説明

家畜用飼料の製造方法

【課題】 家畜用の醗酵飼料において、微生物を用いた発酵では、食品残渣を十分に醗酵分解することができないので、植物醗酵用微生物に、醗酵能力の優れた土壌菌を加えてバランスよく、醗酵させることを可能とする醗酵飼料を実現しようとするものである。
【解決手段】 少なくとも、米ぬか味噌と、納豆と、乳酸菌培養液と、土着菌が生息する腐葉土と、米ぬかとを0.5〜3:0.5〜3:0.5〜3:0.5〜3:2〜8の割合で混合し、攪拌乾燥機で、40℃〜100℃内に加熱し、10分〜2時間攪拌し、醗酵させ、その後、加熱を停止し、醗酵熱のみで攪拌を1時間〜5時間さらに攪拌醗酵をすることを特徴とする醗酵菌の製造方法としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚、牛や鶏などの家畜動物を飼育するための家畜用飼料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品残渣を用いた家畜用飼料は、種々開発されている。
【0003】
また、微生物による醗酵処理された飼料も開発されている。
【0004】
例えば、特開平5−161457号公報では、豆腐,豆乳などを製造するとき搾りかすとして残る生オカラへ納豆菌,酵母菌,麹菌,光合成菌などの菌株を加え空気を送って好気発酵をさせる。次にpH調整をして乳酸菌を加え空気を断って嫌気発酵させる。最初の好気発酵で生オカラ成分が分解して乳酸発酵を活発化または安定化するとともに、栄養上有益な諸成分が豊富に含まれる作用が併行する。
【特許文献1】特開平5−161457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような微生物を用いた発酵では、食品残渣を十分に醗酵分解することができず、苦慮していた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、植物醗酵用微生物に、醗酵能力の優れた土壌菌を加えてバランスよく、良質な肉質を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明の請求項1では、
少なくとも、米ぬか味噌と、納豆と、乳酸菌培養液と、土着菌が生息する腐葉土と、米ぬかとを0.5〜3:0.5〜3:0.5〜3:0.5〜3:2〜8の割合で混合し、攪拌乾燥機で、40℃〜100℃内に加熱し、10分〜2時間攪拌し、醗酵させ、その後、加熱を停止し、醗酵熱のみで攪拌を1時間〜5時間さらに攪拌醗酵をすることを特徴とする醗酵菌の製造方法としたものである。混合割合は1.0〜3.0:1.0〜3.0:1.0〜3.0:1.0〜3.0:5〜10がさらに好ましい。
好ましくは、
【0008】
乳酸菌培養液は、乳酸菌が生息する溶液に乳酸菌を接種した培養液であればいずれでも良く、例えば、糖蜜希釈水に乳酸菌を接種したものでも良い。接種する乳酸菌は、特に限定されるものではないが、ラクトバシルス・ブルガリカス(Lactobacillusbulgaricus〉、ラクトバシルス・ヘルベチカス(Lactobacillushelveticus〉、ラクトバシルス・アシドフィラス(Lactobacillusacidophilus〉、ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillusplantarum〉、ラクトバシルス・カゼイ(Lactobacilluscasei〉、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcusthermophilus〉、ラクトコッカス・ラクティス・ラクティス(Lactococcuslactissubsup.1actis〉、ラクトコッカス・ラクティス・クレモリス(Lactococcuslactissubsup.cremoris〉、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacteriumbifidu20m〉、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacteriumlongum〉等の乳酸菌あるいはビフィズス菌の単独又は併用使用が考えられる。
【0009】
土着菌が生息する腐葉土は、落ち葉を粉砕し腐葉土と混合したものが使用できる。
【0010】
また、本発明の請求項2では、
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機は、ドラム式の回転攪拌方式であり、減圧手段が設けられており、圧力が55.3〜760mmHg程度に減圧しながら攪拌醗酵させることを特徴とする醗酵菌の製造方法としたものである。圧力は、好ましくは50〜150mmHが良い。
【0011】
また、本発明の請求項3では、
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機の外周部に温水槽を設け、この温水を40℃〜100℃に加熱することにより温度調整することを特徴とする醗酵菌の製造方法である。好ましくは温水温度は、50〜65℃が良い。
【0012】
また、本発明の請求項4では、
水分が30%〜80%に調整された食品残渣に、前記の醗酵菌を3〜30重量%と、米ぬかを3〜30重量%を混合し、攪拌乾燥機で、40℃〜100℃内に加熱し、10分〜2時間攪拌し、醗酵させ、その後、加熱を停止し、醗酵熱のみで攪拌を1時間〜5時間さらに攪拌醗酵をすることを特徴とする家畜用飼料の製造方法としたものである。好ましくは、水分が40〜50%が良く、醗酵菌は、5〜15重量%で、醗酵温度は、50℃〜65℃が良い。
【0013】
また本発明の請求項5では、
前記の醗酵菌を混合した食品残渣に、さらに、サツマイモと、その茎と、おからとを各々5〜30重量%混合することを特徴とする家畜用飼料の製造方法としたものである。
