説明

容量性又は誘導性センサによる距離測定方法及び装置

本発明は、容量場及び/又は誘導場の伝播時間の測定方法及び装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本出願は、2005年7月29日、2005年9月27日及び2005年12月14日にそれぞれ出願されたドイツ特許願102005036354.7、102005045993.5及び102005063023.5に基づいた優先権を主張するものであり、これらの出願の開示内容は、援用により本出願の対象とされる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、請求項1及び12の上位概念(前置部)による、容量場及び/又は誘導場においての、場の変化の影響(ないし誘導)又はその伝播時間(Laufzeit)を測定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
基準物体と他の物体との距離を測定することは、多くの実用分野において必要とされる。これらの使用上の用途には、地中の金属対象物の感知とか、自動車の分野においての物体の接近がある。
【0004】
このような距離測定の1つの可能性は、光線を送出する送出器と光線を反射する物体と受信器との間の、光線の伝播(走行)時間の測定である。そのための1つの解決策は、光学的距離測定センサとして、DE10022054A1により公知となっている。ここでは、送出器と受信器との間の光線の位相のずれが距離測定のために用いられる。そのために、ある最小振幅の受信信号が、発振器の電圧と共に、同期整流器に供給される。従って、光経路(光路)に由来する測定信号が、純電気的に生成させた信号と共に、同期整流器の入力に供給される。入力信号は、遅延要素の制御によって、同期整流器の出力に存在している出力信号を介して、符号が変わるまで、該出力において両信号の平均値がほぼ零となるまで、制御される。同期整流器を用いた目的は、信号の位相を正確に定めることにある。構造要素により規定される遅延、時効及び温度の影響は、各別に参照され、補償される。参照光経路を用いた場合の制御も、電気的に、遅延要素の関与(誘導作用)によって行う。それにより、ホトダイオードの信号と、純電気的に伝送される信号とは、90°ないし270°シフトさせた形で、位相検出に供給される。そのために、同期整流器の前段の各信号は、受信信号の各信号区分の長さが等しく保たれるように、零に等しくなく(ungleich Null)されている。
【0005】
送出信号と受信器の受信信号とが同じクロックで制御されるようにした、伝播時間の測定による距離測定方法も、WO01/90778A1により公知となっている。それにより定められる制御信号は、伝播時間の測定によって規定される目標物体までの距離と実際の距離との間の差が最小となるように、移相器によってシフトされる。そのようにする目的は、高周波数において、伝播時間により走査点を最適化することにある。
【0006】
外光、温度または時効の影響のような外的な影響を補償しつつ光送出器と光受信器との間の光信号を検知することは、EP706648B1により公知となっている。送出器(複数)は、クロック発生器によって、時間区分に従って交互に駆動される。少なくとも1つの光経路の振幅について制御される光は、場合によっては他の光送出器、例えば補償光源からの光と共に、クロック同期信号部分のない受信信号が生成されるように、光受信器に対して作用する。光受信器の受信信号は、同期復調器に供給される。同期復調器は、両方の光源に対応する信号成分に受信信号を再度分解する。これらの信号成分は、比較器において相互に比較され、その際に、外光成分なしに、零状態に対応する信号が生成される。この零状態に対応する信号が比較器の出力に存在しない場合、両方の光源に供給される光線は、その(零)状態が得られるまで制御される。
【特許文献1】DE10022054A1
【特許文献2】WO01/90778A1
【特許文献3】EP706648B1
【発明の開示】
【0007】
