容器のウォーターサーバーへの取付け構造
【課題】加熱した飲料を充填した際に、有害物質の溶出を抑えられる柔軟な容器を用いても、従来のウォーターサーバーを利用できる容器のウォーターサーバーへの取付け構造を提供すること。
【解決手段】柔軟性のある容器本体10に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバー3の供給口6に差し込まれる首部12を有する容器2と、容器2を収容し、首部12を外部に露出させる貫通孔22を有する段ボール箱20とを備え、段ボール箱20に比べて大きな剛性を有すると共に、首部12を通した状態で係止する首保持用開口部32を有するようにして、段ボール箱の貫通孔22が設けられた面29に配置されるアダプター30が用意され、このアダプター30は、首部12が供給口6に差し込まれた状態において、首保持用開口部32に向かって下る窪み部34を有し、貫通孔22は容器本体10が窪み部34に接触するように形成されている。
【解決手段】柔軟性のある容器本体10に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバー3の供給口6に差し込まれる首部12を有する容器2と、容器2を収容し、首部12を外部に露出させる貫通孔22を有する段ボール箱20とを備え、段ボール箱20に比べて大きな剛性を有すると共に、首部12を通した状態で係止する首保持用開口部32を有するようにして、段ボール箱の貫通孔22が設けられた面29に配置されるアダプター30が用意され、このアダプター30は、首部12が供給口6に差し込まれた状態において、首保持用開口部32に向かって下る窪み部34を有し、貫通孔22は容器本体10が窪み部34に接触するように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱水を充填可能な容器本体部を備える飲料容器のウォーターサーバーへの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料水等の飲料が充填されたガロンボトルと呼ばれる硬質の樹脂成型容器を使用者に配送して、使用者側でこの硬質の樹脂成型容器をウォーターサーバーの上に載せて連結し、そしてウォーターサーバーの注ぎ口から飲料を出す方式がある(特許文献1を参照)。
また、飲料が充填された柔軟性を有する樹脂フィルム容器を段ボール箱に収容して使用者に配送し、使用者がその容器の注ぎ口のみを段ボール箱から外部に露出させて、ウォーターサーバーに連結せずに、その注ぎ口から直接飲料を出すバックインボックス方式もある(特許文献2と特許文献3を参照)。
ところで、このような容器に飲料を充填する際には、衛生面の観点から70℃以上の熱水を充填する加温充填を行うことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3―64207号公報
【特許文献2】特許第3245031号公報
【特許文献3】特開平11―49232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のガロンボトルと呼ばれる硬質の樹脂成型容器は、ポリカーボネート樹脂により形成されているために、上述した70℃以上の熱水を充填する加温充填を行なうと熱により有害物質が溶出する恐れがある。従って、加温充填しても有害物質が溶出するのを防止するために、ポリエチレンテレフタレート等のペットボトル素材から成る容器を採用することも考えられる。
しかし、ペットボトル素材によりガロンボトルのような大きな容器を作ると、容器に必要な強度が得られない。このため、その容器をウォーターサーバーに取り付けられなくなり、使用者が従来から使用しているウォーターサーバーが利用できなくなってしまう。
【0005】
なお、上述のように、従来、柔軟性を有する容器を段ボール箱に収容するバックインボックス方式もある。この方式であれば、容器は段ボール箱に収容されているので、ペットボトル素材からなる柔軟な容器であっても、その形は維持できる。そこで、発明者は、段ボール箱から容器の首部だけを外部に露出させ、その首部を既に使用者が利用されているガロンボトルタイプのウォーターサーバーに差し込む方法も考えた。しかし、首部をウォーターサーバーに差し込む際に段ボール箱が凹んでしまい、やはり容器をウォーターサーバーに取り付けることは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題を解消するためのもので、加熱した飲料を充填した際に、有害物質の溶出を抑えられる柔軟な容器を用いたとしても、従来からあるウォーターサーバーを利用することができる容器のウォーターサーバーへの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1の発明によれば、変形自在な柔軟性のある容器本体を有すると共に、前記容器本体に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバーの供給口に差し込まれる首部を有する容器と、前記容器を収容し、少なくとも使用時に前記首部を外部に露出させる貫通孔を有する段ボール箱と、を備え、前記段ボール箱に比べて大きな剛性を有すると共に、前記首部を通した状態で係止する首保持用開口部を有するようにして、前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面に配置されるアダプターが用意され、前記アダプターは、前記首部が前記供給口に差し込まれた状態において、前記首保持用開口部に向かって下る窪み部を有し、前記貫通孔は、前記段ボール箱に収容された前記容器本体が前記窪み部に接触するように形成されている容器のウォーターサーバーへの取付け構造により達成される。
【0008】
請求項1の発明の構成によれば、熱水を充填しても有害物質の発生が抑えられる材質が選択されて、柔軟性のある容器本体となる。そして、その容器本体は柔軟性があっても、段ボール箱に収容されて支持される。また、この段ボール箱は少なくとも使用時に首部を外部に露出させる貫通孔を有しており、また、首部は容器本体に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバーの供給口に差し込まれるようになっている。
そうすると、段ボール箱で支持された容器本体とつながっている首部を貫通孔から露出でき、そして、露出した首部を従来から使用者が利用しているウォーターサーバーに差し込むことができるのであれば、とりあえずは使用可能となる。この点、本発明の場合、段ボール箱に比べて大きな剛性を有するアダプターの首保持用開口部に首部を入れて、首保持用開口部と首部とを係止させて首部を保持できる。そして、この首部を保持した状態であれば、段ボール箱の強度が弱くても、首部が容器本体側に引っ込むことを防止しながら、首部をウォーターサーバーの供給口に確実に差し込める。
さらに、このアダプターは、首部が供給口に差し込まれた状態において、首保持用開口部に向かって下る窪み部を有しており、また、ダンボール箱の貫通孔は、容器本体が貫通孔を通して窪み部に接触できるような大きさに形成されている。したがって、窪み部は容器本体内の飲料を首保持用開口部に係止されている首部に集め、飲料を残さずにウォーターサーバー側に供給でき、これにより、ウォーターサーバーは有効に実用可能となる。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面を平面とした場合において、前記アダプターは、前記段ボール箱の側面を押さえる壁部を有して、前記段ボール箱を収容するようにしていることを特徴とする。これにより、段ボール箱とアダプターとの間の位置ずれを防止し、例えば首部と首保持用開口部との係止が解除されてしまう事態を防止する。
【0010】
請求項3の発明によれば、請求項2の構成において、前記壁部は、前記側面に両手を添えることができる高さに形成されていることを特徴とする。これにより、重たい容器本体が収容された段ボール箱の方を手で持ち上げて、ウォーターサーバーに載置できるため、首保持用開口部に係止された首部に強い応力がかかることを防止できる。
【0011】
請求項4の発明によれば、請求項2の構成において、前記壁部は前記側面の略全領域を囲む枠状とされていることを特徴とする。これにより、段ボール箱とアダプターとの間の位置ずれを有効に防止できる。特に、非力な者がこれをウォーターサーバー上に斜めに仮置きした場合であっても、確実に段ボール箱をアダプターに収容できることから、安定した取扱いが可能となる。
【0012】
請求項5の発明によれば、請求項4の構成において、前記壁部及び前記段ボール箱は、前記アダプターが前記段ボール箱を収容した状態において、少なくとも使用者の指が前記壁部及び前記段ボール箱を連続して通り抜けるようにした突抜け孔を有することを特徴とする。これにより、突抜け孔に指を入れて、アダプター及び段ボール箱の双方を同時に持って、段ボール箱及びアダプターをウォーターサーバー上に載置できる。このため、請求項4の構成から生じる作用効果を発揮し、さらに、首保持用開口部に係止された首部に強い応力が生じることを防止できる。しかも、この突抜け孔から容器本体を視認して、飲料の残量をチェックできる。また、段ボール箱内が暗くて、飲料の残量を視認できなくても、突抜け孔に指を差し入れて飲料の有無を触手で確認できる。
【0013】
請求項6の発明によれば、請求項2または3の構成において、前記首部の側面部には、前記首保持用開口部の周縁と係止される溝部及び/又は張出し部を有しており、前記アダプターは、前記首部の最大径を通せる孔であって、この孔に通された前記首部を前記首保持用開口部に移動可能なように、前記首保持用開口部に連続して設けられた挿入孔を有し、前記壁部は、前記首保持用開口部から前記挿入孔側に向かって延びる方向に開放された開放口を有していることを特徴とする。これにより、首部をアダプターの挿入孔に差し入れた後、アダプターをスライドさせながら、首部を首保持用開口部に移動させれば、容易に首部と首保持用開口部とを係止できる。
【0014】
請求項7の発明によれば、請求項2ないし6のいずれかの構成において、前記壁部の内側には凸部が設けられており、前記段ボール箱は、前記凸部と係合するように形成されたミシン目或いは穴が設けられていることを特徴とする。これにより、段ボール箱とアダプターとの接続状態が強くなって、両者の位置ずれを有効に防止できる。
【0015】
請求項8の発明によれば、請求項1ないし7のいずれかの構成において、前記アダプターは、前記首部と前記首保持用開口部とが係止した状態において、前記首保持用開口部の周辺に、前記首部の先端側に突出した突出部を有することを特徴とする。これにより、首部にウォーターサーバーの角等が衝突するなどの事態を防止し、首部は保護される。また、首部をアダプターの挿入孔に差し入れた後、挿入孔に連続して設けられた首保持用開口部に移動して、首部の溝部等と首保持用開口部の周縁とを係止させる場合においては、突出部を指がかりとしながら、容易に首部を首保持用開口部に差し替えできる。
【0016】
請求項9の発明によれば、請求項8の構成において、前記ウォーターサーバーの供給口は、有底の穴の中に前記首部と接続される供給口本体が設けられており、前記突出部は、前記首部が前記供給口本体に導かれるように、前記ウォーターサーバーの前記有底の穴の内径に対応した外径を有することを特徴とする。これにより、突出部がガイドとなって、容易に首部をウォーターサーバーの供給口に差し込める。
【0017】
請求項10の発明によれば、請求項8または9の構成において、前記突出部には、使用者の指が挿入可能な切り欠き部及び/又は孔が少なくとも2つ形成されていることを特徴とする。これにより、首部周辺に突出部があっても、切り欠き部及び/又は孔から指を入れて首部を摘んだり押したりして、首部と首保持用開口部との係止状態を容易に解除できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、有害物質の溶出を抑えられる容器を用いて加熱した飲料を充填することが可能であり、かつ、従来から使用者が利用しているウォーターサーバーをそのまま使用できる容器のウォーターサーバーへの取付け構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに接続した状態の斜視図。
