説明

宛先帳管理装置、宛先帳管理方法、および宛先帳管理プログラム

【課題】受信した電子メールの送信元のファックス番号等を、ファクシミリ装置の宛先帳に簡単に登録することができる宛先帳管理装置、宛先帳管理方法、および宛先帳管理プログラムを提供すること。
【解決手段】コンピューター200は、電子メールソフトウェア10と宛先帳管理アプリケーション20を有する。宛先帳管理アプリケーション20は、電子メールソフトウェア10が受信した電子メールの記述からメール送信元のファックス番号および宛先名を抽出する。そして、抽出したファックス番号および宛先名を、ファクシミリ装置である複合機の宛先帳117に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に登録された宛先帳の管理を行う宛先帳管理装置、宛先帳管理方法、および宛先帳管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ装置に登録された宛先帳を、これらの装置とネットワーク接続されたパーソナルコンピューター等から管理できるようにするアプリケーションがある。この宛先帳管理用アプリケーションでは、ユーザーは、任意の宛先とそのファックス番号を入力することによって、ファクシミリ装置の宛先帳に登録して管理することができる。例えば、受信した電子メールの送信元を宛先帳に登録しようとする際、ユーザーは、電子メールソフトウェアで電子メールを開封して、メールに記述されたファックス番号等を探し出す。そして、探し出したファックス番号等を、宛先帳管理用アプリケーションにコピー/ペーストまたは直接入力することによって、ファクシミリ装置の宛先帳に登録できる。
【0003】
また、特許文献1には、電話システムおよび電子メールシステムを含み、電話番号と電子メールアドレスとを対応付けて管理するようにしたシステムが記載されている。このシステムでは、電話システムは通話相手の電話番号を電子メールシステムに通知し、電子メールシステムは通話相手の電話番号を含む電子メールを抽出する。そして、抽出した電子メールの電子メールアドレスと電話番号を対応付けてアドレス帳に登録する。これにより、電子メールと電話とを連携したアドレス帳の管理を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−330234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、宛先帳管理用アプリケーションに対して、電子メールの記述からファックス番号等の登録すべき情報を指定しようとする際、必要な部分を特定してコピー/ペースト、または情報を直接入力するという煩わしい手間をユーザーにかけてしまう。また、直接入力の場合には、入力ミス等を生じてしまう虞もある。このように、従来の宛先帳管理用アプリケーションでは、電子メールの記述からファックス番号を簡単に登録できないため、ユーザーにとって不便であった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術は、電話システムと電子メールシステムとの間で電話番号と電子メールアドレスを連携するようにしたものであり、ファクシミリ装置の宛先帳を簡単に管理できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]ファクシミリ装置の宛先帳を管理する宛先帳管理装置であって、電子メールを受信する受信部と、前記受信した電子メールの記述からメール送信元のファックス番号を抽出する抽出部と、前記抽出されたファックス番号を前記宛先帳に登録する登録部と、を備えることを特徴とする宛先帳管理装置。
【0009】
この構成によれば、受信した電子メールの記述から抽出部がファックス番号を抽出し、抽出されたファックス番号は登録部がファクシミリ装置の宛先帳に登録するので、ユーザーにとって、ファックス番号の登録に要する手間が少なくなり、メール送信元のファックス番号を宛先帳に簡単に登録して管理できる。したがって、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0010】
[適用例2]上記宛先帳管理装置において、前記抽出部は、前記受信した電子メールの記述からメール送信元を示す文字列をさらに抽出し、前記登録部は、前記抽出された文字列と前記ファックス番号とを対応付けて前記宛先帳に登録することを特徴とする宛先帳管理装置。
