説明

定着装置、画像形成装置

【課題】ニップ位置を容易に調整可能な定着装置を、簡単な構成で実現する。
【解決手段】定着ユニットは、定着ローラ支持フレーム61と、定着ローラ52と、位置調整プレート71と、プレスローラ53と、を備える。定着ローラ52は、定着ローラ支持フレーム61に支持される。位置調整プレート71は、定着ローラ支持フレーム61に取り付けられるとともに、当該定着ローラ支持フレーム61に取り付けられる際の取付位置を、定着ローラ52の軸中心まわりで調整可能である。プレスローラ53は、位置調整プレート71を介して定着ローラ支持フレーム61に取り付けられるとともに、定着ローラ52に対して圧接する。そして、定着ローラ52とプレスローラ53の押圧力は調整不可である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、画像形成装置の定着装置に関する。詳細には、定着装置が備える定着ローラとプレスローラの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真プリンタにおいて、加熱される定着ローラと、この定着ローラに圧接されるプレスローラと、で用紙を挟んで搬送しながら、当該用紙にトナー像を定着させる定着装置が採用されている。この種の定着装置においては、定着ローラによって用紙に熱が加えられる結果、定着ローラとプレスローラによって挟まれて搬送される用紙の表面からは水分が蒸発する。ここで、高温の定着ローラに接する面の方が、反対側の面(プレスローラに接する側の面)に比べてより水分が蒸発し易い。このように、用紙の表面と裏面で水分の蒸発量が異なる結果、当該用紙にカールが発生することになる。
【0003】
従来から、このようなカールの発生を抑えるための構成が各種提案されている。例えば特許文献1は、ニップ領域を変更することにより、用紙上の未定着のトナーが過剰に加熱されることが無くなり、用紙のカールの発生を防止することが可能となる旨を開示している。また、特許文献2は、ニップ部を移動させることにより、用紙をカールさせることなく加熱処理を効果的に行うことができる旨を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−3940号公報
【特許文献2】特開2008−292760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
用紙のカールの程度は、定着ローラの温度及び定着ローラに対するプレスローラの押圧力の大小によって異なることが、従来から知られている。一方、本願発明者は、定着装置に関する実験を積み重ねた結果、用紙のカールの程度は、ニップ位置(定着ローラとプレスローラとの接触位置)の違いによっても異なることを見出した。
【0006】
例えば、図15(a)と図15(b)とを比較すればわかるように、ニップ位置を異ならせると、当該ニップ位置を通る用紙の搬送経路が異なってくる結果、用紙が定着ローラに接触している時間も変わってくる。なお図15においては、定着装置の用紙搬送経路を二点鎖線で示している。また、符号102は定着ローラ、符号101はプレスローラを示している。例えば図15(b)に示す定着装置は、図15(a)の定着装置に比べて、ニップ位置が用紙搬送経路の上流側にズレた位置に設定されている。これにより、図15(b)に示す定着装置は、図15(a)に示す定着装置に比べて、定着ローラ102に用紙が接触している時間(定着ローラ102によって用紙が加熱される時間)が長くなっている。
【0007】
このように、ニップ位置を異ならせると、用紙が定着ローラ102によって加熱される時間が異なってくる結果、用紙のカールの程度も異なってくる。以上のように、ニップ位置が異なると用紙のカールの程度も異なるので、ニップ位置を最適化することにより、用紙のカールを小さくすることができると考えられる。
【0008】
ところで、一般に、日本では薄紙が主として用いられ、米国では厚紙が主として用いられるが、このような紙厚の違いによって、カールの程度を最も小さくできるニップ位置は異なる。また、電子写真プリンタは、北米のような低湿・低温環境から、東南アジアのような高湿・高温環境に至るまで、様々な環境で使用されているが、このような使用環境の違いによっても、カールの程度を最も小さくできるニップ位置は異なる。要するに、国又は地域によって、最適なニップ位置は異なるのである。
【0009】
ここで、国又は地域ごとにニップ位置を異ならせた機種バリエーションを準備しておくことも考えられるが、開発コスト及び製造コストが掛かるため現実的ではない。また、紙厚に対するユーザの好みは都度変動するものであるところ、上記のように紙厚ごとに機種バリエーションを準備してしまうと、使用する用紙の厚みをユーザが変更した場合に対応することができない。
【0010】
この点、上記の特許文献1及び特許文献2には、定着動作中に、プレスローラを回動させてニップ位置を動的に変更する構成が記載されている。即ち、特許文献1及び特許文献2の構成は、1つの機種で複数のニップ位置を実現できるように構成されている。この構成を利用すれば、ニップ位置を異ならせた複数の機種バリエーションを準備しておかなくても、国又は地域に応じた最適なニップ位置を、1つの機種で実現することができると考えられる。
【0011】
しかし、特許文献1及び特許文献2のように定着動作中にプレスローラを回動させてニップ位置を変更する構成の場合、印刷品質を均一に保つためには、回動させるプレスローラの位置制御を毎回正確に行う必要がある。また、定着動作毎にプレスローラを回動させる必要があるため、次の定着動作が始まるまでの間にプレスローラを元の位置に戻さなければならない。このように戻し動作が必要となるので、高速連続印刷を行うことが困難となる。更に、上記のようにプレスローラを回動させる構成の場合、当該プレスローラを回動させるための駆動源が必要となり、装置が複雑化してしまう。このように、定着動作中にニップ位置を変える制御を実機として実現するには、解決すべき課題が多く存在している。
