説明

容器の検査装置

【課題】透光性を有する容器の欠陥を光学的に検査する際に、光源からの光が容器の表面で反射してできる映り込みを低減し、高い検査精度と高い搬送効率とを両立する容器の検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置12では、ガラス壜11が、第1モータ33及び第2モータ34によりそれぞれ異なる速度で回転する搬送ベルト31,32に挟持された状態で、回転しながら検査用通路20に沿って搬送される。また、検査装置12は、検査エリアIAに沿って配列されたN個(但しNは2以上の自然数)の発光部24aを有するLED光源24と、検査エリアIAを搬送されるガラス壜11を撮像するカメラ25と、カメラ25が撮像した画像に基づいてビリB等の欠陥の有無を判定する判定部とを備える。N個のうちガラス壜11の搬送位置に対応するM個(但しMはN未満の自然数)の発光部24aの発光位置が、ガラス壜11の搬送に追従して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス壜等の透光性を有する容器の欠陥(欠点)を光学的に検査する容器の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透光性を有する容器としてのガラス壜のビリ(クラック)や泡、混入異物等の欠陥の有無を検査する検査装置が知られている(例えば特許文献1〜5)。これらの特許文献1〜5に記載の検査装置では、光源からガラス壜に光を照射し、カメラによりガラス壜の欠陥で反射した反射光又は欠陥の影を含む透過光を撮像し、その撮像した画像に基づき欠陥の有無を検査する。
【0003】
特許文献1,2に記載された検査装置では、光源からガラス壜に対して一方向から光を照射するだけなので、ガラス壜の全周を検査することができない。例えばビリ等のクラック面を有する欠陥では、クラック面で反射した反射光をカメラで撮像することによりビリの検出が可能になる。しかし、ガラス壜の一方向から光を照射する構成の場合、光照射方向とクラック面とのなす角度によっては、クラック面で反射した光がカメラ以外の方向へ向かい、そのビリを検出できない検出漏れが発生する。
【0004】
また、特許文献3,4に記載された検査装置では、ガラス壜を回転させながら検査を行うため、ビリのクラック面で反射した光はガラス壜が特定の回転角にあるときにカメラに入射するので、ビリの検出漏れを回避できる。しかし、ガラス壜を検査位置で回転させるときに、搬送中のガラス壜を一旦停止又は減速させるため、検査が律速となってガラス壜の搬送効率が低下する。
【0005】
一方、特許文献5に記載の検査装置は、ガラス壜(被検査ビン)を軸心回りに回転させながら搬送する搬送手段と、搬送手段の両側に対向して設置された一対の帯状の光源と、光源からガラス壜の口部に照射された光の反射光を受光する受光器とを備えている。この検査装置では、ガラス壜を搬送しながら回転させるので、ビリ等の欠陥の検査精度とガラス壜の搬送効率とを両立できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−169596号公報
【特許文献2】特開平7−92109号公報
【特許文献3】特開平7−103915号公報
【特許文献4】特開平11−271239号公報
【特許文献5】特開昭58−34348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献5の検査装置では、光源が、ガラス壜の搬送方向に沿って多数のランプが並べられてなる帯状光源であるため、ガラス壜の表面に検査対象のガラス壜と対応する位置にある所定数のランプ以外の位置にある他のランプからの光がガラス壜の表面に映り込む場合があった。この場合、カメラで撮像された画像を基にビリ等の欠陥を検出する場合、ビリのクラック面で反射した反射光と、映り込みによる反射光とが区別できず、ビリ等の欠陥を正確に検出できなくなる。なお、特許文献5に記載された光反射方式の検査装置に限らず、特許文献2に記載されたような光透過方式の検査装置においても、帯状光源が使用される場合は、帯状光源の他の位置にあるランプからの光がガラス壜の側方表面に映り込み、これが原因で検査精度が低下するという同様の問題がある。
【0008】
本発明の目的は、透光性を有する容器の欠陥を光学的に検査する際に、光源からの光が容器の表面で反射してできる映り込みを低減し、高い検査精度と高い搬送効率とを両立できる容器の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、透光性を有する容器の欠陥の有無を検査する検査装置であって、前記容器を回転させつつ検査区間を搬送させる搬送手段と、前記検査区間に沿って配列されたN個(但しNは2以上の自然数)の発光部を有する光源と、前記N個のうち前記検査区間を搬送される前記容器の搬送位置に対応するM個(但しMはN未満の自然数)の発光部を発光させるとともに、前記M個の発光部による発光位置を前記容器の搬送に追従して移動させる制御を行う制御手段と、前記検査区間を搬送される前記容器を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像に基づいて前記容器の良否を判定する判定手段と、を備えることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、光源を構成するN個の発光部のうち検査区間を搬送される容器の搬送位置に対応するM個の発光部が発光し、M個の発光部の発光位置が容器の搬送に追従して移動する。このように容器の搬送に追従して一部(M個)の発光部が発光する構成なので、光源のN個全ての発光部が発光する構成に比べ、容器の表面への光源からの光の反射による映り込み(テカリ)を低減できる。よって、容器の欠陥を光学的に検査する際に、容器の表面への映り込みを低減し、高い検査精度と高い搬送効率とを両立できる。
【0011】
また、本発明の検査装置では、前記制御手段は、前記検査区間において前記容器が前記撮像手段の光軸に対して搬送方向上流側に位置するときほど、前記発光位置を前記容器の搬送位置に対して搬送方向上流側へよりシフトさせ、前記容器が前記撮像手段の光軸に対して搬送方向下流側に位置するときほど、前記発光位置を前記容器の搬送位置に対して搬送方向下流側へよりシフトさせることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、検査区間において容器が撮像手段の光軸に対して搬送方向上流側に位置するときほど、容器の搬送位置に対して搬送方向上流側へよりシフトさせた発光位置でM個の発光部が発光する。また、容器が撮像手段の光軸に対して搬送方向下流側に位置するときほど、容器の搬送位置に対して搬送方向下流側へよりシフトさせた発光位置でM個の発光部が発光する。従って、容器を回転方向に亘って極力偏りなく検査できる。
【0013】
本発明の検査装置では、前記容器の径に関する径情報を与えるために操作される操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記径情報に基づく径の値に応じて前記M個を決定することが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、発光させる発光部の個数であるM個が、径情報に基づく容器の径の値に応じて決定される。このため、容器の径に応じて過不足なく容器に光を照射できる。
また、本発明の検査装置では、前記容器の回転方向の異方形状に関する形状情報を与えるために操作される操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記形状情報に基づき前記容器が異方形状である場合は、前記容器の回転位置と前記形状情報とに基づく前記撮像手段側から見た当該容器の幅に応じて、発光させる前記発光部の前記M個を変化させることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、制御手段が、形状情報に基づき容器が異方形状であると判断した場合、容器の回転位置と形状情報とに基づき把握される撮像手段側から見た当該容器の幅に応じて、発光させる発光部のM個を変化させる。このため、異方形状の容器であっても回転位置に応じて過不足なくこの容器に光を照射できる。
