説明

容器を封止するための磁気パルス溶接方法および封止装置ならびに封止容器

容器10を封止するためのパルス磁気溶接方法および溶接用誘導コイルを提供する。本発明の方法は、開放端12を有する容器本体11ならびに溶接部および鍔部15を有する蓋13を用意するステップを含む。容器本体11と溶接部14との間にエアギャップ16を設けるため、溶接部14における蓋13の径は、容器本体11の直径よりも小さい。蓋13が、容器本体11の開放端12の内部に置かれる。蓋13の溶接部14の位置において、容器本体11を囲んで、溶接用誘導コイル18が設けられる。溶接用誘導コイル18を励磁して、容器本体11の一部19をエアギャップ11において蓋13の半径方向内側に曲げるのに十分なパルス磁力が生成される。そのパルス磁力は、容器本体11と蓋13との衝突時に、それらの間の原子の相互拡散をもたらし、それによって、容器本体11と蓋13とを互いに溶接する値を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを封止するための方法および装置、特に、パルス磁力(PMF)により容器を封止するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば気体および/または液体の保管に用いるコンテナ、キャニスタ、タンク、フラスコ等の容器は、通常、容器本体部と蓋部とを別々に製造することによって作製される。容器を封止するために、容器本体部への蓋部の結合に溶接法または圧着(crimping)法が用いられる。以下、溶接とは、第一および第二の部品の二つの対向面が物理的接合部を形成して原子の相互拡散によって互いに一体化する処理を指す。一方、圧着とは、二つの部品の少なくとも一方の面が、波打ったり、湾曲したり、または縮んだりすることで、第一の部品の原子が第二の部品に相互貫入することなく、二つの部品の間に「純粋な」機械的接合部が得られるような接合を指す。
【0003】
圧着は、通常、プレス成形またはロール成形によって行われる。しかし、過渡磁場によって発生する力を容器の封止に利用する種々の圧着技術も当技術分野において知られている。
【0004】
例えば、Gereの特許文献1は、過渡磁場により発生する力を利用して、充填したコンテナの首部端部に閉止部を形成する方法を開示している。コンテナの首部上に置かれたキャップの裾部を磁場によって首部端部に付勢して裾部を首部端部の輪郭に合わせて、これにより、キャップを、コンテナの首部で首部端部と係合させて維持する。
【0005】
特許文献2は、ほぼ一様な金属厚を有する本体部と、これより薄い金属厚を有する周囲フランジとを備えた金属缶端部の作成方法を開示している。アルミニウム板等の比較的薄い板材からの素板または円板に穿孔しもしくは素板または円板を剪断して、円板からカップを形成して、このカップにしごき加工を施して周囲部の厚さを低減させつつ突出長を増加させることで、缶端部を薄板材から成形する。そして、しごき後のキャップに、機械的な圧迫または磁気放出による成形を施して、周囲部から、缶本体に対して二重に繋ぎ合わせられるように構成された曲線フランジを形成する。
【0006】
Koideらの特許文献3は、一つの開放端を有する筒状本体部と、その本体部の開放端に嵌合する蓋とを備えた封止容器を作製する方法を開示している。蓋の外周面上の少なくとも1つの環状溝の設けられた蓋の外周面に向かって、本体部の外側から、本体部の開放端を圧迫することによって、封止容器を作製する。圧迫加工手段として電磁力を用いると、本体部の一部が、瞬時に環状溝に強固にかつ気密に固定され、これにより封止容器が作製される。
【0007】
Shiinaらによる特許文献4は、底部および開放上端部を有する管状本体、ならびに、その開放端部に嵌合された閉止体を有する冷媒保存容器を封止するための技術を開示している。開放端部は、電磁成形によって締め圧着され、その結果、数珠状整合溝によって閉止体に固定される。特許文献4は、その方法では、本体への閉止体の接合に溶接を使用しないと述べている。
【0008】
Aronneの特許文献5は、磁気パルス成形技術によってコンテナを封止する別の圧着技術を開示している。そのコンテナは、外周に形成された環状の凹部をそれぞれ有する一対の特別に構成された先端キャップによって閉止されている。コンテナ端部は、凹部内で係合し磁気パルス成形によって接合される。キャップに形成された凹部に嵌め込まれたマンドレルに向かって半径方向内側へ磁気パルス力が加えられる。
