説明

定着ローラ、定着装置及び画像形成装置

【課題】弾性層上にフッ素樹脂チューブが被覆される場合であっても、高耐久性の定着ローラを提供する。
【解決手段】金属基体2Aと、該金属基体2A上に設けられ、厚みが0.2mm以上1.0mm以下である弾性層2Bと、前記弾性層2B上に設けられ、厚みが20μm以上40μm以下であり、下記式(1)で示される構造のフッ素樹脂を含有する離型層2Cと、を少なくとも有する定着ローラ。



(式(1)中、RはCF、C、又はCを表す。xは0.02以上0.06以下の数字を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着ローラ、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、レーザープリンター、ファクシミリなどの画像形成装置には、未定着トナー像が形成された記録材を定着装置において熱と圧力によりトナー像を定着させる方式が採られている。
従来、このような定着装置は、円筒上の芯金の内部に加熱源を備え、芯金上に弾性層を備え、表面に離型層を形成した定着ローラと、この定着ローラに対向配置され少なくとも表面に離型層を形成した加圧ローラとを用い、未定着トナー像が形成された記録材を挟持搬送させることで熱と圧力を与え、未定着トナー像を定着させるローラ加圧方式(ローラニップ方式)が広く使用されている。
また、画像形成装置のカラー化、高速化、小型化の進展に伴い、従来のローラ加圧方式における加圧ローラの代わりにエンドレスベルトを用い、エンドレスベルト内部より圧力パッドを用いて加圧することで加圧領域を形成するベルト加圧方式(ベルトニップ方式)が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらの方式において、トナー像に接触する定着ローラは、高画質、トナー離型性、耐熱性の観点から、耐熱性の基材層と、基材層上に設けられたシリコーンゴムよりなる弾性層と、弾性層上にフッ素樹脂チューブが被覆された離型層とにより構成されることが多い。一例として、低熱容量、成形性及び耐久性を確保する為、基材の厚みを0.6〜0.8mmとして、その内面の応力振幅を15Kg/mm以下とし、弾性層の厚みを100〜300μmとし、そして、離型層の厚みを10〜30μmとした構成が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、上記の定着方式における定着ローラとしては、弾性層の厚みを300〜1000μmとし、離型層の厚みを5〜30μmとした構成が好ましいとされている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第3298354公報
【特許文献2】特開2004−271752号公報
【特許文献3】特開平11−133774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、弾性層上にフッ素樹脂チューブが被覆される場合であっても、高耐久性の定着ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、下記の本発明により解決した。即ち、
請求項1に係る発明は、
金属基体と、
該金属基体上に設けられ、厚みが0.2mm以上1.0mm以下である弾性層と、
前記弾性層上に設けられ、厚みが20μm以上40μm以下であり、下記式(1)で示される構造のフッ素樹脂を含有する離型層と、
を少なくとも有する定着ローラである。
【0007】
【化1】

【0008】
(式(1)中、RはCF、C、又はCを表す。xは0.02以上0.06以下の数字を表す。)
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記弾性層は、デュロメータ硬さが25/A以上50/A以下である請求項1に記載の定着ローラである。
【0010】
請求項3に係る発明は、
無端ベルトに接触する請求項1又は請求項2に記載の定着ローラと、
前記定着ローラに接触する前記無端ベルトと、
前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトを介して前記定着ローラに対する加圧領域を形成する圧力部材と、
を備えた定着装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーにより前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体へ定着する定着手段と、
を備え、
前記定着手段が、請求項3に記載の定着装置である画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、弾性層上にフッ素樹脂チューブが被覆される場合であっても、本構成を有さない場合に比べて、高耐久性の定着ローラを提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、高画質と耐久性の両立が可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、画質の安定性に優れる定着装置を提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、画質の安定性に優れる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る定着ローラは、金属基体と、該金属基体上に設けられた弾性層と、該弾性層上に設けられた離型層と、を少なくとも有し、前記弾性層は、厚みが0.2mm以上1.0mm以下であり、前記離型層は、厚みが20μm以上40μm以下であり、下記式(1)で示される構造のフッ素樹脂(以下、「特定フッ素樹脂」という場合がある。)を含有し、無端ベルトに圧接し、該圧接部で記録媒体を挟持搬送する定着ローラである。
