説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】定着装置での加熱定着時に、記録媒体からの溶媒の揮発を効率的に行うとともに、熱を効率的に利用し、定着温度を維持しやすくし、良好な定着を得ることができる定着装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体の通過可能な遮蔽膜を備えたケーシングを設けて、加熱された空気を閉じこめる定着空間を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤を用いて形成され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱し、定着する定着装置、及び該定着装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感光体(感光ドラム)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリヤ液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。
【0005】
感光体表面の潜像は、液体現像剤の薄層で現像され、感光体表面にトナー画像が形成される。このトナー画像は、記録媒体に転写される。あるいは、一旦中間転写体などに一次転写された後、記録媒体に二次転写される。
【0006】
記録媒体に転写されたトナー画像は、定着装置により加圧、加熱されるなどして、通常は紙である記録媒体に定着される。しかしトナー画像は、元々は溶媒としてのキャリヤ液にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像したものであり、トナーのみならず、トナー間、トナー紙間には溶媒(以後、キャリヤ液ともいう)が含まれている。しかもかなり高粘度である。
【0007】
高粘度のキャリヤ液の存在は、トナー画像定着時の定着性を阻害することが知られている。例えば、トナー画像と記録媒体がキャリヤ液によって濡れた状態になっているため、トナー画像の定着性を低下させる、また加圧定着時に画像のつぶれや乱れを生じさせたりすることもある。
【0008】
これに対して、定着時に未定着のトナー画像から溶媒(キャリヤ液)を効率的に除去しようとする技術が開発されてきた(例えば、特許文献1、2参照)。
【0009】
特許文献1によれば、ベルト方式の加熱定着により記録媒体とのニップ幅を拡大し、伝熱定着を行う技術が開示されている。また特許文献2によれば、定着前に予備加熱して溶媒を記録媒体から浮かせて除去し、その後定着を行うようにする技術が提唱されている。
【特許文献1】特開平8−16004号公報
【特許文献2】特開2003−167456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、広くしたニップ部で温度が高くなっても揮発した溶媒の逃げ場がなく、温度の割に溶媒の揮発量は少ない。効率的に溶媒を揮発させて、良好な定着性を得ることができるとは言い難い。
【0011】
また特許文献2の技術においては、加熱しても周囲の空気に伝熱し、空気とともに熱が放散してしまい、熱が効率的に利用されているとは言い難い。
【0012】
効率的に溶媒を揮発させ、良好な定着を得るには、記録媒体の加熱を効率的に行うとともに、空気を伝っての放熱をできる限り抑えることが必要である。しかし一方では、溶媒を揮発させるための空間が必要である。
【0013】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、定着装置での加熱定着時に、記録媒体からの溶媒の揮発を効率的に行うとともに、熱を効率的に利用し、定着温度を維持しやすくし、良好な定着を得ることができる定着装置、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0015】
1. 溶媒中にトナーを分散した液体現像剤を用いて形成され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱定着する定着装置であって、前記未定着画像を担持する前記記録媒体を加熱し、該記録媒体に含まれる溶媒を揮発させる加熱部材と、加熱された前記記録媒体から前記溶媒が揮発する周辺の空間を囲い込み、加熱された空気を閉じこめるケーシングと、を有し、前記ケーシングは、前記記録媒体が前記ケーシングに搬入される搬入部及び搬出される搬出部に、それぞれ開口と、該開口を遮蔽するための遮蔽膜を備え、少なくとも一方の前記開口における前記遮蔽膜は、該開口を遮蔽した状態で前記記録媒体を通過可能とすることを特徴とする定着装置。
【0016】
2. 前記加熱部材の少なくとも1つは、熱源を内包する回転可能なローラであり、前記ケーシングにおける前記搬入部の開口を遮蔽する位置に、前記ケーシングの備える前記遮蔽膜に接するように配設され、前記記録媒体を加熱しながら圧接し、回転することで前記ケーシング内に前記記録媒体を搬入可能とすることを特徴とする1に記載の定着装置。
【0017】
