説明

安定性が改善された有機発光デバイス

OLEDデバイスであって、金属もしくは合金又はその両方を含む反射性且つ導電性の二層アノードと、該反射性且つ導電性の二層アノード上に形成された正孔注入構造体と、該正孔注入構造体上に形成された1つ以上の有機層とを含み、該反射性且つ導電性の二層アノードが、駆動電圧の安定性を改善するように構成されていることを特徴とするOLEDデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属電極を使用する上側及び下側発光型有機発光ダイオード(OLED)であって、長期使用時に安定な動作電圧を示す、駆動電圧の安定性が改善された有機発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)としても知られる有機エレクトロルミネッセント(OEL)デバイスは、フラット・パネル・ディスプレイ用途において有用である。この発光デバイスは魅力的である。なぜならば、これは赤色、緑色及び青色を高輝度効率で生成するように構成することができ、また、数ボルト・オーダーの低い駆動電圧で動作可能であり、そして斜角からはっきり見ることができるからである。この独自の属性は、アノードとカソードとの間にサンドイッチされた小分子有機材料の薄膜から成る多層スタックから構成された基本的なOLED構造から導き出される。同一譲受人によるTang他の米国特許第4,769,292号明細書及び同第4,885,211号明細書には、このような構造が開示されている。一般的なエレクトロルミネッセント(EL)媒体は、典型的には各層が数10ナノメートル厚オーダーの正孔輸送層(HTL)と電子輸送層(ETL)との二層構造から成っている。電位差が電極に印加されると、注入されたキャリヤ(アノードにおける正孔及びカソードにおける電子)が、EL媒体を通って互いに向かって移動し、これらのうちの一部が、発光層(EML)、つまりHTL/ETL界面に近接する領域で再結合することにより、光を放出する。エレクトロルミネッセンスの強度は、EL媒体、駆動電圧、及び電極の電荷注入特性に依存する。デバイスの外側で見ることができる光は、さらに、有機スタックの構成、並びに基板、アノード及びカソードの光学特性に依存する。
【0003】
従来型OLEDは下側発光型(BE)であり、すなわち、ディスプレイは、OLED構造を支持する基板を通して見られる。デバイスは通常、アノードとしても役立つ高透明度の酸化インジウムスズ(ITO)層を有するガラス基板を採用する。カソードは典型的にはMgAg反射性薄膜であるが、リチウム含有合金もまた、効率的な電子注入電極として使用される。デバイス内部に発生する光は、全ての方向に放出される。しかし発生した光の僅かな部分だけしかビューイングには利用できず、発生した光の約80 %は、導波モードのデバイス内部で、ガラス、ITO及び有機層内に捕捉される。臨界角未満でアノードに向かって放出された光は、アノード及び基板を通って観察者に到達し、また、反対方向に放出された光は、カソードで反射され、そして基板を通り、ビューイング強度を増強する。高透明度の基板及びアノード、並びに高反射能のカソードがこのように好ましい。
【0004】
OLEDディスプレイは典型的には、高性能ディスプレイを製造するために、アクティブ・マトリックス(AM)回路とカップリングされる。薄膜トランジスターのスイッチング素子を使用するAM下側発光型ディスプレイの場合、トランジスターはガラス基板上に製作される。結果として、光が出現するために利用可能な空き面積は、低減される。バックプレーン内でマルチ・トランジスター及び複雑な回路を使用するのに伴って、光が出現する際に通る空き面積は低減される。ディスプレイ面積全体に対する空き面積の比は、アパーチャ比と呼ばれる。アパーチャ比の低減により、ディスプレイは薄暗く作動するようになる。低減された平均明るさレベルを補償するために、駆動電流を高くしなければならず、ディスプレイは動作劣化のリスクが増大する。その結果、アパーチャ比及び動作安定性の点でさらに妥協することなしには、より複雑な画素駆動回路を容易に設けることはできなくなる。
【0005】
この問題を軽減するために、放出された光を、上面を通して出現するように形成することができる。上側発光型の構成において、駆動回路は基板上に製作され、そして光は対向側の表面から出る。この構成は、どのような基板スペースが必要となろうともこれを占有する複雑な回路を使用するのを可能にし、そしてアパーチャ比は影響を受けない。高いアパーチャ比は、ディスプレイを見やすくし、消費電力を少なくする。これらのデバイスには、読みやすさを維持し、ひいては動作寿命を長くしながら、低い駆動電流で作動するという見込みがある。
【0006】
不透明なバックプレーン、例えばシリコンを採用するデバイスにおいて、OLEDは上側発光型でなければならない。上面、通常カソードは、光が上側を通って出るのを可能にするために、少なくとも半透明であることが必要となる。デバイスは好ましくは、カソード側とは反対側に反射体又は反射性アノードを含むことにより、アノードに向いた光を再指向するべきである。
【0007】
上側又は下側発光型のいずれのデバイス構成も、できる限り高い効率を達成することを目的とするべきである。しかし、導波モードの影響をもはや受けない光を取り戻すことにより高い効率を実現することは、極めて困難な場合がある。導波モードの影響をもはや受けない光の一部でさえ、これを回収するためには、デバイス・アーキテクチャは極めて複雑になるおそれがある。
このような複雑さを導入することなしに効率を高めるためのアプローチは、反射性電極を含むデバイスの構造にマイクロキャビティの構成を施すことである。Sony Corporation(欧州特許出願公開第1 154 676号明細書)は、任意の緩衝/正孔注入層(HIL)との関連において、光反射性材料、例えばPt、Au、Cr、W、又はおそらくは他の高仕事関数材料から形成されたアノードを開示している。Sonyはまた、反射層上に形成された透明の導電性膜、例えばITOから成るアノードを報告した(欧州特許出願公開第1 102 317号明細書)。上側電極は、光が出現する際に通るカソードとして役立つMgAg又はAl:Li合金の半透明反射層であった。Lu他が報告した上側発光型高効率OLEDは、アノード構造、燐光放出層、Ir(ppy)3、及び半透明化合物カソードにおいて反射性金属を使用した(“High-efficiency top-emitting organic light-emitting devices”, M.-H. Lu, M. S. Weaver, T. X. Zhou, M. Rothman, R. C. Kwong, M. Hack,及びJ. J. Brown, Appl. Phys. Lett. 81, 3921 (2002))。Riel他が示した高効率上側エミッターも、Ir(ppy)3発光層、高仕事関数金属アノード、及び半透明カソードを使用し、そしてさらに、改善された光カップリングのために、半透明化合物カソード上にZnSe層を採用する(“Phosphorescent top-emitting organic light-emitting devices with improved light outcoupling”, H. Riel, S. Karg, T. Beierlein, B. Rushtaller,及びW. Rieb, Appl. Phys. Lett. 82, 466 (2003))。これらの上側エミッターは、同等の下側発光型非マイクロキャビティ・デバイスよりも高い効率を実証した。Raychaudhuri他が報告した上側及び下側発光型マイクロキャビティ・デバイスは、最適化された底部発光型非マイクロキャビティ・デバイスの2倍の効率を有する(“Performance enhancement of bottom- and top-emitting organic light-emitting devices using microcavity structure”, P. K. Raychaudhuri*, J. K. Madathil, Joel D. Shore及びSteven A. Van Slyke, Procceedings of the 23rd International Display Research Conference, Phoenix, Arizona, 2003年9月16〜18日、第10頁)。
