説明

定着装置および画像形成装置

【課題】定着部材の加圧解除を簡単な操作で行うことができ、また、定着ベルトに張力を付与するテンションローラを省略することができる定着装置を提供する。
【解決手段】圧力解除レバー231を回動することによりロック部材232の位置を変位させ、加圧レバー230を加圧位置と圧解除位置とに切り替える。定着部材は一方がローラ部材221であり、他方の定着部材は定着ベルト224をとして構成される。加圧位置では定着ベルトに張力が付与され、圧解除位置では定着ベルトの張力が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を担持する記録材を互いに対向する一対の定着部材により挟持し、熱および圧力を加えてトナー像を記録材上に定着させる定着装置、ならびにこの定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平5−173446号公報
【特許文献2】特開2001−318555号公報
【特許文献3】特開2000−214718号公報
【特許文献4】特開2006−48005号公報
【0003】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、像担持体の一例である感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により転写材に転写して画像を担持させ、圧力と熱等を用いる定着装置で転写材上のトナー画像を定着している。この定着された転写材は排紙経路を通り、装置外に排出される。定着装置では、対向する一対の定着部材、たとえばローラもしくはベルト等の回転部材または加圧パッドなどの固定部材、もしくはそれらの組み合わせにより記録材を挟み込み、熱および圧力を加え、トナー像を記録材上に定着させている。
【0004】
一般的な定着装置は、例えば、加熱手段であるヒータを内包した定着ローラと定着ローラに当接する加圧ローラを備えており、該加圧ローラを定着ローラに圧接させる加圧レバーが配置されている。定着装置に到達したトナー転写済の記録材は、定着ローラと加圧ローラとの当接部となる定着ニップに導入される。記録材が定着ニップを通過する過程で、転写されたトナー像が加熱および加圧されシート面に定着される。
【0005】
しかし、用紙ジャム等により、この定着装置の定着ニップに記録材が挟まれた状態で装置が止まると、定着ニップに加圧された状態でシートが挟まれているため、ユーザーがこのシートを除去するジャム処理が非常に困難になる。このため従来は、ユーザーがジャム処理をする前に定着装置に手動の解除レバーを設けておき、ジャム処理時に圧解除を行う方法がよく知られている。
【0006】
手動で圧解除を行う構成の場合、レバー操作の煩わしさや、レバー操作をし忘れてしまう不具合があるため、特許文献1では、カム装置を用いて自動的に定着ニップの接触圧を解除する自動解除装置が提案されている。
【0007】
特許文献2には、解除レバーに付いたカムを直接加圧レバーに作用させて定着部材同士の加圧状態を解除する構成が提案されている。
特許文献3には、定着部材同士の加圧状態を解除するのに、カバーの開閉動作と連動して行う構成が提案されている。
【0008】
特許文献1では、自動的に定着ニップの接触圧を解除するカム装置を備えているが、これには専用のモータ等の新たに駆動機構を設ける必要があり、装置の重量増やコスト高を招いてしまう。
【0009】
近年の画像形成装置は小型化、高速化が望まれており、定着ローラやベルトが小径化し記録材を狭持するニップが短くなる反面、通紙スピードが速くなるために、定着部材が記録材に与える熱量が足りなくなるため、定着性を満足することが難しくなっている。そのため、より大きいニップを確保するように加圧力を従来機よりも強くする必要がある。そのようになると、従来の手動の解除レバーでは作動力が大きくなりすぎてユーザーが操作しにくいという問題が発生する。
【0010】
また、特許文献2に記載のように、解除レバーに付いたカムを直接加圧レバーに作用させて定着部材同士の加圧状態を解除する構成の場合、加圧力を強くすると、カムと直接加圧レバーとの摩擦力が増大するので摺接面のすべり性が低下するとともに、摺接面での摩耗が大きくなるという問題がある。
【0011】
特許文献3に記載のように、定着部材同士の加圧状態を解除するのに、カバーの開閉動作と連動して行う場合でも、加圧力を強くすると、解除レバーと開閉カバーとの当接面との摩擦力が増大するので摺接面のすべり性が低下するとともに、互いの摺接面での摩耗が大きくなるという問題がある。
【0012】
このような問題を解決するため、良好な加圧力を得ながら、操作性が良く、且つ、耐久性に優れた定着装置として特許文献4記載の構成が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献4記載の構成では、互いに対向する一対の定着部材により記録材を挟み込み、熱および圧力を加えてトナー像を記録材上に定着させる定着装置において、定着部材の一方を他方の定着部材に向かって加圧する加圧レバーと、加圧レバーに対して回動自在に支持された圧力解除レバーと、圧力解除レバーに対してその一端が回動自在に取りつけられたロック部材と、ロック部材の他端に係止されロック部材をロック方向に引っ張る弾性部材とを有し、圧力解除レバーを回動さることによりロック部材の位置を変位させて、加圧レバーを介して一方の定着部材が他方の定着部材を押圧する加圧位置と、一方の定着部材が他方の定着部材から離間する圧解除位置とに切り替え可能であり、加圧位置で加圧レバーの回転中心軸とは逆の位置の端部において固定される加圧レバーとロック部材とを弾性部材によってロック方向に引っ張ることを特徴としている。
【0014】
該構成によれば、定着部材の一方を他方の定着部材に向かって加圧する加圧レバーに対して圧力解除レバーを回動自在に支持し、この圧力解除レバーに対してロック部材の一端を回動自在に取りつけ、ロック部材をロック方向に引っ張る弾性部材をロック部材の他端に係止し、圧力解除レバーを回動すると、ロック部材の位置を変位させて、加圧レバーを介して一方の定着部材が他方の定着部材を押圧する加圧位置と、一方の定着部材が他方の定着部材から離間する圧解除位置とに切換えられる。このため、従来のように、カムやカムを駆動する駆動手段の構成が必要無く、軽量で安価に構成することができる。圧解除レバーを回動させると一端に弾性部材が係止されたロック部材も位置を変位するので、弾性手段の伸びが少なく操作時の作動力が小さくなり、ユーザーが操作し易くなる。加圧レバーの回転中心軸から最も遠い位置で加圧レバーとロック部材とが固定され、それを弾性部材が引っ張るのでロック部材上を摺動する部品が受ける摩擦力を小さくでき、高い耐久性が得られる。
【0015】
図10は、従来の定着装置の一例を示す断面図である。この図に示す定着装置は、一対のローラを対峙させて配置し、一方のローラを加熱ローラとして用い、他方のローラを記録媒体の加圧ローラとして用いる構成である。この構成では加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ部に記録媒体を挟持させて搬送しながら加熱ローラからの熱により、未定着画像を融着させて定着する。ここで、符号80はサーミスタ、符号110は分離爪を示す。(以下同様)
【0016】
図11は、従来の定着装置の他の一例を示す断面図である。この図に示す定着装置は、ローラとベルトを組み合せた構成である。この構成では加熱ローラに代えて、一対のローラ222,223に掛け回されたベルト224を用い、上記ローラのひとつ223には加圧ローラ221が対峙させてある。
【0017】
一対のローラのうちで、加圧ローラと対峙する側のローラと協働してベルトを駆動するローラ222にはベルトの裏面側から加熱するための熱源225が設けられ、加圧ローラ221にもベルトの表面を加熱するための熱源221aが設けられている。ベルトはローラに比べて体積が小さく、熱容量が小さいので短時間の温度上昇が可能であり、図8で説明したような加熱ローラおよび加圧ローラのみを用いた構成に比べて始動時での温度立ち上がりが早いという利点がある。しかも、加圧ローラにも熱源を備えることによりベルトの表裏両面で温度立ち上がりが早められるという利点も併せ持つ。
【0018】
ベルト定着方式において、通常、定着ベルトはベルトの裏面側から熱源により加熱するため、効率よく定着ベルトを加熱するためには加熱ローラと定着ベルトができるだけ長い時間、接触している必要があり、またベルトの偏り等を防止するためにも適度な張力で定着ベルトが張架される必要もある。そのため、図9の装置においては張架を目的としたテンションローラ120が具備されている。ここでテンションローラ120を発熱体とするにはさらなるコストがかかるため、通常は金属や耐熱樹脂でローラが構成されており、逆に定着ベルトから熱を吸収して立ち上がりを妨げたり、また定着ベルトが張架されたままで長時間放置された場合には内包するローラ形状によりいわゆる「巻き癖」がついたりすることがあった。
【0019】
本発明は、ベルト定着装置における上述の問題を解決し、更に立ち上がりが早く、長時間放置後の不具合を防止するとともに、操作性が良く、且つ、耐久性に優れた定着装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の課題は、本発明により、互いに対向する一対の定着部材により記録材を挟持し、熱および圧力を加えてトナー像を前記記録材上に定着させる定着装置において、 前記定着部材の一方を他方の定着部材に向かって加圧する加圧レバーと、前記加圧レバーに対して回動自在に支持された圧力解除レバーと、前記圧力解除レバーに対してその一端が回動自在に取りつけられたロック部材と、前記ロック部材の他端に係止され、該ロック部材をロック方向に引っ張る弾性部材とを有し、 前記圧力解除レバーを回動することにより前記ロック部材の位置を変位させて、前記加圧レバーを介して前記一方の定着部材が他方の定着部材を押圧する加圧位置と、前記一方の定着部材が他方の定着部材から離間する圧解除位置とに切り替え可能であり、 加圧位置では加圧レバーの回転中心軸とは逆の位置の端部において固定される前記加圧レバーと前記ロック部材とを前記弾性部材によってロック方向に引っ張る構成であり、前記一対の定着部材の一方がローラ部材であり、他方の定着部材は複数のローラ部材に無端ベルト部材を巻き掛けた定着ベルトとして構成され、前記加圧位置では前記定着ベルトに張力が付与され、前記圧解除位置では前記定着ベルトの張力が解除されることにより解決される。
【0021】
また、前記ロック部材は、前記圧解除位置から加圧位置に切換えられる際、前記加圧解除レバーと前記ロック部材とを回動自在に支持する第1の軸が、前記圧力解除レバーと前記加圧レバーとを回動自在に支持する第2の軸と前記ロック部材の他端とを結ぶ延長線上を、第2の軸を中心にして回転して通過すると好ましい。
【0022】
また、前記ロック部材は、前記加圧位置では第2の軸と嵌合し、前記圧力解除位置では第2の軸との嵌合が解除されるように構成され、前記圧力解除位置から前記加圧位置に移動する際、前記ロック部材に設けた突起を第2の軸が乗り越えると好ましい。
【0023】
また、前記ロック部材は、前記加圧位置では第2の軸を支持する軸受と嵌合し、前記圧力解除位置では前記軸受との嵌合が解除されるように構成され、前記圧力解除位置から前記加圧位置に移動する際、前記ロック部材に設けた突起を前記軸部軸受が乗り越えると好ましい。
【0024】
また、前記圧力解除レバーは、その一端が、画像形成装置本体に開閉自在に支持されたカバーと係合可能に設けられ、その回動動作が前記カバーの開閉動作と連動可能に設けられたと好ましい。
【0025】
また、前記加圧解除レバーの一端に前記カバーと摺接するコロが設けられていると好ましい。
また、前記互いに対向する一対の定着部材により記録材を挟み込む加圧力を可変とすると好ましい。
【0026】
また、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置を備えると好ましい。
また、使用するトナーが、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマーと、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物と、顔料系着色剤を含むトナー組成分と、を溶解または分散させて油性分散液とし、前記溶解または分散させた分散物を水系媒体中で架橋反応および/または伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーであって、該トナーの粒子中に分散された前記顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下である電子写真用トナーであると好ましい。
【0027】
また、前記トナーは、前記顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下であると好ましい。