3. 前記ケーシングは、該ケーシング内の空気を排気するための排気口と、新たな空気を送り込むための吸気口と、を有することを特徴とする1または2に記載の定着装置。
【0018】
4. 予め定めた所定のタイミング毎に、前記記録媒体の定着を中断し、前記ケーシングにおける前記吸気口に対する空気の供給と、前記排気口からの前記ケーシング内の空気の排出とが行われることを特徴とする3に記載の定着装置。
【0019】
5. 前記ケーシングを通過し、定着された前記記録媒体が所定の枚数に達するタイミングを、前記所定のタイミングとして定めたことを特徴とする4に記載の定着装置。
【0020】
6. 像担持体と、該像担持体上に形成された潜像を溶媒中にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像する現像装置と、現像され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱定着する定着装置を備えた画像形成装置であって、前記定着装置は、1から5の何れか1項に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の定着装置、及び画像形成装置によれば、定着装置での加熱定着時に、記録媒体の通過可能な遮蔽膜を備えたケーシングを設けて、加熱された空気を閉じこめる定着空間を設定する。これにより、溶媒の揮発を効率的に行うとともに、定着空間内の温度を維持しやすくし、良好な定着を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る定着装置及び画像形成装置の実施形態を、図を参照して説明する。
【0023】
液体現像剤を用いる液体現像は、複写機、簡易印刷機、プリンタなどの画像形成装置に利用される。これらには、一般的に電子写真方式の画像形成プロセスが、共通して用いられている。まずその電子写真方式による湿式の画像形成部を、図1を参照して説明し、さらに液体現像剤を用いて現像され、記録媒体に転写された定着前のトナー画像を加熱定着する定着装置について、その構成と機能動作を説明する(図1から4参照)。
【0024】
(画像形成部の構成と機能動作)
図1を用いて、本実施形態の画像形成装置におけるトナー画像形成部の構成と動作の例を説明する。図1は、湿式画像形成装置におけるトナー画像形成部と転写装置、定着装置の概略構成例を示す断面図である。
【0025】
図1において、1は感光体ドラムであり、像担持体として機能する。トナー画像形成部10はこの感光体ドラム1を中心に、その周囲に配設された、前記感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電装置2、帯電した感光体ドラム1上にLEDまたはレーザビームを照射して静電潜像を形成する露光装置3、その静電潜像を、液体現像剤を用いて現像する液体現像装置4、現像されたトナー像が転写される中間転写体5、そして転写後の感光体ドラム1の表面に残存する液体現像剤を除去するクリーニング装置6などを備える。
【0026】
液体現像装置4は、一般的には、表面に液体現像剤の薄層を担持し、像担持体である感光体ドラム1上の潜像を現像する現像ローラ41、その表面に液体現像剤8を供給する現像剤槽44等を備える。
【0027】
また、液体現像装置4の前後には、予め液体現像剤の一部を塗布したり、回収したりする装置を設ける場合もある。ここでは、液体現像装置4の後に、現像されたトナー像から余分な液体現像剤を除去するスクイズ装置61を設けている。
【0028】
感光体ドラム1上の現像されたトナー像は、中間転写体5ではなく、そのまま直接に記録用紙などの記録媒体7に転写される形態であってもよい。本実施形態では、中間転写体5に一次転写されたトナー像を、転写ローラ51を用いて、再度記録媒体7に転写(二次転写)するような構成としている。記録媒体7としては通常紙が用いられ、以降、本実施形態では記録媒体7は記録紙であるとして説明する(以後、記録紙7と呼ぶ)。
【0029】
また図1においては、トナー画像形成部10が1組のみ配置されているが、カラー画像形成のために、中間転写体5の周囲に複数組配置されていてもよい。カラー現像の方式、中間転写の有無などは任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置をとることができる。
【0030】
感光体ドラム1は、図1に示す矢印A方向に回転し、帯電装置2は、回転する感光体ドラム1の表面をコロナ放電などにより数百V程度に帯電させる。帯電装置2より感光体ドラム回転方向下流側においては、露光装置3から照射されたレーザビームにより、表面電位が百V程度以下に低下させられた静電潜像が形成される。
【0031】
露光装置3のさらに下流側には、液体現像装置4が配設されており、感光体ドラム1に形成された静電潜像が、液体現像剤8を用いて現像される。
【0032】
液体現像装置4には、絶縁性の溶媒(以後キャリヤ液とも呼称する)中にトナーを分散させた液体現像剤8が現像剤槽44内に収容されており、現像ローラ41表面に液体現像剤8が供給され、現像ローラ41上には液体現像剤8の薄層が担持される。
【0033】
