説明

家庭電化製品の入力表示装置

【課題】薄型で取り付け位置の自由度が大きい家庭電化製品の入力表示装置を実現する。
【解決手段】薄型にするために静電容量の変化を検出してボタンが押されたかどうかを判定するタッチセンスIC16を採用し、タッチセンスIC16の外部電磁ノイズによる誤動作を防止するためにケーブル回線をなくし、情報を赤外線LED18、19による無線通信することによって取り付け位置の変更も可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭電化製品の動作を指示、動作状況を表示する入力表示装置の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は現在市場にある家庭電化製品の例としての食器洗浄乾燥機の構成であり、筐体101の中に食器や調理用容器などを収納する被洗浄物収納部102があり、ポンプ103で加圧された水がノズル104から噴き出し、被洗浄物収納部102内の食器を洗浄している。また被洗浄物収納部102内のヒータ(図示せず)によって、洗浄が終わった食器を乾燥する。洗浄と乾燥の指示は操作部105に設置されたボタン群106によって行われ、その信号はケーブル群107によって制御器108へ伝達され、制御器108はケーブル群109によってポンプ103に伝えられ、洗浄が開始され、またヒータに伝えられ乾燥が開始される。
【特許文献1】特開2006−109880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら前記従来の食器洗浄乾燥機の操作部から制御器への信号の伝達は、双方をコネクタで結合したケーブル群で行っていたため、操作ボタンの数が多くなるとケーブルが多くなったり引き回しの距離が長くなったりして機器の配線系統が複雑になるという難点があった。また信号を伝送する距離が長くなると、信号が減衰して伝わらなかったり、外部や内部の電気的ノイズに影響されて誤動作する可能性もあった。しかも操作部の仕様を変更すると、その都度操作部から制御器への信号伝達用のケーブルを作り直す必要があり、設計の負担が多くかかるという難点もあった。また、操作部自体も機器の設置場所によっては使いにくい場所に位置する時もあった。
【0004】
本考案は、家庭電化製品の操作表示部を薄く構成することによって操作表示部の出っ張りを少なくして取り付け位置の変更の自由度を高め、使用者が自身が使いやすい位置に表操作表示部を変更して製品の使い勝手を改善したり、情報伝達の信頼性を高める必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するため、駆動用の電源と接続する電源接続手段制御対象装置への取り付け部と複数の入力を指示するボタンと、ボタンへ人体の一部が接近したことを静電容量の変化から検出しボタンを特定するボタン特定手段とボタン特定手段からの信号を赤外線通信用のシリアル信号に変換するシリアル信号変換手段と赤外線信号の発信部を有するものである。
【発明の効果】
【0006】
このように静電容量の変化から押されたボタンを検出することから、表示部を薄く構成でき、また検出したボタンの情報を赤外線で制御対象の機器へ通信することによって、配線の数を減らせ、外乱ノイズに強い構成が実現でき、また受信部を複数設置することによって、表示部の設置の場所を変えることも可能となり、機器の使い勝手の向上にも寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、駆動用の電源と接続する電源接続手段と制御対象装置への取り付け部と
複数の入力を指示するボタンと、ボタンへ人体の一部が接近したことを静電容量の変化から検出しボタンを特定するボタン特定手段とボタン特定手段からの信号を赤外線通信用のシリアル信号に変換するシリアル信号変換手段と赤外線信号の発信部を有するものであり、静電容量の変化から押されたボタンを検出することから、表示部を薄く構成でき、また検出したボタンの情報を赤外線で制御対象の機器へ通信することによって、配線の数を減らせ、外乱ノイズに強い構成が実現でき、また受信部を複数設置することによって、表示部の設置の場所を変えることも可能となり、機器の使い勝手の向上にも寄与するものである。
【0008】
第2の発明は、特に第1の発明において、ボタン検出手段はタッチセンスICで行うものであり、ボタン検出のばらつきの均質化など、ボタン検出の手続きの簡略化を図るものである。
【0009】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において制御対象装置への取り付け部にはマグネットを設置したものであり、制御対象機器への設置が磁気結合により容易になる。
【0010】
第4の発明は、特に第1から第3いずれかの発明において制御対象装置の複数の位置に取り付け可能としたものであり、操作部の最適場所を使用者が選定することが可能となる。
【0011】
第5の発明は、特に第1から第4いずれかの発明において、赤外線信号の発信部は複数個の赤外線発光ダイオードで構成したものであり、複数の伝送路から情報を発信することによって情報伝送の信頼性を高めることが可能となる。
【0012】
第6の発明は、特に第1から第5いずれかの発明において、ボタン特定手段とシリアル信号変換手段を一個のICで構成したものであり、ボタン検出から信号発信にいたる信号処理を簡単かつ信頼性高く行うことができる。
【0013】
