説明

定着装置および画像形成装置

【課題】 被定着部材にトナー像を定着するときの定着性に優れた定着装置、および該定着装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 定着装置12は、定着ベルト124と、定着ベルト124を張架する定着ローラ121および加熱ローラ123と、定着ベルト124を介して定着ローラ121に圧接する加圧ローラ122とを備える。そして、定着ローラ121の表層である弾性層121bは、定着ベルト124を介して加圧ローラ122によって圧接されているときの押込み率が40%以上であり、アスカーC硬さが20度以上30度未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を定着させる定着装置および該定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法に基づいて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」という)は、良好な画質品位を有する画像を容易に形成することができる。画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置および複合機などに広く利用される。
【0003】
このような画像形成装置に備えられる定着装置として、たとえば熱ローラ定着方式の定着装置が挙げられる。
【0004】
熱ローラ定着方式の定着装置は、定着ローラと、加圧ローラとを含む。定着ローラおよび加圧ローラは、互いに圧接するローラ対である。定着ローラおよび加圧ローラの少なくともいずれか一方の内部には、加熱手段としてハロゲンヒータなどの熱源が含まれる。
【0005】
定着装置において、熱源が定着に必要な所定の温度(以下、「定着温度」という)までローラ対を加熱した後に、未定着トナー像が形成された紙などの記録紙が、定着ローラと加圧ローラとの圧接部である定着ニップ部に供給される。定着ニップ部を通過する未定着トナー像は、定着ローラおよび加圧ローラの少なくともいずれか一方から伝わる熱と、定着ローラおよび加圧ローラによる圧力とによって、記録紙に定着される。定着ニップ部のうち記録紙が通過した部分(以下、「通紙部」という)は、温度が低下するが、熱源によって定着温度まで加熱される。
【0006】
定着ローラとして、弾性層を表面に設けた定着ローラ(以下、「弾性ローラ」という)が用いられると、定着ニップ部において、弾性ローラ表面の弾性層が未定着トナー像の凹凸に対応して弾性変形する。弾性ローラは、未定着トナー像を覆い包むようにして未定着トナー像に接触するので、単色画像に比べてトナー量の多いカラーの未定着トナー像に対して、定着性を良好にする。また、弾性ローラは、弾性ローラ表面の弾性層の歪み解放効果によって、単色画像に比べてオフセットしやすいカラートナーの離型性を向上させる。
【0007】
定着ニップ部における定着ローラおよび加圧ローラの形状であるニップ形状は、定着ローラ側に凸(逆ニップ形状)となるので、定着ローラと記録紙との剥離性能を向上させる。定着ローラと記録紙とを剥離する剥離手段として、たとえば剥離爪を用いることなく記録紙と定着ローラとの剥離が可能なセルフストリッピングが実現され、剥離手段に起因する画像欠陥が解消される。フルカラー印刷の可能な画像形成装置に備えられる定着装置では、弾性ローラの弾性層として、たとえばシリコンゴムなどが用いられる。
【0008】
フルカラー印刷の可能な画像形成装置に備えられる定着装置において、高速化に対応するためには、定着ニップ部の記録紙搬送方向の幅であるニップ幅を広くする必要がある。ニップ幅を広くする手段として、弾性ローラの弾性層を厚くし、または弾性ローラ径を大きくするという2つの方法が挙げられる。しかしながら、弾性ローラの弾性層の熱伝導性は非常に低いので、弾性ローラ内部に加熱手段がある弾性ローラの弾性層を厚くすると、プロセス速度を高速化した場合に、定着ローラの温度が定着温度に追従することができなくなる。また、弾性ローラ径を大きくすると、ウォームアップ時間が長くなったり、加熱手段の消費電力が増大する。
【0009】
このような問題点を解決するために、特許文献1には、定着ローラと、加圧ローラと、加熱ローラと、定着ベルトとを含んだベルト定着方式の定着装置が開示されている。特許文献1に開示される定着装置では、定着ローラと、加熱用ヒータを内部に含む加熱ローラとの間には、定着ベルトが掛け渡され、定着ベルトを介して、定着ローラと加圧ローラとが圧接される。
【0010】
このような定着装置では、熱容量が小さい定着ベルトを加熱するためウォームアップ時間が短く、また定着ローラにハロゲンランプなどの熱源を内蔵する必要がないので、スポンジゴムなどからなる低硬度の弾性層を厚く設けることができ、広いニップ幅を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−218601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来のベルト定着方式の定着装置では、特に、凹凸の大きな表面形状を有する記録紙に対して、多くのトナー量を必要とするカラーの未定着トナー像を定着するときの定着性に改善の余地がある。
