説明

容器の搬送装置

【課題】一対の保持爪を容器の鍔部下方から退避させる際に水平方向の新たなスペースを必要とせず、かつ、当該一対の保持爪を駆動する駆動源を必要としない容器の搬送装置を提供する。
【解決手段】容器の鍔部を支持する一対の各保持部は、上下方向に延びる長溝、長溝の一側に設けられる係合片、長溝の他側上部に設けられる案内ピン、を有するフレームと、一対の凹部を有する回転コマ、回転コマの下方に設けられる支持ピン、支持ピンよりも上方に形成されて容器の鍔部上面へ当接する当接部、を有し、回転コマの回転支軸をフレームの長溝内に上下動可能に配置することで、回転コマを前記フレームの案内ピンへの当接により回転可能とするとともに、フレームに対し下方に付勢された状態で配置される摺動部材と、フレームに設けられる係合片の下方において水平軸回りに回動可能に軸支され、摺動部材に設けられる支持ピンに下面を支持される保持爪と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の搬送装置に関し、例えば炊飯設備における釜の搬送に用いて好適な容器の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯設備における炊飯釜の搬送装置が知られている。この種の搬送装置は、保持装置に一対の保持爪を備え、当該一対の保持爪により炊飯釜の鍔部を下方から支持し、該炊飯釜を持ち上げて搬送するものである(特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された搬送装置は、保持装置が昇降するタイミングに合わせ、エアシリンダにより、一対の保持爪を釜の鍔部下方の支持位置と該鍔部下方からの退避位置との間で水平移動させる。
【0004】
ところが、当該搬送装置は、前記一対の保持爪を退避位置に移動させるために水平方向に大きなスペースを必要とし装置が大型化する。また、当該搬送装置は、エアシリンダや該エアシリンダを駆動するための配線、配管など、前記一対の保持爪を駆動するための駆動源を必要とするとともに、該一対の保持爪の駆動を制御する必要があり装置が複雑化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−19869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、容器の鍔部を下方から支持する一対の保持爪を、該容器の鍔部下方から退避させる際の水平方向の新たなスペースを必要とせず、かつ、当該一対の保持爪を駆動する駆動源を必要としない容器の持ち上げ装置を備える容器の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、容器の鍔部を支持する一対の保持部を有する保持装置と、前記保持装置を昇降させる昇降装置と、を有する容器の持ち上げ装置を備える容器の搬送装置において、前記保持装置における一対の各保持部は、上下方向に延びる長溝、該長溝の一側に設けられる係合片、前記長溝の他側上部に設けられる案内ピン、を有するフレームと、一対の凹部を有する回転コマ、該回転コマの下方に設けられる支持ピン、該支持ピンよりも上方に形成されて前記容器の鍔部上面へ当接する当接部、を有し、前記回転コマの回転支軸を前記フレームの長溝内に上下動可能に配置することで、前記回転コマを前記フレームの案内ピンへの当接により回転可能とするとともに、前記フレームに対し下方に付勢された状態で配置される摺動部材と、前記フレームに設けられる係合片の下方において水平軸回りに回動可能に軸支され、前記摺動部材に設けられる支持ピンに下面を支持される保持爪と、を備え、前記一対の保持爪は、前記回転コマに形成される凹部が前記係合片の上部に係合することにより、前記容器の鍔部下方に対向して延出した状態で固定され、前記回転コマが前記係合片に沿って相対的に下降することにより、前記容器の鍔部下方から退避することを特徴とする。
ここで、前記フレームに形成される上下方向に延びる長溝は、長孔及び溝状の窪みを含むものである。
【0008】
本発明は、前記各保持部が、前記フレームと前記摺動部材をそれぞれ一対有しており、前記保持爪を前記一対のフレームの対向面に対し水平軸回りに回動可能に軸支することが好ましい。
【0009】
本発明は、前記保持爪が、該保持爪の下面を支持する前記摺動部材の支持ピンを、当該保持爪の下面に当接した状態で摺動させる案内枠を有することが好ましい。
【0010】
本発明は、前記容器が炊飯設備における釜であることが好ましい。
【0011】
