説明

家庭用自家発電システム

【課題】太陽光発電システムにより充電されバッテリーを電源バッテリーとし、該電源バッテリーの不使用時に、これを電源として直流発電機を駆動させて発電し、補助バッテリーに充電する。
【解決手段】太陽光発電システム1により充電されバッテリーを電源バッテリー2とし、該電源バッテリー2の出力端側に変圧機能付きインバータ3を接続すると共に、該インバータ3に接続された駆動モータ4の回転軸5につめ6を備えたラチェット7が固定されると共に、該回転軸5に、前記ラチェット7のつめ6に係合する歯部8を備えた円板形状のフリーホイール9が遊挿され、前記ラチェット7を回転させることにより前記フリーホイール9を回転させ、該フリーホイール9の回転により伝達体10を介して直流発電機11を駆動させて、該直流発電機11の出力端側に接続された補助バッテリー12に充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムにより充電されたバッテリーを電源とする家庭用自家発電システムであって、太陽光発電システムにより充電されたバッテリーを電源バッテリーとし、該電源バッテリーの不使用時(家庭用電源として使用していない時)に、これを電源として直流発電機を駆動させて発電し、補助バッテリーに充電することにより、少なくとも、前記電源バッテリーおよび補助バッテリーの2つのバッテリーを家庭用電源として使用することが可能となり、商用電源の使用量を減らすことができる家庭用自家発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、化石燃料資源の枯渇や、排出された二酸化炭素による地球温暖化といった問題に対処するために、自然エネルギーの有効利用が求められている。このような利用可能な自然エネルギーとして、太陽光、風力、水力、地熱が挙げられる。前記のような自然エネルギーは、日変動や、月変動が激しいために、変換エネルギーの供給量をコントロールすることが困難である。このために、これら自然エネルギーを、電気エネルギーに変換した後にバッテリーに蓄積し、このバッテリーから放電した電力を消費する利用形態が広くとられている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−202437号公報
【特許文献2】特開平5−146069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような自然エネルギーを利用することは、付随的にバッテリーを使用することとなる。しかし、一般的なバッテリーは、エネルギー密度(単位容量当り取り出すことができる電気量)が大きくない。また、一般に、エネルギー密度の大きなバッテリーは、レアメタルと呼ばれる希少資源を使用するためにコストが高くつく。このために、自然エネルギーにより、化石燃料エネルギーを代替させようとした場合、充分なバッテリー容量を確保することが困難である。
【0005】
本発明は前記課題を解決すべくなされたもので、一般家庭で使用されている太陽光発電システムにより充電されたバッテリーを電源バッテリーとして、直流発電機を駆動させて補助バッテリーに充電することにより、少なくとも、前記電源バッテリーおよび補助バッテリーの2つのバッテリーを家庭用電源として使用することが可能となり、商用電源の使用量を減らすことができる家庭用自家発電システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、太陽光発電システムにより充電されバッテリーを電源バッテリーとし、該電源バッテリーの出力端側に変圧機能付きインバータが接続され、且つ該インバータに接続された駆動モータの回転軸につめを備えたラチェットが固定されると共に、該回転軸に、前記ラチェットのつめに係合する歯部を備えた円板形状のフリーホイールが遊挿され、前記ラチェットを回転させることにより前記フリーホイールを回転させ、且つ該フリーホイールの回転を伝達体を介して直流発電機に伝達して該直流発電機を駆動させ、該直流発電機の出力端側に接続された補助バッテリーに充電し、更に前記補助バッテリーの出力端側を変圧機能付きインバータを介して負荷に接続するよう構成することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、前記構成とすることにより、太陽光発電システムにより充電されたバッテリーを電源バッテリーとして、直流発電機を駆動させて補助バッテリーに充電することにより、少なくとも2つのバッテリーを家庭用電源として使用でき、その結果商用電源の使用量を減らすことができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る家庭用自家発電システムの概略説明図である。
【図2】本発明に係る家庭用自家発電システムにおけるラチエット、フリーホイールおよび回転軸の関係を示す要部の断面図である。
【実施例】
【0009】
本発明家庭用自家発電システムは、太陽光発電システム1により充電されバッテリーを電源バッテリー2とし、該電源バッテリー2の出力端側に接続された変圧機能付きインバータ3を接続すると共に、該インバータ3に接続された駆動モータ4の回転軸5に、複数個のつめ6を備えたラチェット7が固定されると共に、該回転軸5に、前記ラチェット7のつめ6に係合する歯部8を備えたフリーホイール9が遊挿され、前記つめ6をフリーホイール9の歯部8に係合させることにより、前記ラチェット7の回転トルクを該フリーホイール9の回転方向にのみ伝達するよう構成されている。そして、前記フリーホイール9の回転により伝達体10を介して直流発電機11を駆動させて、該直流発電機11の出力端側に接続された補助バッテリー12に充電し、更に該補助バッテリー12の出力端側に接続された変圧機能付きインバータ13を介して、家庭におけるテレビ等の負荷14に接続するようにして構成されている。
【0010】
前記駆動モータ4の回転軸5は、支持台(図示略)に回転自在に支持され、太陽光発電システム1により充電された電源バッテリー2の出力端側に接続された変圧機能付きインバータ3に前記駆動モータ4が連結されている。
【0011】
前記フリーホイール9は、特に限定する必要はないが、好ましくは図2に示すように、
円板状プレート16の周縁部にフランジ17を突設すると共に、該フランジ17の内周面に、前記ラチェット7のつめ6に係合する歯部8を周設したものを使用することが推奨される。
【0012】
そして、前記回転軸5に遊挿配設されているフリーホイール9は、前記ラチェット7のつめ6に歯部8を係合して回転できるように配設されているので、その運動エネルギーEは、回転速度ω、慣性モーメントIとした場合、次式(1)のように示される。また、フリーホイール9が、半径R、重さMの円板形状である場合、慣性モーメントIは、次式(2)のように示される。これにより、前記ラチェット7を介してフリーホイール9の回転速度ωを増幅させることにより、該フリーホイール9にエネルギーを蓄積させることができる。すなわち、フリーホイール9が円板形状で、その半径が大きく、且つ重量がある場合、フリーホイール9の蓄積エネルギーは大となる。本発明においては、フリーホイール9は円板形状のものを採用する。
【0013】
【数1】