【0008】
高反射性電極を採用することによって、発生した光のアウト・カップリングを顕著に増大させることが可能である。マイクロキャビティ・デバイスの場合、キャビティから放出される光はキャビティの構成に依存する。マイクロキャビティの共振波長は、
2 Σ(nidi)/λ - (Φ1 + Φ2)/360° = m
によって表され、上記式中、m = 0, 1, 2,..., λは、厚さdi及び屈折率niの層から成るキャビティから出現する光のピーク波長であり、そしてΦ1及びΦ2は、2つの反射性電極から反射したときの、光の位相シフト度である。量nidiは材料中の「光路長」と従来呼ばれ、従ってΣ(nidi)は、マイクロキャビティ内の総光路長である。マイクロキャビティの光路長が一定である場合、この発光の強度(及びさほどの程度ではないがその波長)も、キャビティ内部の発光ゾーンの位置によって影響される。カソードとHTL/ETL界面との間に妥当な距離が選択されている場合には、HTL厚を変化させることにより、マイクロキャビティの光路長を変化させることができる。最大輝度はHTL厚に対応して発生するので、マイクロキャビティの共振波長は、特定のドーパント-ホスト材料の固有の発光スペクトル内のピークと良好に整合される。最初の最大値は、m=0に相当するHTL厚で発生し、そして後続の最大値は、m=1, 2などに相当するHTL厚で発生する。
【0009】
図1は、光学モデリングによって測定して、最大でm=1に相当する厚さのNPB HTL厚の関数として、上側発光型マイクロキャビティ構造の輝度を示すプロットである。OLEDの構造は、ガラス/80 nm Ag NPB(可変)/60 nm Alq/14 nm MgAgであり、MgAgは、ガラス基板上に堆積された全反射性Agアノードを含む。MgAg上側電極はカソードであり、そして、これが薄く半透明であることは、OLEDの上面を通る有意な発光を可能にする。
【0010】
図1が示すところによれば、この構造の場合、輝度の第1の最大値はNPB厚46 nmで発生し、そして第2の最大値は、NPB厚196 nmで発生する。他の波長における発光に対応する、NPB HTL厚の関数としての輝度のプロットは、図1と同様になることは明らかであるが、しかしキャビティ長はわずかに異なるようになり、そして共振波長の最大値は、わずかに異なるNPB厚で発生するようになる。しかし、上記層構造に基づくOLEDは非効率的であることが判った。AgとNPB HTLとの間の中間層が、動作電圧を低下させ、そしてOLEDの安定性を改善するのに有用であることが判った。正孔注入・拡散バリアとして機能する中間層は、極めて薄く(1〜2 nm厚)、そして高透明度である。このように中間層はOLEDの光学特性にさほど影響を及ぼさない。46 nm NPBを有するOLED構造が、効率を最大化し、そして色の角度依存性を最小化するために最も望ましいが、しかし、製造の見地からは、196 nm NPBのOLED構造が望ましいことがある。その理由は、薄いNPBは使用時に突発故障し得る短絡OLEDを産出するおそれがあるからである。他方において、厚いNPB HTLは、駆動電圧を上昇させると思われる。
【0011】
図2は、光学モデリングによって測定して、最大でm=1に相当する厚さのNPB HTL厚の関数として、下側発光型マイクロキャビティ構造の輝度を示すプロットである。OLEDの構造は、ガラス/20 nm Ag/NPB(可変)/60 nm Alq/200 nm MgAgであり、MgAgは、ガラス基板上に堆積された反射性、半透明且つ導電性のAgアノードを含む。MgAg上側電極は反射性、不透明且つ導電性である。そして、Agアノードが薄く半透明であることは、基板を通る有意な発光を可能にする。
【0012】
さらに、図2は図1に極めて類似しており、また図2が示すところによれば、この構造の場合、輝度の第1の最大値はNPB厚約50 nmで発生し、そして第2の最大値は、NPB厚約200 nmで発生する。他の波長における発光に対応する、NPB HTL厚の関数としての輝度のプロットは、図1と同様になることは明らかであるが、しかしキャビティ長はわずかに異なるようになり、そして共振波長の最大値は、わずかに異なるNPB厚で発生するようになる。この場合もやはり、50 nm NPBを有するOLED構造が、効率を最大化し、そして色の角度依存性を最小化するために最も望ましいが、しかし、製造の見地からは、200 nm NPBのOLED構造が望ましいことがある。下側発光型デバイスの場合、AgアノードとNPB HTLとの間に配置された、フッ素化炭素又は酸化物を含む薄い正孔注入層(HIL)が、駆動電圧を低減し、そして効率を改善することが判った。HILは極めて薄く(1〜2 nm厚)、そして高透明度であり、OLEDの光学特性にさほど影響を及ぼさない。HILはまた、拡散バリアとして作用し、そしてダイオードの安定性を改善することができる。
【0013】
動作中、OLEDは一般に、輝度の損失及びそれに伴う駆動電圧の上昇によって特徴付けられる性能の劣化を引き起こす。このことは、活性層の嵩の変化、並びにダイオードの注入コンタクトの劣化を示すことがある。駆動電流を維持するために、動作中、駆動電圧の連続的な上昇を必要とする定電流で、アクティブ・マトリックスOLEDディスプレイが動作させられる。この準備は、要求に応じて過剰電圧を提供するように、AM OLEDバックプレーンの駆動回路内で行われる。この準備の結果、過剰電圧が使用されない場合にも、電力が無駄になることになる。動作中に駆動電圧の調節を必要としないディスプレイ・デバイスが形成されると、電圧許容差をほとんど又は全く有しない状態で駆動回路を構成することができる。このことは結果として、消費電力を相当削減することになる。このようなデバイスは、長時間の使用時に劣化しないコンタクトを有するデバイスである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って本発明の目的は、長期使用時に安定な駆動電圧で動作可能な上側及び下側発光型マイクロキャビティOLEDを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、寿命の点で妥協することなしに、又はデバイスの効率に著しい影響を及ぼすことなしに、前記目的を達成することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、プロセスに著しい複雑さを導入することなしに、又はデバイス構造に大きい変化を加えることなしに、前記目的を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的は、OLEDデバイスであって、
(a)金属もしくは合金又はその両方を含む反射性且つ導電性の二層アノードと、
(b)該反射性且つ導電性の二層アノード上に形成された正孔注入構造体と、
(c)該正孔注入構造体上に形成された1つ以上の有機層とを含み、
(d)該反射性且つ導電性の二層アノードが、駆動電圧の安定性を改善するように構成されていること