【図2】第1の実施形態に係る容器の斜視図。
【図3】図2のA−A線部分切断断面図。
【図4】第1の実施形態に係る段ボール箱の斜視図。
【図5】第1の実施形態に係るアダプターであって、段ボール箱との接触面側から視認した斜視図。
【図6】第1の実施形態に係るアダプターであって、ウォーターサーバーとの接触面側から視認した斜視図。
【図7】図5のB−B線切断断面図。
【図8】アダプターと容器と段ボール箱とを組み合わせて、第1の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジを完成させた斜視図。
【図9】第1の実施形態のウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図であって、図8のC−C線の切断面に対応した図。
【図10】第1の実施形態に係るアダプターの変形例であって、図10(a)は第1変形例、図10(b)は第2変形例。
【図11】図10の突出部の変形例。
【図12】図11のD−D線切断断面図。
【図13】本発明の第2の実施形態であって、ウォーターサーバー用カートリッジを組立てる様子を示した図。
【図14】第2の実施形態の組立てたウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図。
【図15】図15(a)は図14のF−F線部分切断断面図、図15(b)は図14のE−E線部分切断断面図。
【図16】アダプターの内側に設けられた凸部の変形例であって、図16(a)は第1の変形例、図16(b)は第2の変形例。
【図17】本発明の第3の実施形態であって、アダプターの斜視図。
【図18】第3の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジの概略縦断面図。
【図19】第3の実施形態のウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図。
【図20】第3の実施形態の段ボール箱の変形例。
【図21】第3の実施形態のウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取り付けた後の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジ1を、従来から存在するガロンボトルが着脱可能なウォーターサーバー3に接続した状態の斜視図である。この図に示すように、従来のウォーターサーバー(以下、単に「サーバー」という)3は上向きに供給口6が配置され、この供給口6に容器2の図示しない首部を接続し、注ぎ口7から飲料を出して使用される。
そして、ウォーターサーバー用カートリッジ1は、飲料用の容器2と、容器2を収容する段ボール箱20と、アダプター30とを組み合わせて形成され、この組合せによりサーバー3に容器2を接続できる構造とされる。
以下、容器2、段ボール箱20、アダプター30について詳細に説明する。
【0021】
先ず、容器2について上記図1を参照しながら、主に図2及び図3を用いて説明する。
図2及び図3は、ウォーターサーバー用カートリッジないし容器のサーバーへの取付け構造を構成する部品である容器2であって、図2は容器2の斜視図、図3は図2のA−A線切断断面図である。
容器2は、飲料を収容するための容器本体10と、サーバーの供給口6(図1参照)に差し込まれる首部12とを有している。
容器2の容器本体10は、70℃以上の熱水を充填する加温充填を行なっても有害物質が溶出しないような材質、すなわち変形自在な柔軟性を有する材料、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の素材による薄い樹脂フィルムにより作られている。
この容器本体10は、好ましくは、容器2内に充填される飲料水のような液体の飲料Mを目視で確認できるように、透明材料あるいは半透明材料で作られている。
【0022】
首部12は、サーバーの供給口に差し込まれて、容器本体10内の飲料を当該供給口に導く通路であり、全体が略筒状となって容器本体10から突出している。そして、首部12は、容器本体10に比べて硬質となるように、容器本体10に比べて厚肉に形成されており、本実施形態の場合、容器本体10と同じ材料で形成され、その根元にフィルム状の容器本体10が溶着されている。
【0023】
また、首部12は、その先端側に第1のキャップ14と第2のキャップ16を有しており、第1のキャップ14の先端中央部には、中栓部15が配置されている。この中栓部15は、サーバーの供給口側の突起を押し当てることにより容器本体部10側へ押出され、供給口側の突起に設けられた開口6c(図9参照)を通じて容器本体10の飲料Mをサーバー側に供給できるようになる。また、配送時などに中栓部15にゴミが付着しないように、中栓部15を覆い隠すキャップとして第2のキャップ16があり、第2のキャップ16は首部12をサーバーの供給口に差し込む際に取り外される。
【0024】
そして、首部12の側面部の周囲には、鍔状の張出し部18H,18Jが互いに間隔を開けて設けられており、この2つの張出し部18H,18Jは、その間にアダプター30の後述する首保持用開口部32の周縁部(図5参照)が配置されて、当該周縁部と係止される係止手段18となる。なお、係止手段18は、図3の一点鎖線で囲った首部の変形例に示すようにリング状の溝部18Aとし、この溝部18Aの内壁に首保持用開口部の周縁部を係止される構成としてもよい。
【0025】
次に、段ボール箱20について、上記図1ないし図3を参照しながら、主に図4を用いて説明する。
図4は、ウォーターサーバー用カートリッジ1ないし容器のサーバーへの取付け構造を構成する部品である段ボール箱20の斜視図である。なお、図4の段ボール箱20は容器2が収容されている図であるが、煩雑さを避けるため首部12は簡略して作図してある。
この段ボール箱20は、飲料用の容器を収容するための箱で、工場等から使用者に配送する際に用いられる梱包箱である。なお、段ボール箱20は、段ボールシートを用いて組み立てられた箱とされているが、本発明はこれに限らず、容器2を支持できるように配送可能であれば、その他の紙製の梱包箱であっても構わない。また、箱の内面にポリエチレン等の合成樹脂で作った防水シートが貼付されていてもよい。
【0026】
本実施形態の場合、段ボール箱20は矩形状ではなく、図1に示すようにサーバー3上に配置された際、側面の剛性を高めることができるように、側面が8面体となるように形成されている。具体的には、段ボール箱20の側面は各面が四角形状とされ、主面となる4面20A,20B,20C,20Dと、これら主面よりも小さな面積を有し、角部を面取りしたような角面21A,21B,21C,21Dとからなっている。そして、互いに対向する主面20B,20Dには、段ボール箱20を持つための把持部24が形成されている。この把持部24は、その長手方向が主面の略対角線LB上に位置しており、これにより、後述する貫通孔22が下向きにされた際、前腕を水平線から略45度の角度にして、段ボール箱20を持ち上げることができるため、持ち上げ易い。
【0027】
このような段ボール箱20は、図1に示すようにサーバー3に載置した際に、サーバーに対向する面29について、少なくとも使用時において、容器2の首部12を外部に露出させる貫通孔22を有している。すなわち、図4の段ボール箱20は、配送時の衛生面を考慮して、アダプター30と接続する際に、使用者がミシン目に沿って段ボール箱の一部24を切り取ることで貫通孔22が形成されるようになっている。なお、貫通孔22は、配送時の環境に応じて、当初から形成されていてもよい。この貫通孔22については、後でさらに詳細に説明する。
【0028】
また、図4及び図1に示すように、段ボール箱20の貫通孔22が設けられた面29と対面する面27であって、貫通孔22と対面する領域には、少なくとも使用時において、厚み方向に貫通される覗き孔27aが形成されている。本実施形態の場合、ウォーターサーバー用カートリッジ1をサーバー3に取り付けた後、段ボール箱内の容器本体10を覗き見る覗き孔27aが形成できるように、段ボール箱20にはミシン目が形成されている。これにより、使用者は上から覗き込むようにして、特に、最後まで飲料が残る貫通孔辺りの飲料を視認できる。なお、覗き孔27aを設ける場合、図1に示すように、埃等の進入を防止するための透明な蓋体4を段ボール箱20に被せるのが好ましい。
【0029】
次にアダプター30について、上記図1ないし図4を参照しながら、主に図5ないし図9を用いて説明する。
図5ないし図7は、ウォーターサーバー用カートリッジ1ないし容器のサーバーへの取付け構造を構成する部品であるアダプター30であって、図5は段ボール箱との接触面側から視認した斜視図、図6はサーバーとの接触面側から視認した斜視図、図7は図5のB−B線切断断面図である。また、図8はアダプターと容器と段ボール箱とを組み合わせて、ウォーターサーバー用カートリッジを完成させた斜視図であり、図9はそのウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取付ける様子を示す図であって、図8のC−C線の切断面に対応した図である。なお、図8は煩雑さを避けるため首部12は簡略して作図してある。
【0030】
アダプター30は、図9に示すように、段ボール箱20に収容した容器2をサーバー3に取付け可能にするための補助器具であり、図8に示すように、首部12を上向きした状態で段ボール箱20の貫通孔が設けられた面29(図4参照)に配置される。
本実施形態のアダプター30は、図5〜図9に示すように、全体がプレート状とされており、段ボール箱20の貫通孔22が形成された面29の形状に対応させた8角形状とされている。また、アダプター30は、図5・9に示すように、一方の主面30aのうち、後述する首保持用開口部32及び窪み部34を除く殆どの領域が、段ボール箱の面29に接触するようになっている。
なお、アダプター30には段ボール箱20側に突出して段ボール箱20と結合する爪(図示せず)を設けてもよい。例えば、アダプター30の周縁部に爪を設け、これを段ボール箱20の側面20A,20C(図4参照)等に掛けたり、或いは、アダプター30の主面30aであって後述する窪み部34の周辺に爪を設け、これを段ボール箱20の貫通孔22の周縁部に掛けたりして、アダプター30を段ボール箱20に結合してもよい。
【0031】
そして、アダプター30は、図5・9に示すように、首部12を通した状態で係止するための首保持用開口部32を有している。すなわち、首保持用開口部32は、首部12をサーバー3の供給口6に差し込む際に、首部12をアダプター30で支持するための孔である。なお、この「首部12を通した状態」とは、首部を孔に入れた状態が孔を貫いているような状態を意味し、孔を挿し通すことができることを意味するものではない。
具体的に、首保持用開口部32は、図9に示すように、首部12が一方の主面(段ボール箱側の面)30aから他方の主面(サーバー側の面)30bに貫いた状態となるように形成されると共に、その内径L1が首部12の所定の部分だけを挿通できる寸法とされている。本実施形態の場合、図5〜図9に示すように、首保持用開口部32は円形状に形成され、その内径L1は、図3に示す2つの張出し部18H,18Jの外径W1よりも小さく、張出し部18Hと張出し部18Jとの間の外径W2よりも大きくなっており、これにより、首保持用開口部32の周縁部32aが張出し部18H,18Jから形成された係止手段18に係止される。
なお、首保持用開口部32は、主面の中央部に配置されている。
【0032】
さらに、本実施形態のアダプター30は、首保持用開口部32に首部12を容易かつ確実に係止するため、次のような構成とされている。すなわち、図5〜図9に示すように、互いに厚み方向に貫通した空間が繋がるようにして、首保持用開口部32の隣に首部12の最大径を通せる挿入孔36が形成されている。なお、ここにいう「首部12の最大径」とは、首部12の係止手段18(本実施形態の場合、張出し部18H,18J)より先端側の最大の外径をいい、挿入孔36は当該最大の外径に比べて大きな内径L2を有し、これにより首部12を容易に挿入できる。そして、挿入孔36は、挿入した首部12を挿入孔36から抜かずに、そのまま首保持用開口部32が受け容れることができるように、首保持用開口部32に連続して設けられている。また、本実施形態の場合、挿入孔36は後述する窪み部34の傾斜面34aに形成され、首保持用開口部32と合わせて平面視がほぼ瓢箪乃至は鍵穴型とされている。
