説明

官能基化カーボンナノチューブポリマー複合体および放射線との相互作用

【課題】カーボンナノチューブ複合体および/またはブレンド、ならびにそのような複合体および/またはブレンドの作成方法及びカーボンナノチューブ複合体を用いたセンサを提供する。
【解決手段】a)官能基化カーボンナノチューブを溶媒中に分散させて、官能基化カーボンナノチューブの分散系を形成させ、b)官能基化カーボンナノチューブの分散系をポリマーホストマトリックスに組み込んで、官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を形成させ、そしてc)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を放射線で改質することで官能性種(例えばフッ素)を除去する方法や、官能基化カーボンナノチューブが放射線で改質することで放射線量を測定するセンサとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本研究は、米航空宇宙局(NASA)、補助金交付番号NAS2−02102;NASA Cooperative Agreement、補助金交付番号NCC−1−02038(URETI);およびRobert A.Welch財団、補助金交付番号C1494によって与えられた中小企業技術革新制度(small business innovative research)(SBIR)の支援によりなされた。
【0002】
本出願は、2002年11月27日提出の米国仮出願第60/429642号に対する優先権を請求するものである。
本発明は、一般に材料、より具体的にはカーボンナノチューブを含む複合またはブレンド材料、および前記材料と放射線との相互作用に関する。
【背景技術】
【0003】
1991年のカーボンナノチューブ[Iijima,Nature,354,pp.56−58,1991]および1993年の単層カーボンナノチューブ[Iijima et al.,Nature,363,pp.603−605,1993;Bethune
et al.,Nature,363,pp.605−607,1993]]の発見以来、それら特有の機械的、電気的および熱的性質を利用して多機能性複合材料を作り出すための調査が行われてきた[Barrera,J.of Mater.,52,pp.38−42,2000]。これまでの調査により、単層カーボンナノチューブがあらゆる公知の繊維のなかで最高の伝導性[Thess et al.,Science,273,pp.483−487,1996]、ダイヤモンドより高い熱伝導性[Hone et al.,Appl.Phys.Lett.,77,pp.666−668,2000]、およびあらゆる公知の繊維のなかで最高の剛性[Yu et al.,Phys.Rev.Lett.,84,pp.5552−5555,2000]を有することが示されている。
【0004】
カーボンナノチューブは刺激的な幾何構造および他の顕著な性質を有するため、それらは航空宇宙業界および放射線業界にとってかなり興味深いものである[O‘Rourke,J.Mater.Res.,17(10),2002;Klimov et al.,Physics Letters A,226,pp.244−252,1997;Cui et al.,Physics Letters A,295,pp.55−59,2002;Salonen et al.,Nuclear Instruments and Method in Physics Research B,193,pp.603−608,2002]。ナノチューブが水素用貯蔵媒体として役立つ可能性[Ye
et al.,Appl.Phys.Lett.,74(16),pp.2307−2309,1999]は次世代の宇宙船にとりわけ興味深いものであり(例えば燃料電池)、水素に富む材料および他の低原子質量の材料は宇宙環境における放射線暴露を最小限に抑えると考えられている[Wilson et al.(編集),Shielding Strategies for Human Space Exploration,NASA Conference publication 3360,pp.17−28,1997]。
【0005】
カーボンナノチューブの性質を利用するための試みは、カーボンナノチューブを他のホスト材料および/またはマトリックス中で処理して均質に分散させる性能に常に依存する。そのような処理性能(manipulability)は、カーボンナノチューブ末端[Liu et al.,Science,280,pp.1253−1256,1998;Chen e
t al.,Science,282,pp.95−98,1998]および/またはカーボンナノチューブの側壁[Bahr et al.,J.Am.Chem.Soc.,123,pp.6536−6542,2001;Holzinger et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,40(21),pp.4002−4005,2001;Khabashesku et al.,Acc.Chem.Res.,35,1087−1095,2002]の化学的改質により助長することができる。しかしながら、多くの用途、例えば伝導性の高いカーボンナノチューブを必要とする用途では、化学的に改質されたまたは官能基化されたカーボンナノチューブは最終製品に不適切である。官能基化カーボンナノチューブを化学的[Mickelson et al.,J.Phys.Chem.B,103,pp.4318−4322,1999]および熱的[Boul et al.,Chem.Phys.Lett.,310,pp.367−372,1999;Bahr et al.,J.Am.Chem.Soc.,123,pp.6536−6542,2001]に脱官能基化する最新の技術では、官能基化カーボンナノチューブをもともと含むさまざまな基体、デバイス、および複合/ブレンド材料に用いられている他の材料のタイプに厳格な制約が置かれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、官能基化カーボンナノチューブをホストマトリックスに組み込んで複合体および/またはブレンドを形成させる方法を対象とする。いくつかの態様において、これらのホストマトリックスはポリマー性である。いくつかの態様において、これらの官能基化カーボンナノチューブはフッ素化されている。いくつかの態様において、官能基化カーボンナノチューブは複合体および/またはブレンド内に整列している。本発明はまた、そのような複合体またはブレンド内の官能基化カーボンナノチューブから放射線的手段により官能性種(例えばフッ素)を除去する方法を対象とする。
【0007】
本発明はまた、カーボンナノチューブ複合体および/またはブレンドを放射線的に改質する方法を対象とする。いくつかの態様において、これは硬化(curing)工程を含む。いくつかの態様において、これは固化(hardening)工程を含む。いくつかの態様において、こ
れは、カーボンナノチューブがポリマー性ホスト材料と効果的に架橋しているハイブリッド系の形成を引き起こし、ここにおいて、必要な架橋工程を放射線がもたらす。
【0008】
いくつかの態様において、放射線と官能基化カーボンナノチューブ複合体および/またはブレンドとの相互作用は、官能基化カーボンナノチューブの脱官能基化を引き起こす。いくつかの態様において、この脱官能基化は選択的である。いくつかの態様において、この脱官能基化は不導性の官能基化カーボンナノチューブを伝導性の非官能基化カーボンナノチューブに転化させる。
【0009】
本発明は、ホストマトリックス中に組み込まれているまたは収容されているカーボンナノチューブを含む装置、および該装置の作成方法を対象とする。いくつかの態様において、ホストマトリックスはポリマー性である。いくつかの態様において、伝導性カーボンナノチューブチャネルは、不導性の官能基化カーボンナノチューブを含む材料のブロックまたはフィルム内に存在する。いくつかの態様では、リソグラフ的技術を使用して、例えば官能基化カーボンナノチューブをリソグラフ的に脱官能基化することにより、前記伝導性カーボンナノチューブチャネルを作り出す。いくつかの態様では、フリーフォーム抽出(free-form extraction)法を用いて、伝導性カーボンナノチューブチャネルの三次元配列を複合またはブレンド材料内に作り出す。本発明はまた、ホスト材料マトリックス中の官能基化カーボンナノチューブを含む放射線センサー(例えば線量計)を対象とする。
【0010】