を特徴とするOLEDデバイスにおいて達成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ベース層とスキン層とを含む二層アノード構造が、安定な駆動電圧を示すOLEDをもたらすことが判った。単層金属アノードを含む従来技術のOLEDとは対照的に、本発明のOLEDは、駆動電圧のこのような調節をほとんど又は全く必要とせず、これに対して、動作寿命全体を通して駆動電流を維持するために、従来技術のデバイスは駆動電圧の単調な上昇を必要とする。高反射能金属ベース層と薄い半透明のスキン合金層とをアノード構造内で選択することにより、上側又は下側発光の高い効率を達成できることがさらに見極められた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次の説明全体を通して、有機発光デバイスの種々異なる有機層及び動作特性を指定するために、頭字語を使用する。参考のためにこれらを表1に挙げる:
【0020】
【表1】

【0021】
ここで図3に目を転じると、OLED 300は、従来技術の上側発光型OLEDであり、このOLEDは、透明又は不透明の基板301、反射性、不透明且つ導電性のアノード302、低吸収性正孔注入層(HIL)303、正孔輸送層(HTL)304、発光層(EML)305、電子輸送層(ETL)306、及び反射性、半透明且つ導電性のカソード307を含む。カソード307は、約4 eV未満の仕事関数を有する金属を含む。動作中、アノード302とカソード307とは電圧源に接続され、電流が有機層を通過させられ、その結果、発光層305内に光が発生し、発生した光の一部が、矢印によって示される方向で、カソード307を通して放出される。発生した光の強度は、OLED 300を通過させられた電流の規模に依存する。電流の規模は、有機層のルミネセンス・電気特性、並びにアノード302、正孔注入層303、及びカソード307の電荷注入性に依存する。見ることができる発光はさらに、カソード307の透過率、及びアノード302の反射率、及び正孔注入層303の吸光度、並びにOLED 300の層構造に依存する。
【0022】
図4には、本発明の上側発光型OLEDが示されている。アノード構造はベース層4021を含む。ベース層4021上には薄層4022が形成されている。その他の点では、OLED 400(図4)はOLED 300(図3)と同一である。ベース層4021は導電性であり、例えばAg、Au、Cu、Al、Mg、Zn、Rh、Ru、又はIr又はこれらの合金を含む高反射性金属を有する。層の厚さは極めて低い透過率を有するように選択される。薄層4022は、ベース層金属の合金を含み、そして極めて薄く、典型的には1〜20 nmであり、以後スキン層4022と呼ぶ。スキン層4022は半透明且つ導電性であり、そしてその組成はベース層の組成とは異なる。スキン層内の合金用金属は、Ag、Au、Cu、Al、Mg、Zn、Rh、Ru、Ir、Pd、Ni、Cr、Pt、Co、TeもしくはMo、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0023】
図5は、本発明の別の上側発光型OLEDである。この実施態様のOLED 500の場合、反射性、半透明且つ導電性のカソード307上に、透過増強層(TEL)501が堆積されている。その他の点では、OLED 500はOLED 400と同一である。本発明によれば、ベース層とスキン層とを含む二層アノード構造が、安定な駆動電圧を示すOLEDをもたらすことが判った。駆動電流を維持するために、動作寿命全体を通して駆動電圧の単調な上昇を必要とする単層金属アノードを含む従来のOLEDとは対照的に、本発明のOLEDは駆動電圧のこのような調節をほとんど又は全く必要としない。
【0024】
本発明によれば、上記二層アノード構造は、安定な駆動電圧を示すOLEDをもたらすことが判った。固定された駆動電流を維持するために動作時間全体を通して駆動電圧の単調な上昇を必要とする従来技術のOLEDとは対照的に、本発明のOLEDは、長時間の動作における駆動電圧の上昇をほとんど又は全く必要としない。
【0025】
ここで図6に目を転じると、OLED 600は、従来技術の下側発光型OLEDであり、このOLEDは、透明の基板601、反射性、半透明且つ導電性のアノード602、低吸収性正孔注入層(HIL)603、正孔輸送層(HTL)604、発光層(EML)605、電子輸送層(ETL)606、及び反射性、不透明且つ導電性のカソード607を含む。カソード607は、約4 eV未満の仕事関数を有する金属を含む。動作中、アノード602とカソード607とは電圧源に接続され、電流が有機層を通過させられ、その結果、発光層605内に光が発生し、発生した光の一部が、矢印によって示される方向で、アノード602及び基板601を通して放出される。発生した光の強度は、OLED 600を通過させられた電流の規模に依存する。電流の規模は、有機層のルミネセンス・電気特性、並びにアノード602、正孔注入層603、及びカソード607の電荷注入性に依存する。見ることができる発光は、基板601、アノード602、及び正孔注入層603の透過率、及びカソード607の反射率、並びにOLED 600の層構造に依存する。
【0026】
図7には、本発明の下側発光型OLED 700が示されている。アノード構造はベース層7021を含む。ベース層7021上には薄層7022が形成されている。その他の点では、OLED 700(図7)はOLED 600(図6)と同一である。ベース層7021は導電性であり、例えばAg、Au、Cu、Al、Mg、Zn、Rh、RuもしくはIr又はこれらの合金を含む高反射性金属を含む。ベース層7021の厚さは、層が半透明又は弱吸収性であるように選択される。弱吸収性とは、ガラス上のフィルムの吸収率が可視波長全体にわたって30%以下であることを意味する。このような層の反射率は約30%以上であることが可能である。選択された金属又は合金に応じて、ベース層7021(図7及び8)の厚さは、約4 nmを上回るが、しかし約40 nm未満であることが可能である。薄層7022は、ベース層金属の合金を含み、そして極めて薄く、典型的には1〜20 nmであり、以後スキン層と呼ぶ。スキン層は半透明且つ導電性であり、そしてその層も半透明でありその組成がベース層の組成とは異なるように選択される。スキン層内の合金用金属は、Ag、Au、Cu、Al、Mg、Zn、Rh、Ru、Ir、Pd、Ni、Cr、Pt、Co、TeもしくはMo、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0027】
図8は、本発明の別の下側発光型OLEDである。この実施態様のOLED 800の場合、透明な基板601と、反射性、半透明且つ導電性のアノード・ベース層7021との間に、透過増強層(TEL)801が堆積されている。その他の点では、OLED 800はOLED 700と同一である。本発明によれば、上記アノード構造が、安定な駆動電圧を示すOLEDをもたらすことが判った。
【0028】
OLEDデバイスを構成する種々の層の組成及び機能を以下に説明する。
【0029】
基板301(図3〜5)は、ガラス、セラミック、金属、合金、プラスチック又は半導体を含む不透明、半透明又は透明の任意の基板を含んでよい。それというのも、光が基板とは反対側の表面を通して放出されるからである。基板601(図6〜8)はできる限り透明であるべきである。それというのも、これらの事例において光は基板601を通して放出されるからである。基板301又は601は、剛性プレート、フレキシブルなシート、又は湾曲面の形態を成してよい。OLEDデバイスの製作は高温プロセスを必要としないので、100℃のオーダーのプロセス温度に耐えることができる任意の材料が、基板301又は601として有用である。基板301又は601は、電子バックプレーンを有する支持体を含んでよく、ひいてはアクティブ・マトリックス基板を含む。アクティブ・マトリックス基板は電子アドレッシング素子及び電子スイッチング素子を含有する。アクティブ・マトリックス基板は高温ポリシリコン薄膜トランジスター、低温ポリシリコン薄膜トランジスター、又はアモルファス・シリコン薄膜トランジスターを含有することができる。当業者には明らかなように、他の回路素子を使用することにより、OLEDデバイスをアドレスして駆動することもできる。
