説明

容器の認識装置

【課題】本発明は使用済みの注射薬等の容器を廃棄しながら種類、本数、ロット番号、使用期限、日時を認識することを実現可能とした容器の認識装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】一端から他端に向けて下向きに傾斜して構成された傾斜板8と、この傾斜板8よりも下方に位置し、平面視した場合に傾斜板8の他端から延在する延在部を有すると共に、傾斜板8の他端側から一端側に向けて下向きに傾斜して構成され、更には、その内部断面積が傾斜板8の一端側に向けて順次小さくなる様に構成された容器投入シュート4と、容器投入シュート4から排出された所定の容器を掴持する容器チャック部5と、この容器チャック部5で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の認識装置に関する。詳しくは、例えば、手術室、ナースステーション、あるいは薬剤部での点滴用注射薬に際して使用したアンプルやバイル等の容器の認識装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、手術では麻酔科医が麻酔の投薬を行う場合には点滴用輸液に各種の注射薬を混合して点滴が行われる。この際には使用した注射薬の種類や数量及び使用した日時等を記録しなければならない。
【0003】
従って、注射薬の混合を行う時は両手が塞がっているので、混合後(もしくは、手術中)に麻酔科医が記憶している内容を(もしくは、使用済の注射薬容器を廃棄用ボックスから取り出しながら)パソコンや伝票等に使用済みの薬品及び日時等の事後入力を行っているのが現状である。
【0004】
しかしながら、事後入力を行う場合には、検品もれや、入力ミスが多く、また、医師、看護師に多くの労力が強いられる問題がある。
【0005】
ここで、本発明者は前記問題点を解消するための特許出願を行った。具体的には、特許文献1に記載された使用済み薬品の自動認識システムは、使用済み注射薬の収納容器を回収する回収手段と、この回収手段によって回収された使用済み注射薬の収納容器の形状とピッキング位置を自動認識してピッキングするピッキング手段とを有する。
【0006】
更に、薬品情報を記録する薬品情報記録手段と、ピッキング手段によってピッキングされた収納容器に記載された薬品情報をカメラで読み取る薬品情報読み取り手段と、この薬品情報読み取り手段によって記録されている薬品情報を薬品情報読み取り手段によって読み取られた薬品情報を照合することにより薬品の種類を特定する薬品認識手段を備えた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−131485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された使用済み薬品の自動認識システムでは、回収された使用済み注射薬の収納容器をピッキングして薬品情報をカメラで読み取るものであるが、事後処理であるために使用時の正確な時刻、薬品の種類、本数を認識することができない問題がある。
【0009】
従って、注射薬を扱う場合には医師等が使用済み注射薬等が認識されたデータに使用時の時刻、薬品の種類、本数の修正を行わなければならず、業務量が増え非効率である。
【0010】
また、使用済みの注射薬の回収手段と、この回収手段によって回収された使用済み注射薬をピッキングするピッキング手段と、ピッキングした使用済み注射薬をカメラで読み取る薬品情報読み取り手段は、場所を多く取る為、手術室やナースステーション内で設置することは困難となる問題がある。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、使用済みの注射薬等の容器を廃棄しながら種類、日時を認識することを実現可能とした容器の認識装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る容器の認識装置は、一端から他端に向けて下向きに傾斜して構成された傾斜板と、該傾斜板よりも下方に位置し、平面視した場合に前記傾斜板の他端から延在する延在部を有すると共に、前記傾斜板の他端側から一端側に向けて下向きに傾斜して構成され、更には、その内部断面積が前記傾斜板の一端側に向けて順次小さくなる様に構成された容器投入シュートと、該容器投入シュートから排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備える。
【0013】
例えば、アンプル、バイアルあるいはシリンジ等の注射薬が収納された容器では、縦長円柱形状のものが一般的である。
ここで、その内部断面積が傾斜板の一端側に向けて順次小さくなる様に構成された容器投入シュートによって、容器投入シュート内を滑り落ちる縦長円柱形状の容器は、その開口側、あるいは底側が排出口に向けた状態に強制的に修正可能とされる。
【0014】
