説明

容器ホルダ装置

【課題】優れた意匠性と使用感とを両立できる容器ホルダ装置を提供する。
【解決手段】ホルダ本体と蓋体とを持つ容器ホルダ装置に、上下方向に対して交差する方向に延びるスライド溝を備え一端がホルダ本体に回動可能に保持されている回動腕を設けるとともに、蓋体の後端寄りの位置に設けた第1係合部をスライド溝でスライド回動可能に保持し、回動腕の回動によって蓋体を閉位置から開位置にまで変位させる際に、先ず蓋体をスライド溝の案内により後端が下降した半開位置に変位させ、その後蓋体を回動腕の回動とともに回動させて開位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の容器を収容保持するための容器ホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の容器を保持するための容器ホルダ装置としては、略箱状をなし上方に開口するとともに収容空間を構成するホルダ本体を持つとともに、開口から収容空間内部に挿入された容器を収容空間内部で保持するものが知られている。このような容器ホルダ装置には、一般に、ホルダ本体の開口を開閉する蓋体が設けられている。
【0003】
容器ホルダ装置は、一般に、自動車の車室内などに代表される狭い空間に配設される。このため、容器ホルダ装置は嵩張らないような形状にする必要がある。ここで、蓋体をもつ容器ホルダ装置では、開口を開いた際に蓋体が容器ホルダ装置の外方に大きく突出して嵩張る場合がある。このため、この不具合を避けるために、開口を開いた際に蓋体をホルダ本体に収容できるものが開発されている。従来の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図を図8および図9に示す。
【0004】
図8に示される容器ホルダ装置100は、箱状のホルダ本体101と板状の蓋体102とを備えるものである。ホルダ本体101には容器を保持するための収容空間103が設けられ、この収容空間103は上方に開口している。また、蓋体102は、一端に収容空間103内に延びる脚部105と脚部105の延長端に形成されている係合部106とをもち、この係合部106はホルダ本体101のうち収容空間103を区画する内周側壁に回動可能に保持されている。
【0005】
この容器ホルダ装置100では、蓋体102は係合部106を中心に回動して、開口107を覆う閉位置(図8)から開口107を開く開位置(図9)にまで変位する。そしてこの蓋体102の回動によって開口107が開閉される。
【0006】
ところで、このような容器ホルダ装置100においては、蓋体102のうち閉位置から開位置に回動する際の始端となる後端110が、回動の際にホルダ本体101の開口外縁111に干渉する。したがってこの干渉を避けるためには、図8に示されるように、蓋体102と開口外縁111との間に隙間aを設ける必要があった。しかし、蓋体102と開口外縁111との間に隙間aを設けることで、蓋体102とホルダ本体101との一体感が損なわれて容器ホルダ装置100の意匠性が悪くなる問題や、この隙間aに例えば紙片等の薄肉の荷物が落ち込む問題等があり、これらの問題を解決するためには隙間aを設けない方がよい背反した事情があった。
【0007】
さらに、図9に示されるように、蓋体102が開位置に配置された状態では、蓋体102のうち閉位置から開位置に回動する際の末端となる前端112がホルダ本体101の上方に依然突出する。蓋体102の前端112がホルダ本体101の上方に突出すると、収容空間103に容器を保持させる際や収容空間103に保持されている容器を取り出す際に、容器が蓋体102の前端112に引掛かる場合がある。この場合、容器の保持や取り出しの操作がおこない難くなって容器ホルダ装置100の使用感が悪くなる問題もある。開位置における蓋体102の前端112の突出量を小さくするためには蓋体102を大きく変位させる必要があるが、蓋体102を大きく変位させると変位の際の蓋体102の軌跡が大きくなり、上述した隙間aがさらに大きくなる問題がある。
【0008】