【0011】
この構成によれば、メール送信元を示す文字列と、電子メールから抽出されたファックス番号とが対応付けてファクシミリ装置の宛先帳に登録されるので、ユーザーは、メール送信元の文字列を、登録されたファックス番号の宛先として把握できる。
【0012】
[適用例3]上記宛先帳管理装置において、前記抽出部は、前記受信した電子メールの著名欄の著名欄を特定し、該著名欄から前記ファックス番号を抽出することを特徴とする宛先帳管理装置。
【0013】
この構成によれば、著名欄からファックス番号を抽出することにより、ファックス番号をより確実に検出することができる。
【0014】
[適用例4]上記宛先帳管理装置において、前記抽出されたファックス番号を前記宛先帳に登録するか否かの選択を促す画面を表示する表示部と、前記画面に従う選択の操作を受ける操作部と、をさらに備え、前記登録部は、前記操作部への操作により前記宛先帳に登録すると選択されたファックス番号を前記宛先帳に登録することを特徴とする宛先帳管理装置。
【0015】
この構成によれば、ユーザーは、表示部に表示される画面に従い、電子メールから抽出されたファックス番号の登録を任意に行うことができる。
【0016】
[適用例5]上記宛先帳管理装置において、前記画面は、前記抽出されたファックス番号の修正が可能であり、前記登録部は、前記操作部への入力操作により修正されたファックス番号を前記宛先帳に登録することを特徴とする宛先帳管理装置。
【0017】
この構成によれば、ファクシミリ装置の宛先帳に登録するファックス番号はユーザーが任意に修正することができる。
【0018】
[適用例6]ファクシミリ装置の宛先帳を管理する宛先帳管理方法であって、電子メールを受信するステップと、前記受信した電子メールの記述からメール送信元のファックス番号を抽出するステップと、前記抽出されたファックス番号を前記宛先帳に登録するステップと、を含むことを特徴とする宛先帳管理方法。
【0019】
このようにすれば、ユーザーにとっては、ファックス番号の登録にかかる手間が少なくなり、メール送信元のファックス番号を宛先帳に簡単に登録して管理できるようになる。
【0020】
[適用例7]ファクシミリ装置の宛先帳を管理するための宛先帳管理プログラムであって、コンピューターを、受信した電子メールの記述からメール送信元のファックス番号を抽出する抽出部と、前記抽出されたファックス番号を、記憶部に記憶された前記ファクシミリ装置の宛先帳に登録する登録部、として機能させることを特徴とする宛先帳管理プログラム。
【0021】
この宛先帳管理プログラムによれば、ユーザーにとってファックス番号の登録にかかる手間が少なくなり、メール送信元のファックス番号をファクシミリ装置の宛先帳に簡単に登録して管理できる機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施例に係る宛先帳管理システムの構成を示す図。
【図2】コンピューターのソフトウェア構成を示す図。
【図3】電子メールから宛先情報を登録する処理の流れを示すフローチャート。
【図4】電子メールの記述の一例を示す図。
【図5】登録確認画面の一例を示す図。
【図6】登録確認画面の一例を示す図。
【図7】変形例1を説明する図であり、(a)、(b)はソフトウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について実施例に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本実施例に係る宛先帳管理システムの構成を示した図である。図1に示すように、宛先帳管理システム1は、ファクシミリ装置の一例である複合機100と、宛先帳管理装置の一例であり、複合機100のホスト装置であるコンピューター200と、ルーター400を介して外部のメールサーバーとのメール送受信等を行うメールサーバー300と、を含んでいる。また、この宛先帳管理システム1の各装置はLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されている。
【0025】
複合機100は、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能およびファックス機能等の複数の機能を有する装置であり、コントローラー110と、操作パネル120と、スキャナー130と、印刷エンジン140と、ファクシミリ部150と、を備えている。
