説明

安息香酸エステルの混合物を含む膜形成組成物

本発明は、磨き剤、コーティング剤、接着剤、およびインクを含むがこれに限定されるものではなく、膜形成成分としてアクリルポリマーまたは酢酸ビニルポリマーまたはコポリマーの少なくとも一つ、および可塑剤としてa)6炭素一価アルコールのベンゾエート、b)ジエチレングリコールジベンゾエートおよびc)ジエチレングリコールモノベンゾエートの特定割合の混合物を含む膜形成組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年9月22日に出願された米国特許出願第11/534,456号の継続出願であり、ここにその全てを参照として盛り込むものである。
【0002】
本発明は、可塑化膜形成組成物に関するものである。より詳細には、本発明は膜形成材料として有機ポリマー、および可塑剤として安息香酸の3つのエステルの混合物を特定の割合で含む膜形成組成物に関する。これらのエステルは、膜形成組成物、特に床磨き剤として用いられるものに一連の望ましい特性を与える。3つの安息香酸エステルの相対濃度は、最終的な膜で望ましい特性を得ることに重要である。
【背景技術】
【0003】
安息香酸および2〜20個以上の炭素原子を含む一価および二価アルコールから誘導されるエステルは、アクリル酸およびメタクリル酸のようなエチレン性不飽和酸および酢酸ビニルのホモ−およびコポリマーから誘導されるエステルのホモポリマーおよびコポリマーを含む様々な架橋および非架橋有機ポリマーの双方のための可塑剤として知られている。これらのエステルのアルコール部分は一般に1〜10以上の炭素原子を含んでいる。これらのポリマーはエチレンおよびスチレンのようなエチレン性不飽和炭化水素から誘導される繰り返し単位を任意に含むことができる。
【0004】
William Arendtに対し1993年8月17日に発行された米国特許第5,236,987号には、造膜助剤として特定の安息香酸エステルおよび膜形成材料として乳化アクリルポリマーを含む水ベース塗料組成物のための可塑剤の使用が教示されている。安息香酸エステルのアルコール部分は8〜12個の炭素原子を含み、ポリマーは一般的には水性乳剤として組成物中に存在している。
【0005】
Arendt特許に記載されている塗料の主成分は、一般的にはアクリル酸および/またはメタクリル酸の少なくとも一つのエステルから誘導される水性膜形成ポリマー、水、顔料、増粘剤および少なくとも一つの界面活性剤を含んでいる。顔料と増粘剤との組み合わせは一般的には全塗料組成物の20〜50重量%を構成している。
【0006】
インク、接着剤および床磨き剤のような膜形成組成物は塗料とは異なる膜形成ポリマーの成分および種類を含んでいる。たとえ、これらの組成物におけるポリマーが塗料に存在するものと同類のモノマーから作成されるとしても、モノマーの種類、ポリマーの分子量、各種の組成物に存在する添加剤の存在および相互作用が、塗料組成物に好適な造膜助剤、レべリング剤および/または可塑剤が接着剤および磨き剤のような他の膜形成組成物の特性および得られた膜の特性にどのように影響を及ぼすか予測することを困難にさせる。
【0007】
RohmとHassに対して発行された欧州特許第668,338号には、接着剤組成物であって、膜形成材料がアクリルポリマーであるものが記載されている。そのポリマーに加えて、その組成物はポリマー100重量部当たり0.1〜40重量部の可塑剤を含んでいる。好ましい可塑剤はジエチレングリコールおよび/またはジプロピレングリコールから誘導される安息香酸エステルを含んでいる。脂肪族アルコールから誘導される安息香酸エステルは開示されていない。
【0008】
膜形成ポリマーとして重合エチレン性不飽和エステルを含む組成物のための効果的な造膜助剤、レべリング剤、および/または可塑剤として開示されている化合物類は、アジピン酸ジオクチル、2,2,4−トリメチル−1,4−ペンタンジオールモノ−およびジイソブチレート、フタル酸エステルのような有機エステルを含むがこれらに限定されず、エステルのアルコール部分は、一般的には、3〜10個の炭素原子、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールのような部分的にエーテル化されたジオールおよびトリオール、およびトリブトキシエチルホスフェートのようなトリアルコキシアルキルホスフェートを含んでいる。これらの材料、特にアジピン酸のような脂肪族カルボン酸から誘導されるエステルの中には、接着剤、インク、床磨き剤および無着色コーティング剤として一般的に使用される水性ポリマー組成物の膜形成特性、またはこれらの組成物から形成される膜の外観のいずれかを実質的に改善しないものもある。
【0009】
2004年2月10日にWilliam D. Arendt等に発行された米国特許第6,989,830号には、1)膜形成成分として少なくとも一つのアクリルポリマー、酢酸ビニルポリマーまたはエポキシドポリマーあるいはコポリマー、および2)安息香酸および8個の炭素原子を含む一価のアルコールから誘導されるエステルを含む床磨き剤を含む膜形成組成物が開示されている。アルコールは好ましくは2−エチルヘキサノールである。これらの安息香酸エステルは、接着剤、床磨き剤および無着色エポキシコーティング剤を含む多種の膜形成組成物の特性を改善するためにそれらの能力に対して優れているとして開示されている。上述した安息香酸エステルがジエチレングリコールおよび/またはトリエチレングリコールの安息香酸エステルと組み合わせて使用される場合には、付加的な利益が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本特許の実施例1のデータには、50重量%の2−エチルヘキシルベンゾエート、33重量%のジエチレングリコールジベンゾエートおよび17重量%のトリエチレングリコールベンゾエートの組み合わせを含む床磨き剤の以下の6つのコーティングに示されるレべリングと光沢が、ベンゾエートの組み合わせの重量に等しい量の2−エチルヘキシルベンゾエートを含み、グリコールエステルを含まない磨き剤の以下の6つのコーティングに示されるこれらの特性よりも優れていたということが示されている。硬度の評価の場合、2−エチルヘキシルベンゾエートのみを含む床磨き剤組成物を用いて塗布された膜は優れていた。