一方、閉位置における蓋体の配置位置をホルダ本体の上面よりも下方に設定することで、蓋体が回動する際に蓋体の後端と開口外縁とが干渉しないようにする事もできる(例えば、特許文献1)。この場合には蓋体の回動中心が下方に下がるために、蓋体を大きく変位させて開位置における蓋体の突出量を小さくする場合にも、開口外縁が蓋体の軌跡から外れて、上述した蓋体と開口外縁との干渉が回避され、上述した隙間を狭幅にすることができる。しかしこの場合には、閉位置において蓋体の上面がホルダ本体の上面よりも低い位置に配する必要があるために、容器ホルダ装置の設計の自由度が低くなる問題がある。さらに、閉位置において蓋体の上面とホルダ本体の上面との間に段差ができるために、容器ホルダ装置の意匠性が悪くなる問題もある。
【特許文献1】特開2002−362237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、優れた意匠性と使用感とを両立できる容器ホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の容器ホルダ装置は、
略箱状をなし、上方に開口するとともに収容空間を構成するホルダ本体と、
略板状をなし、一の端部である後端寄りの位置に設けられている第1係合部をもち、該ホルダ本体の開口を開閉する蓋体と、
上下方向に対して交差する方向に延びるスライド溝を備え、該スライド溝で該第1係合部をスライド回動可能に保持するとともに、一端が該ホルダ本体に回動可能に保持されている回動腕と、をもち、
該蓋体は、該開口を覆う閉位置と、後端を下方に向けつつ前端が該ホルダ本体の上面よりも下方に配置されて該開口を開く開位置と、の間を該回動腕の回動によって変位し、
該蓋体が該閉位置から該開位置にまで変位する際には、先ず該スライド溝の案内により後端が下降した半開位置をとり、その後回動腕の回動とともに回動して該開位置に配置されることを特徴とする。
【0011】
本発明の容器ホルダ装置は、上記蓋体は前端寄りの位置に設けられている第2係合部をもち、該第2係合部は、一端が該ホルダ本体に回動可能に保持されているガイド腕に回動可能に保持されていることが好ましい。
【0012】
本発明の容器ホルダ装置において、上記ホルダ本体の内周側壁には、上部から下方に略円弧状に延出する第1弧部と、該第1弧部の下端に連続しさらに下方に略円弧状に延出する第2弧部と、からなるガイド部が設けられ、該ガイド部は上記第1係合部をスライド回動可能に保持していることが好ましい。
【0013】
本発明の容器ホルダ装置は、一端が上記ホルダ本体に保持され他端が上記回動腕に保持されている付勢部材を備え、上記回動腕の回動は該付勢部材により付勢されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の容器ホルダ装置によると、蓋体は、閉位置から開位置にまで変位する際に先ず後端が下降した半開位置をとる。このため、蓋体のうち開口外縁と干渉し易い後端をホルダ本体の上面よりも下方で回動させることができ、蓋体と開口外縁との隙間を狭幅に設けても、蓋体の後端と開口外縁との干渉を回避することができる。
【0015】
また蓋体を開位置と閉位置との間で変位させる際に、先ず半開位置に変位させるため、上述したように蓋体の後端と開口外縁との干渉を回避することができ、蓋体が変位する際の軌跡を大きく設けても蓋体の後端と開口外縁とが干渉することはない。したがって、閉位置における蓋体と開口外縁との隙間を狭幅に保ちつつ、開位置において蓋体の前端をホルダ本体の上面よりも下方に配置することができ、容器ホルダ装置の優れた使用感と優れた意匠性とを両立させることができる。
【0016】
さらに、本発明の容器ホルダ装置において、蓋体は第1係合部を中心に回動腕に対して回動するとともに、回動腕の回動に伴って回動する。このように、蓋体が2軸で回動する事により、蓋体が大きく変位する際にも蓋体が変位する際の軌跡は小さくて済み、蓋体の後端と開口外縁との干渉がより確実に回避され、蓋体と開口外縁との隙間をより狭幅にすることができる。さらに、回動腕にはスライド溝が設けられているために、より小さな軌跡で蓋体を大きく変位させることができ、開位置における蓋体と開口外縁との隙間をさらに狭幅にすることができる。