【0013】
したがって本発明の目的は、記録紙にトナー像を定着するときの定着性に優れた定着装置、および該定着装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、被定着部材上のトナー像と接して該トナー像を前記被定着部材に定着させる無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面と接して該定着ベルトを加熱する加熱ローラと、
基材と該基材の表面に形成される弾性層とを含む定着ローラであって、前記加熱ローラと共に前記定着ベルトを張架し、前記被定着部材上のトナー像と前記定着ベルトを介して接する定着ローラと、
前記定着ベルトを介して前記定着ローラに圧接する加圧ローラとを備え、
前記弾性層は、
前記定着ベルトを介して前記加圧ローラによって圧接されているときの変形量の、圧接されていないときの厚み寸法に対する比率で表される押込み率が、40%以上であり、
アスカーC硬さが、20度以上30度未満であることを特徴とする定着装置である。
【0015】
また本発明の定着装置において、前記弾性層は、反発率が65%以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、定着装置は、無端状の定着ベルトと、定着ベルトを張架する加熱ローラおよび定着ローラと、加圧ローラとを備える。定着ベルトは、被定着部材上のトナー像と接して該トナー像を被定着部材に定着させる。加熱ローラは、定着ベルトの内周面と接して該定着ベルトを加熱する。定着ローラは、基材と該基材の表面に形成される弾性層とを含み、被定着部材上のトナー像と定着ベルトを介して接する。加圧ローラは、定着ベルトを介して定着ローラに圧接する。このように構成される定着装置では、定着ベルトを介して定着ローラと加圧ローラとが互いに当接する部分である定着ニップ部を、被定着部材が通過するときに、加熱ローラによって加熱された定着ベルトにトナー像が接することで、トナー像が被定着部材に定着される。
【0017】
そして、定着ローラの弾性層は、定着ベルトを介して加圧ローラによって圧接されているときの押込み率が40%以上であり、アスカーC硬さが20度以上30度未満である。
【0018】
定着ローラの弾性層における押込み率が40%以上であることによって、被定着部材の表面の微小な凹凸に対する弾性層の追従性を向上させることができるので、定着ベルトと接する被定着部材上のトナー像を均一に加熱することができる。さらに、定着ローラの弾性層におけるアスカーC硬さが20度以上30度未満であることによって、定着ニップ部の被定着部材搬送方向の幅であるニップ幅を広くすることができるので、被定着部材の定着ニップ部の通過時間を長くすることができ、定着ベルトと接する被定着部材上のトナー像を効率よく加熱することができる。
【0019】
したがって、本発明の定着装置は、被定着部材にトナー像を定着するときの定着性に優れたものとなる。
【0020】
また本発明によれば、定着ローラの弾性層は、反発率が65%以上である。ここで、反発率とは、長さ50cmの糸に吊るした外径11mmで重さが7gの錘が、静止状態において、定着ローラの中心軸線を含んだ水平面上に前記錘の重心が配置されるように接する最下点にあるとき、錘を前記最下点からH1=10cmの高さだけ引き上げ、錘を静かに放して錘を定着ローラに衝突させたときに錘が跳ね返った最下点からの高さをH2としたときに、反発率R=(H2/H1)×100で表されるものである。
【0021】
弾性層の反発率が65%以上であることによって、弾性層の歪み解放効果を大きくすることができるので、定着ニップ部を通過する被定着部材の定着ベルトに対する剥離性を向上させることができる。具体的には、定着ニップ部で圧縮され、歪みの生じた弾性層は、定着ニップ部の出口(被定着部材搬送方向下流側)で、その歪みが解放されるので、定着ニップ部の出口では、定着ベルトを介して弾性層と被定着部材との間にずれが生じる。その結果、定着ニップ部を通過する被定着部材の定着ベルトに対する剥離性を向上させることができる。
【0022】
また本発明によれば、画像形成装置は、被定着部材にトナー像を定着するときの定着性に優れた本発明の定着装置を備える。そのため、画像形成装置は、良好な画質品位を有する画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る定着装置12の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】定着ローラ121の反発性測定方法を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成を模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る定着装置12の構成を模式的に示す断面図である。定着装置12は、定着ローラ121と、加圧ローラ122と、無端状の定着ベルト124と、定着ベルト124を張架し加熱するための加熱ローラ123と、加圧ローラ122を加熱するための熱源である加圧ローラ用ヒータランプ122aと、加熱ローラ123を加熱するための熱源である加熱ローラ用ヒータランプ123aと、定着ベルト124の表面温度を検出する温度検出手段を構成する温度センサとして定着ベルト用サーミスタ125と、加圧ローラ122の表面温度を検出する加圧ローラ用サーミスタ126とを備える。