【0011】
本発明は、本発明の安息香酸エステルの組み合わせを用いることで、水性膜形成組成物、特に、木材、石材、充填および未充填有機ポリマーの両方を含むがこれらに限定されない様々な基材のための磨き剤として用いられる種類のものにおけるレべリング性が、固化膜の光沢、硬度、リコート性ならびに汚れおよび水染み耐性とともに最大化されるという発見に基づくものである。本発明の組成物は、様々な床材料についての床磨き剤として特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、膜形成組成物であって、この組成物を使用することで塗布された膜が汚れおよび水による染みに対する耐性と組み合わせられた、硬度、レべリング、高光沢、およびリコート性を含むがこれらに限定されない特性の優れた組み合わせを示し、この組成物が、
A)(1)アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのホモポリマーおよびコポリマー、
(2)前記コポリマーであって、繰り返し単位の一部がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一つの酸から誘導されるもの、
(3)スチレンとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーとのコポリマー、および
(4)酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、
を含む群から選択される少なくとも一つのポリマーと、
B)前記膜形成組成物から形成される膜における膜特性を最適化するための効果的な量の安息香酸エステルの混合物であって、
(1)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約15〜約20重量%の式PhCO(O)Rを有するエステル、ここで、Phはフェニル基およびRは8個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基を示し、
(2)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約60〜約65重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および
(3)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約20〜約25重量%のジエチレングリコールモノベンゾエート
を含むものと、を含む。
【0013】
重要な態様において、Rが2−エチルヘキシルである。安息香酸エステルの混合物が、約17重量%のPhCO(O)R、約62重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および約21重量%のジエチレングリコールモノベンゾエートを含んでいてもよい。安息香酸エステルの混合物が、膜形成組成物の総重量に基づいて、膜形成組成物の約0.1〜約40重量%である。ポリマーが水性媒質中に提供されてもよく、水性媒質が膜形成組成物の総重量に基づいて、膜形成組成物の約10〜約95重量%であってもよい。組成物が25℃で液体であってもよい。
【0014】
膜形成組成物に用いられるポリマーが、脂肪族の、脂環式の、および芳香族のジエポキシドを含んでいてもよい。膜形成組成物が、架橋剤をさらに含んでいてもよい。架橋剤の例としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、カルボン酸およびこれらの混合物が含まれる。
【0015】
別の重要な態様において、木材、石材、およびビニルポリマーから誘導される表面、特に床表面についての磨き剤として効果的である磨き剤が提供される。磨き剤が、ポリマーおよび最適な膜特性を提供するために有効である安息香酸エステルの組み合わせを有する。磨き剤が、ポリマーと安息香酸エステルの混合物とを含む。ポリマーが、(1)アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのホモポリマーおよびコポリマー、(2)前記コポリマーであって、繰り返し単位の一部がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一つの酸から誘導されるもの、および(3)スチレンと、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーとのコポリマーを含んでいてもよい。安息香酸エステルの混合物が、(1)約15〜約20重量%の式PhCO(O)Rに基づくエステル、ここで、Phはフェニル基およびRは8個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基であり、(2)約60〜約65重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および(3)約20〜約25重量%のジエチレングリコールモノベンゾエートを含んでいてもよい(ここで、すべてのパーセンテージは安息香酸エステルの混合物の総重量に基づいている)。