【0030】
アノード(図3〜5)又は602(図6〜8)は、カソード307(図3〜5)又はカソード607(図6〜8)に対する正電位が印加されると、有機層内に正孔を注入する機能を提供する。アノードの組成及び層構造は上に記載されている。アノード層は、スパッタリング又は蒸発を含む任意の堆積によって製作することができ、また、OLED 300〜800のための製造法と適合性を有してもよい。これらのアノード302又は602は、上側の正孔注入層303(図3〜5)又は603(図6〜8)を必要としてもしなくてもよい。
【0031】
正孔注入層303(図3〜5)又は603(図6〜8)は、アノード302(図3〜5)からの、又はアノード602(図6〜8)からの正孔注入の効率を高める機能を提供する。上に引用した同一譲受人による米国特許出願第10/347,013号明細書及び同第10/346,424号明細書に示されているように、プラズマ重合フッ素化炭素層、又は酸化物層が、金属アノード302又は602のための正孔注入層303又は603として有用であることが見いだされる。正孔注入層303は結果として、動作電圧が低減され、輝度効率が高められ、そして動作安定性が増強されたOLEDをもたらす。フッ素化炭素正孔注入層はCFxを含み、xは3以下であり0を上回る。CFxの調製法及び特性は、同一譲受人による米国特許第6,208,077号明細書に開示されている。酸化物正孔注入層は、Mo、V又はRuの酸化物を含むことができる。これらの材料から成る層は、ガラス上の120 nm厚のITO上でそれぞれ約30 nm厚であり、また、下側発光型非マイクロキャビティOLEDにおいて、TPD、つまり正孔輸送層への正孔注入体として有用であることが判っている(“Metal oxides as a hole-injecting layer for an organic electroluminescent device”, S. Tokito, K. Noda及びY. Taga, J. Phys. D; Appl. Phys. 29, 2750(1996))。MoO3はスパッタリングによって調製された。Ag反射体上のITO層を使用して、Agから直接にHTLへ効率的に正孔注入するのを推定上可能にしないアノードからの正孔注入を増強している(M. -H. Lu, M. S. Weaver, T. X. Zhou, M. Rothman, R. C. Kwong, M. Hack、及びJ. J. Brown, “High-efficiency top-emitting organic light-emitting devices”, Appl. Phys. Lett. 81, 3921 (2002))。CFx又は酸化物を含む正孔注入層は、多くのアノードからの効率的な正孔注入を可能にし、高い効率でOLEDを産出する。効率的な正孔注入体と考えられる高仕事関数金属でさえ、正孔注入層から恩恵を受けた(P. K. Raychaudhuri, J. K. Madathil, Joel D. Shore、及びSteven A. Van Slyke, “Performance Enhancement of Top- and Bottom-Emitting Organic Light-Emitting Devices Using Microcavity Structures” Proceeding of The 23rd International Display Research Conference, Phoenix, AZ, USA、2003年9月15〜19日、第10頁)。CFxは、RFプラズマ中のCHF3ガスの分解によって調製される。MoOx層は、MoO3の真空蒸発によって調製され、そして堆積されたフィルムは、非化学量論的であり、MoOxによって表される組成を有し、xは3未満であるが、しかし0を上回る。HILは導電率及び透明度に応じて、最大数十ナノメートルまで使用可能である。金属アノードのための他の正孔注入体は、IZO、Pr2O3、TeO2、CuPc、又はSiO2を含んでよい。
【0032】
正孔輸送層304(図3〜5)又は604(図6〜8)は、発光層305(図3〜5)又は605(図6〜8)に正孔を輸送する機能を提供する。正孔輸送材料は、同一譲受人による米国特許第4,720,432号明細書に開示された種々のクラスの芳香族アミンを含む。好ましいクラスの正孔輸送材料は、式(I)のテトラアリールジアミンを含む。
【0033】
【化1】

【0034】
上記式中:
Ar、Ar1、Ar2及びAr3は独立して、フェニル、ビフェニル、及びナフチル部分から選択され;
Lは二価ナフチレン部分又はdnであり;
dはフェニレン部分であり;
nは整数1〜4であり;そして
Ar、Ar1、Ar2及びAr3のうちの1つ以上は、ナフチル部分である。
選択された有用な(縮合芳香環を含む)芳香族第三アミンは下記の通りである:
4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)
4,4''-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-p-ターフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン
4,4'-ビス[N-(2-ピレニル)-N-フェニルアミノ]ビ-フェニル
4,4'-ビス[N-(2-ペリレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
2,6-ビス(ジ-p-トリルアミノ)ナフタレン
2,6-ビス[ジ-(1-ナフチル)アミノ]ナフタレン
【0035】
HTLの厚さは、輝度を最大化するように選択され、そしてその選択はデバイスを含む光学スタックに依存する。本発明のデバイスは、マイクロキャビティOLEDであり、従って2つの反射性電極(アノード及びカソード)間の光路長は、上に図1及び図2を参考にして説明したマイクロキャビティ構造から発光に関して選択された様式に従って選ぶことができる。
【0036】
発光層305(図3〜5)又は605(図6〜8)は、この層内の正孔と電子との再結合の結果として生み出される光放出の機能を提供する。発光層の好ましい実施態様は、1種又は2種以上の蛍光色素でドープされるホスト材料を含む。このホスト-ドーパント組成物を使用して、高効率OLEDデバイスを構成することができる。同時に、共通のホスト材料中に種々異なる発光波長の蛍光色素を使用することによって、ELデバイスの色を調整することができる。同一譲受人によるTang他の米国特許第4,769,292号明細書には、このドーパント・スキームが、ホスト材料としてAlqを使用するOLEDデバイスに関して、相当詳細に記載されている。同一譲受人によるTang他の米国特許第4,769,292号明細書に示されているように、発光層は緑色発光ドープ型材料、青色発光ドープ型材料、又は赤色発光ドープ型材料を含有することができる。
【0037】
好ましいホスト材料は、8-キノリノール金属キレート化合物のクラスを含み、キレート金属は、例えばAl、Mg、Li、Znである。別の好ましいクラスの宿主材料は、同一譲受人によるShi他の米国特許第5,935,721号明細書に開示されているような、アントラセン誘導体、例えば9,10ジナフチルアントラセン;9,10ジアントリルアントラセン;及びアルキル置換型9,10ジナフチルアントラセンを含む。
【0038】
ドーパント材料はたいていの蛍光及び燐光色素及び顔料を含む。好ましいドーパント材料は、同一譲受人によるTang他の米国特許第4,769,292号明細書、及び同一譲受人によるChen他の米国特許第6,020,078号明細書に開示されているような、クマリン、例えばクマリン6、ジシアノメチレンピラン、例えば4-ジシアノメチレン-4Hピランを含む。
【0039】