電場及び/又は容量場に誘導作用する物体の接近、滞留(ないし停止)及び/又は離隔の結果として生ずる該場の変化を検知し得る場合、特に光線を透過しない媒質の場合可能でない光伝播時間の測定に代わる距離測定が可能となる。該場に変化をもたらすパルスが、電荷又はインダクションの変化が生ずる間に、光速で伝播されるのに対し、該変化自体、例えば電荷の増大は時間的におそい速度で生ずることが、研究の結果として明らかとなった。
【0008】
上記の従来の技術から出発して、本発明の課題は、容量的及び/又は誘導的な方途によって、容量場及び/又は誘導場の影響(ないし誘導)又は伝播時間(Laufzeit)を測定するための別の方法を作りだすことにある。
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法並びに請求項12の特徴を有する装置によって解決される。
即ち、本発明の第1の視点において、容量場及び/又は誘導場の影響(ないし誘導)又は伝播時間を測定する方法において、
−クロック制御部によりクロック制御される容量場及び/又は誘導場の時間的な第1の場の変化を、センサ活性領域内の、該第1の場の変化を生じさせる少なくとも一の要素を介して生成させる工程と、
−送出要素と作用結合された少なくとも一の受信器を介して、場合により物体Oにより誘導された前記第1の場の変化を検知すると共に、第1の変化値を検出する工程と、
−クロック制御部によりクロック制御される容量場及び/又は誘導場の少なくとも一の別の時間的な場の変化を、該別の場の変化を生じさせる少なくとも一の要素を介して生成させる工程と、
−送出要素と作用結合された前記少なくとも一の受信器を介して、場合により物体Oにより誘導された前記別の場の変化を検知すると共に、別の変化値を検出する工程と、を有することと、
−前記容量場及び/又は誘導場の前記受信器により検知された場の変化、即ち前記第一及び/又は前記他の場の変化の内少なくとも一は、物体Oの接近、滞留(停止)及び/又は離隔により誘導され得ることと、
−前記第1の変化値を前記他の変化値と、比較器の出力において、比較値を生成させるためにクロックに従って比較する工程を有し、該比較値は、第1の場の変化による前記第1の変化値の振幅と前記別の場の変化値の振幅とが実質的に相等しくなるように、生成された前記第1の場の変化の振幅値及び/又は前記別の場の変化の振幅値を制御するために用いられることと、更に
−比較器の入力において前記変化値の大きさが実質的に相等しい値に制御された場合、前記受信器においての前記第1の場の変化による変化値と前記別の場の変化による変化値との間の、前記容量場ないし誘導場の場の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間に対応する、クロック変化に際して生ずるクロック変化信号を、クロックに従って検出する工程と、
−別の比較器において、該クロック変化信号を振幅について比較することによって、1つの差値をクロックに従って規定する工程と、
−前記受信器においての前記第1の場の変化による変化値及び/又は前記別の場の変化による変化値を招来する、生成された前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の位相の位相遅延を変更するために、移相器を介して、クロック変化信号の差値を、該差値が最小に、好ましくは零になるまで変化させる工程と、
−場に誘導作用する物体Oの接近、滞留(停止)及び/又は離隔の結果としての、容量場及び/又は誘導場の容量又は誘導の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間を定めるために、最小の差値において生ずる移相器の遅延を使用する工程とを有すること、を特徴とする。
さらに、本発明の第2の視点において、容量場及び/又は誘導場の影響(ないし誘導)又は伝播時間を測定する装置において、
−クロック制御部と、
−クロック制御部によってクロック制御される、センサ活性領域内の容量場及び/又は誘導場の時間的な第一の場の変化を生成させるための、少なくとも一の送出要素と、
−クロック制御部によってクロック制御される、容量場及び/又は誘導場の少なくとも一の時間的な別の場の変化を生成させる手段と、
