説明

完熟堆肥、堆肥ALC粒、人工軽量土壌またはそれらの製造方法

【課題】従来から問題であった牛糞等の家畜糞尿の処理、及びそれを利用した完熟堆肥、さらにはALC破砕物の再利用等の課題を同時に解消することができる完熟堆肥、堆肥ALC粒、人工軽量土壌またはそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ALC破砕粒に牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒にステビアが混合されることによって発酵されてなる完熟した混合堆肥素材からALC破砕粒がふるい分けされることによって完熟堆肥が製造され、前記完熟した混合堆肥素材から粉状堆肥分がふるい分けされることによって堆肥ALC粒が製造され、またこの堆肥ALC粒に鹿沼土と未処理ALC破砕粒を混合することにより人工軽量土壌が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ALC(軽量気泡コンクリート)の破砕粒(以下「ALC破砕粒」という)と牛糞とを原材料とすることによって製造される完熟堆肥、堆肥ALC粒、人工軽量土壌またはそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、畜産農家においては、家畜糞尿の取り扱いに対して法規制が厳しくなったために、経営が困難な状況に陥っているという問題がある。なかでも、堆肥舎は、屋根や土間コンクリートの整備をしなければ営業できないことや、尿や臭いの発生に対する近隣からの苦情があり、さらには堆肥舎の未熟堆肥から発ガン性物質である硝酸態窒素が流出する等の問題が生じている。
【0003】
また、牛糞等を野積や貯留槽で熟成させる場合、その熟成期間には6ヶ月〜7ヶ月を必要とするため、その間における悪臭の発生や虫害の防止に対策が必要であった。
【0004】
さらに、未熟堆肥の使用によって作物に被害が生じたという事例があり、このため農業の分野でも牛糞堆肥離れが生じ、堆肥の処理がいっそう困難になっているという悪循環が生じている。
【0005】
通常、畜産では、牛床に藁やおが粉等の有機物を敷設することによって糞尿の水分調整をすることが行われているが、藁やおが粉は高価であって、購入が困難であり、環境資源の面からも問題がある。
【0006】
なお、おが粉入りの未熟牛糞等は、1カ月〜2カ月でおが粉の分解が始まり、タンニン酸、フェノール酸などの生育阻害物質を多量に発生して作物野菜に生育障害を与えることが知られている。そのため、牛糞等を堆肥として使用するには完熟堆肥でなくてはならない。
【0007】
上記の事情に鑑みて成された従来技術について説明すると、特許文献1には、建築廃材のセメント系無機質繊錐補強板(パルプ系壁材)を破砕品にして、これに所定量の牛糞、コーヒー粕、木粉を混合し、配合時の含水率を65〜70%として、60℃以上の温度で好気性発酵処理をすることによって得られる肥料の製造方法が開示されている。この技術は、配合時の含水率調整を行う必要があり、また強制的にブロアー運転を行う等の温度管理が必要である。
【0008】
また、特許文献2の堆肥製造方法は、ステビアを主体としたもので、牛糞等の堆肥原料にステビアの植物体の粉末を添加して発酵させることで悪臭のない完熟堆肥を製造するようにしたものであるが、独特の悪臭を完全に取り去ることはできないという問題がある。
【0009】
一方、建築物の外壁等に使用していたALC端材の処分に関して、工務店等が苦慮している問題がある。これは、ALC端材は、現在、産業廃棄物として処理されており、その処分に費用を要することから工務店の大きな負担となるほか、環境問題の点からも解決すべき事柄である。
【0010】
ここで、ALCの再利用に関する従来技術について述べると、特許文献3に記載された技術は、ALC破砕物を砂状または瓦礫状にして人工土壌用の緑化資材として利用するようにしたものであり、コンクリート破砕物の粒径を変えるだけで混合することによって製造したものである。また、そのようにして製造した人工土壌に、ココダスト、バーク堆肥、バーミキュライト等の土壌改良材を混合することによって緑化資材としたものであり、牛糞等の家畜糞尿を処理する技術を有するものではない。
【特許文献1】特開2003−95772号公報
【特許文献2】特開2002−60290号公報
