説明

家具の連結用金具

【課題】ボルトの取付にかかる手間を少なくすることができ、かつ、ボルトと家具との連結の強度をより高くできる家具の連結用金具を提供すること。
【解決手段】連結用受け金具20は、ベッド1の前板9の外表面9cと略面一になるように装着される外面板30と、外面板30の一端30c側および他端30d側から外面板30に対して直交方向B1に突出し、前板9の2つの貫通孔33,34内に納まるように挿入される2本の挿入用筒状体31,32と、各挿入用筒状体31,32に形成されたねじ溝35,36と、貫通孔33,34内に納まるように挿入された挿入用筒状体31,32に対し、挿入用筒状体31,32の挿入方向C1と逆方向D1側からねじ溝35,36にねじ嵌合される2本のボルト27,28と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家具の連結用金具に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッド、本棚、机などの家具は、一般に、複数の部品が連結されて組み立てられる。部品同士の連結には、一般に連結金具が用いられるが、連結金具の1つとして、ボルトおよびナットが公知である。
たとえば、特許文献1には、スクリューボルトおよびナットを用いた組み立て家具の接続方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−208419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、たとえば、ベッドの脚部と、桟(側板)とを、スクリューボルトとナットで固定する方法が開示されている。スクリューボルトをナットに固定するとき、スクリューボルトは、脚部の外側から、脚部の一側面に開放された貫通孔を通って脚部内に入り、さらに、桟内に入り、桟に埋設されたナットにねじ込まれる。
ところで、ベッドは、脚部の一側面を部屋の壁面に隙間なく沿うように配置されることがある。ベッドをこのような配置にする場合には、ベッドの脚部と桟とを壁面の近くで組みつけることになる。具体的には、単品の脚部の一側面を壁面の近くで壁面と対向配置した状態で、脚部の外側から脚部の貫通孔にスクリューボルトを挿通し、桟に埋設されたナットにスクリューボルトをねじ込む。その後、脚部と桟とが組みつけられた重量物を壁面に沿わせる。
【0005】
しかしながら、この場合、部屋の壁面と、脚部の一側面との間の隙間が狭く、スクリューボルトを脚部の外側からねじ込む作業を行い難く、手間がかかる。
一方、部屋の壁面から遠い場所で、脚部と桟とを固定することにより、スクリューボルトをナットにねじ込む作業を行うスペースを広く確保することも考えられるが、この場合、脚部と桟とを組み付けた後、脚部と桟とが一体になった重量物を壁面に沿うように移動する手間がかかる。
【0006】
また、たとえば、ベッドの脚部などに鬼目ナットを埋設しておき、板状の取付部材を貫通するボルトを鬼目ナットに螺合することにより、取付金具を上記脚部などに固定することが考えられる。しかしながら、この場合、ボルトに強い引張荷重が作用すると、鬼目ナットを引き抜く方向の強い力が作用する。このとき、鬼目ナットの外周の小さな突起で上記引張荷重を受けることになるが、ボルトが抜ける際の荷重を、より大きくできる構成が望ましい。すなわち、ボルトと家具との結合強度をより高くすることが望ましい。 同様の課題は、ベッドの組み付けに限らず、他の一般の家具の組み付けに際しても生じる。
【0007】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、ボルトの取付にかかる手間を少なくすることのできる家具の連結用金具を提供することを目的とする。
この発明の別の目的は、ボルトと家具との連結の強度をより高くすることのできる家具の連結用金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、家具の外表面と略面一になるように装着される所定長さを有する外面板と、前記外面板の長さ方向の一端側および他端側から外面板に対して直交方向に突出し、前記家具に形成された貫通孔内に納まるように挿入される2本の挿入用筒状体と、各挿入用筒状体の先端面から根元側に向かって挿入用筒状体の内周面に形成されたねじ溝と、前記貫通孔内に納まるように挿入された挿入用筒状体に対し、挿入用筒状体の挿入方向と逆方向側から各挿入用筒状体のねじ溝にそれぞれねじ嵌合される2本のボルトと、を含むことを特徴とする家具の連結用受け金具である。
