説明

容器を製造するための方法及び装置

プラスチック物品を製造するための装置(1000)及び方法。装置は、少なくとも1つのパリソン(600)を押し出すよう配置された押出成形機(100)と、パリソンコーティングシステムと、押出パリソンを受容するよう配置された金型(300)とを備える。パリソンコーティングシステムは、粉末材料源(210)と、粉末材料源と相互接続された流体源(220)と、相互接続された流体源と粉末材料源とに接続されたノズル(230)とを備える。ノズルは、押出パリソンと相互作用するスプレーパターンで粉末材料を散布するよう配置される。方法は、プラスチックパリソンを押し出す工程と、パリソンに粉末材料コーティングを施す工程と、コーティングされたパリソンを金型キャビティに入れる工程と、コーティングされたパリソンをキャビティの境界まで膨張させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチック物品を製造するための装置及び方法に関する。本開示は、特に、プラスチック容器を製造するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック吹込成形物品は、製造技術分野において周知である。物品は、予備成形品から、又は押出パリソンから、吹込成形される。予備成形品又はパリソンは、複数の層を有してよい。それぞれの層は、別個の供給源からの材料を含んでよく、これによってそれぞれの層が同じ又は異なる材料を含むことができる。物品の外観は、主として予備成形品又はパリソンの外層の色によって決定される。外層の色は、この層の供給材料に色素を添加又は削除することで変更され得る。
【0003】
多くの場合に、製造物品の色を製造プロセス中に第1の色から第2の色へ変更したいという要望がある。パリソンの外層は押出プロセスの結果であるため、外層の色を完全に変更するには、押出経路にある外層のすべての材料を新しい材料と置換する必要がある。この置換には時間がかかることがあり、プロセスにおいて簡単には再利用できない、色の混じった廃材料が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
押出経路の前の色を除去する必要のない、吹込物品の外観色の変更を可能にする装置及び方法が要望される。また、押出パリソンの組成物を変更することなく、プラスチック物品の色を変更する装置及び方法も要望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に従って、プラスチック物品の製造方法が提供され、この方法は、a)熱可塑性材料のパリソンを押し出す工程と、b)パリソンを粉末プラスチック材料でコーティングする工程と、c)コーティングされたパリソンを外周を有する金型キャビティに入れる工程と、d)コーティングされたパリソンを金型キャビティの外周まで膨張させる工程とを含む。
【0006】
本発明の第2の態様に従って、プラスチック物品の製造装置が提供され、この装置は、a)環状部分を有する少なくとも1つのパリソンを押し出すよう配置された押出成形機と、b)押出ダイの下に配置された、金型キャビティを有する金型とを備え、この装置は、c)押出ダイと金型キャビティとの間に配置されたコーティングシステムを備えることを特徴とする。
【0007】
装置のパリソンコーティングシステムは、好ましくは、i)粉末材料源と、ii)粉末材料源と相互接続された流体源と、iii)相互接続された流体源と粉末材料源に接続された少なくとも1本のノズルであって、ノズルが押出パリソンと相互作用するスプレーパターンで粉末材料を散布するよう配置されるノズルとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の装置の実施形態の略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図に示されるように、装置1000は、押出ダイを備えた押出成形機100を備える。押出成形機は、圧力下で流体プラスチック材料を受容し、流体プラスチック材料の環状パリソン600を押し出す。パリソン600は、押出成形機の設計に基づき、材料の1つ以上の層を含むことができる。多層パリソン600は、均質であっても、あるいは明らかに異なるポリマー化合物からなる層を有していてもよい。パリソン600は、装置のパリソン領域に押し出される。押出成形機100は、複数の押出ダイを備えてもよく、同時に複数のパリソン600を製造してもよい。以下の説明は、単一のパリソンに関する。当業者は、複数のパリソン600を製造する装置にこの説明を応用できることを理解するであろう。
【0010】
装置1000は、パリソン領域に隣接して配置されるパリソン粉末コーティングシステムを備える。粉末コーティングシステムは、粉末材料源210と、粉末材料を流動化する手段を提供する流体源220と、粉末材料源及び流体源に接続された1本以上のノズル230とを備えていてよい。粉末は、流動化され、ノズル(複数)230からパリソン領域に散布される。コーティングシステムは、粉末材料の1つ以上の流れをパリソン600に向けて誘導する。材料の流れは、押し出されたパリソンと相互作用し、パリソンをコーティングすることができる。
【0011】
粉末材料は、パリソン600のポリマー組成物と同様又は別個のポリマー組成物を含んでよい。粉末プラスチックの転移温度は、粉末材料が接触時にパリソンに容易に付着するよう、パリソン600の組成物の転移温度と同等であってよい。コーティングシステムは、パリソン600の全体又は一部のみをコーティングするよう使用されてよい。代表的なコーティングシステムは、オハイオ州ウェストレーク(Westlake)のノードソン社(Nordson Corp)のHDLV(商標)粉末コーティングシステムである。
