請求項27】
脱灰骨基質;
外来不安定化剤;および
安定化手段
を含み、
1年後、その最初の骨誘導性の少なくとも90%を保持している、
脱灰骨基質組成物。
【請求項28】
前記外来不安定化剤がプロテアーゼである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記外来不安定化剤が、プロテアーゼを含む組織である、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
脱灰骨基質;
ヒアルロン酸;および
グリセロール
を含み、
40℃で5週間後、その最初の骨誘導性の少なくとも50%を保持している、
脱灰骨基質組成物。
【請求項31】
脱灰骨基質;および
ヒアルロン酸
を含み、
pHが7未満であり、
40℃で5週間後、その最初の骨誘導性の少なくとも50%を保持している、
脱灰骨基質組成物。
【請求項32】
臨床用途のために簡便にパッケージングされた、請求項1に記載の脱灰骨基質組成物を含む、キット。
【請求項33】
前記脱灰骨基質が滅菌形態でパッケージングされた、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
前記脱灰骨基質がシリンジ内にパッケージングされた、請求項32に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−519496(P2007−519496A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551565(P2006−551565)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/003092
【国際公開番号】WO2005/072656
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(505052272)オステオテック,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】