【0015】
【化2】

【0016】
式(1)中、RはCF、C、又はCを表す。xは0.02以上0.06以下の数字を表す。
【0017】
弾性層上に従来公知のフッ素樹脂チューブが被覆された離型層を有する定着ロールを使用し、ベルトニップ方式で高速化を目指した場合、前記弾性層の柔らかさが記録媒体に伝わらず、加圧領域で記録媒体がしっかりとグリップされない。その結果、画像の乱れや、摺擦による離型層の磨耗が生じる。対策としては、相対的に弾性層の厚みを増加する(離型層の厚みを変えずに弾性層を厚くする、弾性層の厚みを変えずに離型層を薄くする)ことで柔らかさを伝えることが考えられるが、こうした場合離型層の変形が大きくなってしまう為、長期使用していくうちに離型層にシワ等が発生し、画像に転写されてしまう。
【0018】
本実施形態に係る定着ローラは、後述するように無端ベルトに圧接し、該圧接部で記録媒体を挟持搬送するため、弾性層及び離型層が変形することになるが、離型層を構成するフッ素樹脂として、前記式(1)におけるxが0.02以上0.06以下の特定フッ素樹脂を用いることにより、定着ローラのオフセットや、画像の乱れが生じず、高耐久性の定着ローラが得られることを突き止めた。この理由について検討したところ、前記xが0.02以上0.06以下の樹脂であると、定着ローラとして使用された際、加圧部材による加圧に対し追随性が良く、効果的に離型、用紙剥離が行えていることが分かった。
【0019】
本実施形態に係る定着ローラの実施の形態の一例を図1に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る定着ローラの一例の断面を示す模式図である。
【0020】
図1に示す定着ローラ2は、例えば、金属基体2Aと、この金属基体2Aの表面に被覆された弾性層2Bと、この弾性層2Bの表面に被覆された離型層2Cとを有している。
【0021】
金属基体2Aの材質としては、機械的強度に優れ、熱伝導性の良好な材質のものであれば、特に制限はないが、鉄、アルミニウムを使用することが多い。
【0022】
弾性層2Bは、弾性を有することにより、トナー画像を記録媒体にして定着する際に、トナーを包むようにして記録媒体に定着させるための層であり、その材質としては、耐熱性が求められ、主にシリコーンゴム、フッ素ゴムが考えられるが、その他にJIS K6262に定められた圧縮永久歪み性能が小さいこと、JIS K6255に定められた反撥弾性率が高いこと等が求められ、特にシリコーンゴムが好適に使用される。
また、弾性層2Bは、デュロメータ硬さが25/A以上50/A以下であることが好ましく、30/A以上45/A以下であることがより好ましい。前記デュロメータ硬さが25/A以上50/A以下であると、後述するように無端ベルトに圧接し、該圧接部で加圧領域を形成する際、変形量が制限され、更なる高画質と耐久性の両立が可能となる。前記デュロメータ硬さが25/A以上50/A以下となる材料としては、シリコーンゴムが好ましく挙げられる。ここで、上記デュロメータ硬さは、JIS K6253に準拠し、デュロメータタイプA(例えば高分子計器株式会社製:ASKER A型)を用いて測定される値を意味する。
【0023】
離型層2Cは、記録媒体上の未定着のトナーが定着ローラ2側に付着することを好適に防止するために設けられるものであり、本実施形態に係る定着ローラは、その材質が特定フッ素樹脂を含有することを特徴とする。
前記式(1)において、RはCF、C、又はCを表す。xは0.02以上0.06以下の数字を表し、0.04以上0.055以下の数字がより好ましい。xが0.02未満であると、耐久性が悪化してしまう。一方、xが0.06を超えると、しわが発生し、画質が悪化する。
【0024】
特定フッ素樹脂には、耐久性を向上させる為、画質が損なわれない範囲でPTFE等のフッ素樹脂、カーボンブラック、シリコーン樹脂等の添加剤を含有させることもあるが、高離型性を得る為に、該含有量としては、極力少量であることが好ましい。
【0025】
本実施形態に係る定着ローラは、前記弾性層は厚みが0.2mm以上1.0mm以下であり、前記離型層は厚みが20μm以上40μm以下である。前記弾性層は厚みが0.2mm未満であると、定着ローラの表面に弾性が伝わらず、1.0mmを超えると、記録媒体のしわが発生してしまう。また、前記離型層厚みが20μm未満であると、しわが発生してしまい、40μmを超えると、定着ローラの表面に弾性が伝わらない。
【0026】
前記弾性層の厚みは、0.2mm以上1.0mm以下であり、0.3mm以上0.8mm以下であることが好ましい。
また、前記離型層の厚みは、20μm以上40μm以下である。
【0027】
ここで、離型層の厚みは、ダブルスキャン高精度レーザ測定器(キーエンス株式会社製)を使用し測定した。
また、弾性層の厚みは、定着ローラの金属基体2Aから弾性層2B及び離型層2C両方を切り出し、定圧厚さ測定器PG−02(株式会社テクロック製)を使用し弾性層2B及び離型層2Cの合計厚みを測定した後、離型層2Cの厚みを引くことで弾性層2Bの厚みを求めた。
それぞれローラ軸方向に両端部から20mm、中央部の計3点、周方向に90°おきに計4点の合計12点測定し、その平均値を求めることでそれぞれの定着ローラの弾性層2B及び離型層2Cの厚みとした。