【0025】
定着装置12においては、定着ベルト124が定着ローラ121と加熱ローラ123との間に張架され、加圧ローラ122が定着ベルト124を介して定着ローラ121に対向するように配置されている。そして、定着ローラ121と加圧ローラ122と加熱ローラ123とは、それぞれの軸線が互いに平行となるように配置されている。
【0026】
定着装置12は、加熱ローラ123が定着ベルト124と接触して定着ベルト124を加熱し、定着ベルト124と加圧ローラ122とで形成する定着ニップ部12aを、所定の定着速度および複写速度で被定着部材である記録紙127aが通過したとき、記録紙127a上に担持されている未定着のトナー像127bを記録紙127a上に加熱加圧して定着するベルト定着方式の定着装置である。このようなベルト定着方式の装置である定着装置12は、熱容量が小さい定着ベルト124を加熱ローラ123で加熱する構成であるので、ウォームアップ時間が短く、かつ、消費電力の増大を抑えて省エネ化が達成できる。
【0027】
なお、未定着のトナー像127bは、たとえば、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)、非磁性二成分現像剤(非磁性トナーおよびキャリア)、磁性現像剤(磁性トナー)などの現像剤(トナー)によって形成される。また、定着速度とは所謂プロセス速度であり、複写速度とは1分あたりのコピー枚数のことである。また、記録紙127aが定着ニップ部12aを通過するときには、定着ベルト124は、記録紙127aのトナー像担持面に当接するようになっている。
【0028】
定着ローラ121は、略円筒形の形状を有し、略円筒形の中心軸から外周に向かって基材である芯金121a、および弾性層121bが形成される2層構造である。芯金121aには、鉄、ステンレス鋼、アルミニウムまたは銅などの金属あるいは、それらの合金などが用いられる。弾性層121bには、シリコンゴムまたはフッ素ゴムなどの耐熱性を有するゴム材料が適している。本実施形態において、定着ローラ121の直径は50mmである。芯金121aには、直径20mmのステンレス鋼が用いられ、弾性層121bには、厚さ15mmのシリコンスポンジゴムが用いられる。
【0029】
定着ローラ121は、略円筒形の中心軸を中心として回転可能に設けられ、加圧ローラ122の回転に従動回転する。定着ローラ121が、定着ベルト124を介して加圧ローラ122に圧接することによって、定着ベルト124を介して、定着ローラ121と加圧ローラ122とが互いに当接する部分である定着ニップ部12aが形成される。
【0030】
加圧ローラ122は、略円筒形の形状を有し、略円筒形の中心軸から外周に向かって芯金、弾性層および離型層が形成される3層構造である。芯金には、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム銅などの金属あるいは、それらの合金などが用いられる。弾性層にはシリコンゴムまたはフッ素ゴムなどの耐熱性を有するゴム材料が適している。離型層にはPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂が適している。本実施形態において、加圧ローラ122の直径は50mmである。芯金には、直径48mm、肉厚1mmの鉄(STKM)が用いられる。弾性層には、厚さ1mmのシリコンソリッドゴムが用いられる。離型層には、厚さ30μmのPFAチューブが用いられる。
【0031】
加圧ローラ用ヒータランプ122aは、加圧ローラ122の内部に配置され、加圧ローラ122を加熱する。図示しない制御回路が図示しない電源回路から加圧ローラ用ヒータランプ122aに電力を供給(通電)させることによって、加圧ローラ用ヒータランプ122aが発光し、加圧ローラ用ヒータランプ122aから赤外線が放射される。加圧ローラ122は、加圧ローラ122の内周面が加圧ローラ用ヒータランプ122aから放射される赤外線を吸収することによって、加圧ローラ122全体が加熱される。本実施形態では、定格電力1200Wの加圧ローラ用ヒータランプ122aが使用される。
【0032】
加圧ローラ122は、略円筒形の中心軸を中心として回転可能に設けられる。加圧ローラ122は、図示しない駆動手段である駆動モータによって回転駆動するローラ状部材である。定着ローラ121は、定着ベルト124を介して加圧ローラ122に圧接することで定着ニップ部12aを形成すると同時に、従動回転することによって定着ベルト124を搬送する。定着ローラ121は、加圧ローラ122とは逆方向に回転する。
【0033】
