説明

実行形式のファイル暗号化プログラム、実行形式のファイル暗号化プログラム生成装置、実行形式プログラムによるファイル暗号化方法、実行形式のファイル暗号化プログラム生成方法、及び実行形式のファイル暗号化プログラムを用いたファイル暗号化方法

【課題】 情報提供者に複雑な操作を要求することなく、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存せず、かつ情報受領者側のセキュリティレベルで暗号化されたデータを受領することを可能にするためのファイル暗号化プログラム等を提供する。
【解決手段】 情報提供者側のコンピュータにおけるファイルの暗号化処理を、暗号鍵が設定された実行ファイルによって実行させ、暗号化されたデータをこの実行ファイルと同一のファイルに1ファイル化させることによって、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存することなく、簡易な操作で暗号化されたデータを生成することが可能になる。この実行ファイルを情報受領者が生成して情報提供者に提供することによって、情報受領者側のセキュリティレベルでデータを受領することも可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供者に複雑な操作を要求することなく、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存せず、かつ情報受領者側のセキュリティレベルで暗号化されたデータを受領することを可能にするための、実行形式のファイル暗号化プログラム、実行形式のファイル暗号化プログラム生成装置、実行形式プログラムによるファイル暗号化方法、実行形式のファイル暗号化プログラム生成方法、及び実行形式のファイル暗号化プログラムを用いたファイル暗号化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
文書ファイルやスプレッドシートなどファイル形式の電子データで重要情報をやり取りする際には、情報の漏えいや改ざんを防止するために、情報提供者から提供されるファイルを暗号化して、電子メール等の通信手段を用いて情報受領者に引き渡すことが広く行われている。
【0003】
暗号化したファイルを電子メールで送信する場合には、情報提供者側のコンピュータに暗号化のためのプログラムを備えることが必要になる。また、復号化に必要な鍵を安全に引き渡すために、管理サーバが発行した鍵(復号化パスワード)を暗号化したファイルとは異なる通信ルートから送信する発明(特許文献1参照)や、管理サーバを介して鍵(パスワード)を引き渡す発明(特許文献2参照)などが開示されている。
【0004】
また、情報受領者側の利便性に配慮して、暗号化されたファイルを受信する情報受領者側にあらかじめ復号化のための機能を備えなくても、復号化に必要な鍵(復号情報)を取得して復号化のための処理を自動的に行うことが可能な、送信側のサーバ装置に関する発明が開示されている(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−306261号公報
【特許文献2】特開2010−154419号公報
【特許文献3】特開2009−265775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ファイルを暗号化して送信するこれらの発明は、いずれも情報提供者側のコンピュータにファイルを暗号化する機能が備えられるという前提で、復号化に必要な鍵を情報提供者から情報受領者にどのように安全に引き渡すかが課題とされている。すなわち、これらの発明における暗号化処理機能は、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存し、情報提供者側のセキュリティレベルで情報が引き渡されることになる。
【0007】
そのため、情報提供者側のコンピュータの利用環境が様々である場合や、情報受領者側のセキュリティレベルで情報を受け取りたい場合には、これらの発明を利用することができない。例えば、規模の小さい顧客を数多く抱えている会計事務所が、毎月の伝票データを文書ファイル等で受け取りたい場合、全ての顧客に同じ暗号化システムの導入を要求するのは事実上困難である。こうしたケースでは、顧客に複雑な操作を要求することなく、どの顧客に対しても一定の安全性を維持しながら文書ファイル等の受け渡しを行いたいというニーズがあると考えられるが、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存する前提では、こうしたニーズには対応することができない。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、情報提供者に複雑な操作を要求することなく、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存せず、かつ情報受領者側のセキュリティレベルで暗号化されたデータを受領することを可能にするための、実行形式のファイル暗号化プログラム、実行形式のファイル暗号化プログラム生成装置、実行形式プログラムによるファイル暗号化方法、実行形式のファイル暗号化プログラム生成方法、及び実行形式のファイル暗号化プログラムを用いたファイル暗号化方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、情報提供者側のコンピュータにおけるファイルの暗号化処理を、ファイル内に暗号鍵が設定された実行ファイルによって自動的に実行させ、暗号化されたデータをこの実行ファイルと同一のファイルに1ファイル化させることによって、かかる実行ファイルの受け渡しを行うだけで、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存することなく、簡易な操作で暗号化されたデータを生成することが可能になる。この実行ファイルを情報受領者が生成して情報提供者に提供することによって、情報受領者側のセキュリティレベルでデータを受領することも可能になる。