更に、容器投入シュートから排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、この容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備えることによって、例えば、注射薬容器に附された薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限および使用日時を認識することが可能となる。
【0015】
また、傾斜板の他端との間に一定間隔を設けて配置された容器停止板を備えることによって、傾斜板の一端より他端に向けて回転しながら移動する容器は容器停止板に衝突して容器投入シュート内に落下することで確実にその開口側、あるいは底側が排出口に向けた状態となることが好ましい。
【0016】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る容器の認識装置は、その内部断面積が投入口から排出口に向けて順次小さくなる様に形成されたラッパ形状またはメガホン形状の容器投入シュートと、前記排出口から排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備える。
【0017】
例えば、アンプル、バイアルあるいはシリンジ等の注射薬が収納された容器では、縦長円柱形状のものが一般的である。
ここで、その内部断面積が投入口から排出口に向けて順次小さくなるように形成されたラッパ形状またはメガホン形状の容器投入シュートによって、容器投入シュート内を滑り落ちる縦長円柱形状の容器は、その開口側、あるいは底側が排出口に向けた状態に強制的に修正可能とされる。
【0018】
更に、排出口から排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備えることによって、例えば、注射薬容器に附された薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限および使用日時を認識することが可能となる。
【0019】
また、容器投入シュートは、投入口から排出口までの少なくとも一部の領域の内部断面積が増減自在に制御可能に構成されることによって、容器の外径に応じて排出口の口径を調整して容器を一旦係止した後に、排出口より容器が排出されることで容器が振れることがなく、かつ容器チェック部に弾かれることなく容器の掴持を確実に行われることが好ましい。
【0020】
また、容器チャック部は、同容器チャック部で掴持する容器の軸心を中心軸として回転可能に構成されることによって、注射薬容器に付された薬品情報を情報認識部で確実に読み取れることが好ましい。
【0021】
また、情報認識部は、容器チャック部で掴持された容器に附されたバーコード表示を認識可能に構成されることによってパーソナルコンピューターにより容器に記された情報の認識が容易に行われることが好ましい。
【0022】
また、容器シュート部は着脱自在に構成されると共に、紙材あるいは合成樹脂材で形成されることによって使用頻度に応じて消耗品として自在に取り替えられることが好ましい。
【0023】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る容器の認識装置は、投入口及び排出口を有し、投入口から投入された所定の容器を排出口から所定の向きで排出可能に構成された容器投入シュートと、該容器投入シュートから排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備える。
【0024】
例えば、アンプル、バイアルあるいはシリンジ等の注射薬が収納された容器では、縦長円柱形状のものが一般的である。
ここで、投入口から投入された所定の容器を排出口から所定の向きで排出可能に構成された容器投入シュートによって、容器投入シュート内を滑り落ちる縦長円柱形状の容器は、その開口側、あるいは底側が排出口に向けた状態に強制的に修正可能とされる。
【0025】
更に、容器投入シュートから排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備えることによって、例えば、注射薬容器に附された薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限および使用日時を認識することが可能となる。
【0026】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る容器の認識装置は、一端から他端に向けて下向きに傾斜して構成された半円筒形状の容器投入シュートと、該容器投入シュートよりも下方に位置し、平面視した場合に前記容器投入シュートの他端から延在する延在部を有すると共に、前記容器投入シュートの他端側から一端側に向けて下向きに傾斜して構成され、更には、その断面形状がV字形状に折り曲げ形成された容器排出シュートと、該容器排出シュートから排出された所定の容器を保持しながら回転させる容器回転ローラーと、該容器に附された所定の情報を認識する撮像装置とを備える。
【0027】