【0033】
このような首保持用開口部32を有するアダプター30は、段ボール箱20に比べて剛性が大きく作られており、例えば厚手のプラスチック板で形成されている。すなわち、アダプター30は、首保持用開口部32と首部12とを係止した状態で、首部12をサーバーに差し込む際に生じる外力によって変形しない強度を有している。
【0034】
さらに、アダプター30は、図5〜図9に示すように、首部12がサーバーの供給口に差し込まれた状態において、首保持用開口部32に向かって下るように窪んだ窪み部34を有している。この窪み部34は、飲料を最後までサーバーに供給するための部分である。特に、段ボール箱20のアダプター30に接触する面29は略平坦であり、かつ、収容された容器本体10も変形自在で略平坦になるため、飲料が最後まで首部12にまわらない恐れがあるために形成された部分である。
そして、この窪み部34に対応して、段ボール箱20の貫通孔22が形成されている。すなわち、段ボール箱の貫通孔22は、首部12をサーバーの供給口に差し込んだ際、変形自在な容器本体10が貫通孔22から垂れ下がって、窪み部34に接触するような大きさを有している。これにより始めて最後まで飲料を供給でき、ウォーターサーバー用カートリッジ1は既存のサーバーに対して実用化できる。
なお、段ボール箱の貫通孔22について言えば、その面積は、首部12を首保持用開口部32に係止させる作業上、貫通孔22の上に首保持用開口部32及び挿入孔36を配置した状態(つまり図8の状態)で、少なくとも首保持用開口部32及び挿入孔36から貫通孔22全体が視認できない程度に大きく形成する必要がある。さらに、貫通孔22は窪み部34と同等あるいはそれ以上の大きさに形成されるのがより好ましく、本実施形態の場合、窪み部34と同様の大きさとされている。
【0035】
また、本実施形態の窪み部34は、飲料が円滑に首部12に流れるようにするため、首保持用開口部32に向かうに従って傾斜する凹部とされているが、本発明の窪み部34はこれに限られず、例えば、その傾斜面34aの途中に段部があっても構わない。
また、図7に示されるように、窪み部34の底部は略平坦となり、この底部が首保持用開口部32の周縁32aとなっている。
また、窪み部34の深さD1は、図4に示す段ボール箱の貫通孔が設けられた面29から突出した首部12の係止手段18まで高さと同様であることが好ましい。
【0036】
このようなアダプター30にはさらに工夫が施されている。すなわち、アダプター30は、図9に示すように、首部12と首保持用開口部32とが係止した状態において、首保持用開口部32の周辺に、首部12の先端側(図9の下側)に突出した突出部40を有する。本実施形態の突出部40は、図6・8に示すように、首保持用開口部32が挿入孔36から首部12を受け容れ可能とされるように、挿入孔36側を除いて(つまり、首部12の係止手段18より先端側の最大径に比べて、大きな幅W6を有する切り欠きを形成するようにして)、首部側面12aの周りに形成されている。これにより、首部12がサーバー等に衝突して、特に脆弱な係止手段18や薄手の容器本体10が破損することを防止できる。さらに、首部12を挿入孔36から首保持用開口部32に移す際に、突出部40を手掛かりにして容易に移すことができる。
【0037】
また、突出部40は、図9に示すように、首部12が供給口本体6aに導かれるように、サーバー3の有底の穴6bの内径L3に対応した外径W3を有する。すなわち、サーバー3は供給口6を保護するため、有底の穴6bの中に首部12と接続される供給口本体6aを有し、突出部40の外径W3寸法は、この有底の穴6bの内径L3よりも僅かに小さくされ、これにより首部12が供給口本体6aにガイドされる。
なお、首部12の厚み寸法を大きくし、或いは首部12に別部材を接続して、首部12自体の外径を突出部40と同様に大きくすることで、首部12に突出部40のガイド機能を持たせることもできるが、出来るだけ首部12を小さく形成することで、容器2のコストを下げることができる。
【0038】
本発明の第1の実施形態に係る容器のサーバーへの取付け構造ないしウォーターサーバー用カートリッジ1は以上のように構成されており、容器本体10は変形自在な柔軟性があるため、熱水を充填しても、有害物質の発生が抑えられる材質を選択できる。また、容器本体10は変形自在であっても段ボール箱20に収容されて支持される。ここで、段ボール箱20の貫通孔22から露出した首部12は硬質であるため、サーバーの供給口に差し込めるが、首部12と接続されている容器本体10は柔軟で、段ボール箱20にも強度がないため、その差し込みの際、首部12は容器本体10側に引っ込む恐れがある。しかし、本発明の場合、首部12は首保持用開口部32でアダプター30に保持されているため、首部12は動かない。そして、アダプター30は窪み部34を有し、また、段ボール箱の貫通孔22の方も容器本体10が窪み部34に接触するように形成されている。これにより、飲料を首保持用開口部32に係止した首部12に集めて、飲料を残さずにサーバー側に供給でき、実用可能な容器のサーバーの取付け構造を形成できる。
【0039】
図10は本発明の第1の実施形態に係るアダプターの変形例であって、図10(a)は第1の変形例、図10(b)は第2の変形例である。
図10において、図1ないし図9と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本アダプターの変形例が上述した第1の実施形態のアダプターと異なるのは、突出部の構成のみである。
【0040】
すなわち、図10の突出部40−1,40−2には、使用者の指FGが挿入可能な切り欠き部42が少なくとも2つ形成されている。
具体的に、図10(a)の突出部40−1は、首保持用開口部32と挿入孔36とが並ぶ方向Xに切り欠き部42a,42bを有しており、2つの切り欠き部42a,42bの内、挿入孔36側の切り欠き部42aは、上述したように、首保持用開口部32が挿入孔36から首部12を受け容れ可能とするための構成も兼ね備えている。これにより、図10(a)の場合、首部12を首保持用開口部32に入れ易く、さらに、首部12を首保持用開口部32側の切り欠き部42bから指FGを挿し入れて首部12を押し、首部12を首保持用開口部32から取り外すことができる。
【0041】
また、図10(b)の突出部40−2は、首保持用開口部32と挿入孔36とが並ぶ方向Xと直交する方向Yであって、切り欠き部42aに臨むように開口する切り欠き部42c,42dを有しており、これにより、首部12を指FGで摘んで、首保持用開口部32から取り外すことができる。
なお、首部12は滑り易く、また、突出部の強度を考慮すれば、図10(a)に示す切り欠き部42a,42bを有する突出部40−1を採用することが好ましい。
【0042】
図11及び図12は図10の突出部の変形例であり、図11はアダプターの突出部周辺の斜視図、図12は図11のD−D線切断断面図である。
図11及び図12において、図1ないし図10と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
これらの図の突出部40−3は、上述した図10の突出部と異なり、使用者の指FGを挿入するための構成が切り欠き部及び孔とされている。
すなわち、突出部40−3には、首保持用開口部32と挿入孔36とが並ぶ方向Xに、切り欠き部42aと孔44が形成されている。切り欠き部42aは図10と同様、首保持用開口部32と挿入孔36との間で、首部12を移動できるようにするための構成である。そして、孔44は突出部40−3の切り欠き部42aと反対側に形成され、さらに、突出部40−3の突出方向Zの少なくとも上側ではない領域(本実施形態では中央部を含んだ下側)に形成されている。
【0043】
これにより、首部12は首保持開口部32との係止状態を容易に解除できる。すなわち、図10(a)に示すように切り欠き42bが上側にあると、首部12を図12の鎖線の矢印方向K1に向かって指FGで押してしまい、首部12は首保持用開口部32の周縁に当って、上記係止状態が解除し難くなる。そこで、挿入孔36側の切り欠き42aと反対側であって、かつ、上側でない領域に孔44を形成することで、この孔44に指FGを挿通して、首部12を水平方向K2に押すことができる。
【0044】
図13ないし図15は本発明の第2の実施形態に係る容器のサーバーへの取付け構造ないしウォーターサーバー用カートリッジであって、図13はウォーターサーバー用カートリッジを組立てる様子を示した図、図14は組立てたウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取付ける様子を示す図、図15(a)は図14のF−F線部分切断断面図、図15(b)は図14のE−E線部分切断断面図である。
これらの図において、図1ないし図12と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第2の実施形態が上述した第1の実施形態と異なるのは、アダプターの構成のみである。
【0045】
すなわち、図13に示すように、ウォーターサーバー用カートリッジ50は、段ボール箱20の貫通孔22が設けられた面29を平面とした場合において、アダプター30が、段ボール箱20の側面を押さえる壁部46を有して、段ボール箱20を収容するようにしている。これにより、図14に示すように、アダプター30をサーバー3に載置する際、段ボール箱20とアダプター30との間の位置ずれを防止できる。
【0046】
また、図13・14の壁部46は、段ボール箱20の側面を囲むようにはしておらず、首保持用開口部32から挿入孔36側に向かって延びる方向に開放された開放口48を有している。すなわち、開放口48は、首保持用開口部32と挿入孔36とを結ぶ仮想線P1と直交する方向Q1について、段ボール箱20の最大幅W4以上の幅寸法W5を有している。本実施形態の場合、段ボール箱20の8面体からなる側面20A〜20D,21A〜21Dのうち、3面20A,21A,21Dに対向する壁部を作らないようにして、開放口48は形成されている。これにより、図13に示すように、首部12をアダプター30の挿入孔36に差し入れた後、アダプター30をスライドさせながら、首部12を首保持用開口部32に容易に移して、首部12と首保持用開口部32とを係止できる。
【0047】
そして、本実施形態の壁部46の内側には凸部52が設けられると共に、段ボール箱には凸部52と係合されるように形成されたミシン目或いは穴54が設けられている。本実施形態の段ボール箱20には、埃等を考慮して、ミシン目が採用されている(以下、ミシン目或いは穴54を単に「ミシン目54」という)。これにより、アダプター30が段ボール箱20を収容すると、図15に示すように、凸部52が段ボール箱のミシン目54の部分を凹ませて、段ボール箱20とアダプター30とが係合される。
【0048】
具体的には、凸部52及びミシン目54には、それぞれ2種類の凸部52a,52b及びミシン目54a,54bを有している。
先ず、アダプター30は、首保持用開口部32と挿入孔36とを結ぶ仮想線P1に沿った壁部に設けられた凸部52aを有し、段ボール箱20は、仮想線P1に沿った側面に設けられたミシン目54aを有している。これにより、図15(b)のように凸部52aとミシン目54aの部分とが係合して、壁部46に開放口48があっても、アダプター30が、首保持用開口部と挿入孔とを結ぶ仮想線P1に沿った方向(即ちアダプター30をスライドさせる方向)に動くことを規制し、首部12が挿入孔36側に抜けてしまうことを有効に防止できる。なお、本実施形態の場合、凸部52aは半球状に突出し、ミシン目54aは凸部52aの半球状の直径よりも僅かに大きな直径を有する円形状のミシン目とされている。
【0049】