【0010】
また、1つのファイルを暗号化した後にも、他のファイルが指定されればさらに暗号化を行い、暗号化したデータを同一のファイルに1ファイル化して保存することとすれば、複数のファイルをまとめて受け渡しすることが可能になる。
【0011】
さらに、暗号化を行う実行ファイルのアイコンをディスプレイに表示させ、このアイコンの表示領域にドラッグアンドドロップすることによって、実行ファイルを起動して暗号化するファイルが指定されることとすれば、情報提供者は簡易な操作によってファイルの暗号化を行うことが可能になる。
【0012】
本発明にかかるファイル暗号化プログラムは、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムであって、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって起動され、コンピュータに、暗号化するファイルを認識するステップと、前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させることを特徴とするファイル暗号化プログラムである。
【0013】
また、本発明にかかるファイル暗号化プログラムは、第1のファイルを暗号化した第1の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存した後に、暗号化する第2のファイルを認識するステップと、前記第2のファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した第2の暗号化データを生成するステップと、前記第2の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させることを特徴とすることもできる。
【0014】
さらに、本発明にかかるファイル暗号化プログラムは、暗号化するファイルの指定は、前記コンピュータのディスプレイにおける前記実行ファイルを示すアイコンの表示領域に、暗号化するファイルがドラッグアンドドロップされることによって、受け付けられることを特徴としてもよい。
【0015】
本発明にかかるファイル暗号化プログラム生成装置は、実行形式のファイル暗号化プログラムを生成する装置であって、暗号鍵の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた暗号鍵が設定された、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムを生成する生成手段と、を備えていて、前記ファイル暗号化プログラムは、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって起動され、コンピュータに、暗号化するファイルを認識するステップと、前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させることを特徴とするファイル暗号化プログラム生成装置である。
【0016】
また、本発明にかかるファイル暗号化プログラム生成装置は、前記生成手段が生成するファイル暗号化プログラムは、第1のファイルを暗号化した第1の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存した後に、暗号化する第2のファイルを認識するステップと、前記第2のファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した第2の暗号化データを生成するステップと、前記第2の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させることを特徴とすることもできる。
【0017】
さらに、本発明にかかるファイル暗号化プログラム生成装置は、前記生成手段が生成するファイル暗号化プログラムにおいて、暗号化するファイルの指定は、前記コンピュータのディスプレイにおける前記実行ファイルを示すアイコンの表示領域に、暗号化するファイルがドラッグアンドドロップされることによって、受け付けられることを特徴としてもよい。
【0018】
本発明は、本発明にかかるファイル暗号化プログラムによって実行されるファイル暗号化方法、本発明にかかるファイル暗号化プログラム生成装置によって実行されるファイル暗号化プログラム生成方法、本発明にかかるファイル暗号化プログラム生成装置と本発明にかかるファイル暗号化プログラムによって実行されるファイル暗号化方法として特定することもできる。
【0019】
本発明にかかるファイル暗号化プログラムによって実行されるファイル暗号化方法は、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムによって実行されるファイル暗号化方法であって、コンピュータが、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって、前記ファイル暗号化プログラムを起動するステップと、前記コンピュータが、暗号化するファイルを認識するステップと、前記コンピュータが、前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、前記コンピュータが、前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を有することを特徴とするファイル暗号化方法である。
【0020】