本発明は、官能基化カーボンナノチューブおよびホスト材料を含む多機能性材料を対象
とし、ここにおいて、前記材料の機能は、それをある期間にわたって放射線に暴露すると変化する−継続的に複合および/またはブレンド材料の性質が変化する。
【0011】
本発明はまた、官能基化カーボンナノチューブおよびポリマーホストマトリックスを含む複合体および/またはブレンドからナノチューブを再捕捉または再循環させる方法を対象とする。
【0012】
上記では、以下の発明の詳細な説明をよりよく理解することができるように、本発明の特徴をいくぶん大まかに概説した。本発明の請求項の題目を形成する本発明の追加的な特徴および利点を、以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明およびその利点がより完全に理解されるように、ここで添付図面と併せて解釈して以下の説明に触れる。
本発明は、カーボンナノチューブ複合体および/またはブレンド、ならびにそのような複合体および/またはブレンドの作成方法を対象とする。本発明はまた、放射線と、ホスト材料に組み込まれている官能基化カーボンナノチューブ(例えば、複合体および/またはブレンド)との相互作用を包含する。したがって本発明はまた、このタイプの放射線相互作用を利用する化学、方法および装置、ならびにそのような相互作用に起因する材料を対象とする。
【0014】
本発明は、カーボンナノチューブを他のホスト材料中に均一に分散させる工程を規定する。本発明は、ポリマーホストマトリックスの全体にわたって分散しているロープを解かれた(unroped)個々のカーボンナノチューブ(CNTs)を含むポリマー複合体および
/またはブレンド、ならびに該複合体および/またはブレンドの作成方法を規定する。本発明は、CNT−ポリマー複合体および/またはブレンドの調製方法を規定し、ここにおいて、CNTとポリマーホストとの相互作用は、放射線暴露により誘導および/または改変することができる。本発明は、地球および宇宙環境の両方において放射線により改変することができる材料系を規定する。本発明は、CNTsを含む連続繊維を繊維作成工程のその場で調製する方法を規定するものであり、ここで、放射線暴露を用いて繊維の化学を改変して、前記繊維内に所望の性質を設計することができる。本発明は、CNTsを用いて多機能性材料を作成する方法であって、放射線暴露を用いて性質の変化または増強を付与する方法を提供する。本発明は、CNTsが成分であるコーティング系の調製方法であって、放射線を用いてコーティングまたはコーティングの選択領域への変化に影響を与えることができる方法を規定する。本発明は、プラスチックの部品またはパネルの作成方法であって、部品の性質が、それらが放射線に暴露された場所および期間に基づき変動することができる方法を規定する。本発明は、CNT−ポリマー複合体の回路基板を作成することができる方法を規定する。そのような態様において、選択的な放射線暴露により誘導されるCNTの改変は、電子デバイスを作り出すことができる。そのような態様では、電気伝導を高めるまたは材料の特定領域における電気的性質に変動を作り出すために、ポリマー基体上で型取りを実施することができる。本発明はまた、官能基化CNTsおよびポリマー性ホストを含む時間依存性の多機能性材料を規定し、ここにおいて、前記材料の機能は、ある期間にわたってそれを放射線に暴露すると変化する。さらに、本発明はまた、CNT−複合体および/またはブレンドからそれらのライフサイクルの最後にCNTsを再生または再循環させる方法を提供する。
【0015】
本発明によると、カーボンナノチューブ(CNTs)としては、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)、多層カーボンナノチューブ(MWNTs)、二層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ(buckytubes)、フラーレンチューブ、管状フラーレン、黒鉛フィブリル、カーボンホイスカー(carbon whiskers)、気相成長炭素繊維(vapor grown carbon
fibers)、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなカーボンナノチューブは、アーク放電[Ebbesen,Annu.Rev.Mater.Sci.,24,pp.235−264,1994];レーザーオーブン(laser oven)
[Thess et al.,Science,273,pp.483−487,1996];フレーム合成(flame synthesis)[Vander Wal et al.,Che
m.Phys.Lett.,349,pp.178−184,2001];化学蒸着[米国特許第5374415号]、ここにおいて、担持[Hafner et al.,Chem.Phys.Lett.,296,pp.195−202,1998]または非担持[Cheng et al.,Chem.Phys.Lett.,289,pp.602−610,1998;Nikolaev et al.,Chem.Phys.Lett.,313,pp.91−97,1999]金属触媒を用いてもよい;およびそれらの組合わせを含む任意の公知技術により作成することができるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、CNTsを、キラリティー、電気伝導率、熱伝導率、直径、長さ、層数およびそれらの組合わせからなる群より選択される性質に基づき分離する。O’Connell et al.,Science,297,pp.593−596,2002;Bachilo et al.,Science,298,pp.2361−2366,2002;Strano et al.,Science,301,pp.1519−1522,2003参照。これらすべてを本明細書中で参考として援用する。いくつかの態様において、CNTsは精製されている。代表的精製技術としては、Chiang et
al.,J.Phys.Chem.B,105,pp.1157−1161,2001;Chiang et al.,J.Phys.Chem.B,105,pp.8297−8301,2001が挙げられるが、これらに限定されない。これら両方を本明細書中で参考として援用する。いくつかの態様において、CNTsは切断工程により切断されている。Liu et al.,Science,280,pp.1253−1256,1998;Gu et al.,Nano Lett.,2(9),pp.1009−1013,2002参照。これら両方を参考として援用する。いくつかの態様において、CNTsは互いに架橋している(例えば剪断圧力により)。
【0016】
本発明のいくつかの態様において、カーボンナノチューブは官能基化されている。官能基化にはフッ素化が含まれるが、これに限定されない。適切な官能基化CNTsおよびCNTsの官能基化法の例については、Mickelson et al.,Chem.Phys.Lett.,296,pp.188−194,1998;Bahr et al.,J.Am.Chem.Soc.,123,pp.6536−6542,2001;Holzinger et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,40(21),pp.4002−4005,2001;Khabashesku et al.,Acc.Chem.Res.,35,pp.1087−1095,2002;Mickelson et al.,J.Phys.Chem.B,103,pp.4318−4322,1999;Boul et al.,Chem.Phys.Lett.,310,pp.367−372,1999;Bahr et al.,Chem.Mater.,13,pp.3823−3824,2001;Stevens et al.,Nano Lett.,3(3),pp.331−336,2003;Pekker et al.,J.Phys.Chem.B,105,pp.7938−7943,2001参照。これらのすべてを本明細書中で参考として援用する。
【0017】
官能基化CNTsを組み込むホスト材料としては、金属、セラミックス、半導体、ゾル−ゲル、合金、メタロイド、ポリマー、流体、油、ワックス、溶媒、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、官能基化CNTsを、2003年2月13日提出の同一譲受人による同時係属の米国特許出願第10/366183号に記載されているものと同様の方法でセラミックホストに組み込む。
