説明

容器詰飲料

【課題】風味及び色調、並びにカテキン含量の保存安定性の良好な容器詰非茶飲料の提供。
【解決手段】非重合体カテキン類中のカテキンガレート体率が50質量%未満である精製緑茶抽出物を配合してなり、
(A)非重合体カテキン類0.072〜1.2質量%、及び
(B)没食子酸0.001〜12mg/100mL
を含有する容器詰非茶飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非重合体カテキン類を高濃度に含有し、風味及び色調、並びに非重合体カテキン類の保存安定性の良好な容器詰飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
カテキンの効果としてはαアミラーゼ活性阻害作用などが報告されている(例えば、特許文献1参照)。このような生理効果を発現させるためには、より簡便に大量のカテキンを摂取するため、飲料にカテキンを高濃度配合する技術が望まれていた。
【0003】
この方法の一つとして、緑茶抽出物の濃縮物などの茶抽出物を利用して、カテキンを飲料に添加する方法が用いられている。しかしながら、例えば紅茶抽出液や炭酸飲料にカテキンを高濃度に配合する場合において、カフェイン及び緑茶由来の苦渋みの残存が飲料の商品価値を大きく損ねることがわかっている。
【0004】
紅茶等の発酵茶抽出液に対してタンナーゼ処理を行い、低温冷却時の懸濁、即ちテイークリーム形成を抑制できることは古くから知られていた。又、特許文献1に見られる、ガレート体カテキンにタンナーゼ処理を行い、一部又は全部を没食子酸とすることにより、カテキン類と没食子酸との混合物を得る方法によれば、苦味の原因となるガレート体カテキン類を低減することができる。また、茶抽出物から、カフェイン等の夾雑物を取り除く方法としては、吸着法(特許文献2〜4)、抽出法(特許文献5)等が知られている。
【特許文献1】特開2003−33157号公報
【特許文献2】特開平5−153910号公報
【特許文献3】特開平8―109178号公報
【特許文献4】特開2002−335911号公報
【特許文献5】特開平1−289447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タンナーゼ処理により得られるカテキン類と没食子酸の混合物は、酸味・エグ味が発生するという問題があり、酸性飲料やスポーツドリンク等の非茶飲料配合することができなかった。更に、非重合体カテキン類を高濃度化した飲料にガレート体カテキンを多量に含む緑茶抽出物を使用した場合、長期保存により風味が変化し、また色調も変化するため透明容器詰飲料には適さないという問題が生じることも判明した。
従って本発明の課題は、非重合体カテキン類濃度が高いにもかかわらず、苦味が抑制されており、かつ長期保存しても風味及び色調、並びに非重合体カテキン類含量が変化しない透明容器詰非茶飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、カテキンガレート体率が50質量%未満に調整された精製緑茶抽出物を用いて容器詰非茶飲料を製造するにあたって、没食子酸の含有量を0.001〜12mg/100mLに調整すれば、非重合体カテキン類濃度が高い場合でも、苦味が抑制されるだけでなく、長期保存時の風味及び色調、並びにカテキン含量が変化しない容器に充填した飲料とすることができることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、非重合体カテキン類中のカテキンガレート体率が50質量%未満である精製緑茶抽出物を配合してなり、
(A)非重合体カテキン類0.072〜1.2質量%、及び
(B)没食子酸0.001〜12mg/100mL
を含有する容器詰非茶飲料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の透明容器詰非茶飲料は、生理効果を奏するのに十分な量の非重合体カテキン量を含有し、かつ苦味が低減されていることから酸性飲料やスポーツドリンクの形態にしても飲料しやすく、更に長期保存しても風味及び色調、並びに非重合体カテキン類含量の変化がなく安定性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキンをあわせての総称である。
【0010】
本発明でカテキンガレート体とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどをあわせての総称である。ガレート体率とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの質量和に対する非重合カテキンガレート体4種の質量和の比率を100分率で示した値である。
また、カテキンガロ体とは、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートなどをあわせての総称である。
【0011】
本発明の容器詰飲料は、非重合体カテキン類中のカテキンガレート体率が50質量%未満である精製緑茶抽出物を配合することにより得られる。このような精製緑茶抽出物は、緑茶抽出物の精製工程のいずれかの段階でタンナーゼ処理することによりカテキンガレート体率を50質量%未満に調整したものが好ましい。
【0012】