実行形式のファイル暗号化プログラムを生成するファイル暗号化プログラム生成方法であって、コンピュータが、暗号鍵の入力を受け付ける受付ステップと、前記コンピュータが、前記受付ステップで受け付けた暗号鍵が設定された、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムを生成する生成ステップと、を有していて、前記ファイル暗号化プログラムは、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって起動され、コンピュータに、暗号化するファイルを認識するステップと、前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させることを特徴とするファイル暗号化プログラム生成方法である。
【0021】
実行形式のファイル暗号化プログラムを用いたファイル暗号化方法であって、情報受領者が操作する情報受領者コンピュータが、暗号鍵の入力を受け付けるステップと、前記情報受領者コンピュータが、前記受付ステップで受け付けた暗号鍵が設定された、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムを生成するステップと、を有し、情報提供者が操作する情報提供者コンピュータには、前記ファイル暗号化プログラムが実行ファイルとして保存されていて、前記情報提供者コンピュータが、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって、前記ファイル暗号化プログラムを起動するステップと、前記コンピュータが、暗号化するファイルを認識するステップと、前記情報提供者コンピュータが、前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、前記情報提供者コンピュータが、前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を有することを特徴とするファイル暗号化方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって、情報提供者に複雑な操作を要求することなく、情報提供者側のコンピュータの利用環境に依存せず、かつ情報受領者側のセキュリティレベルで暗号化されたデータを受領することが可能になる。これによって、様々な環境でコンピュータを利用する顧客を有する情報受領者が、顧客に複雑な操作を要求することなく、重要情報を安全に受け取ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す図である。
【図2】本発明を実施するコンピュータの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明によってファイルを暗号化したデータを受け渡す手順を示す第1の図である。
【図4】本発明によってファイルを暗号化したデータを受け渡す手順を示す第2の図である。
【図5】本発明によってファイルを暗号化したデータを受け渡す手順を示す第3の図である。
【図6】本発明によってファイルを暗号化したデータを受け渡す手順を示す第4の図である。
【図7】本発明にかかる実行形式のファイル暗号化プログラムによる処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は本発明の実施形態の一例を示したものであって、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1を用いて、本発明の実施形態の概要について説明する。本発明は、重要情報が記録されたファイルを、情報提供者から情報受領者に引き渡す際に実施されるものである。情報受領者は、PC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータを用いて、重要情報が記録されたファイルを暗号化するための実行ファイルを生成する。実行ファイルを生成する際には、暗号化に用いるパスワード(鍵)を指定し、このパスワード(鍵)が実行ファイル内に設定される(1)。
【0026】
情報受領者によって生成された実行ファイルは、電子メール等の手段で情報提供者に引き渡される。実行ファイルを引き渡す方法は特に限定されるものではなく、例えば、情報受領者の操作するコンピュータからUSBメモリにコピーし、情報受領者がUSBメモリを持参して、情報提供者の操作するコンピュータに実行ファイルをコピーすることとしてもよい。
【0027】
情報提供者の操作するコンピュータには、情報受領者から受け取った実行ファイルが、例えば図1に示したように、空の書類ケースの形状のアイコンで表示される。情報提供者がコンピュータを操作して、重要情報が記録された暗号化しようとするファイルのアイコンを実行ファイルのアイコンにドラッグアンドドロップすると、実行ファイルが自動的に起動されて、ファイルの暗号化処理が実行される(2)。
【0028】
実行ファイルは、ドラッグアンドドロップによって認識されたファイルを暗号化するとともに、暗号化したデータを実行ファイルと同一のファイルに1ファイル化して保存する。暗号化したデータが実行ファイル内に保存されると、例えば図1に示したように、実行ファイルのアイコンを書類ケースが閉じられた状態に変化させることとしてもよい。
【0029】
このように、情報提供者が情報受領者に引き渡すファイルをドラッグアンドドロップする操作を行うだけで、自動的に重要情報が暗号化されてバイナリーデータとして実行ファイル内に格納される。情報提供者は暗号化されたデータが保存された実行ファイルを、電子メールやUSBメモリなどによって情報受領者に引き渡す(3)。
【0030】
暗号化されたデータが保存された実行ファイルを受け取った情報受領者は、実行ファイルの生成時に設定したパスワード(鍵)を用いて、暗号化されたデータを復号化することによって、重要情報が記録されたファイルを取り出すことができる(4)。
【0031】