また、前記トナーは、トナー粒子の重量平均粒径をDv、個数平均粒径をDnとしたとき、Dvが3.0〜7.0μmであり、粒径分布をDv/Dnとするとき、1.00≦Dv/Dn≦1.20であると好ましい。
【0028】
また、前記トナーは、円形度が0.900〜0.960であると好ましい。
また、前記トナーは、トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあると好ましい。
【0029】
また、前記トナーは、該トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gであると好ましい。
また、前記トナーは、その製造過程において前記油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していると好ましい。
また、キャリアに前記トナーを混合させて現像剤として用いると好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の定着装置によれば、モータ等の外部駆動装置を用いないで定着部材の加圧状態を解除できるので、軽量化とコスト低減を図ることができる。また、加圧レバーの回転中心軸とは逆の端部で加圧レバーとロック部材とが引っ張りコイルスプリングにより引っ張られるので、ロック部材上を摺動する部材が受ける摩擦力を小さくでき、高い耐久性を得ることができる。
【0031】
さらに、加圧位置では定着ベルトに張力が付与され圧解除位置では定着ベルトの張力が解除されるので、ベルトにテンションを付与するためのテンションローラを省略することができ、コスト低減が可能になるとともに、テンションローラの吸熱により立ち上がりが遅くなることを防止できるために省エネ性も向上することができる。
【0032】
本発明の画像形成装置によれば、ジャム処理時に定着装置の定着部材の圧解除が簡単にできるので、操作性に優れた画像形成装置とすることができる。また、定着装置の立ち上がりが速いことからファーストプリント時間の短縮が可能となる。
【0033】
本発明のトナーを用いることにより、色再現、彩度、透明性、光沢性に優れた高品質な画像を形成することが可能となる。また、長期にわたる使用においても、良好で安定した現像性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態において、画像形成装置は、電子写真方式でタンデム式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタ(以下「プリンタ」と記す)である。ただし、画像形成装置としては、図1に示すプリンタに限らず、複写機、ファクシミリ装置等であってもよい。
【0035】
まず、図1を用いてプリンタとしての基本構成とその動作について説明し、その後に本発明に特有な構成と作用について説明する。
図1に示すプリンタは、その基部となる画像形成装置本体1の下部に、記録材としての用紙29が収納される給紙カセット2が配設され、その上方に画像形成部3を配置した構成となっている。画像形成部3には、像担持体を備えた複数の作像手段として4個の作像ユニット8Y,8C,8M,8BKを備えた作像部8と、複数のローラ4,5,6と、これらローラに巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された中間転写体としての中間転写ベルト7aとを有する中間転写ユニット7と、各像担持体に光書込みを行う光書込み部としての光書き込みユニット15と、用紙29にトナー像を定着する定着手段22とが設けられている。作像ユニット8Y,8C,8M,8BKと中間転写ユニット7は、装置本体1に対して着脱自在とされている。
【0036】
給紙部2から定着手段22までの間には、用紙29を搬送する搬送経路Rが形成されている。ローラ6は搬送経路Rに臨んで配置されている。本形態において、中間転写ユニット7、作像部8、光書き込みユニット15及び定着手段22は、装置内部の構成要素をなし、装置本体1内の略中央に配置されている。
【0037】
中間転写ベルト7aのローラ4とローラ5間は、このベルトの下部側ベルト走行辺に相当している。中間転写ベルト7aには、ローラ6と対向する部位に2次転写装置となる2次転写ローラ20が搬送経路Rに臨むように配設され、ローラ4と対向する部位にベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置21が配設されている。
【0038】
作像部8は、この下側走行辺に対向するように配置されることで、中間転写ベルト7aの下方に配設されている。各作像ユニットは、中問転写ベルト7aに接する像担持体としての感光体ドラム10をそれぞれ具備している。各感光体ドラム10の周りには、帯電装置11、現像装置12、クリーニング装置13がそれぞれ配置されている。各感光体ドラム10が中間転写ベルト7aに接する位置における中間転写ベルト7aの内側には、1次転写を行う転写手段としての転写ローラ14がそれぞれ設けられている。
【0039】
本形態において、作像ユニット8Y,8C,8M,8BKは、基本的には同一構造に構成されており、図1では代表して作像ユニット8BKの構成にのみ符号を付している。各作像ユニットにおいて異なるのは、各現像装置12に収納されている現像剤としてのトナーの色だけである。作像ユニット8Y,8C,8M,8BKの各現像装置12には、それぞれイエロー,シアン,マゼンタ、ブラックのトナーが収納されている。各現像装置12には、トナーが減ると、装置本体1の上部に配設されたトナー補給ボトルT1,T3,T3,T4から補給用のトナーがそれぞれ供給される。
【0040】
光書き込みユニット15は、光変調されたレーザ光Lを各感光体ドラムの表面に照射して、感光体表面に色毎の潜像を形成するものであり、本形態では、作像部8の下方に配置されている。
【0041】
トナー補給ボトルT1,T2,T3,T4、中間転写ユニット7、作像部8、光書き込みユニット15は、同一方向に傾斜して装置本体1に内に配設されていて、これら要素を装置本体1内に水平に配置する場合に比して、その設置面積が小さくされている。
【0042】
画像形成動作が開始されると、各作像ユニット8の感光体ドラム10が図示しない駆動装置によって時計方向に回転駆動され、各感光体ドラムの表面が帯電装置11によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体ドラムの表面には、光書き込みユニット15からレーザ光Lがそれぞれ照射されて、それぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0043】
このとき、各感光体ドラムに露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像は、各感光体と現像装置12の間を通るとき、各現像装置12のトナーによってトナー像として可視像化される。
【0044】
中間転写ベルト7aが巻きかけられた複数のローラ4,5,6のうち、1つのローラが図示していない駆動装置によって反時計方向に回転駆動され、これにより中間転写ベルト7aが矢印で示す反時計周り方向に走行駆動され、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト7aには、イエローのトナーを有する現像装置12を具備する作像ユニット8Yで形成されたイエロートナー像が転写ローラ14によって転写される。
【0045】
その転写されたイエロートナー像には、作像ユニット8C,8M及び8BKで形成されたシアントナー像、さらにマゼンタトナー像及びブラックトナー像が転写ローラ14によって順次重ね転写され、かくして中問転写ベルト7aはその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0046】
トナー像が転写された後の各感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、各クリーニング装置13によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0047】
給紙部2から給紙される用紙29は、搬送経路Rに送り込まれ、2次転写ローラ20よりも給紙側に配設されたレジストローラ対24によって給紙タイミングを計られて、ローラ6と2次転写ローラ20との対向部に給送される。そして、このとき2次転写ローラ20には、中問転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト7aの表面のトナー像が用紙29上に一括して転写される。
【0048】
トナー像が転写された用紙29は、定着手段22へと搬送され、定着手段22を通過する際に熱と圧が加えられてトナー像が熔融されて定着される。トナー像が定着されたプリント物29Aは、搬送経路Rの終端に位置し、装置本体1の上部により構成された排出部23へと搬送され、装置本体1の上部に構成された積載部36へと排出される。トナー像を用紙29に転写後の中間転写ベルト7aは、このベルトに残留したトナーがクリーニング装置21より除去される。
【0049】
このように構成されたプリンタは、4個の作像ユニット8Y,8M,8C及び8BKを中間転写ベルト7aに対向して設け、中間転写ベルト7aに順次各色のトナー像を重ね転写するため、作像手段が1つで4色の現像装置を持ち、中間転写ベルト上にトナー像を重ね転写し、その後用紙に転写する形式のものと比べて作像時間を大幅に短縮することができる。また、装置本体1の上部に積載部36が構成されているので、装置本体1から積載部36が周囲に飛び出ることがなく、設置面積や占有面積が小さくなる。
【0050】
以上の説明は、用紙29上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、作像部8の作像ユニットのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。また、本形態のプリンタを用いてモノクロ印刷をする場合には、作像ユニット8BKの感光体ドラム上にのみ静電潜像を形成して同ユニットによって現像して用紙29に転写し、定着手段22で定着すればよい。
【0051】
次に本発明の特徴的な構成について説明する。
定着装置22が設けられた近傍の画像形成装置本体1には、カバー100が支点101を中心に画像形成装置本体に対して開閉自在に装着されている。図1はカバー100が閉じている状態を示す。このカバー100が矢印Aで示す開方向に移動すると、定着装置22の周囲が装置外部に露呈する。定着装置22の一部は、後述するようにカバー100が開閉すると、その動作と連動して移動するように構成されている。
【0052】
本形態に係る定着装置22は、図2(a)に示すように、互いに対向する一対の定着部材の一方側を構成する加圧ローラ221と、定着部材の他方側を構成する、ローラ対222,223に巻き掛けられたベルト部材としての定着ベルト224とが互いに対向するように設けられている。ローラ222は、その内部に図示しない電源と接続された加熱源225を有し加熱ローラとして機能する。加圧ローラ221は、図示しない駆動モータによって回転駆動される駆動ローラを構成している。加圧ローラ221、ローラ222は、図示しない側板によって回転自在に支持されている。図2(a)において加圧ローラ221は、時計回り方向に回転し、定着ベルト224及びローラ222,223は、加圧ローラ221と接触することで反時計回り方向に従動回転する。
【0053】
加圧ローラ221はアルミ又は鉄等の芯金の上にシリコンゴムなどの弾性層を設けて形成されたもので、その表層はPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)やPTFE(poly tetra fluoro ethylene)で構成された離型層となっている。
【0054】
ローラ223の芯金の端部223aは軸受229で回転自在に支持されている。この軸受229は、ローラ223を加圧ローラ221に向かって接触/離間する方向に移動可能に図示しない側板に支持されていて、ローラ223を移動することにより定着ベルト224の表面を加圧ローラ221に圧接/解除するように構成されている。
【0055】
本形態では、加熱源225としてハロゲンヒータを用い、被加熱部材であり加熱循環部材となる加熱ローラ222,定着ベルト224を加熱しているが、例えば特開2001−242732号、特開2001−13805号に記載されているように誘導加熱方式を用いて加熱ローラ222及び定着ベルト224を加熱しても良い。加熱源225に対する電源としては、一般に商用電源(100V)から行われているが、この商用電源に補助電源を設け,当該補助電源から電力供給するようにしてもよい。補助電源としては特開2002−174988号に開示されているような、電気二重層コンデンサ(電気化学キャパシタ)を利用するのが好ましい。加熱循環部材としては、本形態では、加熱ローラを用いているが,特開2001−66933号に記載されているような無端帯状の部材を用いても良い。
