説明

室内用簡易アンテナ

【課題】部品の数を少なくでき、安価に製作することができる室内用簡易アンテナを提供する。
【解決手段】板状絶縁体を用いて折曲げ可能に構成した基台11の内側に略平板状の放射素子41を貼り付けて折曲げ、基台11内に放射素子41を組み込む。放射素子41の給電部42に接続した同軸ケーブル43を基台11に設けたケーブル通し穴19から外部に導出する。同軸ケーブル43の先端には、チューナやテレビ受像機のアンテナ端子に接続するコネクタ44を設ける。上記放射素子41を組み込んだ基台11を更に折曲げて立体的に組立て、水平あるいは垂直に配置できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル放送波などUHF帯の電波を簡易に受信する室内用簡易アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル(テレビジョン)放送(ISDB−T:Terrestrial Integrated Services Digital Broadcasting)は、2003年12月から関東、近畿及び中京広帯域圏で放送が開始され、2010年には普及の過渡期を迎えている。上記地上デジタル放送は、UHF帯の電波が使用され、その周波数帯域は470〜770MHz(13〜62チャンネル)が使用されている。このような背景の中、廉価なアンテナで、地上デジタル放送を受信したいという要望が高まっている。
【0003】
UHF帯の放送波を受信するアンテナにおいて、簡単な構造のアンテナとして従来から図17に示すような方式のものが知られている。図17はループ型アンテナ素子を用いたUHF帯受信用アンテナの構成を示す分解斜視図である。
【0004】
図17において、1はUHF帯の電波を受信するループ型の放射素子で、全長が約1λのループ素子を用いて長方形状に形成され、板状の2枚のカバー2a、2bにより保護されている。上記λは、使用周波数帯の最下端部近傍の周波数における波長である。上記カバー2a、2bは、例えば合成樹脂等の絶縁材を用いて放射素子1より少し大きく形成される。また、一方のカバー2aは、カバー2bに対向する側の周囲が厚く形成され、その内側に放射素子1が接着材などで固定される。上記カバー2aの四隅にネジ穴3が設けられ、カバー2bの4隅にネジ挿通穴4が設けられる。
【0005】
また、上記放射素子1の下部に給電部5が設けられ、この給電部5に平衡不平衡変換トランス6を介して同軸ケーブル7が接続される。この同軸ケーブル7の先端には、外部接続用のコネクタ8が設けられている。そして、上記カバー2aに固定された放射素子1、平衡不平衡変換トランス6及び同軸ケーブル7の上端部をカバー2bで挟み、該カバー2bの4隅に設けたネジ挿通穴4にネジ9を挿入し、カバー2aのネジ穴3に螺合させて締め付け、同軸ケーブル7がカバー2a、2b間から抜けないように圧力をかける。
【0006】
上記のように構成されたUHF帯受信用アンテナは、簡易な構成でUHF帯の電波を受信することができる。
【0007】
また、本発明に関連する公知技術として、例えば地上デジタル放送を受信するアンテナにおいて、平板状に構成された薄型アンテナや(例えば、特許文献1、2、3参照。)、折り畳み可能に構成されたアンテナ装置(例えば、特許文献4、5参照。)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−68122号公報
【特許文献2】特開2011−61567号公報
【特許文献3】意匠登録第1324431号公報
【特許文献4】特開2008−177891号公報
【特許文献5】特開2008−199152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようにUHF帯の放送波を受信するアンテナにおいて、簡単な構造のアンテナとして従来から図17に示すものが知られているが、最低でも6種類の部品を必要としており、安価に製作することが困難である。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、部品の数を少なくでき、安価に製作することができる室内用簡易アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る室内用簡易アンテナは、板状絶縁体を用いて折曲げ可能に構成され、且つ立体形状への組立てが可能な基台と、前記基台の内側面に装着され、該基台の折曲げにより内側に組み込まれる略平板状の放射素子と、前記放射素子の給電部に接続されて前記基台の外部に導出される同軸ケーブルとを具備し、前記基台を立体形状に組立てた際に略水平または垂直の状態に配置できるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非常に少ない部品点数で室内用簡易アンテナを構成でき、安価に製作することができる。また、室内用簡易アンテナを立体的に組立てた場合は、水平方向及び縦方向の何れにも配置することができ、水平偏波あるいは垂直偏波の放送波を任意に受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る室内用簡易アンテナの基台を展開して示す正面図である。