【0009】
この発明によれば、家具の外表面側から2本の挿入用筒状体を貫通孔に挿入した後、家具の外表面とは反対側の内表面側から、2本のボルトを対応する挿入用筒状体のねじ溝にそれぞれ螺合することにより、2本のボルトを2本の挿入用筒状体に取付け、フックなどを掛けるための連結用金具を容易に家具に装着できる。
たとえば、家具を組み立てるとき、家具の単品の一部品の外表面側から、この一部品に形成された貫通孔内に2本の挿入用筒状体を挿入しておき、さらに、単品の一部品の外表面を部屋の壁面に沿わせておく。次いで、一部品の内表面側、すなわち、家具の内側から、2本のボルトを対応するねじ溝にそれぞれねじ嵌合させる。これにより、家具の内側の広い空間を作業スペースにしてボルトを取付けることができる。したがって、家具の一部品の外表面を部屋の壁面からわずかに離すことで家具の外側に形成された狭い空間を作業スペースにしてボルトを取付ける必要がなく、ボルトの取付けにかかる手間を少なくできる。
【0010】
また、家具の一部品の外表面を部屋の壁面から遠く離すことで、これら両面の間に広い作業スペースを確保しつつ、ボルトを家具の一部品に挿入する構成と異なり、家具の一部品と他部品とを組み付けた後の重量物を、部屋の壁面に沿うように移動しなくて済む。したがって、ボルトの取付けに関する手間をより少なくできる。
また、ボルトに引張荷重が作用したときに、この引張荷重は、挿入用筒状体を介して外面板に伝わり、さらに家具における貫通孔の周囲部分に受けられる。このとき、外面板から家具における貫通孔の周囲部分には、押圧荷重が作用する。その結果、外面板と家具との連結の強度が十分に保たれ、これにより、ボルトに作用する引張荷重に対する、ボルトと家具との連結の強度をより高くできる。
【0011】
請求項2記載の発明は、家具の外表面と略面一になるように装着される外面板、外面板から直交方向に突出し、前記家具に形成された貫通孔内に納まるように挿入される挿入用筒状体、および挿入用筒状体の先端面から根元側に向かって挿入用筒状体の内周面に形成されたねじ溝、を有する固定ナットと、家具の内表面に取り付けられる断面略L字状のフック金具であって、略L字状を形成する一方板は、家具の内表面に取付けられる取付板を形成しており、他方板は、取付板から略直角に突出する引掛板を形成しており、取付板には、前記家具に形成された貫通孔と対向する固定用孔が形成されているフック金具と、前記家具の内側から前記固定用孔を通り、前記家具の貫通孔に挿入されたナットのねじ溝に螺合される固定ボルトと、を含むことを特徴とする家具の連結用引掛金具である。
【0012】
この発明によれば、家具の外表面側から挿入用筒状体を貫通孔に挿入した後、家具の外表面とは反対側の内表面側から、固定ボルトを挿入用筒状体のねじ溝に螺合することにより、固定ボルトを挿入用筒状体に取付け、フック金具を容易に家具に装着できる。
たとえば、家具を組み立てるとき、家具の単品の一部品の外表面側から、この一部品に形成された貫通孔内に挿入用筒状体を挿入しておく。次いで、一部品の内表面側、すなわち、家具の内側から、ボルトをねじ溝にねじ嵌合させる。これにより、家具の内側の広い空間を作業スペースにしてボルトを容易に取付けることができるので、ボルトの取付けにかかる手間を少なくできる。
【0013】
また、ボルトに引張荷重が作用したときに、この引張荷重は、挿入用筒状体を介して外面板に伝わり、さらに家具における貫通孔の周囲部分に受けられる。このとき、外面板から家具における貫通孔の周囲部分には、押圧荷重が作用する。その結果、外面板と家具との連結の強度が十分に保たれ、これにより、ボルトに作用する引張荷重に対する、ボルトと家具との連結の強度をより高くできる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の連結用受け金具および請求項2記載の連結用引掛け金具を含むことを特徴とする、家具のための連結用金具である。
この発明によれば、たとえば、連結用受け金具の2本のボルトの軸部にフック金具を引掛けることにより、フック金具を連結用受け金具に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態にかかる連結用金具を備える家具としてのベッドの図解的な斜視図である。
