説明

容器、プリフォーム・アセンブリ並びに容器成形方法および装置

容器をブロー成形するためのプリフォーム・アセンブリ(1)であって、少なくとも第1のプリフォーム(2)と第2のプリフォーム(3)とを備え、これらのプリフォームを容器にブロー成形する前に、第1のプリフォーム(2)は第2のプリフォーム(3)の内部に位置し、各プリフォームは肉厚が約8mm、好ましくは約6mmよりも小さい、本体形成部分を有する。プリフォーム・アセンブリからブロー成形された容器、およびプリフォーム・アセンブリを形成する方法および装置も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器およびそのような容器のためのプリフォーム・アセンブリに関する。本発明は、さらに、容器成形方法および装置に関する。本発明は、特に、プラスチック製ブロー成形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトルのようなプラスチック容器を成形するために、射出成形されたプリフォームから容器をブロー成形、例えば延伸ブロー成形することは周知の技術である。そのようなプリフォームは、その内部空間と流体連結した開口部を有する首部分と、前記内部空間を収容し壁部分と底部分とにより囲まれた本体部分とを備える。ブロー成形プロセスの間、プリフォームは加熱され、ブロー成形金型内に置かれる、その後でストレッチング・ロッドがプリフォームに挿入され、空気が内部空間に注入され、壁部分および底部分を延伸し、それらをブロー成形モールドの内部に押しつけ、容器を所望の形状にする。次いで、容器を冷却し、その形状を保持する。
【0003】
容器を単一材料製プリフォームからブロー成形して、内部と外部が同じ材料特性を有する単一材料製容器にすることが一般的に知られている。
【0004】
特開2000−062745および特開平6−345069は多層プリフォームを射出成形し、次いでブロー成形して多層容器にする容器成形方法を開示している。このプリフォームの外層には内層への開口部が設けられている。容器において、内層が少なくとも部分的に首部分において外層から遠ざけられ、使用時に内層が変形したとき、例えば、製品を容器の内部空間から分注するときに、圧力がバランスすることを可能にしている。これは、そのような分注の間または後に、外層が元のブロー成形された形状のままであるか、または少なくともこれを保持していることを意味する。
【0005】
EP1547768はブロー成形容器を成形する方法を開示している。この方法では、プリフォームを射出成形し、次いでこのプリフォームの外側にプラスチックの外層を第2の成形ステップにより設ける。次いで、このプリフォームをブロー成形してブロー成形された二重層容器にする。
【0006】
WO91/08099は、ブロー成形容器の製造方法を開示している。この方法では、第1および第2のプリフォームを別々に射出成形し、次いで首部分を有する第1の部分を首部分のない第2のプリフォームの内部空間内に挿入する。第1のプリフォームの首部分の下の外表面は第2の外側プリフォームの内表面に当接している。次いで、これら2つのプリフォームを一緒に成形して多層ボトルにする。この文献には、これによりブロー成形容器の強度と不浸透性を向上すること、および製造工程の効率と融通性が向上することが述べられている。この方法は1.5リットル〜3リットルの容量を有する容器に特に有用である。
【0007】
WO92/012926は、多層プリフォームからブロー成形した、剥離内層を有する多層ボトルを開示している。開口部がこの容器の底部分近傍に設けられ、外層を貫通し、該開口部を通って空気を導入し、該内層を剥離できるように構成されている。これは空気を容器の内容物と接触することなく容器の内容物を加圧することができることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の容器および容器成形方法に代わるものを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的または代替的目的は、ブロー成形された状態で3リットルを越える容量、例えば、限定されないが5リットルを越える、例えば8リットル〜40リットル、例えば10リットル、20リットルまたは30リットルの容量の容器を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的または代替的目的は、着色され、および/または容器の壁を通るガスの移動を制限または阻止するスカベンジャーを含む容器を提供すること、および/または酸素および/または空気の成分を除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載のプリフォーム・アセンブリは、少なくとも第1および第2のプリフォームであって、前記両プリフォームを容器にブロー成形する前は、前記第1のプリフォームは前記第2のプリフォームの内側にあることを特徴とする。それぞれのプリフォームは実質的にアモルファスであり、好ましくは完全にアモルファスである。前記第1および第2のプリフォームはそれぞれ肉厚が約8mm未満、好ましくは約6mm未満である。
【0012】
本明細書に記載の容器は、第1のプリフォームを第2のプリフォーム内に含むプリフォーム・アセンブリからブロー成形したことを特徴とする。前記容器の第1の層は、前記第1のプリフォームから成形することができ、前記第1の層の外側である第2の層は、前記第2のプリフォームから成形することができる。前記第1のプリフォームのプラスチック材料は、前記第1の層を形成するために、前記第2の層を形成するための第2のプリフォームのプラスチック材料よりもさらに延伸しておくことが可能である。
【0013】
本明細書に記載の容器をブロー成形するためのプリフォーム・アセンブリ成形方法は、ともに実質的に、好ましくは完全にアモルファス構造を有する、第1のプリフォームを射出成形し、第2のプリフォームを射出成形することを特徴とすることができる。これらのプリフォームは、好ましくは、肉厚が約8mm未満、好ましくは約6mm未満であり、前記第1のプリフォームは前記第2のプリフォームに挿入され、および/または前記第2のプリフォームは、前記第1のプリフォームを覆うように設けられている。
【0014】
プリフォーム・アセンブリを提供する装置は、第1のプリフォームを成形する第1のモールド・キャビティを少なくとも1つ、および第2のプリフォームを成形する第2のモールド・キャビティを少なくとも1つ備えることを特徴とすることができる。この装置は、さらに、第1のプリフォームを第2のプリフォーム内に、および/または第2のプリフォームを第1のプリフォームを覆うように移動するための少なくとも1つの移動装置を備えていてもよい。
【0015】
プリフォーム・アセンブリ、容器、方法および装置のさらに有利な実施の形態がいくつかさらなる請求項に記載されている。以下に、添付図面を参照して、若干の実施の形態を説明するが、これらは単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1の実施の形態におけるプリフォーム・アセンブリの概略断面図である。
【図1A】図1Aは、プリフォーム・アセンブリの首部分領域の詳細の概略図である。
【図2】図2は、第2の実施の形態におけるプリフォーム・アセンブリの概略断面図である。