本発明で用いる茶抽出物としては、緑茶葉から得られた抽出液が挙げられる。使用する茶葉としては、より具体的には、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種又はそれらの雑種等から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類がある。本発明で用いる緑茶抽出物としては、緑茶の茶葉から得られた抽出液を乾燥又は濃縮したもの等が好ましい。
【0013】
茶葉からの抽出は、抽出溶媒として水を使用し、攪拌抽出等により行われる。抽出の際、水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸塩類又は有機酸を添加してもよい。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスの通気により、溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。このようにして得られた抽出液を、乾燥、濃縮して本発明に使用する茶抽出物を得る。茶抽出物の形態としては、液体、スラリー、半固体、固体の状態が挙げられる。
【0014】
緑茶抽出物としては、超臨界状態の二酸化炭素接触処理を施した茶葉を用いて抽出した抽出物を用いてもよい。
【0015】
本発明に使用する緑茶抽出物には、茶葉から抽出した抽出液を乾燥、濃縮して使用する代わりに、緑茶抽出物の濃縮物を水に溶解又は希釈して用いても、緑茶葉からの抽出液と緑茶抽出物の濃縮物とを併用してもよい。
ここで、緑茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を単に濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載されている方法により調製したものをいう。また精製緑茶抽出物には、市販の東京フードテクノ社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」等を用いることも、またそれらを原料として更に精製処理しても良い。
【0016】
これらの緑茶抽出物又はその濃縮物、精製物をタンナーゼ処理することにより、カテキンガレート体率を低下させる。ここで使用するタンナーゼは、一般に市販されている500〜5,000U/gの酵素活性を有することが好ましく、500U/g以下であると充分な活性を得ることができず、5,000U/g以上であると酵素反応速度が速すぎる為、反応系を制御することが困難となる。
タンナーゼとしては、タンニンアシルヒドラーゼEC3.1.1.20が好適である。市販品としては、商品名「タンナーゼ」キッコーマン(株)製及びタンナーゼ「三共」三共(株)製などが挙げられる。
【0017】
タンナーゼ処理の具体的な手法としては、非重合体カテキンガレート体率の低減効果、及び最適の非重合体カテキンガレート体率で酵素反応を停止する観点から、緑茶抽出物の水溶液に、緑茶抽出物中の非重合体カテキン類に対してタンナーゼを0.5〜10質量%の範囲になるように添加することが好ましい。更に好ましくは、タンナーゼ濃度が0.5〜5質量%、更に2〜4質量%であることが好ましい。
タンナーゼ処理の温度は、最適な酵素活性が得られる15〜40℃が好ましく、更に好ましくは20〜30℃である。
【0018】
タンナーゼ反応を終了させるには、酵素活性を失活させる必要がある。酵素失活の温度は、70〜90℃が好ましくい。又、所定の失活温度に到達してから10秒以上20分以下の保持時間であると好ましい。酵素反応の失活方法は、バッチ式もしくはプレート型熱交換機のような連続式で加熱を行うことで停止することができる。又、タンナーゼ処理の失活終了後、遠心分離などの操作により緑茶抽出物の水溶液を清浄化することができる。
【0019】
また、本発明に用いる精製緑茶抽出物は、タンナーゼ処理の前又は後に、精製処理をしたものが、風味、安定性等の点から好ましい。このような精製処理手段としては、(1)合成吸着剤処理、(2)有機溶媒と水との混合液による抽出、(3)活性炭処理、(4)活性白土又は/及び酸性白土処理、(5)固液分離等の操作を単独で又は組み合せた手段が例示される。
【0020】
合成吸着剤処理としては、緑茶抽出物を合成吸着剤に吸着させ、次いで非重合体カテキン類を溶出させる方法が挙げられる。より具体的には、緑茶抽出物を合成吸着剤に吸着させ、合成吸着剤を洗浄し、次いで塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させる。当該合成吸着剤処理により、カフェイン及び没食子酸が低減できる。用いる合成吸着剤としては、スチレン−ジビニルベンゼン、修飾スチレン−ジビニルベンゼン又はメタクリル酸メチルを母体とするものが挙げられる。スチレン−ジビニルベンゼン系の合成吸着剤の例としては、三菱化学社製の商品名ダイヤイオンHP−20、HP−21、セパビーズSP70、SP700、SP825、SP−825やオルガノ社のアンバーライトXAD4、XAD16HP、XAD1180、XAD2000、住友化学のデュオライトS874、S876等が挙げられる。臭素原子を核置換して吸着力を強めた修飾スチレン−ジビニルベンゼン系の合成吸着剤の例としては、三菱化学社製の商品名セパビーズSP205、SP206、SP207等が挙げられる。メタクリル酸メチル系の合成吸着剤の例としては、三菱化学社製のセパビーズHP1MG、HP2MGやオルガノ社のXAD7HP、住友化学のデュオライトS877等が挙げられる。