−該送出要素と連動する、物体により場合により誘導される第1の場の変化及び別の場の変化を検知するための、少なくとも一の受信器と、を有することと、前記受信器により検知される少なくとも一の場の変化、即ち容量場及び/又は誘導場の第1の場の変化及び/又は別の場の変化が、物体Oの接近、滞留(停止)及び/又は離隔により誘導され得ることと、更に
−受信器においての前記第1の場の変化及び別の場の変化の結果としての変化値を検出する手段と、
−比較値を出力に生成させるために、第1の変化値と別の変化値とをクロックに従って比較するための比較器と、
−前記第1の場の変化の結果としての変化値の振幅と前記別の場の変化の結果としての変化値の振幅とが実質的に相等しくなるように、生成された第1の場の変化及び/又は別の場の変化の振幅値を制御するための振幅制御器と、
−比較器の入力において前記変化値の大きさが実質的に相等しい値に制御された場合、前記受信器においての前記第1の場の変化による変化値と前記別の場の変化による変化値との間の、前記容量場及び/又は誘導場の場の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間に対応する、クロック変化に際して生ずるクロック変化信号を、クロックに従って検知する手段と、
−クロック変化信号を振幅により比較することによって差値をクロックに従って規定するための別の比較器と、
−前記受信器においての前記第1の場の変化及び前記別の場の変化による変化値を招来する、生成された前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の位相の位相遅延を変更するために、差値が最小に、好ましくは零になるまで、クロック変化信号の差値を変化させるための移相器と、を有する。
【0010】
容量的検知か又は誘導的検知かということに従って、電極又はコイルが、送出要素及び受信器として選定される。これらの電極又はコイルは、周囲域のキャパシタンス又はインダクタンスと相互作用するか、或いは容量的又は誘導的に場に、従って測定回路に影響(誘導作用)を与える。勿論電場及び/又は磁場を生成し検知するための別の手段を用いても差支えない。容量場又は誘導場においての場の変化の影響(誘導)または伝播時間を測定するために、EP706648B1により公知となっている光学秤の原理を用いても良い。
【0011】
場の変化を生成又は送出する少なくとも2つの、電極又はコイルの形の要素からのクロック制御された信号は、受信器に供給される。図1に示したコンデンサは、所定の距離を置いて配された2つの電極に相当する。容量方式による解決策において、電極上に生じた電荷によって形成された電場は、例えば、検知しようとしている物体により変化する。これにより電極上の荷電状態が変更される。この変化は、物体の距離/作用を規定するために、それ自体測定される。容量場においての場の変化は、送出電極に結合された受信器によって測定される。一種のコンデンサをそれ自身形成している送出電極及び物体とは別のものとしての、ある既知の表面間の間隔を有するコンデンサが、補償用に用いられる。このコンデンサからも場の変化が受信器に供給される。両方の測定経路からの受信信号(複数)、従って変化値(複数)は、相互に比較され、振幅制御及び位相制御によって、相互の差が可及的に最小値となるまで制御される。その場合、振幅制御ないし位相制御の制御量は、場の(強度分布)線(Feldlinien)を形成するのに必要な、容量又は伝播時間の値に対応している。
【0012】
そのようにするため、送出電極及び補償電極からの1クロック周期の受信信号は、好ましくは4つの、等しい区画に分割される。送出電極のオン時間を区画A,B,補償電極のオン時間を区画C,Dとそれぞれ表記する。区画A,Cを比較し、位相シフトによって、最小可能の差になるように相互に制御する。区画B,Dは、振幅制御によって、やはり最小可能の差になるように相互に制御する。区画A,Cには、伝播時間の情報が潜在し、区画B,Dには、場の静電容量ないし静電的影響(誘導)の情報が潜在する。その場合、移相器の遅延から、容量場においての場の変化の伝播時間並びにそれに伴って電極と物体ないし受信器との間の距離を定めることができる。誘導方式による解決策においては、基本的に、送出電極と補償電極とをコイル及び補償コイルに代えるだけでよく、その場合受信器は、受信コイルとして形成してもよい。