【0028】
本実施形態に係る定着ローラを製造する方法としては、あらかじめ定着ロールよりやや小径のフッ素樹脂を溶融押し出し成型し、1〜5%の拡張率で定着ロールへ被覆させるのが望ましい。1%未満であると被覆させる際チューブにシワが生じやすくなってしまう場合があり、拡張率が5%より大きいとチューブが伸びにくくなってしまい、永久変形しやすくなってしまう場合がある。
【0029】
本実施形態に係る定着装置は、無端ベルトに接触する既述の本実施形態に係る定着ローラと、前記定着ローラとの間で記録媒体を挟持搬送する無端ベルトと、前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトを介して前記定着ローラに圧力を加えることにより、前記定着ローラとの間に圧力の加えられた加圧領域を形成する圧力部材と、を備えた定着装置である。
【0030】
本実施形態に係る定着装置の一例を図2に基づいて説明する。図2は本実施形態に係る定着装置の一例の断面を示す模式図である。
図2に示す定着装置70は、定着ローラ(本実施形態に係る定着ローラ)2と、無端ベルト62と、圧力部材64と、を含んで構成されている。
【0031】
無端ベルト62の外周面は、定着ローラ2の外周面に対して定着ローラ2の軸方向に接触して配置されている。なお、無端ベルト62と定着ローラ2の軸方向は互いに同じ方向となるように設けられている。圧力部材64は、無端ベルト62の軸方向に長い長尺状であって、無端ベルト62の内周面側に配置されている。圧力部材64は、無端ベルト62の内周面側から無端ベルト62を介して定着ローラ2へ圧力を加えるように配置されており、圧力部材64と無端ベルト62との間に圧力の加えられた加圧領域Nを形成する。
【0032】
定着ローラ2と無端ベルト62とは、回転方向が逆方向となるように回転駆動される。このため、互いに対向する領域においては、同方向に移動された状態となる。例えば、定着ローラ2は、図2中矢印C方向に回転され、無端ベルト62は、図2中、矢印A方向に回転される。無端ベルト62と定着ローラ2との間の加圧領域Nに、図示を省略する搬送機構によって未定着のトナーTを保持した記録媒体Pが搬送されて来ると、この加圧領域Nに搬送された記録媒体Pは、定着ローラ2と無端ベルト62とによって挟持されると共に、これらの定着ローラ2と無端ベルト62との回転によって、図2中矢印X方向(以下、記録媒体Pの「搬送方向」と称する場合がある)へと搬送される。これにより、記録媒体P上にトナーTが定着される。
【0033】
加熱源66としては、図2に示すように金属基体2Aの内部に収容される形状及び構造のものや、金属基体2Aの外部に設けられる形状及び構造のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、例えば、ハロゲンランプ等が用いられる。この加熱源66により加熱された定着ローラ2の表面温度は、例えば、定着ローラ2の表面に接触するように温度を検出するための温度センサ90を設けて、この温度センサによる温度検知結果に基づいて、定着ローラ2の表面温度が所定の温度となるように、加熱源66による定着ローラ2の加熱温度を調整するようにすればよい。この加熱温度の調整は、後述する画像形成装置10の主制御部35によって行えばよい。このような温度センサとしては、特に制限はなく、例えば、サーミスタ、熱電対等が用いられる。
【0034】
例えば、後述する画像形成装置10の主制御部35は、この温度センサ90による温度計測値に基づいて加熱源66の点灯を制御し、定着ローラ2の表面温度が所定の設定温度(例えば、160℃)を維持するように調整する。
【0035】
定着ローラ2に接触して、定着ローラ2との間で記録媒体Pを挟持搬送する上記無端ベルト62としては、無端で且つ環状であればよく、形状、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択して使用される。無端ベルト62としては、例えば、直径30mmの円筒状のもの等が用いられるがこのような形態に限られない。
【0036】
無端ベルト62の構造としては、単層構造であっても良いが、本実施の形態においては、基材の表面に離型層を形成したものが好適に用いられる。無端ベルト62としては、基層に耐熱性、強度が特に求められ、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール樹脂等、耐熱性樹脂が好ましく使用される。離型層は、耐熱性、離型性が特に求められ、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が好ましく使用される。
【0037】
無端ベルト62は、無端ベルトの内部に配置された、圧力部材64、ベルトガイド部材63、さらには図示しない両端部に配置されたエッジガイドによって回転可能に支持されている。ベルトガイド部材63は、エンドレスベルトの座屈防止のため設けられたもので、無端ベルト62が走行により位置ずれを発生することを抑制するための規制部材である。このベルトガイド部材63は、他の部材(例えば、無端ベルト62内周面)と摺擦するため、静止摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、ベルトガイド部材63は、無端ベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
【0038】