【0018】
本明細書中に記載するようなポリマー性ホスト材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、コポリマー、エラストマー、シリコーン、フッ素化ポリマー、エポキシ樹脂、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、前記ポリマー性ホスト材料は添加剤を含み、この添加剤としては、可塑剤、硬化剤、触媒、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明は、官能基化CNTsをポリマーマトリックスに組み込んでCNT−ポリマー複合体および/またはブレンドを形成させる方法を対象とする。これは典型的に、1)官能基化CNTsを溶媒中に分散させて分散系を形成させ、2)該分散系を、初期湿潤工程(incipient wetting process)を用いて適切な形のポリマー材料に加え、3)溶媒を除去し
て官能基化CNTで被覆されたポリマー微粒子を形成させ、そして4)官能基化CNTで被覆されたポリマー微粒子を、用いたポリマーの融点を超える温度でブレンドすることにより行う。
【0020】
いくつかの態様において、これらの官能基化CNTsはフッ素化CNTs(F−CNTs)である。本発明のいくつかの態様では、フッ素化および/または追加的/他の官能基化を用いて、材料中の束ねられていない(unbundled)CNTsの分散系を実現し、ここに
おいて、CNTsはロープを解かれており、大部分は分離している。いくつかの態様において、溶媒は、アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの組合わせからなる群より選択される。本発明によると、適切な形のポリマー材料としては、粒子、繊維、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。繊維としては、織物(weaves)、ロウイング(rowing)、トウ、マット、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、官能基化CNTsは、複合体および/またはブレンド内に整列している(例えば剪断作用により)。例えば、ラピッドプロトタイピング(rapid prototyping)が、その押出工程によりこのタイプの整列をもたらすこ
とができる。
【0021】
例えば、CNTsのフッ素化は、ナノチューブのロープまたは束から単層カーボンナノチューブがロープを解かれることを容易にする。ポリマー中のフッ素化カーボンナノチューブ(F−CNTs)を加工すると、ポリマー中のF−CNTsの分散系をもたらすことができる。多くの場合、これらの分散系は、高度に分散し個々にロープを解かれているCNTsを含む(これは、とりわけSWNTsに当てはまる−SWNTsは束および/またはロープに凝集する強い傾向を有する)。ラマン分光法を用いて、これらの分散系を検討し、フッ素化カーボンナノチューブが加工後であってもそのフッ素化状態を維持することができることを示すことができる。いくつかの態様では、Boul et al.,Chem.Phys.Lett.,310,pp.367−372,1999(本明細書中で参考として援用する)に記載されているように、フッ素化カーボンナノチューブをさらに官能基化する。
【0022】
いくつかの態様において、ポリマーホストを、官能基化CNTs内またはその中央に作り出す(すなわち、モノマー性前駆体から重合させる)ことができる。いくつかの態様では、官能基化CNTsを、ポリマー性前駆体を含む溶液中に分散させる。エポキシホスト材料を利用するようないくつかの態様では、官能基化CNTsはあらゆる硬化事象に先立って加えられ、それらは出発繊維系に対し初期湿潤していることができる。
【0023】
官能基化CNTsは一般に、(CNT−複合体および/またはブレンド全体の)約0重量%〜約99重量%、より典型的には約0.2重量%〜約50重量%の量で加えられる。
本発明はまた、カーボンナノチューブ複合体またはブレンドを放射線的に改質する方法を対象とする。いくつかの態様において、これは硬化工程を含む。いくつかの態様におい
て、これは固化工程を含む。いくつかの態様において、これは、カーボンナノチューブがポリマー性ホスト材料と効果的に架橋しているハイブリッド系の形成を引き起こし、ここにおいて、必要な架橋工程を放射線がもたらす。本発明のいくつかの態様において、放射線暴露は、ポリマーホストまたはマトリックス系内のその場でナノチューブの反応、さらに硬化、架橋、結合、または酸化をもたらすことにより、ポリマーホスト材料内のF−CNTsおよび他の官能基化CNTsの性質の改変を引き起こす。いくつかの態様では、放射線を用いて脱官能基化CNTsを脱官能基化する。これら後者の態様のいくつかにおいて、これはナノチューブから制御された環境中へ種を放出する。
【0024】
本発明によると、放射線としては、電磁線、粒子放射線、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。そのような放射線の代表的な形としては、紫外線(UV)、赤外線(IR)、X線、ガンマ線(γ線)、陽子(H+)、中性子、電子、アル
ファ粒子(α−粒子)、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明によると、宇宙線としては、サイズにおいて水素からウランの範囲にあり、極めて高いエネルギーに加速されているイオンが挙げられるが、これに限定されない。
【0025】
フッ素化CNTsを用いてポリマー内に規定のナノチューブ状態(例えば、高度の分散)を付与し、放射線保護、増大した強度、電気的および熱的性質における改良、ならびにこれらの組合わせを包含するがこれらに限定されない一定範囲の性質を提供する目的で放射線源または宇宙での放射線を用いてナノチューブを改変し、除去し、反応させ、さらに官能基化すると、最後に多機能性ナノ複合体およびハイブリッド系を引き起こすことができる。本発明のいくつかの態様では、放射線を用いて、ポリマー複合体、ハイブリッドおよび他の材料系中のナノチューブの化学を改変する。いくつかの態様では、CNT−ポリマー複合および/またはブレンド材料の放射線暴露は、固化された表面または表皮状態を引き起こすことができる。
【0026】
ラマンスペクトルの分析から、ポリエチレンホストマトリックス内のF−CNTsは、放射線に暴露したときに、非フッ素化CNTsに逆戻りすることが観察された。理論にとらわれる意図はないが、その工程は、F−CNTsの脱フッ素化;C−F結合を犠牲にしてのH−F結合の促進;ナノチューブの表面エネルギーの低減;電子電荷または電子流における増大、ここで、これは、F−CNTsから非フッ素化CNTsに戻る熱的に補助されている逆工程よりはるかに低いエネルギーレベルでのフッ素の脱結合(debonding)を推
進することになる;またはこれら機械的仮定のいずれかもしくはすべての組合わせと考えられる。
【0027】
本発明は、ポリマー性マトリックス内に収容されているCNTsを含む装置および該装置の作成方法を対象とする。いくつかの態様において、伝導性(金属性、半金属性、および/または半導性)カーボンナノチューブチャネルは、不導性の官能基化カーボンナノチューブを含む材料のブロックまたはフィルム内に存在する。そのような装置としては、回路基板、センサー、ミクロ電気機械系(MEMS)、ナノ電気機械系(NEMS)、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
いくつかの態様において、リソグラフ的技術を使用して、官能基化CNT−ポリマー複合体層内に伝導性カーボンナノチューブチャネルを作り出す。これは、放射線を用いて官能基化カーボンナノチューブから官能基を選択的(リソグラフ的)に除去し、それらを官能基化が除去された領域でのみ伝導性にすることにより成し遂げられる。しかしながら、いくつかの態様では、官能基および官能基化のレベルを、官能基化CNTsが部分的伝導性または半導性になるように慎重に選ぶ。次に、そのような官能基化のリソグラフ的除去により、誘電性マトリックス中に高伝導性および半導性の領域を作り出す。そのようなリ
ソグラフ的技術は、任意のタイプの電磁線および/または粒子放射線を含んでいてもよい。代表的なリソグラフ的技術としては、光学リソグラフィー、UVリソグラフィー、深UV(deep-UV)リソグラフィー、X線リソグラフィー、走査型近接場光学リソグラフィー、