【0017】
また、蓋体の前端寄りの位置に第2係合部を設けるとともに、一端が該ホルダ本体に回動可能に保持されているガイド腕を別途設けて、第2係合部をガイド腕に回動可能に保持させる場合には、蓋体前端の変位をガイド腕で案内することができ、蓋体を滑らかに変位させることができる。なお、この場合には、ホルダ本体の内周側壁に、閉位置における第1係合部を中心に上部から下方に略円弧状に延出する第1弧部と、第1弧部の下端に連続しさらに下方に略円弧状に延出する第2弧部と、からなるガイド部を設けて、このガイド部に第1係合部をスライド回動可能に保持させることが好ましい。このようなガイド部を設ける場合には、閉位置から半開位置に至るまでの蓋体の変位をガイド部の第1弧部によって案内し、半開位置から開位置に至るまでの蓋体の変位をガイド部の第2弧部によって案内することができる。このため、蓋体をより滑らかに変位させることができる。
【0018】
さらに、本発明の容器ホルダ装置に、一端がホルダ本体に保持され他端が回動腕に保持されている付勢部材を設け、回動腕の回動を付勢部材により付勢する場合には、蓋体の変位操作、すなわち容器ホルダ装置の開閉操作に要する力が小さくて済み、容器ホルダ装置の使用感をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の容器ホルダ装置の一実施形態を模式的に表す断面図を図1〜図3に示し、本発明の容器ホルダ装置を図を基に説明する。なお、図1は蓋体が閉位置に配置されている状態の容器ホルダ装置を表し、図2は蓋体が半開位置に配置されている状態の容器ホルダ装置を表し、図3は蓋体が開位置に配置されている状態の容器ホルダ装置を表す。
【0020】
図1〜3に示される本実施形態の容器ホルダ装置1において、ホルダ本体2は略箱状の形状に形成されている。このホルダ本体2は、上方に開口するとともに箱内部に収容空間3を構成する。
【0021】
開口5は、収容空間3に容器を保持する際に、容器を挿入するための出入口となる。そして、収容空間3は開口5から挿入された容器の少なくとも底部が収容される部分となる。
【0022】
蓋体6はホルダ本体2の開口5を開閉する。この蓋体6は、上面9がホルダ本体2の開口5よりも僅かに小形となった略板状に形成されている。そして、蓋体6の後端寄りの位置には軸状に突起した第1係合部7が設けられている。
【0023】
この容器ホルダ装置1には回動腕8が設けられている。この回動腕8は長尺の板状に形成され、一端に回動軸10をもつ。ホルダ本体2のうち内周側壁の前側上部には枢支孔11が設けられており、回動軸10はこの枢支孔11に挿通されてホルダ本体2に保持されるとともに回動軸10を中心に回動可能になっている。回動腕8のうち回動軸10と離間した位置には、上下方向に対して交差する方向に延びるスライド溝12が設けられている。なお、ここでいう方向は、蓋体6が閉位置に配置されて開口5が閉じた状態における方向を指す。回動腕8のスライド溝12には、蓋体6の第1係合部7がスライド回動可能に保持されている。
【0024】
本実施形態の容器ホルダ装置1において、蓋体6は、図1に示す閉位置と図3に示す開位置との間を変位する。閉位置においては、蓋体6は上面9を上方に向けて開口5を閉じる位置に配置される。
【0025】
本実施形態の容器ホルダ装置1では、蓋体6を閉位置から開位置に変位させる際には、先ず、蓋体6を半開位置(図2)に変位させる。このとき、第1係合部7が回動腕8のスライド溝12内を図中A方向にスライドするが、同時に回動腕8が図1中矢印B方向に回動することで、蓋体6の後端15が下降する。そして、蓋体6が半開位置にまで変位した状態、すなわち、蓋体6の後端15が下降した状態から開位置までは、蓋体6は回動腕8の矢印B方向の回動に伴って回動する。この回動によって、蓋体6は後端15を下方に向けつつ前端16がホルダ本体2の上面18よりも下方に配置される開位置(図3)に変位する。
【0026】