【0016】
別の態様において、膜形成組成物を作製するための方法が提供される。この方法は、安息香酸エステルの混合物とポリマーをブレンドすることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の膜形成組成物は水性磨き剤、接着剤、インクおよびコーティング剤を含むがこれらに限定されない。
【0018】
本発明の可塑剤混合物を含む磨き剤は、石材、木材、充填および未充填有機ポリマー、ならびに被覆金属の表面に磨き剤として塗布されることが可能である。
【0019】
本発明の組成物の好ましい態様は、木材、石材、有機ポリマー膜および有機ポリマー膜で被覆された金属から形成された床表面を保護および美化するための磨き剤である。磨き剤は、膜形成アクリルポリマーおよび本発明のベンゾエート可塑剤組成物の一つを含む水性製剤である。本発明の安息香酸エステルの組み合わせは、膜形成ポリマーの可塑剤としての作用に加えて、レべリング剤としての従来技術のリン酸エステルの機能と取って代わる。
【0020】
本発明の組成物は、石材、木材およびビニル被覆複合材料を含む様々な基材のための床磨き剤として特に有用である。
【0021】
上記段落において特定した量で使用した場合、それら3つのエステルは相互に作用し、これらの可塑剤を含むポリマー組成物から形成される膜に対して、硬度、レべリング、光沢、リコート性、ならびに汚れおよび水染みに対する耐性の組み合わせを与える。後述の実施例は、特性のこの組み合わせが本発明の安息香酸エステルの混合物に特有のものであり、前述した米国特許第6,689,830号に開示されている8炭素一価アルコールとグリコールベンゾエートの混合物を用いても達成できないということを示している。本明細書で用いられる「最適化または最適な膜特性」は、ガラス上でASTM D4366により測定した場合に少なくとも40秒、好ましくは約60〜約130秒の硬度、少なくとも約10、好ましくは約40〜約80の20°光沢度、最小変色、好ましくは約10〜約25のΔE単位が得られる汚れ耐性、前コートの変色の兆候なしにまたはアプリケータのドラッギングをせずにリコートされる能力、変色、膜劣化の増大の兆候を示さない水染み耐性、および塗布から乾燥までの間アプリケータ・ストリーキングの最小兆候、好ましくは兆候なくレベリングする能力を有する膜を意味する。
【0022】
通常の床磨き剤は、主として、次の成分、a)アクリル酸またはメタクリル酸の少なくとも一つのエステルから誘導されるホモポリマーまたはコポリマーであって、エステルのアルコール部分が1〜8個の炭素原子を含むもの、またはb)これらのエステルの少なくとも一つと、ポリマーの全繰り返し単位に対し最大20重量%のスチレンとから誘導されるコポリマーの水性エマルションと、
造膜助剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル、および
3)磨き剤の総重量に対し2〜約5重量%の、主としてトリブトキシエチルホスフェートのようなリン酸エステルであるレべリング助剤を含んでいる。
【0023】
任意的な成分は、ロジンベース樹脂のような溶解化樹脂およびポリエチレンワックスのような有機ワックスの水性エマルションを含んでいる。
【0024】
上述したエステルから誘導される繰り返し単位に加えて、膜形成ポリマーは、溶解助剤として、アクリル酸および/またはメタクリル酸から誘導される単位を低濃度、典型的には約5重量未満含んでいてもよい。
【0025】
また、消泡剤、湿潤剤、殺生剤、および補助可塑剤を含むがこれに限定されない相対的に少量の追加的な成分を存在させることができる。イソデシルベンゾエートは床のための磨き剤組成物に使用される典型的な補助可塑剤の一例である。
【0026】
本発明者等は、本発明の安息香酸エステル組成物が、床磨き剤組成物中に一般的に存在する3つの成分、すなわちレべリング剤として通常使用されるリン酸エステル、2)補助可塑剤として一般的に使用されるイソデシルベンゾエートのような芳香族酸および脂肪族酸エステル、および3)造膜助剤として一般的に使用されるエステルの代わりとなり得るということを発見した。得られた処方が床材料のポリ塩化ビニル被覆層に塗布された場合、形成された膜は上述した望ましい特性をすべて示し、かつホスフェート含有対照と少なくとも同程度である。
【0027】
本発明の床磨き剤を特徴付ける望ましい特性の組み合わせは、3つの安息香酸エステルが次の相対濃度で使用される場合のみ達成可能である。
8炭素モノカルボン酸のベンゾエート−15〜20重量%
ジエチレングリコールジベンゾエート−60〜65重量%
ジエチレングリコールモノベンゾエート−20〜25重量%
【0028】
2−エチルヘキシルベンゾエート(2−EHB)、好ましくは8炭素一価アルコールの安息香酸エステルによって与えられる特性は、このエステルが上述した割合でジエチレングリコールジベンゾエート(DEGDB)およびジエチレングリコールモノベンゾエート(DEGMB)と組み合わせられて使用される場合に、最適化される。
【0029】