電子線リソグラフィー、イオン線リソグラフィー、陽子線リソグラフィー、およびそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、フォトマスクをリソグラフ的技術の一部として使用する。いくつかの態様では、フリーフォーム抽出法を上記リソグラフ的技術と併せて用いて、伝導性カーボンナノチューブチャネルの三次元配列を複合またはブレンド材料内に作り出す。
【0029】
本発明はまた、本発明の官能基化CNTs−ポリマー性複合および/またはブレンド材料を含む放射線センサー(例えば線量計)を対象とする。いくつかの態様において、官能基化CNT−ポリマー複合体は、厚さにおいて約10nm〜約10mmの範囲であることができる層の形で存在する。官能基化CNTsを脱官能基化する放射線に該センサーを暴露すると、材料の電気的性質(例えば、コンダクタンス、伝導率、抵抗および抵抗率)に正味の変化があり、これを、マルチメーター(multimeter)、電圧計、4点電気プローブ、およびそれらの組合わせで測定することができる。校正し、特定種類の放射線と特定タイプの官能基化CNTとの相互作用を完全に理解すると、放射線の線量およびフルエンスを即時にモニタリングすることが可能である。センサー成分は容易に小型化され、これにより人が該デバイスを放射線バッジとして身につけることが可能になる。このことは、分析に送り出さなければならず、センサーを身につけている人が、放射線の線量が多いことを事後になって初めて知らされる従来の放射線バッジに対し、多くの利点を提供する。
【0030】
本発明はまた、官能基化CNTsおよびポリマー性ホストを含む多機能性材料を対象とし、ここにおいて、前記材料の機能は、それをある期間にわたって放射線に暴露すると変化する−継続的に該材料の性質が変化する。いくつかの態様において、例えば、官能基化CNT−ポリマー複合体は、それが照射されるとより良い放射線シールドになる可能性がある。
【0031】
本発明はまた、官能基化カーボンナノチューブおよびポリマーホストマトリックスを含む複合体および/またはブレンドからナノチューブを再捕捉または再循環させる方法を対象とする。
【0032】
本発明は、CNT−強化複合体およびCNT−ポリマーハイブリッドの調製に有用である。製造工程においてかまたは大気圏外にいるときに放射線暴露を用いると、複合体をさらに加工して、意図的に複合体の性質を改変することができる。本発明は、多機能性CNTsおよび/またはCNT複合体および/またはブレンドを規定することができる。本発明を用いると、性質を逆転させ、ならびにまたは不要な性質および損傷を解決することができる。本発明のいくつかの代表的用途を以下に記載する。
【0033】
宇宙ステーション、シャトル、人工衛星および深宇宙宇宙船(deep space spacecraft)
用に宇宙で改変される多機能性複合体。宇宙船に変化または修繕を与える方法であって、宇宙からの放射線を包含し、そのようにするための追加的エネルギー要件がほとんどない方法。
【0034】
改良されたシールディングを規定し、および/または燃料源(例えば燃料電池)もしくは酸素源の提供手段として働く可能性がある所望のガス発生の放出を規定する材料。
新規な電気デバイスおよび回路用の材料。ポリマー複合体またはブレンド内でフッ素化または他の官能化ナノチューブに放射線を用いることにより、電子デバイスを作成することができる。回路基板は、ナノ規模までの回路を用いて作成することができる。回路基板またはチップアセンブリーを放射線暴露によりパターニングすると、伝導性および/また
は半導性である領域、真ん中に絶縁性および/または半導性領域を生じさせることができる。追加的に、放射線を用いて、デバイスの操作をもたらすことができる(ナノ電子工学)。
【0035】
強化された機械的性質を有する表面またはコーティングを備える材料系であって、ポリマーホスト内の官能基化ナノチューブを含む材料の放射線暴露により作り出される材料系。そのような放射線的に誘導されたナノチューブの化学は、結合および荷重伝達に影響を与える能力を有する。
【0036】
流体中のナノチューブに影響を与えるための放射線暴露の使用。そのような用途では、ナノチューブを放射線的に改変して、溶解度レベルから改良された電気的および熱的性質に至る範囲の流体中での変化を誘導することができる。いくつかの態様では、これらの変化を、時間依存性であるように、および/またはある期間にわたって起こるようにすることができる。化学を改変して、多くの用途にとってより好ましい流体状態(例えば粘度)を可能にすることができる。これはまた、次の使用のための流体中に分散したナノチューブの生産方法を提供する。そのような場合、ナノチューブを放射線に暴露するとき、それらを(a)単一のロープを解かれたナノチューブとして脱フッ素化するか、(b)(a)と同様の方法で官能基化を喪失させ、流体と相互作用したときに官能基化を改変するか、あるいは(c)流体中のナノチューブを反応させて、架橋およびナノチューブとナノチューブの連結により連続的な網状構造を形成する。
【0037】
CNT−ポリマー複合体および/またはブレンドには明らかに非常に多くの用途がある。本発明は、幅広い放射線領域に及ぶ多様な源からの放射線暴露によって、性質の増強を促進するための方法を提供する。本発明は、CNT−ポリマーナノ複合体および/またはブレンドの性質を増強するための直接的および商業的に測定可能な方法を規定する。本発明は、まだ完全に確認されていない複合体系への新規経路を提供し、電子的用途でのナノチューブの使用を新たに可能にする。本発明はまた、新規構造複合体および多機能性CNT材料の開発を容易にする。
【0038】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を実証するために含まれる。以下の実施例で開示される方法は本発明の代表的態様を示すに過ぎないことを、当業者なら理解すべきである。しかしながら、本開示の観点から、当業者は、記載した具体的態様に多くの変更を加えることができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果をなお得ることができることを、理解すべきである。
【実施例】
【0039】
実施例1
この実施例では、中間エネルギー陽子を用いてフッ素化CNT−ポリマー複合体および/またはブレンドの性質を改質することができる態様を例示する。
【0040】
長期間の宇宙ベースの実験は材料の放射線特性への実際的接近方法ではないので、Texas A&M University Cyclotron Institute(TAMCI)でSWNT−ポリマー複合体に40MeVの陽子を照射した。この実験に用いた陽子エネルギーおよび全粒子フルエンスは、地球低軌道(LEO)の放射線環境、例えば国際宇宙ステーション(ISS)が直面する環境と一致する。陽子照射のCNTsに対する作用の特性決定を行うために、試料の特性を熱重量分析法(TGA)およびラマン分光法により決定した。
【0041】
この実験に用いるSWNTsは、Tubes@RiceおよびCarbon Nanotechnologies,Incから両方とも精製形で得た。これらのナノチューブは
、それぞれパルスレーザー蒸発(pulsed laser vaporization)法[Rinzler et
al.,Appl.Phys.A.,67,pp.29−37,1998]および高圧一酸化炭素法(HiPco)[Bronikowski et al.,J.Vac.Sci.&Tech.A,19,pp.1800−1805,2001]により生産された。CNT−ポリマー複合体は、各方法により作成されたSWNTsおよび各方法により作成されたSWNTsを含むフッ素化SWNTs(F−SWNTs)を用いて調製した。SWNTsのフッ素化は、先に記載した方法[Mickelson et al.,Chem.Phys.Lett.,296,pp.188−194,1998;Applied
Diamond Conference/Second Frontier Carbon Joint Conference Proceedings 2001で示されたChiang et al.,“Covalent Sidewall Functionalization of Single Wall Carbon Nanotubes”;Gu et al.,Nano.Lett.,2(9),pp.1009−1013,2002;これらのすべてを本明細書中で参考として援用する]により実施し、ほぼC2Fの化学量論を含んでいた。中密度ポリエチレン(MDPE)をAldrich
から粉末形で得て、複合体を作り出した。該MDPEは、6000の分子量および109〜111℃の融点を有していた。検討した複合体の組成を表1に挙げる。