合成吸着剤の中でも特に、特に修飾ポリスチレン系合成吸着剤及びメタクリル酸メチル系合成吸着剤が好ましい。
合成吸着剤としては具体的には、SP207などの修飾ポリスチレン系合成吸着剤(三菱化学社製)、HP2MGなどのメタクリル系合成吸着剤(三菱化学社製)が挙げられるが、特に、SP207が好ましい。
【0021】
合成吸着剤が充填されたカラムに対し、予めSV(空間速度)=1〜10[h-1]、合成吸着剤に対する通液倍数として2〜10[v/v]の通液条件で95vol%エタノール水溶液による洗浄処理を行い、合成吸着剤中の原料モノマーや原料モノマー由来の不純物等を除去するのが好ましい。そして、その後SV=1〜10[h-1]、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜10[v/v]の通液条件により水洗を行い、エタノールを除去して合成吸着剤の含液を水系に置換すると非重合体カテキン類の吸着能が向上する。
【0022】
緑茶抽出物を合成吸着剤に吸着させる手段としては、合成吸着剤が充填されたカラムに当該緑茶抽出物水溶液を通液するのが好ましい。緑茶抽出物を合成吸着剤を充填したカラムに通液する条件としては、SV(空間速度)=0.5〜10[h-1]の通液速度、合成吸着剤に対する通液倍数0.5〜20[v/v]が好ましい。10[h-1]以上の通液速度や20[v/v]以上の通液量であると非重合体カテキン類の吸着が不充分となる。
更に、緑茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後に水洗浄を行うが、SV=0.5〜10[h-1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜10[v/v]で、合成吸着剤に付着した没食子酸や不純物を除去するのが好ましい。10[h-1]以上の通液速度や10[v/v]以上の通液量で水洗浄すると非重合体カテキン類が溶出する場合があり、1[v/v]以下の通液量であると没食子酸の除去が不充分である。
【0023】
非重合体カテキン類の溶出に用いる塩基性水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を好適に用いることができる。また、アルカリ性水溶液のpHは7〜14の範囲が好ましい。pH7〜14のナトリウム系水溶液としては、4%以下の水酸化ナトリウム水溶液、1N−炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。
【0024】
溶出工程においては、溶出水として互いにpHが異なる2種以上の水溶液を用い、これら溶出水をpHが低い順に合成吸着剤に接触させることができる。このように溶出水としてpHが異なる2種以上の溶出水を用いる例としては、pH3〜7の溶出水により溶出させた後に、pH9〜11の塩基性水溶液により溶出させる例が挙げられる。
【0025】
本発明で使用される合成吸着剤は精製処理後に所定の方法を用いることにより再使用できる。具体的には、水酸化ナトリウムのようなアルカリ水溶液を通液・洗浄し、合成吸着剤上に残存する水溶性成分をすべて脱着させる。
【0026】
非重合体カテキン類の溶出液は、塩基性水溶液で溶出したため、カテキン類の安定化の観点から中和することが好ましい。中和方法として、アルカリ金属イオンの除去できるカチオン交換樹脂、特にH型のカチオン交換樹脂を用いるのが好ましい。カチオン交換樹脂としては、具体的には、アンバーライト200CT、IR120B、IR124、IR118、ダイヤイオンSK1B、SK102、PK208、PK212等を用いることができる。
【0027】
上記の精製処理に加えて、(1)有機溶媒と水との混合液による抽出と(2)活性炭処理、又は(1)有機溶媒と水との混合液による抽出と(3)活性白土又は/及び酸性白土処理は組み合せて行うのが好ましい。更に、(1)有機溶媒と水の混合液による抽出、(2)活性炭処理及び(3)活性白土又は/及び酸性白土処理を組み合せるのが特に好ましい。
【0028】
有機溶媒と水の混合液で抽出するためには、緑茶抽出物を有機溶媒と水の混合溶液中に分散する。この分散液中の有機溶媒と水との含有質量比は、最終的に60/40〜97/3、より好ましくは、(1)茶葉由来の水不溶性成分、たとえば、セルロース類等を除去する場合には、60/40〜75/25で処理する。又(2)茶葉由来のフレーバー成分を除去する場合には、85/15〜95/5とするのが、カテキン類の抽出効率、緑茶抽出物の精製、及び長期間の飲用性等の点で好ましい。
【0029】
有機溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、アセトンの親水性有機溶媒が好ましく、特に食品への使用を考慮すると、エタノールが好ましい。水として、イオン交換水、水道水、天然水等が挙げられる。この有機溶媒と水は、混合して又はそれぞれ別々に精密ろ過された緑茶抽出物と混合してもよいが、混合溶液としてから緑茶抽出物と混合処理するのが好ましい。
【0030】