さらに現像ローラ41と感光体ドラム1の静電潜像との電位差により、現像ローラ41上に担持された液体現像剤8の薄層内のトナー粒子が感光体ドラム1上の静電潜像に移動して、静電潜像が現像される。
【0034】
感光体ドラム1上の現像されたトナー像には、液体現像剤8,すなわちトナーとキャリヤ液が含まれている。スクイズ装置61は、例えばスクイズローラであり、現像されたトナー像から余分なキャリヤ液を除去する。スクイズローラ上のキャリヤ液は、ブレード62で除去する。
【0035】
中間転写体5は、図1に示す矢印B方向に回転し、同様に接触回転する感光体ドラム1とのニップ部でバイアス電圧が印加されることにより、感光体ドラム1上の現像されたトナー像が中間転写体5上に一次転写される。
【0036】
カラー画像形成のために、トナー画像形成部10が中間転写体5の周囲に複数組配置されている場合は、各トナー画像形成部で現像された各色のトナー画像が中間転写体5上で重ね合わされるようにそれぞれ一次転写される。
【0037】
トナー画像形成部10において、中間転写体5の下流側には、一次転写後に感光体ドラム1の表面上に残存する液体現像剤8を除去するクリーニング装置6(例えば、クリーナブレード)が配設されている。このクリーニング装置6により感光体ドラム1上に残存する液体現像剤8が除去される。
【0038】
中間転写体5上に一次転写されたトナー像は、中間転写体5の周速と同速度で図1の矢印C方向に搬送される記録紙7が転写ローラ51とのニップ部で挟持され、バイアス電圧を印加されることで、記録紙7上に二次転写される。
【0039】
転写ローラ51によりトナー像が転写された記録紙7は、定着装置9へと搬送され、加熱定着の上、排出される。
【0040】
定着時のトナー画像の加熱とそれによるキャリヤ液の揮発についての詳細は、定着装置の実施形態として後述する。
【0041】
(現像剤の構成)
現像に用いる液体現像剤8について説明する。液体現像剤8は、溶媒であるキャリヤ液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また液体現像剤8には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0042】
キャリヤ液としては、一般に電子写真用現像液として用いるものであれば、特に制限することなく使用できる。安全性を考慮して、絶縁性の、常温で不揮発性の溶媒が用いられる。不揮発性の溶媒としては、例えばシリコンオイル、ミネラルオイル、パラフィンオイル、鉱物油等を上げることができる。
【0043】
トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録材に定着される際のバインダとしての機能がある。
【0044】
樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を複数、混合して用いてもよい。
【0045】
トナーの着色に用いる顔料及び染料も一般市販のものを用いることができる。例えば、顔料として、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としては、ソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0046】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。例えば、樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ロールミルなどを用いて溶融混練し、均一に分散させ、得られた分散体を、例えばジェットミルによって微粉砕する。さらに得られた微粉末を、例えば風力分級機などにより分級することで、所定の粒径の着色トナーを得ることができる。
【0047】
続いて、得られたトナーをキャリヤ液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0048】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0049】
液体現像剤に対するトナー粒子の割合は、10〜50質量%程度が適当である。10質量%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題がある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給する必要があり、紙上に付着するキャリヤ液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる。50質量%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる。
【0050】
液体現像剤の粘度は、25℃において0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が好ましい。10000mPa・s以上になると、キャリヤ液とトナーの撹拌が困難となり、均一な液体現像剤を得るための装置面での負担が大きい。
【0051】
(定着装置の構成と機能動作)
