説明

定量バルブ装置、およびエアゾール式噴出器

【課題】使用当初から粉末を適度に配合した内容物を噴射可能とするとともに、吐出圧の小さな噴出器にも適用することができるとともに、不用意に使用を開始した場合にも身体などに掛かったりするおそれの少ない定量バルブ装置、およびそのような定量バルブ装置を備えるエアゾール式噴出器を提供する。
【解決手段】容器の口部に組み付けたとき、容器内に向けて出入口22を有するハウジング20と、コイルスプリング15で付勢してハウジングに押し当てて出入口を塞ぐ弁体16と、ハウジングに押し込み可能に挿入してハウジングとの間に定量室27を形成し、押し込んだとき出入口を通して先端を弁体に突き当てて定量室と内部吐出流路24bとの連通を遮断し、さらに押し込んだときその連通を遮断した状態のまま、弁体を付勢力に抗して開いて容器の内容物を出入口を通して定量室に入れる管状のステム24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エアゾール式噴出器を構成する容器の口部に組み付け、1回のステム押し込み操作で一定量ずつ容器内の内容物を吐出する定量バルブ装置に関する。および、そのような定量バルブ装置を容器の口部に組み付け、容器内に内容物とともに噴射剤を入れてなり、ステムを押し込むことにより容器内の内容物を噴射剤の圧力で一定量ずつ外部に向けて噴射するエアゾール式噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール式噴出器の中には、例えば特許文献1ないし3に示すように、1回のステム押し込み操作で一定量ずつ容器内の内容物を吐出する定量バルブ装置を備えるものがある。この種の噴出器では、ステムを押し込むことにより、上方のバルブを開いて定量室にある内容物を直ちに上からステム内に吐出し、ステムを通して外部に向けて噴射する一方、ステムの押し込みを解除することにより、特許文献1および3に示すものでは、下方から定量室に容器内の内容物を一定量入れ、特許文献2に示すものでは、上方から定量室に容器内の内容物を一定量入れていた。
【0003】
ところが、このような噴出器では、長期間使用しないと、定量室の内容物中に含まれる粉末が重力により定量室の底部に沈下し、最初の使用時にはその沈下した粉末を上からステム内に吐出することができず、使用はじめは粉末の少ない配合の内容物を外部に向けて噴射することとなる問題があった。
【0004】
このような問題を解決すべく、例えば特許文献4に記載のものでは、ステム押し込み時に定量室の内容物を底部を通って上からステム内に吐出し、外部に向けて噴射するようにし、使用はじめに沈下した粉末を上まで押し上げて定量室内から吐出するものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−300242号公報
【特許文献2】特開2002−264978号公報
【特許文献3】特開2003−72869号公報
【特許文献4】特開2003−267462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献4に記載するような噴出器では、吐出経路が複雑となって、高い吐出圧を必要とし、吐出圧の低い噴出器には適用できない問題があった。また、定量室内を押し上げて粉末をステム内に吐出しなければならないから、沈下した粉末のすべてをはじめからすべてステム内に吐出することが難しく、やはり当初は粉末の少ない配合の内容物を外部に向けて噴射することとなった。
【0007】
一方、例えば芳香剤を噴射する噴出器など、内容物を上向きに吐出するような噴出器にあっては、上述したような従来の構成を採用すると、ステムの押し込みと同時に内容物を噴射することとなるから、不用意に吐出した内容物が顔にかかったり、髪の毛にかかったり、手にかかったり、誤って口から吸い込んでしまったりなどするおそれがあった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、使用当初から粉末を適度に配合した内容物を噴射可能とするとともに、吐出圧の小さな噴出器にも適用することができるとともに、不用意に使用を開始した場合にも身体などに掛かったりするおそれの少ない定量バルブ装置、およびそのような定量バルブ装置を備えるエアゾール式噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、請求項1に記載の発明は、