【図3】図3は、第3の実施の形態におけるプリフォーム・アセンブリの概略断面図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態における容器の概略部分断面図である。
【図5】図5は、第2の実施の形態における容器の概略部分断面図である。
【図6】図6は、プリフォーム・アセンブリおよび容器の概略断面図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態における、閉鎖部を有する容器の首部分の概略図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態における、閉鎖部を有する容器の首部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書および図面において、同じまたは対応する要素は、同じまたは対応する参照符号を付す。図示および/または記載された実施の形態は例示に過ぎず、本発明をなんら限定するものではない。本出願の開示の範囲内で多くの変更が可能であり、例えば図示の実施の形態の部分もしくは部分の組み合わせの変形例も開示されているものと了解される。
【0018】
本明細書では、ブロー成形は、限定されないが、プリフォームが加熱され、長さ方向に延伸され、所望の形状に吹き込みされる延伸ブロー成形を少なくとも含むものと了解される。長さ方向の延伸の間、プリフォームはすでにある程度吹き込みされていることがある。
【0019】
本明細書では、プリフォームはパリソンであってもよく、プリフォームは、限定されないが、プラスチックから射出成形された要素であって、吹き込みされてブロー成形容器になる要素を少なくとも含むものと了解されるべきである。本明細書では、プリフォームは、基本的にボトルの形状を有し、首部分と、本体部分と、底部分とを含む容器をブロー成形するためのものであると説明されるが、当業者には明らかなように、異なる形状の容器を同じ発明概念内の異なる形状のプリフォームを用いて作成することができる。プリフォームは単一層または多層であってもよい。多層プリフォームは、限定されないが、同時注入(co−injection)、同時押出(co−extrusion)またはオーバーモールド工程(over molding)のような周知の技術を用いて製造することができる。多層プリフォームは単層または複数層の剥離層を有していてもよい。
【0020】
本明細書において、「約」および「実質的」という用語は、それが指す所与の値の変動が所与の定義内で許容し得るものであり、その変動は所与の値の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも15%であることを意味するものと了解されるべきである。
【0021】
本明細書において、プリフォームと容器はPETまたはPETブレンド製であると説明される。しかしながら、本願の開示するプリフォームおよび容器は、異なる材料、複数の材料のブレンドまたは組み合わせ、例えば、限定されないが、ポリプロピレンまたはポリスチレン、PEN、ポリエチレン、ポリカーボネート、PBT、上記のものの種々のブレンドまたは組み合わせを用いて作製することができる。PETまたはPETブレンドの場合、標準PETはこの点に関してプリフォームの射出成形のような成形の間のPETの結晶化を防止する添加物のないPETを少なくとも含むものとして了解されるべきである。
【0022】
本明細書において、飲料、特にビールおよびソフトドリンク類のような炭酸飲料を保持および分注する容器が参照されるべきである。しかしながら、他の内容物も本明細書による容器を用いて貯蔵および分注することができる。
【0023】
本明細書において、プリフォームは延伸ブロー成形により比較的薄い壁または壁の組み合わせを有する容器を成形することができるプラスチック材料であって、プリフォームは実質的にアモルファスであるが、ボトルは少なくとも部分的に結晶性である。好ましくは、プリフォームはグリコール(glycol)またはイソフタル酸(isophthalic acid)またはシクロヘキサンジメタノール(cyclohexanedimethanol)のような結晶化阻止添加物を実質的に含まない材料で成形される。そのような添加物は実質的にアモルファスのプリフォームを射出成形するのには有利であるが、これらの添加物はブロー成形された容器に残留し、容器の強度および/または剛性に有害である。これらのプリフォームは、プラスチック材料の結晶化を実質的に阻止するのに十分な小さな肉厚を有するように射出成形されるのが好ましい。
【0024】
本明細書において、延伸ブロー成形がプリフォーム・アセンブリからの容器の成形用に説明されている。これらの容器は、プラスチック材料のガラス転移温度より少し高い温度でブロー成形されるのが好ましい。より好ましくは、プラスチック材料は状態調節され、延伸され、プラスチック材料のガラス転移温度の少し上の温度で配向される。
【0025】
本明細書による容器において、プラスチック材料はある結晶化度を有していてもよい。実施の形態では、プリフォーム・アセンブリのプリフォームは、異なる結晶化度を有するように延伸ブロー成形してもよい。この効果は、異なるプリフォームのプラスチック材料を異なる延伸比、特に異なる軸率(axial ratio)、フープ比(hoop ratio)、および/またはブローアップ比に延伸することによって、異なる温度で延伸し成形することによって、異なるプリフォームの冷却温度に影響を与えることによって、またはそれらの組み合わせによって得ることができる。他の実施の形態では、種々のアセンブリのプリフォームを種々の材料またはブレンドで製造することができる。
【0026】
開示または記載された全ての実施の形態において、内側プリフォームの軸長は外側容器の軸長よりも小さく、および/または内側プリフォームの直径は外側容器の内径よりも小さくすることができる。このようにすると、プリフォームの隣接する部分がスペースを置いて配置でき、それにより内側容器が軸方向または直径方向にあるいはそれら両方向に延伸および/または吹き込みされてから、外側容器が直接的または間接的に内側容器と係合することができる。
【0027】
本明細書による容器において、少なくとも内側容器と外側容器があり、内側容器は内側プリフォームから成形され、外側容器は外側プリフォームから成形されることが好ましい。「内側」は実質的に外側プリフォームまたは容器内に延在していることを意味し、必ずしも最も内側のプリフォームまたは容器を指すものではない。好ましくは、少なくとも1つの、より好ましくは、外側と内側の両方の容器がアモルファス部分により結合された結晶化領域を有する。一実施の形態において、外側容器は内側容器よりも低い結晶化度を持ち、内側容器が外側容器よりも強く、より衝撃耐性が高くなるようにしてもよい。外側容器は、例えば、材料の14〜22%の結晶化率を有していてもよく、一方、内側容器は、例えば、より高い結晶化率、例えば22%〜35%以上、例えば28%〜32%、を有していてもよい。この場合、結晶化度は高いほど好ましい。これは、例えば、内側プリフォームの温度を高くすることにより、またはより高い延伸比に延伸ブロー成形することにより得ることができる。
【0028】