【0012】
そもそも、国又は地域ごとにニップ位置を異ならせるという観点からは、工場出荷時或いはメンテナンス時にニップ位置を調整可能であれば足り、特許文献1及び特許文献2のようにニップ位置を動的に調整するように構成する必要性は低い。これを別の観点から言えば、工場出荷時或いはメンテナンス時において、ニップ位置を容易に調整可能な構成が望まれる。更に、このようなニップ位置の調整を行っても、定着画像の品質には影響が無いことが好ましい。
【0013】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、ニップ位置を容易に調整可能な定着装置を、簡単な構成で実現することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0015】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の定着装置が提供される。即ち、この定着装置は、定着フレームと、定着ローラと、位置調整部材と、プレスローラと、を備える。前記定着ローラは、前記定着フレームに支持される。前記位置調整部材は、前記定着フレームに取り付けられるとともに、前記定着フレームに取り付けられる際の取付位置を、前記定着ローラの軸中心まわりで調整可能である。前記プレスローラは、前記位置調整部材を介して前記定着フレームに取り付けられるとともに、前記定着ローラに対して圧接する。そして、前記定着ローラと前記プレスローラの押圧力は調整不可である。
【0016】
このように、位置調整部材を介してプレスローラを取り付けることにより、プレスローラの取り付け位置を、定着ローラの軸中心まわりで調整できる。こうした構成により、定着ローラとプレスローラ間の押圧力及びニップ幅を変えること無く、ニップ位置だけを定着ローラの軸中心まわりで調整することができる。従って、工場出荷段階、或いはメンテナンスの際などに、国、地域、使用環境、又はユーザの好みに応じてニップ位置の調整を行うことが容易となり、カールの程度が最も小さくなるように柔軟に対処することができるようになる。
【0017】
本発明の第2の観点によれば、定着ローラと、当該定着ローラに圧接するプレスローラと、によって用紙を挟んで搬送しながら当該用紙上にトナー像を定着させる定着装置であって、以下の構成の定着装置が提供される。即ち、この定着装置は、軸受と、定着フレームと、位置調整部材と、プレスローラ支持部材と、付勢部材と、を備える。前記軸受は、前記定着ローラを回転可能に支持する。前記定着フレームは、前記軸受を相対回転不能に取り付けることができるとともに、当該軸受を取り付ける際の取り付け角を、前記定着ローラの軸中心まわりで調整可能である。前記位置調整部材は、付勢部材取付部とヒンジ部とを有し、前記軸受に対して相対回転不能に取り付けられるとともに、当該軸受に対して取り付けられる際の取り付け角を、前記定着ローラの軸中心まわりで調整可能である。前記プレスローラ支持部材は、前記プレスローラを回転可能に支持するとともに、前記位置調節部材に対して揺動可能であるように前記ヒンジ部に取り付けられる。前記付勢部材は、前記付勢部材取付部と前記プレスローラ支持部材との間に配置され、前記プレスローラ支持部材を所定方向に付勢することにより、前記定着ローラに対して前記プレスローラを圧接させる。
【0018】
即ち、定着フレームに対する軸受の取り付け角と、軸受に対する位置調整部材の取り付け角を、それぞれ調整可能に構成することにより、定着フレームと位置調整部材との位置関係を調整することができる。従って、定着ローラとプレスローラと、の位置関係を調整することができるので、ニップ位置を調整することができる。また、位置調整部材の取り付け角を定着ローラの軸中心まわりで調整しても、定着ローラの軸中心と、ヒンジ部及び付勢部材取付部と、の相対位置関係は変化しない。従って、位置調整部材の取り付け角にかかわらず、定着ローラに対するプレスローラの圧接力を一定に保つことができる。
【0019】
前記の定着装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記軸受は、回り止め部を有する。前記定着フレームは、前記回り止め部に接触することにより当該定着フレームと前記軸受との相対位置を固定する回り止め固定部を、前記定着ローラの軸中心まわりに複数有する。前記位置調整部材は、前記回り止め部に接触することにより当該位置調整部材と前記軸受との相対位置を固定する位置固定部を、前記定着ローラの軸中心まわりに複数有している。
【0020】
これにより、回り止め部に接触する回り止め固定部を、複数の回り止め固定部の中から選択することができるので、定着フレームに対する軸受の取り付け角を調整することができる。また、回り止め部に接触させる位置固定部を、複数の位置固定部の中から選択することができるので、軸受に対する位置調整部材の取り付け角を調整することができる。
【0021】
前記の定着装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記複数の回り止め固定部は、前記定着ローラの軸中心まわりに所定の第1角度ごとに形成されている。前記複数の位置固定部は、前記定着ローラの軸中心まわりに所定の第2角度ごとに形成されている。そして、前記第1角度と前記第2角度が異なる。
【0022】
このように第1角度と第2角度を異ならせることにより、定着フレーム及び位置調整部材を軸受に対して取り付けた際、当該定着フレームと位置調整部材との位置関係を第1角度と第2角度の差で調整することができる。即ち、ニップ位置を、第1角度と第2角度の差で調整することができる。従って、ニップ位置の調整が視覚的に行い易く、しかも当該ニップ位置を細かく設定することができる。
【0023】
前記の定着装置において、前記定着ローラの周辺部品は、前記定着フレームに固定的に取り付けられることが好ましい。
【0024】