図1には、画像形成部とともに、定着装置の概略構成例を合わせて示している。また図2から4は、定着装置の様々な構成例を示している。
【0052】
図1から4を参照して、様々な実施形態における定着装置の構成例と機能動作について説明する。
【0053】
<第1の実施形態>
図1には、第1の実施形態に係る定着装置9の構成図を示す。既述したように、トナー画像形成部10で形成された未定着画像(トナー像)は、記録紙7に転写され、定着装置9に運ばれて、加熱定着される。定着に用いる加熱装置の形態は、特に選ばない。定着のための加熱部材としては、ローラ定着装置を用いたり、非接触の加熱部材を用いたりできるが、ここではローラ定着装置を使用している。
【0054】
図1において定着装置9は、互いに圧接する2本の定着ローラ92を有し、搬送装置(図示せず)によりC方向に搬送されてくる記録紙7を挟み込む。定着ローラ92には熱源が内包され、定着温度に制御したニップ部にて加圧、加熱により記録紙7の未定着画像を定着する。
【0055】
また定着ローラ92による加熱により、記録紙7の未定着画像に含まれるキャリヤ液(溶媒)が揮発させられる。一方記録紙7を加熱するために、非接触の加熱部材93も設けられている。すなわち本実施形態では、定着ローラ92と非接触の加熱部材93とは、何れも記録媒体に含まれる溶媒を揮発させるための加熱部材として機能する。
【0056】
定着ローラ92の回転とともに、加熱された記録紙7は搬送ローラ96へ向けて押し出される。その間に非接触の加熱部材93により加熱され、また周辺の空気も加熱され、定着温度の維持に貢献する。
【0057】
加熱された空気を逃すことで熱を放出することを恐れ、ケーシング91を設けている。ケーシング91は、定着ローラ92を通過した記録紙7を囲い込むように配設される。ケーシング91は加熱部材を内包して、閉空間を形成することが望ましいが、記録紙7を搬入したり搬出したりする必要がある。
【0058】
ケーシング91への記録紙7の搬入部(開口位置)には、互いに圧接する2本の定着ローラ92を配置し、その回転により記録紙7を挟み込むようにして搬入可能とした。それぞれの定着ローラ92とケーシング91との隙間には、定着ローラ92の回転する表面と接触するようにそれぞれ遮蔽膜94を設けて塞いでいる。
【0059】
また、ケーシング91は閉じこめられた熱い空気で温度を保持するため、定着ローラ92以外に非接触の加熱部材93を内包している。
【0060】
定着ローラ92から押し出された記録紙7は、非接触の加熱部材93によりさらに加熱されながら、閉じこめられた熱い空気で温度を保持されたケーシング91内を進み、十分にキャリヤ液が揮発し、トナー像の定着が行われた後、回転する一対の搬送ローラ96によってケーシング91外へと排出される。
【0061】
ケーシング91からの記録紙7の搬出部(開口位置)には、これも一対の遮蔽膜95が備えられ、開口を塞ぐとともに、記録紙7が一対の遮蔽膜95の互いに接触する端部をすり抜けるようにして通過可能としている。
【0062】
(定着空間の形成)
上記の定着装置の構成は、ケーシングを用いた定着空間を形成することにより、加熱定着時の記録紙からの溶媒の揮発を促進しながら、かつ熱を逃さず効率的に利用し、良好な定着性を得ようとするものである。以下にその考え方を説明する。
【0063】
上述してきたように、トナーをキャリヤ液(溶媒)に分散した液体現像剤を用いて現像された未定着画像が、記録紙(記録媒体)上に転写され、加熱定着のために定着装置に搬入される。
【0064】
記録紙上の未定着画像は、液体現像剤を含んでいる、すなわちトナー像だけでなく、キャリヤ液を含んでいる。未定着画像中のキャリヤ液はトナー粒子間、トナーと記録紙間に存在し、トナー層としての凝集力やトナーと記録紙間の付着力を阻害し、結果としてトナー像の記録紙への定着性を低下させる。
【0065】
従って、良好な定着性を得るためには、加熱による定着時、あるいは定着前に上記未定着画像中のキャリヤ液を十分に除去する必要がある。
【0066】
記録紙からキャリヤ液を除去するために、定着時の、あるいは定着前の加熱により、キャリヤ液の温度を上げ、空気中に揮発させることが一般的に行われている。しかしキャリヤ液を揮発させるためには、温度を上げるだけではなく、空気中に発散させるための空間が必要となる。
【0067】
例えば温度を上げて十分に加熱するため、定着ローラではなく、定着ベルトを使用して加熱のためのニップ幅を拡大する技術があるが、ニップ幅において高温となったキャリヤ液が揮発しようとしても逃げ場、すなわち空間がなく、温度の割には揮発量が抑制されてしまう。
【0068】
しかしながら、空間があればよいというわけでもなく、開放された空間に記録紙からそのままキャリヤ液が揮発するようにすると、加熱された記録紙から周囲の空気に伝熱し、その加熱された空気が放散していくことで熱効率が低下し、定着やキャリヤ液の揮発のための温度が維持しにくくなってしまうという問題がある。
【0069】
従って本実施形態では、溶媒を効率的に揮発させるとともに、熱を閉じこめて効率的に利用するための定着空間を、上記ケーシングを用いて形成した。但し、ケーシングによって形成された定着空間には、加熱された空気を閉じこめるとともに、記録紙が搬入及び搬出される必要がある。