【0014】
前記フリーホイール9の外周には伝達体10の一端が係合されていると共に、前記伝達体10の他端は直流発電機11の回転軸15に係合されている。前記伝達体10は、具体的には、ベルトやチェーンで実現され、前記フリーホイール9で発生した回転トルクを前記直流発電機11に伝達する。
【0015】
前記構成より成る本発明においては、太陽光発電システム1により充電された電源バッテリー2の出力パワーが充分であるときは、ラチェット7は、トルクをフリーホイール9に伝達してその回転速度ωを加速させ、その後、前記ラチェット7の回転速度よりも、フリーホイール9の回転速度がその慣性力によって速くなると、前記フリーホイール9の歯部8へのラチェット7のつめ6の係合が解除されて、該フリーホイール9の回転速度がラチェット7の回転速度と一致し、前記歯部8へつめ6が係合するまで、前記ラチェット7とフリーホイール9はそれぞれ独自に回転する。
【0016】
その結果、前記駆動モータ4への負荷が軽減されると共に、前記電源バッテリー2の電力使用量が低減する。そして、前記回転速度が速くなったフリーホイール9により、交流発電機11の回転軸15の回転速度が速くなり、その分補助バッテリー12への充電速度が速くなる。
【0017】
一方、前記電源バッテリー2の出力パワーが落ちてくると、回転軸4の回転速度が低下し、これにより該回転軸4に固定されているラチェット7の回転速度が低下すると、前記フリーホイール9の歯部8へのラチェット7のつめ6の係合が解除されるが、該フリーホイール9の回転速度は慣性力によりそのまま相当時間維持され、その間補助バッテリー12に充電し続けることができる。なお、前記補助バッテリー12は、1個だけではなく、複数個用いて、それぞれに充電することも可能である。
【0018】
前記構成とすることにより、一般家庭で使用されている太陽光発電システム1により充電されたバッテリーを電源バッテリー2として、直流発電機11を駆動させて補助バッテリー12に充電することにより、少なくとも、前記電源バッテリー2および補助バッテリー12の2つのバッテリーを家庭用電源として使用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1…太陽光発電システム、2…電源バッテリー、3…変圧機能付きインバータ、4…駆動モータ、5…回転軸、6…つめ、7…ラチェット、8…歯部、9…フリーホイール、10…伝達体、11…直流発電機、12…補助バッテリー、13…変圧機能付きインバータ、14…負荷、15…回転軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電システムにより充電されバッテリーを電源バッテリーとし、該電源バッテリーの出力端側に変圧機能付きインバータが接続され、且つ該インバータに接続された駆動モータの回転軸につめを備えたラチェットが固定されると共に、該回転軸に、前記ラチェットのつめに係合する歯部を備えた円板形状のフリーホイールが遊挿され、前記ラチェットを回転させることにより前記フリーホイールを回転させ、且つ該フリーホイールの回転を伝達体を介して直流発電機に伝達して該直流発電機を駆動させ、該直流発電機の出力端側に接続された補助バッテリーに充電し、更に前記補助バッテリーの出力端側を変圧機能付きインバータを介して負荷に接続するようにしたことを特徴とする家庭用自家発電システム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−85428(P2013−85428A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225250(P2011−225250)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(500508833)サンム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】