内容物を噴射剤とともに収容する容器の口部に組み付け、1回のステム押し込み操作で一定量ずつ前記容器内の内容物を吐出する定量バルブ装置において、
容器の口部に組み付けたとき、容器内に向けて出入口を有するハウジングと、
そのハウジングに押し当てて前記出入口を塞ぐ弁体と、
前記ハウジングに押し込み可能に挿入してそのハウジングとの間に定量室を形成し、押し込んだとき前記出入口を通して先端を前記弁体に突き当てて前記定量室と内部吐出流路との連通を遮断し、さらに押し込んだときその連通を遮断した状態のまま、前記弁体を付勢力に抗して開いて容器の内容物を前記出入口を通して前記定量室に入れる管状のステムと、
を備えることを特徴とする。
【0010】
そして、容器の口部に組み付け、容器内に内容物を噴射剤とともに収容する。使用するときは、例えばステムに取り付ける噴射ボタンを押すことにより、ステムを押し込んでステムの先端を弁体に突き当て、管状ステムの入口を塞いで定量室とステムの内部吐出流路との連通を遮断し、それからさらにステムを押し込んだときその連通を遮断した状態のまま、弁体を付勢力に抗して開いて容器の内容物を出入口を通して定量室に入れる。その後、ステムの押し込みを解除すると、付勢力に基づき弁体を戻して再びハウジングに押し当てて出入口を塞ぎ、定量室と容器内との連通を遮断し、弁体からステムを離して定量室とステムの内部吐出流路との連通遮断を解除し、定量室の内容物をステムの入口から内部吐出流路に入れ、例えば噴射ボタンに設けるノズル部材の噴口から定量室の容積に応じて一定量ずつ外部に向けて噴射する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の定量バルブ装置において、前記定量室の底面中央に前記出入口を設け、その出入口に向けて漸次低く前記底面を傾斜してなることを特徴とする。そして、定量室の内容物中に含まれている粉末が重力により沈下したとき、その沈下した粉末をハウジングの底面の傾斜により底面中央の出入口へと導く。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の定量バルブ装置において、前記ハウジングと前記ステム間の開口を塞いで前記定量室を形成するとともに、前記ステムを支持し、そのステムを押し込んだとき変形し押し込みを解除したとき前記ステムを元の位置に復帰する弾性シール体と、その弾性シール体を被って容器の口部に組み付けるマウンテンカップとを備えることを特徴とする。そして、マウンテンカップで容器の口部に組み付けるとともに、弾性シール体で定量室を気密に形成しかつハウジング内にステムを出し入れ自在に保持する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1に記載の定量バルブ装置において、前記弁体が前記出入口を塞ぐとき前記ハウジングに押し当てる前記弁体の位置、および前記ステムを押し込んだとき先端を突き当てる前記弁体の位置に、弾性部材を固定することを特徴とする。そして、常時は、弁体に固定する弾性部材をハウジングの出入口に押し当て、またステムを押し込んだときには、ステムの先端を弁体の弾性部材に突き当てるようにする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1に記載の定量バルブ装置を備えることを特徴とする、エアゾール式噴出器である。
【0015】
そして、使用するときは、例えばステムに取り付ける噴射ボタンを押すことにより、ステムを押し込んでステムの先端を弁体に突き当て、管状ステムの入口を塞いで定量室とステムの内部吐出流路との連通を遮断し、それからさらにステムを押し込んだときその連通を遮断した状態のまま、弁体を付勢力に抗して開いて容器の内容物を出入口を通して定量室に入れる。