例えば、アンプル、バイアルあるいはシリンジ等の注射薬が収納された容器では、縦長円柱形状のものが一般的である。
ここで、投入口から投入された縦長円柱形状の容器は、一端から他端側から一端側に向けて下向きに傾斜して構成された半円筒形状の容器投入シュート内を滑り落ち、更には、その断面形状がV字形状に折り曲げ形成された容器排出シュートに落下し、その開口側、あるいは底側が排出口に向けた状態に強制的に修正可能とされる。
【0028】
更に、容器排出シュートから排出された所定の容器を保持しながら、回転させる容器回転ローラーと、該容器に附された所定の情報を認識する撮像装置とを備えることによって、例えば、注射薬容器に附された薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限および使用日時を認識することが可能となる。
【0029】
また、容器投入シュートは、その内部断面積が一端から他端に向けて順次小さくなる様に形成されることによって、容器投入シュート内を滑り落ちる縦長円柱形状の容器は、その開口側、あるいは底側が容器排出シュートに向けた状態に強制的に修正することが可能となる。
【0030】
また、容器排出シュート内に形成され、同容器排出シュートの内部を覆う容器停止板を備えることによって、容器排出シュートの他端より容器は容器停止板に衝突して容器排出シュート内に落下することで確実にその開口側、あるいは底側が排出口に向けた状態となることが好ましい。
【0031】
また、容器回転ローラーの回転軸に沿って立設されると共に、容器回転ローラーの外周面の一部が露出する状態で同容器回転ローラーの両側に配置された容器保持板を備えることによって、容器を容器回転ローラー上に保持した状態で回転させて撮像装置で、例えば、注射薬容器に附された薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限および使用日時を確実に認識することが可能となる。
【0032】
更に、少なくとも一方の容器保持板は、その下端が回転ローラーと接近離間自在に構成されることによって、撮像装置による認識後に容器を容器回転ローラーから廃棄させることが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の容器の認識装置によれば、例えば、手術室、ナースステーション、あるいは薬剤部での輸液および注射器に投入後の注射薬の容器を廃棄しながら同時に薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限及び日時を認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用した容器の認識装置の一例を説明するための立体模式図である。
【図2】本発明を適用した容器の認識装置の内部機構の一例を説明するための模式図である。
【図3】本発明を適用した容器の認識装置の他の例を説明するための立体模式図である。
【図4】本発明を適用した容器の認識装置の他の例の内部機構の一例を説明するための断面模式図である。
【図5】本発明を適用した容器の認識装置の容器投入シュートを説明するための模式図である。
【図6】本発明を適用した容器の認識装置の他の例の作用状態を説明するための模式図である。
【図7】本発明を適用した容器の認識装置の他の例を説明するための全体模式図である。
【図8】本発明を適用した容器の認識装置における容器投入シュートの他の例を説明するための模式図である。
【図9】本発明を適用した容器の認識装置の容器排出シュートの一例を説明するための模式図である。
【図10】本発明を適用した容器の認識装置の容器回転ローラーの一例を説明するための模式図である。
【図11】本発明を適用した容器の認識装置の他の例における使用状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0036】
<第1の実施の形態>
図1は本発明を適用した容器の認識装置の一例を説明するための立体模式図、図2は本発明を適用した容器の認識装置の内部機構の一例を説明するための模式図である。
【0037】
ここで示す認識装置1は、上部が投入口2とされ、その下部に排出口3が形成された容器投入シュート4と、排出口3に配置される容器チャック部5と、容器のラベルに印刷された所定の情報を読み取る情報認識部6とから構成されている。
【0038】
ここで、投入口2は方形状とされると共に、投入口2の一辺7より対向する容器停止板10に向けて下向きに傾斜板8が設けられ、容器停止板10との間に使用済みの容器(図示せず。)が転がりながら通過可能な開口幅を有する容器落下口9が形成されている。
【0039】
また、容器投入シュート4は傾斜板8の他辺側より容器落下口9の排出口3に向けて下向きに傾斜された構成とされている。更に、容器投入シュート4は、その内部断面積が排出口3に向けて順次小さくなるように形成されている。
【0040】
また、排出口3の出口側には容器チャック部5が配置される。この容器チャック部5は排出口3より排出される使用済み容器(図示せず。)の一端を掴持して回転可能な構成とされている。