これにより、ニップ位置を変更したとしても、これら周辺部品の取り付け位置を変更する必要が無い。
【0025】
前記の定着装置においては、前記定着ローラの外周面に、駆動源からの回転駆動力を受けるための駆動入力ギアが、当該定着ローラの軸中心と同軸で設けられることが好ましい。
【0026】
これにより、ニップ位置を変更したとしても、駆動を伝達する位置は変わらない。
【0027】
本発明の第3の観点によれば、用紙にトナー像を形成する画像形成部と、前記の定着装置と、を備える画像形成装置が提供される。
【0028】
この画像形成装置は、国又は地域等に応じてニップ位置を変更可能であるから、カールを最小にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機の全体的な構成を示す斜視図。
【図2】コピーファクシミリ複合機の正面断面図。
【図3】定着ユニットの外観斜視図。
【図4】ギアカバー内部の様子を示す斜視図。
【図5】定着ローラ端部の様子を示す斜視図。
【図6】定着ローラとプレスローラの支持構造を示す正面図。
【図7】軸受の外観斜視図。
【図8】定着ローラ支持フレームの平面図。
【図9】定着ローラ支持フレームに軸受を取り付けた様子を示す平面図。
【図10】位置調整プレートの平面図。
【図11】軸受に位置調整プレートを取り付けた様子を示す斜視図。
【図12】軸受に位置調整プレートを取り付けた様子を示す平面図。
【図13】第1の回り止め溝と第1の位置固定溝に回り止め突起を係合させた状態を示す平面図。
【図14】第3の回り止め溝と第3の位置固定溝に回り止め突起を係合させた状態を示す平面図。
【図15】ニップ位置を調整することによる変化を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのコピーファクシミリ複合機75の外観斜視図である。また図2は複合機75の本体内部の様子を示す正面断面図である。
【0031】
図1に示すコピーファクシミリ複合機75は、画像読取部76と、操作パネル77と、本体78と、給紙カセット79と、を備えている。
【0032】
画像読取部76は、フラットベッドスキャナ及びオートドキュメントフィードスキャナとして機能するように構成されている。操作パネル77は、コピー部数及びファクシミリ送信先等をユーザが複合機75に対し指示するためのものである。
【0033】
本体78には、記録媒体としての用紙に画像を形成する画像形成部等が内蔵されている。また、本体78は、通信回線を介して画像データを伝送するための図略の送受信部等を備えている。給紙カセット79は、前記用紙を前記画像形成部へ順次供給できるように構成されている。
【0034】
コピーファクシミリ複合機75の内部の様子が図2に示される。この図2に示すように、前記本体78の上面には、読み取るべき原稿を載置するプラテンガラス82が設けられる。本体78の上方には原稿台カバー83が設けられており、この原稿台カバー83によって、原稿をプラテンガラス82上に押圧して固定できるようになっている。
【0035】
前記原稿台カバー83には自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)84が配設されている。このADF84は、原稿台カバー83の上部に設けられた原稿トレイ85と、この原稿トレイの下方に設けられた排出トレイ86と、を備える。
【0036】
図2に示すように、前記原稿台カバー83の内部には、原稿トレイ85と排出トレイ86とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路87が構成されている。この原稿搬送経路87には、分離ローラ88及び複数の搬送ローラ89が配置されている。この構成で、原稿トレイ85に重ねてセットされた原稿は、1枚ずつ分離されて湾曲状の前記原稿搬送経路87に沿って搬送され、原稿読取位置を通過した後、排出トレイ86へ排出される。
【0037】
図2に示すように、本体78の上部にはスキャナユニット90が備えられる。このスキャナユニット90は、光源91と、反射ミラー92,93,94と、集光レンズ95と、電荷結合素子(CCD)96と、を備えている。
【0038】
光源91は、前記プラテンガラス82又は前記ADF84の原稿読取位置に対して光を照射する。原稿からの反射光は、反射ミラー92,93,94によって更に反射し、集光レンズ95によって収束して、CCD96の部分に結像する。CCD96は、この収束光を電気信号に変換して出力する。
【0039】
スキャナユニット90の光源91及び反射ミラー92等は適宜移動可能に構成している。従って、複合機75をフラットベッドスキャナとして使用する場合は、光源91及び反射ミラー92等を一定の速度で移動させて、プラテンガラス82上の原稿を走査して読み取ることができる。また、複合機75をADFスキャナとして使用する場合は、光源91及び反射ミラー92等をADF84の前記原稿読取位置まで移動した状態で静止させ、原稿搬送経路87を搬送される原稿を走査して読み取ることができる。
【0040】
前述のように、原稿からの反射光はCCD96へ導かれて結像し、CCD96は原稿に応じた電気信号を出力する。この信号は適宜の変換処理後に後述の画像形成部11に送られて印刷され、又は、前記送受信部によって他のファクシミリ装置へ通信回線を介して送信される。
【0041】
図2に示すように、本体78の下部には、用紙100を供給する給紙カセット79が備えられる。この給紙カセット79は装置正面側(図2の紙面手前側)に引出可能に構成されている。給紙カセット79の上方には、画像形成部11、定着ユニット(定着装置)51、及び排紙トレイ80が備えられている。
【0042】
本体78の内部には、給紙カセット79から排紙トレイ80へ用紙100を搬送するための搬送路24が形成されている。この搬送路24は、給紙カセット79の一端側から上方に向かって延びた後、一部湾曲しながら画像形成部11に至り、更に上方にある定着ユニット51を通過した後、水平方向に湾曲して排紙トレイ80上に至るように構成されている。