【0013】
クロック同期信号成分は、補償によって完全に除かれる。即ち、本来の増幅器ノイズのみが残存される。そのため増幅器は著しく高増幅度のものにでき、また高増幅度のリミッタアンプ(Begrenzerverstaerker, limiting amplifier)として構成してもよい。
【0014】
これにより、クロック変化(Taktwechsel)に際して生ずるクロック変化信号が検知され、このクロック変化信号から差値を規定し、その差値を移相器により最小にする。移相器により生起させた信号遅延から、容量場及び/又は誘導場においての場の変化(複数)の影響(ないし誘導)又は伝播時間、従って送出器と物体ないし受信器の間の距離を規定することができる。受信信号の高増幅により、クロック変化の際の電圧ピークとしての場の伝播時間(Laufzeit)が明瞭に際立たせられる。このピークは、送出要素従って送出電極及び補償電極の各々のクロックについて、−遅くとも各比較器での切換えの都度−異なった極性でノイズの平均値に対して発生し、対応してクロックに同期して対応した時間区画において切換えられる比較器の2つの入力に到達する。このクロック変化信号は、振幅に関して、場の伝播時間に依存する。差値を最小にすることのみが問題なので、信号の差値は、クロック毎に、クロック同期で振幅について復調され、存在する差は、クロック同期して振幅復調され、また存在する差は、移相器の制御(ないしトリガー、Ansteuerung)と、その差を零に補償(調整)するために、それぞれ用いられる。クロック変化信号の現出される時点は、クロックに基づいて知られるので、そこでピークのみを検知すればよい。また作動(処理)は任意のクロックで行わせる(arbeiten)ことができる。
【0015】
振幅制御と伝播時間制御との両方の閉制御ループにより、次の利点が得られる。
−高感度であること。
−(「零距離」に至るまでの)近距離においても良好に伝播時間が測定できること。
−伝播時間の検知が温度により影響されないこと。
−前置増幅器のパラメータの変化(変動)が決定的影響を及ぼさない(unkritisch)こと。
−物体の特性が距離測定に影響しないこと。
【0016】
その他の利点は、以下の説明並びに他の請求項によって明らかとなろう。
【好ましい実施例の詳細な説明】
【0017】
好ましい実施例の詳細な説明
次に、添付図面を参照して、本発明を一層詳細に説明する。なお、ここに示した実施例は、単に例示であり、本発明を特別の構成のみに限定するものではない。
【0018】
本発明を以下に詳細に説明するに当たり、本発明がいかなる特定の回路の構成または工程にも限定されず、これらの回路の構成または工程が変化し得ることが指摘される。ここに示される概念は、特別の実施態様を説明するためのものであり、制限的に解すべきではない。また、以下の説明及び特許請求の範囲(請求項)において、単数による記述または不定冠詞による記述がなされていても、それは、全体の記述が一意的に他のことを明確に示していない限り、当該部材が複数である場合も含むものである。
【0019】
本発明によれば、容量場及び/又は誘導場においての場の変化の伝播時間の正確な測定を、外的な影響なしに、また物体の素材の特性と係りなしに許容される、狭帯域幅の増幅器による距離測定が可能となる。また、接近域においての伝播時間の測定は、電極面またはコイル面のところから、比較的大きな距離まで、測定域の切替えなしに可能となる。
【0020】
本発明は、以下の知見に基づいている。即ち、容量場及び/又は誘導場に対し誘導作用する物体の接近、滞留(存在ないし停止、Anwesenheit)及び/又は離隔の結果として生ずる容量場の変化又はインダクタンスの変化を検知することが可能ならば、容量場及び/又は誘導場においての容量的又は誘導的の変化に基づいて距離を測定することが可能となる。
【0021】