本実施形態の容器ホルダ装置1では、蓋体6は、第1係合部7を中心に回動腕8に対して回動するとともに、回動腕8の回動軸10を中心にホルダ本体2に対して回動する。このように蓋体6が2軸で回動することから、蓋体6が1軸で回動する場合に比べて蓋体6を小さな軌跡で大きく変位させることができ、蓋体6を変位させる際に蓋体6と開口外縁20とが干渉することを回避することができる。このため、開位置において蓋体6の前端16をホルダ本体2の上面18よりも下方に配置しても、閉位置における蓋体6と開口外縁20との隙間を狭幅に設けることができる。
【0027】
また、回動腕8にはスライド溝12が設けられており、蓋体6は第1係合部7を中心に回動腕8に対してスライドしつつ回動するために、蓋体6はより小さな軌跡で大きく変位するため、蓋体6と開口外縁20とがより干渉し難くなっている。さらに、蓋体6は閉位置から開位置にまで変位する際に先ず半開位置をとるために、変位の際に開口外縁20と干渉しやすい部分である後端15が開口外縁20よりも下方に配されて、開口外縁20とさらに干渉し難くなっている。これらのことにより、蓋体6と開口外縁20との干渉がさらに回避されて、閉位置における蓋体6と開口外縁20との隙間をさらに狭幅に設けることができる。
【0028】
本実施形態の容器ホルダ装置では、閉位置における蓋体6と開口外縁20との隙間を狭幅に設けることができるために、容器ホルダ装置1に優れた意匠性を付与することができる。そして、開位置において蓋体6の前端16をホルダ本体2の上面18よりも下方に配することができるために、容器を収容空間3に保持させる際や収容空間3に保持されている容器を取り出す際に容器が蓋体6の前端16に引っ掛かる等の不具合が回避され、容器ホルダ装置1に優れた使用感を付与することができる。
【0029】
なお、本実施形態の容器ホルダ装置1では、閉位置において、蓋体6の上面9はホルダ本体2の上面18と略面一となっている。これは、上述したように、蓋体6を小さな軌跡で大きく変位させることができることに由来する。閉位置において、蓋体6の上面をホルダ本体2の上面18と略面一としたことで、蓋体6とホルダ本体2との一体感が増し、容器ホルダ装置1はさらに意匠性に優れたものとなる。なお、本発明の容器ホルダ装置1では、閉位置における蓋体6の上面9をホルダ本体2の上面18よりも下方に配置しても良い。この場合には、ホルダ本体2の上面18と蓋体6の上面とを略面一にする場合よりも意匠性は悪くなるが、上述したように蓋体6がより小さな軌跡で大きく変位することにより、蓋体6が1軸で回動する従来の容器ホルダ装置に比べて、容器ホルダ装置1の設計の自由度が大きくなる利点がある。
【0030】
本実施形態の容器ホルダ装置1は、蓋体6を手動で変位させることにより、蓋体6を閉位置から開位置にまで回動させて、容器ホルダ装置1の開口5を開閉するものである。しかし、例えば、この実施形態の容器ホルダ装置1に既知のスイッチ機構等を併設して、スイッチのオンオフ操作により開口5の開閉操作をおこなってもよい。この場合には、例えばスイッチのオン動作と回動腕8の図中矢印B方向の回動とを連動させるとともに、スイッチのオフ動作と回動腕8の図3中矢印C方向の回動とを連動させて、オン操作時に蓋体6を閉位置から開位置に変位させ、オフ操作時に蓋体6を開位置から閉位置に変位させればよい。容器ホルダ装置にスイッチ機構を併設する場合には、容器ホルダ装置1をより操作性良く開閉できる利点がある。この場合、蓋体6にスイッチ操作による力を作用させて変位させることもできるし、あるいは、回動腕8にスイッチ操作による力を作用させ回動腕8を回動させることで蓋体6を変位させることもできる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の容器ホルダ装置を図面を基に説明する。
【0032】
(実施例)
本実施例の容器ホルダ装置は、上述した実施形態の容器ホルダ装置1の蓋体6に第2係合部を設け、さらに、ガイド腕とガイド部と付勢部材とを設けたものである。実施例の容器ホルダ装置1を模式的に表す断面図を図4〜7に示す。
【0033】
本実施例の容器ホルダ装置1において、蓋体6は、その前端16寄りの位置に第2係合部25を持つ以外は上述した実施形態のものと同じものである。第2係合部25は、第1係合部7と同方向に突起する軸状に形成されている。