【0056】
定着装置22は、ローラ223を加圧ローラ221に向かって加圧する加圧レバー230と、加圧レバー230に対して回動自在に支持された圧力解除レバー231と、圧力解除レバー231に対してその一端232aが回動自在に取りつけられたロック部材232と、ロック部材232の他端232bに係止され、ロック部材232を矢印Bで示すロック方向に引っ張る弾性部材としての引っ張りコイルスプリング233とを備えている。そして、圧力解除レバー231を回動させることにより、ロック部材232の位置を、加圧レバー230を介してローラ223を加圧ローラ221へ押圧する加圧位置と、ローラ223が加圧ローラ221から離間する圧解除位置とに切り替え可能とされている。
【0057】
すなわち、加圧レバー230は、その一端となる下端230aが図示しない側板に軸234で回動自在に支持されている。この加圧レバー230の他端となる上端230bには圧力解除レバー231の基端側231aが軸236によって回動自在に支持されている。
【0058】
圧力解除レバー231の先端側231bは、カバー100が図2(a)に示す閉状態と図2(b)に示す開状態との間で開閉動作する際に、カバー内部に設けられたリブと摺接しながら係合と、カバー100の開閉動作と連動して移動するように構成されている。
【0059】
ロック部材232の一端232aは、圧力解除レバー231の基端側(231a)に軸237で回動自在に支持されている。この軸237は、ロック部材232が図2(a)に示すロック位置と図2(b)に示す解除位置とへ移動する際に、圧力解除レバー231のヒンジ部となる軸236の両側にそれぞれ移動するように位置するよう構成されている。本形態において、軸237は、加圧解除レバー231が図2(a)に示すロック位置を占めるときには軸236を中心にしてロック部材232の他端232bと対向する側に配置され、加圧解除レバー231が図2(b)に示す解除位置を占めるときには、軸236を中心にしてロック部材の他端232bと同一側に配置される。ロック部材の一端232aと他端232bの間には、加圧解除レバー231が、図2(a)に示すように加圧位置を占めたときに、軸236が侵入してロック部材232と加圧レバー230をロック位置に保持し、加圧解除レバー231が図2(b)に示す解除位置を占めたときに、軸236が離脱してロック部材232と加圧レバー230をロック位置から解放する凹部239が形成されている。本形態においては、加圧解除レバー231は、図2(a),図2(b)において軸236を中心に反時計回りに移動した際に、ロック部材232に対してその上方から移動するので、凹部239は、ロック部材232の上方に向かってその開口が位置するように形成されている。凹部239は、軸236が凹部239に侵入している状態の時に、軸234のほほ真上で軸236を保持する位置に形成されている。
【0060】
このような構成によると、図2(a)に示す閉状態から図2(b)に示す開状態へとカバー100を移動すると、先端側231bがカバー100に押されて加圧解除レバー231が軸236を中心に反時計回り方向に回転する。この回転に伴い、加圧解除レバー231に軸237で回動自在に支持されているロック部材232が軸237側を下げられて回転する。すると凹部239に侵入していた軸236が凹部239から離脱する。このため、ロック部材232は、引っ張りコイルスプリング233により引っ張られて、軸237が軸236よりも図において右側に移動し、ロック部材232の他端232bと同一側、すなわち、引っ張りコイルスプリング233の方に近寄りこのスプリング233が自然長にまで戻る。ロック部材232が移動して軸236よりも他端232b側に位置すると、加圧解除レバー231には、引っ張りコイルスプリング233の引張力が作用するとともに、カバー100の重量が加わるので、加圧レバー230が軸234を中心にしてカバー100の倒れた方に移動する。このため加圧ローラ221への圧力が解除される。
【0061】
一方、カバー100を図2(b)に示す開状態から図2(a)に示す閉状態に向かって移動すると、先端側231bがカバー100に押され、加圧解除レバー231と加圧レバー230が加圧方向(図中右側)に移動し、ローラ223を定着ベルト224を介して加圧ローラ221に圧接させる。定着ベルト224と加圧ローラ221とが当接すると、加圧レバー230の移動が規制されるので、加圧解除レバー231が軸236を中心に時計回り方向に回転する。この回転に伴い、加圧解除レバー231に軸237で回動自在に支持されているロック部材232が引っ張りコイルスプリング233のばね力に抗して軸236を中心にしながら図中左方へ移動する。加圧解除レバー231の閉方向への移動が更に進むと、軸236が凹部239に侵入して加圧解除レバー231の移動が規制されると共に、ロック部材232に引っ張りコイルスプリング233のばね力が作用してロック方向Bに付勢される。このため、加圧解除レバー231は、ロック位置に保持されて、定着ベルト234と加圧ローラ221との加圧状態が保持される。
【0062】
このとき、加圧レバー230の回転中心軸234から最も遠い位置で加圧レバー230とロック部材232とが嵌合し、引っ張りコイルスプリング233のバネの力によりに加圧レバー230とロック部材232とがロック方向Bに引っ張られる。この場合、ロック部材232が最も遠い位置にあるので、「てこの原理」により加圧レバー230の回転中心軸234に近い位置で受ける場合に比べ小さい力で良く、従って軸236がロック部材232上を移動する際に受ける力も小さい。
【0063】
このように、本形態では、従来構成のようなモータ等の外部駆動装置を用いないで定着ベルト224と加圧ローラ221との加圧状態を解除するので、軽量化とコスト低減を図ることができる。加圧レバー230の回転中心軸234から最も遠い位置で加圧レバー230とロック部材232とが嵌合され、それを引っ張りコイルスプリング233が引っ張るので軸236がロック部材232上を摺動する際の摩擦力を小さくでき、高い耐久性を得ることができる。
【0064】
ところで、図11に示す従来装置の構成では、加圧ローラ221と、ローラ対222,223に巻き掛けられたベルト部材としての定着ベルト224とが互いに対向するように設けられている。加圧ローラ221、ローラ対222,223は、すべて図示しない側板によって回転自在に支持されている。前述したように、定着ベルト224はベルトの裏面側から熱源により加熱するため、効率よく定着ベルトを加熱するためには加熱ローラと定着ベルトができるだけ長い時間、接触している必要があり、またベルトの偏り等を防止するためにも適度な張力で定着ベルトが張架される必要があるため、ここでは張架を目的としたテンションローラ120が具備されている。図11では、テンションローラ120はベルト内側に具備されているが、装置の構成によりベルト外側に具備される場合もある。
【0065】
これに対し、本発明に係る、図2(a)、(b)で示したベルト定着装置では、加圧レバー230を介してローラ223を加圧ローラ221へ押圧する加圧位置とすることに伴ってベルトに張力が付与され、ローラ223が加圧ローラ221から離間する圧解除位置にすることに伴ってベルトの張力が解除された状態となるため、テンションローラが削除可能となり(テンションローラを設ける必要がなく)、コスト低減が可能になると共に、テンションローラの吸熱により立ち上がり性が遅くなることを防止できるために省エネ性も向上する。
【0066】
また、加圧解除レバー231を作動させるのに必要以上に引っ張りコイルスプリング233が伸びないので、操作時の作動力が小さくユーザーが操作し易くなるとともに、加圧解除レバー231の先端側231bとカバー100の内面との摺接による摩擦力が大きくなり過ぎず、部品の磨耗を防止することができる。さらに、引っ張りコイルスプリング233は、図2(b)に示すように、カバー100が解放され、加圧ローラ221に対する加圧が解除された状態においては自然長まで戻っているので、付勢した状態で各部を組み付けなくて済み、組付け性が良好となる。
【0067】
ユーザーはジャムが発生した場合にカバー100を開くが、本形態では、このカバー100を開くことで、定着装置22の定着ニップは解除されているので、ジャム紙を容易に取り除くことができるようになる。
【0068】
加圧解除レバー231は加圧位置にある場合に図3のようにロック部材232のヒンジ部となる軸237が引っ張りコイルスプリング233のフックポイントとなるロック部材の他端232bと加圧解除レバー232のヒンジ部となる軸236とを結ぶ延長線“O”よりも上にあると、ロック部材232が引っ張りコイルスプリング233によって引っ張られた場合に、時計回りに回ろうとするが、ロック部材232は軸236により規制されており位置が保持されている。圧解除レバー231を圧解除位置に回転させるとロック部材232の軸237は図6では反時計方向につれ回り延長線“O”よりも下に回り込んだ時点からは引っ張りコイルスプリング233の引張力によってそのまま時計方向に引っ張りコイルスプリング233が自然長に戻るまで回転する。このように構成することにより、スプリング長がいつも決まった位置で保持されるので加圧力を一定にすることができる。
【0069】
ロック部材232の軸237が延長線“O”の近傍にある場合は加圧解除レバー231の操作が不十分であると、その途中の位置で止まってしまい、その結果、加圧力が強すぎたり弱すぎたりして不適切になることがある。そこで、図4に示すように、ロック部材232の凹部239内に突起240を設けるとともに、ロック部材232の一端232aに軸237を遊嵌する長穴241を設け、加圧解除レバー231の軸236を完全に乗り越えられるようにする。このように構成すると、加圧解除レバー231が中途半端な位置で止まってしまうことを防止することができるので、より一層加圧力を安定させることができる。
【0070】
加圧解除レバー231の軸236がロック部材232に形成した突起240が乗り越える際に突起240と摺接するので、その部分の摩耗により経時で軸236が破損してしまうことが懸念される。このため、凹部239に、軸236を直接侵入させるのではなく、図5に示すように、軸236に軸受242を設け、軸受242の外周を突起240が乗り上げるようにすると、突起240と軸受242は摺接することなくつれまわるので摩耗する事がなくなり、耐久性が向上する。
【0071】
図2(a),図2(b)では、加圧解除レバー231の先端側231bをカバー100の内面に直接当接させる形態としたが、図6に示すように、先端側231bに回転自在なコロ243を設けることにより摩擦力を低減することができるので、より少ない力でカバー100の開閉が可能となり、ユーザーの操作性をより向上することができる。
【0072】
上記各形態では、圧力解除レバー231の先端側231bをカバー100と係合可能に設け、その回動動作をカバー100の開閉動作と連動可能に設けたが、図7(a),図7(b)に示すように、カバー100の開閉と連動しない構成であっても良い。この場合、カバー100を図7(b)に示す解放状態とすると、定着装置22が装置外部に露呈するので、この状態で加圧解除レバー231をユーザーが直接操作して、定着ベルト224と加圧ローラ221との加圧と解除を行うようにしても良い。
【0073】
次に、対向する一対の定着部材により記録材を挟み込む加圧力を可変とした第2実施形態について説明する。
図8に示す本第2実施形態では、図2(a)で説明した構成に加え、弾性体可変支持部材247を具備し、弾性体可変支持部材247の位置を変更することにより引っ張りコイルスプリング233の長さも変更可能となり、記録材を挟み込む圧力も変更可能となる。
【0074】
弾性体可変支持部材247の位置が左向き(図8(a))の状態では、引っ張りコイルスプリング233は図2(a)と同一の長さであり、記録材を挟み込む圧力も同一であるが、弾性体可変支持部材247の位置が右向き(図8(b))の状態では、引っ張りコイルスプリング233は図2(a)より延びた状態で保持されることになり、記録材を挟み込む圧力もより強く保持される。記録材を挟み込む圧力がより強く保持されることにより、転写紙上のトナー像はより定着性が良好になると共に、光沢度を高く制御することができる。これは後述する(請求項9以下に記載した)トナーを用いた場合、より顕著となる。
【0075】
図9は、記録材を挟み込む圧力を変えた場合の、定着部材の表面温度と光沢度の関係を示したグラフである。図2で示した定着装置の標準的な面圧は1010[g/cm]であるが、面圧を1350[g/cm]に上げることにより光沢度が上昇し、逆に670[g/cm]に下げることにより光沢度が低下することがわかる。この面圧の値は装置固有であり、また使用するトナーの特性により変化するものであるため、その中心値や可変範囲は適用する装置やトナーに合わせて設定するべきものである。尚、本発明において光沢度の測定には「ミノルタ社製、光沢度計 GM−60型(測定角=60°)」を使用した。
【0076】