以下に、容量性の解決(手法)の場合について説明する。物体Oと共にコンデンサを形成する電極12は、第一の場変化を送出ないし生成する要素として、周囲域における電極12の作用に影響する荷電粒子をクロックに従って(taktweise)取得する。電圧パルスの形でクロックに従って取得される電荷は、物体Oの接近、滞留及び/又は離隔によって影響を受ける(beeinflusst)。この影響は直ちにではなく、光の伝播時間の遅延を伴って生ずる。場の変化は受信されることができ、増幅器においてまとめられた形で、電極から取出される。物体Oがセンサ活性域14にあると、即ち送出要素と物体Oとの間の検知経路が物体から約15cmの距離にあると、装置により動的(ダイナミック)に検知される場の変化は、送出要素と作用結合(連携)された要素としての受信器によって受信(検出)される。理論的な見地からは、物体によって返送される場の変化の情報は、送出情報に対し時間的に、光の伝播時間分、即ち15cmで約1nsずれているように見える。時間差は先ず固有のパルス情報から分離される。そのために、パルス休止時間内に、補償電極21のための送出パルスが活性化される。補償電極21は、物体Oを廻り途(介)することなく、その場の変化を直接受け入れる。補償電極21は物体と合体させてもよいが、肝要なのは、少なくとも1つの検知経路が物体により影響(誘導作用)を受け得ることのみである。図4による等振幅の2つの信号S1,S2(これらは勿論電極12,21の振幅制御によって等振幅に保つことができる)が導線40に到来すると、交互の両方の電荷担体の電圧信号(複数)と可能な(あり得る)ずれとから成る直流電圧信号が、基本的に、増幅器23の入力(端子)23aに現出される。
【0022】
より正確には、1nsの伝播時間の差が、両電極の送出パルスの遷移において、増幅器23の直流電圧信号に印加される。補償電極21が既にオフされた交番変化(振動)状の信号推移の直流電圧信号の1つの位相内の箇所に間隙が生ずる。しかし送出電極12の電荷の変化パルスは対象物に向かって、そして戻り方向に、なお15cm走行しなければならない。2番目の位相において、補償電極21は、その電荷を伝送するが、適切な時点においてオフされた送出電極12については、なお電荷パルスが走行途中にある。これは図5に略示されている。受信信号中には、位相同期された、本実施例では(正負に)交互変化する極性の、非常に短いピークが現出される。この時間差は、受信器にとっては非常に短いので、例えば200kHzローパス挙動では、単に非常に小さな電流変化値として現出される。
【0023】
ここでエネルギー保存の法則が適用される。物体Oに向かって外側に向けられた電極12のみが、クロックに従って電荷を取入れ又は放出し、補償電極21は不作動(aus)と仮定する。その場合、交番(流)信号が増幅器23に到達する。この交番(流)信号は、電圧として表して例えば10mVの交流電圧をその任意の交流電圧増幅器の出力23bに与える。理想的な受信器及び理想的な立ち上がり挙動を示す理想的な増幅器を使用できたとし、また送出電極から、50%デューテイ(50% Zyklus)10mV出力信号が得られたとする。更に第2の電極をオンにすると、クロック同期されて、交互に正負に変化(振動)する1nsのパルス(図5参照)が、信号の伝播時間のために生ずる。これらのパルスは、ここに記述される場合において、増幅された信号中の単一の情報であり、伝播時間情報を表している。しかし実際には、これらの非常に短いパルスは、受信器及び増幅器の「ローパス挙動」によって「吸収」される。
【0024】
本発明による振幅に従った制御方式の利点は次の通りである。非常に短いパルスのみが交番変化(振動)情報として例えば帯域幅200kHzの3増幅段から成る増幅器23に供給されるので、受信信号は、ほぼ所望通りに、例えば10000倍に増幅することができる。第1増幅段の出力にある長さ1ns、理想的には10mVの理論的な変化パルスは、実際には、約10μVの、非常に尖鋭な電圧の上昇(図6に模式的に示す)をもたらすに過ぎないが、この電圧の上昇は、その後の増幅段(複数)での10000倍の増幅により、長さt1(例えば約5μs)の100mVの信号(図7)を生ずる。増幅器には特別の要件は課せられないが、対応する増幅には、例えば200kHzの帯域幅で足りる。どんな増幅器を用いても良いが、交番(流)電圧増幅器が特に好ましい。一の電極から他の電極に切換えた後、切替え点を過ぎてから、交互の方向(正負方向)に信号が現れる。この時点で、クロックに同期して切換えられる整流器によって受信信号を同期信号成分についてチェックすることができる。強いノイズを含んだ信号についても、同期復調される信号成分の簡単なインテグレーション(ないし積分、Integration)によって、伝播時間の差に基づいて生成された信号成分を問題なく検波することができる。なお、同期整流器ないし同期復調器D1,D2は、位相を正確に検出する回路ではなく、クロックに従って振幅を検出する回路である。位相の正確さは測定精度に影響しないので、例えば20°の位相のずれはなお無視できる。