圧力部材64は、弾性圧力部材64Aと、高剛性パット64Bから構成されている。
圧力部材64は、無端ベルト62の内周側に配置され、この無端ベルト62を介して定着ローラ2に押圧されるように配置されている。これにより、定着ローラ2との間に加圧領域Nが形成される。弾性圧力部材64Aは、該加圧領域Nにおける記録媒体Pの搬送方向上流側(加圧領域Nの入り口側)に配設さられ、高剛性パット64Bは、該加圧領域Nにおける記録媒体Pの搬送方向下流側(加圧領域Nの出口側)に配設されている。
【0039】
本実施の形態では、高剛性パット64Bは、定着ローラ2の回転軸方向に長い凹部を有する凹形状とされており、該凹部の記録媒体Pの搬送方向(図2中、矢印X方向)上流側の凸部は、加圧領域Nより該搬送方向上流側に位置され、該搬送方向下流側の凸部は、加圧領域N内の該搬送方向下流側に位置されている。また、これらの搬送方向の上流側及び下流側の凸部の内の、該搬送方向下流側に位置された凸部は、定着ローラ2の外周面形状に対して突出されている。なお、該搬送方向上流側に位置された凸部は、定着ローラ2の外周面に対して突出されてはいない。そして、圧力部材64は、この凹部の設けられた高剛性パット64Bの凹部内に、弾性圧力部材64Aが充填されて構成されている。
【0040】
弾性圧力部材64Aは、高画質、用紙剥離性能のため、デュロメータ硬さ30/A以下のシリコーンゴムで構成されていることが好ましい。
このように、加圧領域Nの、記録媒体Pの搬送方向(図2中、矢印X方向)上流側及び中央部には、少なくとも弾性圧力部材64Aが位置されていることから、幅の広い加圧領域Nが確保される。
そして、該加圧領域Nの、記録媒体Pの該搬送方向下流側には、高剛性パット64Bが位置されており、この高剛性パット64Bが該下流側において定着ローラ2の外周面に対して突出されている。このため、加圧領域Nの、記録媒体Pの搬送方向下流側においては、該高剛性パット64Bにより定着ローラ2に歪みが与えられ、定着ローラ2の歪みが局所的に大きくなる。このように、定着ローラ2の歪みを局所的に大きくすると、ローラ対による定着方式のように加圧全域で歪みを生じさせる場合と比較して、小さい歪み量で記録媒体Pの高い離型性能が得られる。このため、記録媒体Pのシワの発生が防止され、画質劣化が抑制される。
【0041】
高剛性パット64Bは、例えば、アルミニウムや鉄、SUS等の一般的な金属、及びPPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、LCP(液晶ポリマー)等の耐熱性を有する樹脂や、それらの樹脂にガラスファイバー等を添加し強化した材料で形成されている。
【0042】
なお、記録媒体Pの剥離の補助として、定着ローラ2の加圧領域Nの、記録媒体Pの搬送方向下流側に、剥離部材71を配設してもよい。剥離部材71は、剥離バッフル71Aが定着ローラ2の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ローラ2と近接する状態でホルダ71Bによって保持されている。この剥離部材71によって、記録媒体Pの剥離がさらに良好となる。
【0043】
さらに、無端ベルト62の内周面側には、無端ベルト62の内周面に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給部材91が設けられている。
【0044】
潤滑剤供給部材91は無端ベルト62の内周面に接触配置されている。この潤滑剤供給部材91には、予め潤滑剤が含浸されている。この潤滑剤供給部材91としては、耐熱温度が130℃以上、好ましくは、200℃以上の耐熱性を有する材料が用いられ、この潤滑剤供給部材91としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等からなる不織布を好適に用いることができる。この潤滑剤供給部材91を支持する支持部材としては、離型剤を透過、含浸しないもので、耐熱性が130℃以上であればよく、具体的には、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅等の金属や、ポリカーボネート、メラミン樹脂等の耐熱性樹脂が用いられる。
【0045】
潤滑剤としては、常温(25℃)、湿度50%RHにおける粘度が50〜3000csであるシリコーンオイルが好適に用いられる。このようなシリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、等が用いられる。
【0046】
潤滑剤の含浸された潤滑剤供給部材91は、無端ベルト62の回転軸方向のほぼ全域に接して設けられている。このため、無端ベルト62の回転に伴って、無端ベルト62の内周面全面に潤滑剤が供給される。
【0047】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーにより前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体へ定着する定着手段と、を備え、前記定着手段が既述の本実施形態の定着装置である画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を図3に基づいて説明する。図3は本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0048】