【0009】
従来の溶接は、通常、ガス溶接装置、レーザ溶接技術、または、他の何らかの従来の溶接技術によって実行される。当技術分野においては、ガス溶接技術の種々の不利、例えば、容器本体を耐熱材で作成する必要性等が、知られている。
【0010】
当技術分野においては、パルス磁気成形技術を、二つの金属部品を冷間圧接するのにも使用できることが、知られている(例えば、本出願の譲受人の特許文献6参照)。
【特許文献1】米国特許第3,581,456号明細書
【特許文献2】米国特許第3,957,005号明細書
【特許文献3】米国特許第4,934,552号明細書
【特許文献4】米国特許第5,191,775号明細書
【特許文献5】米国特許第5,671,522号明細書
【特許文献6】米国特許第5,824,998号明細書
【発明の開示】
【0011】
磁気パルス成形技術によるコンテナ封止の分野における上記従来技術があるにもかかわらず、磁気パルス力(PMF)の使用により容器を封止する新規な方法および装置が依然として求められており、また、そのようなものがあれば有用であろう。原子の相互拡散をもたらす冷間圧接によって、容器本体と蓋との接合を促進することは有利なことであろう。
【0012】
したがって、本発明の広範な一態様によれば、
(a)少なくとも一つの開放端を有する容器本体を用意するステップと、
(b)前記容器本体の内径よりも小径の溶接部を有する蓋を用意するステップと、
(c)前記容器本体の少なくとも一つの開放端の内部に前記蓋を設置し、これにより、前記容器本体と前記蓋の溶接部との間にエアギャップを形成するステップと、
(d)前記蓋の溶接部の位置にて、前記容器本体の周囲に溶接用誘導コイルを設けるステップと、
(e)前記溶接用誘導コイルを励磁して、前記容器本体の一部を前記エアギャップにおいて前記蓋の半径方向内側に曲げるのに十分なパルス磁力でありかつ前記容器本体と前記蓋との衝突時に前記容器本体と前記蓋との原子の相互拡散を生じさせる値を有するパルス磁力を生成して、これによって、前記容器本体と前記蓋とを互いに溶接するステップと、を有する、容器を封止する方法が提供される。
【0013】
本発明の広範な別の態様によれば、封止容器が提供され、この封止容器は、
容器が封止される前に少なくとも一つの開放端を有する容器本体と、
前記容器本体の内径よりも小径の溶接部を有し、これにより、前記容器が封止される前に、前記容器本体、および前記容器本体の前記少なくとも一つの開放端の内部に置かれた前記蓋の前記溶接部の間にエアギャップを形成する蓋と、を有する封止容器であって、
前記蓋は、前記容器本体の一部を前記エアギャップにおいて前記蓋の半径方向内側に曲げるパルス磁力でありかつ前記容器本体と前記蓋との衝突時に前記容器本体と前記蓋との原子の相互拡散を生じさせる値を有するパルス磁力によって、前記容器本体に溶接される。
【0014】
必要であれば、前記蓋は、さらに鍔部を有することができ、前記鍔部における前記蓋の径の値が、前記容器本体の前記内径の値にほぼ等しく、それによって、前記容器本体の内部において前記蓋を保持する。
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、パルス高電圧を印加するために構成された二つの電極を有する少なくとも一つの一巻きコイルを有する溶接用誘導コイルが提供され、
この溶接用誘導コイルは、容器を封止するための装置で用いるように構成され、この容器は、
少なくとも一つの開放端を有する容器本体と、
前記容器本体の内径よりも小径の溶接部を有し、前記容器本体の少なくとも一つの開放端の内部に設置されたときに前記容器本体との間にエアギャップを形成する蓋と、を有し、
前記溶接用誘導コイルは、前記溶接用誘導コイルの作用領域内に位置する前記容器本体の一部を前記エアギャップにおいて前記蓋の半径方向内側に曲げるパルス磁力でありかつ前記容器本体と前記蓋との衝突時に前記容器本体と前記蓋との原子の相互拡散を生じさせるパルス磁力を生成して、それによって、前記容器本体に前記蓋を溶接することができる。
【0016】