本発明は、容器の鍔部を支持する一対の保持部を有する保持装置と、前記保持装置を昇降させる昇降装置と、を備える容器の持ち上げ装置において、前記保持装置における一対の各保持部は、上下方向に延びる長溝、該長溝の一側に設けられる係合片、前記長溝の他側上部に設けられる案内ピン、を有するフレームと、一対の凹部を有する回転コマ、該回転コマの下方に設けられる支持ピン、該支持ピンよりも上方に形成されて前記容器の鍔部上面へ当接する当接部、を有し、前記回転コマの回転支軸を前記フレームの長溝内に上下動可能に配置することで、前記回転コマを前記フレームの案内ピンへの当接により回転可能とするとともに、前記フレームに対し下方に付勢された状態で配置される摺動部材と、
前記フレームに設けられる係合片の下方において水平軸回りに回動可能に軸支され、前記摺動部材に設けられる支持ピンに下面を支持される保持爪と、を備え、前記一対の保持爪は、前記回転コマに形成される凹部が前記係合片の上部に係合することにより、前記容器の鍔部下方に対向して延出した状態で固定され、前記回転コマが前記係合片に沿って相対的に下降することにより、前記容器の鍔部下方から退避することを特徴とする。
ここで、前記フレームに形成される上下方向に延びる長溝は、長孔及び溝状の窪みを含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保持装置の各保持部における一対の保持爪が、フレームに設けられる係合片の下方において水平軸回りに回動可能に軸支され、摺動部材に設けられる支持ピンに下面を支持されるので、当該一対の保持爪を容器に対向する面内において揺動させることができ、該一対の保持爪を容器の鍔部下方から退避させるための水平方向の新たなスペースを必要としない。
【0013】
本発明によれば、保持装置の各保持部における一対の保持爪が、回転コマに形成される凹部が係合片の上部に係合することにより容器の鍔部下方に対向して延出した状態で固定され、前記回転コマが前記係合片に沿って相対的に下降することにより前記容器の鍔部下方から退避するので、昇降装置による保持装置の昇降動作に伴い、当該一対の保持爪を自動で動作させることができ、該一対の保持爪を駆動するための駆動源を必要としない。
また、本発明によれば、前記保持装置の昇降動作に伴い、容器の着脱を瞬時に行うことが可能となり、作業時間を短縮することができる。
【0014】
本発明は、前記各保持部が、前記フレームと前記摺動部材をそれぞれ一対有しており、前記保持爪を前記一対のフレームの対向面に対し水平軸回りに回動可能に軸支することとすれば、前記保持爪により重量のある容器を持ち上げることができる。
【0015】
本発明は、前記各保持爪が、当該保持爪の下面に当接する前記摺動部材の支持ピンを、当該保持爪の下面に当接した状態で摺動させる案内枠を有することとすれば、前記保持爪を安定して動作させることができる。
【0016】
本発明は、前記容器が、炊飯設備における釜であることとすれば、炊飯設備の大型化、複雑化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】炊飯設備の斜視図。
【図2】炊飯設備の正面図。
【図3】炊飯設備の側面図。
【図4】保持部の斜視図。
【図5】保持部の分解斜視図。
【図6】保持装置の作動状態説明図。
【図7】保持装置の作動状態説明図。
【図8】保持部の動作説明図。
【図9】保持部断面における動作説明図であって図8のA−A断面図。
【図10】保持部の動作説明図。
【図11】保持部断面における動作説明図であって図10のA−A断面図。
【図12】保持部の動作説明図。
【図13】保持部断面における動作説明図であって図12のA−A断面図。
【図14】保持部の動作説明図。
【図15】保持部断面における動作説明図であって図14のA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3は炊飯設備の一例を示すものであって、図1は炊飯設備の全体斜視図、図2は炊飯設備の正面図、図3は炊飯設備の側面図を示す。
【0019】
図1乃至図3に示す炊飯設備1は、直列状に配置される二台の炊飯ユニット2a,2bを備える。
各炊飯ユニット2a,2bは、それぞれ二つの炊飯部3a〜3dを備え、各炊飯部3a〜3dの周囲には、釜5の鍔5aを支持する複数本の支持ピン4が植設されている。
【0020】
一方、前記炊飯設備1は、炊飯前の釜5を釜受渡部6から前記各炊飯部3a〜3dに搬送し、又炊飯後の釜5を前記各炊飯部3a〜3dから前記釜受渡部6に搬送する搬送装置7を備える。