【0043】
給紙カセット79の上方には給紙ローラ21が配置されており、給紙カセット79内に積層された最上層の用紙100に前記給紙ローラ21が接触するように構成されている。この状態で給紙ローラ21が駆動されることで、給紙ローラ21と図示しない分離パッドにより最上層の用紙100が分離されて、ピックアップされ、前記搬送路24に向けて送り出される。
【0044】
搬送路24において前記給紙ローラ21のすぐ下流側には、搬送ローラ22が配置されている。この搬送ローラ22は、それに対向配置されるローラとの間に用紙100をニップしつつ(挟みつつ)駆動されることで、用紙100を下流側の画像形成部11へ搬送する。
【0045】
画像形成部11は、図2に示すように、感光ドラム12の周囲に、帯電器13と、LEDヘッド14と、現像器15と、転写ローラ16と、を配置して構成されている。
【0046】
感光ドラム12は、表面に有機感光体による光導電膜が形成されるとともに、図示しない電動モータによって回転駆動されるように構成されている。帯電器13はブラシ帯電方式に構成され、この帯電器13によって感光ドラム12の表面が均一に、例えば負に帯電されるようになっている。
【0047】
露光器としてのLEDヘッド14は、前記帯電器13より下流側(感光ドラム12の回転方向の下流側をいう。以下、現像器15、及び転写ローラ16の説明において同じ。)に配置されており、発光ダイオード(LED)を用紙幅方向に多数並べて備えた構成となっている。そしてLEDヘッド14は、電話回線を介して受信したファクシミリ原稿の画像データ、又は、画像読取部76で読み取った画像データに対応して選択的に発光する。この結果、感光ドラム12の表面が選択的に露光され、露光部分の電荷エネルギーが消失することで静電潜像が形成される。
【0048】
現像器15は前記LEDヘッド14の下流側に配置されている。この現像器15は、非磁性一成分トナーを収容するトナー容器26を備えるとともに、トナーの撹拌のためにトナー容器26の内部で回転駆動される撹拌ブレード27を備えている。更に、現像器15は、トナー容器26の内部に配置される供給ローラ28と、この供給ローラ28に接触して配置される現像ローラ29と、この現像ローラ29の外周面に接触するように配置される規制ブレード30と、を備えている。
【0049】
この構成で、供給ローラ28と現像ローラ29とは、互いに周面を逆方向に擦るように回転駆動される。また、規制ブレード30の先端は、回転駆動される現像ローラ29の周面を擦ることになる。この結果、トナー容器26内のトナーは摩擦帯電され、現像ローラ29の表面に電位差によって付着する。現像ローラ29の表面のトナーは、規制ブレード30によって付着厚さが均一になるよう調整されるとともに、当該現像ローラ29の回転によって感光ドラム12側へ送られる。その後、感光ドラム12と現像ローラ29との近接部分において、感光ドラム12の前記LEDヘッド14による露光部に相当する部分においてのみ、現像ローラ29の表面のトナーが選択的に感光ドラム12の表面へ移動する。この結果、感光ドラム12の表面上にトナー像が形成される。
【0050】
転写ローラ16は、前記現像器15の下流側に配置されるとともに、感光ドラム12から搬送路24を挟んで反対側に配置されている。また、この転写ローラ16には電源からの所定の電圧が印加されている。従って、感光ドラム12の表面に形成されたトナー像は、感光ドラム12の回転によって転写ローラ16側へ近づくように移動し、その電界吸引力によって用紙100に転写される。トナー像が転写された用紙100は、感光ドラム12の回転によって、搬送路24の下流側の定着ユニット51へ送られる。
【0051】
図2に示すように、定着ユニット51は、回転駆動される定着ローラ52と、この定着ローラ52に対向して配置されるプレスローラ53と、を備えている。定着ローラ52は筒状に構成されており、当該筒状の定着ローラ52の内部には、ハロゲンヒータ31等の熱源が配置されている。このハロゲンヒータ31に通電することにより、定着ローラ52の外周面を均一に加熱することができる。
【0052】
プレスローラ53は、定着ローラ52に対して一定の押圧力で接するように構成されている。このようにして定着ローラ52とプレスローラ53とが接している部分をニップ部と称し、ニップ部の位置をニップ位置と称する。ニップ部に用紙を挟み込んだ状態で定着ローラ52を回転させることにより、当該用紙を下流側に向けて搬送することができる。
【0053】
また、定着ユニット51は、定着ローラ52の周囲に、分離爪56、サーミスタ55、サーモスタッド(図略)等を備えている。サーミスタ55は、定着ローラ52の外周面の温度を検出するように配置されている。一方、サーモスタッドは、定着ローラ52の周囲温度が所定値以上になると、ハロゲンヒータ31への電流供給を遮断するように構成されている。この構成で、定着ローラ52の外周面の温度を一定に保つことができる。分離爪56は、用紙100が定着ローラ52に貼り付いたまま周囲に巻き付くことを防止するために、定着ローラの外周面近傍に配置されている。
【0054】
以上の構成で、用紙100が定着ローラ52とプレスローラ53との間(ニップ部)を通過することにより、高温の定着ローラ52の熱及びプレスローラ53による圧力によって、トナー像のトナーが融解して用紙100に定着する。
【0055】
次に、図3を参照して、定着ユニット51について詳しく説明する。定着ユニット51は、金属製の定着フレームを備えている。定着フレームは、定着ローラ52及びプレスローラ53の軸線方向(図2の紙面奥行き方向)に沿って配設される横フレーム60と、横フレーム60の両端部にそれぞれ配置される定着ローラ支持フレーム61,61と、から主に構成されている。
【0056】