【0025】
このクロック同期信号成分の現出は、2つの電極12,21の間に伝播時間の差が存在することを示し、更に、それらの電極への明確な関連割当て(配属、Zuordnung)を許容するので、この情報には、既知の手段(例えば設定可能なオールパス又はデイジタル設定可能な位相シフト)によって、補償電極21の信号が、物体により誘導された電荷と等しい量シフトされるように、図1の制御回路(下記参照)を接続することができる。その場合、電極21のための移相器17(図1)においての電気制御パルスの必要なシフトは、容量場においての場の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間の直接の尺度であり、また物体Oの作用又は距離の直接の尺度である。
【0026】
伝播時間に依存する両信号成分の同期復調後に、両信号成分は、自明なように、電極21の位相シフトを介した‘零’相互調整のために、例えば、帯域幅についての特別の要求のない更なる高増幅率の演算増幅器において、相互に比較することができる。その後、クロック同期された両信号成分の間になお僅かな差があったら、位相制御によって、その差を零に調整する。
【0027】
本実施例においては、図1の下側に示した2つの別々の制御回路が同時に使用される。第1に、両電荷経路の受信振幅は、EP706648B1によって知られているように、増幅器23の入力に存在する両電極のうちの少なくとも一つのものの振幅制御によって、相等しい値となるように制御される。少なくとも一つ(一方)の電極を少なくとも一つの更なる(他方の)電極に切換えた後、振幅情報としての位相差の長さが大きく引延ばされるので、伝播時間の情報が十分減衰した時点で初めて、信号のクロック同期振幅差をチェックすべきである。実際には例えば凡そ、100kH〜200kHzのクロック周波数が有用なことが分っており、クロック周期のある第1の(半)部分においては、その際信号の振幅として現れる伝播時間の差を位相調整前にチェックし、クロック周期の第2の(半)部分において振幅差をチェックする。その場合、クロック周期の第2の半部分からの情報により、本実施例では2つ設けられている電極のうち少なくとも一方が、振幅制御部18を介して、振幅のみについて影響(誘導作用)を受け得るようにする。これは、両経路からほぼ同じ大きさの信号を取得し、それにより、差の値を零に制御するためである。両経路の同じ大きさの信号は、クロック同期(交番)変化成分のない零信号をもたらす。
【0028】
直接作用する電極21の位相を伝播時間について影響(誘導作用)を受けている電極口の位相に適合させることは、勿論必ず必要という訳ではない。伝播時間について影響(誘導作用)を受けている電極が、対応した配線によって影響(誘導作用)を受けるようにすることも可能である。
【0029】
各1つの「零クロック同期」部分に対する前記2つの閉制御ループ(振幅制御と伝播時間制御)により、既に述べた利点が達成される。
【0030】
図1を参照して、本発明による構成において、電荷は、電極21から、第2の経路(線路)20及び配線40を経て増幅器23に供給される。本方法は、容量場(図1)及び/又は誘導場(図8)の場の変化の伝播時間(Laufzeit)の測定に用いられる。最初に電荷は、例えば200kHzのクロック制御部11の出力(端子)11Eから、変調されて、配線30,31及び電極12を経て、センサ活性域14中の検知経路に供給される。電極上の電荷は、周囲の、電極と物体Oとの間の場に影響(誘導作用)を与える。この影響(誘導作用)は光速で生ずる。同じクロック(但しインバータ22により反転されている)によって、補償電極としての更なる(別の)電極21にも電荷が生成される。この電荷は、やはりクロックに従って増幅器23の受信信号に影響を与える。また電荷は、クロック制御部11のクロックで、配線30,33を経て移相器17の入力17aに、更に移相器17の出力17b及び配線34を経て、インバータ22の入力22aに供給される。電荷は、インバータ22の出力22bから配線35を経て、振幅制御部18の入力18aに供給される。電荷は振幅制御部18から、その出力18bを経て電極21に供給される。