該搬送装置7は、電動式の搬送台車8を備え、全体フレーム9の上部に配設されるレール10に沿って前記直列状に配置された炊飯ユニット2a,2b上を走行する。
また、該搬送装置7は、前記搬送台車8上に装着された空気シリンダ11aと、該空気シリンダ11aの作動により昇降する昇降ロッド11bを備え、当該昇降ロッド11bの下部に取り付けられる保持装置12を昇降させる。
【0021】
該保持装置12は、前記昇降ロッド11bの下部に固定される梁部13と、該梁部13の左右両端に設けられる、同一構造からなる一対の保持部14,14を備える。
そして、当該一対の保持部14,14は、前記空気シリンダ11aの作用により同時に昇降し、前記釜受渡部6又は炊飯部3a〜3dから釜5を持ち上げ、当該持ち上げた釜5を前記炊飯部3a〜3d又は前記釜受渡部6へ降ろす。
【0022】
次に、前記保持装置12における前記一対の保持部14,14の構造について説明する。
図4及び図5は釜を保持する側から見た一方の保持部を示すものであって、図4は該保持部の斜視図、図5は該保持部の分解斜視図を示す。なお、前述したとおり、前記一対の保持部14,14は同一構造からなるので、ここでは一つの保持部14について説明する。
【0023】
図4及び図5に示す保持部14は、対向して配置される一対のフレーム20a,20bと、当該一対のフレーム20a,20bの各対向面に対し上下方向に摺動可能に案内されるとともに、該各フレーム20a,20bに対し下方に付勢される状態で配置される一対の摺動板40a,40bと、前記一対のフレーム20a,20bの上部を連結するとともに前記梁部13に固定される連結片60と、前記一対のフレーム20a,20bの各対向面に対し水平軸回りに回動可能に軸支される保持爪80を備える。
【0024】
前記各フレーム20a,20bには、それぞれ上下方向に延びる長孔21a,21bが形成され、該一対のフレーム20a,20bの各対向面であって前記長孔21a,21bの一側には係合片22a,22bが固定され、前記長孔21a,21bの他側上部には案内ピン23a,23bが固定される。
【0025】
また、前記一対のフレーム20a,20bの各対向面における下方には、前記各摺動板40a,40bを当該一対のフレーム20a,20bの各対向面に対し上下方向に摺動可能に案内するとともに、当該各フレーム20a,20bに対する前記各摺動板40a,40bの下方位置を規制する一対の案内板24a,25a、24b,25bが固定される。
【0026】
さらに、各フレーム20a,20bの上部にはフランジ26a,26bが設けられ、該フランジ26a,26bには、前記各摺動板40a,40bに一体に設けられる後述するロッド48a,48bを挿通し、該ロッド48a,48bを上下方向に案内する穴27a,27bが形成される。
【0027】
前記各摺動板40a,40bには、前記各フレーム20a,20bの長孔21a,21bに対し上下動可能に配置されるピン41a,41bが固定され、該ピン41a,41bには、それぞれ対向する一対の平面及び一対の凹部が形成される回転コマ42a,42bが回転自在に取り付けられる。
【0028】
また、各摺動板40a,40bにおける前記回転コマ42a,42bの下方には、前記各フレーム20a,20bに固定される前記案内板24a,25a、24b,25bに案内される案内部43a,43bが形成される。
【0029】
前記各案内部43a,43bの上部には、前記各フレーム20a,20bの案内板24a,25a、24b,25bに当接し、各フレーム20a,20bに対する各摺動板40a,40bの下方位置を規制する規制部44a,44bが設けられる。
また、前記各案内部43a,43bの下部には、前記保持爪80の下面に当接し、該保持爪80を下方から支持する支持ピン45a,45bが固定される。
【0030】
各摺動板40a,40bには、前記支持ピン45a,45bよりも上方であって釜5に対向する側に、該釜5の鍔5a上面に当接する当接部46a,46bが形成される。
【0031】
各摺動板40a,40bには、上部にフランジ47a,47bが設けられ、該フランジ47a,47bには、当該各摺動板40a,40bに一体に固定され上方に延びるロッド48a,48bを挿通する穴49a,49bが形成される。
【0032】
そして、前記各摺動板40a,40bは、前記ロッド48a,48bを前記各フレーム20a,20bのフランジ26a,26bに形成される穴27a,27bに挿通するとともに、該ロッド48a,48bに対し、各摺動板40a,40bのフランジ47a,47b上面と各フレーム20a,20bのフランジ26a,26b下面の間においてコイルバネ50a,50bを嵌挿することで、前記各フレーム20a,20bに対し下方に付勢される状態とされる。