有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して、緑茶抽出物(乾燥質量換算)を10〜40質量部、更に10〜30質量部、特に15〜30質量部添加して処理するのが、緑茶抽出物を効率よく処理できるので好ましい。
【0031】
有機溶媒と水の混合溶液の添加終了後は10〜180分程度の熟成時間を設けると更に好ましい。
これらの処理は、10〜60℃で行うことができ、特に10〜50℃、更に10〜40℃で行うのが好ましい。
【0032】
活性炭処理に用いる活性炭としては、一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)等の市販品を用いることができる。
活性炭の細孔容積は0.01〜0.8mL/g、特に0.1〜0.8mL/gが好ましい。また、比表面積は800〜1600m2/g、特に900〜1500m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
【0033】
活性炭処理は、緑茶抽出物を前記有機溶媒と水との混合溶液に添加した後に行うのが好ましい。活性炭は、有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して0.5〜8質量部、特に0.5〜3質量部添加するのが、精製効果、ろ過工程におけるケーク抵抗が小さい点で好ましい。
【0034】
酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO2、Al23、Fe23、CaO、MgO等を含有するものであるが、SiO2/Al23比が3〜12、特に4〜9であるのが好ましい。またFe23を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有する組成のものが好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸等の鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。
【0035】
酸性白土又は活性白土の比表面積は、酸処理の程度等により異なるが、50〜350m2/gであるのが好ましく、pH(5質量%サスペンジョン)は2.5〜8、特に3.6〜7のものが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
【0036】
また、活性炭と酸性白土又は活性白土を併用する場合の割合は、質量比で活性炭1に対して1〜10がよく、活性炭:酸性白土又は活性白土=1:1〜1:6であるのが好ましい。
【0037】
得られた精製緑茶抽出物は、製品の安定性向上のため、必要に応じて除濁することが好ましい。除濁の具体的な操作としては、ろ過及び/又は遠心分離処理により固形分と水溶性部分とを固液分離することが挙げられる。
【0038】
固液分離をろ過で行う場合は、ろ過条件としては、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であるのが好ましい。圧力は、使用する膜モジュールの耐圧範囲であることが望ましい。例えば、30〜400kPa、更に50〜400kPa、特に50〜350kPaであるのが好ましい。膜孔径は、所定の濁度になるという点から、1〜30μmが好ましく、更に2〜25μm、特に2〜20μmであるのが好ましい。膜孔径の測定方法は、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法などを用いた一般的な測定方法が挙げられるが、バブルポイント試験で求めた値を用いるのが好ましい。
【0039】
また、遠心分離機は、分離板型、円筒型、デカンター型などの一般的な機器が好ましい。遠心分離条件としては、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であるのが好ましく、回転数と時間は、所定の濁度になるように調整された条件であることが望ましい。例えば分離板型の場合、3000〜10000r/min、更に5000〜10000r/min、特に6000〜10000r/minで、0.2〜30分、更に0.2〜20分、特に0.2〜15分であるのが好ましい。
【0040】
固液分離は膜ろ過が好ましい。膜ろ過で使用する高分子膜は、炭化水素系、フッ素化炭化水素系又はスルホン系高分子膜であって、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子膜;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)等のフッ素化ポリオレフィン系高分子膜等が挙げられる。ポリスルフォン(PSU)、ポリエーテルスルフォン(PES)等のスルホン系高分子膜等が挙げられる。高分子膜の膜孔径は、0.05〜0.8μmであるが、更に0.05〜0.5μm、特に0.08〜0.5μmであるのが好ましい。膜孔径が小さすぎる場合には、著しくろ過速度が低下し、一方、大きすぎる場合には、分離できず、色調が悪化する。また、膜厚としては、0.1〜2.5mm、更に0.3〜2.0mm、特に0.3〜1.5mmであるのが好ましい。
【0041】
本発明に用いる精製緑茶抽出物は、その固形分中に、非重合体カテキン類を25〜95質量%、更に40〜90質量%、更に50〜88質量%、特に60〜85質量%含有するものが好ましい。
【0042】