【図2】ベッドの前板の左端部の周辺をベッドの内側からみた斜視図である。
【図3】金具ユニット周辺の要部の分解斜視図であり、前板を省略して示している。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿う要部の断面図である。
【図6】前板と左側板とを固定する作業の要点の前半部分を説明するための図である。
【図7】前板と左側板とを固定する作業の要点の後半部分を説明するための図である。
【図8】本発明の別の実施形態の連結用受け金具の背面図である。
【図9】図8に示す連結用受け金具の平面図である。
【図10】図8に示す連結用受け金具の底面図である。
【図11】図8に示す連結用受け金具の左側面図である。
【図12】図8に示す連結用受け金具の正面図である。
【図13】図8に示す連結用受け金具の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態にかかる連結用金具を備える家具としてのベッドの図解的な斜視図である。この実施形態では、家具としてベッドを一例として説明するが、本発明の家具の連結用金具は、他の家具にも適用することができる。
ベッド1は、ベッド1の前後方向に離隔して配置される前板9および後板10と、ベッド1の左右方向に離隔して配置される左側板11および右側板12と、ベッド1の4隅に配置される4つの脚板13,14,15,16と、を含んでいる。
【0017】
4つの脚板13,14,15,16は、上下にまっすぐに延びており、ベッド1の左右方向とは直交している。
左側板11は、ベッド1の前後方向にまっすぐに延びており、ベッド1の左右方向とは直交している。左側板11は、ベッド1の左側に配置された2つの脚板13,15の内側面に当接するように配置されている。この左側板11は、図示しないボルトなどの固定部材を用いて、2つの脚板13,15に固定されている。
【0018】
同様に、右側板12は、ベッド1の前後方向にまっすぐに延びており、ベッド1の左右方向とは直交している。右側板12は、ベッド1の右側に配置された2つの脚板14,16の内側面に当接するように配置されている。この右側板12は、図示しないボルトなどの固定部材を用いて、2つの脚板14,16に固定されている。
後板10は、ベッド1の左右方向にまっすぐに延びており、ベッド1の前後方向とは直交している。後板10は、ベッド1の後端に配置された左右一対の脚板15,16の間に配置されている。
【0019】
前板9は、ベッド1の左右方向にまっすぐに延びており、ベッド1の前後方向とは直交している。前板9は、ベッド1の前端に配置された左右一対の脚板13,14の間に配置されている。前板9は、左側板11の前端部に固定され、かつ、右側板12の前端部に固定されている。
以下、前板9と左側板11との固定構造について説明する。なお、前板9と右側板12との固定構造は、前板9と左側板11との固定構造と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0020】
図2は、ベッド1の前板9の左端部9aの周辺をベッド1の内側からみた斜視図である。図2に示すように、前板9の左端部9aと左側板11の前端部11aとは、連結用金具としての金具ユニット18を用いて固定されている。金具ユニット18の一部は、前板9および左側板11によって画成されたベッド1の内側空間21に配置されている。
図3は、金具ユニット18周辺の要部の分解斜視図であり、前板9を省略して示している。図3を参照して、金具ユニット18は、連結用引掛金具40と、連結用引掛金具40に連結される連結用受け金具20と、を含んでいる。
【0021】
連結用引掛金具40は、固定ナット41と、フック金具19と、固定ボルト42と、を含んでいる。連結用受け金具20は、2本のボルト27,28と、ボルト受金具29と、を含んでいる。
フック金具19は、内側空間21に配置されており、左側板11の内表面11b(家具の内表面)に取り付けられている。このフック金具19は、断面略L字状に形成された板金部材であり、互いに直交するように配置された一方板としての取付板22および引掛板23を含んでいる。
【0022】
取付板22は、上下に長い矩形の平板であり、略L字状の一方板を構成している。取付板22は、左側板11の内表面11bに、固定ボルト42および複数のビス24を用いて取り付けられている。固定ボルト42は、取付板22を左側板11に固定する主たるボルトであり、固定ナット41によって固定されている。これにより、固定ボルト42が外れ難い、安定した固定構造が形成されている。取付板22を左側板11に固定する構成の詳細は、後述する。
