説明

定型容器の格納棚

【課題】ドラム缶等の定型容器を安定して積層することを可能とし、地震等外力を受けるような場合であっても、積み重ねられた定型容器の荷崩れを防止する。
【解決手段】定型容器の格納棚10は、矩形の有蓋ボックス12が多段に積層された状態で一体に固定されたボックス集合体16が、隣接するボックス集合体16の上端部同士が連結杆18によって連結されて、複数のボックス集合体16が一体に固定されてなるものである。又、各ボックス集合体16は、床面FL上に単に載置されているのみである。地震等の外力を受けるような場合において、上下に隣接する有蓋ボックス12同士が連結されることで、各ボックス集合体16単位での、有蓋ボックス12の倒壊を防止することができる。又、各ボックス集合体16同士が支えあって、各ボックス集合体16の転倒や倒壊を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定型容器の格納棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラム缶等の定型容器は、形状及び大きさ が統一されており、それ自体を積み重ねても比較的安定した状態を維持することが可能である。しかしながら、積層状態での安定性を更に高め、なおかつ、フォークリフト等の搬機により複数個をまとめて積み重ね、又は積み降ろし作業をすることができるように、予め、一定数の定型容器を平パレットに載せた状態で、複数の平パレットを積み重ねることも広く行われている。
一方、地震等外部からの力を受けるような場合においても、積み重ねられた定型容器が荷崩れを起こすことがないように、ボールを用いた免震荷台(例えば、特許文献1参照。)や、床面にブラケットを介して荷棚を固定することにより、転倒を防止する荷棚(例えば、特許文献2参照。)も、広く用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−291726号公報
【特許文献2】特開2001−199495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定型容器を複数積層して保管するための格納棚に関するものであり、その目的とするところは、ドラム缶等の定型容器を安定して積層することを可能とし、地震等外力を受けるような場合であっても、積み重ねられた定型容器の荷崩れを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。又、各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。よって、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)一定数の定型容器を格納する矩形の有蓋ボックスが多段に積層された状態で、少なくとも上下に隣接する有蓋ボックス同士が連結手段によって連結されて一体に固定されたボックス集合体が形成され、更に、隣接するボックス集合体の上端部同士が連結杆によって連結されて、複数のボックス集合体が一体に固定されてなる定型容器の格納棚。
本項に記載の定型容器の格納棚は、矩形の有蓋ボックスが多段に積層された状態で一体に固定されたボックス集合体が、所定の間隔を空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するボックス集合体の上端部同士が連結杆によって連結されて、複数のボックス集合体が一体に固定されてなることにより、地震等外力を受けるような場合であっても、各ボックス集合体同士が支えあって、有蓋ボックスの転倒や倒壊を防止するものである。
【0007】
(2)上記(1)項において、前記ボックス集合体が、所定の間隔を空けて前後左右に複数配置されている定型容器の格納棚(請求項1)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、隣接するボックス集合体の間の、所定の間隔の隙間部分を、通路等、有効な空間として利用することが可能となっている。
【0008】
(3)前記連結手段は、ボルト乃至ピンと、前記有蓋ボックスの側面の、上下に積層された状態で互いに隣接する部分に設けられた、前記ボルト乃至ピンを挿通して互いに固定するための固定金具とで構成されている定型容器の格納棚(請求項2)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、ボルト乃至ピンと、前記有蓋ボックスの側面の、上下に積層された状態で互いに隣接する部分に設けられた、前記ボルト乃至ピンを挿通して互いに固定するための固定金具とで、上下に隣接する有蓋ボックス同士が連結されることにより、積層された複数の有蓋ボックスが一体に固定された、ボックス集合体が形成される。そして、各ボックス集合体単位での、有蓋ボックスの倒壊を防止するものである。
【0009】