【0016】
さらに、本発明の検査装置は、前記撮像手段が、前記M個の発光部からの光が前記容器の欠陥で反射した反射光を撮像する光反射型の検査方式であることが好ましい。
上記構成によれば、M個の発光部から容器に照射された光が容器の欠陥で反射した反射光を撮像手段により撮像する反射型の検査方式を採用するので、容器が例えばガラス製である場合にビリ(クラック)等の欠陥の有無を精度高く検査できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容器の欠陥を光学的に検査する際に、光源からの光が容器の表面で反射してできる映り込みを低減し、高い検査精度と高い搬送効率とを両立できる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態における検査システムを示す模式平面図。
【図2】光反射方式の検査装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】検査装置の機能構成を示すブロック図。
【図4】検査装置を示す模式側面図。
【図5】(a)〜(c)は異形壜の回転位置に応じたM個の発光部を示す説明図。
【図6】発光位置の補正処理を説明する模式平面図。
【図7】部分画像の切取処理を含む画像処理を説明する模式図。
【図8】(a)〜(d)は検査過程を説明する模式平面図。
【図9】検査処理ルーチンを示すフローチャート。
【図10】第2実施形態における光反射方式の検査装置を示す模式平面図。
【図11】複数のガラス壜の間隔を決定する方法を説明する模式平面図。
【図12】第3実施形態における光透過方式の検査装置を示す模式平面図。
【図13】同じく光透過方式の検査装置を示す模式側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1に示すように、検査システム10は、透光性を有する容器(透光容器)の一例としてのガラス壜11のビリB(クラック)等の欠陥の有無を検査する検査装置12と、検査装置12へガラス壜11を搬入する搬入装置13と、検査の終わったガラス壜11を検査装置12から搬出する搬出装置14とを備える。なお、本実施形態の検査システム10は、搬送システムの一部を構成し、ワークとしてのガラス壜11の検査を搬送途中に行う。
【0020】
搬入装置13は、検査装置12へ搬入するガラス壜11の間隔を調整する間隔調整装置15と、間隔が調整されたガラス壜11を検査装置12へ一定の搬送速度で搬入する搬入コンベア16とを備える。間隔調整装置15は、例えばスクリュー方式、羽根方式、レバー方式などの公知の方式のものが採用され、隣接して1列で搬送されてくる多数本のガラス壜11を一定の時間差を設けて1本ずつ搬入コンベア16上へ送り出すことで間隔を調整する。本実施形態の間隔調整装置15は、検査装置12において検査対象のガラス壜11が搬送される検査用通路20のうち検査が実施される所定長さの検査区間の一例としての検査エリアIAをガラス壜11が1本ずつ搬送されうる間隔に調整する。但し、搬入コンベア16の搬送速度と、検査用通路20での搬送速度は、後者の方が高速であるため、両者の速度比を考慮して間隔は調整される。搬入コンベア16は、ガラス壜11を一定の搬送速度で検査装置12の検査用通路20の入口まで搬送する。
【0021】
検査装置12は、検査用通路20を挟む両側に対向して配置された2つのベルト装置21,22を有する搬送手段の一例としての搬送装置23と、検査エリアIAを搬送されるガラス壜11に光を照射する光源の一例としてのLED光源24と、検査エリアIAを搬送中のガラス壜11を撮像する撮像手段の一例としてのカメラ25とを備える。また、検査装置12には、2つのベルト装置21,22の間隔及び高さを調整して、検査用通路20の幅(通路幅)及びベルト高さを調整可能なシフト装置26が設けられている。
【0022】
本実施形態の検査装置12は、LED光源24からの光をガラス壜11に照射し、ビリB等の欠陥の有するクラック面(亀裂面)で反射した反射光を含むガラス壜11の映像を、カメラ25で撮像する。カメラ25が撮像した画像では、ガラス壜11のうち欠陥のない箇所及び背景部分が暗部(低輝度部)になり、ビリB等の欠陥で光が反射した箇所(欠陥箇所)が明部(高輝度部)になる。そして、画像中における明部の有無によってビリB等の欠陥の有無を判定する。このように本実施形態の検査装置12は、ガラス壜11に照射した光の反射光を検出して欠陥の有無を検査する光反射型の検査方式(光反射方式)を採用する。
【0023】
2つのベルト装置21,22は、検査用通路20を挟む両側に対称な位置関係に配置されている。一方のベルト装置21は、搬送方向Xに一定の間隔をおいて配置された一対の歯付きプーリ28,28に巻き掛けられた無端状の歯付きベルトからなる第1搬送ベルト31を備える。また、他方のベルト装置22は、ベルト装置21側の一対のプーリ28,28と検査用通路20を挟んで対向する位置に配置された一対の歯付きプーリ29,29に巻き掛けられた無端状の歯付きベルトからなる第2搬送ベルト32を備える。
【0024】
各プーリ28,29は各々の軸心が鉛直方向(図1の紙面垂直方向)に一致する向きに配置されているため、各プーリ28,29に巻き掛けられた第1搬送ベルト31及び第2搬送ベルト32は、各々のベルト面が鉛直面をなすように配置されたバーティカルベルトとなっている。そして、第1搬送ベルト31及び第2搬送ベルト32のうち検査用通路20を挟んで対向するベルト面部分が、ガラス壜11を挟持しつつ搬送する搬送面31a,32aとなっている。
【0025】
2つのベルト装置21,22は、各々の動力源となる第1モータ33及び第2モータ34を備える。第1及び第2モータ33,34の各動力は不図示の動力伝達機構を介して図1において右側に位置する駆動側のプーリ28,29の各回転軸にそれぞれ伝達される。第1及び第2モータ33,34はそれぞれ個別の回転速度で独立に駆動され、第1搬送ベルト31と第2搬送ベルト32は速度差をもってそれぞれ第1速度V1と第2速度V2で回転する。このため、検査用通路20を通るときは、ガラス壜11は回転しながら一定の搬送速度Vcで搬送される。本実施形態では、検査対象のガラス壜11が検査エリアIAを目標の搬送速度Vcで通過する間に1回転以上の所定回転量(例えば1回転)の回転をするように、第1速度V1と第2速度V2とが決められる。なお、搬送ベルト31,32の速度条件などの詳細については後述する。
【0026】
シフト装置26は、2つのベルト装置21,22の搬送方向Xと直交する幅方向Y(図1における上下方向)における相対位置を変更させることにより、検査用通路20の幅(通路幅)、つまりガラス壜11を挟持する一対の搬送面31a,32aの間隔を調整する通路幅調整機構を備える。ここで、検査用通路20の幅は、ガラス壜11の搬送面31a,32aに挟持される部位(ベルト被挟持部)の外径に合わせて調整される。また、シフト装置26はベルト装置21,22の高さを上下方向(鉛直方向)に調整するベルト高さ調整機構も備える。なお、本例のシフト装置26は、手動式であるが、電動モータの動力で駆動される電動式とし、ガラス壜11のベルト被挟持部の外径及びベルト高さの各入力値に基づき、搬送ベルト間隔及びベルト高さが自動調整される構成とすることもできる。
【0027】
図1に示すように、LED光源24は、一対の搬送ベルト31,32のうちカメラ25側に位置する第2搬送ベルト32の下方位置にその長手方向が搬送方向Xに一致する水平状態に配置されている。LED光源24は、搬送方向Xに一定間隔又は隣接して配列された多数個(N個(但しNは2以上の自然数))の発光ダイオード(LED)からなる発光部24aを有する。各発光部24aは、検査用通路20のうち検査が実施される検査エリアIAを搬送されるガラス壜11の底面へ光を照射しうる向きに配置されている。
【0028】
そして、本実施形態のLED光源24は、全て(N個)の発光部24aのうち、検査エリアIAを搬送中のガラス壜11の位置(搬送位置)に対応する位置であってその胴径に略等しい幅の範囲に位置するM個(但しMはN未満の自然数)の発光部24aのみが選択的に発光するように制御される。そして、発光するM個の発光部24aがガラス壜11の搬送に追従して移動するように、発光部24aの発光位置制御が行われる。各発光部24aは集光レンズ付きであり、検査時にM個の発光部24aから出射されたM個のスポット光がガラス壜11の底面に一部重複する状態で一列に照射されることで、その底面における照射エリアは胴径よりも狭い幅で搬送方向Xに延びる帯状となる。