【特許文献3】特開2002−191230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のように従来から問題であった牛糞等の家畜糞尿の処理、及びそれを利用した完熟堆肥、さらにはALC破砕物の再利用等の課題を同時に解消することができる完熟堆肥、堆肥ALC粒、人工軽量土壌またはそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明による請求項1の完熟堆肥は、ALC破砕粒に牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒にステビアが混合されることによって発酵されてなる完熟した混合堆肥素材からALC破砕粒がふるい分けされてなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項2の堆肥ALC粒は、ALC破砕粒に牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒にステビアが混合されることによって発酵されてなる完熟した混合堆肥素材から粉状堆肥分がふるい分けされてなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項3の人工軽量土壌は、ALC破砕粒に牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒にステビアが混合されることによって発酵されてなる完熟した混合堆肥素材から粉状堆肥分がふるい分けされてなる堆肥ALC粒に鹿沼土と未処理ALC破砕粒が混合されてなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項4の完熟堆肥の製造方法は、牛舎等の牛床にALC破砕粒を敷設し、牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒を堆肥舎に搬入し、これにステビアを混合して撹拌したものを堆肥場に混合堆肥素材として山置きにして管理し、定期的に切り返し作業を行うことで所定の発酵条件下で完熟した混合堆肥素材からふるいによってALC粒をふるい分けることによって完熟堆肥を製造することを特徴とする。
【0016】
また、本発明による請求項5の堆肥ALC粒の製造方法は、牛舎等の牛床にALC破砕粒を敷設し、牛等による糞尿が付着し及び浸透してなるALC破砕粒を堆肥舎に搬入し、これにステビアを混合して撹拌したものを堆肥場に混合堆肥素材として山置きにして管理し、定期的に切り返し作業を行うことで所定の発酵条件下で完熟した混合堆肥素材からふるいによって粉状堆肥分をふるい分けることにより堆肥ALC粒を製造することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明による請求項6の人工軽量土壌の製造方法は、牛舎等の牛床にALC破砕粒を敷設し、牛等による糞尿が付着し及び浸透してなるALC破砕粒を堆肥舎に搬入し、これにステビアを混合して撹拌したものを堆肥場に混合堆肥素材として山置きにして管理し、定期的に切り返し作業を行うことで所定の発酵条件下で完熟した混合堆肥素材からふるいによって粉状堆肥分をふるい分けてなる堆肥ALC粒に鹿沼土と未処理ALC破砕粒を混合することにより人工軽量土壌を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の完熟堆肥、堆肥ALC粒、人工軽量土壌またはそれらの製造方法によれば、廃棄したALC端材を破砕してなるALC破砕粒の有効利用、また牛等の糞尿の衛生的処理に有益となり、建築業における環境対策及び牧畜業における環境対策の双方に利点を有するもので、製造された完熟堆肥、堆肥ALC粒および人工軽量土壌は、いずれも園芸或いは農業の分野で堆肥或いは人工軽量土壌として利用することが可能である。
【0019】
また、従来、ALC破砕粒はアルカリ性を有し、そのpH調整に中和剤(硫酸等)を使用していたが、本発明はALC破砕粒に牛の糞尿とステビアを入れることにより、発酵による有機酸の中和反応により、pH調整が自然に行われ、それによりALC破砕粒の無数の気泡の中にステビアの有用菌と牛糞堆肥の中の微生物等が住みつき、従来のALC破砕物の物性とは全く異なる性質の優秀な堆肥ALC粒ができる。
【0020】
さらに、この堆肥ALC粒に加えて未処理ALC破砕粒と鹿沼土を混合すると、水はけ、通気性が大幅に向上すると共に、熟成土としての滑らかさが得られ、ミミズ等の良性の生態系の寝床にもなり、軽量土壌としてのさらさらした感触と見た目の良さも大幅に向上して、商品価値の高い人工軽量土壌を得ることができ、物理性、水はけ、通気性、保肥力、有効生物繁殖性と有効微生物繁殖性、適性PH等に優れた完熟堆肥及び人工軽量土壌を得ることができる。
【0021】