【図2】同実施例1に係る室内用簡易アンテナの構成を示す分解斜視図である。
【図3】同実施例1における放射素子の構成を示す正面図である。
【図4】同実施例1における放射素子のVSWR特性を示す図である。
【図5】同実施例1において、放射素子を基台へ組込む過程を示す斜視図である。
【図6】同実施例1において、放射素子の組込み完了後の状態を示す斜視図である。
【図7】同実施例1に係る室内用簡易アンテナを自立させて使用する場合の組立過程を示す斜視図である。
【図8】同実施例1に係る室内用簡易アンテナにおいて、基台に設けた写真貼付エリアに写真を装着した状態を示す斜視図である。
【図9】同実施例1に係る室内用簡易アンテナを組立てずに平らなままの状態で画鋲により壁に取付けた状態を示す斜視図である。
【図10】同実施例1に係る室内用簡易アンテナを組立てずに平らなままの状態で紐及びフックにより壁に取付けた状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例2に係る室内用簡易アンテナの構成を示す分解斜視図である。
【図12】同実施例2において、放射素子を基台へ組込む過程を示す斜視図である。
【図13】同実施例2において、放射素子の組込み完了後の状態を示す斜視図である。
【図14】同実施例2において、放射素子の給電部に接続した同軸ケーブルを基台に設けたケーブル通し穴を介して外部に導出した状態を示す断面図である。
【図15】同実施例2に係る室内用簡易アンテナを紐及び吸盤により窓に取付けた状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施例3に係る室内用簡易アンテナの構成を示す斜視図である。
【図17】従来の簡易な構造のUHF帯受信用アンテナの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1に係る室内用簡易アンテナ10Aの基台11を展開して示す正面図、図2は同実施例1に係る室内用簡易アンテナ10Aの構成を示す分解斜視図である。
【0016】
実施例1に係る室内用簡易アンテナ10Aの基台11は、図1に示すように紙やプラスチックなどの板状絶縁体を用いて4角形状に形成したもので、例えば横方向の幅Wが約296mm、縦方向の長さHが約310mmに設定され、上部領域12、中部領域13、下部領域14に区分される。上記上部領域12の長さH1は約108mm、中部領域13の長さH2は上部領域12より少し長い約110mm、下部領域14の長さH3は約92mmに設定される。また、基台11には、上部領域12と中部領域13との境界に筋押し15が設けられると共に、中部領域13と下部領域14との境界に筋押し16が設けられ、上記境界部分で山折りにより裏面側に折曲げられるようになっている。上記筋押し15、16部分には、必要に応じて破線等が印刷される。
【0017】
上記上部領域12には、左右の中央部分に略U字状のスリット(切込み溝)17a、17bが設けられ、その内側に基台組立用差込み片18a、18bが形成される。この基台組立用差込み片18a、18bは、基台11の外側(正面側)に折曲げて使用される。また、上部領域12には、上辺の中央部に近接してケーブル通し穴19が設けられると共に、このケーブル通し穴19から上辺までケーブル挿入用のスリット20が設けられる。上記ケーブル通し穴19の直径は、該ケーブル通し穴19内に挿入される同軸ケーブルの外径に対して100%〜150%の範囲で設定される。更に、上部領域12及び下部領域14の左右には、筋押し15に近接して取付穴21a、21b及び22a、22bが設けられる。この場合、上部領域12側の取付穴21a、21bと中部領域13側の取付穴22a、22bとは、筋押し15を中心として対称の位置に設けられる。すなわち、上部領域12と中部領域13とを筋押し15に沿って山折りして内側に折曲げた際に、上部領域12側の取付穴21a、21bと中部領域13側の取付穴22a、22bの位置が一致するように設けられる。
【0018】