画像形成装置10において、画像形成装置10の本体を構成する筐体12内に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び ブラック(K)の各トナーに対応した光ビームを出射する光走査装置14Y、14M、14C、14Kが固定されている。また、光走査装置14Kに隣接する位置に、画像形成装置10の各部の動作を制御する主制御部35が設けられている。
【0049】
光走査装置14Y、14M、14C、14Kは、光源から出射された光ビームを図示しない回転多面鏡(ポリゴンミラー)で走査するとともに、反射ミラー等の複数の光学部品で反射して、各トナーに対応した光ビーム16Y、16M、16C、16Kを出射するようになっている。
【0050】
光ビーム16Y、16M、16C、16Kは、それぞれ対応する各感光体(像保持体)18Y、18M、18C、18Kに導かれる。各感光体18Y、18M、18C、18Kは、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段によって、矢印A方向に回転するようになっている。
【0051】
感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向上流側には、感光体18Y、18M、18C、18Kの表面を帯電する帯電器20Y、20M、20C、20Kが設けられている。
【0052】
また、感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向下流側には、Y、M、C、Kの各トナーをそれぞれ感光体18Y、18M、18C、18K上に現像する現像器(現像手段)22Y、22M、22C、22Kが設けられている。
【0053】
感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向で、現像器22Y、22M、22C、22Kの下流側には、現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルト28が配置されている。
【0054】
中間転写ベルト28は、例えば、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。
【0055】
感光体18Y、18M、18C、18Kと中間転写ベルト28が対向する位置で中間転写ベルト28の内側には、感光体18Y、18M、18C、18K上に形成された各色トナー像を中間転写ベルト28に転写する一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kが配置されている。この一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kによって、感光体18Y、18M、18C、18Kから中間転写ベルト28に一次転写を行う一次転写部25が構成されている。
【0056】
一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kは、図示しないシャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とを有している。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。
【0057】
一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kは、中間転写ベルト28を挟んで各感光体18Y、18M、18C、18Kに圧接されている。一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kには、図示しない電圧印加手段によって各トナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体18Y、18M、18C、18K上のトナー像が中間転写ベルト28に順次、静電吸引され、中間転写ベルト28上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
【0058】
さらに、感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向下流側には、感光体18Y、18M、18C、18K上の残留トナーが除去されるクリーナ26Y、26M、26C、26Kが設けられている。
【0059】
中間転写ベルト28の内側には、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト28を移動させる駆動ロール30と、各感光体18Y、18M、18C、18Kの配列方向に沿って略直線状に延び、中間転写ベルト28を支持する支持ロール32が設けられている。これにより、中間転写ベルト28は、矢印B方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。
【0060】
また、中間転写ベルト28の内側には、中間転写ベルト28に対して一定の張力を与えるテンションロール34が設けられている。
【0061】
中間転写ベルト28の移動方向下流側には、中間転写ベルト28上のトナー像を記録媒体P上に転写する二次転写部42が設けられている。
【0062】
二次転写部42は、中間転写ベルト28のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール(転写手段)38と、バックアップロール36とによって構成されている。
【0063】
