説明

害虫捕獲器

【課題】害虫を捕捉する粘着剤の使用量を捕捉する容器内で最少限にして害虫を確実に捕捉でき、かつ、衛生的に捕獲処理できる害虫捕獲器を提供すること。
【解決手段】有底筒状で底部1aaを上方に開口部1abを下方に位置させた容器1の内部に、強制落下体2aを有する捕捉盤2を昇降自在に設ける。捕捉盤2に設ける昇降手段としての紐3や押し棒4などを前記底部1aaの外面に延出する。捕捉盤2の前記開口部1ab
に面する捕捉面2bに粘着剤2baを塗布する。このほか、容器1の底部1aaに段差部1acを配設して把持部1bを突設したり、捕捉盤2の周縁に所要高さの脚2cを垂下したものなどでも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として床面を這い回る害虫を捕獲処理できる害虫捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の内側に粘着剤塗装を施した害虫捕獲器が、特開平11−313591号公報(特許文献1)に提案されている。このものは数回の捕獲に使用する場合を記しており、そのために容器の内周全面に粘着剤を塗布するから粘着剤を多量に要する。さらには容器の中を逃げ回る害虫の足を捕捉するものであるため捕捉状態が不安定である。
【特許文献1】特開平11−313591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、害虫を捕捉する粘着剤を最小限に抑えて確実に補足でき、かつ、衛生的に処理できる害虫捕獲器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に記載した害虫捕獲器は、有底筒状で有底部を上方に開口部を下方に向けた容器の内部に強制落下体を有する捕捉盤を昇降自在に配設するとともに、昇降手段を前記底部の外面に延出し、該捕捉盤の前記開口部に面する捕捉面に粘着剤を塗布して成る。
請求項2に記載した害虫捕獲器は、請求項1に記載した害虫捕獲器において、
前記底部に段差部を配設するとともに、把持部を立設して成る。
請求項3に記載した害虫捕獲器は、請求項1又は2記載の害虫捕獲器において、
前記捕捉盤の周縁に所要高さの脚を垂下させて成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、害虫に容器を被せて捕捉するとともに、捕捉盤を落下させて害虫を捕捉するものであるから、粘着剤の使用量を最小限に止めることができる上、捕捉後は捕捉盤と共に吊り上げた状態で容器内に閉じ込め押し潰し、または閉じ込めたまま袋に入れて捨てられるから、害虫に触れることなく衛生的に廃棄処理できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
容器内で捕捉盤を落下し易くするためには、容器(容器本体及び把持部を含む)の周面に通気孔を開口するものから、捕捉盤(強制落下体を重畳する場合は該強制落下体を含んで)に通気口を上下に貫設したり、捕捉盤の周縁に通気溝を開口する。強制落下体は昇降手段が剛直なものでない場合に用いられ、所要重量の盤状のものから複数個に分割されたものがある。そして、昇降手段は紐と該紐を係止する係止部材とから成るものや、剛直な棒体と該棒体を係止する係止部材とから成るものがある。捕捉盤の周縁に垂下する脚は一連のリング状のものから、断続的なものがあり、その高さは害虫の高さより短いもので2mm乃至3mmが最良である。容器は容易に把持できる形状のもののほか、害虫の捕捉を容易にするために開口部を広くした容器本体と、手に持つための把持部とから成るものも提供される。このほか、前記把持部の平面形状は持ち易い形状であれば如何なる形状でもよいが、平面視楕円形や円形のものが形成し易い。
【実施例】
【0007】
本発明を実施例により説明すると、図1、図2に示すように容器1は下段の容器本体1aと該容器本体1aの把持部1bとの2段重ねとなっている。
容器本体1aは直径110mm、高さ40mmの紙質製の有底円筒状でその底部1aaを上方に開口部1abを下方に位置させ、把持部1bは底部1aaと段差部1acを設けて高さ30mm、長径55mm、短径50mmの楕円柱状に立設し、容器1は縦断面輪郭凸状に形成される。容器本体1aの内部には内周に沿って昇降自在に摺動できる平面視円形の捕捉盤2が収められ、捕捉盤2の上面には同外径で所要重量の重しとしての強制落下体2aを一体に重畳し、強制落下体2aの上面に立設した取付け片2aaの孔2abに昇降手段としての紐3の一端を接合し、紐3は把持部1bの底部中心に貫設した孔1baより該中心の外面に立設した案内駒1bbの溝1bcに案内され、底部の外周縁に対向して立設した一方(左方)の係止片1bdの溝1beを経て把持部1bの外周に沿い、他方(右方)の係止片1bdの溝1beに他端に接合したストッパー3aに係止される。捕捉盤2の周縁には所要高さ(2mm乃至3mm)のリング状の脚2cを垂下し、開口部1abに面する捕捉面2bには粘着剤2baが塗布される。容器本体1a及び把持部1bの各周面には通気孔1cが開口されて、捕捉盤2の昇降時の空気の流出入が図られ捕捉盤2の降下が素早くなる。