定着ローラ121と加圧ローラ122とは、所定の荷重、たとえば900Nで互いに圧接される。定着ローラ121と加圧ローラ122とが圧接されると、定着ニップ部12aが形成される。本実施形態においては、定着ニップ部12aの記録紙搬送方向の幅(以下、「ニップ幅」という)は14mmである。定着ニップ部12aには、未定着のトナー像127bを担持した記録紙127aが給紙される。記録紙127aが定着ニップ部12aを通過することによって、記録紙127aにはトナー像127bが定着される。記録紙127aが定着ニップ部12aを通過する際、定着ベルト124は、記録紙127aのトナー像担持面に当接し、加圧ローラ122は、記録紙127aにおけるトナー像担持面とは裏面側の面に当接する。
【0034】
加熱ローラ123は、略円筒形の形状を有し、略円筒形の中心軸から外周に向かって赤外線吸収層、芯金および保護層が形成された3層構造からなる。赤外線吸収層は、耐熱性のカーボン含有塗料が芯金内側に塗装、焼成されることによって形成される。芯金には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅などの金属またはそれらの合金が用いられる。保護層としては、PFAまたはPTFEなどのフッ素樹脂が適している。保護層は、定着ベルト124と加熱ローラ123との接触によって、定着ベルト124および加熱ローラ123が磨耗することを防ぐ。
【0035】
本実施形態においては、加熱ローラ123の直径は35mmであり、赤外線吸収層として厚さ10μmのカーボンブラック塗装が用いられ、芯金として直径35mmであって肉厚が0.7mmである中空アルミニウムが用いられる。保護層としては、厚さ20μmのPTFEコートが用いられる。
【0036】
加熱ローラ123の内部には、加熱ローラ123を加熱する加熱ローラ用ヒータランプ123aが配置される。図示しない制御回路が、図示しない電源回路から加熱ローラ用ヒータランプ123aに電力を供給(通電)させることによって、加熱ローラ用ヒータランプ123aが発光し、加熱ローラ用ヒータランプ123aから赤外線が放射される。加熱ローラ123は、加熱ローラ123の内周面が加熱ローラ用ヒータランプ123aから放射される赤外線を吸収することによって、加熱ローラ123全体が加熱される。本実施形態では、定格電力1200Wの加熱ローラ用ヒータランプ123aが使用される。加熱ローラ123には、加熱ローラ123から見て定着ローラ121が配置される方向とは逆方向に、所定の荷重、たとえば900Nが付与される。定着ベルト124にはテンションが与えられるので、加熱ローラ123は、定着ベルト124の回転に伴って回転する。
【0037】
定着ベルト124は、装着しない状態で、直径が75mmである。定着ベルト124は、ポリイミドなどの耐熱樹脂、または、ステンレスおよびニッケルなどの金属材料からなる中空円筒状の基材が形成される。基材の表面には、耐熱性および弾性に優れた、たとえばシリコンゴムなどのエラストマー材料からなる弾性層が形成される。弾性層の表面には、耐熱性および離型性に優れた、たとえばPFAまたはPTFEなどのフッ素樹脂である合成樹脂材料からなる離型層が形成される。定着ベルト124は、基材、弾性層および離型層の3層構成である。本実施形態においては、基材として厚さ70μmのポリイミドが用いられ、弾性層として厚さ200μmのシリコンゴムが用いられ、離型層として厚さ30μmのPFAチューブが用いられる。
【0038】
加熱ローラ123によって所定の温度に加熱された定着ベルト124は、定着ニップ部12aを通過する未定着のトナー像127bが形成された記録紙127aを加熱する。定着ベルト124は、加熱ローラ123と定着ローラ121とによって張架される。定着ベルト124は、加圧ローラ122の回転に従動し、矢符R2の方向に回転する。加圧ローラ122が矢符R1の方向に回転し、定着ベルト124が矢符R2の方向に回転することによって、記録紙127aが定着ニップ部12aを通過する。
【0039】
次に、本実施形態の定着装置12における定着ローラ121について、詳細に説明する。定着ローラ121は、前述したように、芯金121aと、該芯金121aの表面に形成された弾性層121bとを含む2層構造である。弾性層121bの押込み率、硬さ、および反発率は、以下の実験結果に基づいて設定される。
【0040】
<実験条件>
[定着装置の構成]
・定着ローラ121:芯金121aが直径20mmの円柱状の鉄からなり、弾性層121bが厚み15mmのシリコンスポンジゴムからなり、外径が50mmである。
【0041】
・加圧ローラ122:芯金が厚み1mmの中空円筒状の鉄からなり、弾性層が厚み1mmのシリコンソリッドゴムからなり、離型層が30μmのPFAチューブからなり、外径が50mmである。
【0042】
・加熱ローラ123:芯金が厚み0.7mmの中空円筒状のアルミニウムからなり、赤外線吸収層が厚み10μmのカーボンブラック塗料、保護層が厚み20μmのPTFEコートであり、外径が30mmである。
【0043】
・定着ベルト124:基材のポリイミド層が厚み70μm、弾性層であるゴム層が厚み200μm、離型層である表層のPFAチューブが厚み30μmである。
【0044】
[定着条件]
プロセス速度、すなわち定着速度は、330mm/sに設定し、記録紙は、坪量68gの普通紙を用いた。画像は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(B)の4色積層によって、記録紙搬送方向の先端に、トナー量が1.0mg/cmの黒べたで形成した。