【0023】
引掛板23は、取付板22の一辺22aから延設された、上下に長い矩形の平板であり、略L字状の他方板を構成している。引掛板23は、取付板22から略直角に突出している。引掛板23の大きさは、取付板22の大きさと略同じとされている。この引掛板23には、取付板22の一辺22a側とは反対側の先端辺23aに開放された切欠部25,26が形成されている。切欠部25,26は、上下に離隔して配置されている。
【0024】
各切欠部25,26のうち、先端辺23aに開放された開口25a,26aは、対応するボルト27,28のねじ軸27b,28bをそれぞれ挿通可能な程度に縦長に形成されている。また、各切欠部25,26内の空間は、開口25a,26aの幅よりも縦長に形成されている。
各切欠部25,26には、それぞれ、上下に並ぶ一対のフック凹部25b,25c;26b,26cが形成されている。各フック凹部25b,25c;26b,26cは、対応するねじ軸27b,28bを受けるためのものであり、円弧状に形成されている。各切欠部25,26において、上下一対のフック凹部25b,25c;26b,26cが形成されている。これにより、ねじ軸27bを、一対のフック凹部25b,25cに択一的に係合できる。また、ねじ軸28bを、一対のフック凹部26b,26cに択一的に係合できる。これにより、フック金具19を、上下の向きを問わずに使用することができる。
【0025】
図2および図3を参照して、引掛板23は、前板9の内表面9bと平行に配置されており、この内表面9bに沿わされている。
連結用受け金具20は、フック金具19を前板9に固定するためのものであり、前述したように、フック金具19を受ける2本のボルト27,28と、これら2本のボルト27,28がねじ嵌合されるボルト受金具29と、を含んでいる。
【0026】
各ボルト27,28は、同様の構成を有しており、頭部27a,28aと、頭部27a,28aから延びる雄ねじとしてのねじ軸27b,28bとを含んでいる。頭部27a,28aには、工具係合部27c,28cが形成されている。この実施形態では、工具係合部27c,28cは、十字状の溝に形成されており、+ドライバーなどを係合できる。
図4は、図2のIV−IV線に沿う断面図である。図3および図4を参照して、ボルト受金具29は、たとえば、金属部材を用いて形成されており、外面板30と、外面板30に対して外面板30の裏面30bから直交方向B1に突出する2本の挿入用筒状体31,32と、を含んでいる。
【0027】
外面板30は、前板9の外表面9c(家具の外表面)と略面一になるように装着された、上下に所定長さを有する細長い板部材である。なお、「外面板30が、前板9の外表面9cと略面一になるように装着されている」、とは、たとえば、外面板30の裏面30bが前板9の外表面9cに当接していることをいう。外面板30の長さ方向A1の一端30cおよび他端30dのそれぞれの縁部は、円弧状に形成されている。外面板30の表面30aは、部屋の壁面37に略隙間無く沿わされている。
【0028】
2本の挿入用筒状体31,32は、円筒状の雌ねじ部材として形成されており、互いに平行でかつ同様の形状を有している。一方の挿入用筒状体31は、外面板30の一端30cの裏面30bに固定されており、他方の挿入用筒状体32は、外面板30の他端30dの裏面30bに固定されている。
各挿入用筒状体31,32は、図4に示すように、外面板30と単一の材料を用いて形成されていてもよいし、外面板30とは別部材を用いて外面板30に固定されていてもよい。各挿入用筒状体31,32は、外面板30に対して直交方向B1に突出している。前板9には、2つの貫通孔33,34が形成されている。各貫通孔33,34は、円筒状に形成されており、各貫通孔33,34に、対応する挿入用筒状体31,32が挿通されている。これにより、各挿入用筒状体31,32の全部が、対応する貫通孔33,34に納まっている。すなわち、各挿入用筒状体31,32の長さは、前板9の板厚よりも短い。各挿入用筒状体31,32の外径は、対応する貫通孔33,34の直径と略同じである。
【0029】