【0042】
複合体を、初期湿潤、続いてバンバリー練りにより加工した。初期湿潤技術において、ポリマーをナノチューブでコーティングすることにより初期レベルの分散系を作り出した[Barrera,J.Mater.,52,pp.38−42,2000;Cooper et al.,Composites Sci.&Tech.,62,pp.1105−1112,2002]。ポリマー粉末およびナノチューブ溶液を組合わせて油浴中で加熱して、溶媒を除去した。残留している材料を炉内で乾燥して、残留溶媒を除去した。オーバーコーティングされたポリマーを次にバンバリー練りにより加工し、加熱圧縮成形によりシートにプレスした。精度をみるために無充填ポリマーを同様の方法で加工した。
【0043】
陽子線中の位置決めを容易にするために、各複合体試料を2枚の薄いMylarTMシートの間に置いた。その試料に、40MeVの陽子を1秒につき1cm2あたり約1.7×
107陽子の線束率(flux rate)で3×1010陽子/cm2の全フルエンスまで照射した(
1例を除く)。フルエンスは長期間のLEO任務中に予想される暴露と一致するように選んだ。照射は、約5×10-5トルの真空中で室温において実施した。試料の照射条件を表1にまとめる。
【0044】
【表1】

【0045】
試料の特性を、照射の前後にラマン分光法により決定した。ラマン分光法測定では、Renishaw Micro−Raman分光計を780.6nmのダイオードレーザー励起および2cm-1の分解能で利用した。用いた対物レンズは、口径0.55μmで50×であった。これに加えて、各試料片を用いてTGAを実施した。試料は照射前後の両方で検討した。TGAを窒素雰囲気中で実施して、放射線暴露がポリマーに何らかの損傷を引き起こした可能性の有無を確認した。用いた装置はTA Instruments Model SDT 2960であった。重量減少および温度差の値を用いて材料を評価した。
【0046】
ラマン分光法の結果は、図1〜3に見られるように、陽子放射線の作用が、フッ素化HiPco−生産SWNTsに対してより、フッ素化レーザー−発生SWNTsに対する方が小さいことを示唆していた。図1において、レーザー−発生F−SWNT’s(Tubes@Rice)の照射前のラマンスペクトルの重要な特徴は、照射後のスペクトルになお見られる。図2に見られるように、ラマンスペクトルが非フッ素化HiPcoチューブの放射線後に似ているため、フッ素化HiPcoチューブは放射線の後に脱フッ素化されたと思われる。図3に見られるように、非フッ素化SWNTsは照射の前から後への進行において顕著な変化を示さなかった。1.5重量%と5重量%SWNT配合の重量減少のパーセンテージは、フッ素化および非フッ素化SWNTsの両方について照射の前後で無視しうる差しか示さなかった。無充填PEの対照試料のラマンスペクトルは照射後に著しい変化を示さなかった。
【0047】
図4のTGAの結果は、無充填ポリマーまたは複合体の熱劣化特性において、放射線暴露に起因する不利な変化は起こらなかったことを示している。すべての試料は1段階で分解し、469℃〜479℃の温度で最大重量減少が生じた。精製された非官能基化SWNTsおよびフッ素化Tubes@Rice−生産SWNTsを含む複合体は、このピークが生じる温度に感知できるような変化を示さなかったが、フッ素化HiPcoSWNTsを含有する複合体ではピーク位置がより高温にシフトした。1.5重量%と5重量%のF−SWNT複合体の両方で、変曲点が約4℃シフトするとそれらの精製SWNT対応物に
対応しており、ラマンスペクトルで観察された脱フッ素化を裏付けていた。図4は、5重量%精製SWNTsおよび5重量%F−SWNTsを含有する複合体に関し、温度に対してプロットしたパーセント重量減少曲線と微分パーセント重量減少曲線(挿入図中)を示している。他の材料;無充填ポリエチレン、1.5重量%F−SWNT(Tubes@Rice)/MDPE、1.5重量%精製SWNT/MDPE、および5重量%精製SWNT/MDPE;に関する曲線は、1度以内で一致しており、これらの材料に放射線で誘導された損傷が生じていないことを示していた。
【0048】
図4は、5重量%SWNTs(破線)および5重量%精製SWNTs(実線)を含有する複合体に関するTGAの結果を表している。左のグラフは放射線暴露前の複合体材料のTGAデータを示し、右のグラフは放射線暴露後の材料のTGAデータを示す。F−SWNTsを含有する複合体の曲線は、放射線暴露後、より高い温度にシフトしており、フッ素官能基が放射線により除去されることを示唆している。
【0049】
これらの結果は、ラマンスペクトルおよびTGAの結果により証明されたように、40MeVの陽子での放射線暴露がHiPco SWNTsの脱フッ素化を誘導することを示している。陽子暴露は、LEOでの長期任務と一致していた。宇宙におけるSWNTsの次世代の用途を調査するための基礎となるので、このことは重要である。同様の作用はフッ素化Tubes@Rice SWNTsでは観察されていない。理論にとらわれる意図はないが、これは、CNTsの直径および曲率ならびにそれらが官能基化された条件が、それらが受ける可能性がある放射線に誘導された任意の脱官能基化工程において役割を果たすことを示唆している。したがって、材料を、要求に応じて脱官能基化して改変されたレベルおよび/またはタイプの官能基化を有するCNTsを生産するように、処理することができる。
実施例2
この実施例は、官能基化CNTsおよびポリマーホストマトリックスを含む本発明のセンサーを放射線線量計として用いることができる方法を例示するのに役立つ。
【0050】
本発明は、ポリマー性ホスト材料中の官能基化CNTsを含む放射線センサー(例えば線量計)を対象とする。いくつかの態様において、そのようなデバイスは、官能基化CNT−ポリマー複合体および/またはブレンドの層が上に付着している誘電性基体を含む。電源を用いて、この層の全域に電圧をかけることができる。そのデバイスを、官能基化CNTsを脱官能基化する放射線に暴露するとき、層の全域の電流に増大がある。校正し、特定種類の放射線と特定タイプの官能基化CNTとの相互作用を完全に理解すると、放射線の線量およびフルエンスを即時にモニタリングすることが可能である。デバイス成分は容易に小型化され、これにより人が該デバイスを放射線バッジとして身につけることが可能になる。このことは、分析に送り出さなければならず、身につけている人が、放射線の線量が多いことを事後になって初めて知らされる従来の放射線バッジに対し、多くの利点を提供する。これら放射線センサーの他の変形は、個人が身につけるものではなく、むしろ放射線について特定の環境(単数または複数)を単にモニタリングするために用いられる。いくつかの態様において、そのような放射線センサーを宇宙船の船体に組み込んで、しばしば違う深さで異なる種類の放射線を検出して、さまざまなタイプの入射放射線のタイプと線量の両方を評価することができる。いくつかの態様では、センサーをインクジェット法を用いて作成して、デバイスの大きさを小さくし、ホストマトリックス内のCNTsの整列(またはランダム性)を確実にすることができる。
実施例3
この実施例は、官能基化CNTsおよびホスト材料を含み、時間依存性の用途に用いることができる本発明の多機能性材料を例示するのに役立つ。
【0051】
官能基化CNTsおよびホスト材料を含む多機能性材料を対象とした態様は、ある期間
にわたって放射線に暴露したときの前記材料の変化にしばしば依存しており、これは材料の性質は継続的に変化させる。
【0052】
実施例として、モーター油中に分散させた官能基化CNTsを、特定タイプの放射線に暴露したときにそのような流体の粘度に漸進的変化を与えるように、設計することができる。これにより、油の粘度をその場で調整することが可能になり、それを交換する必要はなくなるであろう。さらに、油の粘度を充分な程度に改変した後、該油をまったく異なる目的に用いることができる。これに加えて、またはあるいは、そのうような時間依存性の挙動を、他の環境的入力(input)(例えば、熱、圧力、応力など)に応答するようにする
ことができる。
実施例4
この実施例は、本発明の官能基化CNT−ポリマー複合体および/またはブレンドと放射線との相互作用を、それらを含むデバイスまたは材料がその寿命の最後に近づいたときにCNTsを再循環または再生させるためにどのように使用することができるかを例示するのに役立つ。
【0053】