(4)少なくとも最上段に積層される有蓋ボックスの、蓋又は側壁に、前記連結杆を固定するための固定金具が設けられている定型容器の格納棚(請求項3)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、少なくとも最上段に積層される有蓋ボックスの、蓋又は側壁に設けられた固定金具によって、連結杆が固定されることで、隣接するボックス集合体の上端部同士が連結杆によって連結されて、複数のボックス集合体が一体に固定されるものである。
【0010】
(5)前記連結杆は伸縮自在である定型容器の格納棚(請求項4)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、連結杆が伸縮自在であることから、各ボックス集合体の連結作業を行う際には、隣接するボックス集合体の上端部同士を連結するに適した長さに連結杆を調整して、連結作業を行うものである。又、連結後に連結杆を伸縮することで、各連結杆に適切なテンションを付与し、隣接するボックス集合体同士の安定性を高めるものである。
【0011】
(6)前記連結杆は、二本の角棒乃至角パイプがターンバックルによって連結されてなる定型容器の格納棚(請求項5)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、ターンバックルを伸縮させることで、二本の角棒乃至角パイプの端部間距離が変化し、連結杆が伸縮するものである。
【0012】
(7)前記有蓋ボックスの、蓋乃至側壁の上端部に、上方から積み重ねられる有蓋ボックスを上下方向に整列させるためのガイド金具が設けられている定型容器の格納棚(請求項6)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、蓋乃至側壁の上端部に設けられたガイド金具によって、上方から積み重ねられる有蓋ボックスを、下段に位置する有蓋ボックスに対し上下方向に整列させ、有蓋ボックスの積層状態の安定化を図る。又、連結手段による、上下に隣接する有蓋ボックス同士の連結を確実に行うものである。
【0013】
(8)一定数の定型容器が載置された矩形の平パレットが多段に積層され、最上段の平パレットに載置された定型容器の上面に、押え蓋が載置された状態で、該押え蓋及び少なくとも上下に隣接する平パレット同士が連結手段によって連結されて一体に固定されたパレット集合体が形成され、更に、隣接するパレット集合体の押え蓋同士が連結杆によって連結されて、複数のパレット集合体が一体に固定されてなる定型容器の格納棚。
本項に記載の定型容器の格納棚は、一定数の定型容器が載置された矩形の平パレットが多段に積層された状態で一体に固定されたパレット集合体が、所定の間隔を空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するパレット集合体の上端部同士が連結杆によって連結されて、複数のパレット集合体が一体に固定されてなることにより、地震等外力を受けるような場合であっても、各パレット集合体によって平パレットに載置された複数の定型容器の荷崩れを防ぎ、なおかつ、各パレット集合体同士が支えあうことにより、パレット集合体の転倒を防止するものである。
【0014】
(9)上記(8)項において、前記ボックス集合体が、所定の間隔を空けて前後左右に複数配置されている定型容器の格納棚(請求項7)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、隣接するボックス集合体に対する所定の間隔の隙間部分を、通路等、有効な空間として利用することが可能となっている。
【0015】
(10)前記連結手段は、前記平パレット及び押え蓋の側面に設けられたフックと、上下のフック間に掛けられる伸縮自在なワイヤとで構成されている定型容器の格納棚(請求項8)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、平パレット及び押え蓋の側面に設けられたフックと、上下のフック間に掛けられる伸縮自在なワイヤとで、積層された上下の平パレット同士が連結されて一体に固定されたパレット集合体が形成される。そして、各パレット集合体単位での、定型容器及び平パレットの倒壊を防止するものである。
【0016】
(11)前記連結杆は伸縮自在である定型容器の格納棚(請求項9)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、連結杆が伸縮自在であることから、各パレット集合体の連結作業を行う際には、隣接するパレット集合体の上端部同士を連結するに適した長さに連結杆を調整して、連結作業を行うものである。又、連結後に連結杆を伸縮することで、各連結杆に適切なテンションを付与し、隣接するパレット集合体同士の安定性を高めるものである。
【0017】
(12)前記連結杆は、二本の角棒乃至角パイプがターンバックルによって連結されてなる定型容器の格納棚(請求項10)。