【0070】
そのためにケーシングに開口を設ける必要があるが、そのままでは定着空間が閉空間とはならず、加熱された空気が流出してしまう。その流出量を最小にとどめるため、記録紙がすり抜けることのできる遮蔽膜を利用した。
【0071】
また記録紙を挟み込んで通過させる定着ローラ(加熱部材)を記録紙のケーシングへの搬入部分に用いることも本実施形態では採用している。これにより定着空間の密閉性をより向上することができる。もちろん、定着ローラ(加熱部材)全体をケーシング内に内包してもよい(図2参照)。
【0072】
また本実施形態のように、定着空間の熱の保持性能をさらに向上するために、非接触の加熱部材を定着空間に内包させることが好ましい。
【0073】
ケーシングは、概略直方体形状で、全体的に断熱材で覆われることが望ましい。
【0074】
遮蔽膜については、耐熱性の素材であることが好ましい。ゴムブレード素材であればフッ素系ブレードやシリコンブレードが挙げられる。フィルム素材を用いるのであれば、フッ素系、シリコン系の他に、ポリイミドフィルムで遮蔽膜を設ける方法でもよい。
【0075】
図1では、ケーシング91の記録紙7が搬入される方向では、搬入部に定着ローラ92を配置しており、その定着ローラ92とケーシング91との隙間を、定着ローラ92の回転する表面と接触するようにそれぞれ遮蔽膜94を設けて塞いでいる。
【0076】
またケーシング91の記録紙7が搬出される方向では、搬出部に一対の遮蔽膜95を配置しており、搬出部の開口を塞ぐとともに、記録紙7が一対の遮蔽膜95の互いに接触する端部をすり抜けるようにして通過可能としている。
【0077】
このようにして、定着装置での加熱定着時に、記録媒体の通過可能な遮蔽膜を備えたケーシングを設けて、加熱された空気を閉じこめる定着空間を設定する。これにより、溶媒の揮発を効率的に行うとともに、定着空間内の温度を維持しやすくし、良好な定着を得ることができる。
【0078】
(その他の実施形態)
図2(a)から(e)には、第2から第6の実施形態に係る定着装置9の各構成図を示す。図2(a)から(e)を参照して、第2から第6の実施形態に係る定着装置の構成について説明する。但し、図1に示した第1の実施形態と同じ機能の構成要素は同じ符号で示している。構成の異なる部分についてのみ説明する。
【0079】
図2(a)に示す第2の実施形態に係る定着装置9の構成は、図1に示す第1の実施形態に係る定着装置9の構成と、記録紙7の搬入部分の構成のみが異なる。
【0080】
すなわち、図2(a)では図1と異なり、定着ローラ92がケーシング91の内部に配置され、記録紙7の搬入部には、搬出部と同様に開口とそれを塞ぐ遮蔽膜94とが配置されている。このような構成であっても、加熱された空気を閉じこめる定着空間を設定することができ、溶媒の揮発を効率的に行いながら、定着空間内の温度を維持しやすくすることができる。
【0081】
図2(b)に示す第3の実施形態に係る定着装置9の構成は、図2(a)に示す第2の実施形態に係る定着装置9の構成と、非接触の加熱部材93が配設されていない点のみが異なる。すなわち、未定着画像の定着、及び溶媒の揮発のための加熱部材としては、定着ローラ92だけであっても差し支えはない。
【0082】
また図2(c)に示す第4の実施形態に係る定着装置9の構成は、図2(a)に示す第2の実施形態に係る定着装置9の構成と、定着ローラ92が配設されていない点のみが異なる。すなわち、第3の実施形態の場合と同様に、未定着画像の定着、及び溶媒の揮発のための加熱部材としては、非接触の加熱部材93だけでも可能である。
【0083】
図2(d)に示す第5の実施形態に係る定着装置9の構成は、図1に示す第1の実施形態に係る定着装置9の構成と、非接触の加熱部材93が配設されていない点のみが異なる。すなわちこれも、未定着画像の定着、及び溶媒の揮発のための加熱部材としては、定着ローラ92だけであっても差し支えはないことによる。
【0084】
図2(e)に示す第6の実施形態に係る定着装置9の構成は、図1(a)に示す第2の実施形態に係る定着装置9の構成と、記録紙7の搬出部の構成のみが異なる。すなわち、搬出部に記録紙7を挟み込んで搬出する一対の搬送ローラ96を配置しており、その搬送ローラ96とケーシング91との隙間を、搬送ローラ96の回転する表面と接触するようにそれぞれ遮蔽膜95を設けて塞いでいる。
【0085】
上述したように、搬入部、搬出部の構成や、加熱部材の設定など構成が様々に異なっても、加熱された空気を閉じこめる定着空間を設定することができ、溶媒の揮発を効率的に行いながら、定着空間内の温度を維持しやすくすることができる。
【0086】
要は、溶媒の揮発のための加熱部材が少なくとも1つ配設されていることと、加熱された空気を閉じこめるための定着空間が形成され、記録紙が搬入搬出されるための開口や隙間の1箇所以上に遮蔽膜が配設されていることが必要である。
【0087】
上のような条件を満たす、さらに様々な定着装置の構成が可能である。従って本発明の範囲は上の記述に限定されるものではない。
【0088】