【0045】
<評価方法>
[定着可能温度範囲]
定着可能温度の上限値として、記録紙上におけるオフセットの有無を目視で確認してオフセット開始温度を測定した。そして、定着可能温度の下限値として、定着可能最低温度を測定した。オフセット開始温度と定着可能最低温度との差を、定着可能温度範囲とした。定着可能温度範囲が広いほど、優れた定着性を有することを示す。
【0046】
[自己剥離温度範囲]
記録紙の定着ベルト124からの剥離性の指標として、自己剥離温度範囲を測定した。具体的には、剥離手段を用いない条件下において、記録紙が定着ニップ部12a通過後に、定着ローラ121が1/4回転するまでに定着ベルト124表面から離間できたかを判定することによって、自己剥離温度範囲を測定した。自己剥離温度範囲が広いほど、優れた記録紙剥離性を有することを示す。
【0047】
<実験A:弾性層の押込み率の設定>
定着ローラ121に対する加圧ローラ122による圧接荷重を変化させることで、定着ローラ121の弾性層121bにおける押込み率を変化させ、押込み率と、定着可能温度範囲および自己剥離温度範囲との関係を評価した。なお、本実験Aでは、弾性層121bのアスカーC硬さは20〜30度であり、後述する反発率を70%とした。
【0048】
定着ローラ121の弾性層121bの押込み率とは、定着ベルト124を介して加圧ローラ122によって圧接されているときの変形量の、圧接されていないときの厚み寸法に対する比率で表される。具体的には、加圧ローラ122によって圧接されているときの弾性層121bの厚み寸法を「M」、圧接されていないときの弾性層121bの厚み寸法を「N」としたとき、押込み率Lは、下記式(1)に基づいて算出される。
押込み率L(%)={(N−M)/N}×100 …(1)
評価結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
表1の結果から明らかなように、定着ローラ121の弾性層121bにおける押込み率が40%以上であることによって、定着可能温度範囲が広いことがわかる。この理由は、押込み率が40%以上であることによって、記録紙の表面の微小な凹凸に対する弾性層121bの追従性を向上させることができるので、定着ベルト124と接する記録紙上のトナー像を均一に加熱することができるためである。また、定着ローラ121の弾性層121bにおける押込み率が40%以上であることによって、広い自己剥離温度範囲を確保することができることもわかった。
【0051】
なお、定着ローラ121の弾性層121bにおける押込み率は、定着ニップ部12aの通過時間の増減に伴う熱の過不足による定着可能温度範囲を考慮すると、40%以上50%以下であることが好ましい。
【0052】
<実験B:弾性層の硬さの設定>
定着ローラ121に対する加圧ローラ122による圧接荷重を650Nに設定し、アスカーC硬さの異なる弾性層121bを有する定着ローラ121を用いることで、アスカーC硬さと、定着ニップ部12aにおけるニップ幅および定着可能温度範囲との関係を評価した。なお、弾性層121bのアスカーC硬さは、弾性層121bを構成するシリコンスポンジゴムの気泡の大きさなどによって調整することができる。
【0053】
また、本実験Bでは、弾性層121bにおける押込み率を45%とし、後述する反発率を70%とした。評価結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
表2の結果から明らかなように、定着ローラ121の弾性層121bにおけるアスカーC硬さが20度以上30度未満であることによって、定着可能温度範囲が広いことがわかる。この理由は、弾性層121bのアスカーC硬さが20度以上30度未満であることによって、定着ニップ部12aの記録紙搬送方向の幅であるニップ幅を15.5mm以上16.4mm以下に設定することができるので、記録紙の定着ニップ部12aの通過時間を長くすることができ、定着ベルト124と接する記録紙上のトナー像を効率よく加熱することができるためである。
【0056】
<実験C:弾性層の反発率の設定>
図2は、定着ローラ121の反発性測定方法を説明するための図である。定着ローラ121の弾性層121bにおける反発率は、次にようにして測定される。図2に示すように、まず、定着ローラ121は、水平に配置される。球状錘128aは、外径11mm、重さが7gであって、長さ50cmの糸128bに吊るされる。球状錘128aは、静止状態において球状錘128aの重心が定着ローラ121の中心軸線を含んだ水平面上に位置し、定着ローラ121と接するように配置される。球状錘128aがこのように配置された位置を最下点128cとする。球状錘128aを吊るす高さは、球状錘128aが最下点128cに位置するように調整される。
【0057】
次に、糸128bが弛まないように、球状錘128aは、最下点128cから10cm引き上げられる。球状錘128aが引き上げられた高さを初期高さH1とする。球状錘128aを引き上げる方向は、定着ローラ121の軸方向と垂直な方向である。球状錘128aが静かに放されると、球状錘128aは定着ローラ121に当たり跳ね返る。このとき、最も高く上がった位置と最下点128cとの垂直方向の差を戻り高さH2とする。定着ローラ121の弾性層121bの反発性が高いほどH2は高くなる。定着ローラ121の弾性層121bの反発率を「R」とした場合、反発率Rは、下記式(2)に基づいて算出される。