【0014】
また、本発明の請求項6では、
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機は、ドラム式の回転攪拌方式であり、減圧手段が設けられており、圧力が55.3〜760mmHg程度に減圧しながら攪拌醗酵させることを特徴とする家畜用飼料の製造方法としたものである。圧力は、50〜150mmHgが好ましい。
【0015】
また、本発明の請求項7では、
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機の外周部に温水槽を設け、この温水を40℃〜100℃に加熱することにより温度調整することを特徴とする家畜用飼料の製造方法としたものである。温水の温度は好ましくは50〜65℃が良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、以下の効果を奏する。
1)脂肪分が少なく、赤みが多い良質な肉となる。
【0017】
2)病気に強い、健康な家畜となる。
【0018】
3)糞の匂いが少なくなる。
【0019】
4)発育が早くなる。
【0020】
5)食品残渣をリサイクルできる。
【0021】
6)出来上がった飼料は、醗酵菌増殖されており、そのまま次の醗酵菌資材として有効利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明による飼料の製造方法を示すフロー図である。
【0024】
最初に醗酵菌を製造する。
【0025】
1)醗酵菌の原料の調合
米ぬか味噌(0.5Kg)と納豆(0.5kg)と乳酸菌培養液(0.5kg)と土着菌が生息する腐葉土(1kg)と米ぬか(3kg)とを攪拌乾燥機に入れて攪拌混合する。
【0026】
2)醗酵菌の醗酵処理
攪拌乾燥機の温度を40〜85度にし、10〜120分間攪拌し、醗酵させる。
【0027】
3)自然発酵処理
攪拌乾燥機の加熱を停止し、1〜5時間、自然発酵させ、醗酵菌を得る。
【0028】
次に、上記の製造工程により製造された醗酵菌を用いて、食品残渣をはこう処理して飼料を製造する。
【0029】
4)飼料の原料調合
上記の醗酵菌(15Kg)と食品残渣(150kg)を攪拌乾燥機に投入し、攪拌皇后擦る。
【0030】
5)加熱醗酵処理
攪拌乾燥機の温度を70〜80度にセットし、1〜5時間、攪拌醗酵させる。
【0031】
6)自然発酵処理
加熱を停止し、1〜5時間、自然発酵させ、醗酵飼料が完成する。
【0032】
以上のように、米ぬか味噌による麹菌と、納豆による納豆菌と腐葉土による土壌菌を用いて、食品残渣を醗酵処理することにより、良質の家畜用の醗酵飼料を製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による家畜用飼料の製造方法を示すフロー図である。
【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、米ぬか味噌と、納豆と、乳酸菌培養液と、土着菌が生息する腐葉土と、米ぬかとを0.5〜3:0.5〜3:0.5〜3:0.5〜3:2〜8の割合で混合し、攪拌乾燥機で、40℃〜100℃内に加熱し、10分〜2時間攪拌し、醗酵させ、その後、加熱を停止し、醗酵熱のみで攪拌を1時間〜5時間さらに攪拌醗酵をすることを特徴とする醗酵菌の製造方法。
【請求項2】
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機は、ドラム式の回転攪拌方式であり、減圧手段が設けられており、圧力が55.3〜760mmHg程度に減圧しながら攪拌醗酵させることを特徴とする請求項1に記載の醗酵菌の製造方法。
【請求項3】
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機の外周部に温水槽を設け、この温水を40℃〜100℃に加熱することにより温度調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の醗酵菌の製造方法。
【請求項4】
水分が30%〜80%に調整された食品残渣に、前記の醗酵菌を3〜30重量%と、米ぬかを3〜30重量%を混合し、攪拌乾燥機で、40℃〜100℃内に加熱し、10分〜2時間攪拌し、醗酵させ、その後、加熱を停止し、醗酵熱のみで攪拌を1時間〜5時間さらに攪拌醗酵をすることを特徴とする家畜用飼料の製造方法。
【請求項5】
前記の醗酵菌を混合した食品残渣に、さらに、サツマイモと、その茎と、おからとを各々5〜30重量%混合することを特徴とする請求項4に記載の家畜用飼料の製造方法。
【請求項6】
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機は、ドラム式の回転攪拌方式であり、減圧手段が設けられており、圧力が55.3〜760mmHg程度に減圧しながら攪拌醗酵させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の家畜用飼料の製造方法。
【請求項7】
前記の攪拌醗酵において、攪拌醗酵機の外周部に温水槽を設け、この温水を40℃〜100℃に加熱することにより温度調整することを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれかの項に記載の家畜用飼料の製造方法。

【公開番号】特開2010−22368(P2010−22368A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152940(P2009−152940)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(305059000)有限会社シンソー (3)
【Fターム(参考)】