上記上部領域12の裏面には、図2に示すように放射素子装着領域40が設けられ、この放射素子装着領域40に平板状の放射素子41が装着される。この放射素子41は、フィルム基板や金属板などの導体素子50を用いて平板状に形成したもので、その詳細については後述する。放射素子41には、給電部42に同軸ケーブル43が接続されており、この同軸ケーブル43が基台11の上部領域12に設けられたケーブル通し穴19を挿通して外部に導出される。同軸ケーブル43の先端には、地上デジタル放送受信用のチューナやテレビ受像機のアンテナ端子に接続するコネクタ44が設けられている。
【0019】
また、図1に示すように基台11の中部領域13には、外側中央部に写真貼付エリア23が設定され、この写真貼付エリア23の四隅に写真差込み用スリット24a〜24dが設けられる。この写真差込み用スリット24a〜24dを利用して写真貼付エリア23に写真等を装着することができる。
【0020】
基台11の下部領域14には、上下方向の中央に横方向の筋押し25が設けられる。この筋押し25は、中央部分を残して左右に形成されるもので、中央部分には略U字形状の切込み26が設けられる。下部領域14は、筋押し25を山折りして裏面側に折曲げられるが、中央部分は切込み26によって分離される。また、下部領域14には、上部中央に略エの字状の切込み27を設け、ケーブル引出部28a、28bを構成している。このケーブル引出部28a、28bには、左右の両側に折曲げ位置を示す縦方向の破線29a、29bが印刷される。ケーブル引出部28a、28bは、アンテナの設置状態に応じ、必要に応じて使用される。
【0021】
また、下部領域14には、下側の左右に組立用切込み31a、31bが設けられる。この組立用切込み31a、31bは、上部領域12に形成された基台組立用差込み片18a、18bに対応する位置に設けられる。後述するように、基台11を組立てる際に基台組立用差込み片18a、18bが組立用切込み31a、31b内に挿入される。更に、下部領域14には、下側左右の角部に取付穴32a、32bが設けられる。
【0022】
次に、上記放射素子41の詳細について図3を参照して説明する。
【0023】
図3は放射素子41の構成を示す正面図である。放射素子41は、例えば金属箔や金属板、あるいはフィルム状素子等の長方形状の導体素子50を用いて構成され、全長(横幅)Laが約0.35λa、高さLbが全長の約0.3〜0.6倍の範囲である約0.11λaに設定される。上記λaは使用周波数帯域の最下端部近傍の周波数における波長である。上記導体素子50の厚さは、任意に設定することが可能である。
【0024】
上記導体素子50の中央部に略コの字型のスリット51を設け、このスリット51を含む左側を放射部52aとし、スリット51の右側を(−)領域52bとしている。上記放射部52aの横幅Lcは例えば約0.175λa、スリット51の幅dは約0.008λaに設定される。スリット51は、中央側に位置する上端が開口しており、この開口位置から下方に向かって設けられ、導体素子50の下側に沿って折曲げられて略コの字型に形成される。スリット51の全長は約0.15λaに設定され、終端は導体素子50の上側近傍に位置して設けられる。また、スリット51の給電部42から終端までの長さは、約0.07λaに設定される。
【0025】
また、導体素子50には、例えばスリット51の最初の屈曲部近傍に給電部42が設けられる。この場合、給電部42は、スリット51の両側に給電端子53a、53bを設け、放射部52a側の給電端子53aに同軸ケーブル43の中心導体を半田付け等により接続して(+)給電し、他方の給電端子53bに同軸ケーブル43の外部導体を接続して(−)給電する。
【0026】
更に、導体素子50には、左右両側の略中央に切抜き窓54a、54bが設けられる。この切抜き窓54a、54bは、上部領域12に設けた基台組立用差込み片18a、18b(図2参照)の位置に対応し、且つ基台組立用差込み片18a、18bより少し大きく形成される。すなわち、基台組立用差込み片18a、18bを外側に折曲げた際に形成される抜き穴から放射素子41が見えないようにしている。なお、導体素子50に切抜き窓54a、54bを設けた場合でも、導体素子50に流れる電流は主に周辺部に流れるので、アンテナ特性に殆ど影響しない。
【0027】
上記のように構成された放射素子41は、放射部52aがモノポールアンテナと略同様の機能を有し、スリット51の最初の屈曲部近傍に設けられた給電部42より給電されると電波が放射される。このとき電波は、スリット51の終端付近から放射される。
【0028】