【0026】
操作パネル120は、ユーザー操作等を受けるためのキー入力装置121、および表示装置122を有する。ユーザーは、表示装置122に表示される画面に従ってキー入力装置121を操作することにより、複合機100のプリンター機能、スキャナー機能およびファックス機能を利用するための操作や、複合機100に関する様々な設定を変更する操作を行うことができる。
【0027】
スキャナー130は、原稿台にセットされた原稿を読み取って、原稿イメージのスキャンデータを生成するためのハードウェア部である。スキャナー130が原稿を読み取ることによって生成されたスキャンデータはコントローラー110に受け渡されて、RAM113または不揮発性メモリー114に格納される。
【0028】
印刷エンジン140は、例えば、複合機100の内部で生成された印刷データや、コンピューター200から受信した印刷データに基づいて、印刷用紙等の印刷媒体に印刷を行うハードウェア部であり、コントローラー110から受け取る印刷データに従って印刷を実行する。
【0029】
ファクシミリ部150は、ファックス回線網を介してファクシミリ通信を行うための部分である。ファクシミリ部150は、送信対象とする画像データを符号化してファクシミリ通信用のファックスデータを生成する処理、ファックスデータの送信および受信の処理、受信したファックスデータを逆符号化して画像データとして取得する処理等を行う。
【0030】
コントローラー110は、複合機100の各部の動作を制御する部分であり、CPU111と、ROM112と、RAM113と、不揮発性メモリー(記憶部)114と、ネットワークI/F115と、メモリーI/F116と、を有している。また、これらの構成は内部バスを介して相互に接続されている。
【0031】
ネットワークI/F115は、ネットワークに接続するインターフェイス部分であり、複合機100は、このネットワークI/F115によりネットワークを介して、コンピューター200、メールサーバー300、ルーター400と相互にデータ通信可能である。メモリーI/F116は、USBメモリー118等の外部メモリーが着脱可能に装着されるインターフェイス部分であり、外部メモリーに対してデータを読み書きする処理を行う。
【0032】
CPU111は、コントローラー110の主制御装置であり、RAM113を作業領域等として用い、ROM112に格納された各種のプログラムを実行することにより、複合機100における様々な制御を行う。具体的には、CPU111は、スキャナー130に読取指示を出す処理、印刷エンジン140に印刷指示を出すと共に印刷用のデータを受け渡す処理、スキャナー130による原稿の読み取りを制御する処理、ファクシミリ部150によるファクシミリ通信を制御する処理等を行う。
【0033】
不揮発性メモリー114は、フラッシュROM、NVRAM等の読み書き可能なメモリーであり、宛先帳(以下、「複合機の宛先帳」ともいう)117のデータを予め記憶している。
【0034】
宛先帳117は、ファクシミリ用の宛先名、ファックス番号等が登録される宛先帳のデータである。宛先帳117には、後述するコンピューター200の宛先帳管理アプリケーション、またはキー入力装置121へのユーザー操作によって、ファックス送信用の宛先名とファックス番号とが対応付けて登録される。
【0035】
また、コントローラー110のCPU111は、宛先帳管理アプリケーションからの指示またはキー入力装置121へのユーザー操作に従い、宛先名およびファックス番号を宛先帳117に登録する処理、および宛先帳117に従ってファックスの宛先を指定する処理等を行う。ユーザーは、キー入力装置121へのユーザー操作によって、宛先帳117に登録された宛先のうちから所望の宛先を選択することにより、ファックス送信の宛先を簡単且つ確実に指定することが可能である。
【0036】
次に、コンピューター200の構成について説明する。コンピューター200は、例えば、汎用のパーソナルコンピューター等であり、図1に示すように、CPU210と、ROM220と、RAM230と、ハードディスクドライブ(以下、「HD」という)240と、ネットワークI/F250と、入力I/F260と、ビデオI/F270と、を備えている。コンピューター200の各構成210〜270は、図示しないチップセット等によってバスを介してデータ通信可能に接続される。
【0037】