また、図に示すように、定着ユニット51には、駆動伝達ギア62が配置されている。なお、図面上では、駆動伝達ギア62の外周部に形成された歯の図示を省略している(以下、後述の駆動入力ギア64についても同じ)。この駆動伝達ギア62には、コピーファクシミリ複合機75の本体78に備えられた図略の駆動源からの駆動力が入力されている。この駆動伝達ギア62の一部は、ギアカバー63によって覆われている。ギアカバー63を取り外した様子を、図4に示す。
【0057】
図4に示すように、ギアカバー63内には、駆動伝達ギア62と噛み合う駆動入力ギア64が配置されている。この駆動入力ギア64は、図5に示すように、定着ローラ52の端部であって、当該定着ローラ52の外周面に固定されている。また、この駆動入力ギア64は、定着ローラ52の軸中心と同軸で設けられている。この構成で、駆動伝達ギア62に駆動力を入力することにより、当該駆動力が駆動入力ギア64に伝達され、定着ローラ52を回転駆動することができる。
【0058】
次に、定着ローラ52及びプレスローラ53の支持構造について、図6を参照して説明する。
【0059】
定着ローラ52は、前述の定着ローラ支持フレーム61に対して、軸受65を介して取り付けられている。一方、プレスローラは、プレスローラ支持プレート(プレスローラ支持部材)70に対して、回転可能に取り付けられている。
【0060】
このプレスローラ支持プレート70は、ヒンジ部40に対して、当該ヒンジ部40を中心に回動可能に取り付けられている。また、プレスローラ支持プレート70と、付勢バネ取付部42と、の間には、引っ張りコイルバネとして構成された付勢バネ41が配置されている。この付勢バネ41は、プレスローラ支持プレート70を、前記ヒンジ部40まわりで所定方向に付勢している。そして、このようにプレスローラ支持プレート70が付勢されることにより、当該プレスローラ支持プレート70に軸支されたプレスローラ53が、定着ローラ52に対して圧接するように構成されている。なお、上記ヒンジ部40及び付勢バネ取付部42は、後述の位置調整プレート71に形成されている。
【0061】
次に、前記軸受65について説明する。
【0062】
軸受65は、図7に示すように略リング状(略円筒状)に形成された樹脂製のすべり軸受であり、当該リングの内側が軸受け面65aを構成している。このリング状の軸受65の内側に、中心軸線を一致させて定着ローラ52の端部を挿入することにより、当該定着ローラ52を回転可能に軸支することができる。なお、軸受65は、高温の定着ローラ52からの熱による劣化を防ぐため、耐熱性樹脂によって形成されている。また、軸受65の外周面には、半径方向に突出する回り止め突起(回り止め部)68が形成されている。
【0063】
図8に示すように、定着ローラ支持フレーム61には、略円形の軸受取付孔66が形成されている。この軸受取付孔66の直径は、軸受65の外周部分の直径と略一致して形成されている。従って、軸受取付孔66に軸受65を挿し込むようにして嵌合させることにより、当該軸受65を定着ローラ支持フレーム61に対して取り付けることができる。
【0064】
当該軸受取付孔66の縁部には、複数の回り止め溝(回り止め固定部)が形成されている。例えば本実施形態では、図8の時計回りで順に、第1の回り止め溝67a、第2の回り止め溝67b、第3の回り止め溝67cが形成されている。そして、軸受65を軸受取付孔66に挿し込んだ状態では、図9に示すように、回り止め突起68が回り止め溝の内側に入り込み、回り止め突起68と回り止め溝が係合状態(接触状態)となるように構成されている。この構成により、軸受65を、定着ローラ支持フレーム61に対して、回転不能に取り付けることができる。
【0065】
また、本実施形態では、回り止め溝は複数形成されているので、軸受65を軸受取付孔66に挿し込む際に、何れの回り止め溝に対して回り止め突起68を係合させるかを選択することができる。例えば図9では、3つある回り止め溝のうち、第2の回り止め溝67bに回り止め突起68を係合させるようにして、定着ローラ支持フレーム61に軸受65を取り付けた状態を示している。
【0066】
そして、本実施形態では、図8に示すように、回り止め溝67a,67b,67cは、定着ローラ52の軸中心まわりで、所定の第1角度αずつ間隔を空けて形成している。従って、本実施形態では、定着ローラ支持フレーム61に対して軸受65を取り付ける際の取り付け角を、定着ローラ52の軸中心まわりで第1角度α間隔で調整することができる。なお、本実施形態では第1角度αを60°としている。
【0067】
次に、位置調整プレート(位置調整部材)71について説明する。
【0068】
位置調整プレート71の平面図を、図10に示す。前述のように、位置調整プレート71には、ヒンジ部40及び付勢バネ取付部42が形成されている。この位置調整プレート71は、定着ローラ支持フレーム61に取り付けられた状態の軸受65(図9の状態の軸受65)に対して、取り付けられる。軸受65に取り付けた状態の位置調整プレート71の様子を、図11及び図12に示す。
【0069】
また、図10に示すように、位置調整プレート71には、略円形の軸受取付孔72が形成されている。この軸受取付孔72の直径は、軸受65の外周部分の直径と略一致して形成されている。従って、軸受取付孔72に軸受65を挿し込むようにして嵌合させることにより、定着ローラ支持フレーム61を軸受65に対して取り付けることができる。
【0070】
当該軸受取付孔72の縁部には、複数の位置固定溝(位置固定部)が形成されている。例えば本実施形態では、図10の時計回りで順に、第1の位置固定溝73a、第2の位置固定溝73b、第3の位置固定溝73cが形成されている。そして、軸受65を軸受取付孔72に挿し込んだ状態では、図11及び図12に示すように、回り止め突起68が位置固定溝の内側に入り込み、回り止め突起68と位置固定溝が係合状態(接触状態)となるように構成されている。この構成により、位置調整プレート71を、軸受65に対して、回転不能に取り付けることができる。
【0071】