【0031】
そのため、増幅器23の入力23aには、第1の場の変化又は別の場の変化の結果として、クロック制御部11のクロックの(交番)変化に伴って、両電極からの信号S13が、第1の場の変化又は別の場の変化の結果としての第1の変化値又は別の変化値として、時には配線32,40を通り、時には配線20,40を通って供給される。信号S13は、配線40を経て増幅器23に至り、増幅器23で増幅された後、比較器15,16をそれぞれ備えた、同じ構成の2つの同期復調器D1,D2(図1の下部に示す)に、配線41を経て供給される。同期復調器D1,D2の役目は、位相を正確に検知することではなく、振幅をクロックに従って検知することにある。位相の正確さは、測定精度には関係ないので、例えば、20°の位相ずれはなお、問題ではない。
【0032】
これらの回路について以下に詳細に説明する前に、図2の上部には、増幅器23の下流側に生ずる信号が図示されている。図示した信号は、電極12,21の両方の場経路のうち少なくとも一方の、信号位相の適合なしでの、例えば15cmの物体距離についての伝播時間の場合の信号の推移を表している。クロック同期信号成分の現出は、対応するゲート回路によって検知され、対応する電極に割当てる(関係付ける)ことができる。ここで、全クロック範囲にわたる振幅差(複数)とクロック切換え直後の信号の振幅(複数)とを区別する必要がある。そのために、図2において、1クロック周期を、4つの区画A/B/C/Dに分割する。区画B,Dは、制御された状態においてクロック同期の振幅差のない、即ちクロック毎に同一の、振幅値を表している。区画B,Dの制御状態は、両電極のうち少なくとも一方のものの振幅制御に関連されている。クロック区画B,Dの制御状態において、振幅を同じ値に制御すると、両電極の同一の伝播時間においてクロック同期信号成分のない信号が生ずる。更なる(他方)の電極21の信号と検知区間からの信号との間に伝播時間の差がある場合にのみ、クロック同期信号成分が現れるが、これらの成分は、区画A,Cにおいて生ずる。
【0033】
図1において、比較器付きの同期復調器D1,D2は、クロック制御部11によって、出力11A,11B,11C,11D及び所属するクロック配線50A,50B,50C,50Dを介して、次のように制御される。即ち、同期復調器D1は、振幅制御器18を介して、増幅器23のクロック同期信号成分を「零」に制御するように、受信信号S13においての変化値のクロック同期振幅差を制御し、同期復調器D2は、信号間の伝播時間の差を検出し、移相器17を介して、増幅器23のクロック同期成分を「零」に制御する。伝播時間を制御しない場合、位相毎に極性の交番変化するクロック同期信号成分がクロック区画A,Cに現れる。この信号成分によって、同期復調器D2の出力に、制御信号S16が生成され、この制御信号S16は、クロック同期信号成分のない「零」信号が増幅器23の出力23bに現れるように、移相器17を制御する。
【0034】
同期復調器D1では、受信信号S13、即ち変化値は、電極12及び他の電極21の2つの部分信号に再度分解される。また(受信)信号は、配線41,41B,41Dを経て、区画B,Dに所属するスイッチに供給される。これらのスイッチは、区画B,Dのクロック変化において、クロック制御部11により、クロック配線50B,50Dを介して作動される。それにより、場合により物体により影響(誘導作用)される受信器においての検知に由来する、区画B,Dに対応した変化値の信号が、前記スイッチの出力に、スイッチの位置に対応して、配線60B,60Dに生成される。これらの信号は、積分器R3,R4及び/又はC3,C4を経て、比較器15の入力15a、15bに供給される。