本発明の床磨き剤は、乳化ポリオレフィンワックス、ポリマーのための造膜助剤、ロジンベース樹脂、安息香酸レべリング剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物をさらに含んでいてもよい。この態様において、水性ポリマー分散液の濃度は、約10〜約70重量%であり、乳化ポリオレフィンワックス濃度は約1〜約10重量%であり、ロジンベース樹脂濃度は約1〜約10重量%であり、組成物は約30〜約80重量%の水をさらに含んでいる。磨き剤で使用される造膜助剤はエステル化グリコールを含んでもよく、ポリオレフィンワックスはポリエチレンワックスであってもよい。
【0030】
別の態様においては、磨き剤は、殺生剤、湿潤剤、消泡剤およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの添加剤を1重量%未満含んでいてもよい。磨き剤は、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、カルボン酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される架橋剤をさらに含んでいてもよい。
【0031】
本発明の安息香酸エステルの組み合わせを含む組成物が、木材および石材の床表面や複合床材料のポリ塩化ビニル被覆層に塗布された場合、形成された膜は先行技術のホスフェート含有組成物と同程度の膜レべリングおよび光沢を示す。これらの特性は、構成する安息香酸エステルの種類(アルキルおよびグリコール)の1つまたは両方を同じ濃度で単に使用して達成されたものよりも典型的に優れている。
【0032】
また、本発明の安息香酸エステルの組み合わせは、接着剤、着色および非着色コーティング剤に対して効果的な可塑剤となる。組成物のこれらの種類は、その関連性のある部分が参照によりここに組み込まれている上述した米国特許第6,689,830号に詳細に記載されている。
【0033】
以下の実施例は、本発明のエステルの組み合わせによって典型的な床磨き剤組成物に与えられる望ましい諸性質の特有の組み合わせを示したものである。この実施例は、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定するものではないと解釈すべきである。特記しない限り、部およびパーセントはすべで重量基準である。
【実施例】
【0034】
実施例1
この実施例は、水性床磨き剤においてレべリング剤として一般的に使用される先行技術の有機ホスフェートを、ホスフェート含有コーティング剤組成物を使用して作製された塗膜と比べて塗膜の汚れ耐性を高めながら、液体磨き剤のレべリングおよび光沢、水耐性、上塗りの硬度を犠牲にすることなくこの発明のエステルの組み合わせによって置き換えることができることを示している。
【0035】
対照として評価されかつ以下でICと称される一般的なホスフェート含有床磨き剤組成物は以下の成分を均質にブレンドすることによって作成された:
水33.5部
米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのRohm and Haas CompanyからDuraplus(登
録商標)3のとして入手可能なスチレン変性アクリルポリマーを38重量%含有する
水性エマルション48.5部
造膜助剤としての2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチ
レート1.43部
造膜助剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル5.6部
Chem Cor CorporationからChemrez 30として入手可能な変性スチレン/アクリル樹脂
の30重量%エタノール溶液3.52部
Eastman ChemicalsからEpolen(登録商標)E‐43Nとして入手可能なポリエチレンワ
ックスの40重量%水性エマルション3.29部
レべリング剤としてのトリブトキシエチルホスフェート3.13部、および
(1)Rohm and Haas CorporaitonからKathon Eとして入手可能な殺生剤、(2)湿
潤剤としてのFluorad(登録商標) FC-120として入手可能なフッ素化ポリエチレンお
よび(3)消泡剤としてのAbex-18Sとして入手可能なアニオン性界面活性剤の30重
量%水溶液のそれぞれ0.1%未満。
【0036】
以下でIとして称される本発明の組成物は、IC中の3.13部のトリブトキシエチルホスフェートおよび1.43部の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートの組み合わせを、17重量%の2−エチルヘキシルベンゾエート(2−EHB)、62重量%のジエチレングリコールベンゾエート(DEGDB)および21重量%のジエチレングリコールモノベンゾエート(DEGMB)を含む同重量(4.56部)の混合物に置き換えることによって作成された。
【0037】
先行技術の安息香酸エステルの組み合わせを含む3つの組成物(IIC、IIICおよびIVC)は、本発明の安息香酸エステル組成物によって床磨き剤に与えられる望ましい諸性質の特有の組み合わせを示すために比較目的として作成された。
【0038】
対照組成物であるIICでは、先行技術のホスフェートおよびモノイソブチレートの組み合わせが、同重量(4.56部)の上述した米国特許第6,689,830号における組成物IIIとして称される安息香酸エステルの組み合わせ、すなわち、a)2−エチルヘキシルベンゾエートおよびb)ジエチレングリコールベンゾエートとトリエチレングリコールゼンゾエートを重量比2:1で含む同重量部の混合物と置き換えられた。DEGDB、TEGDBおよびDPGDBの組み合わせは合計で対応するモノベンゾエートの2.4%未満含まれていた。