以下に続く本発明の詳細な説明をよりよく理解できるように、本発明の特に重要な特徴を、上に概説した。本発明のさらなる詳細および利点が、発明を実施するための最良の形態において述べられ、そして、部分的には、その記述から十分に理解されるであろうし、または、本発明の実施によって確認できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を理解し、そして、それがどのように実際に実行されるかを確認するために、ここで、添付する図面を参照しながら、好適な実施の形態を、それに限定しない例としてのみ記述する。
【0018】
本発明による方法および装置の原理および動作は、図面およびその説明を参照して、よりよく理解されるが、それらの図面は、例示する目的だけのために与えられるものであって、それに限定することを意味しないということを理解されたい。本発明の説明の記載を通して、図面に示される容器および作用コイルにおいて共通な構成要素には同一の参照番号を用いる。容器の寸法、容器および蓋の壁の厚さ、容器および蓋の間のギャップ、ならびに、部分間のギャップは、明確化のために誇張して表示する。
【0019】
図1Aおよび図1Bを参照すると、本発明の一実施の形態に係る、溶接処理前の容器10の分解組立図および断面図が、それぞれ例示されている。容器10は、開放端12を有する筒状の容器本体11および蓋13を有する。蓋13は、溶接部14および鍔部15を有する。鍔部15は、容器本体11の内部で蓋13を保持するためのものである。したがって、鍔部15における蓋13の径は、容器本体11の内径に等しい。溶接部14における蓋13の径は、容器本体11の内径よりも小さい。したがって、容器本体11の開放端12の内部に蓋13を設置したとき、容器溶接部19と蓋溶接部14の表面17との間に、環状のエアギャップ16が形成される。
【0020】
容器10は、用途に応じて、必要な強度および形成特性を有する任意の金属材料を用いて構成することができる。容器本体11および蓋13は、同じ材料または異なる材料から作成してよい。容器本体11および蓋13を作成する金属材としては、例えば、アルミニウム、低炭素鋼、黄銅、銅等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの合金を用いてもよいし他の材料を用いてもよい。
【0021】
蓋13を容器本体11に溶接するのに必要な力を得るため、容器本体11内部の蓋溶接部14の位置にて、容器本体11の周囲に、高出力パルス磁場を生成する。必要な磁気パルス磁場を提供するのに適したデバイスは公知であり、したがってその構造および動作は以下に詳述しない。例えば、引用によって本明細書に組み込まれている、本出願の譲受人の特許文献6に記述されているデバイスを、本発明の目的のために用いてよい。そのようなデバイスは、用途に応じて構成可能な溶接用誘導コイルを有する。図1Bにおいて、溶接用誘導コイルは、容器本体11を囲んでおり、参照番号18によって示されている。本発明に適した溶接用誘導コイル18の構成の一例を、以下に詳細に説明する。
【0022】
図2A〜2Dを参照すると、本発明の一実施の形態に係る溶接処理の連続段階が、例示されている。これらの図は、明確化の目的のために、一定の縮尺比で縮尺されてもいなければ、比例してもいないということに注意されたい。操作においては、溶接用誘導コイル18によって生成された磁場に付随するパルス磁力Fが、容器本体11の溶接部19に印加される(図2A参照)。本実施の形態では、溶接部19は、容器本体11の開放端12の近傍に位置している。しかしながら、容器溶接部19の位置は、容器本体11の長さ方向に沿った部位に限定されないことを理解されたい。
【0023】
封止のための容器10の溶接処理は、溶接用誘導コイル18を励磁して、蓋溶接部14の半径方向内側に容器溶接部19を曲げるパルス磁力Fを生成する処理を含む。溶接部19の縁部20が、蓋溶接部14の表面17に接触した瞬間に、溶接が開始する(図2B参照)。溶接中、溶接領域WZを規定する前線21が、鍔部15に向かって接線方向に移動し(図2C参照)、これにより容器が封止される(図2D参照)。
【0024】
原子の相互拡散によって容器本体11と蓋13とを溶接するために、パルス磁力Fは所定の値を有する必要がある。より具体的には、容器溶接部19が、蓋溶接部14の表面17に向かってギャップ16中を動いていく間に、蓋13に容器本体11を溶接するのに十分な速度に達することができる値を、パルス磁力Fは有さなければならない。例えば、衝突時における容器溶接部19の実効速度値が、250m/秒〜500m/秒の範囲にあり、前線21の見かけ上の接線速度Vが、1000m/秒〜2500m/秒の範囲にあるとき、この溶接が可能であることを本発明者らは見出した。