二次転写ロール38は、図示しないシャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が1×107.5Ωcm以上1×108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0064】
また、二次転写ロール38は、中間転写ベルト28を挟んでバックアップロール36に圧接配置されている。ここで、二次転写ロール38は、接地されるとともにバックアップロール36との間に二次転写バイアスが印加され、2次転写部42に搬送される記録媒体P上にトナー像を二次転写するようになっている。
【0065】
バックアップロール36は、例えば、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、表面抵抗率が1×10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、デュロメータ硬さは例えば70/C(アスカーC)に設定される。ここで、上記デュロメータ硬さは、JIS K6253に準拠し、デュロメータタイプC(例えば高分子計器株式会社製:ASKER C型)を用いて測定される値を意味する。
【0066】
また、バックアップロール36は、中間転写ベルト28の裏面側に配置されて二次転写ロール38の対向電極を形成しており、バックアップロール36と接触配置された金属製の給電ロール40を介して二次転写バイアスが安定的に印加されるようになっている。
【0067】
中間転写ベルト28の移動方向における二次転写部42の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト28上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ46が、中間転写ベルト28に対して接離自在に設けられている。中間転写ベルトクリーナ46における中間転写ベルト28の内側には、クリーニングバックアップロール44が設けられている。
【0068】
一方、イエロートナーに対応する一次転写ロール24Yの上流側には、各トナーに対応した画像形成のタイミングを合わせるための基準となる信号を発生するホームポジションセンサ48が設けられている。
【0069】
ホームポジションセンサ48は、中間転写ベルト28の裏側に設けられた所定のマークを検知して基準信号を発生するようになっている。この基準信号に基づいて、前述の主制御部35が画像形成装置10の各部を動作させ、画像形成を開始するようになっている。
【0070】
また、ブラックトナーに対応する一次転写ロール24Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が設けられている。
【0071】
一方、画像形成装置10の下方側には、記録媒体Pを収納する用紙トレイ50が設けられている。用紙トレイ50の一方端には、記録媒体Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール52が設けられている。
【0072】
ピックアップロール52の上方には、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段で回転駆動され、ピックアップロール52によって送出された記録媒体Pを、前述の二次転写部42に搬送する複数の搬送ロール54、56が設けられている。
【0073】
記録媒体Pの搬送方向における搬送ロール56の下流側には、記録媒体Pを二次転写部42へ送り込む搬送シュート58が設けられている。
【0074】
二次転写部42における記録媒体Pの送出方向には、トナー像の二次転写が終了した記録媒体Pを定着装置70へ搬送する搬送ベルト60が設けられている。搬送ベルト60は、張架ロール57、59によって張架され、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段で移動可能に設けられている。
【0075】
定着装置70の入口側には、記録媒体Pを定着装置70に案内するガイド37が設けられている。また、定着装置70の出口側には、画像形成装置10の筐体12に固定された用紙集積トレイ39が設けられている。
【0076】
ここで、画像形成装置10の画像形成の動作の一例について説明する。
まず、図示しない画像読取装置やパーソナルコンピュータ等から出力される画像データが、図示しない画像処理装置によって所定の画像処理を施される。画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、光走査装置14Y、14M、14C、14Kに出力される。
【0077】
光走査装置14Y、14M、14C、14Kは、入力された色材階調データに応じて、光ビーム16Y、16M、16C、16Kを各々の感光体18Y、18M、18C、18Kに照射する。
【0078】
感光体18Y、18M、18C、18Kは、予め帯電器20Y、20M、20C、20Kによって表面が帯電されており、光ビーム16Y、16M、16C、16Kによって表面が露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器22Y、22M、22C、22Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
【0079】
続いて、感光体18Y、18M、18C、18K上に形成されたトナー像は、一次転写部25において中間転写ベルト28上に転写される。この転写は、一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kにより中間転写ベルト28に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト28の表面に順次重ね合わせることで行われる。