【0039】
対照組成物IIICでは、IICのベンゾエート混合物が、60.8重量%のDEGDB、17.8重量%のトリエチレングリコールジベンゾエート(TEGDB)および21.4重量%のジプロピレングリコールジベンゾエートを含む4.56部の混合物と置き換えられた。その混合物は対応するモノベンゾエートの2.4重量%未満含まれていた。
【0040】
対照組成物IVCでは、IIICのベンゾエート混合物が40重量%の対応するモノベンゾエートを含む4.56部のDEGDBと置き換えられた。
【0041】
評価された磨き剤組成物はすべて500RPMの速度で回転するコーレス型(Cowles type)ミキサーを使用して30分間すべての成分をブレンドすることによって作成された。
【0042】
以下の試験方法は、本発明の磨き剤組成物およびレべリング剤として有機ホスフェートを含む2つの先行技術の組成物を評価するために使用された。
【0043】
レべリング
評価されるべき組成物の6層を、2×2インチ(5×5cm)のガーゼパッドを使用して1平方フィート当たり4mlの濃度で黒いビニルフロアタイルに塗布した。乾燥した塗膜はそれぞれ不可(1)から優れた(5)までの段階で主観的に評価された。評価結果を、次の表1に記録した。
【0044】
【表1】

【0045】
上記のデータは、本発明の処方Iが組成物ICにおける先行技術のホスフェートとほぼ同様に良好であり、かつ他の対照よりも優れたレべリングを示したことを明らかにする。米国特許第6,689,890号の実施例1において組成物IIIとして特定された安息香酸エステルの同じ混合物を含む対照IICは、この評価において低いレべリング評価を示した。
【0046】
光沢発現性
光沢発現性はASTMテスト方法D1455−87を用いることによって決定された。
【0047】
この実施例の先行する段落に記載された5つの処方の6コートを、ガーゼパッドを使用して黒いポリビニルクロリドフロアタイル上に1平方フィート当たり4ml(1平方メートル当たり43ml)の割合で黒いフロアタイルの仕上げ面に塗布した。磨き剤のそれぞれの層を、次の層を塗布した後に、光沢発現性の評価より前に周囲条件の下で40分間乾燥させた。
【0048】
光沢発現性はGYK Gardner Corporationによって製造されたMicro-Tri Glossimeterを使用して20°の角度で測定された。
【0049】
この評価結果は、0が最小光沢と表わされる基準を使用して、以下の表2に記録される。
【0050】
【表2】

【0051】
表2のデータは、本発明のベンゾエート混合物によって与えられる光沢が、先行技術のホスフェートを含む組成物ICによって与えられる光沢より若干優れており、かつ2−エチルヘキシルベンゾエートを用いずにジエチレングリコールのモノおよびジベンゾエートの混合物を含む磨き剤組成物と性能の点で同程度であったことを示す。
【0052】
本発明のベンゾエート組成物を含む磨き剤の6層で被覆された黒いフロアタイルの優れた耐水性を、ASTMテストD1793−92を用いることによって示した。この評価結果を、以下の表3に記録する。
【0053】
【表3】

【0054】
本発明の組成物Iおよびトリブトキシエチルホスフェートを含む組成物ICで被覆された白いビニルフロアタイルの汚れ耐性を、ASTMテスト方法D3206−92を用いて評価した。より低い値が、タイルの変色に直接関連しており、またデルタEと称される汚れがより少ないことを示している。
【0055】
組成物Iで被覆されたタイルは、組成物ICの20.82のデルタE値と比較して16.48のデルタE値を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜形成組成物であって、
A)(1)アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのホモポリマーおよびコポリマー、
(2)前記コポリマーであって、繰り返し単位の一部がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一つの酸から誘導されるもの、
(3)スチレンとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーとのコポリマー、および
(4)酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、
を含む群から選択される少なくとも一つのポリマーと、
B)前記膜形成組成物から形成される膜における膜特性を最適化するために有効な量の安息香酸エステルの混合物であって、
(1)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約15〜約20重量%の式PhCO(O)Rを有するエステル(ここで、Phはフェニル基であり、そしてRは8個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基である)、
(2)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約60〜約65重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および
(3)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約20〜約25重量%のジエチレングリコールモノベンゾエート
を含む安息香酸エステルの混合物、
とを含む、膜形成組成物。