逆に、記録材を挟み込む圧力をより弱く保持することにより、用紙対応性を向上することも可能になる。例えば封筒等の特殊な記録材を定着する場合には、記録材を挟み込む圧力が高いと記録材にシワが発生することがある。このような場合には記録材を挟み込む圧力を弱くする位置、即ち、引っ張りコイルスプリング233は図2(a)より縮んだ状態で保持するように位置を決めればよい。記録材を挟み込む圧力を記録材に最適な値になるように構成すればシワなどの不具合を発生することなく、トナーを定着することが可能となる。この場合、ニップ加圧力の低下に伴い定着性が低下する場合には、定着部材の制御温度を最適値に変更することにより、良好な定着性が維持可能となる。
【0077】
このように、記録材を挟み込む加圧力を可変とした構成により、連続的に所望の光沢度を得られ、且つ用紙対応力の高い定着装置を提供することが可能となる。なお、記録材を挟み込む圧力を可変とする方法は上記した加圧時の引っ張りコイルスプリング233の長さを調整する以外に、加圧レバー230が軸234に軸支される位置を可変にしたり、軸受229と加圧レバー230との接触位置を変更するなどの方法を用いても良い。
【0078】
以下に、本発明の定着装置に好適に用いられるトナーについて詳述する。
本件トナーは有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解または分散させ、該溶解または分散物を水系媒体中で架橋反応および/または伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーである。本発明において、「および/または」と言う表現は、「少なくともいずれか一方」の意味で用いている。
【0079】
従来から電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像とされた後、現像剤で顕像化され、次いで転写工程および定着工程を経て画像情報が再生される。この場合、現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。
【0080】
このような現像剤に用いられる電子写真用トナーは、通常、熱可塑性樹脂を、顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。このようにして得られるトナーには、必要ならば、流動性やクリーニング性を改善するために、無機または有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することが行なわれている。
【0081】
通常の混練粉砕法により得られるトナーは、一般的には、不定形で、その粒径分布はブロードで、流動性が低く、転写性が低く、定着エネルギーが高く、トナー粒子間で帯電量が不均一で、帯電安定性が低いと言う問題点があった。さらに、このようなトナーから得られる画像は、その画質が未だ不満足のものであった。
【0082】
一方、混練粉砕法による前記トナーの問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は、粉砕工程が含まれていないため、そのトナーの製造には練り工程および粉砕工程が必要でなく、エネルギーの節約、生産時間の短縮、製品収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、このような重合法により得られる重合トナー粒子における粒度分布も、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布の形成が容易である上、ワックスの内包化も容易で、トナーの流動性を大きく向上させることもできる。また、球形トナーを得ることも容易である。
【0083】
しかし、重合法によるトナーには未だ解消されていない課題も多い。重合法で得られるトナーは、重合過程において表面張力が作用するため、混練粉砕法に比較すると、粒子の真球度が高いものではあるが、そのトナー物性は未だ十分ではない。また、この方法ではトナーの形状をコントロール(異型化)することは容易でない。しかし、この方法は、帯電安定性、転写性については有利である。
【0084】
重合法のうちで広く行われている懸濁重合法によるトナーの製造方法では、それに用いるバインダ(結着樹脂)用モノマーは人体に対して有害性のスチレンモノマーやアクリルモノマーに限られ、そして得られるトナーにはこれらの成分が含まれるため、環境上の問題がある。また、得られるトナーは、ワックスを内包化するため、トナーを実践に使用したときに、トナーの感光体への付着は低減されるものの、トナーの定着性については、ワックスが粒子界面状に存在する粉砕法に比べて、内包化されている分、ワックスがトナー表面に染み出にくく定着効率の悪いトナーとなる。したがって、重合トナーは、消費電力に対しては不利なトナーとなってしまう。さらに、重合トナーの場合、その定着性向上を図るためワックスを増量したり、ワックスの分散粒径を大きくすると、カラートナーとして用いる場合、そのカラー画像の透明性が悪化するため、OHPによるプレゼンテーション画像形成用トナーとして用いるには不適なものとなる。
【0085】
重合トナーの製造法には、懸濁重合法の他、異型化が比較的可能な乳化重合法などもある。乳化重合法においても、そのモノマーはスチレンモノマーに限られる。この方法の場合も、その未反応モノマー分のトナー粒子からの完全除去や、乳化剤、分散剤のトナー粒子からの完全除去はむずかしく、トナーによる環境問題をも生じるようになってきている。
【0086】
トナーの製造法として溶解懸濁法が知られている。この方法の場合、低温定着が可能なポリエステル樹脂を使用できるメリットはあるが、この方法の場合、低温定着性樹脂や着色剤を溶剤に溶解または分散する工程において高分子量成分を加えるため、液粘度が上がり生産性上の問題が発生するようになる。さらに、この溶解懸濁法においては、トナーの表面形状に関し、球形で且つ表面を凹凸形状にすることによりトナーのクリーニングの改善を図っているが、このようなトナーは規則性のない不定形トナーであるため、帯電安定性にかけ、さらに耐久性や離型性にも問題があり、満足すべきトナー品質は得られていない。
【0087】
トナーの流動性改良、低温定着性改良、ホットオフセット性改良を目的に、トナーバインダとしてウレタン変性されたポリエステルの伸長反応物からなる実用球形度が0.90〜1.00の乾式トナーが提案されている。また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナーが公開されている。これらのトナーの製造方法は、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でアミンと重付加反応させる高分子量化工程を含むものである。
【0088】
しかしながら、前記のような重合法により得られる重合トナーの場合、顔料の分散が悪く、顔料はトナー中に不均一に分散しているために、このトナーにより得られた画像は、透明性が低く、彩度(鮮やかさ)に劣るという問題点を有するものであった。特に、前記トナーを用いてOHPシート上にカラー画像を形成した場合、その画像は暗い画像となる問題点を生じた。
【0089】
それを解決するため、ポリエステル系樹脂をバインダとする電子写真用トナーにおいて、顔料系着色剤が高分散して、透明性および彩度(鮮やかさ、光沢)にすぐれた高品質の画像を与えるとともに、粉体流動性、耐ホットオフセット性、帯電安定性および転写性にすぐれた電子写真用トナーが提案された。
【0090】
本発明の定着装置および画像形成装置は、それらのトナーを用いることによってさらに、色再現、彩度、透明性に優れた画像を形成可能となる。
以下に、上記トナーの構成およびその特徴部分を説明する。
(1)有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解または分散させて油性分散液とし、前記溶解または分散された分散物を水系媒体中で架橋反応および/または伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの粒子中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下である。
【0091】
以下の特徴部分は、(1)の構成に単独または複合で付加されるものである。
(2)前記着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下である。
(3)トナー粒子の重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)である。
(4)円形度が0.900〜0.960である。
(5)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にある。
(6)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gである。
(7)油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解している。
(8)これらの構成、特徴を有するトナーをキャリアに混合させた現像剤。
【0092】
なお、このトナーは言うまでもなく、白黒用トナー、およびカラートナーとして応用可能なものである。
以下、の詳細を説明する。
【0093】
有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーAが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子および/またはポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーAをポリアミンおよび/または活性水素含有基を有するモノアミンBと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂Cを含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られるものである。油性分散液に溶解または分散されている物を単に分散物と呼ぶ。
【0094】
ウレア変性ポリエステル系樹脂Cにおいて、そのTgは40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
【0095】
このトナーは、該プレポリマーAと該アミンBとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cをバインダ樹脂として含む。そして、そのバインダ樹脂中には着色剤が高分散している。
【0096】
前記トナーについて鋭意検討を重ねた結果、トナー粒子中に含まれる顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径を0.5μm以下に規定するとともに、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合を5%以下にコントロールすることにより、低温定着性、帯電安定性および流動性にすぐれるとともに、高品質の画像を与え、特に、透明性の良い光沢性にすぐれたカラー画像を与えるトナーが得られることを見出した。
【0097】
さらに検討した結果、該着色剤の分散粒径を個数平均径で0.3μm以下に規定するとともに、個数平均径が0.5μm以上の個数割合を10%以下にコントロールすることにより、さらに高品質のトナーが得られることを知見した。このようなトナーは、画像解像力にすぐれ、デジタル方式の現像装置用トナーとして好適なものとなる。特に、カラートナーの場合、解像力および透明性にすぐれ、色再現性の良い高品質のカラー画像を与える。
【0098】
着色剤が均一に分散した前記トナーを得るには、トナーの製造条件に工夫を講ずることが必要であり、従来の製造条件では、前記した如き高品質のトナーを得ることはできない。
前記高品質トナーを得るには、プレポリマーA、着色剤および離型剤を含む油性分散液を形成させるに際し、該着色剤を粉砕する工程(湿式粉砕工程)を採用することが必要である。この場合の湿式粉砕工程を実施するための湿式粉砕装置としては、液体中で着色剤に衝撃力を与えて微粉砕し得る装置であればよく、任意のものを用いることができる。このようなものとしては、従来公知の各種の湿式粉砕装置、例えば、ボールミルやビーズミル等が挙げられる。
【0099】
前記湿式粉砕工程において、その温度は5〜20℃、好ましくは15〜20℃である。
前記湿式粉砕条件を調節することにより、トナー粒子中に含まれる着色剤の分散粒径および粒度分布を前記範囲にコントールすることができる。
【0100】
前記湿式粉砕工程は、必要に応じ、反応後の分散液に対しても適用することができる。
さらに、前記高品質トナーを得るには、樹脂中に着色剤を高濃度で分散させたマスターバッチ着色剤粒子を着色剤材料として有機溶媒中に添加し、攪拌分散させる方法を好ましく採用することができる。このマスターバッチ粒子を用いることにより、分散粒径の小さな着色剤が均一に分散した、透明性の良いカラー画像を与えるトナーを得ることができる。
【0101】
