説明

容器体及びこれを用いた野菜惣菜の包装体

【課題】
カット野菜等の野菜惣菜と小袋入り調味液を一緒に収容できる容器体及びこの容器体を使用して作業性に優れ、かつ製造直後のままの形態を維持可能とした見栄えのする野菜惣菜の包装体を提供する。
【解決手段】
主容器2と副容器3とがそれぞれのフランジ4,4により折り曲げのための折曲線5を介して一体に連結してあり、前記副容器3の開口部7の開口方向を前記主容器2の開口方向と逆方向に形成してあることを特徴とする容器体1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主容器と副容器の開口部を互いに逆方向にし、フランジ部で一体に連結してある容器体と、この容器体に野菜惣菜と小袋入り液体調味料を収容し合成樹脂製袋体内に装填してある野菜惣菜の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭における核家族化や主婦のパートタイム勤務などが増えるという社会現象の変化に伴って、食用に供される惣菜の店頭に陳列される販売品の形態も多様化している。例えば、野菜類は加熱調理後仕切りで画された容器に充填施蓋して販売されたり、生野菜は収穫後洗浄され、そのまま食することができるようにカット処理された状態で袋詰や蓋付容器に収容され、密封して販売されている。
【0003】
ところで、上記販売形態の商品は殆どの場合、小袋入りの液体調味料(醤油、ドレッシング、ソース、マヨネーズ、食用油等)をそのまま惣菜と一緒に詰め合わせた形態で販売に供されている。このことは、例えば、特許文献1(特開2002−153217号公報)によって挙げることができる。また、一方では2種類の食材を包装可能な容器体として、主容器と副容器をフランジをはさんで一体に連結して施蓋した構造の容器体が特許文献2(実開昭56−175367号公報)に記載され、公知である。
【0004】
【特許文献1】特開2002−153217号公報
【特許文献2】実開昭56−175367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技法を用いて例えば、細かく截断したキャベツ、ニンジン、レタス等の生野菜類(以下、単に「カット野菜」という)を小袋入りの液体調味料と一緒に袋詰めし商品とした場合、製造直後は問題のない製品であっても、その後の流通段階での製品の移動や取扱い作業により、小袋入りの液体調味料がカット野菜の中に紛れ込んだり、あるいは、小袋の表面に野菜がこびりついたりするため、一見すると見栄えのしない不衛生にも見える商品となってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、これらの問題を少なくするため、袋体にカット野菜を直接充填することをやめて、容器体にカット野菜を充填し、その上に小袋入り調味液を直接戴置したものとし、これを袋体に装填した商品や、小袋入り調味液(以下、単に「小袋」ともいう)を副容器としての小容器体に収容した状態にした商品が市場に出現している。これらの容器体を使用した商品にあっては、いずれも袋体にカット野菜を直接充填したものに比べて多少は見栄えはするものの、カット野菜の上に小袋を載せた商品は、流通段階での小袋の野菜内への紛れこみや小袋表面への野菜のこびりつきの発生は抑え難く、未だ満足できる商品とは言えないものである。
【0007】
また、小袋入り調味液を小容器内に収容し、これを容器体内のカット野菜に載せた形態の商品は、小袋がカット野菜内に紛れ込むことは殆どなくなるが、袋体内の容器体中で小袋を収容した小容器が、流通段階等で移動し、全ての商品を店頭で一定形態のものとして品揃え陳列することが難しい。
【0008】
さらに、これを製造するに際しては小容器を別途余分に準備する必要があり、その分コスト高となるばかりでなく、小容器内に小袋入り調味液を収容する作業も増えることになり、製造効率が悪くなるという欠点があった。
【0009】
本発明は上記従来の容器体の持つ問題点に鑑みなされたもので、カット野菜等の野菜惣菜と小袋入り調味液を一緒に容器に収容して袋体に装填したものであっても流通段階を経ても製造直後の形態で店頭に供することができると共にコストも安く製することができる容器体と、この容器体を用いた野菜惣菜の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の容器体は、主容器と副容器とがそれぞれのフランジにより折り曲げのための折曲線部を介して一体に連結してあり、前記副容器の開口部の開口方向を前記主容器の開口方向と逆方向に形成してあることを特徴とする。