【0025】
図3Aおよび3Bは、それぞれ低炭素鋼およびアルミニウムのような二つの類似した金属でそれぞれ作られた容器溶接部19および蓋溶接部14の間の接合部のエッチングされた界面の断面の光学顕微鏡(倍率:×100)による観察画像である。図3Aは、平坦な剪断状の溶接界面の典型を示し、図3Bは波状界面の典型を示す。衝突時における容器溶接部19と蓋溶接部14の間の角度が比較的小さいときに、平坦な剪断状の溶接界面を得ることができ、一方、衝突角度が比較的大きいときには、波状の界面が得られる。平坦な剪断状の溶接界面が波状の界面に変わる角度の大きさは、衝突速度および材料の種類に依存する。当業者には明らかなように、このような画像は、パルス磁気溶接処理によって接合が得られるときの画像の典型である。
【0026】
図4Aおよび図4Bを参照すると、本発明の別の実施の形態に係る、溶接処理前の容器10の分解組立図および断面図が、それぞれ例示されている。本実施の形態においては、蓋13が、開口(一つ以上の)を備えることによって、図1Aおよび図1Bにおいて上述された実施の形態と区別される。特に、参照番号43によって示されるそのような二つの開口が、図4Aおよび図4Bに示されている。例えば、容器11をコンテナとして用いるとき、吸入管と排出管とを挿入するために、開口43が必要な場合がある。
【0027】
この場合、開口43の内面44と蓋溶接部14の表面17との間の金属材料幅が狭いとき、および/または、蓋材料の強度が低いとき、上述のように容器封止のために印加されるパルス磁力は、蓋溶接部14の損壊を引き起こし開口43を変形させるほど十分に高くなることがある。この有害な現象を回避するため、加工プラグ(technological plug)41を、蓋13と組み合わせて用いることができる。加工プラグ41は、一つ以上のピン42を有する。ピン42(図4Aおよび図4Bにおいては、二つのそのようなピン42が示されている)は、蓋13の開口43に挿入されるよう構成されているとともに、溶接用誘導コイル18への通電中、開口43内で保持するよう構成されている。励磁ステップの後、封止容器から加工プラグ41を取り外すことができる。ピンの大きさは、開口空間を充填することができ、それによって蓋13を補強できるものであることが望ましい。ピン42は、蓋13の材料と同等に硬い材料または蓋材料よりもさらに硬い材料(例えば、硬化鋼)で作られる。
【0028】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、開口43の変形を防止するために加工プラグ41を利用するときは、蓋13に鍔部15を設けなくてもよいことに注意されたい。この場合、プラグ41の径が、容器本体11の内径に一致し、それによって容器本体11の内部に蓋13と一緒にプラグ41が保持されるものであることが望ましい。封止処理の後、プラグ41が、容器本体11から取り外される。
【0029】
図5を参照すると、本発明のさらに別の実施の形態に係る、溶接処理前の容器10の断面図が、例示されている。溶接処理前に、容器本体11が開放端12において広がり、拡張領域Aを形成することで、本実施の形態は、図1Aおよび1Bに示される実施の形態と区別される。拡張領域Aにおける容器本体11の径Dは、その他の部分における容器本体11の径Dの値よりも大きな値を有する。拡張領域Aは、蓋13を容器本体11の内部によりよく保持するためのものである。したがって、本実施の形態においては、溶接処理前に、蓋鍔部15の径DCBの値は拡張領域Aの径Dの値にほぼ等しくなければならず(即ち、DCB≒D)、一方、蓋溶接部14の径DCWは、不等式:D≦DCW<Dを満たさなければならない。
【0030】
図5では、蓋13に一つの開口も示されていないが、必要に応じて蓋が一つ以上の開口を有することは、当業者には明らかである。この場合、溶接処理中の変形から蓋を保護するために、加工プラグ(図4A中の41)を用いることができる。
【0031】