第7の発明は、駆動用の電源と接続する電源接続手段と制御対象装置への取り付け部と複数のボタンと、ボタンへ人体の一部が接近したことを静電容量の変化から検出しボタンを特定するボタン特定手段と前記ボタン特定手段からの出力信号を赤外線通信用のシリアル信号に変換するシリアル信号変換手段と赤外線信号の発信部を有し、ボタンを照明するLEDを設置したものであり、ボタンの場所を光によって表示することによって確実な操作をすることが可能となる。
【0014】
第8の発明は、駆動用の電源と接続する電源接続手段と制御対象装置への取り付け部と複数のボタンと、ボタンへ人体の一部が接近したことを静電容量の変化から検出しボタンを特定するボタン特定手段とボタン特定手段からの出力信号を赤外線通信用のシリアル信号に変換するシリアル信号変換手段と赤外線信号の発信部を有し、ボタンを照明するLEDとLEDの光を集光する筒状の導電性のゴム材を設置したしたものであり、導電性のゴムは導電性を確保するとともに、筒内部を導光路とすることによって光の効果的なボタン部照射ができ、操作の信頼性の向上を図ることができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置1の構成図であり、表面の厚さ0.5mm程度の柔軟性のある樹脂でできたシート2の一部をはがした状態を示してある。シート2には電化製品の機能に応じた動作を指示するボタン群が印刷で
表示されており、図1では食器洗い乾燥機の機能である時間を入力するタイマーボタン3、乾燥を指示する乾燥ボタン4、食器洗浄を指示する洗いボタン5、機器の使用開始を指示する入ボタン6、機器の使用停止を指示する切ボタン7が表示されている。シート2は1〜3mm程度の厚みのある透明樹脂板8の表面に貼り付けられている。そして透明樹脂板8の下には、電気部品を載置したプリント基板9が設置されている。プリント基板9の上には、それぞれのボタンの印刷位置に対応して導電性の電極11、12、13が設置されている(タイマーボタン3、乾燥ボタン4に対応する電極は図示せず)。洗いボタン5に指14が近づくと、洗いボタン5と電極11の間の静電容量15が変化する。その静電容量の変化はボタン特定手段であるタッチセンスIC16で検知され、洗いボタン5が押されたという信号がシリアル信号変換手段である信号用IC17に送られる。信号用IC17は洗いボタン5に対応するシリアル信号を赤外線LED18、19に送信するとともに、表示用LED20にも点灯信号を送信し、表示用LED20が点灯する。表示用LED20の点灯はシート2の穴21を通して確認することができる。LED18から発せられた赤外線信号は、機器側の赤外線受光素子22によって受け取られる。
【0017】
また図示はしていないが、機器側に赤外線送信部、入力表示装置1側に赤外線受光素子を設置することによって双方向の情報の授受を行うことによって、表示の更新なども自由に行うことができる。
【0018】
ここで、プリント基板9の裏にはマグネット23が取り付けられ、機器に磁力で入力表示装置1の保持ができるようになっている。また、入力表示装置1を動作させる電力を供給するためのプラグ24が取り付けられ、機器に取り付けられたコンセント25と嵌合して入力表示装置1に電力が供給される。
【0019】
以上のようにタッチセンスIC16を使用した構成により薄型の操作部が実現できる。ここでタッチセンスIC16は静電容量の変化を検知して動作するために機械的接点構成のスイッチに比べて薄く構成することが可能であるが、ノイズ耐量が、機械式接点に比べて劣る傾向がある。しかし本実施例では入力信号を伝達するにケーブルを引き回すことなく、赤外線信号での光伝送する構成としたために、ケーブルを通じて混入する電磁ノイズをなくし、ノイズに強い入力表示装置1を実現することが可能となった。また機器との取り付けは、マグネット23で入力表示装置1を機械的に保持し、電気的接続はプラグ24とコンセント25の接続で行うようにしたために、入力表示装置1の機器のさまざまな場所に取り付けることが容易になった。また赤外線信号を赤外線LED18、19によって2ヶ所から行うことにより信号伝送の信頼性を向上することも可能となる。
【0020】
図2は本発明の第1の実施例による入力表示装置1の設置状況を示す概念図である。
【0021】
ここで食器洗浄乾燥機26は被洗浄物収納部27が筐体28から引き出された状態を示している。ここで食器洗浄乾燥機26は被洗浄物収納部27を引き出すことはできるが、壁29に囲まれた狭い場所に設置されている。被洗浄物収納部27は引き出された状態で人が食器洗浄乾燥機26の側方から近づき、被洗浄物収納部27の上面から皿などの被洗浄物の出し入れをすることは可能であるが、入力表示装置1が前面にある場合には操作のために無理な姿勢を強いられる。このような場合、矢印で示すように食器洗浄乾燥機26の側面に入力表示装置1を取り付けることによって、使用者は入力表示装置1の正面から操作性をすることができる。もちろん食器洗浄乾燥機26側に電力供給のためのプラグ24の設置がなされており、赤外線通信ができる状態になっていることは言うまでもない。
【0022】
(実施の形態2)
図3は本発明の第2の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置1の他の構成図である。第1の実施の形態との違いは、赤外線LED18、19および表示用LED20
をタッチセンスIC16で直接に駆動していることである。この動作はタッチセンスIC16の内部に、駆動用の回路を組み込むことによって実現しており、部品点数を少なくすることによって製造もしやすくなり、また信頼性の向上も図ることができる。
【0023】
(実施の形態3)