【0029】
カメラ25は、検査エリアIAを搬送中のガラス壜11を斜め上方から撮像可能でかつ検査エリアIAの全域が視野角に収まりうる所定位置に配置されている。カメラ25は、レンズ群と、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサからなる2次元イメージセンサ(撮像素子)とを内蔵する。そして、カメラ25は、ガラス壜11が検査エリアIAで回転しながら搬送される検査時に、その検査エリアIA全体の映像を所定の撮像速度(例えば20〜30フレーム/秒)で撮像する。光反射型の検査方式の場合、M個の発光部24aから出射された光のほとんどがガラス壜11を透過するため、カメラ25により撮像された画像は基本的に暗部で、ビリB等の欠陥で反射した反射光の部分のみが高輝度の明部として撮像される。図1に示すように、ガラス壜11にビリBが存在する場合、ビリBのクラック面(亀裂面)で反射した反射光は、ガラス壜11が1回転する間でビリBのクラック面が特定角度にあるときに限りカメラ25のレンズ面に入射する。ガラス壜11を回転させながら搬送している過程で検査を行うことで、その特定角度にある時のガラス壜11を撮像できるので、ビリBの検出漏れが極力回避される。これにより高い検査精度と高い搬送効率が確保される。
【0030】
図4に示すように、ガラス壜11は、その軸心と直交する面で切った外周面断面形状が円形となった胴部11aが、左右一対の搬送面31a,32aに挟持させた状態で搬送される。つまり、搬送ベルト31,32間にガラス壜11を挟持させた状態で回転させるため、外周面断面形状が円形であり、かつガラス壜11の表面からカメラ25へ向かって出射される検査用の光が搬送ベルト31,32に遮られない箇所が被挟持部として選択される。
【0031】
図4に示すように、LED光源24は、搬送ベルト31,32に挟持されたガラス壜11の底面よりも下方の位置に配置されている。そして、発光部24aからの光はガラス壜11の底部に照射され、ビリ等の欠陥で反射した反射光がカメラ25の撮像レンズへ入射する。また、図4に示すように、LED光源24の上側には発光部24aからの光がカメラ25側及びガラス壜11の外周面側に直接照射される光の漏れを防止する遮光板35が設けられている。遮光板35は、実際にはLED光源24の上側及び背面側の全体を覆う囲み形状に設けられ、その表面は非反射性の塗面で黒色に塗装されている。
【0032】
図1に戻って、検査装置12には検査用通路20の入口付近に、ガラス壜11を検知可能なセンサ36が設けられている。センサ36は検査エリアIAの入口よりも所定距離だけ搬送方向Xの上流側の位置でガラス壜11を検知する。センサ36がガラス壜11を検知した検知位置を起点とし、搬送ベルト31、32によるガラス壜11の既知の搬送速度Vcと、検知時点からの経過時間である搬送時間Tとから算出される搬送距離からガラス壜11が検査エリアIAの入口に達した時点、及びこの入口位置を起点とするガラス壜11の検査エリアIAにおける搬送位置が把握される。
【0033】
そして、本実施形態の検査装置12では、LED光源24を構成するN個の発光部24aのうち、検査対象のガラス壜11の胴部11aの幅に略等しい範囲に位置するM個の発光部24aが発光しながらガラス壜11の搬送位置に追従して移動するように、発光部24aの発光数(発光幅)及び発光位置の制御が行われる。
【0034】
また、検査装置12において検査エリアIAよりも搬送方向X下流側の位置には、ガラス壜11にその回転を減速又は停止させるための制動力を付与する制動装置38が設けられている。制動装置38は、検査用通路20を挟んで対向する一対の制動ベルト39,39と、一対の制動ベルト39,39をガラス壜11の回転に制動を付与しうる回転速度で回転させる不図示の制動モータとを有している。ここで、ガラス壜11の回転を制動させる理由は、ガラス壜11が回転したまま搬出装置14へ搬出されると、ガラス壜11の搬送姿勢が不安定になって転倒などの不具合の発生頻度が高まるからである。このため、制動装置38によりガラス壜11の回転を減速又は停止させた後、ガラス壜11を搬出装置14へ搬出する。
【0035】
検査装置12の出口側に設けられた搬出装置14は、制動装置38で回転が制動されたガラス壜11を搬出する搬出コンベア40と、搬出コンベア40による搬送経路の途中箇所で、不良のガラス壜11を回収する不良回収装置41とが設けられている。不良回収装置41は、検査装置12の検査により不良と判定されたガラス壜11を搬出コンベア40上からその経路外へ排出する排出装置42と、排出装置42が経路外へ排出した不良のガラス壜11が回収される不良回収部43とを備える。なお、搬出コンベア40が掛装されているプーリ44の軸部には、搬出コンベア40の搬送速度Voに比例する数のパルスを有するパルス信号を出力するエンコーダ45(例えばロータリエンコーダ)が取り付けられている。
【0036】
また、検査システム10には、検査に必要な各種の設定値(入力値)などを入力するために操作される操作手段の一例としての操作パネル48が設けられている。操作パネル48には、操作部と表示部(例えば液晶表示パネル)とを備え、表示部の案内画面を見ながら、操作部を操作することにより各種の設定値などを入力可能となっている。なお、操作パネル48に替えて、検査システム10に接続されてこれを制御するパーソナルコンピュータのマウス及びキーボードを操作手段とすることもできる。
【0037】
検査システム10は、検査装置12、搬入装置13及び搬出装置14を統括的に制御する制御装置50(コントローラ)を備える。制御装置50には、入力系として、操作パネル48の操作部、センサ36、カメラ25及びエンコーダ45がそれぞれ電気的に接続されている。また、制御装置50には、出力系として、操作パネル48の表示部、間隔調整装置15、搬入コンベア16、LED光源24、第1モータ33、第2モータ34、制動装置38、排出装置42及び搬出コンベア40がそれぞれ電気的に接続されている。
【0038】
次に検査システム10の電気的構成を図2に基づいて説明する。
制御装置50は、コンピュータ61(マイクロプロセッサ)、駆動回路62,63,66〜69及びモータ駆動回路64,65を備える。コンピュータ61は、駆動回路62,63を介して間隔調整装置15及び搬入コンベア16をそれぞれ駆動制御する。また、コンピュータ61は、モータ駆動回路64,64を介して第1モータ33及び第2モータ34をそれぞれ駆動制御する。さらにコンピュータ61は、駆動回路66を介してLED光源24を駆動制御する。また、コンピュータ61は、駆動回路67,68,69を介して制動装置38、排出装置42及び搬出コンベア40をそれぞれ駆動制御する。
【0039】
また、コンピュータ61は、センサ36からガラス壜11を検知したときにオンし、ガラス壜11を非検知のときにオフする検出信号を入力する。また、コンピュータ61はカメラ25から画像信号(映像信号)を不図示のA/D変換器を介してデジタル信号として入力する。さらにコンピュータ61はエンコーダ45から搬出コンベア40の搬送速度に応じたパルス数を有するパルス信号を入力する。
【0040】
コンピュータ61は、CPU71(中央処理装置)、ROM72及びRAM73を内蔵する。ROM72には、図9にフローチャートで示す検査処理ルーチンをはじめとする各種のプログラムP等が記憶されている。RAM73には、CPU71がROM72から読み出したプログラムPやCPU71の演算結果などが一時的に記憶される。
【0041】
