説明

容器詰飲料

【課題】高濃度の非重合体カテキン類を含有し、かつ香味豊かで風味の良好な容器詰飲料を提供すること。
【解決手段】本発明の容器詰飲料は、次の成分(A)及び(B):
(A)非重合体カテキン類:0.05〜0.6質量%
(B)でんぷん
を含み、飲料100g当たりの(B)でんぷんの含有量が29〜160mgであることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度の非重合体カテキン類を含有し、かつ香味豊かで風味の良好な容器詰飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者の嗜好の多様化や健康志向の高揚により茶飲料の需要が拡大し、多種多様の商品が上市されている中で、複数の茶葉や穀物を原料とする混合茶飲料が注目されている。このような混合茶飲料は、例えば、緑茶葉と、麦類や玄米等の穀物を原料とし、焙煎した穀物と、緑茶葉を順に抽出用水に投入し抽出して製造することができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−310160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の混合茶飲料においては、緑茶由来の渋味や苦味が強く感じられたり、穀物由来の焦げ臭が強く感じられることがあった。また、カテキン類を高濃度に配合すると、緑茶由来の渋味や苦味が増強されて穀物由来の香ばしさが弱められ風味が損なわれることがあった。このように、従来の混合茶飲料においては、緑茶由来の渋味や苦味と、穀物由来の香ばしさとのバランスが十分ではなく、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは、穀物の持ち味を十分に生かすべく、各原料に含まれる成分、呈味及び香味について検討したところ、緑茶抽出物及び穀物に含まれる特定成分を特定濃度に調整して含有せしめることで、香味豊かでかつ風味の良好な高濃度非重合体カテキン類含有容器詰飲料が得られることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)非重合体カテキン類:0.05〜0.6質量%
(B)でんぷん
を含み、飲料100g当たりの(B)でんぷんの含有量が29〜160mgである、容器詰飲料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の容器詰飲料は、高濃度の非重合体カテキン類を含有しているにも拘らず、苦味、渋味が低減され、穀物由来の香味が豊かでかつ風味が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、非重合体カテキン類の濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
【0009】
本発明において「非重合体カテキン類のガレート体」とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートを併せての総称である。また、「非重合体カテキン類中のガレート体の割合」とは、これら4種の非重合体カテキン類のガレート体の総和質量を、非重合体カテキン類8種の総和質量に対する百分率で表した数値である。
【0010】
本発明の容器詰飲料は、(A)非重合体カテキン類を0.05〜0.6質量%含有するが、0.07〜0.5質量%、更に0.08〜0.4質量%、特に0.09〜0.3質量%含有することが好ましい。これにより、多量の非重合体カテキン類を容易に摂取しやすくなり、また非重合体カテキン類による生理効果を十分に期待できる。
このように、本発明の容器詰飲料は、高濃度の非重合体カテキン類を含有するものであるが、このような容器詰飲料は、茶抽出物を配合し非重合体カテキン類濃度を調整して得ることができる。
【0011】
本発明の容器詰飲料に配合される茶抽出物としては、不発酵茶、半発酵茶及び発酵茶から選択される茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒を用いてニーダー抽出やカラム抽出等により抽出したものが挙げられる。茶抽出物としては、非重合体カテキン類濃度の点から、緑茶抽出物が好ましい。
【0012】
茶抽出物として、茶葉から抽出した抽出物の代わりに、茶抽出物の濃縮物を配合してもよく、更に茶葉から抽出した抽出物と茶抽出物の濃縮物を併用してもよい。ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出した溶液から溶媒を一部除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものであり、その形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものが挙げられる。茶抽出物の濃縮物としては市販品を使用してもよく、例えば、三井農林社製の「ポリフェノン」、伊藤園社製の「テアフラン」、太陽化学社製の「サンフェノン」等の緑茶抽出物の濃縮物が挙げられる。