本明細書による容器の実施の形態では、少なくとも、内側または外側容器の本体形成部分および/または底形成部分の壁は同じ本体形成部分または底形成部分のさらなる部分よりも厚くすることができる。驚くべきことに、延伸ブロー成形された容器のそのような領域は、特に結晶性材料において、容器における指定された破壊領域として用いることができる、容器の弱い領域を形成していることが認識されている。これは、例えば、容器の内圧が所望の最高値よりも高くなる場合、または容器に孔があき、急激な圧力変化が生じた場合、容器がこれらの指定された破壊領域の少なくとも1つにおいて主としてまたは全体的に破壊することを少なくとも意味するものと了解されるべきである。これにより、ユーザーの安全性をさらに向上させることができる。
【0029】
図1〜3にプリフォーム・アセンブリ1を模式的に示す。プリフォーム・アセンブリ1は第1のプリフォーム2を有し、第1のプリフォームは第2のプリフォーム3の内部に位置する。第1および第2のプリフォーム2、3は1個取りまたは数個取り金型において別個に射出成形可能であり、その後第1のプリフォーム2を第2のプリフォーム3内にプリフォーム2、3の相対運動により挿入可能である。図示の実施の形態では、プリフォーム・アセンブリは首部分4と首部分4から延在する本体5とを有し、首部分4に対向する端部において本体5の一部分としての底部分6により閉じられている。図示の実施の形態では、第1のプリフォーム2は首部分7と本体形成部分8とからなる。第2のプリフォームは首部分9と本体形成部分10とからなる。図1に示す位置において、第1のプリフォーム2の本体形成部分8は第2のプリフォーム3の本体形成部分10内に延在し、一方、第1のプリフォーム2の首部分7は実質的に第2のプリフォーム3の首部分9内に延在する。
【0030】
第1のプリフォーム2の本体形成部分8は、第1のプリフォーム2の少なくとも首部分7と底形成部分12の間に延在し、厚さWが約8mm未満である壁部分11を有していてもよい。壁部分11の肉厚Wは約6mm未満でもよい。第2のプリフォーム3の本体形成部分10は、第2のプリフォーム3の少なくとも首部分9と底形成部分14の間に延在し、厚さWが約8mm未満である壁部分13を有していてもよい。壁部分13の肉厚Wは約6mm未満でもよい。第1のプリフォーム2の肉厚Wは、第2のプリフォーム3の肉厚Wよりも小さくてもよい。別の実施の形態では、肉厚WとWはほぼ同じであってもよい。第1および第2のプリフォーム2、3の底形成部分12、14の肉厚W、Wはそれらに結合された壁部分11、13の肉厚W、Wよりも小さくてもよい。別の実施の形態ではこれらの厚さは壁部分11、13の肉厚W、Wと同様か、あるいはそれらよりも大きくてもよい。
【0031】
容器20が、例えば図1または2のプリフォーム・アセンブリ1からブロー成形されると、容器20は、図4に示すように、第1のプリフォーム2から形成された内層2Aと第2のプリフォーム3から形成された外層3Aとを有する。これらの層2A、3Aは、容器20の本体部分5A内で、主にプリフォーム2、3のそれぞれの元の肉厚W、Wとプリフォームが延伸される程度とにより決定される。有利な一実施の形態では、容器20をブロー成形する際、第1のプリフォーム2の本体形成部分8がさらに延伸され、すなわち、第2のプリフォーム3の本体部分10よりも延伸される。一実施の形態において、これは、剛性はより少ないがより柔軟である第2の外層3よりも、内層2Aが強いが脆くなるようにして達成される。他の一実施の形態では、プリフォーム2、3は実質的に均等に延伸され、同様の材料特性を得ることができる。別の一実施の形態では、プリフォームを種々の温度で加熱し、および/またはブロー成形して、結晶化に影響を与えることができる。これらの実施の形態を組み合わせることも可能である。
【0032】
3リットルより上、特に5リットルより上のサイズのブロー成形容器、例えば約10リットル以上の容積を有する炭酸飲料用の容器を単一のプリフォームを用いてブロー成形するためには、プリフォームは通常約6〜8mmより大きい肉厚を有する。プリフォーム2、3の肉厚W、Wを、特に約8mm、さらに好ましくは6mm近辺または未満に薄くすることにより、プリフォームを射出成形するサイクル時間が、同じサイズとディメンジョンの容器をブロー成形するための単一のプリフォームをブロー成形するよりも顕著に短くなる。さらに、より良い機械的特性を得ることができるが、一方、例えばOやCOのようなガスの透過率を最適化することができる。示されたように、添加物を種々のプリフォームに添加することができるが、添加物は相互にまたはプリフォームに用いられた材料と干渉しないように添加される。プリフォームに用いられた材料はプリフォーム2、3で異なっていてもよく、あるいは同じであってもよい。
【0033】
ここに、プリフォーム2、3の肉厚を、少なくとも後に延伸される部分に対して約8mmまたは8mm未満、好ましくは約6mmまたは6mm未満に薄くすることにより、PETのような、結晶化し易いプラスチックからプリフォームを射出成形することによって、標準的PETを用いても、プリフォーム内のプラスチック材料の結晶化を実質的にまたは好ましくは完全に、容易に阻止することができるが、容器の壁部分の結晶化を得ることができるようにプリフォームを延伸することができる。これにより、より高価な、そしてより扱いにくい品質のプラスチックを用いる必要をなくすことができる。さらに、限定されないがPETのような標準等級のプラスチックを用いると、プラスチック、特にブロー成形された容器がより良い機械的特性を有し、そして特に変形しにくくなるという利点を持つことができる。プラスチック中に、当技術において既知のグリコール(glycol)等の結晶化防止剤を使用する必要性が全くまたは実質的に全くないことにより、プリフォームは延伸ブロー成形して比較的強い、および/または堅い、および/または剛直(rigid)な容器にすることができる。これは、容器に上述の添加物が含有されていないからである。最適な延伸比を得ることができ、その結果、軽くて強い容器となる。容器が一つのプリフォームからブロー成形される限り、このものは特定の機械的特性を有するが、プリフォーム・アセンブリ中のプリフォームのもう一方からブロー成形された容器の部分は、例えば、より柔軟であり、より撓みやすく、より衝撃を吸収する、などの種々の機械的および/または化学的特性を有する。
【0034】
種々のプリフォームを用いて組立、延伸ブロー成形して一つの容器とすることにより、プリフォームを、例えば伝熱および熱吸収特性について最適化することができる。例えば一つのプリフォームの色を他の一または各プリフォームと比べて補正することによりプリフォームの加熱を最適化することができる。例えば、内側プリフォームを外側プリフォームよりも暗色(dark)にすることができるが、このようにすると、プリフォームが一緒に外側から加熱されると、熱は外側プリフォームよりも内側プリフォームの方によく吸収されるという利点が得られる。内側プリフォームは外側プリフォームよりも熱源から遠いので、これにより加熱をさらに最適化することができ、特にプリフォーム同士間で加熱がより均等になる。プリフォーム間の色の差に対して代替的にまたはそれに引き続いて、プリフォーム同士の隣接表面を、例えば表面の粗さを補正することにより、最適化し、外側プリフォームから内側プリフォームへ、またはその逆の伝熱に対してプリフォーム間の界面を補正することができる。明らかに、プリフォームの首部分はブロー成形時にほとんど変形されないので、上述のことは、特に、プリフォームの加熱・延伸される部分に関する。
【0035】