作業者が操作パネル48を操作することで、コンピュータ61には設定値として、検査エリアIAにおけるガラス壜11の搬送速度Vc、ガラス壜11の径データD1及び形状データD2が入力される。径データD1は、搬送面31a,32aにガラス壜11が挟持される部分(ベルト被挟持部)の外径のデータである。形状データD2は、ガラス壜11の壜形状のデータであり、本例では、円形壜(図4参照)か異形壜(図5参照)かを区別可能な情報であり、異形壜の場合は、さらに異形壜の回転角に応じて変化するカメラ25側から見た壜幅を特定可能な情報を含む。形状データD2は、例えばガラス壜11の品番でもよく、ROM72には品番と壜形状との対応関係を示す参照データが記憶され、異形壜の場合はさらに品番毎に回転角(又は搬送位置)と壜幅との対応関係を示す参照データが記憶されている。なお、異形壜の場合、断面円形の例えば口部11b(図5参照)をベルト被挟持部とするため、径データD1として口部の外径が入力されるとともに、搬送面31a,32aの高さが口部11bの高さに調整される。
【0042】
コンピュータ61は、入力された搬送速度Vc及び径データD1等に基づいて、間隔調整装置15が調整すべきガラス壜11の間隔、第1搬送ベルト31の第1速度V1及び第2搬送ベルト32の第2速度V2を演算する。また、コンピュータ61は、径データD1及び形状データD2に基づいてN個の発光部24aのうちガラス壜11の検査時に発光させるべきM個(発光数)を演算する。
【0043】
図3は、CPU71がプログラムPを実行することによりコンピュータ61内に構築される機能構成を示す。図3に示すように、コンピュータ61は、機能構成部分として、主制御部81、演算部82、間隔制御部83、搬送制御部84、位置検出部85、発光制御部86、画像処理部87、判定部88及び排出制御部89を備える。主制御部81は、各部82〜89を統括的に制御する。なお、以下の説明ではガラス壜11をワークとする。
【0044】
演算部82は、搬送速度Vcのデータに基づきガラス壜11の間隔を演算する間隔演算部91と、搬送速度Vc及び径データD1に基づき第1速度V1及び第2速度V2を演算する速度演算部92とを備える。ここで、間隔(ワーク間隔)G、検査エリア長L、搬入コンベア16の搬入速度Vinとおくと、間隔演算部91は、以下のように間隔Gを計算する。
【0045】
検査エリアIAを通過する所要時間tは、t=L/Vc(秒)となる。この所要時間tの時間間隔でワークを搬入速度Vinの搬入コンベア16上へ載置すればよいので、間隔Gは、次式で与えられる。
G=Vin×t=(Vin/Vc)・L …(1)
間隔制御部83は、上記(1)式で算出された間隔Gになるように、駆動回路62を介して間隔調整装置15を駆動させる。なお、本例では、検査エリア長Lは、例えば10〜50cmの範囲内の所定値を採用している。
【0046】
また、速度演算部92は、次のように第1速度V1と第2速度V2を算出する。ワーク径(ガラス壜11の胴径)をDwとおくと、検査エリアIAにおけるワークの移動距離Lwは、検査エリア長Lからワーク径Dwを差し引いて、Lw=L−Dwで与えられる。このため、検査エリアIAにおけるワークの移動時間twは、tw=Lw/Vcで与えられる。また、1回転するときのワークの外周面における回転距離Rwは、ワークの外周長に等しく、Rw=Dw・πで与えられる。よって、1回転するために必要なワークの外周面における移動速度Vrは、Vr=Rw/twで与えられる。従って、速度演算部92は、第1速度V1と第2速度V2を、次式に基づき計算する。
V1=Vc+Vr=Vc+(π・Dw・Vc)/(L−Dw) …(2)
V2=Vc−Vr=Vc−(π・Dw・Vc)/(L−Dw) …(3)
搬送制御部84は、上記(2)で算出された第1速度V1を速度指令値としてモータ駆動回路64に出力して第1モータ33を速度制御する。また、搬送制御部84は、上記(3)で算出された第2速度V2を速度指令値としてモータ駆動回路65に出力して第2モータ34を速度制御する。
【0047】
位置検出部85は、検査エリアIAの入口位置(検査開始位置)を原点とするワークの搬送位置を検出する。位置検出部85は、位置検出方式の異なる2種類の方式でそれぞれ位置検出を行うタイマ検出部93とエンコーダ検出部94とを備える。
【0048】
タイマ検出部93は、不図示のタイマを内蔵し、搬送速度Vcが一定のときに採用される位置検出方式である。タイマ検出部93は、センサ36がワーク(ガラス壜11)を検知すると、その検知位置から一定距離Xoだけ搬送速度Vcで搬送された時点、つまりワーク検知時点から(Xo/Vc)秒経過時点に、タイマをリセットして計数値「0」からの計時を開始する。搬送速度Vcが一定速度なので、タイマの計数値(計時時間)は、検査エリアIAの原点(入口)からのワークの搬送距離(搬送位置)を示すものとなる。
【0049】
エンコーダ検出部94は、搬送速度Vcが変化するときに採用される位置検出方式である。例えば検査装置12よりも搬送方向下流側の後段の装置でワークが滞留したときは、搬出コンベア40の搬出速度を低下させる制御が行われ、その上流側の検査装置12から搬出されるワークの速度を落とす必要がある。搬出コンベア40の搬出速度Voutが低下したことは、搬出コンベア40のプーリ44の回転を検出するエンコーダ45から入力されるパルス信号に基づき検出される。
【0050】
搬送制御部84は、エンコーダ45からのパルス信号の単位時間当たりのパルス数を計数して取得した搬出速度Voutの変化に合わせて搬送速度Vcを変化させる。そして、搬送制御部84は、搬送速度Vcの変化に伴って、速度演算部92が前記(2)式及び(3)式に基づいて算出した第1速度V1及び第2速度V2に応じた各指令値をモータ駆動回路64,65にそれぞれ出力し、第1搬送ベルト31の第1速度V1と第2搬送ベルト32の第2速度V2とを制御する。これにより検査エリアIAにおけるワークの搬送速度Vcが搬出速度Voutに応じて変化する。
【0051】
エンコーダ検出部94は、エンコーダ45からのパルス信号のパルス数を計数する不図示のカウンタを内蔵する。そして、エンコーダ検出部94は、センサ36がワーク(ガラス壜11)を検知すると、カウンタによる計数を開始し、その計数値が検査エリアIAの入口(原点)までの一定距離Xoに相当する値に達した時点で、カウンタを一旦リセットし、以後、計数値「0」からパルス数を計数する。カウンタの計数値は、搬送速度Vcが変化しても、原点からのワークの搬送位置を示すものとなる。
【0052】
発光制御部86は、LED光源24における発光部24aの発光数及び発光位置を制御する。発光制御部86は、同時に発光させる発光部24aの発光数「M個」を演算する発光数演算部95と、ワークの搬送位置に対してM個の発光部24aを発光させる発光位置を搬送方向Xに補正する位置補正部96とを備える。発光数演算部95は、M個の発光部24aが同時に発光したときの搬送方向Xの発光幅が、ワーク径(例えばガラス壜11の胴径)とほぼ同じになるようにワーク径に応じて発光部24aの発光数Mを算出する。円形壜の場合はワークの回転角(つまり搬送位置)によらずM個が一定である。一方、異形壜の場合は、図5に示す平面視において、N個の発光部24aが配列されたラインへワークを投影した投影幅(カメラ25側から見たワーク幅)に合わせてM個を決定する。発光数演算部95は、例えばROM72に記憶されたワークの回転角(又は搬送位置)と壜幅との対応関係を示した参照データを参照し、壜幅に応じた発光数Mを求める。
【0053】
また、位置補正部96は、位置検出部85により検出されたワークの搬送位置に対して、発光させるべきM個の発光部24aの搬送方向Xにおける位置(発光位置)を、ワークの搬送位置に応じた補正量ΔLだけ搬送方向Xにシフトさせる補正を行う。
【0054】
図6は、M個の発光部24aの発光位置を検査エリアIAにおけるワークの搬送位置に対して搬送方向Xにシフトさせる発光位置制御を説明するものである。発光制御部86は、図6に示す平面視において、ガラス壜11がカメラ25の光軸C(詳しくはワーク搬送経路と光軸Cとの交点)に対して搬送方向Xの上流側(図6では左側)に位置するときほど、発光位置をガラス壜11の搬送位置に対して搬送方向Xの上流側へより多くの補正量ΔLだけシフトさせた位置に設定する。また、発光制御部86は、ガラス壜11がカメラ25の光軸Cに対して搬送方向Xの下流側に位置するときほど、発光位置をガラス壜11の搬送位置に対して搬送方向Xの下流側へより多くの補正量ΔLだけシフトさせた位置に設定する。つまり、発光制御部86は、ガラス壜11の搬送位置が光軸Cから離れるほど、その搬送位置に対してより離れる側へより多くの補正量ΔLを設定することにより、発光位置を決定する。そして、カメラ25の光軸C上にガラス壜11が位置するときには、補正量ΔLを「0」にする。