本項に記載の定型容器の格納棚は、ターンバックルを伸縮させることで、二本の角棒乃至角パイプの端部間距離が変わり、連結杆が伸縮するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明はこのように構成したので、ドラム缶等の定型容器を安定して積み重ねることが可能となり、地震等外力を受けるような場合であっても、積み重ねられた定型容器の荷崩れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚10は、図1、図2に示されるように、一定数の定型容器を格納する矩形の有蓋ボックス12が多段(図示の例では三段)に積層された状態で、少なくとも上下に隣接する有蓋ボックス12同士が連結手段14によって連結されて一体に固定されたボックス集合体16が形成されている。又、ボックス集合体16が、所定の間隔Lを空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するボックス集合体16の上端部同士が、連結杆18によって連結されて、複数のボックス集合体16が一体に固定されてなるものである。なお、各ボックス集合体16は、床面FL上に単に載置されているのみであり、床面FLに対し特に固定はされていない。又、必要に応じ、上下に隣接する有蓋ボック12同士だけではなく、最上段および最下段の有蓋ボックス12同士も、適切な手段によって固定することとしても良い。
【0020】
有蓋ボックス12は、図3から図5にも示されるように、矩形箱状のパレット部20と、蓋部22とからなり、パレット部20、蓋部22共に、外板及び補強フレームとで構成されている。そして、パレット部20の内部に四本のドラム缶Cを収納して、蓋部22で覆い、ボルト24によって蓋部22をパレット部20に固定することにより、蓋部22の下面に固定された弾性シール部材25が弾性変形し、ドラム缶Cを内部に密閉することが可能である。又、パレット部20の底板26には、フォークリフトの爪を挿入することが可能な開口26aが四方の側面全てに設けられている。
【0021】
連結手段14は、ボルト(乃至ピン)28と、有蓋ボックス12の側面の、上下に積層された状態で互いに隣接する部分に設けられた、ボルト28を挿通して互いに固定するための固定金具30とで構成されている。固定金具30は、図6にも示されるように、有蓋ボックス12の、底板26の側方に固定された円管状ブラケット30Aと、パレット部20の上端部に設けられたL字状ステー30Bとからなり、ボルト28を円管状ブラケット30A及びL字状ステー30Bの開口に挿通し、ワッシャー32をボルト28に挿通してナット34を締付けることにより、上下に隣接する有蓋ボックス12、12同士を固定するものである。なお、図示の例では、連結手段14は、四方の各側面に一組づつ設けられているが、必要に応じ、各二組以上設けることとしても良い。
【0022】
又、少なくとも最上段に積層される有蓋ボックス12の、蓋部22の四方の端部及びパレット部20の四方の壁には、連結杆18を固定するための固定金具36が設けられている。固定金具36は、図7にも示されるように、有蓋ボックス12の、蓋部22に固定された門型ブラケット36Aと、パレット部20に固定されたL字状ステー36Bとからなるものである。
【0023】
一方、連結杆18は、二本の角棒乃至角パイプ38がターンバックル40によって連結されてなるものであり、ターンバックル40を調整することで、全体の長さが伸縮自在ととなっている。至角パイプ38には、門型ブラケット36A及びL字状ステー36Bへとボルトによって固定するための孔38a、38bが形成されている。そして、角パイプを用いる場合には、孔38a、38bには丸パイプが挿通されることで、孔の補強がなされている。なお、角パイプ38に換えて、二本の角棒を用いることとしても良い。又、なお、図示の例では、連結杆18は、四方の各側面に一組づつ設けられているが、必要に応じ、各二組以上設けることとしても良い。
【0024】
更に、有蓋ボックス12の蓋部22には、ガイド金具42が設けられている。ガイド金具42は、蓋22の四隅に設けられており、図8に示されるように、上方外側へと広がる曲面板により形成され、平面視でL字状をなしている。そして、蓋部22の上方から有蓋ボックス12を積み重ねる際に、上下方向に整列させるためのガイド金具42に沿って、上の有蓋ボックス12の底板26が案内されることで(矢印Aで示す。)、上方から積み重ねられる有蓋ボックス12の、下段に位置する有蓋ボックス12に対するずれを矯正し、上下方向に整列させるものである。
なお、便宜上、図1の最下段の有蓋ボックス12には、ガイド金具42が一側にのみ図示されているが、実際には、蓋22の四隅に設けられている。又、ガイド金具42の形状は図示の例に限定されるものではなく、上方から積み重ねられる有蓋ボックス12を、下の有蓋ボックス12に対し、上下方向に整列させることが可能なガイド機能を備えるものであれば良い。
【0025】