図4は、上記放射素子41のVSWR特性(特性インピーダンス75Ω)を示したもので、470MHz〜710MHzの範囲でVSWRが2.5以下であり、その比帯域が約40%以上となっている。
【0029】
上記放射素子41は、長方形状の導体素子50にスリット51を設けて放射部52aを構成した非常に簡易な構成であり、低コストに製作することが可能である。また、放射素子41は、全長Laが約0.35λa、高さLbが約0.11λaで非常に小型であり、且つ広帯域に亘って良好なVSWR特性を得ることができる。更に給電インピーダンスを数十Ωの値に設定でき、平衡不平衡変換トランス等のインピーダンス整合回路を用いずに同軸ケーブル43の特性インピーダンスと整合させることができる。
【0030】
なお、上記放射素子41は、放射部52aの横幅Lcを約0.175λaに設定した場合について説明したが、Lcの値は任意に設定することが可能である。
【0031】
上記放射素子41は、図5及び図6に示すようにして基台11への組込みを行う。図5は放射素子41を基台11へ組込む過程を示す斜視図、図6は組込み完了状態を示す斜視図である。
【0032】
先ず、図5に示すように基台11の上部領域12の裏面側に設けた放射素子装着領域40上に放射素子41を載置し、例えば粘着テープ45を用いて固定する。この場合、放射素子41は、給電部42を上部領域12の上辺側に位置させ、同軸ケーブル43を上部領域12の上部中央に設けたスリット20からケーブル通し穴19内に挿入する。その後、スリット20を例えばホチキス46により固定する。また、ケーブル通し穴19の近傍において、同軸ケーブル43をホチキスにより基台11に固定してもよい。
【0033】
この状態で、例えば中部領域13の両側及び筋押し16に近接する中央部に予め両面粘着テープ47a〜47cを貼付しておき、放射素子41を貼り付けた上部領域12の面を筋押し15に沿って矢印aで示すように中部領域13側に折曲げ、図6に示すように上部領域12を中部領域13に重ね合わせ、両者間を上記両面粘着テープ47a〜47cにより接着する。このとき、放射素子41の給電部42から上部領域12のケーブル通し穴19を介して外部に導出された同軸ケーブル43は、下部領域14に設けたケーブル引出部28a、28b及び切込み26の上方に沿って位置している。
【0034】
以上で、基台11に対する放射素子41の組込みを完了する。
【0035】
上記のように放射素子41の組込みを完了した室内用簡易アンテナ10Aは、ユーザが使用する際に次のようにして組立てを行う。
【0036】
図7(a)〜(c)は、室内用簡易アンテナ10Aを自立させて使用する場合の組立過程を示す斜視図である。
【0037】
先ず、図7(a)に示すように一体に接着した上部領域12及び中部領域13を筋押し16に沿って裏面側に所定角度例えば約85°折曲げる共に、下部領域14の下部側を筋押し25に沿って裏面側上方に折曲げ、その折曲げた先端部を上部領域12の面、すなわち基台組立用差込み片18a、18bの下部近傍に当接させる。このとき、上部領域12のケーブル通し穴19から外部に導出されている同軸ケーブル43及びコネクタ44を下部領域14の中央部分の切込み26によって生じる抜き穴を通して外部に引き出す。
【0038】
この状態で図7(b)に示すように上部領域12に設けられている基台組立用差込み片18a、18bを外側に折曲げ、下部領域14に設けられている組立用切込み31a、31b内に外側から差込み、上部領域12と下部領域14とを結合し、室内用簡易アンテナ10Aの組立てを完了する。図7(c)は、組立てを完了した室内用簡易アンテナ10Aを前面、すなわち写真貼付エリア23が設けられた中部領域13の前面側から見た斜視図を示している。
【0039】
上記室内用簡易アンテナ10Aに設けた写真貼付エリア23には、図8に示すように写真差込み用スリット24a〜24dを利用して写真48等を飾ることができる。
【0040】
上記のようにして組立てた室内用簡易アンテナ10Aをテレビ受像機の上や窓の近くに置き、同軸ケーブル43の先端に設けられているコネクタ44を地上デジタル放送受信用のチューナやテレビ受像機のアンテナ端子に接続する。これによりテレビ受像機にて、地上デジタル放送波を受信することができる。
【0041】
上記室内用簡易アンテナ10Aは、図8に示したように水平に置いた場合には、水平偏波の放送波を受信でき、また、縦にして置いた場合は垂直偏波の放送波を受信することができる。
【0042】