電子輸送層306(図3〜5)又は606(図6〜8)は、カソードから注入された電子を発光層305(図3〜5)又は605(図6〜8)に供給する機能を提供する。有用な材料は、同一譲受人によるShi他の米国特許第5,645,948号明細書に開示されているような、Alq、ベンザゾールを含む。
【0040】
カソードは、典型的には、ETL 306(図2〜4)内に電子を効率的に注入することができる導電性、半透明、反射性且つ弱吸収性の薄膜であり、また、約4.0 eV以下であるように選択された仕事関数を有する合金を含む材料から成る。Mg及びLiを含有する合金が一般に使用される。なぜならばこれらは低い仕事関数を有し、そしてAlq ETLに対して効率的な電子注入コンタクトを形成するからである。<4.0 eVの仕事関数を有する他の材料、例えばMnを電子注入体として使用することもできる。カソード307(図3〜5)又は607(図6〜8)は典型的には、電子輸送層306(図3〜5)又は606(図6〜8)内に電子を効率的に注入することができる反射性且つ導電性のフィルムであり、そして4.0 eVの仕事関数を有する金属材料を含む。Mg及びLiを含有する合金が一般に使用される。なぜならばこれらは低い仕事関数を有し、そしてAlq電子輸送層306(図3〜5)又は606(図6〜8)に対して効率的な電子注入コンタクトを形成するからである。その他の低仕事関数の金属材料を使用することもできる。これらの材料は、金属、或いは、Ag又はAl又は他の高反射能金属と、Mg、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はMnのような金属との合金を含む合金を含む。或いは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はこれらの組み合わせから成る極薄層を堆積することにより、又は電子注入ドーパント及びアクチベーター金属、例えばAl、Mgなどの化合物を堆積することにより、効果的に透明な電子注入層をETL 306又は606上に形成することができる。この表面は、所望の改善された特性を有するカソードを産出するために、仕事関数とは無関係に、事実上いかなる金属、合金、又はその他の導体の使用をも可能にする。カソード307(図3〜5)は、上側電極であり、この上側電極を通って、光が上側発光型OLED 300〜500から出てゆく。カソード307は、半透明且つ弱吸収性である。弱吸収性とは、ガラス上のフィルムの吸収率が可視波長全体にわたって30%以下であることを意味する。このような層の反射能は約30%以上であることが可能である。選択された金属又は合金に応じて、カソード307(図3〜5)の厚さは、約4 nmを上回るが、しかし約40 nm未満であることが可能である。カソード607(図6〜8)は典型的には、高反射性、不透明且つ導電性のフィルムである。高反射性とは、ガラス基板上の金属層の反射率が40%以上であることを意味する。不透明という用語は、ガラス上のフィルムの透過率が10%未満であることを意味する。金属に応じて、層の厚さは50 nmを上回るべきである。カソード607は、ETL上に蒸着されるが、スパッタリング堆積法を用いることも可能である(P. K. Raychaudhuri, C. W. Tang, J. K. Madathil “Fabrication of Lithium-based alloy cathodes for organic light-emitting diodes by D C Magnetron sputtering”, SID 2001 International Symposium (6月5〜7日、San Jose, California) Digest, 論文 31.4; 第32巻、第526〜529頁、2001年、並びにP. K. Raychaudhuri,及びJ. K. Madathil ,“Fabrication of Sputtered Cathodes for Organic Light-Emitting Diodes Using Transparent Buffer”, Proceeding of the 7th Asian Symposium on Information Display (9月2〜4日、Singapore) Digest, 論文 50; 第32巻、第55〜58頁、2002年)。
【0041】
OLED 500(図5)の透過増強層(TEL)501、又はOLED 800(図8)のTEL 801は、観察強度を高めるために光取り出し機能を提供する、高透過率適合フィルムである。TELは、導電性又は非導電性の、無機又は有機材料を含み、これらの材料の一例としては:ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(TO)、アンチモン・ドープ型酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ型酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化亜鉛(ZO)、スズ酸カドミウム(CTO)、酸化カドミウム、リン・ドープ型TO、Alドープ型ZO、MgO、MoOx、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、SiN、AlN、TiN、ZrN、SiC、Al4C3、AlqもしくはNPB、又はこれらの混合物が挙げられる。材料の光学指数に応じて、TEL 501又は801の厚さは20 nm〜150 nmであることが可能である。TEL 501は、OLED 500(図5)のカソード307上に配置される。TEL 801は、OLED 800(図8)の透明の基板601と反射性、半透明且つ導電性のベース層7021との間に配置される。
【0042】
大抵のOLEDデバイスは、湿分又は酸素又はその両方に対して鋭敏なので、これらは一般には、乾燥剤、アルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、粘土、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、又は金属ハロゲン化物及び過塩素酸塩とともに、不活性雰囲気、例えば窒素又はアルゴン中でシールされる。カプセル封入法及び乾燥法の一例としては、米国特許第6,226,890号明細書に記載されたものが挙げられる。加えて、バリア層、例えばSiOx、テフロン(登録商標)、及び交互の無機/高分子層がカプセル封入の当業者に知られている。
【0043】
本発明のOLEDデバイスは、種々のよく知られた光学効果を採用して、所望の場合にこれらの特性を増強することができる。このような増強は、最大の光透過をもたらすように層厚を最適化すること、反射性電極を光吸収電極と置き換えてコントラストを増強すること、ディスプレイ上に眩光防止又は反射防止コーティングを設けること、ディスプレイ上に偏光媒体を設けること、又はディスプレイ上に色フィルター、減光フィルター、又は色変換フィルターを設けることを含む。カバー上に又はカバー部分として、フィルター、偏光子、及び眩光防止又は反射防止コーティングを具体的に設けることができる。
【実施例】
【0044】