【0008】
このようにして成る害虫捕獲器Aは、把持部1bを手に持ちゴキブリなどの害虫5を見つけたら害虫5に容器本体1aを被せ、ストッパー3a及び紐3の延出部を係止片1bdの溝1beから解放すると、捕捉盤2は強制落下体2aの重量で降下し、通気孔1cからの空気の流出もあってその降下が素早いものとなり、害虫5の背中に捕捉面2bの粘着剤2baが粘着して害虫5が捕捉盤2に捕捉される。そして、紐3を引き上げて捕捉盤2が上昇された状態で容器本体1aの周面を押し潰して開口部1abを閉じれば、捕捉された害虫5は手を汚さず容器本体1aの内部で押し潰され、または押し潰すことなく袋に入れて処理され、燃えるゴミとして廃棄される。
【0009】
次に、図3に示した害虫捕獲器Bについて説明すると、容器本体1aと把持部1bとから成る容器1と、容器本体1aに昇降自在に収められる捕捉盤2が害虫捕獲器Aと同一であるが、昇降手段が押し棒4であるため、押し棒4の捕捉盤2への取付け及び把持部1bへの案内の点で異なるものである。
すなわち、押し棒4は図4に示すように、把持部1bの底部に切り裂かれる放射状の切り目1bfに挿通され、その下端を捕捉盤2と一体の強制落下体2aの上面に立設したボス2acに接合し、上端にストッパー4aを接合して成る。
【0010】
このようにして成る害虫捕獲器Bは、害虫5に容器本体1aを被せ、ストッパー4aを押して捕捉盤2を降下させ、仮想線で示すように、捕捉面2bの粘着剤2baで害虫5を捕捉し、害虫を捕捉したら押し棒4を引き上げ、容器本体1aの周面を押し潰して開口部1abを閉じれば、捕捉された害虫5は手を汚さずに容器本体1aの内部に衛生的に捕獲処理され、燃えるゴミとして廃棄される。
このほか、容器1の開口部1abを狭くして容器1を手に持ち易い形状に成形した把持部1bのない請求項1に記載した害虫捕獲器が提供される。
なお、捕捉盤2を押し棒4で昇降する害虫捕獲器Bにおいて捕捉盤2の強度を選択すれば、強制落下体2aを除去することができる。
本発明では容器1の外形及び捕捉盤2の直径等を順次に所要寸法小さくすることによって、捕捉盤2の所要数と容器1の所要数をコンパクトに組み合わせた状態にして販売提供できる。この場合には、捕捉盤2の脚2cの下端に捕捉面2bの全面を覆うシール材(図外)が貼着されて粘着剤2baが保護され、使用時には容器1と容器1に合致する捕捉盤2とが組み付けられてシール材が剥がされて用いられる。また、害虫5の捕捉に際し失敗した場合でも捕捉盤2の捕捉面2bに塗布した粘着剤2baは、捕捉盤2の周縁に垂下した脚2cによって床面に粘着することがない。
このように、本発明の害虫捕獲器A、Bにおける粘着剤2baは、捕捉盤2の単純な捕捉面2b(平面)に塗布されるものであるから、塗布工程が省力化される上、該塗布工程は容器1の生産工程と拘わりなく進捗されるから、本発明の害虫捕獲器は量産向きのものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明の害虫捕獲器は、主として平坦な床面にはい出る害虫を積極的に捕獲するものであるが、この害虫を確実に捕捉し衛生的に捕獲処理できるから、害虫駆除産業に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の害虫捕獲器Aの縦断面図。
【図2】害虫捕獲器Aの平面図。
【図3】本発明の他の実施例である害虫捕獲器Bの縦断面図。
【図4】把持部1bの底部に貫設する切り目1bfの説明図。
【符号の説明】
【0013】
1:容器
1a:容器本体
1aa:底部
1ab:開口部
1ac:段差部
1b:把持部
1ba:孔
1bb:案内駒
1bc:溝
1bd:径止片
1be:溝
1bf:切り目
1c:通気孔
2:捕捉盤
2a:強制落下体
2aa:取付け片
2ab:孔
2ac:ボス
2b:捕捉面
2ba:粘着剤
2c:脚
3:紐
3a:ストッパー
4:押し棒
4aストッパー
5:害虫
A、B:害虫捕獲器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状でその有底部を上方に、開口部を下方に向けた容器の内部に強制落下体を有する捕捉盤を昇降自在に配設するとともに、昇降手段を前記底部の外面に延出し、該捕捉盤の前記開口部に面する捕捉面に粘着剤を塗布して成る害虫捕獲器。
【請求項2】
前記底部に段差部を配設するとともに、把持部を立設して成る請求項1記載の害虫捕獲器。
【請求項3】
前記捕捉盤の周縁に所要高さの脚を垂下させて成る請求項1又は2記載の害虫捕獲器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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