また、上記室内用簡易アンテナ10Aは、組立てずに平らなままの状態で、図9に示すように基台11の中部領域13に設けた取付穴22a、22b及び上部領域12に設けた取付穴21a、21bを利用し、画鋲61等を用いて壁62に取付けてもよい。なお、室内用簡易アンテナ10Aを組立てずに平らなままの状態で使用する場合は、基台11の下部領域14に切込み27により形成したケーブル引出部28a、28bを破線29a、29bに沿って外側方向に折曲げて左右に開き、その抜き穴から同軸ケーブル43及びコネクタ44を外部に引き出すようにする。
【0043】
また、上記室内用簡易アンテナ10Aを組立てずに平らなままの状態で使用する場合、図10に示すように基台11の中部領域13に設けた取付穴22a、22b及び上部領域12に設けた取付穴21a、21bに紐63を通し、フック64を用いて壁62に取付けるようにしてもよい。
【0044】
室内用簡易アンテナ10Aを組立てずに平らなままの状態で使用する場合においても、横方向及び縦方向に任意に取付けることができ、水平偏波あるいは垂直偏波の放送波を受信することができる。
【0045】
上記実施例1によれば、非常に少ない部品点数で室内用簡易アンテナ10Aを構成でき、安価に製作することができる。また、室内用簡易アンテナ10Aを立体的に組立てた場合は、水平方向及び縦方向の何れにも配置でき、水平偏波あるいは垂直偏波の放送波を任意に受信することができる。
【実施例2】
【0046】
次に本発明の実施例2に係る室内用簡易アンテナについて説明する。
【0047】
図11は本発明の実施例2に係る室内用簡易アンテナ10Bの構成を示す分解斜視図、図12は放射素子を基台へ組込む過程を示す斜視図、図13は組込み完了状態を示す斜視図である。
【0048】
図11において、71は基台で、実施例1と同様に紙やプラスチックなどの板状絶縁体を用いて4角形状に形成したもので、中央で上部領域72と下部領域73に区分され、下部領域73に放射素子装着領域80が設けられる。また、基台71は、上部領域72と下部領域73との間に筋押し74が設けられ、この筋押し74に沿って谷折りすることにより、上部領域72と下部領域73が重ね合わさるように構成される。
【0049】
更に基台71には、4隅に取付穴75a〜75dが設けられると共に、筋押し74の両側に沿って両端及び中央に取付穴76a〜76c、77a〜77cが設けられる。上部領域72側の取付穴76a〜76cと下部領域73側の取付穴77a〜77cとは、筋押し74を中心として対称の位置に設けられ、上部領域72と下部領域73とを筋押し74に沿って折曲げて重ね合わせた際に、上部領域72側の取付穴76a〜76cと下部領域73側の取付穴77a〜77cの位置が一致するようになっている。また、下部領域73は、下辺の中央部に近接してケーブル通し穴78が設けられると共に、このケーブル通し穴78から下辺までケーブル挿入用のスリット79が設けられる。上記ケーブル通し穴78の直径は、同軸ケーブル43の外径に対して100%〜150%の範囲で設定される。
【0050】
そして、基台71に放射素子41を組込む際は、下部領域73の裏面側に設けられた放射素子装着領域80に放射素子41を接着材あるいは粘着テープ等により固定する。この放射素子41は、実施例1と同様の構成であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。なお、実施例1では、放射素子41に切抜き窓54a、54bを設けた場合を例として示したが、この実施例2では切抜き窓54a、54bを設けなくてもよい。上記放射素子41には、図14(a)に示すように給電部42に同軸ケーブル43の中心導体43a及び外部導体43bが半田付け81、82により接続される。同軸ケーブル43は、先端にコネクタ44を備えている。
【0051】
上記給電部42に接続された同軸ケーブル43は、図11、図12及び図14(a)に示すように基台71の下部領域73に設けられたスリット79からケーブル通し穴78内に挿入し、基台71の前面側から外部に導出する。その後、図12に示すようにスリット79を例えばホチキス91により固定する。また、ケーブル通し穴78の近傍において、同軸ケーブル43をホチキスにより基台71に固定してもよい。
【0052】
次に基台71を筋押し74に沿って半分に折り、上部領域72と下部領域73との間に放射素子41を挟んだ状態で、上部領域72と下部領域73とを接着材により接着して固定し、アンテナの組込みを完了する。
【0053】
上記のように構成された室内用簡易アンテナ10Bは、基台71の4隅に設けた取付穴75a〜75d及び筋押し74の近傍に設けた取付穴76a〜76c、77a〜77cを利用し、実施例1と同様に例えば画鋲、紐、フック、吸盤等を利用して壁や窓に取付けることができる。
【0054】
図15は、上記室内用簡易アンテナ10Bの取付穴76a(77a)、76c(77c)に紐63を通し、吸盤65を用いて窓66に取付けた場合の例を示したものである。