なお、ここでは、前記各ロッド48a,48bの上部に、該ロッド48a,48bが前記各フランジ26a,26bの穴27a,27bから脱落することを防ぐため、該穴27a,27bを通過しない大きさの頭部51a,51bを取り付けている。
【0033】
前記保持爪80には、釜5を保持する側と反対側の一側縁に、当該保持爪80を前記一対のフレーム20a,20bの対向面に対し水平軸回りに回動可能に軸支するための回動軸81が設けられる。
また、該保持爪80における下面には、前記各摺動板40a,40bに設けられる前記支持ピン45a,45bを、当該保持爪80の下面に当接した状態で摺動させるための案内枠82が一対設けられる。
さらに、該保持爪80の上面には、釜5の形状に倣う保持面を有する保持片83が固定される。
【0034】
そして、前記保持爪80は、前記回動軸81により、各フレーム20a,20bに設けられる係合片22a,22bの下方において、該各フレーム20a,20bの対向面に対し水平軸回りに回動可能に軸支され、前記支持ピン45a,45bにより下面を支持されて前記回動軸81を中心に回動する。
【0035】
次に、前記保持装置12が炊飯設備1の釜5を持ち上げ、又持ち上げた釜5を降ろす際の前記保持部14の動作について説明する。
図6及び図7は、炊飯設備の側面図であって、搬送装置における保持装置の作動状態の説明図を示す。また、図8,図10,図12及び図14は保持装置における一方の保持部の動作説明図であって、該保持部を釜を保持する側から見た図、図9,図11,図13及び図15はそれぞれ図8,図10,図12及び図14のA−A断面図を示す。
【0036】
<釜を持ち上げる場合>
図6は、前記保持装置12が前記炊飯部3a〜3dの上方に位置し前記釜5を保持していない状態を示す。
この時、図8及び図9に示すように、前記保持部14は、前記摺動板40aに取り付けられる回転コマ42aの一方の平面が、前記フレーム20aに固定される係合片22aの側方に位置する状態となっている。そのため、前記摺動板40aは、前記コイルバネ50aの作用により、前記案内部43aに設けられる規制部44aが前記フレーム20aの案内板24a,25aに当接する位置まで、前記フレーム20aに対し下降し、前記案内部43aに固定される支持ピン45aにより下面を支持される前記保持爪80が、前記釜5の鍔5aに対応する位置から退避した状態となっている。
【0037】
図7は、前記空気シリンダ11aの作動により前記昇降ロッド11bとともに前記保持装置12を下降させた状態を示す。
前記保持装置12を下降させると、まず、図10及び図11に示すように、前記摺動板40aの当接部46aが釜5の鍔5a上面に当接する。引き続き保持装置12を下降させると、前記フレーム20aが、前記コイルバネ50aの付勢力に抗して前記摺動板40aに対し下降する。この時、前記保持爪80は、該保持爪80の下面を前記支持ピン45aに支持されているため、釜5の鍔5aよりも下方において回動軸81を中心に上向きに回動する。
【0038】
さらに前記保持装置12を下降させると、前記回転コマ42aの上側に位置する凹部が、前記フレーム20aに固定される案内ピン23aに当接し、当該回転コマ42aがピン41aを中心に図示時計回りに若干回転する。この時、前記保持爪80は、前記支持ピン45aの支持により釜5の鍔5aよりも下方において水平よりも若干上向きの状態となる。
【0039】
図10及び図11に示す状態から前記保持装置12を上昇させると、まず、前記コイルバネ50aの付勢力のため、前記フレーム20aが前記摺動板40aに対し上昇し、図12及び図13に示すように、前記回転コマ42aの下側の凹部が前記係合片22aの上部に係合して、前記フレーム20aと前記摺動板40aの相対的な位置が固定される。この時、前記保持爪80は、前記支持ピン45aに支持されて釜5の鍔5a下方に水平に延出した状態となっている。
そして、引き続き前記保持装置12を上昇させると、前記摺動板40aの当接部46aが釜5の鍔5a上面から上方に離れるとともに、対向する一対の前記保持爪80,80が釜5の鍔5aを下方から支持し、図3に示すように、当該釜5を持ち上げる。
【0040】
<釜を降ろす場合>
一方、図3の状態から釜5を降ろす場合、まず、空気シリンダ11aの作動により昇降ロッド11bとともに保持装置12を下降させ、釜5の鍔5aを支持ピン4に着座させる。