HD240には、宛先帳(以下、「ホスト装置の宛先帳」ともいう)241のデータおよび宛先管理アプリケーションの宛先帳管理プログラム242の他、複合機100のドライバープログラム、電子メールソフトウェアのプログラム等の各種プログラムが記憶されている。なお、宛先帳管理プログラム242は、フレキシブルディスク、CD−ROMやDVD−ROM等の光ディスク、光磁気ディスク、メモリーカード、携帯型ハードディスク等、コンピューター読み取り可能な種々の記録媒体に記録された形態でコンピューター200に供給される。記録媒体に記録された宛先帳管理プログラム242は、コンピューター200に備わるドライブ装置(図示なし)等によって読み出されてHD240に記録される。もっとも、宛先帳管理プログラム242の取得方法としてはこれに限られることなく、コンピューター200が、インターネット等のネットワークを介して所定のサーバからHD240に宛先帳管理プログラム242をダウンロードするようにしてもよい。
【0038】
ネットワークI/F250は、システム内のネットワークと接続する部分であり、同じくネットワークに接続された複合機100、メールサーバー300およびルーター400とデータ通信を行うためのインターフェイス部分である。ビデオI/F270は、画像信号を出力するインターフェイス部分であり、表示部であるディスプレー271が接続されている。入力I/F260は、コンピューター200への入力信号を受けるインターフェイス部分であり、操作部であるキーボード261やマウス262等の入力機器が接続されている。
【0039】
次に、コンピューター200のソフトウェア構成について説明する。図2は、コンピューター200のソフトウェア構成を示す図である。図2に示すように、コンピューター200は、電子メールソフトウェア(受信部)10、および宛先帳管理アプリケーション20を有する。これらのソフトウェア構成は、所定のオペレーティングシステムの下で、CPU210が該当するプログラムをHD240から読み出して実行することにより機能する。特に、CPU210が宛先帳管理プログラム242をHD240から読み出して実行することにより、宛先帳管理アプリケーション20が機能している。
【0040】
電子メールソフトウェア10は、メールサーバー300に対して電子メールの送受信の処理、電子メールを閲覧する処理等を行うアプリケーションである。
【0041】
宛先帳管理アプリケーション20は、ホスト装置であるコンピューター200から複合機の宛先帳を管理するためのアプリケーションであり、宛先情報抽出部(抽出部)21と、宛先情報登録部(登録部)22と、を有する。
【0042】
宛先情報抽出部21は、電子メールソフトウェア10によって受信した電子メールの記述から、宛先帳に登録すべき情報を抽出して取得する機能部である。具体的には、宛先情報抽出部21は、電子メール本文から、メール送信元の宛先名およびファックス番号を含む宛先情報を抽出する処理を行う。
【0043】
宛先情報登録部22は、宛先情報抽出部21によって得られた宛先情報を、ホスト装置の宛先帳241に登録する処理を行う機能部である。
【0044】
また、宛先情報登録部22は、ユーザーからの指示があったタイミング、または所定時間ごとや新たな登録があったとき等のタイミングで、ホスト装置の宛先帳241、複合機の宛先帳117間の同期制御を行う。すなわち、ホスト装置の宛先帳241に登録された宛先は、宛先情報登録部22が宛先帳117,241間で同期を取ることによって、複合機の宛先帳117にも登録される。これにより、宛先帳117,241間で整合がとれた状態に管理される。
【0045】
次に、電子メールから宛先情報を登録する処理について、図3のフローチャートに従って説明する。なお、以下に説明する処理は、CPU210が宛先帳管理プログラム242を実行することによって行われる。
【0046】
例えば、電子メールソフトウェア10がメールサーバー300から電子メールを受信したとき、または当該電子メールがユーザーによって開封されたとき等に、宛先帳管理アプリケーション20は、受信した電子メールのデータを電子メールソフトウェア10から受け取って、図3の処理を開始する。
【0047】
処理を開始すると、まず、宛先情報抽出部21は、電子メールの送信元メールアドレスのドメイン部分から判断して、登録を許可されたドメインからの電子メールであるか否かを判断する(ステップS10)。予め許可を受けていないドメインからの電子メールであれば(ステップS10:No)、当該電子メールに関しては宛先情報を登録することなく、図3の処理を終了する。