CNTsは今なお比較的生産が難しく、それらと関連して相応の高い費用を有するため、状況によってはそれらをある時点で何らかの形で再生することは有利であることができる。したがって、本発明は、官能基化カーボンナノチューブおよびポリマーホストマトリックスを含む複合体および/またはブレンドからナノチューブを再捕捉または再循環させる方法も対象とする。
【0054】
ポリマーマトリックス(例えばポリエチレン)中の官能基化CNTsの場合、CNTsの再生は、それらのポリマーマトリックスからの分離とそれらの脱官能基化の両方を包含する。CNTsが持つ化学的不活性のレベルが高いため、ポリマーマトリックスは、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン)で化学的に溶解することができ、酸化剤(例えば硫酸)を用いて酸化的に除去するか、酸素中で燃焼させることができる。官能基化CNTsは、前記官能基化を除去することができる放射線的手段を用いて、ポリマーマトリックスからの分離の前または後のどちらか一方で脱官能基化することができる。これら2種の工程を組み合わせると、非官能基化CNT生成物が得られる。いくつかの態様では、材料の使用の結果(例えば宇宙環境中)として脱官能基化が起こり、これに続くマトリックスの除去が再循環工程を完結させる働きをすることを、指摘しておく。これらの工程を、材料(CNTs)を埋め立てごみに出すのではなく再生しよういう努力の一環として、該工程が長時間にわたって起こるように、材料中に設計することができる。
【0055】
本発明およびその利点を詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲により定義されるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置き換えおよび改変を本明細書中に加えることができることを、理解すべきである。
【0056】
本発明の各種態様は以下の通りである。
1.工程:
a)複数の官能基化カーボンナノチューブを提供し;そして
b)前記官能基化カーボンナノチューブに照射して、それらの脱官能基化をもたらす;
を含む方法。
2.官能基化カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである、上記1に記載の方法。
3.官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、上記1に記載の方法。
4.官能基化カーボンナノチューブがホストマトリックスの全体にわたって分散している、上記1に記載の方法。
5.ホストマトリックスがポリマー性である、上記4に記載の方法。
6.ホストマトリックスが流体である、上記4に記載の方法。
7.前記官能基化カーボンナノチューブに、紫外線、赤外線、X線放射線、ガンマ線放射線、陽子、中性子、電子、アルファ粒子、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせからなる群より選択される放射線を照射する、上記1に記載の方法。
8.工程:
a)複数の官能基化カーボンナノチューブを提供し;そして
b)前記官能基化カーボンナノチューブに照射して、それらの性質を改変する;
を含む方法。
9.カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである、上記8に記載の方法。
10.官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、上記8に記載の方法。
11.官能基化カーボンナノチューブがホストマトリックスの全体にわたって分散して、複合材料を形成している、上記8に記載の方法。
12.ホストマトリックスがポリマー性である、上記11に記載の方法。
13.ホストマトリックスが流体である、上記11に記載の方法。
14.前記官能基化カーボンナノチューブに、紫外線、赤外線、X線放射線、ガンマ線放射線、陽子、中性子、電子、アルファ粒子、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせからなる群より選択される放射線を照射する、上記8に記載の方法。
15.放射線への暴露により改変される性質が、電気的性質、機械的性質、化学的性質、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、上記8に記載の方法。
16.カーボンナノチューブの性質の改変が、複合材料の性質の改変に結びつけられる、上記11に記載の方法。
17.工程:
a)官能基化カーボンナノチューブを溶媒中に分散させて、官能基化カーボンナノチューブの分散系を形成させ;
b)官能基化カーボンナノチューブの分散系をポリマーホストマトリックスに組み込んで、官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を形成させ;そして
c)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を放射線で改質する;
を含む方法。
18.カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである、上記17に記載の方法。
19.官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、上記17に記載の方法。
20.分散系を、アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの組合わせからなる群より選択される溶媒を用いて形成させる、上記17に記載の方法。
21.官能基化カーボンナノチューブの分散系をポリマーホストマトリックス中に組み込む工程が、粒子、繊維、およびそれらの組合わせからなる群より選択される形のポリマー材料の初期湿潤と、これに続く溶媒除去およびブレンディングを含む、上記17に記載の方法。
22.官能基化カーボンナノチューブの分散系をポリマーホストマトリックス中に組み込む工程が、分散系をポリマー性前駆体と混合し、その場で重合することを含む、上記17に記載の方法。
23.官能基化カーボンナノチューブが、約0.001重量%〜約99重量%の官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を含む、上記17に記載の方法。
24.官能基化カーボンナノチューブが、約0.2重量%〜約30重量%の官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を含む、上記17に記載の方法。
25.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を放射線で改質する工程が、紫外線、赤外線、X線放射線、ガンマ線放射線、陽子、中性子、電子、アルファ粒子、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせからなる群より選択される放射線を含む、上記17に記載の方法。
26.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を放射線で改質する工程が、架橋、硬化、加硫、固化、表面固化、電気的性質における変化、脱官能基化、およびそれらの組合わせからなる群より選択される改質を含む、上記17に記載の方法。
27.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体の性質を放射線的に改変する方法であって、改変を一定期間にわたって起こして材料に時間依存性の性質をもたらす方法。
28.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を宇宙で放射線的に改変する、上記27に記載の方法。
29.以下を含むデバイス:
a)ホスト材料;および
b)官能基化カーボンナノチューブ、非官能基化カーボンナノチューブ、およびそれらの組合わせからなる群より選択されるカーボンナノチューブ、ここにおいて、該カーボンナノチューブは、ホスト材料の全体にわたって分散しており、前記カーボンナノチューブの電気的性質は、それらの官能基化のレベルおよびタイプにより定義される。
30.ホスト材料が、金属、セラミックス、半導体、合金、メタロイド、ポリマー、流体、油、ワックス、溶媒、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、上記29に記載のデバイス。
31.官能基化カーボンナノチューブがホスト材料の全体にわたって均質に分散している、上記29に記載のデバイス。