次に、アダプター30は、首保持用開口部32と挿入孔36とを結ぶ仮想線P1と直交する線Q1に沿った壁部に設けられた凸部52bを有し、段ボール箱20は、当該線Q1に沿った側面に設けられたミシン目54bを有している。そして、このアダプター30側の凸部52bは、貫通孔22が設けられた面29を下側に向けた状態において、図15(a)に示すように、凸部52bの下側52b−1が水平面とされ、上側52b−2が曲面とされている。また、段ボール箱20側のミシン目54bは、この凸部52bの形状に対応しており、図13の場合、半円形状のミシン目とされている。これにより、図14に示すように、貫通孔22が設けられた面29を下側にして、この貫通孔22から露出した首部12をサーバー3に接続する際、アダプター30が抜けてしまう恐れを有効に防止できる。
【0050】
さらに、本第2の実施形態に係るアダプター30の壁部46は、段ボール箱20の側面に両手を添えることができる高さに形成されている。これにより、図13のようにウォーターサーバー用カートリッジ50を組み立てた状態から、図14の一点鎖線のように、ウォーターサーバー用カートリッジ50を180度回転させてサーバー3に載置しようとする際、重たい容器本体が収容された段ボール箱20の方を手FGで持ち上げることができる。したがって、首保持用開口部32に係止された首部12に強い応力がかかることを防止できる。
【0051】
なお、壁部46の内側に設けられた凸部52は上述した実施形態に限られず、例えば、図16に示す形態とするのがより好ましい。すなわち、図16(a)は、図13に示す仮想線P1と直交する線Q1に沿った壁部に設けられた凸部52bの変形例であり、図16(b)は、図13に示す仮想線P1に沿った壁部に設けられた凸部52aの変形例である。これらの図のように、全体が球面状とされている凸部について、90度の整数倍の角度(アダプターが段ボール箱の表面をスライドする方向)付近の領域53を残すようにして、その他の領域を切り欠くことで、アダプターをスライドさせ易くしながらも、アダプターと段ボール箱との係合状態を確実なものし、かつ、アダプターを軽量化できる。
【0052】
図17ないし図19は本発明の第3の実施形態に係る容器のサーバーへの取付け構造ないしウォーターサーバー用カートリッジであって、図17はそのアダプターの斜視図、図18はウォーターサーバー用カートリッジの概略縦断面図、図19はウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図である。なお、図18・19は、煩雑さを避けるため首部12を簡略して作図している。
これらの図において、図1ないし図18と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第3の実施形態が上述した第1及び第2の実施形態と異なるのは、アダプターの壁部及び段ボール箱の側面の構成のみである。
【0053】
すなわち、本第3の実施形態のアダプターに係る壁部46は、段ボール箱20の側面の略全領域を囲む枠状とされている。すなわち、図19に示すように、アダプター30が段ボール箱20を収容した状態において、これをサーバー3上に斜め載置した際、段ボール箱20がアダプター30から離れないように壁部46が長く形成されており、これにより、非力な者であってもウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに容易に取付けることができる。なお、本実施形態の壁部46は、図4に示す段ボール箱の全側面20A〜20D,21A〜21Dに対向する8面体とされている。また、壁部46は、図18に示すように、段ボール箱20の側面の高さH1以上の高さH2を有しているが、壁部46の高さはこれに限らず、段ボール箱20を収容したアダプター30をサーバーに斜めに仮置きする際、段ボール箱20が落ちなければ、段ボール箱20の側面の高さH1より低くても構わない。
【0054】
ここで、壁部46及び段ボール箱20は、アダプター30が段ボール箱20を収容した状態において、図17及び図18に示すように、少なくとも使用者の指FGが壁部46及び段ボール箱20を連続して通り抜けるようにした突抜け孔55を有している。すなわち、アダプター30の壁部46の貫通孔55aと、段ボール箱20の側面の貫通孔55bとが同様の位置に隣合せに設けられている。また、本実施形態の場合、突抜け孔55は、首保持用開口部32を下向きにした状態において、垂直方向に沿って長い孔とされている。これにより、首部12を上向きにして、容器10と段ボール箱20とアダプター30とを組み合わせてウォーターサーバー用カートリッジを完成させた後、図14のように首部12を下向きにしてサーバーの供給口に差し込むまでの動作を、突抜け孔55に指FGを入れてアダプター30及び段ボール箱20の双方を同時に持って行なうことができ、アダプター30と段ボール箱20との位置ずれを最も有効に防止でき、さらに、首部12に強い応力が生じることも防止できる。特に、段ボール箱20の表面は滑り易いため、このようにアダプター30と段ボール箱20の双方を把持できる構成は、その意義が大きい。
【0055】
なお、突抜け孔55は、両手でウォーターサーバー用カートリッジを持ち上げることができるように、互いに所定の間隔を開けて2箇所だけ形成してもよいが、本実施形態の場合、首保持用開口部32を下向きにした状態において、壁部46及び段ボール箱20の下側に、水平方向に沿って長く形成された孔も設けられている。この下側の突抜け孔58については、そこに指を入れてウォーターサーバー用カートリッジを持ち上げることも勿論可能であるが、主な目的は飲料の残量を確認することにある。すなわち、図18に示すように、アダプターの壁部46側に設けられた貫通孔58aと段ボール箱20の側面側に設けられた貫通孔58bとは同様の位置に隣合せに形成されているため、透明或いは半透明な容器本体10内の飲料Mを、図18の左側に示すように目EYで確認できる。特に、本実施形態では、図18に示すように段ボール箱20の上面27には既に説明した覗き孔27aも設けられており、この覗き孔27aは飲料の残量確認だけではなく採光のための窓ともされ、これにより突抜け孔58で目視し易くなる。この突抜け孔58はその数が多く寸法が大きい程、視認する上では好ましいが、段ボール箱の強度上、その数や大きさは制限せざるを得ず、このため段ボール20内が暗くてその内側が視認し難い場合がある。それでも、突抜け孔58は指を挿通できる大きさであるため、図18の右側に示すように、突抜け孔58に指FGを入れて容器本体10を揺らすことで、触手で飲料の有無を感じることができる。
【0056】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用できる。
例えば、容器のサーバーへの取付け構造は、容器をサーバーに取付けるまでの構造であって例えば、上記第3の実施形態のように、段ボール箱20がなくてもアダプター50の壁部46で容器本体10を支持できる場合は、ウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取付けた後、図21に示すように、段ボール箱20を引き抜いても構わない。すなわち、図20のように、段ボール箱20の貫通孔22を縁付近まで大きく形成しても、貫通孔22を上向きにしたままアダプター30を接続して、ウォーターサーバー用カートリッジを組み立てることができるし、それをアダプター30の存在によりサーバーに載置することもできる。そして、これにより容器本体10内の飲料を視認し易くできる。
【0057】
また、ウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取り付けた後において、第1の実施形態のみについて蓋体4を被せる例を示したが、第2及び第3の実施形態の場合も、同様に蓋体を被せても勿論よい。特に、第2の実施形態の場合、図14に示すように、高さ方向について、アダプター30から段ボール箱20が飛び出しているため、この飛び出した部分を蓋体で覆うことの意義は大きい。
【0058】
また、例えば、首部をアダプターで保持するための構造も、上述した実施形態に限られず。例えば、容器の首部には雄ねじ状部が形成され、この雄ネジ状の部分がアダプターの首保持用開口部に挿通されるようになっており、そして、挿通した雄ネジ状の部分に雌ねじがねじ込まれることで、首部が首保持用開口部に係止されるようになっていてもよい。
また、アダプターの挿入孔についても、例えば図13に示される挿入孔36がアダプター30の開放口48に達するように長く形成されて、アダプターの縁から首保持用開口部までスリット状の孔となるように形成されてもよい。
また、段ボール箱の側面は8面体から形成されているが、4面体或いはその他の形状であっても勿論構わない。
【符号の説明】
【0059】
1・・・ウォーターサーバー用カートリッジ、2・・・容器、3・・・ウォーターサーバー、6・・・供給口、10・・・容器本体、12・・・首部、20・・・段ボール箱、22・・・貫通孔、30・・・アダプター、32・・・首保持用開口部、34・・・窪み部、40・・・突出部、46・・・壁部、M・・・飲料
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱水を充填可能な容器本体部を備える飲料容器のウォーターサーバーへの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料水等の飲料が充填されたガロンボトルと呼ばれる硬質の樹脂成型容器を使用者に配送して、使用者側でこの硬質の樹脂成型容器をウォーターサーバーの上に載せて連結し、そしてウォーターサーバーの注ぎ口から飲料を出す方式がある(特許文献1を参照)。
また、飲料が充填された柔軟性を有する樹脂フィルム容器を段ボール箱に収容して使用者に配送し、使用者がその容器の注ぎ口のみを段ボール箱から外部に露出させて、ウォーターサーバーに連結せずに、その注ぎ口から直接飲料を出すバックインボックス方式もある(特許文献2と特許文献3を参照)。
ところで、このような容器に飲料を充填する際には、衛生面の観点から70℃以上の熱水を充填する加温充填を行うことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3―64207号公報
【特許文献2】特許第3245031号公報
【特許文献3】特開平11―49232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のガロンボトルと呼ばれる硬質の樹脂成型容器は、ポリカーボネート樹脂により形成されているために、上述した70℃以上の熱水を充填する加温充填を行なうと熱により有害物質が溶出する恐れがある。従って、加温充填しても有害物質が溶出するのを防止するために、ポリエチレンテレフタレート等のペットボトル素材から成る容器を採用することも考えられる。
しかし、ペットボトル素材によりガロンボトルのような大きな容器を作ると、容器に必要な強度が得られない。このため、その容器をウォーターサーバーに取り付けられなくなり、使用者が従来から使用しているウォーターサーバーが利用できなくなってしまう。
【0005】
なお、上述のように、従来、柔軟性を有する容器を段ボール箱に収容するバックインボックス方式もある。この方式であれば、容器は段ボール箱に収容されているので、ペットボトル素材からなる柔軟な容器であっても、その形は維持できる。そこで、発明者は、段ボール箱から容器の首部だけを外部に露出させ、その首部を既に使用者が利用されているガロンボトルタイプのウォーターサーバーに差し込む方法も考えた。しかし、首部をウォーターサーバーに差し込む際に段ボール箱が凹んでしまい、やはり容器をウォーターサーバーに取り付けることは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題を解消するためのもので、加熱した飲料を充填した際に、有害物質の溶出を抑えられる柔軟な容器を用いたとしても、従来からあるウォーターサーバーを利用することができる容器のウォーターサーバーへの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1の発明によれば、変形自在な柔軟性のある容器本体を有すると共に、前記容器本体に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバーの供給口に差し込まれる首部を有する容器と、前記容器を収容し、少なくとも使用時に前記首部を外部に露出させる貫通孔を有する段ボール箱と、を備え、前記段ボール箱に比べて大きな剛性を有すると共に、前記首部を通した状態で係止する首保持用開口部を有するようにして、前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面に配置されるアダプターが用意され、前記アダプターは、前記首部が前記供給口に差し込まれた状態において、前記首保持用開口部に向かって下る窪み部を有し、前記貫通孔は、前記段ボール箱に収容された前記容器本体が前記窪み部に接触するように形成されている容器のウォーターサーバーへの取付け構造により達成される。