上記構成をなす、本発明の第1の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。まず、定型容器の格納棚10は、矩形の有蓋ボックス12が多段に積層された状態で一体に固定されたボックス集合体16が、所定の間隔Lを空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するボックス集合体16の上端部同士が連結杆18によって連結されて、複数のボックス集合体16が一体に固定されてなるものである。従って、地震に見舞われるような不慮の事態においても、各ボックス集合体16同士が支えあって、有蓋ボックス12の転倒や倒壊を防止することができる。
又、隣接するボックス集合体16の間の、所定の間隔Lの隙間部分を、通路等、有効な空間として利用することが可能となっている。よって、各ボックス集合体16単位で、積層されたドラム缶Cの保管状況を確認することも容易である。なお、各ボックス集合体16の間の、縦方向又は横方向の隙間Lは、必ずしも全列均一である必要はなく、必要に応じて適宜設定することが可能である。
【0026】
又、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚10は、ボルト乃至ピン28と、有蓋ボックス12の側面の、上下に積層された状態で互いに隣接する部分に設けられた、ボルト乃至ピン28を挿通して互いに固定するための固定金具30(円管状ブラケット30A、L字状ステー30B)とで、上下に隣接する有蓋ボックス12同士が連結されることで、一体に固定されたボックス集合体16が形成される。そして、各ボックス集合体16単位での、有蓋ボックス12の倒壊を防止することができる。
【0027】
又、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚10は、最上段に積層される有蓋ボックス12の、蓋及び側壁に設けられた固定金具36(門型ブラケット36A、L字状ステー36B)によって、連結杆18が固定されることで、隣接するボックス集合体16の上端部同士が連結杆18によって連結されて、複数のボックス集合体16が一体に固定されるものである。なお、連結杆18による各ボックス集合体16の固定位置は、最上段に限定されるものではなく、例えば、最上段の一段下の段において、連結杆18により各ボックス集合体16同士を固定することも可能である。
【0028】
又、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚10において、連結杆18は、二本の角棒乃至角パイプ38が、ターンバックル40によって連結されてなることから、ターンバックル18を伸縮させることで、二本の角棒乃至角パイプ38の端部間距離が変化し、連結杆が伸縮するものである。
このように、連結杆18が伸縮自在であることから、各ボックス集合体16の連結作業を行う際には、隣接するボックス集合体16の上端部同士を連結するに適した長さに連結杆18を調整して、連結作業を円滑に行うもことができる。又、連結後に連結杆18を伸縮することで、各連結杆18に適切なテンションを付与し、隣接するボックス集合体16同士の安定性を高めることが可能となる。
【0029】
本発明の実施の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚10は、以上のように構成されていることから、各ボックス集合体16は、床面FL上に単に載置されているのみであり、床面FLに対し特に固定はされていなくとも、各ボックス集合体16同士が支えあって、多段に積み重ねられた有蓋ボックス12の、転倒や倒壊を確実に防止することができる。
【0030】
続いて、図9から図12を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る定型容器の格納棚44についての説明を行う。ここで、本発明の第1の実施の形態と同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0031】
本発明の第2の実施の形態に係る定型容器の格納棚44は、一定数の定型容器(図示の例では、四本のドラム缶C)が載置された矩形の平パレット46が多段(図示の例では三段)に積層され、最上段の平パレット46に載置されたドラム缶Cの上面に、押え蓋48が載置された状態で、押え蓋48及び少なくとも上下に隣接する平パレット46同士が連結手段50によって連結されて一体に固定された、パレット集合体52が形成されている。又、パレット集合体52が、所定の間隔を空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するパレット集合体52の押え蓋同士が連結杆18によって連結され、複数のパレット集合体52が一体に固定されてなるものである。なお、各パレット集合体52は、床面FL上に単に載置されているのみであり、床面FLに対し特に固定はされていない。又、必要に応じ、上下に隣接する有蓋ボック12同士だけではなく、最上段および最下段の有蓋ボックス12同士も、適切な手段によって固定することとしても良い。更に、連結杆18による各ボックス集合体16の固定位置は、最上段に限定されるものではなく、例えば、最上段の一段下の段において、連結杆18により各パレット集合体52同士を固定することも可能である。