従来技術のOLEDを平らなガラス板上に製作した。ガラス板上には、Ar含有雰囲気中でスパッタリングすることにより、純Ag層を堆積した。Ag表面上には、RFプラズマ中でCHF3ガスを分解することにより、約1 nm厚のCFx層を配置した。本発明のOLEDの基板もガラス板であり、ガラス板上に、Ar中でスパッタリングすることにより、ベース層とスキン層とを含む二層アノードを製作した。Agのような金属から成る所定の厚さの層を堆積し、こうして反射性且つ導電性のベース層を形成した。ベース層上には、やはり選択された厚さの合金から成る薄層を堆積した。2つのターゲット(すなわちこれらの一方はベース層の金属、例えばAgを含み、他方のターゲットは合金用金属、例えばMgから成る)から同時にスパッタリングすることにより、合金層を製作した。二層アノードにも同様に、CFx層をコートした。次いで基板を〜1 x 10-6 Torrで動作する真空コーターに移し、ここでNPB HTL、及びAlq EML/ETLを含む有機スタックを順番に堆積した。合金MgAg(5 v% Ag)のカソード層を正方形のマスクを通して堆積した。マスクはOLEDのための有効面積0.1 cm2を画定した。最後に、ダイオードを、乾燥窒素を充填されたグローブ・ボックス内に密にカプセル封入した。賦活化時には、放出された光が、半透明の上側カソードを通って出現した。ダイオードの輝度を、電流の関数として、Photo Research PR650 分光放射計を使用して測定した。ここに示された駆動電圧及び輝度は、20 mA/cm2に相当する電流がダイオードを通されるときに得られたものであり、輝度は、デバイス表面に対して垂直な方向で測定された。
【0045】
ダイオードの動作安定性は、Van Slyke他(“Organic electroluminescent devices with improved stability” S. A. VanSlyke, C. H. Chen, 及びC. W. Tang, Appl. Phys. Lett. 69, 2160(1996)によって概略を示された定電流80 mA/cm2で試験した。駆動電圧を連続的に調節することにより、動作電流を固定状態に維持した。これらのデータから、ダイオードの動作劣化にとって特徴的な2つのパラメーターが検出された。これらのパラメーターは、輝度がその初期値の半分に低下するのに要する時間、すなわち半減期、及び平均(試験時間全体にわたる)駆動電圧上昇率(AVIR)とした。
【0046】
例1
従来技術の上側発光型デバイスOLED 1A、及び本発明の上側発光型デバイスOLED 1Bを同じ作業の流れにおいて形成した。従来技術のデバイスは、60 nm厚の純Agアノードを有するガラス基板上で製作したのに対して、本発明のOLEDは二層アノードである。二層アノードは、60 nm厚の純Agベース層と、6 nm厚のAg Mo合金スキン層とを含んだ。スキン層内のMo濃度は20容積%である。基板のそれぞれに、共通のCFx HIL、NPB HTL、Alq EML/ETL、及び半透明の上側カソードを設けた。カソードは合金MgAgであり、半透明であり、そして14 nm厚である。カソード層内のAg濃度は10容積%である。OLED構造を、不透明、全反射性及び単層の純Agアノードに基づいて選択し、そして上側発光が最大化されるように最適化した。デバイスは、下記層構造:
OLED 1A:ガラス(1.1 mm)/Ag(60 nm)/CFx(1 nm)/NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/MgAg(14 nm)
OLED 1B:ガラス(1.1 mm)/Ag(60 nm)/AgMo(6 nm)/ CFx(1 nm)/ NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/MgAg(14 nm)
を有する。
ダイオードの層構造及び性能を表2に示す:
【0047】
【表2】

【0048】
Agアノードを有する従来技術のOLED 1A、及び二層アノードを有する本発明のOLED 1Bは、同程度の駆動電圧を示す。デバイス1Bの効率は、おそらくはその低いアノード反射能に起因して、デバイス1Aの効率よりも低い。この効率は、AgMoスキン層の組成及び/又は厚さを調節することにより、並びに、マイクロキャビティ構造を再調節することにより改善することができる。OLED 1Bの平均電圧上昇率(AVIR)は、従来技術のデバイスの2分の1の低さであることが判る。OLED 1Bの動作寿命は、表2に示された半減期から示唆されるように、OLED 1Aの2倍よりも長い。
【0049】
例2
従来技術の下側発光型デバイスOLED 2A、及び本発明の下側発光型デバイスOLED 2Bを同じコーティング作業の流れにおいて形成した。従来技術のOLEDは、半透明で20 nm厚の純Agアノードを有するガラス基板上で製作したのに対して、本発明のOLEDは二層アノードである。二層アノードは、15 nm厚の純Agベース層と、6 nm厚のAgMo合金スキン層とを含んだ。スキン層内のMo濃度は20容積%である。基板のそれぞれに、共通のCFx HIL、NPB HTL、Alq EML/ETL、及び全反射性の上側カソードを設けた。カソードは合金MgAgであり、不透明であり、そして220 nm厚である。カソード層内のAg濃度は10容積%である。OLED構造を、半透明、反射性及び単層の純Agアノードに基づいて選択し、そして下側発光が最大化されるように最適化した。デバイスは、下記層構造:
OLED 2A:ガラス(1.1 mm)/Ag(20 nm)/CFx(1 nm)/NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/MgAg(220 nm)
OLED 2B:ガラス(1.1 mm)/Ag(15 nm)/AgMo(6 nm)/ CFx(1 nm)/ NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/MgAg(220 nm)
を有する。
ダイオードの層構造及び性能を表3に示す:
【0050】
【表3】

【0051】
Agアノードを有する従来技術のOLED 2A、及び二層アノードを有する本発明のOLED 2Bは、同一の駆動電圧を示す。デバイス2Bの効率は、おそらくはその低いアノード透過率に起因して、デバイス2Aの効率よりも低い。下側発光型デバイスの効率はアノードの透明度に対して極めて鋭敏であり、そしてOLED 2Bの効率は、AgMoスキン層の厚さ及び組成を調節することにより、並びに、マイクロキャビティ構造を再調節することにより改善することができる。OLED 2Bの平均電圧上昇率(AVIR)は、従来技術のデバイスの約4分の1の低さであることが判る。OLED 2Bの動作寿命は、表3に示された半減期から示唆されるように、OLED 2Aよりも約65%長い。
【0052】
例3
従来技術の下側発光型デバイスOLED 3A、及び本発明の上側発光型デバイスOLED 3Bを同じコーティング作業の流れにおいて形成した。従来技術のOLEDは、半透明で20 nm厚の純Agアノードを有するガラス基板上で製作したのに対して、本発明のOLEDは二層アノードである。本発明のOLEDの二層アノードは、不透明であり、そして75 nm厚の純Agベース層と、10 nm厚のAgMo合金スキン層とを含んだ。スキン層内のMo濃度は50容積%である。基板のそれぞれに、共通のMoOx HIL、NPB HTL、及びAlq EML/ETLを設けた。従来のデバイス3Aのためのカソードは、全反射性LiF/Al層であり、100 nm厚である。デバイス3Bのカソードは、半透明で14 nm厚の合金MgAgである。カソード層内のAg濃度は10容積%である。デバイスは、下記層構造:
OLED 3A:ガラス(1.1 mm)/Ag(20 nm)/MoOx(2 nm)/NPB(200 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/Al(100 nm)
OLED 3B:ガラス(1.1 mm)/Ag(75 nm)/AgMg(10 nm)/ MoOx(2 nm)/ NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/MgAg(14 nm)
を有する。
ダイオードの層構造及び性能を表4に示す:
【0053】
【表4】

【0054】
半透明Agアノードを有する従来技術のOLED 3Aは高い駆動電圧を有する。なぜならば、NPB HTLが、マイクロキャビティの第2の共振周波数(m=1)に相当するからである。OLED 3Bの平均電圧上昇率(AVIR)は、従来技術のデバイスの約4分の1の低さであることが判る。OLED 3Bの動作寿命は、表4に示された半減期から示唆されるように、OLED 3Aの約2倍である。