【0008】
請求項1の発明の構成によれば、熱水を充填しても有害物質の発生が抑えられる材質が選択されて、柔軟性のある容器本体となる。そして、その容器本体は柔軟性があっても、段ボール箱に収容されて支持される。また、この段ボール箱は少なくとも使用時に首部を外部に露出させる貫通孔を有しており、また、首部は容器本体に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバーの供給口に差し込まれるようになっている。
そうすると、段ボール箱で支持された容器本体とつながっている首部を貫通孔から露出でき、そして、露出した首部を従来から使用者が利用しているウォーターサーバーに差し込むことができるのであれば、とりあえずは使用可能となる。この点、本発明の場合、段ボール箱に比べて大きな剛性を有するアダプターの首保持用開口部に首部を入れて、首保持用開口部と首部とを係止させて首部を保持できる。そして、この首部を保持した状態であれば、段ボール箱の強度が弱くても、首部が容器本体側に引っ込むことを防止しながら、首部をウォーターサーバーの供給口に確実に差し込める。
さらに、このアダプターは、首部が供給口に差し込まれた状態において、首保持用開口部に向かって下る窪み部を有しており、また、ダンボール箱の貫通孔は、容器本体が貫通孔を通して窪み部に接触できるような大きさに形成されている。したがって、窪み部は容器本体内の飲料を首保持用開口部に係止されている首部に集め、飲料を残さずにウォーターサーバー側に供給でき、これにより、ウォーターサーバーは有効に実用可能となる。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面を平面とした場合において、前記アダプターは、前記段ボール箱の側面を押さえる壁部を有して、前記段ボール箱を収容するようにしていることを特徴とする。これにより、段ボール箱とアダプターとの間の位置ずれを防止し、例えば首部と首保持用開口部との係止が解除されてしまう事態を防止する。
【0010】
請求項3の発明によれば、請求項2の構成において、前記壁部は、前記側面に両手を添えることができる高さに形成されていることを特徴とする。これにより、重たい容器本体が収容された段ボール箱の方を手で持ち上げて、ウォーターサーバーに載置できるため、首保持用開口部に係止された首部に強い応力がかかることを防止できる。
【0011】
請求項4の発明によれば、請求項2の構成において、前記壁部は前記側面の略全領域を囲む枠状とされていることを特徴とする。これにより、段ボール箱とアダプターとの間の位置ずれを有効に防止できる。特に、非力な者がこれをウォーターサーバー上に斜めに仮置きした場合であっても、確実に段ボール箱をアダプターに収容できることから、安定した取扱いが可能となる。
【0012】
請求項5の発明によれば、請求項4の構成において、前記壁部及び前記段ボール箱は、前記アダプターが前記段ボール箱を収容した状態において、少なくとも使用者の指が前記壁部及び前記段ボール箱を連続して通り抜けるようにした突抜け孔を有することを特徴とする。これにより、突抜け孔に指を入れて、アダプター及び段ボール箱の双方を同時に持って、段ボール箱及びアダプターをウォーターサーバー上に載置できる。このため、請求項4の構成から生じる作用効果を発揮し、さらに、首保持用開口部に係止された首部に強い応力が生じることを防止できる。しかも、この突抜け孔から容器本体を視認して、飲料の残量をチェックできる。また、段ボール箱内が暗くて、飲料の残量を視認できなくても、突抜け孔に指を差し入れて飲料の有無を触手で確認できる。
【0013】
請求項6の発明によれば、請求項2または3の構成において、前記首部の側面部には、前記首保持用開口部の周縁と係止される溝部及び/又は張出し部を有しており、前記アダプターは、前記首部の最大径を通せる孔であって、この孔に通された前記首部を前記首保持用開口部に移動可能なように、前記首保持用開口部に連続して設けられた挿入孔を有し、前記壁部は、前記首保持用開口部から前記挿入孔側に向かって延びる方向に開放された開放口を有していることを特徴とする。これにより、首部をアダプターの挿入孔に差し入れた後、アダプターをスライドさせながら、首部を首保持用開口部に移動させれば、容易に首部と首保持用開口部とを係止できる。
【0014】
請求項7の発明によれば、請求項2ないし6のいずれかの構成において、前記壁部の内側には凸部が設けられており、前記段ボール箱は、前記凸部と係合するように形成されたミシン目或いは穴が設けられていることを特徴とする。これにより、段ボール箱とアダプターとの接続状態が強くなって、両者の位置ずれを有効に防止できる。
【0015】
請求項8の発明によれば、請求項1ないし7のいずれかの構成において、前記アダプターは、前記首部と前記首保持用開口部とが係止した状態において、前記首保持用開口部の周辺に、前記首部の先端側に突出した突出部を有することを特徴とする。これにより、首部にウォーターサーバーの角等が衝突するなどの事態を防止し、首部は保護される。また、首部をアダプターの挿入孔に差し入れた後、挿入孔に連続して設けられた首保持用開口部に移動して、首部の溝部等と首保持用開口部の周縁とを係止させる場合においては、突出部を指がかりとしながら、容易に首部を首保持用開口部に差し替えできる。
【0016】
請求項9の発明によれば、請求項8の構成において、前記ウォーターサーバーの供給口は、有底の穴の中に前記首部と接続される供給口本体が設けられており、前記突出部は、前記首部が前記供給口本体に導かれるように、前記ウォーターサーバーの前記有底の穴の内径に対応した外径を有することを特徴とする。これにより、突出部がガイドとなって、容易に首部をウォーターサーバーの供給口に差し込める。
【0017】
請求項10の発明によれば、請求項8または9の構成において、前記突出部には、使用者の指が挿入可能な切り欠き部及び/又は孔が少なくとも2つ形成されていることを特徴とする。これにより、首部周辺に突出部があっても、切り欠き部及び/又は孔から指を入れて首部を摘んだり押したりして、首部と首保持用開口部との係止状態を容易に解除できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、有害物質の溶出を抑えられる容器を用いて加熱した飲料を充填することが可能であり、かつ、従来から使用者が利用しているウォーターサーバーをそのまま使用できる容器のウォーターサーバーへの取付け構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに接続した状態の斜視図。
【図2】第1の実施形態に係る容器の斜視図。
【図3】図2のA−A線部分切断断面図。
【図4】第1の実施形態に係る段ボール箱の斜視図。
【図5】第1の実施形態に係るアダプターであって、段ボール箱との接触面側から視認した斜視図。
【図6】第1の実施形態に係るアダプターであって、ウォーターサーバーとの接触面側から視認した斜視図。
【図7】図5のB−B線切断断面図。
【図8】アダプターと容器と段ボール箱とを組み合わせて、第1の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジを完成させた斜視図。
【図9】第1の実施形態のウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図であって、図8のC−C線の切断面に対応した図。
【図10】第1の実施形態に係るアダプターの変形例であって、図10(a)は第1変形例、図10(b)は第2変形例。
【図11】図10の突出部の変形例。
【図12】図11のD−D線切断断面図。
【図13】本発明の第2の実施形態であって、ウォーターサーバー用カートリッジを組立てる様子を示した図。
【図14】第2の実施形態の組立てたウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図。
【図15】図15(a)は図14のF−F線部分切断断面図、図15(b)は図14のE−E線部分切断断面図。
【図16】アダプターの内側に設けられた凸部の変形例であって、図16(a)は第1の変形例、図16(b)は第2の変形例。
【図17】本発明の第3の実施形態であって、アダプターの斜視図。
【図18】第3の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジの概略縦断面図。
【図19】第3の実施形態のウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図。
【図20】第3の実施形態の段ボール箱の変形例。
【図21】第3の実施形態のウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取り付けた後の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るウォーターサーバー用カートリッジ1を、従来から存在するガロンボトルが着脱可能なウォーターサーバー3に接続した状態の斜視図である。この図に示すように、従来のウォーターサーバー(以下、単に「サーバー」という)3は上向きに供給口6が配置され、この供給口6に容器2の図示しない首部を接続し、注ぎ口7から飲料を出して使用される。
そして、ウォーターサーバー用カートリッジ1は、飲料用の容器2と、容器2を収容する段ボール箱20と、アダプター30とを組み合わせて形成され、この組合せによりサーバー3に容器2を接続できる構造とされる。
以下、容器2、段ボール箱20、アダプター30について詳細に説明する。
【0021】
先ず、容器2について上記図1を参照しながら、主に図2及び図3を用いて説明する。
図2及び図3は、ウォーターサーバー用カートリッジないし容器のサーバーへの取付け構造を構成する部品である容器2であって、図2は容器2の斜視図、図3は図2のA−A線切断断面図である。
容器2は、飲料を収容するための容器本体10と、サーバーの供給口6(図1参照)に差し込まれる首部12とを有している。
容器2の容器本体10は、70℃以上の熱水を充填する加温充填を行なっても有害物質が溶出しないような材質、すなわち変形自在な柔軟性を有する材料、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の素材による薄い樹脂フィルムにより作られている。
この容器本体10は、好ましくは、容器2内に充填される飲料水のような液体の飲料Mを目視で確認できるように、透明材料あるいは半透明材料で作られている。
【0022】
首部12は、サーバーの供給口に差し込まれて、容器本体10内の飲料を当該供給口に導く通路であり、全体が略筒状となって容器本体10から突出している。そして、首部12は、容器本体10に比べて硬質となるように、容器本体10に比べて厚肉に形成されており、本実施形態の場合、容器本体10と同じ材料で形成され、その根元にフィルム状の容器本体10が溶着されている。
【0023】
また、首部12は、その先端側に第1のキャップ14と第2のキャップ16を有しており、第1のキャップ14の先端中央部には、中栓部15が配置されている。この中栓部15は、サーバーの供給口側の突起を押し当てることにより容器本体部10側へ押出され、供給口側の突起に設けられた開口6c(図9参照)を通じて容器本体10の飲料Mをサーバー側に供給できるようになる。また、配送時などに中栓部15にゴミが付着しないように、中栓部15を覆い隠すキャップとして第2のキャップ16があり、第2のキャップ16は首部12をサーバーの供給口に差し込む際に取り外される。
【0024】