茶抽出物としては、固形分中に非重合体カテキン類を30〜60質量%、更に35〜60、特に40〜60質量%含有するものが好ましく、また(D)タンニンに対する(A)非重合体カテキン類の含有質量比[(A)/(D)]が0.8〜1.0、更に0.9〜1.0、特に0.95〜1.0であるものが好ましい。
【0013】
また、本発明の容器詰飲料は、(A)非重合体カテキン類中のガレート体の割合が15〜40質量%、更に20〜40質量%、特に25〜35質量%であることが、苦味及び渋味抑制の観点から好ましい。
容器詰飲料中の(A)非重合体カテキン類中のガレート体の割合を上記範囲内にするには、例えば、下記(i)又は(ii)の方法により処理した茶抽出物を配合すればよいが、苦味及び渋味抑制の観点から(ii)の方法で処理した茶抽出物を配合することが好ましい。
【0014】
(i)茶抽出物をタンナーゼ処理する方法(例えば、特開2004−321105号公報)。
(ii)茶抽出物をタンナーゼ処理し、次いで活性炭、酸性白土及び活性白土から選ばれる少なくとも1種の吸着剤と接触処理する方法。この場合、接触処理前に、必要によりタンナーゼ処理後の茶抽出物を、水又は水と水溶性有機溶媒(例えば、アルコール)との混合液で抽出してもよい(例えば、特開2004−147508号、国際公開第07/122817号パンフレット、国際公開第07/122818号パンフレット)。
【0015】
上記(i)及び(ii)の方法においては、タンナーゼ処理により茶抽出物中の非重合体カテキン類のガレート体が加水分解して(C)没食子酸を生成するが、本発明の容器詰飲料中の(A)非重合体カテキン類に対する(C)没食子酸の含有質量比[(C)/(A)]は、苦味及び渋味抑制の観点から、0.003〜0.04、更に0.007〜0.03、特に0.009〜0.02であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の容器詰飲料は所定量の(B)でんぷんを含有するが、このような容器詰飲料は穀物から得られる抽出物を配合し、その濃度を調整して得ることができる。
本発明の容器詰飲料中の(B)でんぷんの含有量は、飲料100g当たり29〜160mgであるが、香味の観点から、40〜130mg、更に50〜110mg、特に60〜90mgであることが好ましい。本発明の容器詰飲料中の(B)でんぷん量の測定方法としては、具体的には、(財)日本食品分析センターの栄養成分分析の分析試験を利用することができる。
【0017】
本発明の容器詰飲料に配合される穀物抽出物は、穀物から水又は熱水で抽出することにより得ることができるが、抽出方法としては茶抽出物と同様の方法を採用できる。
また、抽出に使用する穀物は、焙煎したものでも、α化処理したものでも、発芽させたものであってもよい。更に、穀物として、粉砕装置により粉砕したものを使用してもよい。
【0018】
焙煎条件は穀物の種類により適宜選択することができるが、例えば、焙煎温度は好ましくは180〜350℃、特に好ましくは200〜300℃であり、また焙煎時間は好ましくは10〜120分、特に好ましくは15〜60分である。なお、焙煎には、回転式焙煎機等の公知の装置を使用することができる。
【0019】
本発明で使用する穀物としては、でんぷん質を主体とし、かつ食用可能な植物の種子であれば特に限定されるものではないが、香味の観点から、イネ科植物、マメ科植物及びタデ科植物から選択される少なくとも1種が好ましい。イネ科植物としては、例えば、大麦、ハト麦等の麦類、玄米等の米類、キビ、アワ、ヒエ、トウモロコシ等の雑穀類が挙げられる。また、マメ科植物としては、例えば、大豆、黒大豆、インゲン、小豆等のインゲン連、ソラマメ、エンドウ等のソラマメ連等の豆類が挙げられる。更に、タデ科植物としては、例えば、ソバ、ダッタンソバ等のソバ類が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、2種以上を併用する場合、その配合割合は目的に応じて適宜選択することができる。中でも、香味の観点から、麦類、米類及び雑穀類から選択される少なくとも1種が好ましく、特に大麦、ハト麦及び玄米から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0020】
また、本発明の容器詰飲料には、風味調整及び健康機能強化のために、上記以外の茶原料の抽出物を配合してもよい。このような茶原料としては、例えば、生薬、ハーブ等が挙げられる。具体的には、明日葉、アマチャヅル、イチョウ葉、ウコン、延命草、柿の葉、ギムネマ・シルベスタ、グアバ葉、桑の葉、甜葉、どくだみ、杜仲、ハスの葉、バナバ、ハブ茶、ビワの葉、マテ、ルイボスティー、キヌア、大麦若葉、チンピ、カモミール、ハイビスカス、ペパーミント、レモングラス、レモンピール、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー等が挙げられる。
【0021】
さらに、本発明の容器詰飲料には、茶原料由来の成分にあわせて、酸化防止剤、苦味抑制剤、ビタミン、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独で又は併用して配合してもよい。