このようなマスターバッチ着色剤粒子を好ましく製造するには、熱溶融性の樹脂と着色剤との混合物をその樹脂の溶融温度で高せん断力で混練し、得られた混練物を冷却固化し、この固化物を粉砕する。
【0102】
前記樹脂としては、前記プレポリマーA由来のウレア変性ポリエステル系樹脂Cと混和性の良い熱可塑性樹脂が用いられ、ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。前記熱可塑性樹脂において、その軟化点は100〜200℃、好ましくは120〜160℃であり、その数平均分子量Mnは、2500〜5000、好ましくは2500〜30000である。
【0103】
前記マスターバッチ着色剤粒子中の着色剤濃度は、10〜60重量%、好ましくは25〜55重量%である。
【0104】
次に、トナー中の顔料系着色剤の分散粒径等のトナー物性の測定法について詳述する。
トナー中の着色剤の分散粒径および粒度分布を測定するには、トナーをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームMT6000−XL(盟和商事)にてトナーを約100nmに超薄切片化した測定サンプルを用意する。
【0105】
これを電子顕微鏡(日立製作所社製 H−9000NAR)を用いて加速電圧100kVにしてTEM写真を10000〜40000倍にて複数個撮影し、その画像情報をIMAGE ANALYZERの画像処理解析装置LUZEX IIIにて画像データに変換する。対象顔料系着色剤粒子は粒径にして0.1μm以上の粒径を有する粒子について無作為にサンプリングが300回を超えるまで測定を繰り返し、平均粒径と粒度(粒径)分布を求める。
【0106】
本件高品質トナーにおいて、その重量平均粒径(Dv)は3〜7μmであり、その個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00≦Dv/Dn≦1.20である。Dv/Dnをこのように規定することにより、高解像度、高画質のトナーを得ることが可能となる。また、より高品質の画像を得るには、トナーの重量平均粒径(Dv)を3〜7μmにし、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)を1.00≦Dv/Dn≦1.20にし、且つ3μm以下の粒子を個数%で1〜10個数%にするのがよく、より好ましくは、重量平均粒径を3〜6μmにし、Dv/Dnを1.00≦Dv/Dn≦1.15にするのがよい。このようなトナーは、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナーの粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0107】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、逆に、転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明で規定した範囲よりもトナーの重量平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着して、キャリアの帯電能力を低下させる。一方、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生しやすくなる。これらの現象は、トナー中の微粉の含有率が大きく関係し、特に3μm以下の粒子含有量が10%を超えると、トナーのキャリアへの付着が生じにくくなる上、高いレベルで帯電の安定性を図ることがむつかしくなる。
【0108】
逆に、トナーの粒子径が本発明で規定した範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.20よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
【0109】
トナーの平均粒径および粒度分布は、カーコールターカウンター法により測定される。トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。本発明においてはコールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し測定した。
【0110】
次に、トナーの個数分布および体積分布の測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて形成した約1%NaCl水溶液である。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
【0111】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。本件高品質トナーに係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(Dv)と、その個数分布から求めた個数平均粒径(Dn)により、その比Dv/Dnを求めた。
【0112】
トナーの耐ホットオフセット性に関しては、これまでにもバインダ樹脂の分子量分布の制御を含む様々な検討が行われてきた。低温定着性と耐ホットオフセット性という相反する性質の両立を図るための方法としては、分子量分布の広いバインダ樹脂を用いる方法や、分子量が数十万〜数百万の高分子量成分と、分子量が数千から数万の低分子量成分を含む少なくとも2つの分子量ピークを有する混合樹脂を用いる方法等がある。高分子量成分が架橋構造を持っているかまたはゲルの状態であると、ホットオフセットにはより効果的である。しかし、光沢性や透明性なども求められているフルカラートナーにおいては、高分子量成分の多量の導入は好ましくない。本発明の場合、トナーはウレア結合を有する高分子量のウレア変性ポリエステル系樹脂を含むことから、透明性や光沢性を満足しながら、耐ホットオフセット性をも達成することが可能になった。
【0113】
トナー中に含まれるバインダ樹脂成分の分子量分布は、GPCにより以下のようにして測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラム溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定操作を行う。
【0114】
試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0115】
トナー中に含まれる前記バインダ成分の分子量分布におけるそのメインピーク分子量は、通常2500〜10000、好ましくは2500〜8000、さらに好ましくは2500〜6000である。分子量1000未満の成分の量が増えると耐熱保存性が悪化する傾向となる。一方、分子量30000以上の成分が増えると単純には低温定着性が低下傾向になるが、バランスコントロールでその低下を極力押さえることも可能である。分子量30000以上の成分の含有量は1%〜10%で、トナー材料により異なるが、好ましくは3〜6%である。1%未満では充分な耐ホットオフセット性が得られず、10%超では光沢性、透明性が悪化するようになる。
【0116】
トナー中に含まれるバインダ樹脂のMnは2500〜50000で、Mw/Mnの値は10以下である。10を超えると、シャープメルト性に欠け、光沢性が損なわれる。
【0117】
本件トナーの円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(シスメックス(株)製)により計測される。
本件トナーにおいて、その平均円形度は0.900〜0.960であり、本件トナーは、特定の形状と形状の分布を有すことが重要である。平均円形度が0.900未満ではトナーは不定形の形状を示し、満足した転写性やチリのない高画質画像を与えない。不定形のトナー粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することから、ファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも高い。そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起る。また、残されたトナーは次の現像工程のために除去しなければならず、クリーナ装置が必要であったり、トナーイールド(画像形成に使用されるトナーの割合)が低かったりする不具合点が生じる。粉砕トナーの円形度は本装置で計測した場合、通常0.910〜0.920である。
【0118】
トナー形状(円形度)の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法では粒子の投影面積が得られるが、円形度は、この投影面積と面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測した値である。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状およびトナーの形状分布を測定する。
【0119】
本発明のトナーを製造する方法は、無機微粒子および/またはポリマー微粒子を含む水系媒体中に分散させたイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAをアミンBと反応させる高分子量化工程を含む。この場合、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0120】
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。
ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコールなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0121】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
【0122】
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0123】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0124】
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0125】
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、得られるウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0126】
前記アミン(B)としては、ポリアミンおよび/または活性水素含有基を有するモノアミンが用いられる。この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。
このようなアミンには、2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。これらアミン(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0127】
さらに、プレポリマーAとアミンBとを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。その添加量は、生成するウレア変性ポリエステルに所望する分子量との関係で適宜選定される。
【0128】
アミン(B)とイソシアネート基を有するプレポリマー(A)との比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン(B)中のアミノ基[NHx](xは1〜2の数を示す)の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0129】
本製造方法においては、水系媒体中でイソシアネート基含有プレポリマーAとアミンBとを反応させる際に、該水系媒体中には、必要に応じ、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂Dを存在させることができる。このポリエステル系樹脂Dにおいて、そのTgは35〜65℃、好ましくは45〜60℃であり、そのMnは2000〜10000、好ましくは2500〜8000である。このポリエステル系樹脂Dとしては、ウレア変性ポリエステル(UMPE)を用いることができるが、このポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0130】
ウレア変性ポリエステル(UMPE)は、ワンショット法などの公知の方法により製造される。ウレア変性ポリエステル(UMPE)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜50万、さらに好ましくは3万〜10万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
【0131】