その後、ステムの押し込みを解除すると、付勢力に基づき弁体を戻して再びハウジングに押し当てて出入口を塞ぎ、定量室と容器内との連通を遮断し、弁体からステムを離して定量室とステムの内部吐出流路との連通遮断を解除し、定量室の内容物をステムの入口から内部吐出流路に入れ、例えば噴射ボタンに設けるノズル部材の噴口から定量室の容積に応じて一定量ずつ外部に向けて噴射する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし4に記載の発明によれば、ハウジングに容器内に向けて出入口を有する構成とし、ステムの押し込みを解除し、付勢力に基づき弁体を戻して再びハウジングに押し当てて出入口を塞ぎ、定量室と容器内との連通を遮断し、弁体からステムを離して定量室とステムの内部吐出流路との連通遮断を解除したとき、定量室の内容物をステムの入口から内部吐出流路に入れて外部に噴射するので、定量室の内容物中に含まれる粉末が重力により沈下してハウジングの底部に溜まるようなことがあったとしても、その沈下した粉末がステムの入口近くにあることから、定量室内の内容物を吐出するときはじめからその沈下した粉末もともに吐出しやすく、当初の使用時から一定量の粉末を含んだ内容物を外部に向けて噴射することができる。
【0017】
また、内容物の吐出経路が単純であるので、吐出圧の小さな噴出器にも用いることができる。加えて、ステムの押し込みを解除したとき、外部に向けて噴射する構成であるので、ステムの押し込み時に、外部に向けて噴射する構成より手振れが少なく、内容物を目的部位に向けて正確に噴射することができる。また、押し込みを解除してステムから手を離したとき、外部に向けて噴射する構成であるので、例えば芳香剤を噴射する噴出器など、内容物を上向きに吐出するような噴出器に適用する場合にも、不用意に使用しても、噴射した内容物が顔にかかったり、髪の毛にかかったり、手にかかったり、誤って口から吸い込んだりするなどのおそれの少ない定量バルブ装置を提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、加えて、定量室の内容物中に含まれている粉末が重力により沈下してハウジングの底部に溜まったとしても、ハウジングの底面の傾斜により底面中央の出入口へと導くので、定量室内の内容物を吐出するときなお一層はじめからその沈下した粉末もともに吐出しやすく、当初の使用時からさらに確実に一定量の粉末を含んだ内容物を外部に向けて噴射することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、加えて、マウンテンカップで容器の口部に組み付けるとともに、弾性シール体で定量室を気密に形成しかつハウジング内にステムを出し入れ自在に保持するので、少ない部品点数で、しかもきわめて簡単な構成で、容器の口部に組み付けるとともに、定量室の気密性を確保しかつハウジング内にステムを出し入れ自在に保持することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、加えて、常時は、弁体に固定する弾性部材をハウジングに押し当てて出入口を塞ぎ、またステムを押し込んだときには、ステムの先端を弁体の弾性部材に突き当てるようにするので、弁体の弾性部材をハウジングの出入口に押し当てることにより、定量室と容器内との連通遮断を確実とし、また弁体の弾性部材にステムの先端を突き当てることにより、ステムの入口を完全に塞いで定量室とステムの内部吐出流路との連通遮断を確実とすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、ハウジングに容器内に向けて出入口を有する構成とし、ステムの押し込みを解除し、付勢力に基づき弁体を戻して再びハウジングに押し当てて出入口を塞ぎ、定量室と容器内との連通を遮断し、弁体からステムを離して定量室とステムの内部吐出流路との連通遮断を解除したとき、定量室の内容物をステムの入口から内部吐出流路に入れて外部に噴射するので、定量室の内容物中に含まれる粉末が重力により沈下してハウジングの底部に溜まるようなことがあったとしても、その沈下した粉末がステムの入口近くにあることから、定量室内の内容物を吐出するときはじめからその沈下した粉末もともに吐出しやすく、当初の使用時から一定量の粉末を含んだ内容物を外部に向けて噴射することができる。
【0022】