32.カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである。上記29に記載のデバイス。
33.官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである。上記29に記載のデバイス。
34.官能基化カーボンナノチューブが、それらの非官能基化対応物より電気的伝導性が低い、上記29に記載のデバイス。
35.官能基化カーボンナノチューブが、それらの非官能基化対応物より電気的伝導性が高い、上記29に記載のデバイス。
36.以下を含むセンサー:
a)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層;および
b)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層の全域で放射線に鋭敏な電気的性質をモニタリングすることができるデバイス。
37.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が約10nm〜約10mmの厚さを含む、上記36に記載のセンサー。
38.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が、約0.001重量%〜約99重量%の官能基化カーボンナノチューブ含量を含む、上記36に記載のセンサー。
39.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が、約0.2重量%〜約30重量%の官能基化カーボンナノチューブ含量を含む、上記36に記載のセンサー。
40.カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである、上記36に記載のセンサー。
41.官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、上記36に記載のセンサー。
42.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層の全域で放射線に鋭敏な電気的性質をモニタリングすることができるデバイスが、マルチメーター、電圧計、4点電気プローブ、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、上記36に記載のセンサー。
43.放射線に鋭敏な電気的性質をモニタリングすることができるデバイスが、放射線の相互作用を定量化することができるように校正されている、上記36に記載のセンサー。
44.インクジェット印刷技術により生産される、上記36に記載のセンサー。
45.工程:
a)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層を放射線に暴露し;
b)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の前記層の電気的性質が放射線暴露時間に応じて変化する様子をモニタリングする;
を含む検出方法。
46.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が、約10nm〜約10mmの厚さを含む、上記45に記載の方法。
47.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が、約0.001重量%〜約99重量%の官能基化カーボンナノチューブ含量を含む、上記45に記載の方法。
48.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が、約0.2重量%〜約50重量%の官能基化カーボンナノチューブ含量を含む、上記45に記載の方法。
49.カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである、上記45に記載の方法。
50.官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、上記45に記載の方法。
51.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、コポリマー、エラストマー、シリコーン、フッ素化ポリマー、エポキシ樹脂、およびそれらの組合わせからなる群より選択されるポリマー性材料を含む、上記45に記載の方法。
52.官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層を放射線に暴露する工程が、官能基化カーボンナノチューブの脱官能基化をもたらす、上記45に記載の方法。
53.電気的性質をモニタリングする工程が、コンダクタンス、伝導率、抵抗、抵抗率、およびそれらの組合わせからなる群より選択される性質をモニタリングすることを包含する、上記45に記載の方法。
54.以下を含むデバイス:
a)ポリマーホストマトリックス;
b)官能基化カーボンナノチューブ;
ここにおいて、前記デバイスは、放射線への暴露により誘導される時間依存性変化によって機能する。
55.ポリマーホストマトリックスが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、コポリマー、エラストマー、シリコーン、フッ素化ポリマー、エポキシ樹脂、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、上記54に記載のデバイス。
56.官能基化カーボンナノチューブがフッ素化単層カーボンナノチューブを含む、上記54に記載のデバイス。
57.環境条件への暴露の抵抗作用のために設計された材料であって、前記暴露の結果としてより抵抗性になる材料。
58.カーボンナノチューブ複合体のラピッドプロトタイピング方法であって、官能基化カーボンナノチューブを非官能基化カーボンナノチューブの代わりに用いて、該方法に、より好ましい粘度を与える、前記方法。
59.官能基化カーボンナノチューブを続いて脱官能基化する、上記58に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】1.5重量%フッ素化Tubes@Rice SWNTs/MDPEの(a)照射前および(b)照射後のラマンスペクトルを表す図である。
【図2】5重量%フッ素化HiPco SWNTs/MDPEの(a)照射前および(b)照射後ならびに1.5%フッ素化HiPco SWNTs/MDPEの(c)照射前および(d)照射後のラマンスペクトルを表す図である。
【図3】1.5%非フッ素化HiPco SWNTs/MDPEの(a)照射前および(b)照射後ならびに5重量%非フッ素化HiPco SWNTs/MDPEの(c)照射前および(d)照射後のラマンスペクトルを表す図である。
【図4】5重量%F−SWNTs(破線)および5重量%精製SWNTs(実線)を含有する複合体について照射(a)前および(b)後のTGAの結果を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むセンサー:
a)官能基化カーボンナノチューブ及びポリマーを含む、官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層、
ここで、官能基化カーボンナノチューブは放射線的に改変できるものであり、
放射線的な改変は、官能基化カーボンナノチューブの脱官能基化をもたらし、そして、該官能基化カーボンナノチューブ少なくとも1つの電気的性質を改変し;および
b)該少なくとも1つの電気的性質をモニタリングすることができるデバイス。
【請求項2】
官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が約10nm〜約10mmの厚さを含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
該官能基化カーボンナノチューブが、約0.001重量%〜約99重量%の官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料を含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項4】
該官能基化カーボンナノチューブが、約0.2重量%〜約30重量%の官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料を含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項5】