一実施の形態では、外側プリフォーム3は耐衝撃性の高い延伸ブロー成形可能な材料、好ましくは標準的ノッチ付きアイゾッド衝撃試験による耐衝撃性が250より高い材料から作製することができる。そのような材料は、例えば、限定されないが改質ナイロン、強化ナイロン6、6、ポリカーボネートのブレンド、耐衝撃性改質PBTおよび耐衝撃性改質PBT/PETであってもよい。そのような耐衝撃性材料は、例えば孔を開けられたときに、容器20が制御不能に破裂することを高度に防止可能である外側容器を提供する。他の一実施例では、第1および第2のプリフォームまたは容器の少なくとも一方にそのような高耐衝撃性材料の一体層を設けられていてもよい。
【0036】
本明細書では、肉厚Wは壁またはその関連部分の平均厚さであるものと了解されるべきである。好ましくは、プリフォーム2、3の本体形成部分の壁部分の厚さは、場合により底形成部分、および場合によって首部分から本体形成部分への移行部近傍の領域を除いて、実質的に一定であるか、または実質的に滑らかに移行する。
【0037】
図1Aに詳細を示すように、第1のプリフォーム2の首部分7はその自由端(free edge)23近傍または自由端23において外方到達フランジ22を有していてもよいが、第2のプリフォーム3の首部分9はその自由端25の近傍または自由端25に第1の部分24と、この第1の部分24と本体形成部分10との間に第2の部分26とを有していてもよい。第1の部分24は第2の部分26よりも幅広で、フランジ22が第1および第2の部分24、26の間の移行部27に当接することができ、第2の部分26を通過することができない。従って、第1のプリフォーム2は第2のプリフォーム3内にさらに挿入されるのを再び阻止されるが、容器20が第2のプリフォーム3からブロー成形されると、第2のプリフォーム3の第2の部分26は延び、壁部分の内層2Aのフランジ22と本体形成部分8との間に包み込まれ、たとえ粘着その他の結合手段がこれらの層2A、3Aの間に存在しなくても、機械的に外層3Aに対する内層2Aの位置が保たれる。明らかに、他の手段を設けて第1のプリフォームを第2のプリフォームに対してロックするようにしてもよい。
【0038】
一実施の形態では、第2のプリフォーム3の首部分9は少なくとも1つ、好ましくは2つの外方へ延在するフランジを持っていてもよい。一実施の形態では、2つのフランジ28、29を相互に実質的に平行に延在するように設けてもよい。一実施の形態では、1つのフランジ28が第1および第2の部分24、26の間の移行部27のレベルにおいてまたはその近傍に延在し、このフランジが首部分4の該当部分の形状保持を支援し、従って内層またはプリフォーム2が外層またはプリフォーム3から遊離するのを防止できるようにすることが可能である。一実施の形態では、他のフランジ29を第1のフランジ28と本体5との間に設け、限定されないが、これを、例えばプリフォーム3もしくはプリフォーム・アセンブリの移転時、プリフォーム・アセンブリの輸送時、ブロー成形時、充填時の係合のために、およびキャップ、蓋、バルブ・アセンブリ、分注装置その他の手段の取付けに使用することができる。このフランジは首部分4の形状保持をも支援することができる。一実施の形態では、フランジ29は第1のフランジ28よりもさらに外側に延在していてもよい。
【0039】
プリフォーム・アセンブリ1はPETまたはPETブレンドから作製することができる。一実施の形態では、第1のプリフォーム2を未使用のプラスチック材料または少なくとも食品もしくは飲料用等級のプラスチック材料で作製することができる。一実施の形態では、第2のプリフォーム3は再利用プラスチック材料で作製することができる。一実施の形態では、プラスチック材料に添加剤を添加して、例えば、限定されないが、OまたはCOバリヤのような容器壁を通るガスの移動に影響を与える、特に低減させることができる。一実施の形態では、第1および第2のプリフォーム2、3はプラスチック材料の中またはこれを貫通して移動するガスのためのバリア材料スカベンジャー(補捉剤)を含んでいてもよい。バリア材料は、Oスカベンジャーのようなスカベンジャーそれ自体でもよく、あるいはスカベンジャーを含有していてもよい。代替的な実施の形態では、バリア材料またはスカベンジャーは例えば、限定されないが、COのような異なるガスのためのものであってもよい。ガス移動制限または防止添加剤および/またはスカベンジャーは、例えば、プリフォーム・アセンブリ1からブロー成形された容器20の内容物の酸化を防止または少なくとも制限することができるという利点を有することができる。一実施の形態では、第1および第2のプリフォーム2、3は、例えば、限定されないが、緑、茶色、青、黄または赤のような着色剤を含んでいてもよい。プリフォーム2、3の、従ってそれを用いて成形される容器20の着色剤は、容器の内容物および/または容器自体を劣化または少なくとも例えば放射線による内容物の影響から遮断する利点を有することができる。一実施の形態では、第1のプリフォーム2は、ガス移動制限もしくは防止添加剤および/またはスカベンジャーを含んでいてもよいが、ガス移動制限もしくは防止添加剤、および/またはスカベンジャー、および着色剤を備えていないのが好ましい。ガス移動制限もしくは防止添加剤および/またはスカベンジャーをプリフォームの一方のみに添加することの利点は、プリフォーム・アセンブリ1における添加剤および/またはスカベンジャーの必要量が少なくてすみ、比較的に高価な添加剤および/またはスカベンジャーのコストを低減することができることである。好ましくは、少なくとも約3重量%のスカベンジャーがプラスチック材料に添加される。そのようなスカベンジャーは、例えば酸素スカベンジャーまたはCOスカベンジャーであってもよい。明らかに、限定されないが、PVC、PPまたはPANのような他の材料またはブレンドを使用することができる。
【0040】
一実施の形態では、第1のプリフォーム2には、少なくとも1つの、好ましくは複数の開口部30が首形成部分に設けられ、これを貫通して延在する。開口部30は第1のプリフォーム2の自由端23の下方に設けられていてもよい。第1のフランジ28を有する一実施の形態では、開口部30は第1のフランジと同じ高さまたはその真下に設けられていてもよい。移行部27を有する一実施の形態では、開口部はこの移行部27の真下に設けられていてもよい。少なくとも2つのフランジ28、29を有する一実施の形態では、開口部30は第1および第2のフランジ28、29の間の高さに設けられていてもよい。複数の開口部30は異なる高さに設けられていてもよい。開口部は、一方の側においてプリフォーム・アセンブリ1の内部V内に開口し、それからブロー成形されたボトル20の内部空間V内に開口している。他方の側において、開口部30は、第1のプリフォーム2の首形成部分7と第2のプリフォーム3の首形成部分9との間の空間31内に開口していてもよい。空間31は、自由端23の下の首形成部分7、9の一部分同士の間に延在するリブ、ノッチその他のエレメントのようなスペーサ32を設けられていてもよい。これらのスペーサの利点としては、スペーサが第1のプリフォーム2の首部分7の外側の少なくとも一部分を第2のプリフォーム3の少なくとも一部分、少なくともその内表面から離隔された状態を保つことが挙げられる。好適な一実施の形態では、スペーサ32はプリフォーム・アセンブリ1の肩形成部分内に延在していてもよい。これにより、プリフォーム・アセンブリ1からブロー成形された容器の肩部の内壁および外壁の間に空間が生じる。このようにする利点としては、圧力流体、特に圧力ガスが容器20の本体の内壁と外壁の間により容易に供給することができ、その結果、容器20からの飲料の分注パターンを均質にするのに有利なより均等な圧力を形成することが可能となる。