(定着空間の溶媒蒸気排出)
図1、2に示した定着装置では、ケーシングを用いて定着空間を形成することにより、加熱定着時の記録紙からの溶媒の揮発を促進しながら、かつ熱を逃さず効率的に利用し、良好な定着性を得ようとしていた。
【0089】
しかしながら、定着空間を形成し、熱を与えるだけでは、溶媒を揮発させ、記録紙から除去する性能を継続的に維持するには、十分ではない。定着空間は閉空間であるので、熱を逃さず効率的に温度を維持する効果はあるものの、逆に揮発した溶媒蒸気が蓄積し、空気中の溶媒濃度が上昇してくるということが生ずる。
【0090】
これによって、記録紙を通し続けると、記録紙から溶媒が揮発しにくくなる。従って定着空間の空気を入れ換えて溶媒の蒸気を排出し、溶媒濃度を下げるべくリフレッシュすることが望ましい。
【0091】
しかしそのまま定着空間の空気を入れ換えると、加熱された空気が放出されるので、空気温度が下がってしまうことになる。空気の入れ換えは、少なくとも定着のために記録紙を搬送している間は、温度を維持した状態で行う必要がある。
【0092】
溶媒蒸気を含んだ空気の具体的な入れ換え方法としては、
(1)熱風を定着空間内へ送風して、中の空気と入れ換える。
(2)所定のタイミングで記録紙の搬送を止め、空気を入れ換える。
この何れか、あるいは両方が考えられる。
【0093】
図3及び図4は、(1)、(2)の方法に基づいて、ケーシング内の溶媒蒸気を含んだ空気を排出する排気口と、新たな空気を送り込むための吸気口とを備えたケーシングの例1及び例2を示す。図3(a)から(c)を参照してケーシングの例1を、図4(a)と(b)を参照してケーシングの例2を、それぞれ説明する。
【0094】
<ケーシング例1>
図3(a)はケーシング例1の斜視図である。遮蔽膜やケーシングの内部の加熱部材等は、図示を省略している(図1、図2参照)。記録紙7は、ケーシング91に対して、矢印Cの方向に搬入、搬出される。97aは吸気口であり、97bは排気口である。
【0095】
吸気口97aから新たな空気が供給され、排気口97bから内部の溶媒蒸気を含んだ空気が押し出され、排出する。または逆に排気口97bから内部の溶媒蒸気を含んだ空気が吸引され、吸気口97aから新たな空気が入ってくる機構としてもよい。
【0096】
このようにケーシング例1では、ケーシング内の空気の入れ換え時に、記録紙7の進行方向に垂直な方向(矢印F方向)に空気の流れが生ずる。
【0097】
図3(b)と(c)は、それぞれ図3(a)を記録紙7の進行方向に沿って見たときの断面図である。93はケーシング91の内包する非接触の加熱部材である。
【0098】
図3(b)では吸気口97aから流入した空気は、記録紙7の上下に分かれて流れていき、排気口97bから排出される(矢印Fo方向)。
【0099】
図3(c)では吸気口97aから流入した空気は、非接触の加熱部材93の上下に分かれて流れていき、排気口97bから排出される(矢印Fo方向)。
【0100】
図3(b)と(c)は、何れも記録紙7の未定着画像を担持する面(上面)の空気が十分に入れ換わるような空気の流れであり、空気の流れの構成はどちらであってもよい。
【0101】
<ケーシング例2>
図4(a)はケーシング例2の斜視図である。これも図3と同様、遮蔽膜やケーシングの内部の加熱部材等は、図示を省略している(図1、図2参照)。記録紙7は、ケーシング91に対して、矢印Cの方向に搬入、搬出される。97aは吸気口であり、97bは排気口である。排気口97bは2箇所ある。
【0102】
やはり図3と同様、吸気口97aから新たな空気が供給され、排気口97bから内部の溶媒蒸気を含んだ空気が押し出され、排出する。または逆に排気口97bから内部の溶媒蒸気を含んだ空気が吸引され、吸気口97aから新たな空気が入ってくる機構としてもよい。
【0103】
このようにケーシング例2では、ケーシング内の空気の入れ換え時に、上面から新たな空気が供給され(矢印Fi方向)、同じく上面から内部の溶媒蒸気を含んだ空気が押し出され、排出する。
【0104】
図4(b)は、図4(a)のケーシング91を記録紙7の進行方向に垂直な方向に沿って見たときの断面図である。93はケーシング91の内包する非接触の加熱部材である。
【0105】
図3(b)では、ケーシング91の上面にある吸気口97aから下方向(矢印Fi方向)に流入した空気は、記録紙7の上面に沿って広がり流れていき、再び上方へ戻り、同じくケーシング91の上面にある排気口97bから排出される(矢印Fo方向)。
【0106】
図4(b)も、図3(b)、(c)と同様、記録紙7の未定着画像を担持する面(上面)の空気が十分に入れ換わるような空気の流れであり、空気の流れの構成として問題ない。
【0107】
<空気の入れ換えタイミング>
上記のケーシング例1及び例2は、ケーシングにおける排気口と吸気口の配置、そしてケーシング内の空気を入れ換える流れの例を示したものである。溶媒蒸気を含んだ空気の具体的な入れ換え方法としては、既述したように、
(1)熱風をケーシング内へ送風して、中の空気と入れ換える。
(2)所定のタイミングで記録紙の搬送を止め、空気を入れ換える。
この何れか、あるいは両方が考えられる。
【0108】