【0055】
このような発光位置制御をするのは、以下の理由による。カメラ25からガラス壜11を見た撮像方向とビリB等の欠陥のクラック面とのなす角度が単位時間(フレーム撮像時間間隔)毎に変化する角度変化量は、ガラス壜11の搬送位置の変化によりカメラ25の撮像方向が変化するため、たとえガラス壜11を一定の回転速度で回転させても、一定とはならない。例えば常にガラス壜11に対して幅方向Yから光を照射している構成の場合、発光位置と共にカメラの位置を移動させれば、単位時間当たりの前記角度変化量を一定にすることはできる。しかし、カメラ25が固定である本実施形態の場合は、幅方向Yの光照射では単位時間当たりの前記角度変化量が、ガラス壜11の搬送位置に応じて変化する。これはクラック面の検出漏れの虞があることを意味する。そこで、本実施形態では、ガラス壜11の搬送位置が光軸Cに近づくに連れてその搬送位置に対する上流側への補正量ΔLを小さくするように発光位置を決め、ガラス壜11の搬送位置が光軸Cから遠ざかるに連れてその搬送位置に対する下流側への補正量ΔLを大きくするように発光位置を決める。これにより単位時間当たりの前記角度変化量をほぼ一定にすることができる。そして、検査エリアIAでガラス壜11が1回転する過程でこの単位時間当たりの前記角度変化量をほぼ一定とするように、ガラス壜11の搬送位置に応じた補正量ΔLを決定する。
【0056】
本実施形態では、発光位置補正の実施の有無は、操作パネル48の操作部を操作することで選択可能となっており、発光位置補正を行わない選択も可能である。発光位置補正を行わない通常発光制御では、位置検出部85が検出したワークの搬送位置と同じ発光位置を指定して駆動回路66に発光指令を出力する。
【0057】
画像処理部87は、カメラ25が撮像した画像(フレーム)を一定時間間隔で入力する。また、画像処理部87は、位置検出部85からワークの検出位置情報を取得する。そして、画像処理部87は、カメラ25が撮像した画像の全体から、検出位置情報に基づくワーク位置に応じた検査用の部分画像を切り取る画像切取部97を有する。図7は、画像切取部97が切り取った画像に基づき判定部88がビリBの有無を判定する処理を説明する。画像切取部97は、カメラ25の撮像した全体画像IDから、位置検出部85が検出した搬送位置に応じた部分画像を切り取る。すなわち、画像切取部97は、図7に示すように、ワークの搬送位置がx1のときには、その搬送位置x1にあるガラス壜11の底部の画像を含む部分画像A1を切り取る。以下、同様に、画像切取部97は、ワークが搬送位置x2,x3,x4,x5にあるときには、その搬送位置x2,x3,x4,x5にあるガラス壜11の底部の画像を含む部分画像A2,A3,A4,A5を順次切り取る。なお、図7では、搬送位置x1〜x5を模式的に広い間隔で描いているが、実際は、20〜30フレーム/秒の撮像速度で逐次得られる全体画像IDからその時々の搬送位置xnに応じた部分画像An(但し添字nはn=1,2,…)が逐次切り取られる。
【0058】
そして、図3に示す画像処理部87は、画像切取部97が順次切り取った部分画像に検査用の画像処理を施して判定用の画像データを生成する。画像処理としては、例えば2値化処理等を含む所定処理が採用される。2値化処理は、ビリB等の欠陥のクラック面からの反射光が撮像された高輝度領域が白(明部)、その種の反射光と想定される最低輝度値よりも低輝度の領域が黒(暗部)となるように予め設定された閾値(輝度閾値)を用いて行われる。この判定用画像データは判定部88に送られる。
【0059】
判定部88は、判定用画像データに基づく画像中に白領域(明部)の有無を判定する。判定部88は白領域があると、ビリB等の欠陥のある不良(不良品)であると判定し、白領域がなければビリB等の欠陥のない良品であると判定する。判定部88は不良と判定した場合、排出制御部89へその旨を通知する。なお、判定部88は、白領域のサイズ(面積)を個々に算出し、そのサイズが設定サイズ範囲内にあるものがあれば有りとする。
【0060】
排出制御部89は、判定部88から不良の旨の通知を受け付けると、不良のガラス壜11が排出位置まで搬送されてきたタイミングで、駆動回路68を介して排出装置42を駆動する。この結果、不良と判定されたガラス壜11は、図1に示す排出装置42により搬出コンベア40の経路外へ排出され、不良回収部43に回収される。
【0061】
次に検査システムの作用を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
検査システム10でワークの検査を行うに当たり、作業者は操作パネル48を操作して、ワークの径データD1(ワーク径)、円形壜や異形壜などのワーク形状を特定する形状データD2、検査エリアIAにおけるワークの搬送速度Vcなどの検査条件情報を入力設定する。入力された各データD1,D2、搬送速度Vc等の検査条件情報は、RAM73の所定記憶領域に記憶される。その後、作業者は運転スイッチをオン操作する。すると、コンピュータ61内のCPU71がROM72から読み出した図9に示す検査処理ルーチンのプログラムPを実行する。なお、以下では、コンピュータ61内に構築される図3に示す各機能部が行う処理も併せて説明する。
【0062】
まずステップS1では、径データD1、形状データD2を読み込む。このとき、搬送速度Vcなどの必要な検査条件情報も併せて読み込む。
次のステップS2では、ワーク間隔、ベルト速度を演算する。すなわち、間隔演算部91が、ワーク間隔Gを、前記(1)式に基づく計算により求める。また、速度演算部92が、第1搬送ベルト31の第1速度V1を前記(2)式に基づく計算により求めるとともに、第2搬送ベルト32の第2速度V2を前記(3)式に基づく計算により求める。
【0063】
次のステップS3では、ワーク間隔制御を行う。すなわち、間隔制御部83が、ワーク間隔Gを指定した間隔調整指令を駆動回路62に出力する。この結果、間隔調整装置15によりワークの間隔がワーク間隔Gに調整される。そして、ワークは一定の間隔Gで搬入コンベア16により検査装置12まで搬送される。
【0064】
ステップS4では、ベルト速度制御を行う。すなわち、搬送制御部84が、第1モータ33を速度制御して第1搬送ベルト31を第1速度V1で回転させるとともに、第2モータ34を速度制御して第2搬送ベルト32を第2速度V2で回転させる。この結果、検査装置12の検査用通路20に到達したワークは、第1搬送ベルト31と第2搬送ベルト32の間に挟持された状態で回転しながら搬送速度Vcで搬送される。
【0065】
次のステップS5では、ワークを検知したか否かを判断する。すなわち、センサ36が、ワークを検知したか否かを判断する。ワークを検知した場合はステップS6に進み、ワークを検知しなければステップS13に進む。ここで、ステップS13は、検査装置12を停止させる検査停止操作がなされたか否かを判断する処理であるが、この検査停止操作は基本的に検査中には行われないので、通常は、センサ36がワークを検知するまで待機することになる。
【0066】
そして、センサ36がワークを検知すると、ステップS6において、位置検出処理を行う。すなわち、位置検出部85は、例えば搬送速度が一定の場合はタイマ検出部93によりタイマの計時時間に基づいてワークの搬送位置を検出し、搬送速度が変化する場合はエンコーダ検出部94によりエンコーダ45からのパルス信号のパルス数を計数するカウンタの計数値に基づいてワークの搬送位置を検出する。このとき、位置検出部85は、ワークの搬送位置が検査エリアIAの入口に達したと判断すると、タイマ又はカウンタをリセットしてその計時又は計数を「0」から再開することで、検査エリアIAの入口を原点とするワークの搬送位置を検出する。検出されたワークの搬送位置は、発光制御部86及び画像処理部87に送られる。
【0067】
次のステップS7では、発光位置制御を行う。すなわち、発光制御部86は、発光数Mの決定と、発光位置をワークの搬送位置に対して補正する発光位置補正とを行う。詳しくは、発光数演算部95は、ワークが例えば円形壜である場合、径データD1に基づきワーク径(例えば胴径)とほぼ同じ発光幅が確保されるM個を計算する。また、発光数演算部95は、ワークが例えば異形壜である場合、図5に示すように、ワークの回転角に応じてカメラ25側から見たワークの幅(胴径)とほぼ同じ発光幅が確保されるM個を演算する。そして、発光制御部86は、位置補正部96がワークの搬送位置に対してその搬送位置に応じた補正量ΔLだけ光軸Cから離れた側にシフトさせる補正を行って得た発光位置にあるM個の発光部24aを発光させる。