【0022】
本発明の容器詰飲料は、例えば、成分(A)及び(B)が所定濃度になるように、上記した茶抽出物と穀物抽出物を混合して調製することができるが、風味及び保存安定性の観点から、容器詰飲料のpH(25℃)は3〜8、更に4〜7、更に5〜7、特に5〜6であることが好ましい。
本発明の飲料は、外観上の商品価値、容器の材質の点で、ヘーズ値は40以下が望ましく、好ましくは20〜0.1、特に15〜0.3が好ましい。
【0023】
本発明の容器詰飲料を充填する容器としては、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合化した紙容器、瓶等の通常の包装容器が挙げられる。特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)である。
【0024】
また、本発明の容器詰飲料とは、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できるものをいう。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
【実施例】
【0025】
1.非重合体カテキン類、没食子酸の測定
メンブランフィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0026】
2.タンニンの測定
タンニン量の測定は酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として求めた(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10、菓子総合技術センター、1991)。試料5mLを酒石酸鉄標準溶液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線からタンニン量を求めた。
酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄・7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを蒸留水で100mLとした。
リン酸緩衝液の調製:1/15mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15mol/Lリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整した。
【0027】
3.でんぷんの測定
容器詰飲料1mLを50%エタノール水溶液100mLに添加して、再沈殿させ、低分子糖を除去し、続けて、その沈殿物質を加熱して糊化させ、グルコアミラーゼ処理して、ブドウ糖量を測定した後、下記式よりでんぷん量を求めた。
でんぷん量(g/100g)=ブドウ糖量(g/100g)×0.9
【0028】
4.風味の評価
(1)苦味の評価
硫酸キニーネ法(等価濃度試験法)による苦味の評価
硫酸キニーネ2水和物を表1に記載の苦味強度に対応した濃度に調整した。各容器詰飲料を試飲した後、苦味標準溶液のうちどのサンプルと苦味の強さが等しいか評価パネラー4名によって確認を行い、その後協議により最終スコアを決定した。
【0029】
【表1】

【0030】
(2)香味の評価
各容器詰飲料を評価パネラー4名が試飲した後、香味について下記の基準で評価し、その後協議により最終スコアを決定した。
1:香ばしさを十分感じる。
2:香ばしさを感じる。
3:香ばしさをやや弱く感じる。
4:香ばしさが弱く感じる。
5:香ばしさがない。
【0031】
(3)総合評価
各容器詰飲料について、評価パネラー4名により上記苦味及び香味の評価に基づいて下記の基準で総合評価し、その後協議により最終スコアを決定した。
A:苦味が弱く、焙煎穀物の香ばしさが十分感じられ風味が良好である。
B:苦味がやや強く、焙煎穀物の香ばしさがやや弱く感じられる。
C:苦味が強く感じられ、焙煎穀物の香ばしさが弱い。
D:苦味及び/又は雑味が強く感じられる。
【0032】
製造例1
緑茶抽出物A
タンナーゼ(タンナーゼKTFH、キッコーマン社製、500U/g)を粗製緑茶抽出物(非重合体カテキン類濃度30質量%)に対して1.1質量%となる濃度で添加し、55分間保持し、90℃に溶液を加熱して、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止めた(pH5.2)。次いで、70℃、6.7kpaの条件下で、減圧濃縮によりBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状のタンナーゼ処理した粗製緑茶抽出物を得た。次いで、得られた粉末状の粗製緑茶抽出物を、エタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=40:60)で非重合体カテキン類を抽出した後、抽出液100質量部に対して8質量部の活性炭を添加して接触処理した。そして、0.2μmメンブランフィルターにより濾過して、緑茶抽出物Aを得た。緑茶抽出物Aは、固形分中の非重合体カテキン類濃度が45質量%であり、(D)タンニンと(A)非重合体カテキン類との含有質量比[(A)/(D)]が0.99であった。