また、本実施形態では、位置固定溝は複数形成されているので、軸受65を軸受取付孔72に挿し込む際に、何れの位置固定溝に対して回り止め突起68を係合させるかを選択することができる。例えば図11及び図12では、3つある位置固定溝のうち、第2の位置固定溝73bに回り止め突起68を一致させて、軸受65に位置調整プレート71を取り付けた状態を示している。
【0072】
そして、本実施形態では、図10に示すように、位置固定溝73a,73b,73cは、定着ローラ52の軸中心まわりで、所定の第2角度βずつ間隔を空けて形成している。従って、本実施形態では、軸受65に対して位置調整プレート71を取り付ける際の取り付け角を、定着ローラ52の軸中心まわりで第2角度β間隔で調整することができる。なお、本実施形態では第2角度βを50°としている。
【0073】
次に、ニップ位置の調整について説明する。
【0074】
上記のように、本実施形態では位置調整プレート71を取り付ける際の取り付け角を50°間隔で調整することができる。位置調整プレート71にはプレスローラ支持プレート70を介してプレスローラ53が取り付けられるので、位置調整プレート71の取り付け角を調整することによりプレスローラ53の位置を調整することができる。即ち、本実施形態の構成により、ニップ位置(定着ローラ52とプレスローラ53とが接触している位置)を調整することができるということになる。
【0075】
ここで、第2の回り止め溝67bと第2の位置固定溝73bに回り止め突起68を係合させた状態(図6の状態)におけるニップ位置を、説明の便宜上、基準位置と呼ぶことにする。
【0076】
本実施形態では位置調整プレート71を取り付ける際の取り付け角を50°間隔で調整することができるので、ニップ位置を、基準位置を中心として時計まわり及び反時計回りにそれぞれ50°ずつ変更することができる。しかしながら、50°間隔という調整幅は、用紙のカールを最小にするためにニップ位置を調整するという観点からは大き過ぎる。即ち、50°間隔ではニップ位置の微調整が効かないため、ニップ位置を最適化することができない。また、図6の基準位置から仮に50°もニップ位置を移動させてしまうと、搬送路24を搬送されてくる用紙をニップすることが難しくなってしまう。
【0077】
このように、紙厚や環境に応じてカールが最小になるようにニップ位置を調整するという観点からは、定着ローラ52の軸中心まわりでもっと細かくニップ位置を調整できる必要がある。例えば、定着ローラ52の軸中心まわりで±10°程度の範囲でニップ位置を調整できることが好ましい。
【0078】
そこで、例えば第2角度βを10°として、位置固定溝をもっと細かい間隔で形成することも考えられる。しかし、位置固定溝をこのような細かい間隔で形成することは強度上の問題がある。また、位置固定溝の間隔が狭過ぎると、回り止め突起68を適切な位置固定溝に係合させることが難しくなり、組み立て性が悪化してしまう。
【0079】
そこで本実施形態では、上記のように、第1角度αと第2角度βを異ならせている。具体的には、第1角度αは60°、第2角度βは50°としている。このように第1角度αと第2角度βを異ならせることにより、ニップ位置を細かく調整することができる。以下、図面を参照して具体的に説明する。
【0080】
ニップ位置が図6の基準位置にあるとき、第1の回り止め溝67aと第1の位置固定溝73aの位置は、定着ローラ52の軸中心まわりで第1角度αと第2角度βの差に相当する角度(本実施形態では10°)だけズレている(図12参照)。同じく、ニップ位置が基準位置にあるとき、第3の回り止め溝67cと第3の位置固定溝73cの位置は、定着ローラ52の軸中心まわりで第1角度αと第2角度βの差に相当する角度(本実施形態では10°)だけズレている(図12参照)。
【0081】
従って、第1の回り止め溝67aと第1の位置固定溝73aに回り止め突起68を係合させた状態(図13の状態)では、ニップ位置が、前記基準位置から定着ローラ52の軸中心まわりで図6の反時計まわりに10°だけズレた位置になる。同様に、第3の回り止め溝67cと第3の位置固定溝73cに回り止め突起68を係合させた状態(図14の状態)では、ニップ位置が、前記基準位置から定着ローラ52の軸中心まわりで図6の時計まわりに10°だけズレた位置になる。
【0082】
このように、回り止め溝の間隔(第1角度α)と位置固定溝の間隔(第2角度β)を異ならせているので、ニップ位置は第1角度αと第2角度βの差に相当する角度で変位する。これにより、10°間隔という細かい間隔でニップ位置の調整を行うことができる。また、回り止め溝の間隔(第1角度α)と位置固定溝の間隔(第2角度β)は比較的大きい角度(50°及び60°)に設定されているので、回り止め溝と位置固定溝の強度を確保することができる。更に、上記のように回り止め溝と位置固定溝の間隔が比較的大きい角度に設定されているので、回り止め突起68をどこに係合させるか視覚的にわかり易くなる。従って、ニップ位置の調整作業を行い易くなる結果、ニップ位置の設定ミスを防ぐことができる。
【0083】
また本実施形態において、ヒンジ部40と付勢バネ取付部42は、ともに位置調整プレート71に形成されている。従って、位置調整プレート71の位置を定着ローラ52の軸中心まわりで調整しても、ヒンジ部40、付勢バネ取付部42と、定着ローラ52の軸中心と、の相対位置は変化しない。これにより、付勢バネ41によってプレスローラ支持プレート70に付与される付勢力を、常に一定に保つことができる。即ち、定着ローラ52に対するプレスローラ53の押圧力は変更不可となっている。従って、ニップ位置を調整しても、前記押圧力及びニップ圧が変化してしまうおそれがない。これにより、形成画像の品質を一定に保つことができるのともに、ニップ位置の調整作業も簡単になる。
【0084】
また本実施形態においては、前述のように、駆動入力ギア64は定着ローラ52に軸線を一致させて取り付けられている。定着ローラ52の軸中心は、ニップ位置を調整しても変化しないから、駆動入力ギア64の位置はニップ位置にかかわらず変化しない。従って、ニップ位置の調整を行っても、駆動伝達ギア62等の位置を変更する必要がないので、ニップ位置の調整を簡単に行うことができる。