図4は本発明の第3の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置1の構成図である。第1ならびに第2の実施の形態との違いは、電極の上にボタンに対応するチップ状の表示用LED20を設置し、シート2上のボタンの中央を照らすようにした点である。切ボタン6、入ボタン7を表示する「入」表示LED31、切ボタン6を表示する「切」表示LED32を示したが、他のボタンも同様の構成で表示可能なのは言うまでもない。
【0024】
このようにボタンの中心から光で照明することによって、ボタンの位置がより鮮明になり使いやすい入力表示装置1を構成することが可能となる。
【0025】
図5は本発明の第3の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置1の部分切欠き構成図である。
【0026】
図4との違いは、「入」表示LED31(図示せず)、「切」表示LED32とシート2の間に筒状の導電性ゴム33が挿入されている点にある。導電性ゴム33によって、電極とシート間の静電容量の大きさが安定し、タッチセンスIC16によるボタンが押されたことを検出する精度が向上する。また導電性ゴム33の内壁で「入」表示LED31、「切」表示LED32から発せられる光は反射して外部に拡散することなくシート2に印刷されたボタンを照らすので、明るくボタンを照らすことが可能となる。
【0027】
このように本実施の形態の家庭電化製品の入力表示装置では、薄型構成を可能とする静電容量を検出して押されたボタンを検出する入力検出手段を採用することによって、取り付け位置の自由度を増し、赤外線伝送方式を採用することによって入力検出手段の動作の信頼性を損なう電磁ノイズを低減し、家電製品の入力および表示位置の自由度を増している。そのことによって本入力表示装置を設置した家庭電化製品の使い勝手や設置形態を大幅に広げることが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明にかかるタッチセンスICと赤外線通信による家庭電化製品の入力表示装置は食器洗浄乾燥機などの家庭電化製品だけでなく、広く制御機器の入力表示装置としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置1の構成図
【図2】本発明の第1の実施の形態における入力表示装置の設置状況を示す概念図
【図3】本発明の第2の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置の構成図
【図4】本発明の第3の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置の構成図
【図5】本発明の第3の実施の形態における家庭電化製品の入力表示装置の部分切欠き構成図
【図6】従来の食器洗浄乾燥機の断面図
【符号の説明】
【0030】
1 入力表示装置
2 シート
3 タイマーボタン
4 乾燥ボタン
5 洗いボタン
6 入ボタン
7 切ボタン
9 プリント基板
11、12、13 電極
16 タッチセンスIC(ボタン特定手段)
17 信号用IC(シリアル信号変換手段)
18、19 赤外線LED
20 表示用LED
23 マグネット
24 プラグ
25 コンセント
26 食器洗浄乾燥機
31 「入」表示用LED
32 「切」表示用LED
33 導電性ゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用の電源と接続する電源接続手段と制御対象装置への取り付け部と複数の入力を指示するボタンと、前記ボタンへ人体の一部が接近したことを静電容量の変化から検出しボタンを特定するボタン特定手段と前記ボタン特定手段からの信号を赤外線通信用のシリアル信号に変換するシリアル信号変換手段と赤外線信号の発信部を有する家庭電化製品の入力表示装置。
【請求項2】
ボタン検出手段はタッチセンスICで行う請求項1記載の家庭電化製品の入力表示装置。
【請求項3】
制御対象装置への取り付け部にはマグネットを設置した請求項1または2記載の家庭電化製品の入力表示装置。
【請求項4】
制御対象装置の複数の位置に取り付け可能とした請求項1から3いずれか1項記載の家庭電化製品の入力表示装置。
【請求項5】
赤外線信号の発信部は複数個の赤外線発光ダイオードで構成した請求項1から4いずれか1項記載の家庭電化製品の入力表示装置。
【請求項6】
ボタン特定手段とシリアル信号変換手段を一個のICで構成した請求項1から5いずれか1項記載の家庭電化製品の入力表示装置。
【請求項7】
駆動用の電源と接続する電源接続手段と制御対象装置への取り付け部と複数のボタンと、前記ボタンへ人体の一部が接近したことを静電容量の変化から検出しボタンを特定するボタン特定手段と前記ボタン特定手段からの出力信号を赤外線通信用のシリアル信号に変換するシリアル信号変換手段と赤外線信号の発信部を有し、前記ボタンを照明するLEDを設置した家庭電化製品の入力表示装置。
【請求項8】
駆動用の電源と接続する電源接続手段と制御対象装置への取り付け部と複数のボタンと、前記ボタンへ人体の一部が接近したことを静電容量の変化から検出しボタンを特定するボタン特定手段と前記ボタン特定手段からの出力信号を赤外線通信用のシリアル信号に変換するシリアル信号変換手段と赤外線信号の発信部を有し、前記ボタンを照明するLEDとLEDの光を集光する筒状の導電性のゴム材を設置した家庭電化製品の入力表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−146780(P2010−146780A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320459(P2008−320459)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】