また、内容物の吐出経路が単純であるので、吐出圧の小さな噴出器にも適用することができる。加えて、ステムの押し込みを解除したとき、外部に向けて噴射する構成であるので、ステムの押し込み時に、外部に向けて噴射する構成より手振れが少なく、内容物を目的部位に向けて正確に噴射することができる。また、押し込みを解除してステムから手を離したとき、外部に向けて噴射する構成であるので、例えば芳香剤を噴射する噴出器など、内容物を上向きに吐出するような噴出器に適用する場合にも、不用意に使用しても、噴射した内容物が顔にかかったり、髪の毛にかかったり、手にかかったり、誤って口から吸い込んだりするなどのおそれの少ないエアゾール式噴出器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、この発明による定量バルブ装置の縦断面を示す。
【0024】
図中符号10は、弁体ケースである。弁体ケース10は、筒状で、2つの下向き段部を設けて下方に向けて順に径を小さくつくる。そして、最下の小径部10aには、吸上げパイプ12の上端部を圧入する。真ん中の中径部10bには、底部中心に小径部10a内に連通する連通孔13をあけるとともに、そのまわりに放射状に複数のリブ14を形成し、そのリブ14上にコイルスプリング15を載せて後、そのコイルスプリング15上に弁体16を置いてなる。
【0025】
弁体16は、下面外周にコイルスプリング15が当たる下向き段部17を形成し、上面中央にゴム製などの弾性部材18を固定し、弁体ケース10の中径部10b内でコイルスプリング15を伸縮して上下動可能に支持してなる。
【0026】
弁体ケース10の大径部10cには、大筒状のハウジング20の下部を気密にはめ込む。ハウジング20は、上向きに開放する開口を有する一方、底部を設けてその底部の中心には下向き突部21を形成し、その下向き突部21を中径部10bに挿入してなる。そして、その下向き突部21の中心にあけて底面20aの中央に出入口22を有し、その出入口22の外面入口に突出して口縁22aを設け、その口縁22aを弁体16の弾性部材18に押し当ててコイルスプリング15を少したわませることにより弁体16を押し下げ、通常時はコイルスプリング15の付勢力で出入口22の口縁22aに弁体16の弾性部材18を押し当てて弁体16で出入口22を塞いでなる。また、後述する定量室を形成するハウジング20の底面20aは、円錐面状に出入口22に向けて漸次低く傾斜するようにつくる。
【0027】
そのようなハウジング20に上から挿入して管状のステム24を立てて設け、そのステム24の先端を出入口22に入れる。そのステム24には、外周に円周溝25を形成し、その円周溝25に円盤状の弾性シール体26の中心孔縁をはめ付けて例えばゴム製の弾性シール体26を鍔状に取り付ける。弾性シール体26は、外周をハウジング20の上端縁上に載せてハウジング20とステム24間の開口を塞いで、ハウジング20とステム24と弾性シール体26とで区画して定量室27を形成するとともに、ステム24を支持し、その弾性シール体26を変形してステム24を押し込み可能に支持し、ステム24の押し込みを解除したときにはそのステム24を元の位置に復帰する。
【0028】
そして、ハウジング20およびステム24との間に弾性シール体26を設けてマウンテンカップ28を被せ、そのマウンテンカップ28の中心を通してステム24の基端を上向きに突出し、マウンテンカップ28で弾性シール体26をハウジング20に押さえ付け、この発明による図示定量バルブ装置を構成してなる。このようにして構成した定量バルブ装置は、図示省略するが、吸上げパイプ12を容器内に入れて出入口22を容器内に向け、マウンテンカップ28で不図示の容器の口部に組み付ける。その後、容器内に、噴射剤とともに内容物を収納してなる。また、この例では、ステム24の基端には、噴射ボタンを取り付ける。
【0029】
その後、使用するときは、ステム24の基端に取り付ける噴射ボタンを押すことにより、弾性シール体26を変形してステム24をハウジング20中に押し込んで図2に示すように出入口22を通してステム24の先端を弁体16の弾性部材18に突き当て、管状ステム24の入口24aを塞いで定量室27とステム24の内部吐出流路24bとの連通を遮断する。それから、さらにステム24を押し込んで定量室27と内部吐出流路24bとの連通を遮断したまま弁体16を押し下げ、図3に示すようにハウジング20の出入口22の口縁22aから弁体16をコイルスプリング15の付勢力に抗して離し、出入口22を介して定量室27と容器内を連通し、不図示の容器内の噴射剤の圧力で内容物を吸上げパイプ12を通し、連通孔13から中径部10b内に入れ、弁体16のまわりを通って出入口22から定量室27に入れる。