【0034】
ホルダ本体2は、実施形態のものと同じく上方に開口するとともに箱内部に収容空間3を構成する。ホルダ本体2の内周側壁には、上下に延設されているガイド部26が設けられている。このガイド部26は、略円弧状に形成されている溝が上下に2つ連結された形状になっている。ガイド部26のうち上方の部分である第1弧部27は、上方から下方に略円弧状に延出している。ガイド部26のうち下方の部分である第2弧部28は、第1弧部27の下端に連続しさらに下方に略円弧状に延出している。ガイド部26の溝内部には蓋体6の第1係合部7がスライド回動可能に保持されている。
【0035】
本実施例の容器ホルダ装置1には略円盤状のギア部材36が設けられている。このギア部材36はホルダ本体2の内周側壁に設けられている枢支孔37に挿通されて回転可能に保持されている。
【0036】
本実施例の容器ホルダ装置1は、略S字の長尺板状の形状を持つガイド腕30が設けられている。このガイド腕30は一端に回動軸31を持ち他端に枢支孔32を持つ。ガイド腕30の回動軸31は、ギア部材36のうち枢支孔37よりも外周側に設けられているガイド腕枢支孔35に挿通されている。ガイド腕30はギア部材36を介してホルダ本体2に保持されるとともに回動軸31を中心に回動可能になっており、さらに、ガイド腕30はギア部材36の回転に伴って変位するようになっている。ガイド腕30の枢支孔32には蓋体6の第2係合部25が挿通されており、ガイド腕30は第2係合部25を中心に蓋体6を回動可能に保持している。
【0037】
本実施例の容器ホルダ装置1は、上述した実施形態の容器ホルダ装置1と同様の回動腕8を持つ。この回動腕8は、回動軸10の外周側に、ギア部材36よりも小形でありギア部材36と噛合するギア部38をもち、ギア部材36の回転に伴って回動するようになっている以外は実施形態のものと同形状に形成されている。回動腕8のスライド溝12には、蓋体6の第1係合部7がスライド回動可能に保持されている。本実施例の容器ホルダ装置1では、第1係合部7は回動腕8のスライド溝12とガイド部26との両方に回動可能に保持されている。
【0038】
ギア部材36のうち外周側の部分には、湾曲溝状の溝部40が設けられている。この溝部40には付勢部材42の一端であるスライド端部43がスライド可能に保持されている。付勢部材42のスライド端部は、ギア部材36を介して回動腕8に保持されている。この付勢部材42はトーションバネからなり、他端である回動端部45がホルダ本体2の内周側壁に回動可能に保持されている。
【0039】
また、図示しないが、本実施例の容器ホルダ装置1には、回動腕8の回動を付勢して開口5を開閉させるスイッチ機構が設けられている。このスイッチ機構は、スイッチのオン/オフ操作によって付勢部材42のスライド端部43を溝部40内でスライドさせ、付勢部材42の縮径による反発力を生じさせることで回動腕8の回動を付勢するものである。スイッチ機構は、開操作時の操作端となる開スイッチ部と、閉操作時の操作端となる閉スイッチ部とをもつ。開スイッチ部および閉スイッチ部は、上端がホルダ本体2の上方に表出し上下動可能になっている。開スイッチ部には、開操作時開に開スイッチ部とスライド端部43とを連結する開スイッチ側連結部が接続されている。開操作時に開スイッチ部を下動させると、開スイッチ側連結部がスライド端部43を押圧し溝部40内でスライドさせる。また、閉スイッチ部には、閉操作時に閉スイッチ部とスライド端部43とを連結する閉スイッチ側連結部が接続されている。閉操作時に閉スイッチ部を下動させると、閉スイッチ側連結部がスライド端部43を押圧し溝部40内でスライドさせる。
【0040】
本実施例の容器ホルダ装置1の開閉動作は以下のようにおこなわれる。
【0041】
蓋体6を閉位置から閉位置に変位させて容器ホルダ装置1の開口5を開く際には、先ず、スイッチ機構の開スイッチ部を下動させて付勢部材42のスライド端部43を図4に示される前端位置46から後端位置47にまでスライドさせる。このとき付勢部材42は、図5に示すように、図中矢印D方向に回動しつつ縮径する。
【0042】