また、精製緑茶抽出物中のカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートからなるガレート体の全非重合体カテキン類中での割合は、50質量%未満であることが、苦味抑制の点から必要であるが、更に0〜48質量%、更に0.1〜45、更に1〜44、更に2〜40、更に3〜39、更に4〜30、特に5〜20質量%であるのが、非重合体カテキン類の生理効果の有効性及び苦味低減の点で好ましい。
【0043】
本発明に用いられる精製緑茶抽出物中のカフェイン濃度は、非重合体カテキン類に対して、カフェイン/非重合体カテキン類(質量比)=0〜0.1、更に0.005〜0.05、特に0.01〜0.035であるのが好ましい。
【0044】
本発明の容器詰飲料中には、非重合体カテキン類を、0.072〜1.2質量%含有するが、好ましくは0.08〜0.6質量%、より好ましくは0.09〜0.4質量%、更に好ましくは0.1〜0.3質量%含有する。非重合体カテキン類含量がこの範囲にあると、多量の非重合カテキン類を容易に摂取しやすく、風味及び色調、並びに非重合体カテキン類含量の安定性の点からも好ましい。
【0045】
また、本発明の容器詰飲料中の没食子酸含有量は、苦味、酸味の低減効果、更には風味及び色調、並びに非重合体カテキン類含量の保存安定性の点から0.001〜12mg/100mLであることが好ましく、更に0.01〜11mg/100mLであることが好ましく、更に0.1〜10mg/100mL、特に0.5〜9mg/100mL、殊更、1.1〜9mg/100mLであるのが好ましい。没食子酸含有量の調整は、樹脂による吸着などにより行われる。
【0046】
本発明の容器詰飲料は非茶飲料であり、非茶飲料としては、炭酸飲料、非炭酸飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、スポーツドリンク、エネルギードリンク、ニアウォーター、アイソトニック飲料、ハイポトニック飲料、ハイパートニック飲料、機能性飲料等の形態が挙げられる。
【0047】
酸性飲料とする場合の甘味料の含有量は甘味付加の点から容器詰飲料中に0.005〜20質量%、更に0.05〜10質量%、特に0.5〜5質量%が好ましい。また、pHは2.0〜6.0であるが、更に、2.1〜4.5更に2.5〜4.0、特に3.0〜3.8が好ましい。
【0048】
本発明の容器詰飲料に用いられる甘味料としては人工甘味料類、炭水化物類、グリセロール類(例えばグリセリン)が用いられる。これらのうち、人工甘味料を使用することが好ましい。本発明で使用できる人工甘味料としては、サッカリン及びサッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセサルフェーム−K、スクラロース、ネオテームなどの高甘度甘味料、ソルビトール、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコールを使用できる。商品としては、アスパルテームからなるスリムアップシュガー、エリスリトールを含んだラカントS,エリスリトールとアスパルテームからなるパルスイートなどが挙げられる。
【0049】
容器詰飲料がエネルギー補給機能を兼ね備える場合には、炭水化物類の甘味料を使用する方が好ましい。
【0050】
本明細書で用いられる「炭水化物」という用語は、単糖、オリゴ糖、複合多糖及びそれらの混合物を含む。
【0051】
本発明容器詰飲料中のグルコースの量は、0.0001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、更に0.001〜10質量%であるのが好ましい。
【0052】
本発明で使用できる炭水化物類甘味料としては可溶性炭水化物が用いられるが、オリゴ糖としては、グルコースやフルクトースなどの単糖を体内で生成する炭水化物(即ち、スクロース、マルトデキストリン、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ)が挙げられる。この糖の中では二糖が好ましい。二糖の例は、ショ糖又はテンサイ糖として知られるスクロースである。本発明容器詰飲料中のスクロースの量は、0.001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、特に0.001〜10質量%であるのが好ましい。
【0053】
本発明で使用されるフレーバーフレーバーとは、食品衛生法の中で『食品の製造又は加工の過程で、香気を付与又は増強するため添加される添加物及びその製剤』と定義されているものを指す。フレーバーの含有量は、風味向上の点から容器詰飲料中に、0.01〜5質量%、更に0.05〜3質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