また、本発明によれば、ALC破砕粒により牛糞の水分調整を行うことができ、さらに牛糞堆肥の臭気はステビアの効能とALC破砕粒の浸透吸着イオン交換効果により、従来処理できなかったアンモニア臭やその他化学的臭気までも消臭することができ、牛糞を利用した完熟堆肥及び人工土壌の無臭化が完成するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0023】
以下に、本実施例による完熟堆肥、堆肥ALC粒及び人工軽量土壌の製造工程について説明する。
【0024】
(1)本実施例の第1工程として、牛舎等の牛床の全面にALC破砕粒を敷設する。このALC破砕粒に飼育牛が糞尿をすることになる。ALC破砕粒の粒径としては、30mm以下とするのが好ましい。ALC破砕粒の粒径が30mm以上になると、牛の足を傷つけるおそれがあるため、好ましくない。
【0025】
また、一般に、ALC破砕粒の粒径が小さくなるほど、pH9〜11と高くなり、土壌材として利用できなくなる。その理由は、ALCに含まれている珪酸カルシウムの溶出量が小粒ほど多くなるためである。
【0026】
ところが、本発明のように牛床にALC破砕粒を敷設した場合の試験結果によれば、ALC破砕粒の粒径12mm以上で、pH7.95であり、ALC破砕粒の粒径4〜12mmで、pH7.89であり、さらに、ALC破砕粒の粒径4mm以下では、pH7.73であった。その結果、牛床に敷設したALC破砕粒は、粒径が小さくなるほどPHが低くなることが判明した。
【0027】
これは、ALC破砕粒に牛の糞尿が浸透吸着し、堆肥へ発酵していく過程で起こる現象である。その理由は、有機酸による中和反応が、特に小粒ほど含侵し易いためであり、ALC破砕粒の内部まで中和反応が行き届くからである。
【0028】
ただし、ALC破砕粒の粒径が粉末の場合は、牛床に敷設する際、飛散や咳き込みがあるため、実際は、20〜30mm程度の粒径が良好となる。ALC破砕粒の敷設後は、牛の踏圧により、粒径20mm以上のサイズがほとんどなくなることが確認されている。
【0029】
上記のように牛床にALC破砕粒を敷設する利点は、多孔質のALC粒により、アンモニア臭が吸着できる点にある。その結果、虫が発生し難い、牛の爪に雑菌が入り難い等、牛舎の衛生を保つことが可能となる。また、ALC破砕粒は多孔質であるため、その吸水効果により、速やかな尿の吸収が可能となる。これにより、牛床で飼育されている牛が滑り難くなり、それによる怪我や傷を負うおそれがなくなる。
【0030】
さらに、牛舎にALC破砕粒を敷設することによる具体的効果を整理すると、次のようになる。
1)ALC破砕粒の多孔質による保水力及び吸湿力によって牛糞の水分調整を容易に行うことができる。
2)ALC破砕粒のpHがアルカリ性(pH8〜9強)であるため、微生物を活性化することができる。
3)粒状多孔質であるため、牛糞混合後、空気の流通を助け、短期間での堆肥化が可能となる。
4)通常の水分調整に用いているおが粉等の炭素分を添加しないため、完熟化させやすく、短期間での堆肥化が可能となる。
5)粒状多孔質であるため、発酵時の臭気が減少する。
6)牛床に通常用いるおが粉等に比較して、安価である。
【0031】
(2)本実施例の第2工程(混合堆肥素材の製造)として、牛床に敷設してあるALC破砕粒に糞尿が適当量に堆積して糞尿が付着してから十分浸透吸着した段階で堆肥舎に搬入し、これにステビア粉末を混合して撹拌する。
【0032】
上記のように、糞尿が付着し及び浸透したALC破砕粒(以下「糞尿ALC粒」という)を牛床から移動する時期の目安は、牛糞の水分含有量が70〜80%程度となったときである。また、ステビア粉末は、牛糞1mに対して5kg程度を混合するのが好ましい。さらに人工軽量土壌として使用する粒径のALC破砕粒を混合することによって、牛糞の水分含有量が50〜60%程度となるように水分調整を行う。これは、堆肥化への最適水分含有量が50〜60%であるためである。
【0033】
なお、上記のように糞尿ALC粒を堆肥舎へ移動した後、一週間程度経過すると、70〜80℃程度の高温を発生することとなる。これによって微生物活動が起きていることが確認できる。これは、牛糞の中にステビアを餌とする高温菌が存在し、この菌が50℃以上の環境を好むことによって活発に活動するためである。この高温菌の働きで、ALC破砕粒に含まれる牛糞とステビア等の混合した混合堆肥素材は、内部温度が70〜80℃程度の高温となり、短期間で堆肥完熟化のための必要温度が得られる。
【0034】
上記の工程において、糞尿ALC粒を牛床から堆肥舎に搬入する作業は、おが粉等と混合した牛糞を搬入することに比較すると、ALC破砕粒による水分調整がなされているために楽に行うことができる。
【0035】