本製造方法においては、必要に応じて用いる前記ウレア結合で変性されたポリエステル系樹脂(UMPE)は単独使用だけでなく、このものと共に、変性されていないポリエステル系樹脂(PE)をトナーバインダ成分として含有させることもできる。(PE)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、(UMPE)の単独使用の場合よりも好ましい。(PE)としては、前記(UMPE)のポリエステル成分と同様なポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいPEの分子量は(UMPE)の場合と同様である。また、(PE)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(UMPE)と(PE)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、(UMPE)のポリエステル成分と(PE)は類似の組成が好ましい。(PE)を含有させる場合の(UMPE)と(PE)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(UMPE)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0132】
(PE)の水酸基価は5以上であることが好ましい。(PE)の酸価(mgKOH/g)は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには紙への定着時、紙とトナーの親和性がよく、低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性特に環境変動に対し悪化傾向がある。プレポリマーAとアミンBとの重付加反応においては酸価がふれると造粒工程でのぶれにつながり乳化における制御がむずかしくなる。
【0133】
本発明において、トナーバインダのガラス転移点(Tg)は通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満では耐熱性が悪化し65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
【0134】
本製造方法で用いる顔料系着色剤としては、従来公知の各種の顔料が使用できる。このようなものは、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等、およびそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナー中、通常、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0135】
着色剤は前記したように、樹脂と複合化されたマスターバッチ着色剤粒子として用いることが好ましい。
マスターバッチの製造において着色剤とともに混練されるバインダ樹脂としては、先にあげた変性、未変性のポリエステル系樹脂の他に、ポリスチレン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用される。
【0136】
マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0137】
本発明のトナーには、トナーバインダ、着色剤とともに離型剤(ワックス)を含有させる。このワックスとしては従来公知の各種のものが使用できる。このようなものとしては、例えば、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、および、ジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は、通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0138】
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知の各種のものが使用できる。このようなものには、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
【0139】
本製造方法において荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0140】
本製造方法で得られた着色剤含有トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0141】
この他、高分子系微粒子を用いることができる。このようなものとしては、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0142】
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においてもその流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルを好ましいものとして挙げることができる。
【0143】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0144】
次に、本発明のトナーの製造手順について詳述する。
先ず、油性分散液調製工程において、有機溶媒中に、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAが溶解し、着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を調製する。
【0145】
この油性分散液体は、それに含まれている着色剤を微粉砕し、均一分散させるために、これを、湿式粉砕工程において、湿式粉砕装置を用いて粉砕処理する。この場合、その粉砕処理時間は30〜120分程度である。
【0146】
次に、前記のようにして得られた油性分散液は、これを、分散(乳化)工程において、水系媒体に無機微粒子および/またはポリマー微粒子の存在下で分散(乳化)させて水中油型の分散液(乳化液)を形成させるとともに、この分散液中でそれに含まれるイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAを、反応工程において、アミンBと反応させてウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを生成させる。
【0147】
前記有機溶媒としては、ポリエステル系樹脂を溶解し、水に不溶であるか難溶もしくは微溶のものが用いられる。その沸点は、通常、60〜150℃、好ましくは70〜120℃である。このようなものとしては、例えば、酢酸エチルや、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0148】
着色剤としては、前記したマスターバッチ着色剤粒子を用いることが好ましく、これによって、着色剤の均一分散を効率良く行うことができる。
本発明においては、有機溶媒には、補助成分として、アミンに対して非反応性のポリエステル系樹脂Dを溶解させるのが好ましい。また、このポリエステル系樹脂Dは、水系媒体に分散させることもできる。
【0149】
油性分散液を水系媒体中に分散させる場合、その分散装置としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の分散機が適用できる。分散粒子の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、分散液の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0150】
油性分散液中に含まれるプレポリマーA、着色剤、離型剤およびポリエステル系樹脂D等のトナー固形物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー固形物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0151】
湿式粉砕処理した油性液体をその処理後水系媒体中に分散させるまでの時間は、できるだけ短時間であることが好ましい。
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0152】
トナー固形物を含む油性相を水が含まれる液体(水系媒体)に乳化、分散するためには、分散剤として、各種の界面活性剤(乳化剤)を用いることができるが、このようなものとしては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0153】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸および金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)およびその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0154】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0155】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。 商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0156】
水系媒体中に存在させる無機微粒子としては、水に不溶ないし難溶の従来公知の各種の無機化合物が用いられる。このようなものとしては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
【0157】
水系媒体中に存在させるポリマー微粒子としては、水に不溶ないし難溶性の従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、炭化水素系樹脂、含フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の疎水性高分子の微粒子が挙げられる。
【0158】
前記微粒子の粒径は、通常、トナーの粒径よりも小さくなり、粒径均一性の観点から、粒径比[微粒子の体積平均粒径]/[トナーの体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。かかる粒径比が、0.3より大きいと微粒子がトナーの表画に効率よく吸着しないため、得られるトナーの粒度分布が広くなる傾向がある。
【0159】
微粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナーを得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。例えば、体積平均粒子径5μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.0025〜1.5μm、特に好ましくは0.005〜1.0μmの範囲、10μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.005〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μmである。
【0160】
水系媒体中には、分散安定剤として、水系媒体中で高分子系保護コロイドを形成する各種の親水性高分子物質を存在させることができる。このような高分子物質において、それを構成するモノマー成分を示すと、以下のものを示すことができる。
【0161】
アクリル酸、メタクリル酸などの酸類、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するビニルモノマー等。
本発明において好ましく用いることのできる他の高分子物質としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
【0162】
本発明において、プレポリマーAとアミンBとの重付加反応後に得られた乳化分散液から、それに含まれる液状媒体を除去するためには、液状媒体除去工程において、系全体を徐々に昇温し、有機溶媒を蒸発除去する工程を含む方法を採用することができる。この有機溶媒の除去前の液攪拌の強さと有機溶媒の除去時間によりトナー円形度の制御が可能となる。ゆっくり脱溶媒することにより形状はより真球(円形度で表わすと0.980以上)になり攪拌を強く短時間に脱溶媒を行うことにより、凹凸状や不定形になり円形度で表わすと0.900〜0.950になる。水系媒体中に乳化分散させ、さらに反応させた後の乳化液を、脱液媒中に攪拌槽にて温度30〜50℃の強い攪拌力で攪拌しながら脱液媒を行うことにより、円形度の制御が可能で0.850〜0.990の範囲の形状制御が可能となる。これは造粒中に含有される酢酸エチル等の有機溶媒が急激に除去されることにより体積収縮が起ったものと考えられる。
【0163】