熱風として加熱した空気を吸気口に供給するのであれば、別途加熱手段が必要となる。所定のタイミングで記録紙の搬送を止め、空気を入れ換えるのであれば、空気の加熱のための負荷は最小にとどめることができる。
【0109】
空気を入れ換えるタイミングは、ケーシング内の溶媒濃度に応じて定めるのがよい。ケーシングを通過した記録紙の枚数に基づいて予め定めておくのが、簡単で好ましい。ケーシングの容量や記録紙当たりの揮発量、定着温度条件等によって適切に設定すればよい。
【0110】
また空気入れ換え時には、ある程度加熱した空気を供給することが好ましい。これも定着温度条件などに応じて適切に設定すればよい。
【0111】
所定のタイミングで記録紙の搬送を止め、空気を入れ換える場合の設定例は、後述の実施例で示す。
【実施例】
【0112】
図1から図4に示したような構成の定着装置を用いて、本発明の効果を確認するための実験を行った。定着装置の定着温度設定は180℃とした。実験は、未定着画像を担持したA4サイズの記録紙を連続通紙して、定着性を評価した。
【0113】
(実験1)
以下の実施例1と比較例1の定着性比較評価実験を行った。遮蔽膜の効果を確認する実験である。
【0114】
<実施例1>
図1に示したような構成の定着装置を使用した。遮蔽膜はシリコンブレードを用いた。
【0115】
<比較例1>
実施例1と同じ定着装置で、遮蔽膜を取り外したものを使用した。定着ローラとケーシングの隙間、及びケーシングの記録紙搬出部の隙間は約5mmであった。
【0116】
<評価1>
実験は、未定着画像を担持したA4サイズの記録紙を、定着装置に約400mm/sで連続10枚通紙して、定着性を評価した。
【0117】
定着性評価は、10枚目の定着強度をテープ剥離試験でトナーが付着するかどうかで目視判定し、評価した。トナー付着がなければ定着性は良好(○)、トナー付着があれば不可(×)である。
【0118】
<結果1>
実施例1及び比較例1の評価結果を表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
遮蔽膜を有する実施例1は定着性良好(○)であったが、遮蔽膜のない比較例1は不可(×)であった。遮蔽膜がないことにより、記録紙の搬送に伴って高温の空気が流出し、ケーシング内での定着及び溶媒の揮発のための熱効率が低下している。
【0121】
(実験2)
図2(c)に示したような構成の定着装置を用いて、以下の実施例2から4の定着性比較評価実験を行った。遮蔽膜は何れもシリコンブレードを用いた。ケーシング内の空気の入れ換えの効果を確認する実験である。
【0122】
<実施例2>
実施例2−1は、図3に示したような構成の吸気口及び排気口を有する定着装置を使用した。実施例2−2は、図4に示したような構成の吸気口及び排気口を有する定着装置を使用した。
【0123】
吸気口及び排気口を利用したケーシング内の空気の入れ換えは、常時継続的に空気を流し続けることで実施した。吸気口及び排気口は直径φ75mmであり、流量は2.5m/minである。供給する空気の温度は130℃設定とした。
【0124】
<実施例3>
実施例3−1は、実施例2−1と同じ定着装置を使用した。実施例3−2は、実施例2−2と同じ定着装置を使用した。但し、吸気口及び排気口を利用したケーシング内の空気の入れ換え方法が、実施例2とは異なる。
【0125】
吸気口及び排気口を利用したケーシング内の空気の入れ換えは、所定のタイミング毎に空気を流すことで実施した。所定のタイミングは、記録紙の連続通紙100枚毎として、一旦通紙を停止して行い、入れ換え後定着温度180℃の状態に戻して連続通紙を再開した。
【0126】
供給する空気の温度は50℃設定とした。連続通紙の間は、吸気口及び排気口は閉じている。なお、ケーシングの容量は0.08mであり、A4の記録紙1枚当たりのキャリヤ液揮発量は0.05gであった。
【0127】
<実施例4>
実施例4−1は、実施例2−1と同じ定着装置を使用した。実施例4−2は、実施例2−2と同じ定着装置を使用した。但し、吸気口及び排気口を利用したケーシング内の空気の入れ換えは行っていない。吸気口及び排気口は、実験中閉じたままである。
【0128】
<評価2>
実験は、未定着画像を担持したA4サイズの記録紙を、定着装置に約400mm/sで連続10000枚通紙して、定着性を評価した。
【0129】
定着性評価は、100枚目、10000枚目の定着強度をテープ剥離試験でトナーが付着するかどうかで目視判定し、評価した。10000枚目でトナー付着がなければ定着性は特に良好(◎)、10000枚目でトナー付着があっても、100枚目でトナー付着がなければ良好(○)、100枚目でトナー付着があれば不可(×)である。
【0130】
<結果2>
実施例2から4の評価結果を表2に示す。
【0131】
【表2】

【0132】
ケーシング内の空気の入れ換えを行った実施例2と3は何れも定着性が特に良好(◎)であった。実施例2と3は空気の入れ換え方法が異なるが、何れも効果があった。また空気の流れの構成の違い(実施例2−1と2−2または3−1と3−2)も特に差は見られなかった。
【0133】