【0012】
一実施形態では、粉末は、粉末のパリソンへの移動及びパリソン600への付着を向上するように静電気的に帯電させてよい。この効果は、パリソン600に、又は押し出し時にパリソン600の内側に存在する電極400に、反対の電荷を与えることで高められる。
【0013】
パリソン600は、吹込成形サイクルの所定の時点で押出ダイから所定の長さまで伸びる。1つ以上の金型キャビティを有する金型要素300がパリソンをそれぞれの金型キャビティに受容し、金型要素300がパリソン600を包囲する。圧縮空気がパリソン600の内側に供給される。パリソン600は、吹込成形されて金型キャビティの形状になる。プラスチックを冷却し、吹込物品が金型から取り外される。吹込成形作業は、当該技術分野において既知の方法で行われる。
【0014】
一実施形態では、装置1000は、材料回収システムを備える。材料回収システムは、空気流がパリソン押出領域から回収コレクタ510に流れ込むよう、パリソン押出領域に隣接して配置され、低圧源520に接続される、1つ以上の材料回収コレクタ510を備える。回収コレクタ510は、散布領域から落下する材料を回収するよう、パリソン押出領域の下に配置されてよい。低圧源520は、真空システム、又はパリソン押出領域から材料回収コレクタへの空気流を生じさせる当該技術分野において既知の任意のシステムであってよい。材料回収システムは、材料受け530も備える。材料受け530は、回収した材料を空気流から除去し、材料を再利用のため保管するか、あるいは材料を粉末コーティング要素の粉末材料源210に移送する。
【0015】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック物品の製造方法であって、前記方法が、
a)熱可塑性材料のパリソンを押し出す工程と、
b)前記パリソンを粉末プラスチック材料でコーティングする工程と、
c)コーティングされた前記パリソンを外周を有する金型キャビティに入れる工程と、
d)コーティングされた前記パリソンを前記金型キャビティの外周まで膨張させる工程と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記パリソンをコーティングする工程の前に、前記粉末材料に電荷を加える工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パリソンに電荷を加える工程を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
プラスチック物品の製造装置であって、前記装置が、
a)環状部分を有する少なくとも1つのパリソンを押し出すよう配置された押出成形機と、
b)押出ダイの下に配置された、金型キャビティを有する金型と、
を備え、前記装置が、
c)前記押出ダイと前記金型キャビティとの間に配置されたコーティングシステム、を備えることを特徴とする、装置。
【請求項5】
前記コーティングシステムが、
i)粉末材料源と、
ii)前記粉末材料源と相互接続された流体源と、
iii)相互接続された前記流体源と前記粉末材料源とに接続されたノズルであって、前記ノズルが前記押出パリソンと相互作用するスプレーパターンで前記粉末材料を散布するよう配置されるノズルと、を備える請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コーティングシステムが、複数本のノズルを備え、前記複数本のノズルのそれぞれが、相互接続された前記流体源と前記粉末材料源とに接続されており、前記ノズルのそれぞれが、前記押出パリソンと相互作用するスプレーパターンで前記粉末材料を散布するよう配置される、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記押出成形機が、前記パリソンの環状部分の内側に電極を備える、請求項4、5、又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記パリソンコーティングシステムが、前記ノズルから前記粉末材料を散布する前に前記粉末材料に電荷を付与するよう配置された静電エネルギー源を備える、請求項4、5、6、又は7に記載の装置。
【請求項9】
粉末材料回収システムを更に備える、請求項4、5、6、7、又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記コーティングシステムが、
i)粉末材料源と、
ii)前記粉末材料源と相互接続された流体源と、
iii)相互接続された前記流体源と前記粉末材料源とに接続されたノズルであって、前記ノズルが、前記押出パリソンと相互作用するスプレーパターンで前記粉末材料を散布するよう配置されるノズルと、を備え、前記システムが、粉末材料回収システムを更に備える、請求項4、5、6、7、8、又は9に記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2010−523381(P2010−523381A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503654(P2010−503654)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051487
【国際公開番号】WO2008/126066
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】