【0048】
予め許可を受けたドメインからの電子メールであれば(ステップS10:Yes)、宛先情報抽出部21は、当該電子メールの送信元を宛先帳へ登録することを許可し、当該電子メールの記述からファックス番号、メール送信元の宛先名に対応する所定の文字列を検索する(ステップS20)。
【0049】
ここで、検索方法について説明する。図4に電子メールの記述例を示す。図4に示すように、電子メールの記述には終わりの部分に著名欄30が設けられ、一般には、この著名欄30に、メール送信元の会社名、電子メールアドレス、電話番号、ファックス番号等の連絡先が記される。宛先情報抽出部21は、電子メールの記述に対して、ファックス番号に対応する文字列として、「FAX」の文字列およびその同義語となる文字列(「ファックス」、「ファクス」等)を検索する。さらに、メール送信元に対応する文字列として「株式会社」、「会社」等の文字列を検索する。これにより、図4の例では、電子メールの著名欄30から、「FAX」の文字列31および「株式会社」の文字列33が検索される。
【0050】
なお、ファックス番号に対応する所定の文字列の検索については、例えば、著名欄30を挟むように前後に記述される所定の文字列を認識することによって、電子メールの記述のうち著名欄30の範囲を特定し、著名欄30に限定して検索を行うことが望ましい。もっとも、電子メールの後ろ側の記述から順に検索して最初に見つかった文字列を取得して、以降の検索を行わないようにしてもよい。こうして、検索の対象を絞り込むことにより、検索の高速化を図ることができる。
【0051】
また、メール送信元に対応する所定の文字列の検索は、「FAX」の文字列およびその同義語となる文字列が検索された位置に対して前後する所定の文字数に対して行うことが望ましい。このようにすれば、著名欄以外の記述から「株式会社」等の文字列を検索してしまうことを防ぐとともに、検索の高速化を図ることができる。
【0052】
次に、宛先情報抽出部21は、ステップS20における検索の結果、ファックス番号に対応する所定の文字列があったか否かを判断する(ステップS30)。該当する文字列があった場合(ステップS30:Yes)、宛先情報抽出部21は、図4に例として示すように、ファックス番号に対応する所定の文字列31の後に続く数字の文字列32を抽出し、ファックス番号として取得する(ステップS40)。なお、該当する文字列がメール中になかった場合(ステップS30:No)、対象の電子メールについてはファックス番号を登録することとなく、図3の処理を終了する。
【0053】
電子メールの記述からファックス番号が抽出されると、宛先情報抽出部21は、抽出したファックス番号がホスト装置の宛先帳241に登録済であるか否かを判断する(ステップS50)。登録済であれば(ステップS50:Yes)、このファックス番号は新たに登録する必要がないため、図3の処理を終了する。
【0054】
一方、抽出したファックス番号が未登録であった場合(ステップS50:No)、宛先情報抽出部21は、ステップS20における検索の結果、メール送信元に対応する所定の文字列が検索されたか否かを判断する(ステップS60)。該当する文字列がメール中にあった場合(ステップS60:Yes)、宛先情報登録部22は、図4に例として示すように、メール送信元に対応する所定の文字列33の前に続く文字列34を特定してメール送信元の宛先として取得する(ステップS70)。
【0055】
次に、宛先情報登録部22は、ディスプレー271に登録確認画面を表示させる(ステップS80)。図5は登録確認画面の一例を示す図である。図5に示すように、登録確認画面40aには、宛先名の入力欄41とファックス番号の入力欄42が含まれる。この登録確認画面40aが表示される際、ステップS70にて取得したメール送信元への宛先名が宛先名の入力欄41に予め入力済になっており、ステップS40にて取得したファックス番号がファックス番号の入力欄42に予め入力済になっている。ユーザーは、登録確認画面40aに入力された内容を確認して、必要に応じてキーボード261やマウス262を操作することにより、入力欄41,42に予め入力された内容を任意に変更する。そして、ユーザーが、登録確認画面40aの入力欄41,42に表示された内容を確認した後、OKボタン43またはキャンセルボタン44を押下すると、ステップS100に進む。
【0056】