前記液状媒体の除去は、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成するとともに、水系分散剤を蒸発除去する方法を採用することも可能である。乳化分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、好ましくは使用される最高沸点の液状媒体のその沸点以上の温度に加熱された各種気流が用いられる。スプレイドライア、ベルトドライア、ロータリーキルンなどの短時間の処理で高品質トナーが得られる。
【0164】
反応後の分散液を、その反応後脱溶媒するまでの時間は、短時間であることが好ましいが、通常、25時間以内である。
なお、無機微粒子としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、そのリン酸カルシウム塩等の無機微粒子を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー粒子から無機微粒子を除去することができる。その他、酵素による分解操作によっても除去できる。
【0165】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、プレポリマーAとアミンBとの反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0166】
さらに、反応後の分散液の粘度を低くするために、水系媒体中には、プレポリマーやウレア変性ポリエステルが可溶の溶剤を添加することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることがその除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、などを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、プレポリマーAとアミンBとの反応後、常圧または減圧下にて加温してその溶剤を除去する。
【0167】
プレポリマーAとアミンBとの反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0168】
プレポリマーAとアミンBとの反応後の乳化分散液中のトナー粒子の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行うときには、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。この場合の分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
【0169】
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
乾燥後のトナー粒子を、必要に応じての離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子と混合して使用する場合、その混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって、トナー粒子表面でその異種粒子を固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0170】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0171】
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良い。この現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、シリコーン樹脂、含フッ素樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0172】
また、本発明のトナーは、キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0173】
以下実施例により本発明のトナーを更に説明する。
以下、「部」は重量部を示す。なお、各実施例で用いたトナーを表1に示す。
【0174】
[実施例1]
(添加用ポリエステルの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸230部を常圧下、210℃で10時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後160℃まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応させ、変性されていないポリエステル(a)(重量平均分子量Mw:85000)を得た。
【0175】
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸160部、テレフタル酸60部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させた後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応させた。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(1)(Mw:35000)を得た。
【0176】
(ケチミン化合物の製造例)
攪拌棒および温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行いケチミン化合物(1)を得た。
【0177】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)14.3部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、離型剤であるライスWAX(融点83℃)10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、40℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで5分攪拌した後、ビーズミルで30分間20℃において粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(1)とする。
【0178】
ビーカー内にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、この水分散液(1)に上記トナー材料油性分散液(1)およびケチミン化合物(1)2.7部を加え、攪拌を続けながらウレア反応させた。
【0179】
反応後の分散液(粘度:3500mP・s)を減圧下1.0時間以内に50℃以下の温度で有機溶剤を除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、次いで風力分級し、球形状のトナー母体粒子(1)を得た。
【0180】
次に、得られたトナー母体粒子(1)100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84) 0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
【0181】
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
以上のようにして、シアントナー(1)を得た。この顔料系着色材平均分散粒径は0.4μmで、0.7μm以上の個数%は3.5%であった。
【0182】
【表1】

【0183】
[実施例2]
(マゼンタマスターバッチ粒子の作製)
水 600部
Pigment Red 57 含水ケーキ(固形分50%) 200部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、 ポリエステル樹脂(酸価;3、水酸基価;25、Mn;3500、Mw/Mn;4.0、Tg;60℃)1200部を加え、150℃で30分混練後、キシレン1000部を加えさらに1時間混練した後、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、さらに3本ロールミルで2パスしマゼンタ色のマスターバッチ顔料(MB1−M)(平均粒径約0.2μm)を得た。
【0184】
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物856部、イソフタル酸200部、テレフタル酸20部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で250℃で6時間反応させ、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させた後、160℃まで冷却して、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応させた。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(2)(Mw:25000)を得た。
【0185】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(2)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、上記マゼンタ色のマスターバッチ粒子10部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで10000rpmで攪拌した後、実施例1同様にビーズミルにより湿式粉砕処理して、トナー材料油性分散液(2)を得た。
【0186】
次いで、実施例1と同様にして得た水分散液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして球形状の母体トナー粒子(2)を得た。
次いで、帯電制御材としてオリエント製、ボントロン E−84をE−89に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー(2)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.25μmで、0.5μm以上の個数%は1.0%であった。
【0187】
[実施例3]
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物755部、イソフタル酸195部、テレフタル酸15部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で220℃で8時間反応させ、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させた後、160℃まで冷却して、これに10部の無水フタル酸を加えて2時間反応させた。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(3)(Mw:25000)を得た。
【0188】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(3)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、実施例2のマスターバッチ粒子15部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで14000rpmで攪拌し、均一に分散させた後、ビーズミルにて15℃にて60分湿式粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(3)とする。
【0189】
ビーカー内にイオン交換水465部、炭酸ナトリウム10%懸濁液245部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部を入れ、攪拌して水分散液(3)を得た。次いでこの分散液(3)を40℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料油性分散液(4)を投入し10分間攪拌した後、化合物(1)2.7部を加え反応させた。その後40℃1時間以内で溶剤を除去し、次いで実施例2と同様にして、濾別、洗浄、乾燥した後、球形状の母体トナー粒子を(3)を得た。
【0190】
次に、この母体トナー粒子を用いた以外は実施例1同様にして、トナー(3)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.15μmで0.5μm以上の個数%は3.0%であった。
【0191】
<比較例1>
(トナーバインダの合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物354部、およびイソフタル酸166部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、比較トナーバインダ(11)を得た。この比較トナーバインダ(11)のTgは57℃であった。
【0192】
(トナーの作成)