本発明は、フレーバー及び果汁を含む天然又は合成フレーバーや果汁が本発明で使用できる。これらはフルーツジュース、フルーツフレーバー、植物フレーバー又はそれらの混合物から選択できる。特に、フルーツジュースと一緒に茶フレーバー、好ましくは緑茶又は黒茶フレーバーの組み合わせである。好ましい果汁はリンゴ、ナシ、レモン、ライム、マンダリン、グレープフルーツ、クランベリー、オレンジ、ストロベリー、ブドウ、キゥイ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴ、グァバ、ラズベリー及びチェリーである。シトラスジュース、好ましくはグレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライム、マンダリンと、マンゴ、パッションフルーツ及びグァバのジュース、又はそれらの混合物が最も好ましい。好ましい天然フレーバーはジャスミン、カミツレ、バラ、ペパーミント、サンザシ、キク、ヒシ、サトウキビ、レイシ、タケノコ等である。果汁は本発明飲料中に0.001〜20質量%、更に0.002〜10質量%含有するのが好ましい。フルーツフレーバー、植物フレーバー、茶フレーバー及びそれらの混合物も果汁として使用できる。特に好ましいフレーバーはオレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー及びグレープフルーツフレーバーを含めたシトラスフレーバーである。シトラスフレーバー以外にも、リンゴフレーバー、ブドウフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバー等のような様々な他のフルーツフレーバーが使用できる。これらのフレーバーはフルーツジュース及び香油のような天然源から誘導しても、又は合成してもよい。香味料には、様々なフレーバーのブレンド、例えばレモン及びライムフレーバー、シトラスフレーバーと選択されたスパイス等を含めることができる。
【0054】
本発明の容器詰飲料を、スポーツドリンク又はアイソトニック飲料とする場合には、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有させるのが好ましい。スポーツドリンクとは、身体運動後に汗として失われる水分、ミネラルを速やかに補給できる飲料をいう。
【0055】
主な生理電解質の中にはナトリウム及びカリウムがある。これらのイオン成分はそれらに対応する水溶性成分ないし、無機塩を添加することで含有させることができる。それらは果汁及び茶抽出物中にも存在する。本発明飲料中における電解質又はイオン成分の量は最終の飲用しうる容器詰飲料中の含有量である。電解質濃度はイオン濃度で示される。カリウムイオン成分は、カリウム塩化物、炭酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、酒石酸カリウム、ソルビン酸カリウム等又はそれらの混合物のような塩として、あるいは加えられた果汁又は茶の成分として本発明飲料に配合できる。カリウムイオンは、0.001〜0.2質量%、更に0.002〜0.15質量%、更に0.003〜0.12質量%本発明の容器詰飲料中に含有することが好ましい。同様に、ナトリウムイオン成分は、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等及びそれらの混合物のような容易に入手しうるナトリウム塩として、あるいは加えられた果汁又は茶の成分として配合できる。ナトリウム濃度は浸透圧による水の吸収を容易にさせる上で低い方が望ましいが、体から腸に水を浸透圧吸引しない程度であることが、好ましい。これを行うために必要なナトリウムの濃度は、血漿ナトリウムの場合よりも低いことが好ましい。ナトリウムイオンは、0.001〜0.5質量%、更に0.002〜0.4質量%、更に0.003〜0.2質量%本発明の容器詰飲料中に含有するのが好ましい。カリウム及びナトリウムイオンに加えて、本発明容器詰飲料には0.001〜0.5質量%、好ましくは0.002〜0.4質量%、最も好ましくは0.003〜0.3質量%の塩化物イオンを更に含有させることができる。塩化物イオン成分は塩化ナトリウム又は塩化カリウムのような塩の形態で配合できる。カルシウム及びマグネシウム、亜鉛、鉄のような他の微量イオンも配合できる。これらのイオンも塩として配合してよい。飲料中に存在するイオンの合計量には、添加されたイオン量と共に、飲料中に天然で存在するイオン量を含む。例えば、塩化ナトリウムが添加された場合、その量のナトリウムイオン及びその量の塩化物イオンも、それに応じて各イオンの合計量に含まれる。
ここで、ナトリウムイオンやカリウムイオン濃度が低すぎると、飲む場面によっては味が物足りなく感じ、効果的なミネラル補給ができなくて好ましくない。一方、多すぎると、塩類自体の味が強くなり長期間の飲用に好ましくない。
【0056】
本発明の容器詰飲料は、苦渋味抑制剤を配合すると飲用しやすくなり好ましい。用いる苦渋味抑制剤としては、例えば、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。本発明の容器詰飲料には、酸化防止剤、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合できる。
【0057】