【0085】
また本実施形態では、定着ローラ52の周辺部品(分離爪56、サーミスタ55、サーモスタッド等)は、定着フレームに対して固定されている。このように構成すれば、ニップ位置の調整を行ったとしても、これら周辺部品の位置を変更する必要はないため、ニップ位置の調整が更に簡単になる。
【0086】
以上で説明したように、本実施形態の定着ユニット51は、定着ローラ支持フレーム61と、定着ローラ52と、位置調整プレート71と、プレスローラ53と、を備える。定着ローラ52は、定着ローラ支持フレーム61に支持される。位置調整プレート71は、定着ローラ支持フレーム61に取り付けられるとともに、当該定着ローラ支持フレーム61に取り付けられる際の取付位置を、定着ローラ52の軸中心まわりで調整可能である。プレスローラ53は、位置調整プレート71を介して定着ローラ支持フレーム61に取り付けられるとともに、定着ローラ52に対して圧接する。そして、定着ローラ52とプレスローラ53の押圧力は調整不可である。
【0087】
このように、位置調整プレート71を介してプレスローラ53を取り付けることにより、プレスローラ53の取り付け位置を、定着ローラ52の軸中心まわりで調整できる。こうした構成により、定着ローラ52とプレスローラ53間の押圧力及びニップ幅を変えること無く、ニップ位置だけを定着ローラ52の軸中心まわりで調整することができる。従って、工場出荷段階、或いはメンテナンスの際などに、国、地域、使用環境、或いはユーザの好みに応じてニップ位置の調整を行うことが容易となり、カールの程度が最も小さくなるように柔軟に対処することができるようになる。
【0088】
また、本実施形態の定着ユニット51は、定着ローラ52と、当該定着ローラ52に圧接するプレスローラ53と、によって用紙を挟んで搬送しながら当該用紙上にトナー像を定着させる定着装置であって、以下のように構成されている。即ち、この定着ユニット51は、軸受65と、定着ローラ支持フレーム61と、位置調整プレート71と、プレスローラ支持プレート70と、付勢バネ41と、を備える。軸受65は、定着ローラ52を回転可能に支持する。定着ローラ支持フレーム61は、軸受65を相対回転不能に取り付けることができるとともに、当該軸受65を取り付ける際の取り付け角を、定着ローラ52の軸中心まわりで調整可能である。位置調整プレート71は、付勢バネ取付部42とヒンジ部40とを有し、軸受65に対して相対回転不能に取り付けられるとともに、当該軸受65に対して取り付けられる際の取り付け角を、定着ローラ52の軸中心まわりで調整可能である。プレスローラ支持プレート70は、プレスローラ53を回転可能に支持するとともに、位置調整プレート71に対して揺動可能であるようにヒンジ部40に取り付けられる。付勢バネ41は、付勢バネ取付部42とプレスローラ支持プレート70との間に配置され、プレスローラ支持プレート70を所定方向に付勢することにより、定着ローラ52に対してプレスローラ53を圧接させる。
【0089】
即ち、定着ローラ支持フレーム61に対する軸受65の取り付け角と、軸受65に対する位置調整プレート71の取り付け角を、それぞれ調整可能に構成することにより、定着ローラ支持フレーム61と位置調整プレート71との位置関係を調整することができる。従って、定着ローラ52とプレスローラ53と、の位置関係を調整することができるので、ニップ位置を調整することができる。また、位置調整プレート71の取り付け角を定着ローラ52の軸中心まわりで調整しても、定着ローラ52の軸中心と、ヒンジ部40及び付勢バネ取付部42と、の相対位置関係は変化しない。従って、位置調整プレート71の取り付け角にかかわらず、定着ローラ52に対するプレスローラ53の圧接力を一定に保つことができる。
【0090】
また、本実施形態の定着ユニット51は、以下のように構成されている。即ち、軸受65は、回り止め突起68を有する。定着ローラ支持フレーム61は、回り止め突起68に係合することにより当該定着ローラ支持フレーム61と軸受65との相対位置を固定する回り止め溝を、定着ローラ52の軸中心まわりに複数有する。位置調整プレート71は、回り止め突起68に係合することにより当該位置調整プレート71と軸受65との相対位置を固定する位置固定溝を、定着ローラ52の軸中心まわりに複数有している。
【0091】
これにより、回り止め突起68を係合させる回り止め溝を、複数の回り止め溝の中から選択することができるので、定着ローラ支持フレーム61に対する軸受65の取り付け角を調整することができる。また、回り止め突起68を係合させる位置固定溝を、複数の位置固定溝の中から選択することができるので、軸受65に対する位置調整プレート71の取り付け角を調整することができる。
【0092】
また、本実施形態の定着ユニットは、以下のように構成されている。即ち、前記複数の回り止め溝は、定着ローラ52の軸中心まわりに所定の第1角度ごとに形成されている。複数の位置固定溝は、定着ローラ52の軸中心まわりに所定の第2角度ごとに形成されている。そして、前記第1角度と前記第2角度は異なっている。
【0093】
このように第1角度と第2角度を異ならせることにより、定着ローラ支持フレーム61及び位置調整プレート71を軸受65に対して取り付けた際、当該定着ローラ支持フレーム61と位置調整プレート71との位置関係を第1角度と第2角度の差で調整することができる。即ち、ニップ位置を、第1角度と第2角度の差で調整することができる。従って、ニップ位置の調整が視覚的に行い易く、しかも当該ニップ位置を細かく設定することができる。
【0094】
また、本実施形態の定着ユニット51において、定着ローラ52の周辺部品は、定着フレームに固定的に取り付けられている。
【0095】
これにより、ニップ位置を変更したとしても、これら周辺部品の取り付け位置を変更する必要が無い。