【0041】
また、情報認識部6は容器チャック部5の近傍に配置され、容器チャック部5で掴持された使用済み容器に貼られたラベルに印刷される各種情報を読み取る構成とされている。
【0042】
この情報認識部6は、バーコードリーダーでラベルに記載されたバーコードによる所定の情報を読み取り、事前にパーソナルコンピューターに入力記録されている各種の情報としてのデータと照合を行うことにより容器に収納されていた内容物の特定、認識が可能となる。
【0043】
また、容器投入シュート4上方位置には容器確認センサー11が設置される。更に、容器チャック部5の下方には容器回収ボックス12が配置されている。この容器回収ボックス12は、容器チャック部5で掴持された容器が情報認識部6で所定の情報が読み取られた後に、廃棄される構成とされている。
【0044】
本発明を適用した第1の実施の形態では、使用済み注射薬容器について詳述する。例えば手術室等で麻酔等の混合輸液に使用された使用済み容器Aは縦長円柱形状とされる。
【0045】
ここで、投入口2に投入された縦長円柱形状とされた使用済み容器Aは傾斜板8上を転がり、対向する容器停止板10の面に衝突して容器落下口9内に落ち込む。この際に使用済み容器Aは対向する容器停止板10の面に衝突することで一端静止した状態で落下すこととなる。
【0046】
更に、使用済み容器Aは、容器落下口9内より容器投入シュート4上に落下する。この際に、容器投入シュート4は、その内部断面積が排出口3に向けて順次小さくなるように曲面状に形成されていることで、その使用済み容器Aの開口側、あるいは底側が排出口3に向けて反転した状態となる。
【0047】
このような状態で使用済み容器Aの開口側、あるいは底側が排出口3に向いた状態で排出口3へ滑り落ちて行く。この際に、排出口3近傍に配置された容器確認センサー11で容器Aの通過が検知される。
【0048】
そして、排出口3より使用済み容器Aの開口側、又は底側から排出されると同時に容器確認センサー11の検知により容器チャック部5が作動して使用済み容器Aの開口側、又は底側部分を掴持する。
【0049】
ここで、容器チャック部5が使用済み容器Aを掴持した状態で回転し、情報認識部6で使用済み容器Aに貼着されたラベルに記載された所定の情報、例えば薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限等の薬品情報を読み取る。
【0050】
また、情報認識部6で読み取られた薬品情報は、事前にパーソナルコンピューターBに入力記録されている各種の注射薬のバーコード情報と照合されることで注射薬の特定、認識及び使用日時の特定が可能となる。
【0051】
このようにして、使用済み容器Aは情報認識部6で薬品情報が読み取られた後に、容器チャック部5による掴持が解除されることで落下して容器回収ボックス12内に廃棄される。
【0052】
以上の構成よりなる本発明の使用済み注射薬容器の認識装置では、通常の容器回収ボックス上に配置できる大きさであるために、点滴用輸液に各種の注射薬による混合を行う者の近傍に配置することが可能となる。
【0053】
また、容器投入シュート4内に投入される使用済み容器Aは、常に開口側、あるいは底側が排出口に向いた状態で排出されることで、容器チャック部で確実に掴持することが可能となる。
【0054】
また、使用ごとの薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限及び使用日時を自動的に検品することで医師、薬剤師及び看護師の業務負担を大幅に軽減することができ、かつ確実に薬品の本数を把握することができるために、請求誤差、あるいは在庫管理の無駄を省くことが可能となる。
【0055】
なお、本実施の形態に係る容器停止板は、傾斜板を転がり落ちる容器を容器停止板で停止させて容器投入シュート内に落下させることで容器を確実に反転させる機構とするものであるが、必ずしも容器停止板を設ける必要性はない。
【0056】
例えば、傾斜板を短くして容器を容器投入シュート内に落下させ構成とするものであっても構わないが、容器を一旦停止させることで容器投入シュート内での容器を確実に反転させるという点において容器停止板を採用した方が好ましい。
【0057】
また、本実施の形態に係る容器チャック部は、容器チャック部で掴持する容器の軸心を中心軸として回転可能とすることで情報認識部を固定した状態で容器に付された情報を読み取ることが可能とするものであるが、必ずしも容器チャック部を回転可能とする必要性はない。
【0058】
例えば、情報認識部を容器の軸心に対して周回可能とする構成のものであっても構わないが、容器の大きさに関係なく、確実に情報を読み取ることができるという点において容器チャック部を回転させる機構を採用した方が好ましい。
【0059】
また、本実施の形態に係る情報認識部は、容器チャック部で掴持された容器に附されたバーコード表示を認識可能とすることで、バーコードリーダーによる情報を読み取ることを可能とするものであるが、必ずしもバーコードリーダーによる読み取りとする必要性はない。