このような構造とすることにより、副容器を別個に製造する必要がなく、容器体をコスト安に製造できる。使用に際しては副容器をフランジ部で折り曲げることにより主容器内へ折り込み嵌入することができると共に主容器と副容器の開口部を同方向にした状態としてそれぞれの容器に内容物を充填できる。
【0011】
また、副容器は、フランジで主容器と一体に連結してあるので流通段階においても主容器内であちらこちら移動することはなくなり、充填物同士の紛じり込みすることがない安定収容可能な容器体にすることができるのでよい。この際、主容器と副容器とをプラスチックの一体成形により形成しておくと、成形も容易な堅固で取り扱い易い容器体とすることができる。
また、副容器の開口部の面積を主容器の開口部の面積の1/2以下として形成しておくことで、容器体の上方からも主容器内の収容物の状態を視認できるものとなると共に容器体成形用の材料コストをさらに安価にすることができる。
【0012】
また、前記折曲線を介して相対する両側のフランジ部又は主容器及び副容器側壁の一部に互いに嵌合可能な凹部と突起部を形成しておくことで、凹部と突起部を嵌合させて主容器と副容器を脱着可能となり、しかもしっかりと固定することができる。
【0013】
請求項5の野菜惣菜の包装体は上記構造の容器体の主容器に野菜惣菜を充填収容し、副容器内には小袋入り調味液を収容した容器体を袋体内に不活性ガスと共に装填密封してあることを特徴とする。
このような構成とすることで、流通段階で小袋入り調味液が野菜惣菜の中に紛れ込んだりすることはなくなり、製造直後と殆ど変わらない形態の商品として販売に供することができる。
また、この際、野菜惣菜を細かく裁断したカット野菜とし、不活性ガスを窒素ガスとし、小袋入り調味液を液状ドレッシングとしておくことで、何時でも何処でも食すことができる新鮮な野菜サラダ商品として提供することができるのでよい。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明容器体は、主容器と副容器の開口部の開口方向を逆方向にしてフランジにより折り曲げ可能に一体に連結し形成してあるので、副容器をフランジを介して主容器内へ折り曲げ嵌入することで、開口方向が同方向であって主容器内で副容器が移動しない構造の容器体にすることができる。従って、主容器と副容器の両方へその上方から内容物を容易に充填できる安価で作業性に優れた容器体を提供することができる。
また、上記容器体を用いて主容器に、例えば野菜惣菜としてのカット野菜を充填し、副容器内に小袋入り調味液を収容してこれらを窒素ガスと共に袋体に装填密封することで、流通後も袋体内の主容器に小袋がきちんと納まった見栄えのする新鮮なカット野菜商品として提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の容器体及びこれを用いた野菜惣菜の包装体を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
[実施例1]
図1は、本発明容器体の一実施例を示す斜視図であり、図2の(イ)は図1のA−A線矢視断面図であり、同(ロ)は(イ)図の容器体をフランジ部で折り曲げ主容器内へ副容器を嵌入した状態を示す断面説明図である。また、図3は図1の副容器を主容器内へ嵌入した状態を示す斜視図である。図4(イ)は本発明容器体の他の実施例を示す斜視図であり、図(ロ)は(イ)の副容器を主容器内へ嵌入した状態を示す斜視図である。図5は本発明野菜惣菜の包装体の一実施例を示す斜視図であり、図6は図5のB−B線矢視断面図である。
【0017】
図1において、容器体1は主容器2と副容器3とがそれぞれのフランジ4,4・・・により一体に連結して形成してある。主容器2と副容器3を連結するフランジ部4,4には折曲線となる折曲線部5を施してある。また、主容器2の開口部6と副容器3の開口部7はそれぞれ逆方向に形成されている。
【0018】
また、図4に示すようにフランジ部4、4にフランジ固定用凹凸部20を形成してあると容器体1は使用する際には、副容器3を主容器2内に折り曲げ、さらに両容器のフランジ4に形成されたフランジ固定用凹凸部20を嵌入させて固定することができる。このことは副容器か不用意に開くことを防止することができさらに好ましい。前記フランジ部固定用凹凸部20は脱着自在であることから、副容器3に収納してある小袋入り調味料を取出した後、副容器を開放して主容器2に充填されているカット野菜を取出すことができるものである。
【0019】