【0080】
続いて、トナー像が転写された中間転写ベルト28は、二次転写部42に搬送される。
一方、トナー像が二次転写部42に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール52が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの記録媒体Pが送出される。
【0081】
ピックアップロール52により送出された記録媒体Pは、搬送ロール54、56により搬送され、搬送シュート58を経て二次転写部42に到達する。この二次転写部42に到達する前に記録媒体Pは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト28の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、記録媒体Pの位置とトナー像の位置との位置合わせが行われる。
【0082】
二次転写部42では、中間転写ベルト28を介して、二次転写ロール38がバックアップロール36に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された記録媒体Pは、中間転写ベルト28と二次転写ロール38との間に挟み込まれる。
【0083】
また、このとき、給電ロール40からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加され、二次転写ロール38とバックアップロール36との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト28上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール38とバックアップロール36とによって押圧され、記録媒体P上に一括して静電転写される。
【0084】
続いて、トナー像が静電転写された記録媒体Pは、二次転写ロール38によって中間転写ベルト28から剥離された状態でそのまま搬送され、搬送ベルト60へと搬送される。
【0085】
搬送ベルト60では、定着装置70における最適な搬送速度に合わせて、記録媒体Pを定着装置70まで搬送する。定着装置70に搬送された記録媒体P上の未定着トナー像は、定着装置70によって記録媒体P上に定着される。
【0086】
定着画像が形成された記録媒体Pは、用紙集積トレイ39に排出され集積される。
【0087】
一方、記録媒体Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト28上に残った残留トナーは、中間転写ベルト28の回転移動にともなって中間転写ベルトクリーナ46まで搬送され、中間転写ベルト28上から除去される。
このようにして、画像形成装置10の画像形成が行われる。
【実施例】
【0088】
以下に、本発明の実施形態について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
先ず、以下の実施例及び比較例で用いるフッ素樹脂として、各種のEFA(前記式(1)におけるR=C)ペレット(三井デュポンフロロケミカル株式会社製)、及びPFA(前記式(1)におけるR=C)ペレット(旭硝子株式会社)を用意し、フッ素樹脂(1)〜(5)とした(フッ素樹脂(1)〜(3)、(5)が前記EFAペレットであり、フッ素樹脂(4)が前記PFAペレットである。)。フッ素樹脂(1)〜(5)について、既述の方法により前記式(1)におけるxを測定したその結果を表1に示す。
【0089】
また、フッ素樹脂(1)〜(5)について、以下の方法により、融解温度を測定した。その結果を表1に示す。
[融解温度測定]
JIS K 7121に定められたDSC測定にて試験を行った。機器は、示差走査熱量計 DSC−60(株式会社島津製作所)を使用した。測定条件は、室温より昇温速度10℃/minとし、融解温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
〔実施例1〜9、比較例1〜12〕
定着ロールを以下のように作製した。基体としての芯金はアルミニウム(A−5052材)で、外径φ33.8mm、肉厚3mmの円筒体を使用した。弾性層は、液状シリコーンゴム(DY35−4039A/B、東レ・ダウ・コーニング株式会社製)を使用した。離型層は、フッ素樹脂(1)を用いた。
まず、フッ素樹脂(1)(EFAペレット)を温度300℃にて押し出し成型機を用いて、チューブ(離型層)を作製した。次に、チューブ内面を接着処理し、チューブを定着ロールと同径の外金型の内面へ配置し、外金型と同径上に芯金を固定し、フッ素樹脂と芯金の間に前記液状シリコーンゴムを注入し、金型全体を100℃、30分間、液状シリコーンゴム(デュロメータ硬さ:30/A)を加硫させるとともに芯金およびフッ素樹脂チューブとの加硫接着を行った。液状シリコーンゴムが弾性層となる。加硫完了後これを冷却し、金型から抜き出し、200℃、4時間二次加硫を行うことで定着ロールを作製した。各実施例及び比較例における弾性層及び離型層の厚みは、表2及び3の値に制御した。
【0092】
<評価>