【0060】
例えば、容器のラベルに記載された文字情報をカメラで読み取る構成であっても構わないが、一般的に容器にはバーコードが付されており、確実、かつ機構を簡素化できるという点においてバーコードリーダーによる読み取りを採用した方が好ましい。
【0061】
また、本実施の形態に係る容器シュート部は着脱自在に構成されると共に、紙材あるいは合成樹脂材で形成された構成とすることで容器シュート部の洗浄等の手間を省くことができるものであるが、必ずしも紙材あるいは合成樹脂材で形成する必要性はない。
【0062】
例えば、容器シュート部をステンレス板等で形成して、定期的に洗浄を行う構成のものであっても構わないが、容器シュート部に付着した薬物の危険性、あるいは煩雑さの点において着脱自在とした紙材あるいは合成樹脂材を採用した方が好ましい。
【0063】
<第2の実施の形態>
図3は本発明を適用した容器の認識装置の他の例を説明するための立体模式図、図4は本発明を適用した容器の認識装置の内部機構の他の例を説明するための模式図である。
【0064】
ここで示す認識装置1Aは、上部が投入口2とされ、その下部に排出口3が形成された容器投入シュート4Aと、排出口3に配置される容器チャック部5と、容器のラベルに印刷された情報を読み取る情報認識部6とから構成されている。
【0065】
ここで、容器投入シュート4Aは図5(図5(イ)は容器投入シュートの展開図を示し、図5(ロ)は容器投入シュートの組立状態を示す。)に示すように、合成樹脂板、あるいは紙材などの弾性体より薄板状に形成されている。(図5(イ)参照。)
【0066】
このような容器投入シュート4Aをメガホン状に折り曲げることで展開状に戻ろうとする付勢力が作用する状態となる。
【0067】
そこで、同心軸線上に環状の支持部材13、13Aが上下位置に配置され、上方の支持部材13が大径とされると共に、下方の支持部材13Aが小径とされ、これらの支持部材13、13A内にメガホン状に折り曲げられた容器投入シュート4Aが挿入されている。(図5(ロ)参照。)
【0068】
従って、容器投入シュート4Aは投入口2より排出口3に向けてその内部断面積が順次小さくなるように保持される。
【0069】
また、下方の支持部材13Aは、例えば電動モータ等の駆動によりその内径が拡径、あるいは縮径できる排出口径調整手段(図示せず。)が設けられた構成とされている。
【0070】
更に、排出口3の出口側には容器チャック部5が配置される。この容器チャック部5は排出口3より排出される使用済み容器(図示せず。)の一端を把持して回転可能な構成とされている。
【0071】
また、情報認識部6は容器チャック部5の近傍に配置され、容器チャック部5で掴持された使用済み容器に貼られたラベルに印刷される所定の各種情報を読み取る構成とされている。
【0072】
この情報認識部6は、バーコードリーダーでラベルに記載されたバーコードによる所定の情報を読み取り、事前にパーソナルコンピューターBに入力記録されている各種の情報としてのデータと照合を行うことにより容器の特定、認識が可能となる。
【0073】
本発明を適用した第2の実施の形態における使用済み容器の認識装置では、使用済み注射薬容器について詳述する。例えば手術室等で麻酔等の混合輸液に使用された使用済み容器Aは縦長円柱形状とされる。
【0074】
ここで、図6に示すように、手術室等で麻酔等の混合輸液に使用された使用済み容器Aが容器投入シュート4Aの投入口2内に廃棄される。
この容器投入シュート4A内は投入口2より排出口3に向けてその内部断面積が順次小さくなるように保持されることで使用済み容器Aの開口側、あるいは底側が排出口3に向いた状態で排出口3へ滑り落ちて行く。
【0075】
そこで、事前に排出口3の内径が排出口径調整手段15で使用済み容器Aの断面径より小となるような状態とされており、使用済み容器Aの開口側、あるいは底側が排出口3で停止した状態となる。
【0076】
この際に、排出口3近傍に配置された容器確認センサー11で使用済み容器Aが検知される。
【0077】
そして、容器確認センサー11で使用済み容器Aが検知されると同時に排出口径調整手段(図示せず。)で排出口3を拡げて使用済み容器Aを排出口3より吐出させる。
【0078】
ここで、排出口3より使用済み容器Aの開口側、又は底側が排出されると同時に容器チャック部5が作動して使用済み容器Aの開口側、又は底側部分を掴持する。
【0079】
ここで、容器チャック部5が使用済み容器Aを掴持した状態で回転することで情報認識部6のバーコードレーダーで使用済み容器Aに貼着されたラベルに記載されるバーコードによる薬品情報を読み取る。
【0080】
また、情報認識部6で読み取られた薬品情報は、事前にパーソナルコンピューターBに入力記録されている各種の注射薬のバーコード情報と照合を行うことで注射薬の特定、認識及び使用日時の特定が可能となる。
【0081】