【0055】
例4
従来技術の上側発光型デバイスOLED 4A、及び本発明の上側発光型デバイスOLED 4Bを同じ作業の流れにおいて形成した。従来技術のデバイスは、80 nm厚の純Agアノードを有するガラス基板上で製作したのに対して、本発明のOLEDは二層アノードである。二層アノードは、80 nm厚の純Agベース層と、5 nm厚のAgAl合金スキン層とを含んだ。スキン層内のAl濃度は50容積%である。基板のそれぞれに、共通のMoOx HIL、NPB HTL、Alq EML/ETL、及び半透明の上側カソードを設けた。カソードは、半透明で15 nm厚のMgとAgとの合金であり、ETLとMgAg層との間に0.5 nmのLiFから成る界面層を有する。カソード層内のAg濃度は10容積%である。OLED構造を、不透明、全反射性及び単層の純Agアノードに基づいて選択し、そして上側発光が最大化されるように最適化した。デバイスは、下記層構造:
OLED 4A:ガラス(1.1 mm)/Ag(80 nm)/MoOx(2 nm)/NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/MgAg(15 nm)
OLED 4B:ガラス(1.1 mm)/Ag(80 nm)/AgAl(5 nm)/ MoOx(2 nm)/ NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/MgAg(15 nm)
を有する。
ダイオードの層構造及び性能を表5に示す:
【0056】
【表5】

【0057】
本発明のOLED 4Bは従来技術のOLED 4Aと比較して、駆動電圧が高く、そして半減期が短い。このことは、他の例における発見とは相容れない。Alを含むOLED 4Bの二層アノードの表面が、スパッタリング室から蒸発室への移動中に空気中で酸化されたことが考えられる。しかし、OLED 4Bの平均電圧上昇率(AVIR)は、従来技術のデバイスの3分の1の低さであることが判る。デバイス4Bの効率は、おそらくはアノード表面の酸化から生じたその低いアノード反射能に起因して、デバイス4Aの効率よりも低い。OLED 4Bの効率は、アノード表面の酸化を予防することにより、且つ/又は、スキン層の組成を調節することにより、並びに、マイクロキャビティ構造を再調節することにより改善することができる。
【0058】
例5
従来技術の上側発光型デバイスOLED 5A、及び本発明の上側発光型デバイスOLED 5Bを同じコーティング作業の流れにおいて形成した。従来技術のOLEDは、不透明で80 nm厚の純Agアノードを有するガラス基板上で製作したのに対して、本発明のOLEDは二層アノードである。二層アノードも不透明であり、そして80 nm厚の純Agベース層と、5 nm厚のAgPd合金スキン層とを含んだ。スキン層内のPd濃度は50容積%である。基板のそれぞれに、共通のMoOx HIL、NPB HTL、Alq EML/ETL、及び半透明の上側カソードを設けた。カソードは、半透明で15 nm厚のMgとAgとの合金であり、ETLとMgAg層との間に0.5 nmのLiFから成る界面層を有する。カソード層内のAg濃度は10容積%である。OLED構造を、不透明、全反射性及び単層の純Agアノードに基づいて選択し、そして上側発光が最大化されるように最適化した。デバイスは、下記層構造:
OLED 5A:ガラス(1.1 mm)/Ag(80 nm)/MoOx(2 nm)/NPB(50 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/MgAg(15 nm)
OLED 5B:ガラス(1.1 mm)/Ag(80 nm)/AgPd(5 nm)/ MoOx(2 nm)/ NPB(50 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/MgAg(15 nm)
を有する。
ダイオードの層構造及び性能を表6に示す:
【0059】
【表6】

【0060】
Agアノードを有する従来技術のOLED 5A、及び二層アノードを有する本発明のOLED 5Bはほとんど同一の駆動電圧を有する。デバイス5Bの効率は、おそらくはその低いアノード反射率に起因して、デバイス5Aの効率よりも低い。上側発光型デバイスの効率はアノードの反射能に対して鋭敏であり、そしてOLED 5Bの効率は、AgPdスキン層の厚さ及び組成を調節することにより、並びに、マイクロキャビティ構造を再調節することにより改善することができる。OLED 5Bの平均電圧上昇率(AVIR)は、従来技術のデバイスOLED 5Aよりも著しく低いことが判る。OLED 5Bの動作寿命は、表6に示された半減期から示唆されるように、OLED 5Aよりも約25%長い。
【0061】
例6
本発明の上側発光型デバイスOLED 6B、及びデバイスOLED 6Cを同じコーティング作業の流れにおいて形成した。これらのOLEDは、金属アノードを有するガラス基板上で製作した。本発明のOLED 6Bの二層アノードは不透明であり、そして75 nm厚の純Agベース層と、10 nm厚のAgZn合金スキン層とを含んだ。スキン層内のZn濃度は50容積%である。OLED 6Cの二層アノードのスキン層は、10 nm厚の純Zn層である。基板のそれぞれに、共通のMoOx HIL、NPB HTL、Alq EML/ETL、及び半透明の上側カソードを設けた。カソードは、半透明で15 nm厚のMgとAgとの合金であり、ETLとMgAg層との間に0.5 nmのLiFから成る界面層を有する。カソード層内のAg濃度は10容積%である。OLED構造を、不透明、全反射性及び単層の純Agアノードに基づいて選択し、そして上側発光が最大化されるように最適化した。デバイスは、下記層構造:
OLED 6B:ガラス(1.1 mm)/Ag(75 nm)/AgZn(10 nm)/MoOx(2 nm)/NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/MgAg(15 nm)
OLED 6C:ガラス(1.1 mm)/Ag(75 nm)/Zn(10 nm)/ MoOx(2 nm)/ NPB(45 nm)/Alq(60 nm)/LiF(0.5 nm)/MgAg(15 nm)
を有する。
ダイオードの層構造及び性能を表7に示す:
【0062】
【表7】

【0063】
2つのOLEDはほとんど同一の電圧と、同程度の半減期とを有する。しかし、10 nm厚の純Znスキン層を有するOLED 6Cは、同一厚の合金スキン層をアノード構造内に有する本発明のOLED 6Bよりも低い輝度を示す。しかし、OLED 6Bの合金構造は、おそらくOLED 6Cよりも反射率が高く、ひいては前者のデバイスがより効率的である。両デバイスとも、マイクロキャビティ構造の正確な個々の調整から恩恵を受けることができる。適正に調整されると、OLED 6Bはより効率的になると考えられる。なぜならば、スキン層が、ベース層金属の高反射能成分を有するからである。OLED 6Bの顕著な特徴の1つは、駆動電圧のその安定性である。デバイスの輝度が初期値の50%まで劣化しても、駆動電圧は、表7に示されたデータから示唆されるように、10分の1ボルトも上昇しなかった。
【0064】
表2から7までに示された例全てから判るように、高反射性金属を含むベース層及び上側の合金スキン薄層を有する二層アノードから、上側又は下側発光が恩恵を受けることができる。合金は、高反射性ベース層金属と、コンタクトの安定化を助ける1種又は2種以上のその他の金属とを含む。アノード構造内のこれらの層及び層厚を選択することにより、そしてマイクロキャビティ構造を正確に調整することにより、並外れて安定な駆動電圧を有する高効率デバイスを製作することができる。
【0065】