ビーカー内に前記の比較トナーバインダ(11)100部、酢酸エチル溶液200部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、実施例1で使用したライスワックス5部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、比較分散液(11)を得た。この分散液(11)を用いた以外は、実施例1と同様にトナー化し、体積平均粒径6μmの比較トナー(11)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.70μmで0.7μm以上の個数%は35%であった。
【0193】
<比較例2>
(トナーバインダの合成)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後、80℃まで冷却し、トルエン中にてトルエンジイソシアネート14部を入れ110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、ピークトップ分子量7000のウレタン変性ポリエステルを得た。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物363部、イソフタル酸166部を実施例1と同様に重縮合し、ピーク分子量3800、酸価7の変性されていないポリエステルを得た。上記ウレタン変性ポリエステル350部と変性されていないポリエステル650部をトルエンに溶解、混合後、脱溶剤し、比較トナーバインダ母体粒子(12)を得た。この比較トナーバインダ(12)のTgは58℃であった。
【0194】
(トナーの作成)
比較トナーバインダ(12)100部、実施例2に使用したマスターバッチ粒子とカルナバワックズをそれぞれ10部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合した後、連続式混練機で混練した。ついでジェット粉砕機で微粉砕した後、気流分級機で分級し、体積平均粒径6μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して比較トナー(12)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.7μmで、0.5μm以上の個数%は15.0%であった。以上で得られた各トナーの評価結果を表2に示す。
【0195】
【表2】

【0196】
<評価方法>
(1)Tg測定法
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず、試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットに載せ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
【0197】
(2)酸価測定方法
JISK0070に規定の方法による。但し、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフラン等を用いる。
【0198】
(3)粉体流動性
ホソカワミクロン製パウダーテスタを用いてかさ密度(g/ml)を測定した。流動性の良好なトナーほど、かさ密度は大きい。以下の4段階で評価した。
×:0.25未満
△:0.25〜0.30
○:0.30〜0.35
◎:0.35以上
【0199】
(4)定着下限温度
定着ローラとしてテフロン(登録商標)ローラを使用した複写機[(株)リコー製複写機 MF−200]の定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
【0200】
(5)ホットオフセット発生温度(HOT)
上記定着下限温度と同様にして定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
【0201】
(6)光沢発現温度(GLOSS)
市販カラー複写機(PRETER550;リコー製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした。
【0202】
(7)ヘイズ度:
直読ヘイズコンピューター(HGM−2DP型)による。
【0203】
以上、本発明による高品質トナー(請求項14〜21記載のトナー)は、高画質、高精細の画像と低温定着性とホットオフセット性を両立したトナーであり、該トナーを用いた本発明による画像形成装置にて形成される画像は透明性及び彩度にすぐれ、光沢のコントロールが可能である。また、本発明のトナーは、帯電安定性及び色再現性に優れたトナーである。
【0204】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、定着部材を加熱する方法はヒータに限らず、誘導加熱方式も採用できる。また、定着ベルトが圧接される方の(他方の)定着部材も加熱手段により加熱するように構成しても良い。
【0205】
また、画像形成装置各部の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの配置順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】本発明に係る定着装置を備える画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略を示す断面構成図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施の形態である定着装置による加圧状態とカバーの閉状態を示す拡大図、(b)は定着装置の加圧解除状態とカバーの開状態を示す拡大図である。
【図3】ロック部材の構成と軸との位置関係を示す拡大図である。
【図4】突起を設けたロック部材の構成と軸との位置関係を示す拡大図である。
【図5】突起を設けたロック部材の構成と軸受を設けた軸との位置関係を示す拡大図である。
【図6】加圧解除レバーにコロを設けた形態を示す拡大図である。
【図7】(a)はカバーの開閉と連動しない構成の定着装置の加圧状態を示す拡大図、(b)は加圧解除状態を示す拡大図である。
【図8】加圧力を調整可能に設けた実施形態における加圧状態を示す拡大図であり(a)はニップ圧が低い状態、(b)はニップ圧が高い状態である。
【図9】定着部材の表面温度と光沢度の関係を示したグラフである。
【図10】従来の定着装置の一例を示す断面図である。
【図11】従来の定着装置の他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0207】
1 画像形成装置本体
22 定着装置
29A 記録材
100 カバー
221 一方の定着部材
224 定着ベルト(他方の定着部材)
230 加圧レバー
231 圧力解除レバー
232 ロック部材
232a ロック部材の一端
232b ロック部材の他端
233 弾性部材
236 第2の軸
237 第1の軸
240 突起
242 軸受
243 コロ
O 延長線
B ロック方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の定着部材により記録材を挟持し、熱および圧力を加えてトナー像を前記記録材上に定着させる定着装置において、
前記定着部材の一方を他方の定着部材に向かって加圧する加圧レバーと、前記加圧レバーに対して回動自在に支持された圧力解除レバーと、前記圧力解除レバーに対してその一端が回動自在に取りつけられたロック部材と、前記ロック部材の他端に係止され、該ロック部材をロック方向に引っ張る弾性部材とを有し、
前記圧力解除レバーを回動することにより前記ロック部材の位置を変位させて、前記加圧レバーを介して前記一方の定着部材が他方の定着部材を押圧する加圧位置と、前記一方の定着部材が他方の定着部材から離間する圧解除位置とに切り替え可能であり、
加圧位置では加圧レバーの回転中心軸とは逆の位置の端部において固定される前記加圧レバーと前記ロック部材とを前記弾性部材によってロック方向に引っ張る構成であり、
前記一対の定着部材の一方がローラ部材であり、他方の定着部材は複数のローラ部材に無端ベルト部材を巻き掛けた定着ベルトとして構成され、前記加圧位置では前記定着ベルトに張力が付与され、前記圧解除位置では前記定着ベルトの張力が解除されることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記圧解除位置から加圧位置に切換えられる際、前記加圧解除レバーと前記ロック部材とを回動自在に支持する第1の軸が、前記圧力解除レバーと前記加圧レバーとを回動自在に支持する第2の軸と前記ロック部材の他端とを結ぶ延長線上を、第2の軸を中心にして回転して通過することを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記加圧位置では第2の軸と嵌合し、前記圧力解除位置では第2の軸との嵌合が解除されるように構成され、前記圧力解除位置から前記加圧位置に移動する際、前記ロック部材に設けた突起を第2の軸が乗り越えることを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記加圧位置では第2の軸を支持する軸受と嵌合し、前記圧力解除位置では前記軸受との嵌合が解除されるように構成され、前記圧力解除位置から前記加圧位置に移動する際、前記ロック部材に設けた突起を前記軸部軸受が乗り越えることを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
【請求項5】
前記圧力解除レバーは、その一端が、画像形成装置本体に開閉自在に支持されたカバーと係合可能に設けられ、その回動動作が前記カバーの開閉動作と連動可能に設けられたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記加圧解除レバーの一端に前記カバーと摺接するコロが設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記互いに対向する一対の定着部材により記録材を挟み込む加圧力を可変とすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
使用するトナーが、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマーと、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物と、顔料系着色剤を含むトナー組成分と、を溶解または分散させて油性分散液とし、前記溶解または分散させた分散物を水系媒体中で架橋反応および/または伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーであって、該トナーの粒子中に分散された前記顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下である電子写真用トナーであることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記トナーは、前記顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下であることを特徴とする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トナーは、トナー粒子の重量平均粒径をDv、個数平均粒径をDnとしたとき、Dvが3.0〜7.0μmであり、粒径分布をDv/Dnとするとき、1.00≦Dv/Dn≦1.20であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記トナーは、円形度が0.900〜0.960であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記トナーは、トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記トナーは、該トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gであることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記トナーは、その製造過程において前記油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していることを特徴とする、請求項9〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
キャリアに前記トナーを混合させて現像剤として用いることを特徴とする、請求項9〜15のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−69397(P2009−69397A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236800(P2007−236800)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】