反発率R(%)=(H2/H1)×100 …(2)
【0058】
なお、弾性層121bの反発率は、弾性層121bを構成するシリコンスポンジゴムの気泡の大きさなどによって調整することができ、反発率の理論限界は100%である。
【0059】
また、本実験Cでは、弾性層121bにおける押込み率を45%とし、弾性層121bのアスカーC硬さを20度とした。
【0060】
弾性層121bの反発率と自己剥離温度範囲との関係を評価した評価結果を、表3に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
表3の結果から明らかなように、定着ローラ121の弾性層121bにおける反発率が65%以上であることによって、自己剥離温度範囲が広いことがわかる。この理由は、弾性層121bの反発率が65%以上であることによって、弾性層121bの歪み解放効果を大きくすることができるので、定着ニップ部12aを通過する記録紙の定着ベルト124に対する剥離性を向上させることができるためである。より具体的には、定着ニップ部12aで圧縮され、歪みの生じた弾性層121bは、定着ニップ部12aの出口(記録紙搬送方向下流側)で、その歪みが解放されるので、定着ニップ部12aの出口では、定着ベルト124を介して弾性層121bと記録紙との間にずれが生じる。その結果、定着ニップ部12aを通過する記録紙の定着ベルト124に対する剥離性を向上させることができる。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成を模式的に示す概略図である。画像形成装置100は、読み取った原稿の画像データやネットワークなどを介して送信された画像データに基づいて、記録紙127aに対して多色または単色の画像を形成する装置である。画像形成装置100は、露光ユニット1、感光体ドラム3(3a〜3d)、現像装置2(2a〜2d)、帯電装置5(5a〜5d)、クリーニングユニット4(4a〜4d)、中間転写ベルトユニット8、一次転写ローラ6(6a〜6d)、二次転写ローラ11、定着装置12、用紙搬送路S(S1〜S3)、給紙カセット10、手差し給紙トレイ20および排紙トレイ15を備えている。
【0064】
画像形成装置100は、ブラック(K)およびカラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色の各色相に対応した画像データを用いて、各色相に対応した各画像形成ユニットにおいて画像形成を行う。各画像形成ユニットは、同様の構成であり、たとえば、ブラック(K)の画像形成ユニットは、感光体ドラム3a、現像装置2a、帯電装置5a、一次転写ローラ6aおよびクリーニングユニット4aなどから構成される。シアン(C)の画像形成ユニットは、感光体ドラム3b、現像装置2b、帯電装置5b、一次転写ローラ6bおよびクリーニングユニット4bなどから構成される。マゼンタ(M)の画像形成ユニットは、感光体ドラム3c、現像装置2c、帯電装置5c、一次転写ローラ6cおよびクリーニングユニット4cなどから構成される。イエロー(Y)の画像形成ユニットは、感光体ドラム3d、現像装置2d、帯電装置5d、一次転写ローラ6dおよびクリーニングユニット4dなどから構成される。これらの画像形成ユニットは、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルト7の移動方向に一列に配列されている。
【0065】
帯電装置5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる接触方式のローラ型の帯電器である。ローラ型の帯電装置5に代えて、帯電ブラシを用いた接触方式の帯電器、または、帯電ワイヤを用いた非接触方式の帯電器を用いることもできる。
【0066】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。本実施形態では、露光ユニット1として、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いる。ただし、露光ユニット1として、発光素子をアレイ状に並べた、たとえばELやLED書込みヘッドを用いてもよい。
【0067】
現像装置2は、静電潜像が形成された感光体ドラム3の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像する。現像装置2a〜2dのそれぞれは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色相のトナーを収納しており、感光体ドラム3a〜3dのそれぞれに形成された各色相の静電潜像を、各色相のトナー像に顕像化する。クリーニングユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0068】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット8は、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルトテンション機構73、中間転写ベルト従動ローラ72、一次転写ローラ6(6a〜6d)、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0069】