【0033】
製造例2
緑茶抽出物B
粗製緑茶抽出物(非重合体カテキン類濃度30質量%)をタンナーゼ処理を行わなかったこと以外は、製造例1と同様の方法で緑茶抽出物Bを得た。緑茶抽出物Bは、固形分中の非重合体カテキン類濃度が45質量%であり、(D)タンニンと(A)非重合体カテキン類との含有質量比[(A)/(D)]が0.89であった。
【0034】
製造例3
穀物抽出物A
穀物原料に対して20質量倍の90℃のイオン交換水を2L容器に投入した。次いで、湯温を90℃に維持したイオン交換水に、穀物原料[焙煎大麦(FL36、丸紅食品製)95質量%、ハト麦粉砕物(三井農林製)2.5質量%、玄米(玄米T、丸紅食品製)2.5質量%]50g及び重曹1gを投入し、250rpmで30秒間攪拌し、5分間隔で30秒攪拌する操作を30分間行った。次いで、抽出物を20メッシュ及び80メッシュの篩で粗ろ過し、ろ液を25℃以下に冷却した。そして、抽出物を22号ろ紙にてろ過して穀物抽出物Aを得た。
【0035】
製造例4
穀物抽出物B
穀物原料を焙煎大麦(FL36、丸紅食品製)のみに変更したこと以外は、製造例3と同様の方法で穀物抽出物Bを得た。
【0036】
製造例4
穀物抽出物C
穀物原料を、焙煎大麦(FL36、丸紅食品製)90質量%及びハト麦粉砕物(三井農林製)10質量%に変更したこと以外は、製造例3と同様の方法で穀物抽出物Cを得た。
【0037】
製造例5
穀物抽出物D
穀物原料[焙煎大麦(FL36、丸紅食品製)100質量%]25gをカラム型抽出機に投入し、更に90℃のイオン交換水550gを投入して10分間保持した。次いで、90℃のイオン交換水をカラム抽出機上部から連続的にスプレーノズルを用いて流量0.49L/分で投入し、同時にカラム抽出機下部より抽出物1500gを抜き出した。得られた抽出物を25℃以下に冷却した後、2号ろ紙にてろ過した。上記と同一の抽出操作を3回実施し、3回分を合わせたものを穀物抽出物Dとした。
【0038】
実施例1〜5及び比較例1〜3
表2に示す成分を配合し、イオン交換水にて全量を2500gに希釈して茶飲料を得た。次いで、得られた茶飲料を殺菌温度138℃、殺菌保持時間30秒相当の殺菌条件で殺菌し、86℃でPETボトルに充填してキャッフ゜にて密閉した。次いで、流水にて冷却して容器詰飲料を得た。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例1〜4の容器詰飲料は、苦味が低減されており、しかも焙煎穀物の香味が豊かで風味が良好であった。また、実施例5の容器詰飲料は、香味は良好であったが、ガレート体率が高いため苦味及び渋味が感じられた。
一方、比較例1の容器詰飲料はでんぷんを含まない例であるが、香ばしさは全く感じられず、苦味のみが強く感じられた。また、比較例2は、高濃度のでんぷんを含む例であるが、苦味が低減されかつ香ばしさが感じられるものの、焦げ臭及び雑味が強く感じられた。さらに、比較例3は非重合体カテキン類濃度の高い例であるが、苦味が強く、焙煎穀物の香ばしさを十分感じられなかった。
以上の結果から、本発明において、非重合体カテキン類濃度及びでんぷん濃度を特定範囲内に制御することの意義が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)非重合体カテキン類:0.05〜0.6質量%
(B)でんぷん
を含み、
飲料100g当たりの(B)でんぷんの含有量が29〜160mgである、容器詰飲料。
【請求項2】
(A)非重合体カテキン類中のガレート体の割合が15〜40質量%である、請求項1記載の容器詰飲料。
【請求項3】
成分(C)として没食子酸を更に含有し、(A)非重合体カテキン類に対する(C)没食子酸の含有質量比[(C)/(A)]が0.003〜0.04である、請求項1又は2記載の容器詰飲料。
【請求項4】
固形分中に非重合体カテキン類を30〜60質量%含有する緑茶抽出物を配合したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
【請求項5】
(D)タンニンに対する(A)非重合体カテキン類の含有質量比[(A)/(D)]が0.8〜1.0である緑茶抽出物を配合したものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
【請求項6】
穀物抽出物を配合したものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
【請求項7】
穀物抽出物が麦類、米類及び雑穀類から選択される少なくとも1種の穀物から抽出したものである、請求項6記載の容器詰飲料。

【公開番号】特開2010−193831(P2010−193831A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44498(P2009−44498)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】