押え蓋48は、金属板により構成されており、図11に示されるように、強度を高め、かつ、ドラム缶Cの上端部を覆い隠すよう、端部48aが鍔状に折り曲げられている。又、図12に示されるように、平パレット46の側面には、フック52を固定するための横梁58が設けられている。
【0032】
連結手段50は、平パレット及び押え蓋の側面に設けられたフック52と、上下のフック52間に掛けられる伸縮自在なワイヤ54とで構成されている。本実施の形態では、ワイヤ54の伸縮性を確保するために、ターンバックル56の両端に二本のワイヤ54を連結した構造を採用している。従って、上下のフック52間にワイヤ54の両端部を掛け、ターンバックル56を縮めるように調整することで各ワイヤ54に適切なテンションを付与し、押え蓋48及び各平パレット46同士が強固に固定される。なお、ワイヤ54の伸縮構造を得るために、他のワイヤ巻き取り手段などを用いることも可能である。又、図示の例では、連結手段50は、四方の各側面に二組づつ設けられているが、必要に応じ、各一組又は三組以上設けることとしても良い。
【0033】
又、本発明の第2の実施の形態では、図10に示されるように、連結杆18を押え蓋48の四方の辺に二組づつ用いており、連結杆18は押え蓋48に対してねじ止め等適切な手法によって着脱自在に固定されている。当然に、本発明の第1の実施の形態における門型ブラケット36AやL字状ステー36B(図7参照)を、押え蓋48に固定して連結杆18の固定に用いることも可能である。又、必要に応じ、連結杆18を押え蓋48の四方の辺に一組、又は、三組以上用いることも可能である。
【0034】
さて、上記構成をなす、本発明の第2の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。まず、定型容器の格納棚44は、一定数の定型容器Cが載置された矩形の平パレット46が多段に積層された状態で一体に固定されたパレット集合体52が、所定の間隔Lを空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するパレット集合体52の上端部同士が連結杆18によって連結されて、複数のパレット集合体52が一体に固定されてなるものである。従って、地震に見舞われるような不慮の事態においても、各パレット集合体52によって平パレット46に載置された複数の定型容器Cの荷崩れを防ぎ、なおかつ、各パレット集合体52同士が支えあうことにより、パレット集合体52の転倒を防止することができる。
又、隣接するパレット集合体52の間の、所定の間隔Lの隙間部分を、通路等、有効な空間として利用することが可能となっている。よって、各ボックス集合体16単位で、積層されたドラム缶Cの保管状況を確認することも容易である。なお、各パレット集合体52の間の、縦方向又は横方向の隙間Lは、必ずしも全列均一である必要はなく、必要に応じて適宜設定することが可能である。
【0035】
又、本発明の第2の実施の形態に係る定型容器の格納棚44は、平パレット46及び押え蓋48の側面に設けられたフック52と、上下のフック52、52間に掛けられる伸縮自在なワイヤ54とで、上下の平パレット46同士が連結されて一体に固定されたパレット集合体52が形成されるものである。そして、各パレット集合体52単位での、定型容器及び平パレットの倒壊を防止するものである。
又、連結杆18は、二本の角棒乃至角パイプ38が、ターンバックル40によって連結されてなることから、ターンバックル18を伸縮させることで、二本の角棒乃至角パイプ38の端部間距離が変化し、連結杆が伸縮するものである。そして、連結杆18が伸縮自在であることから、各パレット集合体52の連結作業を行う際には、隣接するパレット集合体52の上端部同士を連結するに適した長さに連結杆18を調整して、連結作業を円滑に行うもことができる。又、連結後に連結杆18を伸縮することで、各連結杆18に適切なテンションを付与し、隣接するパレット集合体52同士の安定性を高めることができる。
【0036】
本発明の実施の第2の実施の形態に係る定型容器の格納棚44は、以上のように構成されていることから、各パレット集合体52は、床面FL上に単に載置されているのみであり、床面FLに対し特に固定はされていなくとも、各パレット集合体52同士が支えあって、多段に積み重ねられた平パレット46及び平パレット46に載置された複数の定型容器Cの、転倒や倒壊を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚を部分的に示す側面図である。
【図2】図1に示される、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚を部分的に示す斜視図である。