各挿入用筒状体31,32の内周面には、ねじ溝35,36が形成されている。各ねじ溝35,36は、対応する挿入用筒状体31,32の先端面31a,32aから根元側に向かって延びており、対応するねじ軸27b,28bとねじ嵌合している。各挿入用筒状体31,32を前板9に挿入する挿入方向C1と、各ボルト27,28を前板9(対応する挿入用筒状体31,32)内にねじ込む方向D1とは、逆向きである。挿入方向C1と方向D1は、直交方向B1と平行であり、かつ、前板9の外表面9cと直交している。
【0030】
各挿入用筒状体31,32の外径は、対応するボルト27,28の頭部27a,28aの外径よりも小さくされている。各ボルト28,29のねじ軸27b,28bには、フック金具19の対応するフック凹部25b,26bが引っ掛けられている。フック金具19のうち、これらフック凹部25b,26bの周囲部分は、前板9の内表面9bと、各ボルト27,28の頭部27a,28aとによって挟み込まれている。すなわち、連結用受け金具20によって、フック金具19と前板9とが締結されている。これにより、フック金具19は、前板9に固定されている。
【0031】
図5は、図2のV−V線に沿う要部の断面図である。図3および図5を参照して、フック金具19の取付板22には、固定ボルト42が挿通される第1固定孔43(固定用孔)と、ビス24が挿通される複数の第2固定孔44とが形成されている。
第1固定孔43は、取付板22の略中央に形成されている。第2固定孔44は、取付板22の四隅の近傍にそれぞれ配置されている。
【0032】
左側板11には、第1固定孔43と対向する円柱状の貫通孔11dが形成されている。固定ナット41は、左側板11の外表面11f側から、挿入方向C2、すなわち、後述する直交方向B2の一方に向けて、左側板11の貫通孔11d内に挿入される。固定ナット41は、円環状の外周面を有しており、図示しない溝などの工具係合部で固定ナット41を回り止めした状態で、固定ボルト42をねじ嵌合することができる。
【0033】
この固定ナット41は、左側板11の貫通孔11d内に配置された金属ナットであり、外面板45と、挿入用筒状体46と、を含んでいる。
外面板45は、円板状に形成されており、左側板11の外表面11f(家具の外表面)と略面一になるように左側板11に装着されている。具体的には、外面板45の外側面45aおよび内側面45bのうちの内側面45bが、左側板11の外表面11fと略面一に並んでいる。
【0034】
挿入用筒状体46は、円環状をしており、外面板45の内側面45bからこの内側面45bに対する直交方向B2に突出している。挿入用筒状体46の長さは、左側板11の板厚以下であり、挿入用筒状体46の全部が貫通孔11d内に配置されている。
挿入用筒状体46には、その先端面46aから根元側に向かってねじ溝47が形成されている。ねじ溝47は、挿入用筒状体46の内周面に形成されている。
【0035】
固定ボルト42は、頭部42aと、頭部42aから延びる雄ねじとしてのねじ軸42bとを含んでいる。頭部42aには、工具係合部42cが形成されている。この実施形態では、工具係合部42cは、十字状の溝に形成されており、+ドライバーなどを係合できる。
固定ボルト42は、挿入方向C2とは反対の逆方向D2から、左側板11の挿入孔11d内に挿入される。具体的には、固定ボルト42のねじ軸42bは、内側空間21から、挿入方向C2とは反対の逆方向D2に沿って、取付板22の第1固定孔43および左側板11の貫通孔11dを挿通し、さらに、挿入用筒状体46のねじ溝47に螺合している。このように、固定ボルト42と固定ナット41によって、取付板22と左側板11とが締結されている。なお、固定ボルト42と固定ナット41とを複数対設けて、取付板22と左側板11とを締結してもよい。
【0036】
各ビス24は、対応する第2固定孔44を挿通し、さらに、左側板11に食い込んでいる。このように、複数のビス24によって、取付板22と左側板11とが補助的に締結されている。なお、ビス24は、取付板22と左側板11とを締結するための補助的な固定部材であり、各ビス24を廃止してもよい。
次に、前板9と左側板11とを固定する作業の要点について説明する。
【0037】
まず、図6(A)に示すように、ボルト受金具29の2つの挿入用筒状体31,32を前板9の外表面9c側から挿入方向C1に沿って、前板9の2つの貫通孔33,34に挿入する。これにより、図6(B)に示すように、ボルト受金具29の外面板30の裏面30bが前板9の外表面9cに沿う状態で、ボルト受金具29が前板9に保持される。次に、ボルト受金具29が組み付けられた前板9の外表面9cを、部屋の壁面37に沿うように配置する。これにより、外面板30の表面30aが壁面37に略隙間なく当接する。