一方、ステップS60において、メール送信元に対応する所定の文字列が電子メールの記述になかった場合(ステップS60:No)、図6に例として示す登録確認画面40bが表示装置122に表示される(ステップS90)。この登録確認画面40bが表示される際、ステップS40にて取得したファックス番号がファックス番号の入力欄42に予め入力済である。しかし、メール送信元への宛先名は取得できていないため、宛先名の入力欄41は未入力になっている。ユーザーは、登録確認画面40bに入力された内容を確認して、キーボード261やマウス262を操作することにより、宛先名の入力欄41に宛先名の入力や入力欄42に予め入力された内容の変更を行う。そして、ユーザーが、OKボタン43またはキャンセルボタン44を押下すると、ステップS100に進む。
【0057】
ステップS100に処理が進むと、宛先情報登録部22は、ファックス番号の登録が指示されたか否かを判断する。登録確認画面40において、OKボタン43が押下されていた場合、登録の指示があったと判断して(ステップS100:Yes)、登録確認画面40に指定されたメール送信元への宛先名とファックス番号を対応付けて、ホスト装置の宛先帳241に登録する(ステップS110)。
【0058】
次に、宛先情報登録部22は、ホスト装置の宛先帳241に新たに登録した内容と同じ内容を登録する旨の命令を複合機100に送信して、複合機の宛先帳117に登録させる(ステップS120)。こうして、ホスト装置の宛先帳241、複合機の宛先帳117間で同期をとって登録内容の整合を図ると、抽出したファックス番号およびメール送信元への宛先名が複合機の宛先帳117に登録された状態となって、図3の処理を終了する。
【0059】
なお、登録確認画面40a,40bにおいて、キャンセルボタン44が押下されていた場合、宛先情報登録部22は、登録の指示がなかったと判断して(ステップS100:No)、登録確認画面40に指定された内容は新たに登録することなく、図3の処理を終了する。
【0060】
以上に説明した宛先帳管理システム1によれば、コンピューター200が受信した電子メールから、ファックス番号およびメール送信元への宛先名の情報が抽出されて、ホスト装置の宛先帳241および複合機の宛先帳117に登録される。このため、ユーザー自身が、電子メールの記述からファックス番号を探し出して特定した部分を宛先帳管理アプリケーション20にコピー/ペーストまたは直接入力するというような煩わしい操作を行うことなく、電子メールの送信元を登録できる。したがって、ユーザーにとっては、受信した電子メールの送信元を宛先帳117,241に簡単に登録できるとともに、入力ミスによる誤登録を防ぐことができ、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0061】
以上、一実施例について説明したが、実施の形態としては実施例の全ての構成を備えたものに限られることなく、その趣旨に逸脱しない様々な形態としてもよい。以下、変形例について説明する。
【0062】
(変形例1)上記実施例では、宛先帳管理アプリケーション20は、開封した電子メールの情報を電子メールソフトウェア10から受け取り、この情報からファックス番号を抽出するソフトウェア構成としたが、これに限られない。例えば、図7(a)に示すように、宛先帳管理アプリケーション20の機能が電子メールソフトウェア10本体に組み込まれた構成とし、電子メールソフトウェア10内部で、宛先帳管理アプリケーション20が電子メール本文の内容を取得する構成としてもよい。また、宛先帳管理アプリケーション20は、電子メールソフトウェア10から電子メールの情報を取得するのではなく、図7(b)に示すように、電子メールの送受信用に割り当てられた通信ポートを監視して電子メールの内容を直接取得する構成としてもよい。もっとも、宛先帳管理アプリケーション自体がメール受信の機能を有した構成としてもよい。
【0063】
(変形例2)上記実施例では、宛先帳管理アプリケーション20は、電子メールから抽出したファックス番号はいったんホスト装置の宛先帳241に登録し、複合機の宛先帳117との同期を取ることによって、複合機の宛先帳117にファックス番号を登録するようにした。抽出したファックス番号を、複合機の宛先帳117に直接登録する構成としてもよい。
【0064】
(変形例3)上記実施例では、ファクシミリ装置の一例としての複合機100に記録された宛先帳を管理する場合について説明したが、ファクシミリ装置としてはこれに限られることなく、ファクシミリ専用機、もしくはファクシミリ機能を備えたプリンターや電話機等の宛先帳を管理するようにしてもよい。