また、牛糞等の堆肥化は微生物による有機物の分解、発酵によるものであるが、砂糖の約200倍の甘味を有する植物として知られるステビアの糖分が微生物の餌となり、微生物の活動を活性化することになる。また、堆肥化微生物はアルカリ性を好むため、牛糞にALC破砕粒を混合した効果は、同時に堆肥化環境を整えることになる。
【0036】
なお、ステビアは多年生の潅木で、長さ2〜3cmの葉を有するもので、日本においては食品添加物として認可されており、醤油、漬物、菓子類、ソフトドリンク等に甘みを加える用途で利用されている。本発明のステビア粉末は、上記のような食用に用いられた後の残材を使用することができるため、このステビア粉末も環境面に配慮したリサイクル材料となる。
【0037】
さらに、ステビアについても、ALC破砕粒と同様に、アンモニア臭気、その他の化学的臭気等を吸着する効果(浸透吸着イオン交換効果)があるため、移動時の臭いをおさえることが可能であり、ALC破砕粒の気泡内での浸透吸着イオン交換作用も同時に働いて、無臭化を達成することができる。
【0038】
また、この工程における他の効果としては、ALC破砕粒の有する適度の水分調整の効果によって、従来は堆積山が経過とともに崩れがちであったが、それを抑えることができ、またALCの吸水性能が高いため、おが粉等使用に比較して、現物量を少なくおさえることができるため、農家敷地を有効に使用することが可能となる。
【0039】
また、従来は、牛糞の堆積山から有害な液体が流れ出るという問題があったが、それがまったくなく、環境汚染の心配がなくなる。
【0040】
(3)本実施例の第3工程(完熟した混合堆肥素材の製造)として、上記のような糞尿ALC粒を堆肥場に山状に堆積して管理し、定期的に切返し作業を行うことによってバランスのとれた自然発酵条件下に置き、完熟を確認した後完成となり、これによって完熟した混合堆肥素材を得る。
【0041】
上記の切返し作業は、ローダーによる方法でも、その他堆肥化機械設備による方法でも可能である。この切返しは高温期(70℃以上)のMAX点から下がり始めの段階で行うのがよい。切返しの都度、堆肥温度を測定し、切返しを行っても、35℃以上の温度上昇がない状態がつづいた状態で完熟とする。その目安は、約3カ月という短期間である。また、C/N比15以下を完熟の判断基準のひとつとする。
【0042】
このような堆肥管理により、有機物水分調整材(おが粉等)を用いた場合に通常6〜12ケ月で完熟を迎えるのに比較して、ALC破砕粒とステビアの相乗効果によって堆肥化期間が2〜3ケ月程度で完熟を迎えることができ、堆肥化期間が短縮できる。
【0043】
上記の工程による効果としては、多孔質であるALC破砕粒の通気効果により、堆肥化に必要な酸素供給が可能となることである。上記の混合堆肥素材は植物有機物(おが粉等)を水分調整材として使用していないため、有機物分解を待つ必要がない。その結果、未分解有機物がないため、二次発酵の恐れがなく、品質が安定し、所謂、堆肥の「あたり」がない。
【0044】
(4)本実施例の第4工程(完熟堆肥及び堆肥ALC粒の製造)として、完熟した混合堆肥素材をふるいにて選別することにより、完熟堆肥が十分に浸透したALC破砕粒の粒径を揃える。このようにして、軽量土壌用の堆肥ALC粒(中和済ALC粒)を取り出すと同時に、ALC粒がふるい分けされることで、有効な堆肥分を分別できる。なお、軽量土壌サイズとしての可能範囲は粒径が1〜20mm程度であり、良好範囲は粒径が1〜10mm程度である。また、ふるい分けされた堆肥サイズとしては、粉径1mm程度以下とするのが好ましい。
【0045】
上記のようにALC破砕粒を利用した混合堆肥素材は、有機物水分調整材を用いた堆肥と異なり、植物繊維分がまったくないため、堆肥のふるい分けを容易に行うことができる。
【0046】
上記の工程によって得た堆肥ALC粒の特性として、未処理ALC粒がpH9.0〜11.0であるのに対し、上記の堆肥化過程を経たALC粒はpH7.7程度となる。このように発酵過程の有機中和反応により、pH調整がなされる。また、堆肥過程を経たため、ALC多孔質中に有用微生物が住みつき、化成肥料との比較でもそれ以上の肥料効果を期待することができる。
【0047】
(5)本実施例の第5工程(人工軽量土壌の製造)として、上記の堆肥ALC粒に鹿沼土と未処理ALC破砕粒を混合する。未処理ALC破砕粒は、粒径として4〜12mm程度のものを利用し、これを50%混合する。なお、未処理ALC破砕粒は、粒径1〜20mm程度で使用可能であるが、見た目の印象も大きいため、4〜10mm前後が好ましい。pHについて、単体では問題があるが、鹿沼土の配合により大きな影響を及ぼすことはない。
【0048】
上記の未処理ALC破砕粒は、リサイクル原料として容易に得ることができ、軽量、保水性、通気性にも優れているため、軽量土壌の必要条件を併せ持つものであり、リサイクル原料としての再利用に有益となる。