引き続き前記保持装置12を下降させると、前記一対の保持爪80,80が釜5の鍔5a下面から離れるとともに前記摺動板40aの当接部46aが釜5の鍔5a上面に当接する。
【0041】
さらに前記保持装置12を下降させると、前記フレーム20aが、前記コイルバネ50aの付勢力に抗して前記摺動板40aに対し下降し、図14及び図15に示すように、前記回転コマ42aの上側に位置する平面が前記案内ピン23aに当接して、当該回転コマ42aが前記ピン41aを中心に図示時計回りに若干回転する。この時、前記保持爪80は、該保持爪80の下面を前記支持ピン45aにより支持されているため、釜5の鍔5aよりも下方において回動軸81を中心に上向きに回動し、水平よりも若干上向きの状態となる。
【0042】
この状態から前記保持装置12を上昇させると、まず、コイルバネ50aの付勢力のため、前記フレーム20aが前記摺動板40aに対し上昇するが、その際、前記回転コマ42aは図9とは異なる他方の平面が前記係合片22aの側方に位置する状態となる。そして、前記保持爪80は、該保持爪80の下面を前記支持ピン45aにより支持されているため、釜5の鍔5aよりも下方において回動軸81を中心に下向きに回動する。
引き続き前記保持装置12を上昇させると、図9に示すように、前記フレーム20aが、前記摺動板40aに対し最大限上昇した後、該摺動板40aの当接部46aが釜5の鍔5a上面から上方に離れる。この時、前記保持爪80は釜5の鍔5aに対応する位置から退避した状態となっており、該釜5の鍔5aに接触することなく上昇する。
【0043】
上記実施の形態によれば、一対の保持爪80,80が、フレーム20a,20bに設けられる係合片22a,22bの下方において回動軸81により水平軸回りに回動可能に軸支され、摺動板40a,40bに設けられる支持ピン45a,45bにより下面を支持される構成としたので、保持装置12の保持部14は、前記一対の保持爪80,80を釜5に対向する面内において揺動させることができ、該一対の保持爪を退避させるための水平方向の新たなスペースを必要としない。
【0044】
上記実施の形態によれば、一対の保持爪80,80が、回転コマ42a,42bに形成される凹部が係合片22a,22bの上部に係合することにより、釜5の鍔5a下方に対向して水平に延出した状態で固定され、前記回転コマ42a,42bが前記係合片22a,22bに沿って相対的に下降することにより、前記釜5の鍔部5a下方から退避する構成としたので、保持装置12の保持部14は、前記一対の保持爪80,80を該保持装置12の昇降動作に伴い自動で動作させることができ、該一対の保持爪80,80を駆動するための駆動源を必要としない。
また、上記実施の形態によれば、釜5の着脱を瞬時に行うことが可能となり、炊飯設備1の作業時間を短縮することができる。
【0045】
上記実施の形態において、保持爪80の下面には案内枠82が設けられ、摺動板40aに設けられる支持ピン45aが、前記案内枠82内において前記保持爪80の下面に当接した状態で摺動する。したがって、前記保持爪80は、常に安定した状態で回動動作することができる。
【0046】
上記実施の形態において、保持爪80の上面には釜5の形状に倣う保持面を有する保持片83が設けられ、該保持爪80は前記保持片83で釜5を保持する。したがって、前記保持爪80は、常に安定した状態で釜5を持ち上げ、搬送することができる。
【0047】
上記実施の形態において、保持装置12は、炊飯設備1における搬送装置7の一部を構成するので、炊飯設備1の大型化、複雑化を防ぐことができるとともに、保持部14の駆動部品を削減することができる。
【0048】
上記実施の形態において、フレーム20a,20bには上下方向に延びる長孔21a,21bを設けることとしたが、上記回転コマ42aを回転自在に支持するピン41aが上下動自在に配置することができれば、例えばフレームの上下方向に延びる溝状の窪みであってもよく、貫通している必要はない。
【0049】
上記実施の形態では、炊飯設備における釜の搬送装置を例として説明したが、搬送する対象物は、対向する一対の保持爪により下方から支持できる庇状の突出部を有する容器であれば釜に限るものではない。
【0050】
上記実施の形態では、保持装置は、搬送装置の一部を構成するものを例として説明したが、少なくとも容器を持ち上げ、持ち上げた容器を降ろすものであれば、当該保持装置を昇降させる装置とともに容器の持ち上げ装置として、他の装置の一部あるいは単独で利用することが可能である。
【0051】