図6を参照すると、本発明のさらに別の実施の形態に係る、溶接処理前の容器10の断面図が、例示されている。容器本体11が、開放端12の近傍に波状領域Bを有することで、本実施の形態は、図1Aおよび1Bに示される実施の形態と区別される。波状領域Bは、溶接処理前の容器本体11に形成され、蓋溶接部14のサイズと等しい距離において始まる。波状領域Bは、容器本体11内部での蓋13のよりよい保持をもたらすものである。したがって、波状領域Bの径Dは、容器11の他の部分の径Dよりも小さな値を有する(即ち、D<D)。本実施の形態によれば、蓋鍔部15の径DCBの値は、容器本体11の径Dの値にほぼ等しくなければならず(即ち、DCB≒D)、一方、蓋溶接部14の径DCWは、次の不等式:D<DCW<Dを満足しなければならない。
【0032】
図7A〜7Cを参照すると、本発明のさらに別の実施の形態に係る、溶接処理前の容器10の断面図が、例示されている。溶接の間、容器本体11のさらなる補強のために絶縁シリンダ71が容器本体11に置かれることで、これらの実施の形態は上述の実施の形態と区別される。したがって、絶縁シリンダ71の内径は、容器本体11の外径と等しいことが望ましい。
【0033】
図8Aおよび図8Bを参照すると、本発明の一実施の形態に係る、溶接用誘導コイル18の斜視図および断面図が、それぞれ例示されている。溶接用誘導コイル18は、冷却液の通路を設けるためにコイル本体内に形成された液路82を有する一巻きコイル81を有する。例えば、コイル18の作製中に液路82を穿設することができる。溶接処理中にコイル18の冷却用にコイル18を通り抜ける液体(例えば、水)の流入および流出のために、液路82と連通する二つの入口83および84を用いることができる。液路82の穿設中にコイル本体に作り出された他の三つの加工入口(technical inlet)85は、冷却液の漏洩を防止するためプラグ86によって閉止される。入口83および84は、液体供給ライン(図示せず)に接続される。必要に応じて、液体供給ラインは液体ポンプを備えることができる。必要であれば、液体供給ラインを、冷却システムに通すことができる。冷却システムは公知であり、如何なる従来の種類のもの、例えば、ラジエータであってもよい。
【0034】
溶接用誘導コイル18は、供給電源に結合された二つの電極IおよびOを有する。例えば、引用によって本明細書に組み込まれている、本出願の譲受人の特許文献6に記述されている供給電源が、本発明の目的に適する。
【0035】
動作では、溶接用誘導コイル18の作用領域89内に、好ましくは、一巻きコイル81の内面90から約1〜3mm離して、容器本体11を置くことができる。溶接用誘導コイル18内部での容器本体11の設置および保持は、任意の既知の手段によって行うことができる。例えば、空気圧シリンダ(図示せず)または油圧シリンダ(図示せず)によって、溶接用誘導コイル18の溶接領域に容器本体11を移動させることができる。本発明の目的に適した動作電圧は、約3kVから25kVの範囲である。この電圧は、約10kAから1000kAの振幅を有する、一巻きコイル81を通るパルス電流を供給することができる。
【0036】
このように、本発明は、好適な実施の形態を用いて記述されているが、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、システムおよび処理の設計の基礎として、本開示が基づいている概念を容易に利用することができるということを、本発明に関連する当業者は、認識するに違いない。
【0037】
本発明の容器の例は、円形断面を有する容器本体部分に関して示されたが、任意の断面形状を有する容器の封止のために、本発明の封止方法に適宜変更を加えて用いてよいことは明らかである。
【0038】
二つの開放側でパイプを封止するために、上述の方法を用いることができることを認識されたい。このパイプは、二つの開放端を有する容器本体を含んでいる。
【0039】
溶接用誘導コイル18が一巻きコイル81を有する例のみ上述されたが、溶接用誘導コイルが、磁場形成器を備えた多重巻きコイルであってもよいことは明らかである。
【0040】
さらに、誘導コイルの使用に関して、特定の実装への如何なる言及も、それに限定しない例として示される。
【0041】
また、本明細書において使用されている専門用語および術語は、説明のためのものであって、それに限定するものと見なすべきでないことを理解されたい。
【0042】
プロセスについての以下の請求項において、ステップを指定するために用いられるアルファベットは、便宜だけのために付与されているものであって、それらのステップを遂行する如何なる特定の順序も意味しない。
【0043】