【請求項2】
が2−エチルヘキシルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合物が、約17重量%のPhCO(O)R、約62重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および約21重量%のジエチレングリコールモノベンゾエートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーが水性媒質中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記安息香酸エステルの混合物が、前記膜形成組成物の約0.1〜約40重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが、
(1)アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのホモポリマーおよびコポリマーであって、前記エステルのアルコール部分が1〜8個の炭素原子を含むもの、
(2)(1)の前記コポリマーであって、繰り返し単位の一部がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一つの酸から誘導されるもの、
(3)スチレンとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーとのコポリマーであって、アクリル酸およびメタクリル酸の前記エステルのアルコール部分が、1〜8個の炭素原子、およびスチレンから誘導される繰り返し単位を含み、前記スチレンから誘導される繰り返し単位が前記コポリマー中に存在している繰り返し単位の約0.1〜約15重量%含むもの、
(4)(3)のコポリマーであって、繰り返し単位の一部がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一つの酸から誘導されるもの、
を含む群から選択される少なくとも一つのポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記水性媒質が前記膜形成組成物の約10〜約95重量%である、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、磨き剤、接着剤、インク、またはコーティング剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が25℃で液体である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
木材、石材、およびビニルポリマーから形成される床表面のための磨き剤組成物であって、前記組成物を用いて塗布された膜が、汚れおよび水による染み耐性と組み合わされた、硬度、レべリング、高光沢、およびリコート性の組み合わせを有し、前記組成物が、
A)(1)アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのホモポリマーおよびコポリマー、
(2)前記コポリマーであって、繰り返し単位の一部がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一つの酸から誘導されるもの、
(3)スチレンと、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーとのコポリマー、
を含む群から選択される少なくとも一つのポリマーと、
B)(1)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約15〜約20重量%の式PhCO(O)Rを有するエステル(ここで、Phはフェニル基であり、そしてRは8個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基である)、
(2)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約60〜約65重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および
(3)前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約20〜約25重量%のジエチレングリコールモノベンゾエート
を含む安息香酸エステルの混合物、
とを含む、磨き剤組成物。
【請求項11】
が2−エチルヘキシルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記混合物が、約17重量%の前記エステル、約62重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および約21重量%のジエチレングリコールモノベンゾエートを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが水性媒質中に存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記安息香酸エステルの混合物が、前記膜形成組成物の約0.1〜約40重量%である、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記水性媒質が前記組成物の約10〜約95重量%である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が25℃で液体である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、乳化ポリオレフィンワックス、前記ポリマーのための造膜助剤、ロジンベース樹脂、およびレべリング剤としての前記安息香酸エステルをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