【0068】
図9におけるステップS8では、カメラ25で撮像する。カメラ25は、ワークが検査エリアIAの入口に達した際に主制御部81から撮像指令を受け付けると、一定時間間隔毎に撮像して(例えば20〜30フレーム/秒)、その撮像した画像(画像データ)を画像処理部87へ送る。
【0069】
ステップS9では、画像処理を行う。まず画像処理部87は、図7に示すように、画像切取部97によりカメラ25から取得した画像IDからその時のワーク11の搬送位置に応じた部分画像を切り取る。そして、画像処理部87は、その切り取った部分画像に所定の閾値を用いた2値化処理を含む所定の画像処理を施し、判定用画像を生成してこれを判定部88へ送る。
【0070】
図9におけるステップS10では、判定OKであるか否かを判定する。すなわち、判定部88は、判定用画像中に白領域(明部)が存在するか否かを判定する。判定部88は、白領域が存在しなければビリBが存在しない良品であるとして判定OKとし、一方、白領域が存在すればビリB等の欠陥が存在する不良品であるとして判定NGとする。判定NGの場合はステップS11に進み、判定OKの場合はステップS12に進む。
【0071】
ステップS11では、ワークを排出する。すなわち、NG判定のワーク11が搬出コンベア40の排出位置に達すると、排出制御部89が排出装置42を駆動させてNG判定のワーク11を搬出コンベア40の経路外へ排出し、不良回収部43に回収する。
【0072】
ステップS12では、検査終了であるか否かを判定する。すなわち、主制御部81は、ワーク11が検査エリアIAを入口から出口まで移動し終わったか否かを判定する。例えば検査エリアIAの入口に相当する搬送位置x1で1枚目の画像(フレーム)の検査を終えたときには、ワークの検査はまだ終了していないので、ステップS6に戻る。
【0073】
そして、以下、カメラ25の撮像周期と同周期で、位置検出処理(S6)、発光位置制御(S7)、撮像(画像取得)(S8)、画像処理(部分画像の切取処理を含む)(S9)及び判定(S10)の各処理を、繰り返し行う。
【0074】
よって、図8(a)に示すように、ワーク11がセンサ36に検知され、その検知位置からワーク11が一定距離Xoだけ搬送されて検査エリアIAの入口(検査開始位置)に到達すると、LED光源24の発光制御が開始される。まず検査開始時の入口では、図8(b)に示すように、ワーク11の胴径とほぼ同じ発光幅が確保されるM個(図8の例では4個)の発光部24aが、ワークの搬送位置に対して搬送方向Xの上流側へ補正量ΔL(図6参照)だけシフトさせた発光位置で発光する。
【0075】
そして、M個の発光部24aの発光位置が、搬送中のワーク11に追従して搬送方向X下流側へ移動する。このワークの移動過程で搬送方向上流側への補正量ΔLは徐々に小さくなる。そして、図8(c)に示すように、ワーク11が検査エリアIAの中央位置、すなわちカメラ25の光軸に相当する位置(つまりカメラ25の正面位置)に達したときには、補正量ΔLは「0」になる。このとき、ワーク11の搬送位置と同じ発光位置のM個の発光部24aが発光する。
【0076】
さらに図8(d)に示すように、ワーク11が検査エリアIAの出口(検査最終位置)に到達すると、ワークの搬送位置に対して搬送方向Xの下流側へ補正量ΔL(図6参照)だけシフトさせた発光位置にあるM個の発光部24aが発光する。なお、ワークの中央位置から出口までの移動過程で、搬送方向下流側への補正量ΔLは徐々に大きくなる。
【0077】
そして、ステップS13において検査停止操作がなされていなければ、ステップS5に戻り、その後、ワークを検知すれば(S5で肯定判定)、次のワーク11に対してステップS6〜S10の処理を、ワークの搬送位置xn毎に繰り返し、同様にワーク11の検査を行う。こうして検査装置12でワーク11の検査が1本ずつ行われる。そして、OK判定のワークは搬出コンベア40により下流側の次段の装置へ搬出され、一方、NG判定のワーク11は排出装置42により不良品として不良回収部43に回収される。
【0078】
以上詳述したようにこの第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)LED光源24を構成するN個の発光部24aのうちワーク径に対応する発光幅を確保しうるM個を選択し、M個の発光部24aの発光位置をワークの搬送位置に追従して移動させる。このため、N個全ての発光部が発光する従来構成に比べ、ガラス壜11の表面への映り込み(テカリ)を低減でき、ビリB等の欠陥の検査精度を向上できる。
【0079】
(2)検査エリアIAを搬送中のガラス壜11がカメラ25の光軸Cから遠くに位置するときほど、ガラス壜11の搬送位置に対してその遠ざかる方向側へより大きな補正量ΔLでシフトさせた位置に発光位置を決定する。このため、ガラス壜11を回転させながら搬送する過程で検査する構成の割に、ビリB等の欠陥のクラック面をなるべく一定の角度変化毎に検査でき、クラック面の検出漏れが極力回避される。よって、ビリB等の欠陥の比較的高い検査精度を確保できる。
【0080】
(3)発光数Mは、径データD1に基づくワーク径(例えば胴径)に応じて決定される。このため、ガラス壜11に過不足なく光を照射できる。よって、ガラス壜11に検査に必要な適度な光を照射できるうえ、壜表面に徒に映り込みができる事態を回避できる。
【0081】
(4)ガラス壜11が異形壜(つまりワークが異方形状)である場合は、形状データD2に基づくカメラ25側から見た異形壜の幅に応じて発光数Mを変化させる。このため、異径壜などの異方形状のワークでも、LED光源24により過不足なく光を照射できる。
【0082】
(5)カメラ25が撮像した画像からガラス壜11の搬送位置に対応する部分画像を画像切取部97により切り取り、その部分画像に基づいてビリBの有無を検査する。このため、判定用画像のサイズを小さくして、ビリBの検査を高速に行うことができる。
【0083】
(6)M個の発光部24aから照射した光がワークの欠陥で反射した反射光をカメラ25により撮像する光反射型の検査方式を採用するので、ガラス壜11のビリを比較的高い精度で検査できる。
【0084】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図10及び図11に基づいて説明する。
本実施形態は、検査エリアIAで一度に複数本のガラス壜11を検査する構成である。検査システム10は、図1に示す第1実施形態と同様の構成であり、図10に示す第1実施形態と同様の光反射方式の検査装置12と、図2に示す制御装置50及び図3に示すコンピュータ61を同様に備える。
【0085】
図10に示すように、LED光源24では、検査エリアIAを一度に搬送される複数本(例えば2本)のガラス壜11の搬送位置に対応するM個ずつの発光部24aが発光する。ここで、先行する一方(図10では右側)のガラス壜11の表面には、後続の他方(図10では左側)のガラス壜11に対応するM個の発光部24aからの光が照射されることによる映り込みが形成される心配がある。本実施形態では、ガラス壜11の表面にできる映り込みを検査上問題のない程度に小さくしうる間隔Gを、図3に示す間隔演算部91が計算して設定する。
【0086】
図11は、検査エリアIAを一度に2本のガラス壜11が搬送される場合の例で、先行(実線)のガラス壜11の表面に、後続(二点鎖線)のガラス壜11に対応するM個の発光部24a(図11では黒色で示す)からの光が映り込む様子を示す。ここで、図11におけるM個の発光部24aからの照射光は、対応するガラス壜11の底面を指向しているうえ、遮光板35(図4)がガラス壜11の正面に直接照射されることを防止している。このため、一のガラス壜11の外周面に形成される反射部11rは、他のガラス壜11に対応するM個の発光部24aからの光に起因する。
【0087】