本実施例の容器体1は透明なプラスチック(PET)で製され主容器2の縦×横×高さを:(180mm×125mm×40mm)とし、副容器を同(60mm×125mm×10mm)とし、それぞれ横幅(100mm)のフランジ部4,4で一体に連結して形成してある。
また、本実施例ではフランジ部4,4の間の折曲線部5は副容器3を主容器2内に折り曲げ嵌入し易くするために折曲線部が形成してある(図2のイ、ロ参照)。
【0020】
このように形成された容器体1は使用する際には、副容器3を主容器2内へ折り曲げ嵌入し、それぞれの開口部6と7を同方向の上向きにして内容物を容易に充填することができる。
また、前記折曲線を介して相対する両側のフランジ部の一部に互いに嵌合可能な凹部と突起部を形成しておくことで、凹部と突起部を嵌合させて主容器と副容器を脱着可能となり、しかもしっかりと固定することができる。
【0021】
次に、上記容器体1の主容器2に野菜惣菜としてカット野菜8を充填し、副容器3に小袋入り調味液9を収容し窒素ガスと共に袋体10に装填密封した本発明野菜惣菜の包装体11の実施例を図3及び図4に基づいて重複する説明を省略して述べる。
【0022】
上記構造とされた野菜惣菜の包装体11は、袋体10を透明樹脂製の外袋としてその内部に容器体1を装填密封してあるので、副容器3内に収容した小袋入り調味液9は、流通段階での商品の移動や取扱いによって、あちらこちらへ移動することがなく、主容器2内のカット野菜8へ紛れ込むこともない。また、袋体10内には窒素ガスも封入してあるので、カット野菜の劣化も抑止され、野菜惣菜の包装体として見栄えのする、衛生的にも優れた商品にすることができる。
【0023】
その他の実施例として副容器3にコーンやクルトン等のトッピングを配置することができる。その際、副容器の大きさ、ならび深さは配置する商品により大きさを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明容器体の一実施例を示す斜視図。
【図2】(イ)は図1のA−A線矢視断面図であり、(ロ)は(イ)図の容器体をフランジ部で折り曲げ副容器を主容器内へ嵌入した状態を示す説明図。
【図3】図1の副容器を主容器内へ嵌入した状態を示す斜視図。
【図4】(イ)は本発明容器体の他の実施例を示す斜視図であり、(ロ)は(イ)の副容器を主容器内へ嵌入した状態を示す斜視図。
【図5】本発明野菜惣菜の包装体の一実施例を示す斜視図。
【図6】図5のB−B線矢視断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 容器体
2 主容器
3 副容器
4 フランジ
5 折曲線部
6 開口部
7 開口部
8 野菜惣菜(カット野菜)
9 小袋入り調味液
10 袋体(外袋)
11 野菜惣菜の包装体
20 フランジ固定用凹凸部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
主容器と副容器とがそれぞれのフランジにより折り曲げのための折曲線を介して一体に連結してあり、前記副容器の開口部の開口方向を前記主容器の開口方向と逆方向に形成してあることを特徴とする容器体。
【請求項2】
前記主容器と副容器とをプラスチックの一体成形により形成してある請求項1記載の容器体。
【請求項3】
副容器の開口部の面積を主容器の開口部の面積の1/2以下としてある請求項1及び2記載の容器体。
【請求項4】
前記折曲線を介して相対する両側のフランジ部又は主容器及び副容器側壁の一部に互いに嵌合可能な凹部と突起部を形成してある請求項1乃至3記載の容器体
【請求項5】
主容器に対して副容器の開口部の開口方向を逆向きにし、夫々のフランジにより一体に連結してある容器体の前記副容器をフランジ部を支軸として前記主容器側へ折り曲げ嵌入してあり、前記主容器内に野菜惣菜を、副容器内には小袋入り調味液を夫々充填してある容器体を袋体内に不活性ガスと共に装填密封してあることを特徴とする野菜惣菜の包装体。
【請求項6】
野菜惣菜はカット野菜であり、不活性ガスは窒素ガスであり、小袋入り調味液は液状ドレッシングとしてある請求項5記載の野菜惣菜の包装体。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−132993(P2008−132993A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318347(P2006−318347)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】