或る特定の好ましい実施態様を具体的に参照しながら、本発明を詳細に説明してきたが、言うまでもなく本発明の思想及び範囲の中で変更及び改変を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】次のダイオード構造:ガラス/80 nm Ag/NPB(可変)/60 nm Alq/14 nm MgAgにおけるNPB HTL厚の関数として、上側発光型OLEDの光学モデリングによって測定された軸上輝度を示す図である。
【図2】次のダイオード構造:ガラス/20 nm Ag/NPB(可変)/60 nm Alq/200 nm MgAgにおけるNPB HTL厚の関数として、下側発光型OLEDの光学モデリングによって決定された軸上輝度を示す図である。
【図3】従来技術の上側発光型OLEDの層構造を示す概略図である。
【図4】本発明の上側発光型OLEDの層構造を示す概略図である。
【図5】本発明の上側発光型OLEDの別の実施態様の層構造を示す概略図である。
【図6】従来技術の下側発光型OLEDの層構造を示す概略図である。
【図7】本発明の下側発光型OLEDの層構造を示す概略図である。
【図8】本発明の下側発光型OLEDの別の実施態様の層構造を示す概略図である。
【図9】試験時間の関数として、従来技術のOLEDの輝度及び駆動電圧を示す図であり、このOLEDは定電流密度80 mA/cm2で動作させられる。
【図10】試験時間の関数として、本発明のOLEDの輝度及び駆動電圧を示す図であり、このOLEDは定電流密度80 mA/cm2で動作させられる。
【符号の説明】
【0067】
300 上側発光型有機発光ダイオード
301 透明又は不透明の基板
302 反射性、不透明且つ導電性のアノード
303 正孔注入層
304 正孔輸送層
305 発光層
306 電子輸送層
307 反射性、半透明且つ導電性のカソード
400 上側発光型有機発光ダイオード
4021 反射性、不透明且つ導電性のベース層
4022 半透明且つ導電性のスキン層
500 上側発光型有機発光ダイオード
501 透過増強層
600 下側発光型有機発光ダイオード
601 透明の基板
602 反射性、半透明且つ導電性のアノード
603 正孔注入層
604 正孔輸送層
605 発光層
606 電子輸送層
607 反射性、不透明且つ導電性のカソード
700 下側発光型有機発光ダイオード
7021 反射性、半透明且つ導電性のベース層
7022 半透明且つ導電性のスキン層
800 下側発光型有機発光ダイオード
801 透過増強層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLEDデバイスであって、
(a)金属もしくは合金又はその両方を含む反射性且つ導電性の二層アノードと、
(b)該反射性且つ導電性の二層アノード上に形成された正孔注入構造体と、
(c)該正孔注入構造体上に形成された1つ以上の有機層とを含み、
(d)該反射性且つ導電性の二層アノードが、駆動電圧の安定性を改善するように構成されていること
を特徴とするOLEDデバイス。
【請求項2】
該1つ以上の有機層が発光層及び電子輸送層を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項3】
さらに、反射性且つ導電性のカソードを含み、そして該反射性且つ導電性の二層アノードの反射率及び透過率、並びに該1つ以上の有機層及び該カソードの厚さが、光の内部反射を変化させ、これにより発光を改善するように選択されている、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項4】
さらに電子輸送層を含み、そして金属もしくは合金又はその両方を含む反射性且つ導電性のカソードが該電子輸送層上に設けられている、請求項3に記載のOLEDデバイス。
【請求項5】
該反射性且つ導電性の二層アノードが、高反射性金属から成るベース層と、該正孔注入構造体と接触した、該ベース層の合金又は異なる高反射性金属の合金を含む薄い表面層とを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項6】
該高反射性金属が、Ag、Au、Cu、Al、Mg、Zn、Rh、RuもしくはIr又はこれらの組み合わせである、請求項5に記載のOLEDデバイス。
【請求項7】
該薄い表面層内の該高反射性金属と合金化された金属が、Ag、Au、Cu、Al、Mg、Zn、Rh、Ru、Ir、Pd、Ni、Cr、Pt、Co、TeもしくはMo、又はこれらの組み合わせである、請求項5に記載のOLEDデバイス。
【請求項8】
該正孔注入構造体が、1つ又は2つ以上の正孔注入層を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項9】
該正孔注入構造体が、CFx、ITO、IZO、Pr2O3、TeO2、CuPc、SiO2、VOx、MoOx、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項10】
該反射性且つ導電性のカソードが、約4.0 eV以下であるように選択された仕事関数を有する金属又は合金を含む、請求項3に記載のOLEDデバイス。
【請求項11】
該金属又は合金が、Ag又はAlと、Mg、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はMnとの合金を含む、請求項10に記載のOLEDデバイス。
【請求項12】
該デバイスが、該反射性且つ導電性の二層アノードを通して光を放出する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項13】
さらに透過性カソードを含み、そして該デバイスは該透過性カソードを通して光を放出する、請求項3に記載のOLEDデバイス。
【請求項14】
該反射性且つ導電性の二層アノードが半透明である、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項15】
該反射性且つ導電性のカソードが不透明である、請求項3に記載のOLEDデバイス。
【請求項16】
さらに透過増強層を有する透明基板を含み、該透過増強層が、該透明基板と、該反射性、導電性且つ半透明の二層アノードとの間に位置する、請求項14に記載のOLEDデバイス。
【請求項17】
さらに該透過性カソード上に透過増強層を含む、請求項13に記載のOLEDデバイス。
【請求項18】
該透過増強層が、ITO、MgO、MoOx、SnO2、TiO2、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、Alq、NPB、SiN、AlN、TiN、SiC、Al4C3、又はこれらの混合物を含む、請求項16に記載のOLEDデバイス。
【請求項19】
該透過増強層が、ITO、MgO、MoOx、SnO2、TiO2、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、Alq、NPB、SiN、AlN、TiN、SiC、Al4C3、又はこれらの混合物を含む、請求項17に記載のOLEDデバイス。
【請求項20】
該透過増強層の厚さが20 nm〜150 nmである、請求項16に記載のOLEDデバイス。
【請求項21】
該透過増強層の厚さが20 nm〜150 nmである、請求項17に記載のOLEDデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−529868(P2007−529868A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503931(P2007−503931)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/006861
【国際公開番号】WO2005/096406
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】