本発明の容器の搬送装置は、上記実施の形態に限らず、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の容器の搬送装置は、一対の保持爪を退避させるための水平方向の新たなスペースを必要とせず、かつ、当該一対の爪を駆動する駆動源を必要としないので、装置を小型化かつ省力化でき、実用上有利である。
【符号の説明】
【0053】
1 炊飯設備
2 炊飯ユニット
3 炊飯部
4 支持ピン
5 釜
5a 鍔部
6 釜受渡部
7 搬送装置
11a 空気シリンダ
11b 昇降ロッド
12 保持装置
13 梁部
14 保持部
20 フレーム
21 長孔
22 係合片
23 案内ピン
24 案内板
25 案内板
26 フランジ
40 摺動板
41 ピン
42 回転コマ
43 案内部
44 規制部
45 支持ピン
46 当接部
47 フランジ
48 ロッド
50 コイルバネ
60 連結片
80 保持爪
81 回動軸
82 案内枠
83 保持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の鍔部を支持する一対の保持部を有する保持装置と、
前記保持装置を昇降させる昇降装置と、
を有する容器の持ち上げ装置を備える容器の搬送装置において、
前記保持装置における一対の各保持部は、
上下方向に延びる長溝、該長溝の一側に設けられる係合片、前記長溝の他側上部に設けられる案内ピン、を有するフレームと、
一対の凹部を有する回転コマ、該回転コマの下方に設けられる支持ピン、該支持ピンよりも上方に形成されて前記容器の鍔部上面へ当接する当接部、を有し、前記回転コマの回転支軸を前記フレームの長溝内に上下動可能に配置することで、前記回転コマを前記フレームの案内ピンへの当接により回転可能とするとともに、前記フレームに対し下方に付勢された状態で配置される摺動部材と、
前記フレームに設けられる係合片の下方において水平軸回りに回動可能に軸支され、前記摺動部材に設けられる支持ピンに下面を支持される保持爪と、を備え、
前記一対の保持爪は、前記回転コマに形成される凹部が前記係合片の上部に係合することにより、前記容器の鍔部下方に対向して延出した状態で固定され、前記回転コマが前記係合片に沿って相対的に下降することにより、前記容器の鍔部下方から退避することを特徴とする容器の搬送装置。
【請求項2】
前記各保持部は、前記フレームと前記摺動部材をそれぞれ一対有しており、前記保持爪を前記一対のフレームの対向面に対し水平軸回りに回動可能に軸支する請求項1記載の容器の搬送装置。
【請求項3】
前記保持爪は、当該保持爪の下面を支持する前記摺動部材の支持ピンを、当該保持爪の下面に当接した状態で摺動させる案内枠を有する請求項1又は2記載の容器の搬送装置。
【請求項4】
前記容器は、炊飯設備における釜である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の容器の搬送装置。
【請求項5】
容器の鍔部を支持する一対の保持部を有する保持装置と、
前記保持装置を昇降させる昇降装置と、
を備える容器の持ち上げ装置において、
前記保持装置における一対の各保持部は、
上下方向に延びる長溝、該長溝の一側に設けられる係合片、前記長溝の他側上部に設けられる案内ピン、を有するフレームと、
一対の凹部を有する回転コマ、該回転コマの下方に設けられる支持ピン、該支持ピンよりも上方に形成されて前記容器の鍔部上面へ当接する当接部、を有し、前記回転コマの回転支軸を前記フレームの長溝内に上下動可能に配置することで、前記回転コマを前記フレームの案内ピンへの当接により回転可能とするとともに、前記フレームに対し下方に付勢された状態で配置される摺動部材と、
前記フレームに設けられる係合片の下方において水平軸回りに回動可能に軸支され、前記摺動部材に設けられる支持ピンに下面を支持される保持爪と、を備え、
前記一対の保持爪は、前記回転コマに形成される凹部が前記係合片の上部に係合することにより、前記容器の鍔部下方に対向して延出した状態で固定され、前記回転コマが前記係合片に沿って相対的に下降することにより、前記容器の鍔部下方から退避することを特徴とする容器の持ち上げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−254879(P2012−254879A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129942(P2011−129942)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】