スライド端部43が図5に示す後端位置47にまでスライドすると、付勢部材42は中立点を超えて縮径するために反発力によって再度拡径する。そしてこの反発力によってギア部材36が付勢されて、図6に示すように、ギア部材36は矢印E方向へ回動する。そして、ギア部材36の回転により、ギア部38でギア部材36と噛合している回動腕8が、矢印B方向に回動する。
【0043】
回動腕8が矢印B方向に回動すると、回動腕8の回動に伴って蓋体6が変位する。このとき蓋体6は、先ず、第1係合部7がガイド部26の第1弧部27にガイドされ変位する。すなわち蓋体6は、第1係合部7が回動腕8のスライド溝12に押圧されつつガイドされて、スライド溝12内を矢印A方向にスライドするとともに、第1弧部27内を第2係合部25を中心に矢印F方向に回動して、後端15が下降した半開位置(図6)に変位する。さらにこのとき、ギア部材36の回転にともなってガイド腕30の回動軸31が下方に変位し、ガイド腕30の枢支孔32もまた下方に変位するために、枢支孔32に保持されている蓋体6の前端16が下降する。このため、本実施例の容器ホルダ装置1では蓋体6が閉位置と開位置の間を変位している際にも、蓋体6の前端16がホルダ本体2の上面18よりも上方に突出しないようになっている。
【0044】
その後に、付勢部材42の反発力によってギア部材36がさらに矢印E方向に回動すると、回動腕8がさらに矢印B方向に回動して、蓋体6は第1係合部7がガイド部26の第2弧部28にガイドされて変位する。このとき、第2係合部25もまたこの回動に追従して変位するが、第2係合部25はガイド腕30に回動可能に枢支されていることから、第2係合部25はガイド腕30の回動軸31を中心とした円弧上を変位する。したがって、蓋体6の前端16はガイド腕30にガイドされつつ変位する。
【0045】
この回動によって、蓋体6は後端15を下方に向けつつ前端16がホルダ本体2の上面18よりも下方に配置される開位置(図7)に変位し、開口5が開かれる。
【0046】
蓋体6を閉位置から開位置に変位させて開口5を閉じる際には、閉スイッチ部を下動させ、付勢部材42のスライド端部43を図7に示される後端位置47から前端位置46にまでスライドさせて、付勢部材42を一旦縮径させる。そして付勢部材42の反発力によりギアを図7中矢印G方向に回動させて回動腕8を図7中矢印H方向に回動させ、蓋体6を開位置から半開位置を介して閉位置に変位させる。
【0047】
本実施例の容器ホルダ装置1では、上述した実施形態の容器ホルダ装置1と同様に、蓋体6は、第1係合部7と回動腕8の回動軸31との2軸で回動するとともに、第1係合部7がスライド溝12内をスライドして後端15が下降する半開位置をとる。このため、蓋体6を小さな軌跡で大きく変位させて蓋体6と開口外縁20との干渉を回避することができ、閉位置における蓋体6と開口外縁20との隙間を狭幅に設けるとともに、開位置においてホルダ本体2の上面18から出っ張らない位置に蓋体6を配置することができる。これらのことにより、本実施例の容器ホルダ装置1では、優れた意匠性と使用感とを両立させることが可能となる。
【0048】
また、本実施例の容器ホルダ装置1においても、閉位置において、蓋体6の上面はホルダ本体2の上面18と略面一となっており、蓋体6とホルダ本体2との一体感が増すために、容器ホルダ装置1はさらに優れた意匠性を発揮する。
【0049】
さらに、本実施例の容器ホルダ装置1はガイド腕30をもち、蓋体6の前端16の変位が第2係合部25を介してガイド腕30に案内されるために、蓋体6の変位が滑らかになる利点がある。そして、ホルダ本体2にガイド部26が設けられ、蓋体6の変位が第1係合部7を介してガイド部26に案内されていることからも、蓋体6がより滑らかに変位する。
【0050】
そして本実施例の容器ホルダ装置1では、回動腕8の回動が付勢部材42により付勢されているために、容器ホルダ装置1の開閉操作に要する力が小さくて済み、容器ホルダ装置1の使用感がさらに高められる。なお、付勢部材42がギア部材36を介して回動腕8に保持されていることから、容器ホルダ装置1の開閉操作に要する力は一層小さくて済む。
【0051】