図11において細いガラス壜11Sの表面に形成される反射部11rと、太いガラス壜11Lの表面に形成される反射部11rとを、それぞれ問題にならない程度に小さくしうる間隔Gを設定する。図11に示すように、細いガラス壜11Sと太いガラス壜11Lとで共に、先行と後続の各ガラス壜の中心間距離が同じになるように間隔Gを設定したとすると、カメラ25に撮像された画像中のガラス壜11の胴径に対する反射部11rの占める割合が、ガラス壜11の太さによらずほぼ同じになる。この場合、反射部11rの占める割合が同じでも、反射部11rの実サイズはガラス壜11の胴径が大きいほど大きくなるので、一定サイズ以上のビリBを検出するためには、反射部11rの実サイズを所定の閾値未満に小さくする必要がある。
【0088】
このため、本実施形態の間隔演算部91は、第1の検査モードでは、間隔をガラス壜11の胴径に応じて計算する。詳細には、間隔演算部91は、ガラス壜11の胴径1つ分以上の所定の間隔を計算し、例えば胴径をDwとすると、間隔Gを、式G=M・Dwにより計算する。ここで、Mは1以上の係数である。この場合、発光するM個の発光部24aの両側に、およそ胴径1つ分以上の非発光領域ができるので、N個全ての発光部24aを発光させた場合に比べ、映り込み量が例えば半分以下に低減する。特に本実施形態では、発光部24aからの光は、集光レンズを通って検査用通路20に直交する方向(幅方向Y)に向かうスポット光なので、拡散光に比べ映り込みが発生しにくい。
【0089】
また、一度に2本検査する場合、間隔Gによっては、検査エリアIAで1本のガラス壜11のみが搬送される区間が一時的に存在する。間隔演算部91は、第2の検査モードでは、この区間でその1本のガラス壜11が1/2回転以上かつ1回転未満の所定回転量だけ回転しうる間隔Gを計算する。この間隔Gが確保されれば、ガラス壜11が1本のみで1/2回転以上の回転ができる区間では、映り込みの心配なく、ビリBの全方位的な検査が可能になる。検査エリアIAでガラス壜11を1回転させる構成の場合、間隔演算部91は、3/4回転分の搬送距離、つまり検査エリア長Lの3/4の長さの間隔を計算する。また、検査エリアIAでガラス壜11がN回転する場合、間隔演算部91は、検査エリア長Lと回転数Nの各値を用いて、間隔Gを、式G=3L/4Nにより計算する。
【0090】
ここで、各検査モードにおける間隔Gは、検査精度上、最低確保すべき最小値であり、間隔演算部91は、算出した間隔Gと、要求される単位時間当たりの搬送本数(つまり検査本数)から決まる搬送効率上必要な間隔Gdとを比較し、G≦Gdが成立する場合は、間隔Gdを採用する。つまり、G=Gdになるまで、要求される単位時間当たりの搬送本数に対応できる。なお、G≦Gdが不成立の場合は、対応できない旨を報知する。
【0091】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(7)一定の検査精度を確保しつつ検査エリアIA(検査区間)で一度に複数本のガラス壜11を検査できるので、検査速度(単位時間当たりの検査可能本数)が向上し、単位時間当たりの搬送本数の増加にも対応できる。
【0092】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図12及び図13に基づいて説明する。この第3実施形態は、検査システム10を構成する検査装置100が光透過型の検査方式(光透過方式)である点が異なる。図12に示すように、光透過方式の検査装置100は、光反射方式の検査装置12に対して、カメラ25とLED光源24の位置関係が異なるものの、その他の搬送装置23などの構成は図1に示す検査装置12と同様である。図12に示すように、LED光源24はカメラ25に対して検査用通路20を挟んで反対側に位置する第1搬送ベルト31の下方位置に配置されている。
【0093】
図13に示すように、検査装置100は、第1搬送ベルト31と第2搬送ベルト32との間に挟持されたガラス壜11の胴部11aの下部領域を検査対象としている。カメラ25は、ガラス壜11の胴部11aの下部領域を正面から撮像できる向き及び高さに配置されている。そして、カメラ25に対して胴部11aの下部領域の移動経路を挟んで対向する位置に、LED光源24が配置されている。LED光源24は、搬送方向Xに沿ってN個の発光部24aが配列されてなる列が、上下方向にK列配列されたN×K個の発光部24aがマトリクス状に配列された構造を有する。
【0094】
制御装置50の構成及びその制御内容は基本的に図2に示す第1実施形態のものと同様である。また、図3に示すコンピュータ61内の機能構成も基本的に第1実施形態と同様であり、光透過方式の処理内容である点のみが、前記第1実施形態と異なる。光透過方式の検査装置100では、LED光源24から出射されてガラス壜11を透過した光をカメラ25が撮像する。そして、カメラ25が撮像した画像(フレーム)は、ガラス壜11に存在する泡及び異物が影となった画像である。画像処理部87は、画像切取部97が画像IDからガラス壜11の搬送位置に対応する画像領域を切り取った部分画像Anに対して予め設定された閾値を用いた2値化処理を含む所定の画像処理を施すことで、判定用画像を生成する。なお、2値化処理時の閾値には、泡及び異物等の欠陥の影が黒色(暗部)、その他の光透過した背景が白色(明部)となる値が用いられる。
【0095】
そして、判定部88は、判定用画像中に設定サイズ範囲内の黒領域(影領域)が存在するか否かを判定する。判定部88は、設定サイズ範囲内の黒領域(影領域)が存在すれば、泡又は異物が存在する不良品としてNG判定をし、一方、設定サイズ範囲内の黒領域が存在しなければ、泡及び異物が共に存在しない良品としてOK判定をする。
【0096】
その他、図3示す演算部82を構成する間隔演算部91及び速度演算部92は、第1実施形態と同様の演算処理を行う。このため、ガラス壜11は、検査エリアIAで1回転以上の所定回転量の回転をしながら搬送速度Vcで検査エリアIAを1本ずつ搬送される。また、位置検出部85を構成するタイマ検出部93及びエンコーダ検出部94は、基本的に第1実施形態と同様の位置検出処理を行う。
【0097】
また、発光制御部86を構成する発光数演算部95及び位置補正部96は、基本的に第1実施形態と同様の処理を行う。すなわち、発光数演算部95は、径データD1に基づいてガラス壜11の胴径とほぼ同じ発光幅を確保しうるM個を演算する。また、位置補正部96は、平面視において、ガラス壜11の搬送位置がカメラ25の光軸Cから離れるほど、その搬送位置に対してより離れる側へ補正量ΔLだけ位置補正した位置にM個の発光部24aの発光位置を設定する。本例では、カメラ25のレンズ面の中心とガラス壜11の中心(搬送位置)とを結ぶ方向においてカメラ25側から見てガラス壜11の真後にM個の発光部24aが選択されるように補正量ΔLが設定される。発光制御部86は、発光位置にあるM個の発光部24aをK列全てで発光させる。
【0098】
また、発光数演算部95は、形状データD2に基づきガラス壜11が異形壜である場合、ガラス壜11の回転角に応じたカメラ25側から見たときの幅を求め、その幅に応じた発光数Mを演算する。なお、発光数演算部95が、形状データD2に基づきガラス壜11の被検査部分のカメラ25側から見た2次元形状を求め、その2次元形状に合わせて、1列当たりの発光数Mを上下方向の各列において変化させる発光制御を発光制御部86に行わせてもよい。
【0099】
この第3実施形態によれば、第1実施形態の効果と同趣旨の効果が得られるうえ、以下の効果が得られる。
(8)光透過方式の検査装置100によれば、ガラス壜11を回転させながら搬送するとともに、ガラス壜11の搬送位置に追従するようにM個の発光部24aを移動させるので、ガラス壜11の側部表面への映り込みを低減でき、高い検査精度と高い搬送効率とを両立できる。
【0100】
実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
・検査区間における容器の回転量は、1回転以上に限らず、半回転以上かつ1回転未満の回転量でもよい。この構成でも、ビリBのクラック面からの反射光がいずれかの回転角でカメラ25に入射するので、ビリBの検出はできる。よって、検査区間における容器の回転量は半回転以上であることが好ましい。もちろん、半回転未満の回転量も採用できる。さらに検査区間で容器を2回転又は3回転させてもよい。
【0101】