作製した定着ロールを画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DocuCentre Color 7550I)における定着ロールとして用い、以下の条件で画質評価試験、耐久試験を行った。その結果を表2及び3に示す。
【0093】
(画質評価試験)
30℃、湿度10%の環境の下、A3サイズのデジタルコート紙(富士ゼロックスインターフィールド)を使用し、写真画像を出力し、画質を以下の基準で評価した。その結果を表2及び3に示す。
○…画質評価で定着ローラのオフセットと見られる画像の乱れが目視で確認できなかった。
△…画質評価で定着ローラのオフセットと見られる画像の乱れが目視でやや確認できた。
×…画質評価で定着ローラのオフセットと見られる画質の乱れが確認できた。
※…離型層が薄すぎる為と考えられるが、成型時得率が低かったため確認未実施。
【0094】
(耐久試験)
A4サイズのNcolor 209(富士ゼロックスインターフィールド)を縦送りで10万枚走行後、A3サイズのデジタルコート紙(富士ゼロックスインターフィールド)を使用し、ベタ黒画像を出力し、画質を以下の基準で評価した。
○…耐久試験後の画質評価で画像の乱れが目視で確認できなかった。
△…耐久試験後の画質評価で画像の乱れが目視でやや確認できた。
×…耐久試験後の画質評価で画質の乱れが確認できた。
−…画質評価結果で乱れが確認できている為、評価未実施
【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
〔実施例10〜18、比較例13〜24〕
実施例1において、フッ素樹脂(1)をフッ素樹脂(2)に変更し、離型層及び弾性層の厚みを表4及び5の値に制御して定着ロールを作製し、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表4及び5に示す。
【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
〔実施例19〜27、比較例25〜36〕
実施例1において、フッ素樹脂(1)をフッ素樹脂(3)に変更し、離型層及び弾性層の厚みを表6及び7の値に制御して定着ロールを作製し、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表6及び7に示す。
【0101】
【表6】

【0102】
【表7】

【0103】
〔比較例37〜45〕
実施例1において、フッ素樹脂(1)をフッ素樹脂(4)に変更し、離型層及び弾性層の厚みを表8の値に制御して定着ロールを作製し、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表8に示す。
【0104】
【表8】

【0105】
〔比較例45〜54〕
実施例1において、フッ素樹脂(1)をフッ素樹脂(5)に変更し、離型層及び弾性層の厚みを表9の値に制御して定着ロールを作製し、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表9に示す。
【0106】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本実施形態に係る定着ロールの一例の断面を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る定着装置の一例の断面を示す模式図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0108】
2 定着ロール
2A 金属基体
2B 弾性層
2C 離型層
10 画像形成装置
18 感光体
20 帯電器
22 現像器
22 定着装置
29 電圧印加部
62 無端ベルト
64 圧力部材
64A 弾性圧力部材
64B 高剛性パット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基体と、
該金属基体上に設けられ、厚みが0.2mm以上1.0mm以下である弾性層と、
前記弾性層上に設けられ、厚みが20μm以上40μm以下であり、下記式(1)で示される構造のフッ素樹脂を含有する離型層と、
を少なくとも有する定着ローラ。
【化1】


(式(1)中、RはCF、C、又はCを表す。xは0.02以上0.06以下の数字を表す。)
【請求項2】
前記弾性層は、デュロメータ硬さが25/A以上50/A以下である請求項1に記載の定着ローラ。
【請求項3】
無端ベルトに接触する請求項1又は請求項2に記載の定着ローラと、
前記定着ローラに接触する前記無端ベルトと、
前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトを介して前記定着ローラに対する加圧領域を形成する圧力部材と、
を備えた定着装置。
【請求項4】
像保持体と、
前記像保持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーにより前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体へ定着する定着手段と、
を備え、
前記定着手段が、請求項3に記載の定着装置である画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−258303(P2009−258303A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106033(P2008−106033)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】