【図3】図1に示される、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚を構成する有蓋ボックスの平面図である。
【図4】図3に示される有蓋ボックスの側面図である。
【図5】図3に示される有蓋ボックスの縦断面図である。
【図6】図1に示される、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚の、連結手段を示す側面図である。
【図7】図1に示される、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚の、連結杆を示す斜視図である。
【図8】図1に示される、本発明の第1の実施の形態に係る定型容器の格納棚の、ガイド金具を示す側面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る定型容器の格納棚を部分的に示す側面図である。
【図10】図9に示される、本発明の第2の実施の形態に係る定型容器の格納棚を部分的に示す平面図である。
【図11】図10のD−D断面図である。
【図12】図9のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10、44:定型容器の格納棚、 12:有蓋ボックス、 14、50:連結手段、 16:ボックス集合体、18:連結杆、20:パレット部、22:蓋部、28:ボルト、 30、36:固定金具、30A:円管状ブラケット、30B:L字状ステー、36A:門型ブラケット、36B:L字状ステー、38:角パイプ、 40、56:ターンバックル、 42:ガイド金具、46:平パレット、48:押え蓋、52:フック、54:ワイヤ、C:ドラム缶、L:所定の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定数の定型容器を格納する矩形の有蓋ボックスが多段に積層された状態で、少なくとも上下に隣接する有蓋ボックス同士が連結手段によって連結されて一体に固定されたボックス集合体が形成され、該ボックス集合体が、所定の間隔を空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するボックス集合体の上端部同士が連結杆によって連結されて、複数のボックス集合体が一体に固定されてなることを特徴とする定型容器の格納棚。
【請求項2】
前記連結手段は、ボルト乃至ピンと、前記有蓋ボックスの側面の、上下に積層された状態で互いに隣接する部分に設けられた、前記ボルト乃至ピンを挿通して互いに固定するための固定金具とで構成されていることを特徴とする定型容器の格納棚。
【請求項3】
少なくとも最上段に積層される有蓋ボックスの、蓋又は側壁に、前記連結杆を固定するための固定金具が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の定型容器の格納棚。
【請求項4】
前記連結杆は伸縮自在であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の定型容器の格納棚。
【請求項5】
前記連結杆は、二本の角棒乃至角パイプがターンバックルによって連結されてなることを特徴とする請求項4記載の定型容器の格納棚。
【請求項6】
前記有蓋ボックスの、蓋乃至側壁の上端部に、上方から積み重ねられる有蓋ボックスを上下方向に整列させるためのガイド金具が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の定型容器の格納棚。
【請求項7】
一定数の定型容器が載置された矩形の平パレットが多段に積層され、最上段の平パレットに載置された定型容器の上面に、押え蓋が載置された状態で、該押え蓋及び少なくとも上下に隣接する平パレット同士が連結手段によって連結されて一体に固定されたパレット集合体が形成され、該パレット集合体が、所定の間隔を空けて前後左右に複数配置され、更に、隣接するパレット集合体の押え蓋同士が連結杆によって連結されて、複数のパレット集合体が一体に固定されてなることを特徴とする定型容器の格納棚。
【請求項8】
前記連結手段は、前記平パレット及び押え蓋の側面に設けられたフックと、上下のフック間に掛けられる伸縮自在なワイヤとで構成されていることを特徴とする請求項7記載の定型容器の格納棚。
【請求項9】
前記連結杆は伸縮自在であることを特徴とする請求項7又は8記載の定型容器の格納棚。
【請求項10】
前記連結杆は、二本の角棒乃至角パイプがターンバックルによって連結されてなることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項記載の定型容器の格納棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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