更に必要により、本発明飲料は酸味料を含有していてもよい。酸味料としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸等のような食用酸が挙げられる。酸味料は本発明飲料のpHを調整するために用いてもよい。本発明飲料のpHは2〜6であるのが好ましい。pH調整剤としては、有機及び無機の食用酸を用いることができる。例えばリン酸水素カリウム又はナトリウム、リン酸二水素カリウム又はナトリウム塩のような形態で用いてもよい。好ましい酸は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸又はそれらの混合物を含めた食用有機酸である。最も好ましい酸はクエン酸及びリンゴ酸である。酸味料は飲料成分を安定化させる酸化防止剤としても役立つ。また常用される酸化防止剤の例には、アスコルビン酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びそれらの塩、植物抽出エキス等が配合できる。
【0058】
本発明飲料には、ビタミンを更に含有させることができる。好ましくは、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEが加えられる。ビタミンD及びビタミンBのような他のビタミンを加えてもよい。ミネラルも本発明の飲料に用いることができる。好ましいミネラルはカルシウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛である。特に好ましいミネラルはマグネシウム、リン及び鉄である。
【0059】
また、本発明容器詰飲料は、色調の保存安定性が良好であるため透明容器詰飲料としても有用である。
【0060】
本発明の容器詰飲料に使用される容器は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、瓶等の通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0061】
本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造されるが、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
【実施例】
【0062】
非重合体カテキン類の測定
非重合体カテキン類組成物を蒸留水で希釈し、フィルター(0.8μm)でろ過後、島津製作所社製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃で、A液及びB液を用いたグラジエント法によって行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0063】
没食子酸の測定
非重合体カテキン類と同様の手法で、高速液体クロマトグラフ(型式 島津LC-VPシリーズ)を用いて行った。
【0064】
風味安定性評価方法
初期の風味を10とし、55℃保存加速試験における風味の保存安定性を評価した。
・風味評価は10〜1までの10段階とする。
・合格ラインは5以上とする。
【0065】
色調安定性評価方法
色調安定性の色調の測定には、日本電飾社製color Meter ZE200を使用した。
初期の色調を測定し、55℃保存加速試験における色調変化を評価した。
・保存0日目のb値からの差分をΔbとした。
・合格ラインは2.5未満とする。
【0066】
苦味の評価方法
硫酸キニーネの水溶液を標準物質として、官能評価(n=5)により苦味評価を行った(JIS Z8144,新版 官能ハンドブック(p.448-449)1990年2月9日 第10刷発行)。
【0067】
(1)カテキン製剤水溶液(A)
カテキン含量が30%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行って、カテキン製剤水溶液(A)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は44%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は71質量%であった。固形分は23.2%であった。固形分中の没食子酸濃度は3.1%であった。
【0068】
(2)カテキン製剤水溶液(B)
カテキン含量が30%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理を行わず、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行ってカテキン製剤水溶液(B)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は54%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は71質量%であった。固形分は23.2%であった。固形分中の没食子酸濃度は0.33%であった。
【0069】
(3)カテキン製剤水溶液(C)
カテキン含量が30%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させた。得られたパウダーを水に溶解した。カテキン水溶液4Kgに対して1Kgの合成吸着剤(SP70;ダイヤイオン)を添加して、合成吸着剤にカテキン類を吸着させた。その後、合成吸着剤中の緑茶抽出物の残渣を水で洗い流した。洗浄後のSP701Kgに対して0.1%NaOHを10Kgで通液して、アルカリ水溶液中にカテキンを樹脂から溶出させた。カテキンのアルカリ水溶液10Kgに対してイオン交換樹脂(SK1BH;ダイヤイオン)を0.5Kg使用してNaイオンの除去を行った。次にパウダーに対して8質量部の活性炭を添加して精製を行って、カテキン製剤水溶液(C)を得た。