【0038】
次いで、図7(A)に示すように、内側空間21側から、2つの挿入用筒状体31,32のねじ溝35,36に、対応するボルト27,28のねじ軸27b,28bをそれぞれねじ嵌合させて、2つのボルト27,28を仮止めする。このとき、2つのボルト27,28は、前板9の内表面9b側から、すなわち、挿入方向C1とは逆方向D1側から、2つのねじ溝35,36にねじ嵌合される。仮止めの際、前板9の内表面9bと各ボルト27,28の頭部27a,28aとの間の隙間E1は、フック金具19の厚みより大きくしておく。
【0039】
次に、図7(B)に示すように、2つのボルト27,28のねじ軸27b,28bに、フック金具19の2つの開口25a,26aを通す。次いで、図7(C)に示すように、2つのボルト27,28のねじ軸27b,28b上に、2つのフック凹部25b,26bを係合させる。
この状態で2つのボルト27,28をさらにねじ込んで所定のトルクで締め付ける。その結果、図4に示すように、前板9と2つのボルト27,28の頭部27a,28aとによって、フック金具19が前板9に固定される。
【0040】
以上説明したように、この実施形態によれば、家具1の前板9の外表面9c側から2本の挿入用筒状体31,32を2つの貫通孔33,34内に挿入した後、前板9の外表面9cとは反対側の内表面9b側から、2本のボルト27,28を対応する挿入用筒状体31,32のねじ溝35,36にそれぞれねじ嵌合することにより、2本のボルト27,28を2本の挿入用筒状体31,32に取付け、フック金具19を掛けるための連結用受け金具20を容易に前板9に装着できる。
【0041】
このように、ベッド1の内側の広い内側空間21を作業スペースにして2本のボルト27,28を取付けることができる。したがって、前板9の外表面9cを部屋の壁面37からわずかに離すことで、前板9の外側に狭い隙間を形成し、この外表面9c側の狭い空間を作業スペースにしてボルト27,28を取付ける必要がなく、ボルト27,28の取付けにかかる手間を少なくなくできる。
【0042】
また、前板9の外表面9cを部屋の壁面37から遠く離すことで、両面9,37の間に広い作業スペースを確保しつつ、2本のボルト27,28を前板9に挿入する構成と異なり、前板9と左側板11とを組み付けた後の重量物を、部屋の壁面37に沿うように移動しなくて済む。したがって、2本のボルト27,28の取付けに関する手間をより少なくできる。
【0043】
また、2本のボルト27,28に引張荷重が作用したときに、この引張荷重は、挿入用筒状体31,32を介して外面板30に伝わり、さらに前板9における貫通孔33,34の周囲部分に受けられる。このとき、外面板30から前板9における貫通孔33,34の周囲部分には、押圧荷重が作用する。その結果、外面板30と前板9との連結の強度が十分に保たれ、これにより、2本のボルト27,28に作用する引張荷重に対する、各ボルト27,28と前板9との連結の強度をより高くできる。
【0044】
また、連結用引掛金具40において、左側板11の外表面11f側から挿入用筒状体46を左側板11の貫通孔11dに挿入した後、左側板11の外表面11fとは反対側の内表面11b側から、固定ボルト42を挿入用筒状体46のねじ溝47に螺合することができる。これにより、固定ボルト42を挿入用筒状体46に取付け、フック金具19を容易に左側板11に装着できる。
【0045】
たとえば、ベッド1を組み立てるとき、ベッド1の単品の左側板11の外表面11f側から、貫通孔11d内に挿入用筒状体46を挿入しておく。次いで、左側板11の内表面11b側、すなわち、内側空間21から、固定ボルト42をねじ溝47にねじ嵌合させる。これにより、広い内側空間21を作業スペースにして固定ボルト42を容易に取付けることができるので、固定ボルト42の取付けにかかる手間を少なくできる。
【0046】
また、固定ボルト42に引張荷重が作用したときに、この引張荷重は、挿入用筒状体46を介して外面板45に伝わり、さらに左側板11における貫通孔11dの環状の段部11eに受けられる。このとき、外面板45から環状の段部11eには、押圧荷重が作用する。その結果、外面板45と左側板11との連結の強度が十分に保たれ、これにより、固定ボルト42に作用する引張荷重に対する、固定ボルト42と左側板11との連結の強度をより高くできる。