水性ポリマーの濃度が約10〜約70重量%であり、前記造膜助剤の濃度が約1〜約10重量%であり、前記乳化ポリオレフィンワックスの濃度が約1〜約30重量%、前記ロジンベース樹脂の濃度が約1〜約10重量%であり、かつ前記組成物が追加的に約30〜約80重量%の水を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記造膜助剤がエーテル化グリコールからなる群から選択され、かつ前記ポリオレフィンワックスがポリエチレンワックスである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、殺生剤、湿潤剤、消泡剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの添加剤を1重量%未満含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
ポリ酢酸ビニルおよび酢酸ビニルとエチレンとのコポリマーからなる群から選択される乳化ポリマーを約50〜約95重量%含む接着剤の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリマーが、脂肪族の、脂環式の、および芳香族のジエポキシドからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が架橋剤をさらに含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
前記架橋剤が、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミンおよびカルボン酸からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
請求項10の磨き剤組成物からなる少なとも一層で被覆された物品であって、
1)むき出しのおよび被覆された石材、および木材、2)充填および未充填有機ポリマー、ならびに3)被覆金属からなる群から選択される、物品。
【請求項26】
ポリマーを安息香酸エステルの混合物とブレンドすることを含む膜形成組成物の製造方法であって、
前記ポリマーが、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのホモポリマーおよびコポリマーを含む群からの少なくとも一つのポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一つの酸から誘導される繰り返し単位の一部を有するコポリマー、スチレンとアクリル酸およびメタクリル酸のエステルからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーとのコポリマー、ならびに酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマーを含み、
前記安息香酸エステルの混合物が、前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約15〜約20重量%の式PhCO(O)Rを有するエステル(ここで、Phはフェニル基およびRは8個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基である)を含み、前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約60〜約65重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および前記安息香酸エステルの混合物の総重量に対し約20〜約25重量%のジエチレングリコールモノベンゾエートを含む、膜形成組成物の製造方法。
【請求項27】
が2−エチルヘキシルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記混合物が、約17重量%のPhCO(O)R、約62重量%のジエチレングリコールジベンゾエート、および約21重量%のジエチレングリコールモノベンゾエートを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマーが水性媒質中に存在する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記安息香酸エステルの混合物が、前記膜形成組成物の約0.1〜約40重量%である、請求項26に記載の方法。

【公表番号】特表2010−504402(P2010−504402A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529290(P2009−529290)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/076125
【国際公開番号】WO2008/039610
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509123666)ジェノビック・スペシャルティーズ・ホールディングス・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】