【0065】
また、複合機等のファクシミリ装置が、宛先帳管理アプリケーション20の機能を備えた構成としてもよい。すなわち、ファクシミリ装置は、ホスト装置の電子メールソフトウェアから電子メールのデータを受け取り、受け取った電子メールからファックス番号を検索してホスト装置の宛先帳241に登録するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…宛先帳管理システム、10…受信部としての電子メールソフトウェア、20…宛先帳管理アプリケーション、21…抽出部としての宛先情報抽出部、22…登録部としての宛先情報登録部、40…登録確認画面、100…複合機、110…コントローラー、114…記憶部としての不揮発性メモリー、117…複合機の宛先帳、120…操作パネル、130…スキャナー、140…印刷エンジン、150…ファクシミリ部、200…コンピューター、241…ホスト装置の宛先帳、242…宛先帳管理プログラム、250…ネットワークI/F、260…入力I/F、261…操作部としてのキーボード、262…操作部としてのマウス、270…ビデオI/F、271…表示部としてのディスプレー、300…メールサーバー、400…ルーター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ装置の宛先帳を管理する宛先帳管理装置であって、
電子メールを受信する受信部と、
前記受信した電子メールの記述からメール送信元のファックス番号を抽出する抽出部と、
前記抽出されたファックス番号を前記宛先帳に登録する登録部と、を備えることを特徴とする宛先帳管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の宛先帳管理装置において、
前記抽出部は、前記受信した電子メールの記述からメール送信元を示す文字列をさらに抽出し、
前記登録部は、前記抽出された文字列と前記ファックス番号とを対応付けて前記宛先帳に登録することを特徴とする宛先帳管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の宛先帳管理装置において、
前記抽出部は、前記受信した電子メールの著名欄の著名欄を特定し、該著名欄から前記ファックス番号を抽出することを特徴とする宛先帳管理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の宛先帳管理装置において、
前記抽出されたファックス番号を前記宛先帳に登録するか否かの選択を促す画面を表示する表示部と、
前記画面に従う選択の操作を受ける操作部と、をさらに備え、
前記登録部は、前記操作部への操作により前記宛先帳に登録すると選択されたファックス番号を前記宛先帳に登録することを特徴とする宛先帳管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の宛先帳管理装置において、
前記画面は、前記抽出されたファックス番号の修正が可能であり、
前記登録部は、前記操作部への入力操作により修正されたファックス番号を前記宛先帳に登録することを特徴とする宛先帳管理装置。
【請求項6】
ファクシミリ装置の宛先帳を管理する宛先帳管理方法であって、
電子メールを受信するステップと、
前記受信した電子メールの記述からメール送信元のファックス番号を抽出するステップと、
前記抽出されたファックス番号を前記宛先帳に登録するステップと、を含むことを特徴とする宛先帳管理方法。
【請求項7】
ファクシミリ装置の宛先帳を管理するための宛先帳管理プログラムであって、
コンピューターを、
受信した電子メールの記述からメール送信元のファックス番号を抽出する抽出部と、
前記抽出されたファックス番号を、記憶部に記憶された前記ファクシミリ装置の宛先帳に登録する登録部、として機能させることを特徴とする宛先帳管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−199671(P2010−199671A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38953(P2009−38953)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】