【0047】
以上のように、連結用受け金具20の2本のボルト27,28の軸部27b,28bにフック金具19を引掛けることにより、フック金具19を連結用受け金具20に連結することができる。 また、フック金具19を、ベッド1の広い内側空間21において、2本のボルト27,28に引っ掛けることができるので、この引っ掛け作業を行い易い。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0048】
たとえば、連結用受け金具20において、3本以上の挿入用筒状体を形成し、各挿入用筒状体にボルトをねじ嵌合させてもよい。また、金具ユニット18の少なくとも一部を樹脂などの金属以外の材料で形成してもよい。
また、連結用受け金具20に代えて、図8〜図13に示す連結用受け金具を用いてもよい。
【0049】
図8〜図13は、別の実施形態に係る連結用受け金具の背面図、平面図、底面図、左側面図、正面図および右側面図であり、構成は連結用受け金具20と同じであり、同一部分には同一の番号が付されている。この実施形態は、先の実施形態の意匠を多少変更したものであるが、基本構造は同じである。
したがって、この連結用受け金具も、前述の連結用金具と同様の手順で使用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 ベッド(家具)
9c 外表面(家具の外表面)
11b 内表面(家具の内表面)
11d 貫通孔
11f 外表面(家具の外表面)
18 金具ユニット(家具のための連結用金具)
19 フック金具
20 連結用受け金具
22 取付板
23 引掛板 27,28 ボルト
30 外面板
30c (外面板の)一端
30d (外面板の)他端
31,32 挿入用筒状体
31a,32a (挿入用筒状体の)先端面
33,34 貫通孔
35,36 ねじ溝
40 連結用引掛金具
41 固定ナット
42 固定ボルト
43 第1固定孔(固定用孔)
45 外面板
46 挿入用筒状体
46a (挿入用筒状体の)先端面
47 ねじ溝
A1 長さ方向
B1,B2 直交方向
C1 挿入方向
D1 逆方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具の外表面と略面一になるように装着される所定長さを有する外面板と、
前記外面板の長さ方向の一端側および他端側から外面板に対して直交方向に突出し、前記家具に形成された貫通孔内に納まるように挿入される2本の挿入用筒状体と、
各挿入用筒状体の先端面から根元側に向かって挿入用筒状体の内周面に形成されたねじ溝と、
前記貫通孔内に納まるように挿入された挿入用筒状体に対し、挿入用筒状体の挿入方向と逆方向側から各挿入用筒状体のねじ溝にそれぞれねじ嵌合される2本のボルトと、
を含むことを特徴とする家具の連結用受け金具。
【請求項2】
家具の外表面と略面一になるように装着される外面板、外面板から直交方向に突出し、前記家具に形成された貫通孔内に納まるように挿入される挿入用筒状体、および挿入用筒状体の先端面から根元側に向かって挿入用筒状体の内周面に形成されたねじ溝、を有する固定ナットと、
家具の内表面に取り付けられる断面略L字状のフック金具であって、略L字状を形成する一方板は、家具の内表面に取付けられる取付板を形成しており、他方板は、取付板から略直角に突出する引掛板を形成しており、取付板には、前記家具に形成された貫通孔と対向する固定用孔が形成されているフック金具と、
前記家具の内側から前記固定用孔を通り、前記家具の貫通孔に挿入されたナットのねじ溝に螺合される固定ボルトと、
を含むことを特徴とする家具の連結用引掛金具。
【請求項3】
請求項1記載の連結用受け金具および請求項2記載の連結用引掛け金具を含むことを特徴とする、家具のための連結用金具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−286012(P2010−286012A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138321(P2009−138321)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(505455978)コイズミファニテック株式会社 (27)
【Fターム(参考)】