【0041】
図7に概略を示すように、蓋33が容器20内および/または上に設けられていてもよい。蓋は任意の適切な方法、例えば、限定されないが溶接、例えば、限定されないが、超音波溶接、クリンチング、圧入、ねじ山、バヨネット式閉鎖(bayonet closure)、接着その他の適切な手段により設けられていてもよい。蓋33は、容器20の内部体積を隔離する。分注開口部34が蓋33に設けられている。一実施の形態では、弁35が分注開口部に設けられていてもよい。これは、限定されないがビール用弁のような既知の飲料用弁であってもよい。図示された実施の形態では、弁35はクリンチ結合42により開口部34内および上に設けられており、開口部34はクリンチ結合のクリンチ板よりも大きい。プリフォームを容器にブロー成形するに先立って蓋33を設ける可能性に対して備えることができるが、クリンチ結合は、開口部34を通って容器を充填した後に作成することができる。他の実施の形態では、弁35は別の方法で、例えば、溶接、ねじ込み、圧入、および/またはプラスチック製バルブ・アセンブリを設けることにより設けることができる。プラスチック製バルブ・アセンブリは、例えば部分的にまたは全体的に蓋33と一体に形成されていてもよい。好ましくは、本願発明によるプリフォーム・アセンブリ1を用いて、プリフォーム・アセンブリが充填閉鎖装置に沿ってブロー成形され、輸送および貯蔵体積が顕著に減少する。一実施の形態では、弁35はスプレイ缶型の弁、例えば雄または雌型のスプレイ缶型の弁であってもよい。そのような弁は当技術において周知である。そのような弁の例がNL1012802、NL101921およびNL1012922に飲料容器用として記載されている。これらの公報は引用により本明細書において参照される。そのような実施の形態では、例えば、上述の引用公報に記載されているような圧力調節装置を容器内部に、特に飲料中にまたは容器の内壁部分と外壁部分の間に設けて容器中の内圧を維持することができる。容器を炭酸飲料用に使用するときは、内圧は、飲料中のCOの平衡圧力に維持するのが好ましい。他の実施の形態では、容器にガスを導入するためと容器から飲料を分注するための両方に適したスプレイ缶型弁を使用することができる。そのような弁は、例えば、WO2008/048098から公知である。
【0042】
例えば、流体を内部体積Vの容器内にまたは容器20の壁部分の間のスペース内に圧入することにより容器20を加圧するためにコンプレッサまたはポンプが設けられるときに、同じコンプレッサまたはポンプを用いて、特に容器20からのそのような流体を圧送することができ、容器が少なくともある程度つぶれるように、特に容器の全容積が顕著に減少するように圧送するのが好ましい。これは、例えば、可逆的であるコンプレッサまたはポンプにより達成することができる。
【0043】
他の実施の形態では、容器20は圧縮性容器であってもよい。これは、外圧を容器20の本体部分5Aに作用させることにより、例えば、容器を、限定されないがEP1003686またはEP1626925から公知の圧力室のような圧力室内に挿入することにより、容器20の少なくとも本体部分5Aを圧縮することができることを意味する。容器20または少なくともその本体を加圧することにより、飲料を容器から分注することができ、好ましくは、飲料中に含有されるCOの平衡圧力のような実質的に平衡圧力において分注することができる。そのような実施の形態では、分注開口部34および/または弁35だけを設ける必要がある。
【0044】
上述のように首部分7に1つ以上の開口部30が例えばその内側または外側に設けられている場合、開口部30の少なくとも1つと流体連結するよう、圧力流体供給開口部36を蓋に設けることができる。図8に概略を示した実施の形態では、周縁溝38が蓋に設けられており、首部分7の内面に開口して、溝38には供給開口部が開口している。溝38は首部分7、9の内側37に対して密閉され、圧力流体が溝38から容器20の内部体積V内へ流入することができないようになっている。開口部37を通って供給された圧力流体は、従って、溝38を通って少なくとも1つの開口部30内に流入し、そして空間31または少なくともプリフォーム2、3の首部分7、9の間に流入する。そこから圧力流体は容器の本体の壁部分の層同士の間を流れ、容器20の本体5Aの外層3Aから内層2Aを押し離す。これにより、内層が加圧され、従ってその中に収容されている飲料が加圧され、飲料を蓋33の分注開口部34を通るように強制する。
【0045】
さらなる実施の形態では、図示しないが、開口部にタッピング・ロッドまたはタップ・スピアを挿入することができる。そのようなタップ・スピアまたはタッピング・ロッドは、当技術において、例えばビール樽から、周知である。一つのタイプは、サンケイ(Sankey)2または3ラグ・バルブ・アセンブリを有するタップ・スピアであり、容器20の首部分4内または上に取付けることができる。他の周知のタイプのタップ・スピアは平頭バルブ・アセンブリを有し、容器の首部分内および/または上に取付けることができる。そのようなタッピング・ロッドまたはタップ・スピアはガス供給弁および飲料分注弁を有し、タッピング・ヘッドにより操作可能である。一実施の形態では、ガス供給弁は容器の内部体積V内に、特に内層2A内に開口し、内部の飲料を直接加圧するようにしてもよい。他の実施の形態では、ガス供給弁は、内層および外層2A、3Aの間の空間31から内層2Aを押し離すために、1つ以上の開口部30内に開口していてもよい。従って、飲料を間接的に、圧力ガスが飲料に接触することなく加圧することができる。その場合、圧力ガスの代わりに、水のような圧力液体を使用することができる。一実施の形態では、圧力ガスとして空気が用いられ、空間31内に供給される。そのような実施の形態では、内層2Aを通って移動するOによって飲料が酸化される危険を防止または少なくとも低減させるために、Oスカベンジャーが内層2Aのプラスチック材料中におよび/または空間31内に設けられる。代替的な一実施の形態では、スカベンジャーの代わりにまたはスカベンジャーに次いで、高Oバリアを有する内層にプラスチック材料を使用することができ、および/またはそのような材料の保護フィルムもしくは層を第1のプリフォーム2の表面におよび/または空間31内に設けてもよい。
【0046】
上に示した実施の形態の任意の1つによるプリフォーム・アセンブリ1を、図4または5に概略を示すように、内部体積Vが3リットルよりも大きい、特に5リットルよりも大きい、例えば内部体積が8リットル〜40リットルの内部体積のプラスチック容器20をブロー成形するための形状および寸法にすることができる。例としては、内部体積が約10リットル、20リットルもしくは30リットル、例えば約17リットルの実質的にボトルまたは樽形状を有する容器20を挙げることができる。プリフォーム・アセンブリは、実質的に円形の場合、断面の大きさが約25mm以上、好ましくは約49mm以上、または約490mm以上、好ましくは約1180mm以上の等価断面積の内部開口部21を有する首領域を有しているのが好ましい。一実施の形態では、断面の大きさDは約49.2mmであってもよい。断面の大きさDはプリフォームの縦軸Lに垂直に測定され、関連する首部分7または9あるいは首部分4の自由端22、25近傍で測定されるものと了解されるべきである。好ましい一実施の形態では、開口部21は縦軸に垂直な、ほぼ円形断面を有していてもよく、この断面は、直径により定義された上記断面の大きさを持っていてもよい。断面の大きさは本体形成部4の方向にわずかに減少していてもよい。第1のプリフォーム2の壁部分は、例えば、本体5側に、断面の大きさDよりも数ミリメートル小さい直径Dを持つ円筒状の内表面を有していてもよい。直径Dは例えば0%〜5%少なくてもよい。一実施の形態では、開口部21の断面の大きさは約49mmであってもよく、第1のプリフォーム2の本体形成部分における直径Dは約48mmであってもよい。明らかに、他のサイズ、形状および大きさも可能である。首部分を比較的に大きな断面積とする利点としては、内部体積Vが約10リットル以上であるような比較的に大きな容積の容器に対する本体の好適な延伸比を挙げられる。首部分を比較的に大きくすると、また、標準的なタッピング・ロッドまたは少なくともタッピング・ロッドまたはバルブ・アセンブリがサンケイ(Sankey)2または3ラグまたは平頭タッピング・ヘッドのような標準的タッピング・ヘッドの結合を可能とするための空間を提供することができる。