そして、首部12の側面部の周囲には、鍔状の張出し部18H,18Jが互いに間隔を開けて設けられており、この2つの張出し部18H,18Jは、その間にアダプター30の後述する首保持用開口部32の周縁部(図5参照)が配置されて、当該周縁部と係止される係止手段18となる。なお、係止手段18は、図3の一点鎖線で囲った首部の変形例に示すようにリング状の溝部18Aとし、この溝部18Aの内壁に首保持用開口部の周縁部を係止される構成としてもよい。
【0025】
次に、段ボール箱20について、上記図1ないし図3を参照しながら、主に図4を用いて説明する。
図4は、ウォーターサーバー用カートリッジ1ないし容器のサーバーへの取付け構造を構成する部品である段ボール箱20の斜視図である。なお、図4の段ボール箱20は容器2が収容されている図であるが、煩雑さを避けるため首部12は簡略して作図してある。
この段ボール箱20は、飲料用の容器を収容するための箱で、工場等から使用者に配送する際に用いられる梱包箱である。なお、段ボール箱20は、段ボールシートを用いて組み立てられた箱とされているが、本発明はこれに限らず、容器2を支持できるように配送可能であれば、その他の紙製の梱包箱であっても構わない。また、箱の内面にポリエチレン等の合成樹脂で作った防水シートが貼付されていてもよい。
【0026】
本実施形態の場合、段ボール箱20は矩形状ではなく、図1に示すようにサーバー3上に配置された際、側面の剛性を高めることができるように、側面が8面体となるように形成されている。具体的には、段ボール箱20の側面は各面が四角形状とされ、主面となる4面20A,20B,20C,20Dと、これら主面よりも小さな面積を有し、角部を面取りしたような角面21A,21B,21C,21Dとからなっている。そして、互いに対向する主面20B,20Dには、段ボール箱20を持つための把持部24が形成されている。この把持部24は、その長手方向が主面の略対角線LB上に位置しており、これにより、後述する貫通孔22が下向きにされた際、前腕を水平線から略45度の角度にして、段ボール箱20を持ち上げることができるため、持ち上げ易い。
【0027】
このような段ボール箱20は、図1に示すようにサーバー3に載置した際に、サーバーに対向する面29について、少なくとも使用時において、容器2の首部12を外部に露出させる貫通孔22を有している。すなわち、図4の段ボール箱20は、配送時の衛生面を考慮して、アダプター30と接続する際に、使用者がミシン目に沿って段ボール箱の一部24を切り取ることで貫通孔22が形成されるようになっている。なお、貫通孔22は、配送時の環境に応じて、当初から形成されていてもよい。この貫通孔22については、後でさらに詳細に説明する。
【0028】
また、図4及び図1に示すように、段ボール箱20の貫通孔22が設けられた面29と対面する面27であって、貫通孔22と対面する領域には、少なくとも使用時において、厚み方向に貫通される覗き孔27aが形成されている。本実施形態の場合、ウォーターサーバー用カートリッジ1をサーバー3に取り付けた後、段ボール箱内の容器本体10を覗き見る覗き孔27aが形成できるように、段ボール箱20にはミシン目が形成されている。これにより、使用者は上から覗き込むようにして、特に、最後まで飲料が残る貫通孔辺りの飲料を視認できる。なお、覗き孔27aを設ける場合、図1に示すように、埃等の進入を防止するための透明な蓋体4を段ボール箱20に被せるのが好ましい。
【0029】
次にアダプター30について、上記図1ないし図4を参照しながら、主に図5ないし図9を用いて説明する。
図5ないし図7は、ウォーターサーバー用カートリッジ1ないし容器のサーバーへの取付け構造を構成する部品であるアダプター30であって、図5は段ボール箱との接触面側から視認した斜視図、図6はサーバーとの接触面側から視認した斜視図、図7は図5のB−B線切断断面図である。また、図8はアダプターと容器と段ボール箱とを組み合わせて、ウォーターサーバー用カートリッジを完成させた斜視図であり、図9はそのウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取付ける様子を示す図であって、図8のC−C線の切断面に対応した図である。なお、図8は煩雑さを避けるため首部12は簡略して作図してある。
【0030】
アダプター30は、図9に示すように、段ボール箱20に収容した容器2をサーバー3に取付け可能にするための補助器具であり、図8に示すように、首部12を上向きした状態で段ボール箱20の貫通孔が設けられた面29(図4参照)に配置される。
本実施形態のアダプター30は、図5〜図9に示すように、全体がプレート状とされており、段ボール箱20の貫通孔22が形成された面29の形状に対応させた8角形状とされている。また、アダプター30は、図5・9に示すように、一方の主面30aのうち、後述する首保持用開口部32及び窪み部34を除く殆どの領域が、段ボール箱の面29に接触するようになっている。
なお、アダプター30には段ボール箱20側に突出して段ボール箱20と結合する爪(図示せず)を設けてもよい。例えば、アダプター30の周縁部に爪を設け、これを段ボール箱20の側面20A,20C(図4参照)等に掛けたり、或いは、アダプター30の主面30aであって後述する窪み部34の周辺に爪を設け、これを段ボール箱20の貫通孔22の周縁部に掛けたりして、アダプター30を段ボール箱20に結合してもよい。
【0031】
そして、アダプター30は、図5・9に示すように、首部12を通した状態で係止するための首保持用開口部32を有している。すなわち、首保持用開口部32は、首部12をサーバー3の供給口6に差し込む際に、首部12をアダプター30で支持するための孔である。なお、この「首部12を通した状態」とは、首部を孔に入れた状態が孔を貫いているような状態を意味し、孔を挿し通すことができることを意味するものではない。
具体的に、首保持用開口部32は、図9に示すように、首部12が一方の主面(段ボール箱側の面)30aから他方の主面(サーバー側の面)30bに貫いた状態となるように形成されると共に、その内径L1が首部12の所定の部分だけを挿通できる寸法とされている。本実施形態の場合、図5〜図9に示すように、首保持用開口部32は円形状に形成され、その内径L1は、図3に示す2つの張出し部18H,18Jの外径W1よりも小さく、張出し部18Hと張出し部18Jとの間の外径W2よりも大きくなっており、これにより、首保持用開口部32の周縁部32aが張出し部18H,18Jから形成された係止手段18に係止される。
なお、首保持用開口部32は、主面の中央部に配置されている。
【0032】
さらに、本実施形態のアダプター30は、首保持用開口部32に首部12を容易かつ確実に係止するため、次のような構成とされている。すなわち、図5〜図9に示すように、互いに厚み方向に貫通した空間が繋がるようにして、首保持用開口部32の隣に首部12の最大径を通せる挿入孔36が形成されている。なお、ここにいう「首部12の最大径」とは、首部12の係止手段18(本実施形態の場合、張出し部18H,18J)より先端側の最大の外径をいい、挿入孔36は当該最大の外径に比べて大きな内径L2を有し、これにより首部12を容易に挿入できる。そして、挿入孔36は、挿入した首部12を挿入孔36から抜かずに、そのまま首保持用開口部32が受け容れることができるように、首保持用開口部32に連続して設けられている。また、本実施形態の場合、挿入孔36は後述する窪み部34の傾斜面34aに形成され、首保持用開口部32と合わせて平面視がほぼ瓢箪乃至は鍵穴型とされている。
【0033】
このような首保持用開口部32を有するアダプター30は、段ボール箱20に比べて剛性が大きく作られており、例えば厚手のプラスチック板で形成されている。すなわち、アダプター30は、首保持用開口部32と首部12とを係止した状態で、首部12をサーバーに差し込む際に生じる外力によって変形しない強度を有している。
【0034】
さらに、アダプター30は、図5〜図9に示すように、首部12がサーバーの供給口に差し込まれた状態において、首保持用開口部32に向かって下るように窪んだ窪み部34を有している。この窪み部34は、飲料を最後までサーバーに供給するための部分である。特に、段ボール箱20のアダプター30に接触する面29は略平坦であり、かつ、収容された容器本体10も変形自在で略平坦になるため、飲料が最後まで首部12にまわらない恐れがあるために形成された部分である。
そして、この窪み部34に対応して、段ボール箱20の貫通孔22が形成されている。すなわち、段ボール箱の貫通孔22は、首部12をサーバーの供給口に差し込んだ際、変形自在な容器本体10が貫通孔22から垂れ下がって、窪み部34に接触するような大きさを有している。これにより始めて最後まで飲料を供給でき、ウォーターサーバー用カートリッジ1は既存のサーバーに対して実用化できる。
なお、段ボール箱の貫通孔22について言えば、その面積は、首部12を首保持用開口部32に係止させる作業上、貫通孔22の上に首保持用開口部32及び挿入孔36を配置した状態(つまり図8の状態)で、少なくとも首保持用開口部32及び挿入孔36から貫通孔22全体が視認できない程度に大きく形成する必要がある。さらに、貫通孔22は窪み部34と同等あるいはそれ以上の大きさに形成されるのがより好ましく、本実施形態の場合、窪み部34と同様の大きさとされている。
【0035】
また、本実施形態の窪み部34は、飲料が円滑に首部12に流れるようにするため、首保持用開口部32に向かうに従って傾斜する凹部とされているが、本発明の窪み部34はこれに限られず、例えば、その傾斜面34aの途中に段部があっても構わない。
また、図7に示されるように、窪み部34の底部は略平坦となり、この底部が首保持用開口部32の周縁32aとなっている。
また、窪み部34の深さD1は、図4に示す段ボール箱の貫通孔が設けられた面29から突出した首部12の係止手段18まで高さと同様であることが好ましい。
【0036】
このようなアダプター30にはさらに工夫が施されている。すなわち、アダプター30は、図9に示すように、首部12と首保持用開口部32とが係止した状態において、首保持用開口部32の周辺に、首部12の先端側(図9の下側)に突出した突出部40を有する。本実施形態の突出部40は、図6・8に示すように、首保持用開口部32が挿入孔36から首部12を受け容れ可能とされるように、挿入孔36側を除いて(つまり、首部12の係止手段18より先端側の最大径に比べて、大きな幅W6を有する切り欠きを形成するようにして)、首部側面12aの周りに形成されている。これにより、首部12がサーバー等に衝突して、特に脆弱な係止手段18や薄手の容器本体10が破損することを防止できる。さらに、首部12を挿入孔36から首保持用開口部32に移す際に、突出部40を手掛かりにして容易に移すことができる。
【0037】
また、突出部40は、図9に示すように、首部12が供給口本体6aに導かれるように、サーバー3の有底の穴6bの内径L3に対応した外径W3を有する。すなわち、サーバー3は供給口6を保護するため、有底の穴6bの中に首部12と接続される供給口本体6aを有し、突出部40の外径W3寸法は、この有底の穴6bの内径L3よりも僅かに小さくされ、これにより首部12が供給口本体6aにガイドされる。
なお、首部12の厚み寸法を大きくし、或いは首部12に別部材を接続して、首部12自体の外径を突出部40と同様に大きくすることで、首部12に突出部40のガイド機能を持たせることもできるが、出来るだけ首部12を小さく形成することで、容器2のコストを下げることができる。
【0038】
本発明の第1の実施形態に係る容器のサーバーへの取付け構造ないしウォーターサーバー用カートリッジ1は以上のように構成されており、容器本体10は変形自在な柔軟性があるため、熱水を充填しても、有害物質の発生が抑えられる材質を選択できる。また、容器本体10は変形自在であっても段ボール箱20に収容されて支持される。ここで、段ボール箱20の貫通孔22から露出した首部12は硬質であるため、サーバーの供給口に差し込めるが、首部12と接続されている容器本体10は柔軟で、段ボール箱20にも強度がないため、その差し込みの際、首部12は容器本体10側に引っ込む恐れがある。しかし、本発明の場合、首部12は首保持用開口部32でアダプター30に保持されているため、首部12は動かない。そして、アダプター30は窪み部34を有し、また、段ボール箱の貫通孔22の方も容器本体10が窪み部34に接触するように形成されている。これにより、飲料を首保持用開口部32に係止した首部12に集めて、飲料を残さずにサーバー側に供給でき、実用可能な容器のサーバーの取付け構造を形成できる。