しかし、ケーシング内の空気の入れ換えを行っていない実施例4は、遮蔽膜の効果により100枚目のテープ剥離試験ではトナー付着がなく、定着性評価は良好(○)であったが、10000枚目ではトナー付着が見られ、定着性評価は良好(○)に留まった。空気の入れ換えを実施しないことにより、大量の記録紙の搬送に伴ってケーシング内の溶媒濃度が上がりすぎ、高温を維持しているにも拘わらずケーシング内での溶媒の揮発が妨げられ、定着の効率が低下している。
【0134】
上述したように、本実施形態によれば、定着装置での加熱定着時に、記録媒体の通過可能な遮蔽膜を備えたケーシングを設けて、加熱された空気を閉じこめる定着空間を設定する。これにより、溶媒の揮発を効率的に行うとともに、定着空間内の温度を維持しやすくし、良好な定着を得ることができる。
【0135】
また大量に定着を行う場合にも、適切に定着空間内の空気の入れ換えを行うことにより、溶媒濃度の増加を抑制し、上記の効果を継続的に維持することができる。
【0136】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明に係る湿式画像形成装置における画像形成部、及び第1の実施形態に係る定着装置の概略構成例を示す断面図である。
【図2】第2から第5の実施形態に係る定着装置の概略構成例を示す断面図である。
【図3】空気を入れ換えるための排気口と吸気口とを備えたケーシングの例1を示す斜視図(a)と断面図(b)、(c)である。
【図4】空気を入れ換えるための排気口と吸気口とを備えたケーシングの例2を示す斜視図(a)と断面図(b)である。
【符号の説明】
【0138】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 液体現像装置
5 中間転写体
6 クリーニング装置(クリーナブレード)
7 記録媒体(記録紙)
8 液体現像剤
9 定着装置
10 画像形成部
41 現像ローラ(現像剤担持体)
44 現像剤槽
51 転写ローラ
91 ケーシング
92 定着ローラ(加熱部材)
93 非接触の加熱部材
94、95 遮蔽膜
96 搬送ローラ
97a 吸気口
97b 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中にトナーを分散した液体現像剤を用いて形成され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱定着する定着装置であって、
前記未定着画像を担持する前記記録媒体を加熱し、該記録媒体に含まれる溶媒を揮発させる加熱部材と、
加熱された前記記録媒体から前記溶媒が揮発する周辺の空間を囲い込み、加熱された空気を閉じこめるケーシングと、を有し、
前記ケーシングは、
前記記録媒体が前記ケーシングに搬入される搬入部及び搬出される搬出部に、それぞれ開口と、該開口を遮蔽するための遮蔽膜を備え、
少なくとも一方の前記開口における前記遮蔽膜は、該開口を遮蔽した状態で前記記録媒体を通過可能とする
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記加熱部材の少なくとも1つは、熱源を内包する回転可能なローラであり、
前記ケーシングにおける前記搬入部の開口を遮蔽する位置に、前記ケーシングの備える前記遮蔽膜に接するように配設され、
前記記録媒体を加熱しながら圧接し、回転することで前記ケーシング内に前記記録媒体を搬入可能とする
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、
該ケーシング内の空気を排気するための排気口と、
新たな空気を送り込むための吸気口と、を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
予め定めた所定のタイミング毎に、前記記録媒体の定着を中断し、
前記ケーシングにおける前記吸気口に対する空気の供給と、前記排気口からの前記ケーシング内の空気の排出とが行われる
ことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ケーシングを通過し、定着された前記記録媒体が所定の枚数に達するタイミングを、前記所定のタイミングとして定めた
ことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
像担持体と、該像担持体上に形成された潜像を溶媒中にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像する現像装置と、現像され、記録媒体上に転写された未定着画像を加熱定着する定着装置を備えた画像形成装置であって、
前記定着装置は、請求項1から5の何れか1項に記載の定着装置である
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−122341(P2010−122341A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294209(P2008−294209)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】