得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は6%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は80質量%であった。固形分は10.1%であった。固形分中の没食子酸濃度は0.49%であった。
【0070】
(4)カテキン製剤水溶液(D)
カテキン含量が30%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理を行わず、スプレードライ法により噴霧乾燥させた。得られたパウダーを水にてカテキン濃度が1%になる様に希釈した。カテキン水溶液4Kgに対して1Kgの合成吸着剤(SP70;ダイヤイオン)を添加して、合成吸着剤にカテキン類を吸着させた。その後、合成吸着剤中の緑茶抽出物の残渣を水で洗い流す。洗浄後のSP70 1Kgに対して0.1%NaOHを10Kgで洗浄して、アルカリ水溶液中にカテキンを樹脂から溶出させる。カテキンのアルカリ水溶液10Kgに対してイオン交換樹脂(SK1BH;ダイヤイオン)を0.5Kg使用してNaイオンの除去を行う。次にパウダーに対して8質量部の活性炭を添加して精製を行って、カテキン製剤水溶液(D)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は55%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は80質量%であった。固形分は10.1%であった。固形分中の没食子酸濃度は0.18%であった。
【0071】
実施例1及び比較例1
表1記載の処方で、酸性飲料(pH3.5)を製造した。飲料は、UHT殺菌装置により98℃30秒間殺菌し、透明PETボトルに充填した。
【0072】
【表1】

【0073】
表1から明らかなように、ガレート体率が50質量%を超える飲料は、苦味があるとともに、保存により風味及び色調が変化することが判明した。これに対し本発明のガレート体率を50質量%未満に調整した飲料は、苦味が抑制されると共に、風味及び色調が保存しても変化しないことがわかった。
【0074】
実施例2及び比較例2
実施例1及び比較例1と同様の方法で酸性飲料を製造した。飲料はUHT殺菌装置により98℃、30秒間殺菌し、透明PETボトル(350mL)に充填した。得られた容器詰飲料を55℃で6日間保存し、飲料中の非重合体カテキン量を経日的に測定した。その結果を表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
表2から明らかなように、本発明の容器詰飲料は、55℃という条件で長期保存しても非重合体カテキン類の含量が低下せず安定であった。ここで非重合体カテキン類の残存率とは、初期の非重合体カテキン類の含量に対する保存後の含量を質量百分率で表したものである。
【0077】
実施例3〜6及び比較例3〜6
表3の処方と表4のカテキン製剤組成で、酸性飲料(pH3.4〜3.5)を調製し、実施例1と同様に殺菌処理した。
【0078】
【表3】

【0079】
得られた飲料をガラスの透明容器に充填した。これを55℃に6日間保存し、飲料中の非重合体カテキン類の含有量を経日的に測定した。その結果を表4に示す。
【0080】
【表4】

【0081】
表4から明らかなように、本発明の容器詰飲料は、55℃という条件で長期保存しても非重合体カテキン類の含量が低下せず安定であった。
【0082】
実施例7〜9及び比較例7〜9
表5の処方で、中性飲料(pH6.0)を調製し、実施例1と同様に殺菌処理した。
【0083】
【表5】

【0084】
得られた飲料をガラスの透明容器に充填した。これを55℃に6日間保存し、飲料中の非重合体カテキン類の含有量を経日的に測定した。その結果を表6に示す。
【0085】
【表6】

【0086】
表6から明らかなように、本発明の容器詰飲料は、55℃という条件で長期間保存しても非重合体カテキン類含量が低下せず安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非重合体カテキン類中のカテキンガレート体率が50質量%未満である精製緑茶抽出物を配合してなり、
(A)非重合体カテキン類0.072〜1.2質量%、及び
(B)没食子酸0.001〜12mg/100mL
を含有する容器詰非茶飲料。
【請求項2】
精製緑茶抽出物を配合してなる容器詰飲料であって、
(A)非重合体カテキン類0.072〜1.2質量%、及び
(B)没食子酸0.001〜12mg/100mLを含有し、
(C)非重合体カテキン類中のカテキンガレート体率が50質量%未満である
容器詰非茶飲料。
【請求項3】
更に甘味料を0.005〜20質量%、及びフレーバーを0.01〜5質量%含有する請求項1又は2記載の容器詰非茶飲料。
【請求項4】
pH2〜6である請求項1乃至3記載の容器詰非茶飲料。
【請求項5】
透明容器である請求項1乃至4記載の容器詰非茶飲料。

【公開番号】特開2007−330253(P2007−330253A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29017(P2007−29017)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】