【0096】
また、本実施形態の定着ユニット51においては、定着ローラ52の外周面に、駆動源からの回転駆動力を受けるための駆動入力ギア64が、当該定着ローラ52の軸中心と同軸で設けられている。
【0097】
これにより、ニップ位置を変更したとしても、駆動を伝達する位置は変わらない。
【0098】
また、本実施形態のコピーファクシミリ複合機75は、用紙にトナー像を形成する画像形成部と、定着ユニット51と、を備えている。
【0099】
このコピーファクシミリ複合機75は、国又は地域等に応じてニップ位置を変更可能であるから、カールを最小にすることができる。
【0100】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0101】
上記実施形態では、第1角度αは60°、第2角度βは50°としたが、これに限らず、第1角度α及び第2角度βは任意の角度とすることができる。また、複数の回り止め溝は同じ間隔で形成されていなくても良いし、複数の位置固定溝は同じ間隔で形成されていなくても良い。
【0102】
回り止め溝及び位置固定溝の数は、3つに限らず、任意の数を形成することができる。
【0103】
付勢部材は、引っ張りコイルバネとして記載したが、これに代えて圧縮コイルバネによってプレスローラ支持プレート70を付勢する構成とすることもできる。そもそも付勢部材はコイルバネに限らず、例えば板バネであっても良い。
【0104】
定着ローラは、ハロゲンヒータによって加熱するものに限らず、例えばシート状に形成した発熱体を円筒体の外周面に貼り付けた構成のローラであっても良い。
【0105】
本発明の構成は、コピーファクシミリ複合機に限らず、例えばファクシミリ装置、コピー機など、他の画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
51 定着ユニット(定着装置)
52 定着ローラ
53 プレスローラ
61 定着ローラ支持フレーム
65 軸受
70 プレスローラ支持プレート(プレスローラ支持部材)
71 位置調整プレート(位置調整部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着フレームと、
前記定着フレームに支持される定着ローラと、
前記定着フレームに取り付けられるとともに、前記定着フレームに取り付けられる際の取付位置を、前記定着ローラの軸中心まわりで調整可能である位置調整部材と、
前記位置調整部材を介して前記定着フレームに取り付けられるとともに、前記定着ローラに対して圧接するプレスローラと、
を備え、
前記定着ローラと前記プレスローラの押圧力は調整不可であることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
定着ローラと、当該定着ローラに圧接するプレスローラと、によって用紙を挟んで搬送しながら当該用紙上にトナー像を定着させる定着装置であって、
前記定着ローラを回転可能に支持する軸受と、
前記軸受を相対回転不能に取り付けることができるとともに、当該軸受を取り付ける際の取り付け角を、前記定着ローラの軸中心まわりで調整可能である定着フレームと、
付勢部材取付部とヒンジ部とを有し、前記軸受に対して相対回転不能に取り付けられるとともに、当該軸受に対して取り付けられる際の取り付け角を、前記定着ローラの軸中心まわりで調整可能である位置調整部材と、
前記プレスローラを回転可能に支持するとともに、前記位置調整部材に対して揺動可能であるように前記ヒンジ部に取り付けられるプレスローラ支持部材と、
前記付勢部材取付部と前記プレスローラ支持部材との間に配置され、前記プレスローラ支持部材を所定方向に付勢することにより、前記定着ローラに対して前記プレスローラを圧接させる付勢部材と、
を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置であって、
前記軸受は、回り止め部を有し、
前記定着フレームは、前記回り止め部に接触することにより当該定着フレームと前記軸受との相対位置を固定する回り止め固定部を、前記定着ローラの軸中心まわりに複数有し、
前記位置調整部材は、前記回り止め部に接触することにより当該位置調整部材と前記軸受との相対位置を固定する位置固定部を、前記定着ローラの軸中心まわりに複数有していることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定着装置であって、
前記複数の回り止め固定部は、前記定着ローラの軸中心まわりに所定の第1角度ごとに形成され、
前記複数の位置固定部は、前記定着ローラの軸中心まわりに所定の第2角度ごとに形成され、
前記第1角度と前記第2角度が異なることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか一項に記載の定着装置であって、
前記定着ローラの周辺部品は、前記定着フレームに固定的に取り付けられることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項2から5までの何れか一項に記載の定着装置であって、
前記定着ローラの外周面に、駆動源からの回転駆動力を受けるための駆動入力ギアが、当該定着ローラの軸中心と同軸で設けられることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
用紙にトナー像を形成する画像形成部と、
請求項2から6までの何れか一項に記載の定着装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−13796(P2012−13796A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148094(P2010−148094)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】