このようにして、使用済み容器Aは情報認識部6で薬品情報が読み取られた後に、容器チャック部5による掴持が解除されることで落下して容器回収ボックス12内に廃棄される。
【0082】
なお、本実施の形態に係る情報認識部は、容器チャック部で掴持された容器に附されたバーコード表示を認識可能とすることで、バーコードリーダーによる情報を読み取ることを可能とするものであるが、必ずしもバーコードリーダーによる読み取りとする必要性はない。
【0083】
例えば、容器のラベルに記載された文字情報をカメラで読み取る構成であっても構わないが、一般的に容器にはバーコードが付されており、確実、かつ機構を簡素化できるという点においてバーコードリーダーによる読み取りを採用した方が好ましい。
【0084】
また、本実施の形態に係る容器投入シュートは、容器の外径に合わせて排出口の口径を調整して容器を一旦停止させた後に排出することで容器チャック部による容器の掴持を確実に行うものであるが、必ずしも排出口の口径を調整する必要性はない。
【0085】
例えば、容器の大小に関係なく、停止させることなく排出口より排出させる構成であっても構わないが、容器がブレたり、あるいは容器チャック部に弾かれることなく、確実に掴持できるという点において、排出口の口径を調整できる機構を採用した方が好ましい。
【0086】
また、本実施の形態に係る容器シュート部は着脱自在に構成されると共に、紙材あるいは合成樹脂材で形成された構成とすることで容器シュート部の洗浄等の手間を省くことができるものであるが、必ずしも紙材あるいは合成樹脂材で形成する必要性はない。
【0087】
例えば、容器シュート部をステンレス板等で形成して、定期的に洗浄を行う構成のものであっても構わないが、容器シュート部に付着した薬物の危険性、あるいは煩雑さの点において着脱自在とした紙材あるいは合成樹脂材を採用した方が好ましい。
【0088】
以上の構成よりなる本発明の容器の認識装置では、容器投入シュートが合成樹脂板、あるいは紙等を使用することで消耗品として使用頻度に応じて取り替えることが可能となる。
【0089】
また、容器投入シュート内に投入される使用済み容器Aは、常に開口側、あるいは底側が排出口に向いた状態で排出されることで、確実に掴持することが可能となる。
【0090】
また、使用ごとの薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限及び使用日時を自動的に検品することで医師、薬剤師及び看護師の業務負担を大幅に軽減することができ、かつ確実に薬品の本数を把握することができるために、請求誤差、あるいは在庫管理の無駄を省くことが可能となる。
【0091】
<第3の実施の形態>
図7は本発明を適用した容器の認識装置の他の例を説明するための全体模式図、図8は本発明を適用した容器の認識装置における容器投入シュートの他の例を説明するための模式図である。また、図9は本発明を適用した容器の認識装置の容器排出シュートの一例を説明するための模式図である。
【0092】
ここで示す認識装置1Bは、下部にキャスター26が取り付けられ、上端面がパソコン等を載置するテーブル27とされた筺体28のテーブル27の下方位置に投入口2Aが開口されている。そして、投入口2Aの下部に、容器投入シュート4Bが下向きに傾斜された状態で設置されている。
【0093】
この容器投入シュート4Bは、図8に示すように、その下部が排出口3Aとされる共に、その内部断面積が排出口3Aに向けて順次小さくなるように半円筒形状に形成されている。
【0094】
また、容器投入シュート4Bの排出口3Aの下部には、この容器投入シュート4Bの投入方向に向けて下向きに傾斜された容器排出シュート14が設置されている。
【0095】
この容器排出シュート14は、図9に示すように、その内部断面がV字形状に折り曲げ形成されると共に、容器投入シュート4Bの排出口3A側には、容器排出シュート14の内部形状に沿って覆うように容器停止板10A及びその下部側には容器送出口15が配置されている。
【0096】
この容器停止板10Aは、容器投入シュート4Bの排出口3Aと対向する位置となるように配置されている。これにより、容器投入シュート4Bの排出口3Aより転がりながら落下する使用済みの容器(図示せず。)が容器停止板10Aに衝突して静止した状態で容器排出シュート14内に落下する。更に、使用済み容器Aは、その開口側、あるいは底側が容器送出口15に向いた状態で排出される。
【0097】
次に、図10(図10(A)は本発明を適用した容器の認識装置の容器回転ローラーの機構の一例を説明するための正面模式図を示し、図10(B)は本発明を適用した容器の認識装置の容器回転ローラーの機構の一例を説明するための側面模式図を示す。)は本発明を適用した容器の認識装置の容器回転ローラーの一例を説明するための模式図である。
【0098】
また、容器排出シュート14の容器送出口15の延長方向には、電動モータ16で駆動回転可能とされた容器回転ローラー17が配置されている。
【0099】