【0055】
上記実施例2によれば、室内用簡易アンテナ10Bは、基台71、放射素子41及び同軸ケーブル43の3種類の分品で構成することができ、実施例1に比較して更に簡易な構成とすることができる。また、図14(a)に示したように放射素子41に接続した同軸ケーブル43を基台71に設けたケーブル通し穴78内に挿通させて外部に導出することにより、図14(b)に矢印aで示すように同軸ケーブル43に対し、下方向に荷重が掛かった場合、ケーブル通し穴78の端部に同軸ケーブル43が接触し、矢印bで示すように基台71を変形させる作用が働くので、放射素子41と同軸ケーブル43の接続部に掛かるストレスを軽減することができる。
【実施例3】
【0056】
次に本発明の実施例3に係る室内用簡易アンテナについて説明する。
【0057】
図16は本発明の実施例3に係る室内用簡易アンテナ10Cの構成を示す斜視図である。この第3実施例3に係る室内用簡易アンテナ10Cは、放射素子41を構成する導体素子50の4隅に取付穴101a〜101dを設け、基台を使用することなく、壁や窓等に取付けられるように構成したものである。また、導体素子50には、給電部42の下側にケーブル通し穴102を設け、このケーブル通し穴102内に挿通させた同軸ケーブル43の中心導体43a及び外部導体43bを給電部42に接続するようにしている。放射素子41のその他の構成は、実施例1、2に示したものと同様の構成であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
上記実施例3によれば、基台を使用することなく、放射素子41を壁や窓等に取付けることができ、アンテナの構成を更に簡易化することができる。
【0059】
なお、上記室内用簡易アンテナ10A、10B、10Cで使用する放射素子41は、上記実施例で示したものに限定されるものではなく、平板型の放射素子であれば、その他の構成であってもよい。
【0060】
また、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0061】
10A…実施例1に係る室内用簡易アンテナ、10B…実施例2に係る室内用簡易アンテナ、10C…実施例3に係る室内用簡易アンテナ、11…基台、12…基台の上部領域、13…基台の中部領域、14…基台の下部領域、15、16…筋押し、17a、17b…スリット、18a、18b…基台組立用差込み片、19…ケーブル通し穴、20…スリット、21a、21b、22a、22b…取付穴、23…写真貼付エリア、24a〜24d…写真差込み用スリット、25…筋押し、26、27…切込み、28a、28b…ケーブル引出部、29a、29b…破線、31a、31b…組立用切込み、32a、32b…取付穴、40…放射素子装着領域、41…放射素子、42…給電部、43…同軸ケーブル、43a…中心導体、43b…外部導体、44…コネクタ、45…粘着テープ、46…ホチキス、47a〜47c…両面粘着テープ、48…写真、50…導体素子、51…スリット、52a…放射部、52b…(−)領域、53a、53b…給電端子、54a、54b…切抜き窓、61…画鋲、62…壁、63…紐、64…フック、65…吸盤、66…窓、71…基台、72…基台の上部領域、73…基台の下部領域、74…筋押し、75a〜75d、76a〜76c、77a〜77c…取付穴、78…ケーブル通し穴、79…スリット、80…放射素子装着領域、81、82…半田付け、91…ホチキス、101a〜101d…取付穴、102…ケーブル通し穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状絶縁体を用いて折曲げ可能に構成され、且つ立体形状への組立てが可能な基台と、前記基台の内側面に装着され、該基台の折曲げにより内側に組み込まれる略平板状の放射素子と、前記放射素子の給電部に接続されて前記基台の外部に導出される同軸ケーブルとを具備し、前記基台を立体形状に組立てた際に略水平または垂直の状態に配置できるように構成したことを特徴とする室内用簡易アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−244597(P2012−244597A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116138(P2011−116138)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(504378814)八木アンテナ株式会社 (190)
【Fターム(参考)】