したがって、本発明の範囲を、本明細書に述べた例示的な実施の形態に制限されるように解釈しないことが重要である。他の変形例が、添付する請求項およびそれらの均等物において定められる本発明の範囲内において可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1Aおよび図1Bは、本発明の実施の形態による、封止処理前の容器の分解組立図および断面図を示す。
【図2】図2A〜2Dは、本発明の実施の形態による溶接処理の連続段階を示す。
【図3】図3Aおよび図3Bは、低炭素鋼とアルムニウムとでそれぞれ形成された容器の溶接部と蓋の溶接部との接合部のエッチングされた界面断面の光学顕微鏡による観察画像を示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、本発明の別の実施の形態による、溶接処理前の容器の分解組立図および断面図を示す。
【図5】本発明のさらに別の実施の形態による、溶接処理前の容器の断面図を示す。
【図6】本発明のさらに別の実施の形態による、溶接処理前の容器の断面図を示す。
【図7】図7A〜7Cは、本発明のさらに別の実施の形態による、溶接処理前の容器の断面図を示す。
【図8】図8Aおよび図8Bは、本発明の実施の形態による溶接用誘導コイルの斜視図および断面図を示す。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも一つの開放端を有する容器本体を用意するステップと、
(b)前記容器本体の内径よりも小径の溶接部を有する蓋を用意するステップと、
(c)前記容器本体の少なくとも一つの開放端の内部に前記蓋を設置し、これにより、前記容器本体と前記蓋の溶接部との間にエアギャップを形成するステップと、
(d)前記蓋の溶接部の位置にて、前記容器本体の周囲に溶接用誘導コイルを設けるステップと、
(e)前記溶接用誘導コイルを励磁して、前記容器本体の一部を前記エアギャップにおいて前記蓋の半径方向内側に曲げるのに十分なパルス磁力でありかつ前記容器本体と前記蓋との衝突時に前記容器本体と前記蓋との原子の相互拡散を生じさせる値を有するパルス磁力を生成して、これによって、前記容器本体と前記蓋とを互いに溶接するステップと、を有する、容器を封止する方法。
【請求項2】
前記容器本体の開放端の内部に前記蓋を設置する前に、前記開放端において前記容器本体を拡張させ、前記容器本体の内部における前記蓋の保持を強化するステップを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記容器本体の開放端の内部に前記蓋を設置する前に、前記蓋の溶接部のサイズと等しい距離で始まる波状領域を前記容器本体に形成し、これにより前記容器本体の内部における前記蓋の保持を強化するステップを有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記蓋は、管を挿入するのに適した少なくとも一つの開口を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つの開口に合致する少なくとも一つのピンを有する加工プラグを用意するステップと、
前記コイルを励磁する前に、前記蓋の少なくとも一つの開口に前記加工プラグを挿入するステップと、
を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つのピンは前記蓋の材料と同等の硬さを有する材料よりなる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つのピンは前記蓋の材料よりも硬い材料よりなる、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つのピンは硬化鋼よりなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記容器本体および前記蓋は同じ材料よりなる、請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記容器本体および前記蓋は互いに異なる材料よりなる、請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記容器本体および前記蓋は、アルミニウム、低炭素鋼、黄銅、銅およびそれらの合金から選択された材料よりなる、請求項1から請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記溶接用誘導コイルを励磁する間、前記容器本体に絶縁シリンダを置くステップを有する、請求項1から請求項11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