この容器回転ローラー17は、容器排出シュート14の下端線と、容器回転ローラー17の回転軸線が同一方向とされると共に、容器回転ローラー17の外周面20が容器排出シュート14から排出される使用済み容器Aと略同一延長線上に設置されている。
【0100】
これにより、容器排出シュート14の容器送出口15より使用済みの容器(図示せず。)が容器回転ローラー17の外周面20上に送出される。
【0101】
ここで、容器回転ローラー17の回転軸21に沿って、その両側に上方に向けて拡径状とされた容器保持板18、18Aが配置されている。
【0102】
この容器保持板18、18Aは、その下端19、19Aが容器回転ローラー17の外周面の一部が露出するように一定間隔を設けて配置されている。
【0103】
更に、容器回転ローラー17の回転方向側の容器保持板18Aは、その上部が支持部22で連結枢支されると共に、電動モータ16と連動されることで図中B矢印方向へ容器保持板18Aの下端19Aが開閉される構成とされている。
【0104】
また、容器保持板18Aの下方には前記図7に示すように、容器回収ボックス12Aが配置され、容器保持板18Aの下端19Aが開いて使用済みの容器が落下して回収される構成とされている。更に、容器回収ボックス12Aは、筺体28に対して着脱自在な構成とされている。
【0105】
また、容器回転ローラー17の上方位置には、所定の光学系とCCD等の撮像素子を用いて構成される撮像装置25が配置されている。
【0106】
この撮像装置25は、バーコードリーダーでラベルに記載されたバーコードによる所定の情報を読み取り、事前にパーソナルコンピューター(図示せず。)に入力記録されている各種の情報としてのデータと照合を行うことにより容器の特定、認識が可能となる。
【0107】
本発明を適用した第3の実施の形態では、使用済み注射薬容器について詳述する。例えば手術室等で麻酔等の混合輸液に使用された使用済み容器Aは縦長円柱形状とされる。
【0108】
ここで、図11に示すように、投入口2Aに投入された縦長円柱形状とされた使用済み容器Aは容器投入シュート4B上を転がり、その排出口3Aと対向する容器停止板10A面に衝突して容器排出シュート14内に落ち込む。この際に使用済み容器Aは対向する容器停止板10Aの面に衝突することで一端静止した状態で落下することとなる。
【0109】
更に、使用済み容器Aは、その内部断面がV字形状に折り曲げ形成された容器排出シュート14内に落下することで、その使用済み容器Aの開口側、あるいは底側が容器送出口15に向けた状態となる。
【0110】
このような状態で使用済み容器Aの開口側、あるいは底側が容器排出シュート14の容器送出口15に向いた状態で容器送出口15へ滑り落ちて行く。
【0111】
そして、容器送出口15より使用済み容器Aの開口側、又は底側から容器回転ローラー17の外周面20上に送出されると同時に、使用済み容器Aは、容器保持板18、18Aで保持される。
【0112】
ここで、容器回転ローラー17が電動モータ16で駆動回転されることで使用済み容器Aは回転する。この際に、使用済み容器Aが保持された状態で回転することで撮像装置25により使用済み容器Aに貼着されたラベルに記載された所定の情報、例えば薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限等の薬品情報を読み取られる。
【0113】
また、情報認識部6で読み取られた薬品情報は、事前にパーソナルコンピューターに入力記録されている各種の注射薬のバーコード情報と照合されることで注射薬の特定、認識及び使用日時の特定が可能となる。
【0114】
このようにして、使用済み容器Aは撮像装置25で薬品情報が読み取られた後に、容器保持板18Aの下端19Aが開いて使用済みの容器Aが容器回収ボックス12A内に落下して回収される。
【0115】
なお、本実施例の認識装置1Bでは、容器投入シュート4B、容器排出シュート14、容器回転ローラー17等を筺体28より着脱自在な構成とすることで使用済みの容器内の残存液が付着しても容易に洗い流せる形態とする。
【0116】
また、容器投入シュート4B及び容器排出シュート14の内面には取替え自在な吸水シート(図示せず。)を取り付けることで使用済みの容器内の残存液が漏れ出しても吸水するできる構成とすることが望ましい。
【0117】
以上の構成よりなる本発明の使用済み注射薬容器の認識装置では、通常の容器回収ボックス上に配置できる大きさであるために、点滴用輸液、あるいは注射器に各種の注射薬による混合を行う者の近傍に配置することが可能となる。
【0118】
また、使用済み容器Aは、常に開口側、あるいは底側が排出口に向いた状態で排出されることで、容器回転ローラー17で回転させて撮像装置で薬品情報の確実な読み取りが可能となる。
【0119】
また、使用ごとの薬品の種類、本数、ロット番号、使用期限及び使用日時を自動的に検品することで医師、薬剤師及び看護師の業務負担を大幅に軽減することができ、かつ確実に薬品の本数を把握することができるために、請求誤差、あるいは在庫管理の無駄を省くことが可能となる。
【符号の説明】
【0120】