【0047】
例えば、内部体積Vの容器20に対して、第1および第2のプリフォーム2、3並びにそれらからブロー成形された容器は、特にPET、さらには標準PETのような結晶化プラスチックについて、下記の表1に示す大きさを持つことができる。
【0048】
【表1】

【0049】
上表中、
軸延伸比=ボトル高さL/プリフォーム長さL
フープ延伸比=ボトル直径D/中壁直径D
平面延伸比=軸延伸比*フープ延伸比
容積=容器内部体積V
最終直径=首部分の内径D
中壁直径=関連する壁の厚さの中央に沿って、好ましくは2つのプリフォームの間の界面において測定されたプリフォーム・アセンブリの本体の直径
プリフォーム長さ=好ましくは本体に最も近いフランジの真下からプリフォーム・アセンブリの底形成部分の頂部へ測定された、実質的に延伸ブロー成形されたプリフォームの長さL
ボトル直径=肩部および底部分の間の本体の平均直径
ボトル高さ=好ましくは本体に最も近いフランジの真下からプリフォーム・アセンブリの底形成部分の頂部へ測定された、実質的に延伸ブロー成形された容器の長さLb
すべては、例えば図6に示す通りである。
【0050】
平面延伸比はまたブローアップ比またはBURとして知られている。軸延伸比は、好ましくは少なくとも1.7より大きい。プリフォームの軸延伸長さと容器の高さは底形成部分の内部と延伸が開始された首の部分との間の最大軸長として定義することができる。
【0051】
表1では、平面延伸比の範囲が示されているが、これは開示されたプリフォーム/容器の組み合わせのそれぞれについて好ましい範囲である。炭酸飲料を保持するための機械的安定性と容器中のCO及び/またはOの移動に対する耐性のために最小比が好ましい。最大好適平面延伸比はPET材料それ自体により定義される。好ましい比が目標値として与えられている。
【0052】
表1に軸延伸比の範囲が与えられており、これは開示されたプリフォーム/容器の組み合わせのそれぞれについて好ましい範囲である。均一な壁の分布、特に容器の本体の壁について均一な肉厚、特に肩部と底部分との間の肉厚のためには最小比が好ましい。最大好適軸延伸比は従来技術において得られた経験に基づいて定義される。好適な比は目標値として与えられている。
【0053】
本明細書においては、プリフォームの冷却はプラスチック材料の結晶化を防止するのに必須であると認識されているが、これはプリフォームが実質的にアモルファス状態に保たれるように冷却が調節される必要があることを意味する。冷却時間は下記によって定義される。
1.プリフォームの肉厚、最大肉厚
2.プラスチック材料の注入温度
3.モールド壁温度、特に射出時の平均モールド壁温度
4.プラスチック材料の射出温度
5.プラスチック材料の熱伝導率
【0054】
10リットル超のような比較的大きな容積を持つビールやソフトドリンク用のような炭酸飲料用容器については、フープ比が最も重要であり、10より大きいことが好ましい。
【0055】
冷却時間は肉厚、特に最大平方肉厚(肉厚の二乗)に依存する。
【0056】
冷却時間は十分短くして分子がプリフォームの壁内に配向するのを阻止する必要があることが認識されている。8mmより大きい、特に6mmより大きい肉厚を持つプリフォームを用いると、プラスチックからモールドへの熱伝導が標準的なプラスチック、特に標準PETにおけるそのような配向を阻止するのに不十分である。モールド温度を下げても、プリフォームの厚い壁には不十分である。結晶性プラスチック、特にPETは3つの状態が存在する。
− アモルファスの無配向の半透明、着色していなければ透明
− 溶融材料の比較的ゆっくりした冷却による熱的結晶化、および
− 延伸ブロー成形の場合のように、歪みにより誘導される結晶化。
本明細書において、プリフォームは好ましくは結晶性プラスチック、特に標準PETのようなPETから射出成形され、肉厚は第2の状態が阻止されるような厚さである。
【0057】
図2にはプリフォーム・アセンブリ1の一実施の形態が示されており、プリフォーム・アセンブリ1には第1および第2のプリフォーム2、3の間に空間31が設けられており、プリフォーム2、3の本体形成部分8、10の少なくとも一部分の間に延在する。スペーサ32が前記空間内に延在し内側および外側プリフォームを少なくとも部分的に離隔させている。この実施の形態では、空間31は首4、特に第1のプリフォームの自由端23において環境に対して閉鎖されている。一実施の形態では、液体またはガスのような媒体、例えばNもしくはCOガスのような不活性ガスが空間31内に挿入される。容器20をアセンブリ1からブロー成形するときに、空間31内の媒体を加圧して、それにより容器20を強化してもよい。これは、少なくとも層2A、3Aの一方について容器の強度を下げずに薄い肉厚を用いることができるという利点を有する。一実施の形態では、空間31に開口する開口部40を例えば首4に設けてもよい。この開口部は弁またはシール41により閉鎖することができる。この開口部40は、例えば弁を開口し、またはシール41に孔を開けることにより開くことができる。開口部は環境と連通していてもよく、あるいは連通させることができる。これは、開口時に空間内の開口圧力が大気圧に復帰させるか、あるいは少なくとも低下させることができるように行なわれる。一実施の形態では、空間31は加圧下に置くことができる。圧力を低下させることにより、容器20または少なくともその本体5の剛性を低下させることができ、それにより容器20の内容物を分注するために、または所望の程度まで容器20を空にした後に、廃棄またはリサイクルに戻されるべき、空になった容器の体積を低減するために、例えば上述の分注装置の圧力空間内における圧縮がより容易になる。これは環境に対する重要な便益である。
【0058】