容器が封止される前に少なくとも一つの開放端を有する容器本体と、
前記容器本体の内径よりも小径の溶接部を有し、これにより、前記容器が封止される前に、前記容器本体、および前記容器本体の前記少なくとも一つの開放端の内部に置かれた前記蓋の前記溶接部の間にエアギャップを形成する蓋と、
を有する封止容器であって、
前記蓋は、前記容器本体の一部を前記エアギャップにおいて前記蓋の半径方向内側に曲げるパルス磁力でありかつ前記容器本体と前記蓋との衝突時に前記容器本体と前記蓋との原子の相互拡散を生じさせる値を有するパルス磁力によって、前記容器本体に溶接される、封止容器。
【請求項14】
前記蓋は鍔部をさらに有し、
前記鍔部における前記蓋の径の値は、前記容器本体の内径の値にほぼ等しく、それによって、前記容器が封止される前に、前記容器本体の内部で前記蓋が保持される、請求項13記載の封止容器。
【請求項15】
前記蓋が、管を挿入するのに適した少なくとも一つの開口を有する、請求項13または請求項14記載の封止容器。
【請求項16】
記開放端において前記容器本体の一部が拡張している、請求項13から請求項15のいずれかに記載の封止容器。
【請求項17】
前記容器本体は、前記開放端から、前記蓋溶接部のサイズと等しい距離において波状になっている、請求項13から請求項15のいずれかに記載の封止容器。
【請求項18】
前記容器本体および前記蓋は同じ材料よりなる、請求項13から請求項17のいずれかに記載の封止容器。
【請求項19】
前記容器本体および前記蓋は互いに異なる材料よりなる、請求項13から請求項17のいずれかに記載の封止容器。
【請求項20】
前記容器本体および前記蓋は、アルミニウム、低炭素鋼、黄銅、銅およびこれらの合金から選択された材料よりなる、請求項13から請求項19のいずれかに記載の封止容器。
【請求項21】
パルス高電圧を印加するために構成された二つの電極を有する少なくとも一つの一巻きコイルを有する溶接用誘導コイルであって、
前記溶接用誘導コイルは、容器を封止するための装置で用いるように構成され、
前記容器は、
少なくとも一つの開放端を有する容器本体と、
前記容器本体の内径よりも小径の溶接部を有し、前記容器本体の少なくとも一つの開放端の内部に設置されたときに前記容器本体との間にエアギャップを形成する蓋と、
を有し、
前記溶接用誘導コイルは、前記溶接用誘導コイルの作用領域内に位置する前記容器本体の一部を前記エアギャップにおいて前記蓋の半径方向内側に曲げるパルス磁力でありかつ前記容器本体と前記蓋との衝突時に前記容器本体と前記蓋との原子の相互拡散を生じさせるパルス磁力を生成して、それによって、前記容器本体に前記蓋を溶接することができる、溶接用誘導コイル。
【請求項22】
冷却液の通路を提供するために、前記コイル本体内に液路が形成される、請求項21記載の溶接用誘導コイル。
【請求項23】
前記冷却液が水である、請求項22記載の溶接用誘導コイル。
【請求項24】
パルス高電圧が約3kVから10kVの範囲にある、請求項21から請求項23のいずれかに記載の溶接用誘導コイル。
【請求項25】
図3Aおよび図3Bを参照して本明細書において説明した、前記容器の溶接部と前記蓋の溶接部との間の接合部のエッチングされた界面の断面を有する、請求項13記載の封止容器。


【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−518564(P2007−518564A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518488(P2006−518488)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000606
【国際公開番号】WO2005/002777
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(500307775)パルサー・ウェルディング・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】