官能基化カーボンナノチューブが官能基化単層カーボンナノチューブである、請求項1に記載のセンサー。
【請求項6】
官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、請求項1に記載のセンサー。
【請求項7】
少なくとも1つの電気的性質をモニタリングすることができるデバイスが、マルチメーター、電圧計、4点電気プローブ、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のセンサー。
【請求項8】
少なくとも1つの電気的性質をモニタリングすることができるデバイスが、放射線の相互作用を定量化することができるように校正されている、請求項1に記載のセンサー。
【請求項9】
官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層がインクジェット印刷技術により生産される、請求項1に記載のセンサー。
【請求項10】
放射線的な改変が、X線放射線、ガンマ線放射線、陽子、中性子、電子、アルファ粒子、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせからなる群より選択される少なくとも1種の放射線を、前記官能基化カーボンナノチューブに暴露することを含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項11】
工程:
a)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層を放射線に暴露し;
ここで、官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料は官能基化カーボンナノチューブ及びポリマーを含み;
放射線を複合材料の層に暴露する工程は官能基化カーボンナノチューブの脱官能基化をもたらし;そして
官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層の少なくとも1つの電気的性質は、官能基化カーボンナノチューブが脱官能基化された結果として改変され;そして
b)官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の前記層の少なくとも1つの電気的性質を放射線暴露時間の関数としてモニタリングする;
を含む検出方法。
【請求項12】
官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料の層が、約10nm〜約10mmの厚さを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
官能基化カーボンナノチューブが、約0.001重量%〜約99重量%の官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
官能基化カーボンナノチューブが、約0.2重量%〜約50重量%の官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
官能基化カーボンナノチューブが官能基化単層カーボンナノチューブである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
ポリマーが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、コポリマー、エラストマー、シリコーン、フッ素化ポリマー、エポキシ樹脂、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの電気的性質をモニタリングする工程が、コンダクタンス、伝導率、抵抗、抵抗率、およびそれらの組合わせからなる群より選択される性質をモニタリングすることを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線が、X線放射線、ガンマ線放射線、陽子、中性子、電子、アルファ粒子、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
以下を含むデバイス:
a)ホスト材料;および
b)官能基化カーボンナノチューブ、ここにおいて、該官能基化カーボンナノチューブは、ホスト材料の全体にわたって分散しており、
該官能基化カーボンナノチューブは分散した後、放射線的に改変されており、
前記官能基化カーボンナノチューブの少なくとも1つの電気的性質は、官能基化カーボンナノチューブが放射線的に改変された結果として変化したものである。
【請求項21】
ホスト材料が、金属、セラミックス、半導体、合金、メタロイド、ポリマー、流体、油、ワックス、溶媒、およびそれらの組合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
官能基化カーボンナノチューブがホスト材料の全体にわたって均質に分散している、請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
官能基化カーボンナノチューブが官能基化単層カーボンナノチューブである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項24】
官能基化カーボンナノチューブがフッ素化カーボンナノチューブである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項25】
官能基化カーボンナノチューブは、放射線的に改変された後、より低い電気的伝導性である、請求項20に記載のデバイス。
【請求項26】
官能基化カーボンナノチューブは、放射線的に改変された後、より高い電気的伝導性である、請求項20に記載のデバイス。
【請求項27】
前記デバイスは、前記少なくとも1つの電気的性質の時間依存性変化によって機能する、請求項20に記載のデバイス。
【請求項28】
ホスト材料が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、コポリマー、エラストマー、シリコーン、フッ素化ポリマー、エポキシ樹脂、およびそれらの組合わせからなる群より選択されるポリマーである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項29】
官能基化カーボンナノチューブがフッ素化単層カーボンナノチューブを含む、請求項20に記載のデバイス。
【請求項30】
放射線的な改変が、前記官能基化カーボンナノチューブに、X線放射線、ガンマ線放射線、陽子、中性子、電子、アルファ粒子、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせからなる群より選択される少なくとも1種の放射線を暴露することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を放射線的に改変する方法であって、
該方法は、官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体を放射線に暴露し;
ここで、放射線を該複合体に暴露する工程は官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体の少なくとも1つの性質を改変し;そして
ここで、少なくとも1つの性質の改変は、一定期間にわたって時間依存性の様式で起こる
方法。
【請求項32】
官能基化カーボンナノチューブ−ポリマー複合体は、宇宙で放射線的に改変する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記放射線が、X線放射線、ガンマ線放射線、陽子、中性子、電子、アルファ粒子、重イオン、宇宙線、太陽風、およびそれらの組合わせからなる群より選択される少なくとも1種の放射線である請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−210639(P2010−210639A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−117331(P2010−117331)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【分割の表示】特願2004−568012(P2004−568012)の分割
【原出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【出願人】(501105635)ウィリアム・マーシュ・ライス・ユニバーシティ (26)
【Fターム(参考)】