・補正量ΔLは、搬送位置が光軸Cから離れるほどその値が大きくなる傾向に設定される限りにおいて、搬送位置毎に変化させてもよいし、複数の搬送位置毎に1回変化させる構成でもよい。また、予め決まった補正量ΔLが設定された構成ではなく、検査装置に補正量ΔLを調整可能な調整装置を設け、調整装置により補正量ΔLを調整しつつ検査を行って、検査精度の一番高い補正量ΔLを設定する構成も採用できる。
【0102】
・搬送ベルト31,32の速度V1,V2をワーク径によらず一定としてもよい。例えば想定される最大径のガラス壜が1回転可能な速度V1,V2に設定すれば、これより小さいワーク径の他のガラス壜は、1回転以上の回転が確保される。この場合、搬送速度Vcは要求される検査速度に応じた値とすればよい。
【0103】
・搬送手段は、容器を回転させつつ搬送できる搬送装置であれば足りる。例えばガラス壜を把持する把持部と、把持部を支持する軸状の腕部と、モータにより腕部を軸回転させつつ所定の搬送経路に沿って移動させる移動機構とを備えた搬送装置を採用できる。また、搬送経路に沿って移動しながら回転可能な回転テーブルを備える搬送装置でもよい。
【0104】
・制御装置は、コンピュータが図9に示すプログラムを実行するソフトウェアの構成に限定されず、例えば図3に示す機能ブロックのうち一部の機能ブロックを集積回路等により構成してソフトウェアとハードウェアとが協働する構成としたり、図3に示す機能ブロックの全てを集積回路等により構成したハードウェアとしたりしてもよい。
【0105】
・発光部は連続するM個を発光する構成に限らず、1個おき、2個おき、3個おきなど所定個数おきのM個の発光部を発光する構成でもよい。
・光反射方式の検査装置12により、透光性を有する容器の胴部又は口部を検査してもよい。また、光透過方式の検査装置100により、底部又は口部を検査してもよい。
【0106】
・光源が有するN個の発光部は、LEDに限定されず、ランプでもよい。また、発光部から出射される光は、集光レンズを介して集光させたスポット光に替え、拡散光又はレーザー光でもよい。さらに発光部が出射する光は、可視光に限らず、赤外光でもよい。要するに光学的に容器の欠陥の検査が可能な波長の光(電磁波)であればよい。
【0107】
・透光性を有する容器(透光容器)は、ガラス壜に限定されず、コップ等の食器、灰皿、花瓶などのガラス製の容器でもよい。また、透光容器は、合成樹脂製でもよく、例えばPETボトルでもよい。なお、透光容器は、透明に限らず半透明でもよく、無色でも有色でも構わない。
【0108】
前記実施形態及び変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(a)請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査装置において、前記撮像手段が撮像した画像の中から前記容器の搬送位置に対応する部分画像を切り取る画像切取手段(97)を備え、前記判定手段(88)は、前記部分画像に基づいて前記容器の良否を判定することを特徴とする容器の検査装置。
【0109】
(b)請求項1乃至5、前記技術思想(a)のいずれか一つに記載の検査装置において、前記搬送手段は、前記容器を挟持する一対の搬送ベルトを備え、前記検査区間で前記容器が半回転以上の所定回転量の回転をするように、一対の前記搬送ベルトを前記容器の前記搬送手段に挟持される部分の径に応じた異なる駆動速度で制御する搬送制御手段(84)を更に備えたことを特徴とする容器の検査装置。
【符号の説明】
【0110】
10…検査システム、11…透光性を有する容器の一例としてのガラス壜、12…検査装置、13…搬入装置、14…搬送手段の一例としての搬出装置、15…間隔調整装置、20…検査用通路、21,22…ベルト装置、24…光源の一例としてのLED光源、24a…発光部、25…撮像手段の一例としてのカメラ、31…搬送手段の一例を構成する第1搬送ベルト、32…搬送手段の一例を構成する第2搬送ベルト、33…搬送手段の一例を構成する第1モータ、34…搬送手段の一例を構成する第2モータ、35…遮光板、36…センサ、41…不良回収装置、48…操作手段の一例としての操作パネル、50…制御装置、61…コンピュータ、71…CPU、81…主制御部、82…演算部、83…間隔制御部、84…搬送制御部、85…位置検出部、86…制御手段の一例としての発光制御部、87…判定手段の一例を構成する画像処理部、88…判定手段の一例構成する判定部、89…排出制御部、91…間隔演算部、92…速度演算部、93…タイマ検出部、94…エンコーダ検出部、95…発光数演算部、96…位置補正部、97…画像切取部、100…検査装置、X…搬送方向、Y…幅方向、IA…検査区間の一例としての検査エリア、D1…径情報の一例である径データ、D2…形状情報の一例である形状データ、B…欠陥の一例としてのビリ、V1…第1速度、V2…第2速度、x(x1〜xn)…搬送位置、Vc…搬送速度、ID…画像、An…部分画像、C…光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する容器の欠陥の有無を光学的に検査する検査装置であって、
前記容器を回転させつつ検査区間を搬送させる搬送手段と、
前記検査区間に沿って配列されたN個(但しNは2以上の自然数)の発光部を有する光源と、
前記N個のうち前記検査区間を搬送される前記容器の搬送位置に対応するM個(但しMはN未満の自然数)の発光部を発光させるとともに、前記M個の発光部による発光位置を前記容器の搬送に追従して移動させる制御を行う制御手段と、
前記検査区間を搬送される前記容器を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像に基づいて前記容器の良否を判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする容器の検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検査区間において前記容器が前記撮像手段の光軸に対して搬送方向上流側に位置するときほど、前記発光位置を前記容器の搬送位置に対して搬送方向上流側へよりシフトさせ、前記容器が前記撮像手段の光軸に対して搬送方向下流側に位置するときほど、前記発光位置を前記容器の搬送位置に対して搬送方向下流側へよりシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の容器の検査装置。
【請求項3】
前記容器の径に関する径情報を与えるために操作される操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記径情報に基づく径の値に応じて前記M個を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器の検査装置。
【請求項4】
前記容器の回転方向の異方形状に関する形状情報を与えるために操作される操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記形状情報に基づき前記容器が異方形状である場合は、前記容器の回転位置と前記形状情報とに基づき把握される前記撮像手段側から見た当該容器の幅に応じて、発光させる前記発光部の前記M個を変化させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の容器の検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段が、前記M個の発光部からの光が前記容器の欠陥で反射した反射光を撮像する光反射型の検査方式であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の容器の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−108816(P2013−108816A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253320(P2011−253320)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000128131)株式会社エヌテック (16)
【Fターム(参考)】