なお、本実施例ではガイド腕30の回動により第2係合部25の変位、すなわち蓋体6前端16の変位をガイドしたが、他の方法で蓋体6前端16の変位をガイドしても良い。例えば、所望する蓋体6前端16の軌跡に応じたスライドレールをホルダ本体2の内周側壁に設けて、第2係合部25をこのスライドレール上でスライドさせることで蓋体6前端16の変位をガイドする場合にも、同様に蓋体6を滑らかに変位させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の容器ホルダ装置の一例を模式的に表す断面図である。
【図2】本発明の容器ホルダ装置の一例を模式的に表す断面図である。
【図3】本発明の容器ホルダ装置の一例を模式的に表す断面図である。
【図4】本発明の実施例の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
【図5】本発明の実施例の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
【図6】本発明の実施例の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
【図7】本発明の実施例の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
【図8】従来の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
【図9】従来の容器ホルダ装置を模式的に表す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
100:容器ホルダ装置 101:ホルダ本体 102:蓋体 103:収容空間 106:係合部 107:開口 110:蓋体の後端 111:開口外縁 112:蓋体の前端
1:容器ホルダ装置 2:ホルダ本体 3:収容空間 5:開口 6:蓋体 7:第1係合部 8:回動腕 12:スライド溝 15:蓋体の後端 16:蓋体の前端 18:ホルダ本体の上面 20:開口外縁 25:第2係合部 26:ガイド部 27:第1弧部 28:第2弧部 30:ガイド腕 36:ギア部材 38:ギア部 40:溝部 42:付勢部材 43:スライド端部 45:回動端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状をなし、上方に開口するとともに収容空間を構成するホルダ本体と、
略板状をなし、一の端部である後端寄りの位置に設けられている第1係合部をもち、該ホルダ本体の開口を開閉する蓋体と、
上下方向に対して交差する方向に延びるスライド溝を備え、該スライド溝で該第1係合部をスライド回動可能に保持するとともに、一端が該ホルダ本体に回動可能に保持されている回動腕と、をもち、
該蓋体は、該開口を覆う閉位置と、後端を下方に向けつつ前端が該ホルダ本体の上面よりも下方に配置されて該開口を開く開位置と、の間を該回動腕の回動によって変位し、
該蓋体が該閉位置から該開位置にまで変位する際には、先ず該スライド溝の案内により後端が下降した半開位置をとり、その後回動腕の回動とともに回動して開位置に配置されることを特徴とする容器ホルダ装置。
【請求項2】
前記蓋体は前端寄りの位置に設けられている第2係合部をもち、
該第2係合部は、一端が該ホルダ本体に回動可能に保持されているガイド腕に回動可能に保持されている請求項1に記載の容器ホルダ装置。
【請求項3】
前記ホルダ本体の内周側壁には、上部から下方に略円弧状に延出する第1弧部と、該第1弧部の下端に連続しさらに下方に略円弧状に延出する第2弧部と、からなるガイド部が設けられ、該ガイド部は前記第1係合部をスライド回動可能に保持している請求項2に記載の容器ホルダ装置。
【請求項4】
一端が前記ホルダ本体に保持され他端が前記回動腕に保持されている付勢部材を備え、前記回動腕の回動は該付勢部材により付勢されている請求項1に記載の容器ホルダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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