1、1A、1B 認識装置
2、2A 投入口
3、3A 排出口
4、4A、4B 容器投入シュート
5 容器チャック部
6 情報認識部
7 一辺
8 傾斜板
9 容器落下口
10、10A 容器停止板
11 容器確認センサー
12、12A 容器回収ボックス
13、13A 支持部材
14 容器排出シュート
15 容器送出口
16 電動モータ
17 容器回転ローラー
18、18A 容器保持板
19、19A 下端
20 外周面
21 回転軸
22 支持部
25 撮像装置
26 キャスター
27 テーブル
28 筺体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端に向けて下向きに傾斜して構成された傾斜板と、
該傾斜板よりも下方に位置し、平面視した場合に前記傾斜板の他端から延在する延在部を有すると共に、前記傾斜板の他端側から一端側に向けて下向きに傾斜して構成され、更には、その内部断面積が前記傾斜板の一端側に向けて順次小さくなる様に構成された容器投入シュートと、
該容器投入シュートから排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、
該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備える
容器の認識装置。
【請求項2】
前記傾斜板の他端との間に一定間隔を設けて配置された容器停止板を備える
請求項1に記載の容器の認識装置。
【請求項3】
その内部断面積が投入口から排出口に向けて順次小さくなる様に形成されたラッパ形状またはメガホン形状の容器投入シュートと、
前記排出口から排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、
該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備える
容器の認識装置。
【請求項4】
前記容器投入シュートは、前記投入口から前記排出口までの少なくとも一部の領域の内部断面積が増減自在に制御可能に構成された
請求項3に記載の容器の認識装置。
【請求項5】
前記容器チャック部は、同容器チャック部で掴持する容器の軸心を中心軸として回転可能に構成された
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の容器の認識装置。
【請求項6】
前記情報認識部は、前記容器チャック部で掴持された容器に附されたバーコード表示を認識可能に構成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の容器の認識装置。
【請求項7】
前記容器シュート部は着脱自在に構成されると共に、紙材あるいは合成樹脂材で形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の容器の認識装置。
【請求項8】
投入口及び排出口を有し、投入口から投入された所定の容器を排出口から所定の向きで排出可能に構成された容器投入シュートと、
該容器投入シュートから排出された所定の容器を掴持する容器チャック部と、
該容器チャック部で掴持された容器に附された所定の情報を認識する情報認識部とを備える
容器の認識装置。
【請求項9】
一端から他端に向けて下向きに傾斜して構成された半円筒形状の容器投入シュートと、
該容器投入シュートよりも下方に位置し、平面視した場合に前記容器投入シュートの他端から延在する延在部を有すると共に、前記容器投入シュートの他端側から一端側に向けて下向きに傾斜して構成され、更には、その断面形状がV字形状に折り曲げ形成された容器排出シュートと、
該容器排出シュートから排出された所定の容器を保持しながら回転させる容器回転ローラーと、
該容器に附された所定の情報を認識する撮像装置とを備える
容器の認識装置。
【請求項10】
前記容器投入シュートは、その内部断面積が一端から他端に向けて順次小さくなる様に形成された
請求項9に記載の容器の認識装置。
【請求項11】
前記容器排出シュート内に形成され、同容器排出シュートの内部を覆う容器停止板を備える
請求項9または請求項10に記載の容器の認識装置。
【請求項12】
前記容器回転ローラーの回転軸に沿って立設されると共に、前記容器回転ローラーの外周面の一部が露出する状態で同容器回転ローラーの両側に配置された容器保持板を備え、
少なくとも一方の容器保持板は、その下端が前記回転ローラーと接近離間自在に構成された
請求項9、請求項10または請求項11に記載の容器の認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−161597(P2012−161597A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6868(P2012−6868)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(507395717)株式会社ソルブ (5)
【Fターム(参考)】