【0030】
次いで、不図示のノズル部材の噴口を目的部位に向けて正確に定め、噴射ボタンから手を離すことによりステム24の押し込みを解除し、弾性シール体26でステム24を元の位置に復帰するとともに、コイルスプリング15の付勢力に基づき弁体16を戻して図2に示すように再び出入口22の口縁22aに押し当て、出入口22を塞いで定量室27と容器内との連通を遮断し、引き続いて図1に示すように弁体16からステム24を離して出入口22を介しての定量室27と内部吐出流路24bとの連通遮断を解除し、定量室27の内容物を入口24aからステム24の内部吐出流路24bに入れ、ステム24内を通して噴射ボタンに設けるノズル部材の噴口から外部に向けて噴射する。
【0031】
次に、使用するときは、再び噴射ボタンを押して容器の内容物を定量室27に入れ、噴口を目的部位に向けて噴射ボタンから手を離すことにより定量室27の内容物を外部に向けて噴射する。これにより、噴射ボタンを押し下げてのステム24の1回の押し込み操作で定量室27の容積に応じて一定量ずつ内容物をステム24内に吐出し、ステム24内を通してノズル部材の噴口から一定量ずつ外部に向けて噴射することができる。
【0032】
ところで、この例によれば、定量バルブ装置のハウジング20の底部に出入口22を有する構成とし、ステム24の押し込みを解除し、弁体16からステム24を離して図2に示す状態から図1に示すようにステム24の入口24aを開き、出入口22を介しての定量室27と外気との連通遮断を解除したとき、定量室27の内容物を出入口22からステム24内を通して噴射ボタンの噴口から外部に吐出するので、定量室27の内容物中に含まれる粉末が重力により沈下してハウジング20の底部に溜まるようなことがあったとしても、その沈下した内容物がハウジング20の出入口22の近くにあることから、定量室27内の内容物を吐出するときはじめからその沈下した粉末もすぐにステム24内にともに吐出しやすく、当初の使用時から一定量の粉末を含んだ内容物を外部に向けて噴射することができる。
【0033】
また、内容物の吐出経路が単純であるので、噴射剤の割合が少なく、吐出圧の小さな噴出器にも適用することができる。加えて、ステム24の押し込みを解除したとき、外部に向けて噴射する構成であるので、ステム24の押し込み時に、外部に向けて噴射する構成より手振れが少なく、内容物を目的部位に向けて正確に噴射することができる。
【0034】
さらに、押し込みを解除してステム24から手を離したとき、外部に向けて噴射する構成であるので、例えば芳香剤を噴射する噴出器など、内容物を上向きに吐出するような噴出器に適用する場合にも、不用意に使用しても、噴射した内容物が顔にかかったり、髪の毛にかかったり、手にかかったり、誤って口から吸い込んだりするなどのおそれの少ない定量バルブ装置、およびそれを備える画像形成装置を提供することができる。
【0035】
加えて、図示例によれば、定量室27を形成するハウジング20の底面20aを、出入口22に向けて漸次低く傾斜し、定量室27の内容物中に含まれている粉末が重力により沈下したとき、ハウジング20の底面20aの傾斜により出入口22へと導くので、定量室27の内容物中に含まれている粉末が重力により沈下してハウジング20の底部に溜まったとしても、その沈下した粉末をハウジング20の底面20aの傾斜により出入口22へと導き、定量室27内の内容物を吐出するときなお一層ステム24に向けて吐出しやすく、当初の使用時からさらに確実に一定量の粉末を含んだ内容物を外部に向けて噴射することができる。
【0036】
またさらに、マウンテンカップ28で容器の口部に組み付けるとともに、弾性シール体26で定量室27を気密に形成しかつハウジング20内にステム24を出し入れ自在に保持するので、少ない部品点数で、しかもきわめて簡単な構成で、容器の口部に組み付けるとともに、定量室27の気密性を確保しかつハウジング20内にステム24を出し入れ自在に保持することができる。
【0037】