図3は、さらなる実施の形態におけるプリフォーム・アセンブリ1の概略を示す。この実施の形態では、少なくとも第1および第2のプリフォーム2、3のプリフォーム・アセンブリ1が第3のプリフォーム43内に挿入されるか、あるいは、好ましくは、第1および第2のプリフォーム2、3の肉厚W1、W2よりも小さい肉厚W7を持つ第3のプリフォームが第1のプリフォーム内に挿入される。このプリフォーム・アセンブリ1を容器20にブロー成形すると、容器20は、図5に示すように、3つの層2A、3A、43Aを持つ。内層は他の層2、3の少なくとも一方あるいは他の層を組み合わせたものと比べて可撓性が高い。層43Aは飲料を容れることができ、飲料を加圧するときに容易に変形可能である。一実施の形態では、図1Aまたは8に示されるように首部分4を有するアセンブリ1を使用することができ、この場合、開口部30を上述のように、最も内側のプリフォーム43の首領域に設けることができ、最も内側の層43Aと第1の層2Aとの間の空間内に開口しており、第1の層2Aは第2の層3Aの内側に上述の仕方で接触している。この実施の形態では、圧力流体は最も内側の第3の層43Aと第1の層2Aとの間の空間31内に導入してもよい。この場合、第1および第2の層2A、3Aは一実施の形態では比較的堅い耐圧性外側容器を形成する。ガス、例えば空気または不活性ガスのような圧力流体を空間31内に供給することにより、図5に示すように、そのようなプリフォーム・アセンブリ1からブロー成形された容器20の最も内側の層43Aは変形し、その中の飲料を加圧する。これは、分注開口部34および/または弁35により加圧下に飲料を分注することができることを意味する。
【0059】
空間31は、第1および第2のプリフォームの間の界面に、例えばそれらの本体形成部分またはその一部分にわたって設けられたコーティングまたは層によって置き換えまたは補強してもよい。コーティングまたは層は、例えばバリア性を有していてもよく、例えばガスが内部体積Vの内外へ移動するのを防止する。コーティングまたは層は、例えば、第1および第2のプリフォームまたは容器の壁部分の接合を防止してもよく、あるいはそのような接合を促進してもよい。コーティングまたは層は色彩を提供してもよく、プリフォーム間界面を通る熱の輸送を防止または促進してもよく、容器の破裂を防止する層、例えば、限定されないが、ネッティング(netting)、レイヤリング(layering)等の手段であってもよい。
【0060】
プリフォームおよび容器の種々の実施の形態では、そのような保護層は、例えば、限定されないが、耐衝撃性増強材料を含むまたはそれのみからなる層であってもよく、耐衝撃性増強材料は、例えば、限定されないが、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral)である。一実施の形態では、層はプリフォーム2、3の間、および/または容器の層2A、3Aの間に、例えば、限定されないが、エタノール中に溶解された状態の材料を適用することにより形成してもよく、および/または容器20は溶媒の消失によりまたは溶媒および/または容器20の隣接するプリフォーム2、3または層2A、3Aの一方または双方のプラスチック材料との反応により固定される。他の実施の形態では、層はプリフォームの一方または双方に、好ましくは隣接する表面の少なくとも一方に、例えば共射出または共押出により設けることができ、プリフォーム・アセンブリ1とともに延伸ブロー成形することができる。層はまた外側プリフォーム上に、および/または容器20の外側に設けてもよい。層の材料に、その機械的性質を向上させるためにポリビニルブチラールのような架橋剤を加えてもよい。
【0061】
容器20をブロー成形するためのプリフォーム・アセンブリ1は、第1のプリフォーム2と第2のプリフォーム3を射出成形することを含んでいてもよく、好ましくはそれら双方の肉厚が約8mm未満、より好ましくは約6mm未満である。第1のプリフォーム2を第2のプリフォーム3内に挿入してもよく、および/または第2のプリフォーム3を第1のプリフォーム2を覆うように設けてもよい。一実施の形態では、第1のプリフォーム2および第2のプリフォーム3は射出成形装置内で射出成形し、上記の射出成形装置内で第1のプリフォーム2が第2のプリフォーム3内に挿入することができる。別の実施の形態では、第1のプリフォーム2と第2のプリフォーム3は射出装置内で射出成形し、第2のプリフォーム3は上記射出成形装置内で第1のプリフォーム2を覆うように設けることができる。さらに別の実施の形態では、第1のプリフォーム2は第2のプリフォーム3内で射出成形することができる。さらに別の代替的実施の形態では、第2のプリフォーム3は第1のプリフォーム4を覆うように射出成形することができる。別の代替的実施の形態では、プリフォーム2、3は射出成形した後に、射出成形装置の外側で組み立てるようにしてもよい。そのような実施の形態では、プリフォーム2、3は、例えばブロー成形装置および/またはボトリング装置もしくはラインの近傍またはそれに沿ったアセンブリ・システムに別々に出荷することができ、プリフォームは飲料をボトリングするまえに直接組み立てることができる。そのような実施の形態では、プリフォームの一方または双方を別々に加熱し、加熱された状態で組み立てることができる。
【0062】
ブロー成形、特に延伸ブロー成形前に1つの組立体に一体に組み立てた種々のプリフォームを用い、特に炭酸飲料に対して安全性を向上させることができる。その理由は、プリフォームの内の1つは高圧に耐えることが可能な容器部分にブロー成形し、他は飲料を最適に収容するように設計することができるからである。他の実施の形態では、安全層のような安全手段をプリフォーム間に含めることができ、これは、例えば一方または双方のプリフォームに、および/または容器の本体の壁に接着することができる。
【0063】
本明細書の実施の形態では、第1の内側プリフォーム2の首部分8は第2のプリフォーム3の首部分9内に延在していてもよいが、外側の第2のプリフォーム3の首部分9の内面の一部分が内側のプリフォーム2の首部分8の上方で自由である場合に限られる。蓋33はその中で、例えば、首部分内の第2のプリフォーム9の内面に結合されていてもよい。存在する場合は、空間31は首部分内からアクセス可能である。
【0064】
本発明は説明され、図示された実施の形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に係る本発明の範囲内で多くの変形例が可能であり、同様に開示されているとみなされる、これらの実施の形態の種々の要素の組み合わせおよび均等物をも含む。
【0065】
例えば、プリフォーム・アセンブリには2つより多くのプリフォームを設けてもよく、一方、種々の保護層を一方または双方のプリフォームの一部分の表面または全表面に設けてもよい。これらの保護層は、例えば、限定されないが、バリア層、および/または容器の膨れを防止するためのネッティング、および/またはスリーブであってもよい。種々の容積をプリフォームへの修正により提供することができるが、一方、第1のプリフォームをより小さく、例えば、縦軸Lに沿って測定された長さがより小さく、底部分が第2のプリフォームのそれから遠ざけられるようにすることができる。これは、第1のプリフォームが、まず、第2のプリフォームの延伸の前に延伸されることを意味する。圧縮性容器の場合、圧縮のための圧力を種々の方法で、例えば、限定されないが、機械的または化学的圧縮手段により、かけることができる。他の材料を使用することができるが、プリフォームを種々の方法で、例えば、限定されないが、射出成形装置の外側で人手によりまたはロボットにより組み合わせることができる。内側ライナー、変形可能な層または変形可能な容器を2層以上の多層容器内に別体の要素として設けることができる。
【0066】
これらおよび他の同様の補正を本発明の範囲内の容器、プリフォーム、プリフォーム・アセンブリおよび/または方法に施すことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をブロー成形するためのプリフォーム・アセンブリであって、
少なくとも第1のプリフォームと第2のプリフォームとを備え、