図2は、本発明を実施するコンピュータの構成の一例を示している。情報提供者、情報受領者がそれぞれ操作するコンピュータ10、20には、PC等のコンピュータが用いられる。演算処理部11、21は、コンピュータ10、20のCPUとメインメモリ(ハードディスクの仮想メモリを含む)に対応するもので、コンピュータ10、20のハードディスク等の補助記憶装置からプログラムを読み出して、演算処理を実行する。
【0032】
コンピュータ10には、重要情報を記録したファイルを作成、編集するためのアプリケーションプログラム12が、コンピュータ10のハードディスク等の補助記憶装置に格納されている。ファイル格納部13には、コンピュータ10のハードディスク等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割当てられ、アプリケーションプログラム12によって生成された文書ファイルやスプレッドシートなどのアプリケーションファイル131、132等が格納されていて、文書ファイル等を編集する際には、アプリケーションプログラム12が演算処理部11に読み出されて起動された状態で、アプリケーションファイル131、132が演算処理部11に読み出される。
【0033】
また、情報受領者から電子メールやUSBメモリで引き渡された、暗号化処理を実行するための実行ファイルが暗号化実行ファイル133で、コンピュータ10のハードディスク等の補助記憶装置(USBメモリを含む)の所定の記憶領域に格納される。暗号化実行ファイル133は実行形式のプログラムで、所定の操作が行われると演算処理部11に読み出され、自動的に起動される。
【0034】
コンピュータ20には、重要情報を記録したファイルを作成、編集するためのアプリケーションプログラム22が、コンピュータ20のハードディスク等の補助記憶装置に格納されている。ファイル格納部25には、コンピュータ20のハードディスク等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割当てられ、アプリケーションプログラム22によって編集や閲覧可能な文書ファイルやスプレッドシートなどのアプリケーションファイル251、252等が格納される。暗号化されたアプリケーションファイル131、132の暗号化データを含む暗号化実行ファイル254が、情報提供者から電子メールやUSBメモリで引き渡されると、暗号化されたデータは復号化プログラム24によって復号化され、アプリケーションファイル251、252としてファイル格納部25に保存される。
【0035】
また、コンピュータ20には、暗号化実行ファイル253を生成するための実行ファイル生成プログラム23と、暗号化されたアプリケーションファイル131、132の暗号化データを含む暗号化実行ファイル254から暗号化データを取り出して復号化するための復号化プログラム24が、コンピュータ10のハードディスク等の補助記憶装置に格納されている。アプリケーションプログラム22、実行ファイル生成プログラム23、復号化プログラム24は、いずれも演算処理部11に読み出されて、所定の演算処理が実行される。
【0036】
実行ファイル生成プログラム23によって生成された、情報提供者に引き渡す前の暗号化実行ファイル253と、暗号化されたアプリケーションファイル131、132の暗号化データを含み、情報提供者から引き渡された暗号化実行ファイル254は、いずれもコンピュータ10のハードディスク等の補助記憶装置(USBメモリを含む)の所定の記憶領域に格納される。暗号化実行ファイル253、254は、いずれも実行形式のプログラムである。
【0037】
以上の構成を前提にして、本発明によってファイルを暗号化したデータを受け渡す手順について、図3〜図6を用いて説明する。
【0038】
まず、図3に示したように、情報受領者がコンピュータ20を操作して、情報提供者のコンピュータ10で重要情報が記録されたファイル(アプリケーションファイル131、132)を暗号化するのに用いるための暗号化実行ファイル253を生成する。暗号化実行ファイル253は、コンピュータ20において実行ファイル生成プログラム23を起動して生成され、情報受領者がコンピュータ20に入力したパスワード(鍵)が、暗号化処理が実行される際の鍵として暗号化実行ファイル253のファイル内に設定される。
【0039】
このようにして生成された暗号化実行ファイル253は、USBメモリに格納され、或いは電子メールに添付されて、情報提供者の操作するコンピュータ10に引き渡される。コンピュータ10では、ファイル格納部13(USBメモリであってもよい)に暗号化実行ファイル133として格納される。
【0040】
次に、図4、図5に示したように、重要情報が記録されたファイルの暗号化処理が行われる。暗号化実行ファイル133は実行形式のプログラムであり、図4に示したように、暗号化する重要情報が記録された文書ファイル1(アプリケーションファイル131)の指定を受け付けることによって、自動的に起動される。暗号化するファイルを指定する方法は特に限定されるものではないが、例えば、暗号化実行ファイル133のアイコンがコンピュータ10のディスプレイに表示された状態で、アイコンの表示領域に暗号化する文書ファイル1(アプリケーションファイル131)がドラックアンドドロップされたことを検出すると、暗号化実行ファイル133が起動されることとすればよい。
【0041】
図7のフローチャートは、暗号化実行ファイル133によって、文書ファイル1(アプリケーションファイル131)を暗号化する処理フローを示している。暗号化実行ファイル133が起動されると、暗号化の対象となる文書ファイル1(アプリケーションファイル131)を認識し(S1)、認識したファイルの拡張子等から暗号化が可能なファイルかどうかを判断する(S2)。暗号化が可能でない場合は、暗号化実行ファイル133をそのまま終了する。
【0042】
尚、暗号化が可能なファイルかどうかを判断するS2の工程は必須のものではなく、認識したファイルがどのようなファイルであっても、S3〜S6の暗号化処理を実行することとしてもよい。S2の工程を設けた場合には、暗号化されるファイルが特定されることになるので、例えば、情報受領者側で受領可能なファイルのみに対象を制限したい場合などに好適である。