ところで、弁体16が出入口22を塞ぐときハウジング20に押し当てる弁体16の位置、およびステム24を押し込んだとき先端を突き当てる弁体16の位置に、弾性部材18を固定する。そして、常時は、弁体16に固定する弾性部材18をハウジング20に押し当てて出入口22を塞ぎ、またステム24を押し込んだときには、ステム24の先端を弁体16の弾性部材18に突き当てるようにするので、弁体16の弾性部材18をハウジング20の出入口22に押し当てることにより、弾性部材18の弾性をもって定量室27と容器内との連通遮断をより確実とし、また弁体16の弾性部材18にステム24の先端を突き当てることにより、弾性部材18の弾性をもってステム24の入口24aを完全に塞いで定量室27とステム24の内部吐出流路24bとの連通遮断をより確実とすることができる。
【0038】
なお、図示例では、弁体16を付勢するコイルスプリング15の強さを加減することにより、また弾性シール体26の弾性力を強めたり弱めたりすることにより、ステム24の戻りを早くしたり遅くしたりし、内容物の外部への噴射を早めたり遅らせたり調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明による定量バルブ装置の縦断面図である。
【図2】そのステムを押し込んで定量室とステム内とを遮断した状態の縦断面図である。
【図3】そのステムをさらに押し込んで定量室と容器内とを連通した状態の縦断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 弁体ケース
15 コイルスプリング
16 弁体
18 弾性部材
20 ハウジング
20a ハウジングの底面
22 出入口
22a 出入口の口縁
24 ステム
24a ステムの入口
24b ステムの内部吐出流路
26 弾性シール体
27 定量室
28 マウンテンカップ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を噴射剤とともに収容する容器の口部に組み付け、1回のステム押し込み操作で一定量ずつ前記容器内の内容物を吐出する定量バルブ装置において、
容器の口部に組み付けたとき、容器内に向けて出入口を有するハウジングと、
そのハウジングに押し当てて前記出入口を塞ぐ弁体と、
前記ハウジングに押し込み可能に挿入してそのハウジングとの間に定量室を形成し、押し込んだとき前記出入口を通して先端を前記弁体に突き当てて前記定量室と内部吐出流路との連通を遮断し、さらに押し込んだときその連通を遮断した状態のまま、前記弁体を付勢力に抗して開いて容器の内容物を前記出入口を通して前記定量室に入れる管状のステムと、
を備えることを特徴とする、定量バルブ装置。
【請求項2】
前記定量室の底面中央に前記出入口を設け、その出入口に向けて漸次低く前記底面を傾斜してなることを特徴とする、請求項1に記載の定量バルブ装置。
【請求項3】
前記ハウジングと前記ステム間の開口を塞いで前記定量室を形成するとともに、前記ステムを支持し、そのステムを押し込んだとき変形し押し込みを解除したとき前記ステムを元の位置に復帰する弾性シール体と、その弾性シール体を被って容器の口部に組み付けるマウンテンカップとを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の定量バルブ装置。
【請求項4】
前記弁体が前記出入口を塞ぐとき前記ハウジングに押し当てる前記弁体の位置、および前記ステムを押し込んだとき先端を突き当てる前記弁体の位置に、弾性部材を固定することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1に記載の定量バルブ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1に記載の定量バルブ装置を備えることを特徴とする、エアゾール式噴出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−186257(P2007−186257A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238703(P2006−238703)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】