前記プリフォームを容器にブロー成形する前に前記第1のプリフォームは前記第2のプリフォームの内部に位置し、
各プリフォームは、肉厚が約8ミリメートル(mm)、好ましくは約6mmよりも小さい、本体形成部分を有する
ことを特徴とするプリフォーム・アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリフォーム・アセンブリであって、
前記第1のプリフォームの本体形成部分の肉厚は前記第2のプリフォームの本体形成部分の肉厚よりも小さい
ことを特徴とするプリフォーム・アセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリフォーム・アセンブリであって、
少なくとも前記第1のプリフォームは前記本体部分に結合した首部分を有し、
前記首部分は25mmより大きい内径を有するか、または490mmより大きい内部断面積、好ましくは、48mmより大きい内径または980mmより大きい、さらに好ましくは1960mmより大きい内部断面積を有する
ことを特徴とするプリフォーム・アセンブリ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリフォーム・アセンブリであって、
前記第1のプリフォームは前記第2のプリフォームの首部分内に嵌合した首部分を有し、
好ましくは、前記第2のプリフォームの首部分の少なくとも一部分は前記第1のプリフォームの首部分に圧着されている
ことを特徴とするプリフォーム・アセンブリ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリフォーム・アセンブリであって、
前記第1および第2のプリフォームの一方、好ましくは前記第1のプリフォームのみがOスカベンジャーを含み、および/または
前記第1および第2のプリフォームの一方が着色剤を含み、
好ましくは前記2つのプリフォームの一方は前記スカベンジャーを含み、他方は着色剤を含む
ことを特徴とするプリフォーム・アセンブリ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリフォーム・アセンブリであって、
前記第1および第2のプリフォームの本体形成部分の間に空間が設けられ、
前記空間は好ましくは環境に対して閉鎖されまたは閉鎖可能である
ことを特徴とするプリフォーム・アセンブリ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリフォーム・アセンブリであって、
少なくとも前記第2のプリフォーム、好ましくは前記第1のプリフォームおよび第2のプリフォームは、好ましくは抗結晶化添加物を含まない、標準PET製である
ことを特徴とするプリフォーム・アセンブリ。
【請求項8】
プリフォーム・アセンブリからブロー成形された容器であって、
第1のプリフォームを第2のプリフォーム内に備え、
前記容器の第1の層は前記第1のプリフォームから形成され、
前記第1の層の外側の第2の層は前記第2のプリフォームから形成され、
前記第1のプリフォームのプラスチック材料は、前記第1の層を形成するために、第2の層を形成するための前記第2のプリフォームのプラスチック材料よりもさらに延伸されている
ことを特徴とする容器。
【請求項9】
請求項8に記載の容器であって、
前記容器は3リットル、好ましくは5リットル、さらに好ましくは10リットルより多い、特に約10〜30リットルの内部体積を有する
ことを特徴とする容器。
【請求項10】
請求項8または9に記載の容器であって、
前記容器は第1のプリフォームの首部分と第2のプリフォームの首部分とを備える首を備え、
前記第2のプリフォームの首部分は好ましくは前記第1のプリフォームの首部分内にあり、
前記第2のプリフォームの首部分は、好ましくは、前記第1のプリフォームの首部分に圧着され、および/または
変形可能な内側容器が前記容器の内側空間内に、前記第1の層に包まれて設けられている
ことを特徴とする容器。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の容器であって、
前記容器は、内壁部分と外壁部分とを有する本体部分を有し、
前記内壁部分と前記外壁部分の間に、環境に対して閉鎖されたまたは閉鎖可能な空間すなわち隙間が設けられ、
前記隙間は、好ましくは、ガスのような流体、さらに好ましくは圧縮流体を充填されている
ことを特徴とする容器。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の容器、または請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリフォーム・アセンブリから製造される容器であって、
内部断面積が約25mmより大きい、好ましくは約40mmより大きい首部分が設けられている
ことを特徴とする容器。
【請求項13】
容器をブロー成形するためのプリフォーム・アセンブリを形成する方法であって、
第1のプリフォームを射出成形し、かつ第2のプリフォームを射出成形し、ともに肉厚を約8mmより小さく、好ましくは約6mmより小さくし、
前記第1のプリフォームを前記第2のプリフォーム内に挿入し、および/または前記第2のプリフォームを前記第1のプリフォームを覆うように設ける
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
− 前記第1および前記第2のプリフォームを射出装置内で射出成形し、前記射出成形装置内で前記第1のプリフォームを前記第2のプリフォーム内に挿入する、
または
− 前記第1および前記第2のプリフォームを射出装置内で射出成形し、前記第2のプリフォームを前記射出成形装置内で前記第1のプリフォームを覆うように設ける、
または
−前記第1のプリフォームを前記第2のプリフォーム内で射出成形する、
または
−前記第2のプリフォームを前記第1のプリフォームを覆うように射出成形する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
プリフォーム・アセンブリを提供する装置であって、
第1のプリフォームを形成するための少なくとも1つの第1のモールド・キャビティと、
第2のプリフォームを形成するための少なくとも1つの第2のモールド・キャビティとを備え、
さらに、第1のプリフォームを第2のプリフォーム内に、および/または第2のプリフォームを第1のプリフォームを覆うように移動するための少なくとも1つの移送装置を備え、
好ましくは、前記装置は前記プリフォームを少なくとも部分的に冷却し、好ましくは前記第2のプリフォームが少なくとも部分的に前記第1のプリフォーム上に圧着されるようにすることを可能にするための冷却室を備える
ことを特徴とする装置。



【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−532046(P2012−532046A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519487(P2012−519487)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050419
【国際公開番号】WO2011/002294
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(311005378)
【Fターム(参考)】