【0039】
図10は本発明の第1の実施形態に係るアダプターの変形例であって、図10(a)は第1の変形例、図10(b)は第2の変形例である。
図10において、図1ないし図9と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本アダプターの変形例が上述した第1の実施形態のアダプターと異なるのは、突出部の構成のみである。
【0040】
すなわち、図10の突出部40−1,40−2には、使用者の指FGが挿入可能な切り欠き部42が少なくとも2つ形成されている。
具体的に、図10(a)の突出部40−1は、首保持用開口部32と挿入孔36とが並ぶ方向Xに切り欠き部42a,42bを有しており、2つの切り欠き部42a,42bの内、挿入孔36側の切り欠き部42aは、上述したように、首保持用開口部32が挿入孔36から首部12を受け容れ可能とするための構成も兼ね備えている。これにより、図10(a)の場合、首部12を首保持用開口部32に入れ易く、さらに、首部12を首保持用開口部32側の切り欠き部42bから指FGを挿し入れて首部12を押し、首部12を首保持用開口部32から取り外すことができる。
【0041】
また、図10(b)の突出部40−2は、首保持用開口部32と挿入孔36とが並ぶ方向Xと直交する方向Yであって、切り欠き部42aに臨むように開口する切り欠き部42c,42dを有しており、これにより、首部12を指FGで摘んで、首保持用開口部32から取り外すことができる。
なお、首部12は滑り易く、また、突出部の強度を考慮すれば、図10(a)に示す切り欠き部42a,42bを有する突出部40−1を採用することが好ましい。
【0042】
図11及び図12は図10の突出部の変形例であり、図11はアダプターの突出部周辺の斜視図、図12は図11のD−D線切断断面図である。
図11及び図12において、図1ないし図10と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
これらの図の突出部40−3は、上述した図10の突出部と異なり、使用者の指FGを挿入するための構成が切り欠き部及び孔とされている。
すなわち、突出部40−3には、首保持用開口部32と挿入孔36とが並ぶ方向Xに、切り欠き部42aと孔44が形成されている。切り欠き部42aは図10と同様、首保持用開口部32と挿入孔36との間で、首部12を移動できるようにするための構成である。そして、孔44は突出部40−3の切り欠き部42aと反対側に形成され、さらに、突出部40−3の突出方向Zの少なくとも上側ではない領域(本実施形態では中央部を含んだ下側)に形成されている。
【0043】
これにより、首部12は首保持開口部32との係止状態を容易に解除できる。すなわち、図10(a)に示すように切り欠き42bが上側にあると、首部12を図12の鎖線の矢印方向K1に向かって指FGで押してしまい、首部12は首保持用開口部32の周縁に当って、上記係止状態が解除し難くなる。そこで、挿入孔36側の切り欠き42aと反対側であって、かつ、上側でない領域に孔44を形成することで、この孔44に指FGを挿通して、首部12を水平方向K2に押すことができる。
【0044】
図13ないし図15は本発明の第2の実施形態に係る容器のサーバーへの取付け構造ないしウォーターサーバー用カートリッジであって、図13はウォーターサーバー用カートリッジを組立てる様子を示した図、図14は組立てたウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取付ける様子を示す図、図15(a)は図14のF−F線部分切断断面図、図15(b)は図14のE−E線部分切断断面図である。
これらの図において、図1ないし図12と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第2の実施形態が上述した第1の実施形態と異なるのは、アダプターの構成のみである。
【0045】
すなわち、図13に示すように、ウォーターサーバー用カートリッジ50は、段ボール箱20の貫通孔22が設けられた面29を平面とした場合において、アダプター30が、段ボール箱20の側面を押さえる壁部46を有して、段ボール箱20を収容するようにしている。これにより、図14に示すように、アダプター30をサーバー3に載置する際、段ボール箱20とアダプター30との間の位置ずれを防止できる。
【0046】
また、図13・14の壁部46は、段ボール箱20の側面を囲むようにはしておらず、首保持用開口部32から挿入孔36側に向かって延びる方向に開放された開放口48を有している。すなわち、開放口48は、首保持用開口部32と挿入孔36とを結ぶ仮想線P1と直交する方向Q1について、段ボール箱20の最大幅W4以上の幅寸法W5を有している。本実施形態の場合、段ボール箱20の8面体からなる側面20A〜20D,21A〜21Dのうち、3面20A,21A,21Dに対向する壁部を作らないようにして、開放口48は形成されている。これにより、図13に示すように、首部12をアダプター30の挿入孔36に差し入れた後、アダプター30をスライドさせながら、首部12を首保持用開口部32に容易に移して、首部12と首保持用開口部32とを係止できる。
【0047】
そして、本実施形態の壁部46の内側には凸部52が設けられると共に、段ボール箱には凸部52と係合されるように形成されたミシン目或いは穴54が設けられている。本実施形態の段ボール箱20には、埃等を考慮して、ミシン目が採用されている(以下、ミシン目或いは穴54を単に「ミシン目54」という)。これにより、アダプター30が段ボール箱20を収容すると、図15に示すように、凸部52が段ボール箱のミシン目54の部分を凹ませて、段ボール箱20とアダプター30とが係合される。
【0048】
具体的には、凸部52及びミシン目54には、それぞれ2種類の凸部52a,52b及びミシン目54a,54bを有している。
先ず、アダプター30は、首保持用開口部32と挿入孔36とを結ぶ仮想線P1に沿った壁部に設けられた凸部52aを有し、段ボール箱20は、仮想線P1に沿った側面に設けられたミシン目54aを有している。これにより、図15(b)のように凸部52aとミシン目54aの部分とが係合して、壁部46に開放口48があっても、アダプター30が、首保持用開口部と挿入孔とを結ぶ仮想線P1に沿った方向(即ちアダプター30をスライドさせる方向)に動くことを規制し、首部12が挿入孔36側に抜けてしまうことを有効に防止できる。なお、本実施形態の場合、凸部52aは半球状に突出し、ミシン目54aは凸部52aの半球状の直径よりも僅かに大きな直径を有する円形状のミシン目とされている。
【0049】
次に、アダプター30は、首保持用開口部32と挿入孔36とを結ぶ仮想線P1と直交する線Q1に沿った壁部に設けられた凸部52bを有し、段ボール箱20は、当該線Q1に沿った側面に設けられたミシン目54bを有している。そして、このアダプター30側の凸部52bは、貫通孔22が設けられた面29を下側に向けた状態において、図15(a)に示すように、凸部52bの下側52b−1が水平面とされ、上側52b−2が曲面とされている。また、段ボール箱20側のミシン目54bは、この凸部52bの形状に対応しており、図13の場合、半円形状のミシン目とされている。これにより、図14に示すように、貫通孔22が設けられた面29を下側にして、この貫通孔22から露出した首部12をサーバー3に接続する際、アダプター30が抜けてしまう恐れを有効に防止できる。
【0050】
さらに、本第2の実施形態に係るアダプター30の壁部46は、段ボール箱20の側面に両手を添えることができる高さに形成されている。これにより、図13のようにウォーターサーバー用カートリッジ50を組み立てた状態から、図14の一点鎖線のように、ウォーターサーバー用カートリッジ50を180度回転させてサーバー3に載置しようとする際、重たい容器本体が収容された段ボール箱20の方を手FGで持ち上げることができる。したがって、首保持用開口部32に係止された首部12に強い応力がかかることを防止できる。
【0051】
なお、壁部46の内側に設けられた凸部52は上述した実施形態に限られず、例えば、図16に示す形態とするのがより好ましい。すなわち、図16(a)は、図13に示す仮想線P1と直交する線Q1に沿った壁部に設けられた凸部52bの変形例であり、図16(b)は、図13に示す仮想線P1に沿った壁部に設けられた凸部52aの変形例である。これらの図のように、全体が球面状とされている凸部について、90度の整数倍の角度(アダプターが段ボール箱の表面をスライドする方向)付近の領域53を残すようにして、その他の領域を切り欠くことで、アダプターをスライドさせ易くしながらも、アダプターと段ボール箱との係合状態を確実なものし、かつ、アダプターを軽量化できる。
【0052】
図17ないし図19は本発明の第3の実施形態に係る容器のサーバーへの取付け構造ないしウォーターサーバー用カートリッジであって、図17はそのアダプターの斜視図、図18はウォーターサーバー用カートリッジの概略縦断面図、図19はウォーターサーバー用カートリッジをウォーターサーバーに取付ける様子を示す図である。なお、図18・19は、煩雑さを避けるため首部12を簡略して作図している。
これらの図において、図1ないし図18と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第3の実施形態が上述した第1及び第2の実施形態と異なるのは、アダプターの壁部及び段ボール箱の側面の構成のみである。
【0053】
すなわち、本第3の実施形態のアダプターに係る壁部46は、段ボール箱20の側面の略全領域を囲む枠状とされている。すなわち、図19に示すように、アダプター30が段ボール箱20を収容した状態において、これをサーバー3上に斜め載置した際、段ボール箱20がアダプター30から離れないように壁部46が長く形成されており、これにより、非力な者であってもウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに容易に取付けることができる。なお、本実施形態の壁部46は、図4に示す段ボール箱の全側面20A〜20D,21A〜21Dに対向する8面体とされている。また、壁部46は、図18に示すように、段ボール箱20の側面の高さH1以上の高さH2を有しているが、壁部46の高さはこれに限らず、段ボール箱20を収容したアダプター30をサーバーに斜めに仮置きする際、段ボール箱20が落ちなければ、段ボール箱20の側面の高さH1より低くても構わない。
【0054】
ここで、壁部46及び段ボール箱20は、アダプター30が段ボール箱20を収容した状態において、図17及び図18に示すように、少なくとも使用者の指FGが壁部46及び段ボール箱20を連続して通り抜けるようにした突抜け孔55を有している。すなわち、アダプター30の壁部46の貫通孔55aと、段ボール箱20の側面の貫通孔55bとが同様の位置に隣合せに設けられている。また、本実施形態の場合、突抜け孔55は、首保持用開口部32を下向きにした状態において、垂直方向に沿って長い孔とされている。これにより、首部12を上向きにして、容器10と段ボール箱20とアダプター30とを組み合わせてウォーターサーバー用カートリッジを完成させた後、図14のように首部12を下向きにしてサーバーの供給口に差し込むまでの動作を、突抜け孔55に指FGを入れてアダプター30及び段ボール箱20の双方を同時に持って行なうことができ、アダプター30と段ボール箱20との位置ずれを最も有効に防止でき、さらに、首部12に強い応力が生じることも防止できる。特に、段ボール箱20の表面は滑り易いため、このようにアダプター30と段ボール箱20の双方を把持できる構成は、その意義が大きい。
【0055】