【0043】
暗号化が可能なファイルである場合は、ファイル格納部13から文書ファイル1(アプリケーションファイル131)を読み出すとともに(S3)、暗号化実行ファイル133のファイル内に設定されたパスワード(鍵)を取り出す(S4)。そして、文書ファイル1(アプリケーションファイル131)を構成しているデータを、取り出したパスワード(鍵)を用いて、暗号化実行ファイル133の暗号化ロジックに基づいてバイナリーデータに暗号化する(S5)。
【0044】
さらに、暗号化実行ファイル133によって暗号化されたデータは、暗号化実行ファイル133と同一のファイルに、1ファイル化して保存される(S6)。このようにして、文書ファイル1(アプリケーションファイル131)に含まれる重要情報は、バイナリーデータとして暗号化されて暗号化実行ファイル133の中に保存されるので、暗号化されたデータは情報受領者以外には認識されることなく、情報受領者に安全に引き渡すことが可能になる。
【0045】
以上の処理フローによって、暗号化実行ファイル133のファイル内に、文書ファイル1(アプリケーションファイル131)を暗号化した暗号化データ1が保存された状態を示したのが、図4である。
【0046】
これに対して、図5は、文書ファイル1(アプリケーションファイル131)を暗号化した暗号化データ1が暗号化実行ファイル133のファイル内に保存された状態で、さらに文書ファイル2(アプリケーションファイル132)を暗号化して保存する流れを示している。
【0047】
文書ファイル2(アプリケーションファイル132)が、暗号化実行ファイル133のアイコンの表示領域にドラックアンドドロップされたことが検出されると、暗号化実行ファイル133が起動され、文書ファイル1(アプリケーションファイル131)と同様の流れで、文書ファイル2(アプリケーションファイル132)を暗号化する処理が実行される。文書ファイル2(アプリケーションファイル132)が暗号化された暗号化データ2も、暗号化実行ファイル133と同一のファイルに、1ファイル化して保存される。
【0048】
このようにして、文書ファイル1(アプリケーションファイル131)を暗号化した暗号化データ1と、文書ファイル2(アプリケーションファイル132)を暗号化した暗号化データ2がファイル内に保存された暗号化実行ファイル133は、USBメモリに格納され、或いは電子メールに添付されて、情報受領者の操作するコンピュータ20に引き渡される。コンピュータ20では、ファイル格納部25(USBメモリであってもよい)に暗号化実行ファイル254として格納される。
【0049】
図6は、情報受領者の操作するコンピュータ20において、暗号化データ1と暗号化データ2が復号化されて、文書ファイル1と文書ファイル2が取り出される流れを示している。復号化の処理を実行する際には、復号化プログラム24が起動され、暗号化実行ファイル254の暗号化ロジックに対応する復号化ロジックによって復号化の処理が行われるが、このときに情報受領者が暗号化実行ファイル253に設定したパスワード(鍵)を入力して、暗号化データ1と暗号化データ2を復号化する。暗号化実行ファイル253に設定したパスワード(鍵)を入力しないと復号化の処理が実行されないので、パスワード(鍵)を知っている情報受領者以外は、暗号化実行ファイル253から文書ファイル1と文書ファイル2を取り出すことができない。
【0050】
復号化プログラム24によって復号化された文書ファイル1と文書ファイル2は、アプリケーションファイル251、252として、ファイル格納部25に保存される。情報受領者はコンピュータ20でアプリケーションプログラム22を起動し、アプリケーションファイル251、252を読み出すことによって、情報提供者から提供された重要情報をファイル形式で受け取ることができる。
【0051】
以上に説明したように、本発明では、暗号化を実行するプログラムの生成と、暗号化に用いられるパスワード(鍵)の設定が、情報受領者側のコンピュータで行われるので、情報受領者側のセキュリティレベルで重要情報を受け取ることが可能となっている。また、情報提供者側のコンピュータには、情報受領者に引き渡すファイルを暗号化するためのソフトウェアをあらかじめインストールしておく必要がなく、暗号化用のソフトウェアを利用するための特別な操作をマスターする必要もないので、ファイルを引き渡す情報提供者の負担を軽減することにも資するものである。
【符号の説明】
【0052】
10 コンピュータ
11 演算処理部
12 アプリケーションプログラム
13 ファイル格納部
131 アプリケーションファイル
132 アプリケーションファイル
133 暗号化実行ファイル
20 コンピュータ
21 演算処理部
22 アプリケーションプログラム
23 実行ファイル生成プログラム
24 復号化プログラム
25 ファイル格納部
251 アプリケーションファイル
252 アプリケーションファイル
253 暗号化実行ファイル
254 暗号化実行ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムであって、
暗号化するファイルの指定を受け付けることによって起動され、
コンピュータに、
暗号化するファイルを認識するステップと、
前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、
前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、
を実行させることを特徴とするファイル暗号化プログラム。
【請求項2】
第1のファイルを暗号化した第1の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存した後に、暗号化する第2のファイルを認識するステップと、