中間転写ベルト7は、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルトテンション機構73、一次転写ローラ6、中間転写ベルト従動ローラ72によって張架され、図3の矢印B方向に回転駆動される。中間転写ベルト7の外周面は、感光体ドラム3d、感光体ドラム3c、感光体ドラム3bおよび感光体ドラム3aにこの順に対向する。この中間転写ベルト7を挟んで各感光体ドラム3a〜3dに対向する位置に、一次転写ローラ6a〜6dが配置されている。中間転写ベルト7が感光体ドラム3a〜3dに対向する位置のそれぞれが一次転写位置である。また、中間転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムで形成されている。
【0070】
一次転写ローラ6a〜6dは、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構73の中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。一次転写ローラ6a〜6dには、感光体ドラム3a〜3dの表面に担持されたトナー像を中間転写ベルト7上に転写するために、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム3a〜3dに形成された各色相のトナー像は、中間転写ベルト7の外周面に順次重ねて転写され、中間転写ベルト7の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0071】
ただし、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の色相の一部のみの画像データが入力された場合には、4つの感光体ドラム3a〜3dのうち、入力された画像データの色相に対応する一部の感光体ドラム3のみにおいて静電潜像およびトナー像の形成が行われる。たとえば、モノクロ画像形成時には、ブラックの色相に対応した感光体ドラム3aのみにおいて静電潜像の形成およびトナー像の形成が行われ、中間転写ベルト7の外周面にはブラックのトナー像のみが転写される。
【0072】
各一次転写ローラ6a〜6dは、直径8mm〜10mmのステンレスなどの金属を基材とする軸の表面を導電性の弾性材(たとえばEPDM、発泡ウレタンなど)によって被覆して構成されており、導電性の弾性材によって中間転写ベルト7に均一に高電圧を印加する。
【0073】
各一次転写位置において中間転写ベルト7の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって、二次転写ローラ11との対向位置である二次転写位置に搬送される。二次転写ローラ11は、画像形成時において、内周面が中間転写ベルト駆動ローラ71の周面に接触する中間転写ベルト7の外周面に所定のニップ圧で圧接されている。給紙カセット10または手差し給紙トレイ20から給紙された記録紙127aが、二次転写ローラ11と中間転写ベルト7との間を通過する際に、二次転写ローラ11にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト7の外周面から記録紙127aの表面にトナー像127bが転写される。
【0074】
二次転写ローラ11は上記ニップ圧を定常的に得るために、二次転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方を硬質材料(金属など)からなるローラとし、他方を、軟質材料(弾性ゴム、発泡性樹脂など)からなる弾性ローラとする。
【0075】
また、二次転写位置の近傍には、中間転写ベルト7に担持されたトナー像127bを検出する光学センサ55が配設されている。光学センサ55は、検出した光量に基づいた量の検出電圧を出力する。
【0076】
なお、感光体ドラム3から中間転写ベルト7に付着したトナーのうち、記録紙127a上に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程での混色を防止するために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触するクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられる。また、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト7は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72で支持されている。
【0077】
トナー像127bが転写された記録紙127aは、前述した本発明に係る定着装置12に導かれ、定着ニップ部12aを通過して加熱および加圧を受ける。これによって、トナー像127bが、記録紙127aの表面に堅牢に定着する。トナー像127bが定着した記録紙127aは、排紙ローラ253によって排紙トレイ15上に排出される。