なお、突抜け孔55は、両手でウォーターサーバー用カートリッジを持ち上げることができるように、互いに所定の間隔を開けて2箇所だけ形成してもよいが、本実施形態の場合、首保持用開口部32を下向きにした状態において、壁部46及び段ボール箱20の下側に、水平方向に沿って長く形成された孔も設けられている。この下側の突抜け孔58については、そこに指を入れてウォーターサーバー用カートリッジを持ち上げることも勿論可能であるが、主な目的は飲料の残量を確認することにある。すなわち、図18に示すように、アダプターの壁部46側に設けられた貫通孔58aと段ボール箱20の側面側に設けられた貫通孔58bとは同様の位置に隣合せに形成されているため、透明或いは半透明な容器本体10内の飲料Mを、図18の左側に示すように目EYで確認できる。特に、本実施形態では、図18に示すように段ボール箱20の上面27には既に説明した覗き孔27aも設けられており、この覗き孔27aは飲料の残量確認だけではなく採光のための窓ともされ、これにより突抜け孔58で目視し易くなる。この突抜け孔58はその数が多く寸法が大きい程、視認する上では好ましいが、段ボール箱の強度上、その数や大きさは制限せざるを得ず、このため段ボール20内が暗くてその内側が視認し難い場合がある。それでも、突抜け孔58は指を挿通できる大きさであるため、図18の右側に示すように、突抜け孔58に指FGを入れて容器本体10を揺らすことで、触手で飲料の有無を感じることができる。
【0056】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用できる。
例えば、容器のサーバーへの取付け構造は、容器をサーバーに取付けるまでの構造であって例えば、上記第3の実施形態のように、段ボール箱20がなくてもアダプター50の壁部46で容器本体10を支持できる場合は、ウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取付けた後、図21に示すように、段ボール箱20を引き抜いても構わない。すなわち、図20のように、段ボール箱20の貫通孔22を縁付近まで大きく形成しても、貫通孔22を上向きにしたままアダプター30を接続して、ウォーターサーバー用カートリッジを組み立てることができるし、それをアダプター30の存在によりサーバーに載置することもできる。そして、これにより容器本体10内の飲料を視認し易くできる。
【0057】
また、ウォーターサーバー用カートリッジをサーバーに取り付けた後において、第1の実施形態のみについて蓋体4を被せる例を示したが、第2及び第3の実施形態の場合も、同様に蓋体を被せても勿論よい。特に、第2の実施形態の場合、図14に示すように、高さ方向について、アダプター30から段ボール箱20が飛び出しているため、この飛び出した部分を蓋体で覆うことの意義は大きい。
【0058】
また、例えば、首部をアダプターで保持するための構造も、上述した実施形態に限られず。例えば、容器の首部には雄ねじ状部が形成され、この雄ネジ状の部分がアダプターの首保持用開口部に挿通されるようになっており、そして、挿通した雄ネジ状の部分に雌ねじがねじ込まれることで、首部が首保持用開口部に係止されるようになっていてもよい。
また、アダプターの挿入孔についても、例えば図13に示される挿入孔36がアダプター30の開放口48に達するように長く形成されて、アダプターの縁から首保持用開口部までスリット状の孔となるように形成されてもよい。
また、段ボール箱の側面は8面体から形成されているが、4面体或いはその他の形状であっても勿論構わない。
【符号の説明】
【0059】
1・・・ウォーターサーバー用カートリッジ、2・・・容器、3・・・ウォーターサーバー、6・・・供給口、10・・・容器本体、12・・・首部、20・・・段ボール箱、22・・・貫通孔、30・・・アダプター、32・・・首保持用開口部、34・・・窪み部、40・・・突出部、46・・・壁部、M・・・飲料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形自在な柔軟性のある容器本体を有すると共に、前記容器本体に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバーの供給口に差し込まれる首部を有する容器と、
前記容器を収容し、少なくとも使用時に前記首部を外部に露出させる貫通孔を有する段ボール箱と、
を備え、
前記段ボール箱に比べて大きな剛性を有すると共に、前記首部を通した状態で係止する首保持用開口部を有するようにして、前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面に配置されるアダプターが用意され、
前記アダプターは、前記首部が前記供給口に差し込まれた状態において、前記首保持用開口部に向かって下る窪み部を有し、
前記貫通孔は、前記段ボール箱に収容された前記容器本体が前記窪み部に接触するように形成されている
ことを特徴とする容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項2】
前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面を平面とした場合において、
前記アダプターは、前記段ボール箱の側面を押さえる壁部を有して、前記段ボール箱を収容するようにしていることを特徴とする請求項1に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項3】
前記壁部は、前記側面に両手を添えることができる高さに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項4】
前記壁部は前記側面の略全領域を囲む枠状とされていることを特徴とする請求項2に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項5】
前記壁部及び前記段ボール箱は、前記アダプターが前記段ボール箱を収容した状態において、少なくとも使用者の指が前記壁部及び前記段ボール箱を連続して通り抜けるようにした突抜け孔を有することを特徴とする請求項4に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項6】
前記首部の側面部には、前記首保持用開口部の周縁と係止される溝部及び/又は張出し部を有しており、
前記アダプターは、前記首部の最大径を通せる孔であって、この孔に通された前記首部を前記首保持用開口部に移動可能なように、前記首保持用開口部に連続して設けられた挿入孔を有し、
前記壁部は、前記首保持用開口部から前記挿入孔側に向かって延びる方向に開放された開放口を有している
ことを特徴とする請求項2または3に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項7】
前記壁部の内側には凸部が設けられており、
前記段ボール箱は、前記凸部と係合するように形成されたミシン目或いは穴が設けられている
ことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項8】
前記アダプターは、前記首部と前記首保持用開口部とが係止した状態において、前記首保持用開口部の周辺に、前記首部の先端側に突出した突出部を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項9】
前記ウォーターサーバーの供給口は、有底の穴の中に前記首部と接続される供給口本体が設けられており、
前記突出部は、前記首部が前記供給口本体に導かれるように、前記ウォーターサーバーの前記有底の穴の内径に対応した外径を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項10】
前記突出部には、使用者の指が挿入可能な切り欠き部及び/又は孔が少なくとも2つ形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項1】
変形自在な柔軟性のある容器本体を有すると共に、前記容器本体に比べて硬質に作られ、ウォーターサーバーの供給口に差し込まれる首部を有する容器と、
前記容器を収容し、少なくとも使用時に前記首部を外部に露出させる貫通孔を有する段ボール箱と、
を備え、
前記段ボール箱に比べて大きな剛性を有すると共に、前記首部を通した状態で係止する首保持用開口部を有するようにして、前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面に配置されるアダプターが用意され、
前記アダプターは、前記首部が前記供給口に差し込まれた状態において、前記首保持用開口部に向かって下る窪み部を有し、
前記貫通孔は、前記段ボール箱に収容された前記容器本体が前記窪み部に接触するように形成されている
ことを特徴とする容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項2】
前記段ボール箱の前記貫通孔が設けられた面を平面とした場合において、
前記アダプターは、前記段ボール箱の側面を押さえる壁部を有して、前記段ボール箱を収容するようにしていることを特徴とする請求項1に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項3】
前記壁部は、前記側面に両手を添えることができる高さに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項4】
前記壁部は前記側面の略全領域を囲む枠状とされていることを特徴とする請求項2に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項5】
前記壁部及び前記段ボール箱は、前記アダプターが前記段ボール箱を収容した状態において、少なくとも使用者の指が前記壁部及び前記段ボール箱を連続して通り抜けるようにした突抜け孔を有することを特徴とする請求項4に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項6】
前記首部の側面部には、前記首保持用開口部の周縁と係止される溝部及び/又は張出し部を有しており、
前記アダプターは、前記首部の最大径を通せる孔であって、この孔に通された前記首部を前記首保持用開口部に移動可能なように、前記首保持用開口部に連続して設けられた挿入孔を有し、
前記壁部は、前記首保持用開口部から前記挿入孔側に向かって延びる方向に開放された開放口を有している
ことを特徴とする請求項2または3に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項7】
前記壁部の内側には凸部が設けられており、
前記段ボール箱は、前記凸部と係合するように形成されたミシン目或いは穴が設けられている
ことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項8】
前記アダプターは、前記首部と前記首保持用開口部とが係止した状態において、前記首保持用開口部の周辺に、前記首部の先端側に突出した突出部を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項9】
前記ウォーターサーバーの供給口は、有底の穴の中に前記首部と接続される供給口本体が設けられており、
前記突出部は、前記首部が前記供給口本体に導かれるように、前記ウォーターサーバーの前記有底の穴の内径に対応した外径を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【請求項10】
前記突出部には、使用者の指が挿入可能な切り欠き部及び/又は孔が少なくとも2つ形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の容器のウォーターサーバーへの取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−269829(P2010−269829A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124191(P2009−124191)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【出願人】(507028826)富士の湧水株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【出願人】(507028826)富士の湧水株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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