【0049】
また、鹿沼土を40%混合する。上記の未処理ALC粒には保肥力がほとんどないため、土壌として保肥機能を考慮し、鹿沼土は40%の混合としたのである。このような混合によって、未処理ALC粒と鹿沼土と堆肥ALC粒との混合比が、5:4:1となる人工軽量土壌を得ることができる。
【0050】
なお、鹿沼土は、軽石質の火山岩が風化してできた黄色の玉土である。栃木県の鹿沼地方で産出され、関東ローム層の上層にあり、容易に得ることができる。また、物理特性としては、体積比で、約6割が水分で、空隙が3割、固体部分が僅かに1割という保水率の高い性質を持っており、さらに火成岩であるために雑菌がなく、まったく清浄であるばかりでなく、PHが5.5〜6.5という酸性土壌であり、上記の未処理ALC破砕粒のpHを調整するのに有益となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の完熟堆肥、堆肥ALC粒、人工軽量土壌またはそれらの製造方法は、廃棄したALC端材を破砕してなるALC破砕粒の有効利用、及び牛等の糞尿の衛生的処理に有益となり、建築業における環境対策及び牧畜業における環境対策の双方に利点を有するものであり、製造された完熟堆肥、堆肥ALC粒および人工軽量土壌は、いずれも園芸或いは農業の分野で堆肥或いは人工土壌として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による完熟堆肥、堆肥ALC粒および工軽量土壌を製造するための工程を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ALC破砕粒に牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒にステビアが混合されることによって発酵されてなる完熟した混合堆肥素材からALC破砕粒がふるい分けされてなることを特徴とする完熟堆肥。
【請求項2】
ALC破砕粒に牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒にステビアが混合されることによって発酵されてなる完熟した混合堆肥素材から粉状堆肥分がふるい分けされてなることを特徴とする堆肥ALC粒。
【請求項3】
ALC破砕粒に牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒にステビアが混合されることによって発酵されてなる完熟した混合堆肥素材から粉状堆肥分がふるい分けされてなる堆肥ALC粒に鹿沼土と未処理ALC破砕粒が混合されてなることを特徴とする人工軽量土壌。
【請求項4】
牛舎等の牛床にALC破砕粒を敷設し、牛等による糞尿が付着し及び浸透してなる糞尿ALC粒を堆肥に搬入し、これにステビアを混合して撹拌したものを堆肥場に混合堆肥素材として山置きにして管理し、定期的に切り返し作業を行うことで所定の発酵条件下で完熟した混合堆肥素材からふるいによってALC粒をふるい分けることにより完熟堆肥を製造することを特徴とする完熟堆肥の製造方法。
【請求項5】
牛舎等の牛床にALC破砕粒を敷設し、牛等による糞尿が付着し及び浸透してなるALC破砕粒を堆肥舎に搬入し、これにステビアを混合して撹拌したものを堆肥場に混合堆肥素材として山置きにして管理し、定期的に切り返し作業を行うことで所定の発酵条件下で完熟した混合堆肥素材からふるいによって粉状堆肥分をふるい分けることにより堆肥ALC粒を製造することを特徴とする堆肥ALC粒の製造方法。
【請求項6】
牛舎等の牛床にALC破砕粒を敷設し、牛等による糞尿が付着し及び浸透してなるALC破砕粒を堆肥舎に搬入し、これにステビアを混合して撹拌したものを堆肥場に混合堆肥素材として山置きにして管理し、定期的に切り返し作業を行うことで所定の発酵条件下で完熟した混合堆肥素材からふるいによって粉状堆肥分をふるい分けてなる堆肥ALC粒に鹿沼土と未処理ALC破砕粒を混合することにより人工軽量土壌を製造することを特徴とする人工軽量土壌の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−143493(P2006−143493A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332652(P2004−332652)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(504426366)e−project有限会社 (1)
【出願人】(390014649)日本地工株式会社 (20)
【Fターム(参考)】