【0078】
また、画像形成装置100には、給紙カセット10に収納されている記録紙127aを、二次転写ローラ11と中間転写ベルト7との間および定着装置12を経由して、排紙トレイ15に送るための略垂直方向に延びる用紙搬送路S1が設けられている。用紙搬送路S1には、給紙カセット10内の記録紙127aを一枚ずつ用紙搬送路S1内に繰り出すピックアップローラ161、繰り出された記録紙127aを上方に向けて搬送する搬送ローラ251、搬送されてきた記録紙127aを所定のタイミングで二次転写ローラ11と中間転写ベルト7との間に導くレジストローラ14、定着装置12を通過した後の記録紙127aを搬送する搬送ローラ252、記録紙127aを排紙トレイ15に排出する排紙ローラ253が配置されている。
【0079】
また、画像形成装置100の内部には、手差し給紙トレイ20からレジストローラ14に至る間に、ピックアップローラ162および搬送ローラ254,255,256を配置した用紙搬送路S2が形成されている。さらに、排紙ローラ253から用紙搬送路S1におけるレジストローラ14の上流側に至る間には、用紙搬送路S3が形成されている。
【0080】
排紙ローラ253は、正逆両方向に回転自在にされており、記録紙127aの片面に画像を形成する片面画像形成時、および、記録紙127aの両面に画像を形成する両面画像形成における第2面画像形成時に正転方向に駆動されて記録紙127aを排紙トレイ15に排出する。一方、両面画像形成における第1面画像形成時には、排紙ローラ253は、用紙の後端が定着装置12を通過するまで正転方向に駆動された後、記録紙127aの後端部を挟持した状態で逆転方向に駆動されて記録紙127aを、搬送ローラ257,258が配置された用紙搬送路S3内に導く。これによって、両面画像形成時に片面のみに画像が形成された記録紙127aは、表裏面および前後端を反転した状態で用紙搬送路S1に導かれる。
【0081】
レジストローラ14は、給紙カセット10または手差し給紙トレイ20から給紙され、または、用紙搬送路S3を経由して搬送された記録紙127aを、中間転写ベルト7の回転に同期したタイミングで二次転写ローラ11と中間転写ベルト7との間に導く。このため、レジストローラ14は、感光体ドラム3や中間転写ベルト7の動作開始時には回転を停止しており、中間転写ベルト7の回転に先立って給紙または搬送された記録紙127aは、前端をレジストローラ14に当接させた状態で用紙搬送路S1内における移動を停止する。この後、レジストローラ14は、二次転写ローラ11と中間転写ベルト7とが圧接する位置で、記録紙127aの前端部と中間転写ベルト7上に形成されたトナー像127bの前端部とが対向するタイミングで回転を開始する。
【0082】
本実施形態の画像形成装置100は、記録紙127aにトナー像127bを定着するときの定着性に優れた本実施形態の定着装置12を備える。そのため、画像形成装置100は、良好な画質品位を有する画像を形成することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 露光ユニット
2 現像装置
3 感光体ドラム
4 クリーニングユニット
5 帯電装置
6 一次転写ローラ
7 中間転写ベルト
8 中間転写ベルトユニット
9 中間転写ベルトクリーニングユニット
10 給紙カセット
11 二次転写ローラ
12 定着装置
100 画像形成装置
121 定着ローラ
121a 芯金
121b 弾性層
122 加圧ローラ
123 加熱ローラ
124 定着ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被定着部材上のトナー像と接して該トナー像を前記被定着部材に定着させる無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面と接して該定着ベルトを加熱する加熱ローラと、
基材と該基材の表面に形成される弾性層とを含む定着ローラであって、前記加熱ローラと共に前記定着ベルトを張架し、前記被定着部材上のトナー像と前記定着ベルトを介して接する定着ローラと、
前記定着ベルトを介して前記定着ローラに圧接する加圧ローラとを備え、
前記弾性層は、
前記定着ベルトを介して前記加圧ローラによって圧接されているときの変形量の、圧接されていないときの厚み寸法に対する比率で表される押込み率が、40%以上であり、
アスカーC硬さが、20度以上30度未満であることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記弾性層は、反発率が65%以上であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109238(P2013−109238A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255458(P2011−255458)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】