前記第2のファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した第2の暗号化データを生成するステップと、
前記第2の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、
を実行させることを特徴とする請求項1記載のファイル暗号化プログラム。
【請求項3】
暗号化するファイルの指定は、前記コンピュータのディスプレイにおける前記実行ファイルを示すアイコンの表示領域に、暗号化するファイルがドラッグアンドドロップされることによって、受け付けられること
を特徴とする請求項1又は2記載のファイル暗号化プログラム。
【請求項4】
実行形式のファイル暗号化プログラムを生成する装置であって、
暗号鍵の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた暗号鍵が設定された、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムを生成する生成手段と、を備えていて、
前記ファイル暗号化プログラムは、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって起動され、コンピュータに、
暗号化するファイルを認識するステップと、
前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、
前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させること
を特徴とするファイル暗号化プログラム生成装置。
【請求項5】
前記生成手段が生成するファイル暗号化プログラムは、
第1のファイルを暗号化した第1の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存した後に、暗号化する第2のファイルを認識するステップと、
前記第2のファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した第2の暗号化データを生成するステップと、
前記第2の暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させること
を特徴とする請求項4記載のファイル暗号化プログラム生成装置。
【請求項6】
前記生成手段が生成するファイル暗号化プログラムにおいて、暗号化するファイルの指定は、前記コンピュータのディスプレイにおける前記実行ファイルを示すアイコンの表示領域に、暗号化するファイルがドラッグアンドドロップされることによって、受け付けられること
を特徴とする請求項4又は5記載のファイル暗号化プログラム生成装置。
【請求項7】
実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムによって実行されるファイル暗号化方法であって、
コンピュータが、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって、前記ファイル暗号化プログラムを起動するステップと、
前記コンピュータが、暗号化するファイルを認識するステップと、
前記コンピュータが、前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、
前記コンピュータが、前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、
を有することを特徴とするファイル暗号化方法。
【請求項8】
実行形式のファイル暗号化プログラムを生成するファイル暗号化プログラム生成方法であって、
コンピュータが、暗号鍵の入力を受け付ける受付ステップと、
前記コンピュータが、前記受付ステップで受け付けた暗号鍵が設定された、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムを生成する生成ステップと、を有していて、
前記ファイル暗号化プログラムは、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって起動され、コンピュータに、
暗号化するファイルを認識するステップと、
前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、
前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、を実行させること
を特徴とするファイル暗号化プログラム生成方法。
【請求項9】
実行形式のファイル暗号化プログラムを用いたファイル暗号化方法であって、
情報受領者が操作する情報受領者コンピュータが、暗号鍵の入力を受け付けるステップと、
前記情報受領者コンピュータが、前記受付ステップで受け付けた暗号鍵が設定された、実行ファイルとして保存され、前記実行ファイルの一部に暗号鍵が設定された実行形式のファイル暗号化プログラムを生成するステップと、を有し、
情報提供者が操作する情報提供者コンピュータには、前記ファイル暗号化プログラムが実行ファイルとして保存されていて、
前記情報提供者コンピュータが、暗号化するファイルの指定を受け付けることによって、前記ファイル暗号化プログラムを起動するステップと、
前記コンピュータが、暗号化するファイルを認識するステップと、
前記情報提供者コンピュータが、前記ファイルを前記暗号鍵を用いて暗号化した暗号化データを生成するステップと、
前記情報提供者コンピュータが、前記暗号化データを前記実行ファイルと同一のファイルに1ファイルとして保存するステップと、
を有することを特徴とするファイル暗号化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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