比較器15の出力15cには、信号値が相等しい場合、信号S13の零状態のための対応した制御信号が生成されている。この箇所に別の信号がある場合、配線70を介して、任意の制御信号が、信号S15として、振幅制御部18の入力18cに生成される。振幅制御部18は、信号S13が零状態に対応する信号となるように、即ちクロック同期成分を含まないように、またそれにより更なる調節が不要となるように、別の電極21の振幅を再調節する。この状態では、クロック同期振動成分は除かれるので、制御値94は、物体Oの特性についての情報を含むものとなり、また制御値93は、物体Oの距離についての情報を含むものとなる。図では、別の電荷担体21の振幅の再調整がなされるが、自明なように、やはりEP706648B1から公知なように、電極12にも、両電極にも、また複数の送出要素が設けられる場合には、複数のものにも、前記制御がなされ得るようにしてもよい。
【0035】
換言すれば、同期復調器D1は、クロックの区画に従った振幅検出のために用いられる。同期復調器D1の入力、即ち区画B,Dに割当てられたスイッチには、両経路からのクロック同期成分のない信号が既に存在していることが好ましい。その時残留している零信号からは、同期復調器D2の形の振幅検出器の出力において、ノイズ中のクロック変化信号TWを検出することができる。
【0036】
クロック配線50A,50B,50C,50D上の走査時間の相変化は、距離の測定には大きな範囲において(さほど)影響しない。DE10022054A1において同期復調器の高精度の位相が必要とされるのに反し、そうした高精度の位相は、本発明の距離の測定にははいりこまない。必要なのは、クロックのおよその時点においての振幅の走査のみである。従って、本発明による同期復調は、単に擬似的な同期復調である。位相は、クロック変化信号の振幅の差を検知可能にし同期復調器D2の形の振幅検出器の入力でのクロック同期成分を零にする上で、それ自体殆ど意味を有しない。これらのクロック変化信号は、その場合、当該装置において(2つの)電極12、21の間に生ずる信号(複数)の位相をずらせることによって、相互に対し最小化し、好ましくは零にする。これによって得られる移相器17の遅延は、場の変化の伝播時間であり、従って、規定しようとしている物体Oの距離である。
【0037】
図1の中程において、同期復調器D2の2つの上部スイッチは、ゲート回路によって、図2上部の領域A,Cに対応して制御される。同期復調器D2において受信信号S13、かくて、変化値は、同様に、両電極12,21の振幅信号(複数)に関係付け(割当て)られ、勿論区画A,Cに対応する信号区画である。そのために受信信号S13は、配線41,41A,41Cを経て、区画A,Cに割当てられた各スイッチに至る。これらのスイッチは、クロック配線50A,50Cを経て、クロック制御部11により、区画A,Cのクロック変化において作動される。それによりスイッチ出力において、配線60A,60Cには、スイッチ位置に対応して、区画A,Cに対応する信号が生成される。これらの信号は、積分器R3,R3及び/又はC3,C4を介して、比較器16の(−,+)入力16a、16bに供給される。
【0038】
センサ活性領域14中の検知経路上の伝播時間に対応する、クロック変化において生成された、第1の場の変化ならびに他の場の変化が、このようにして、クロックに従って検知される。信号(複数)の振幅値は確かに物体Oに依存するが、それは、この場合、2つの信号の間のクロック同期の差値の規定が問題なので、重要ではない。両信号は、別の比較器16において比較される。比較器の出力(端子)16cでの差値は、第1及び更なる(第2)の場の変化の間の位相差に対応し、受信器内の積分(インテグレーション)により(1つの)振幅値に変換される。この値は、位相情報が存在しなくなった任意の時点において走査(サンプリング)することができる。位相の正確でない振幅値即ち位相の境界が正確には合致しない振幅値の差値は、信号S16として配線80を経て移相器17の入力17cに到達する。この振幅値は、最小値、好ましくは零となるまで、移相器17において変更されることにより、容量場及び/又は誘導場においての場の変化の伝播時間を規定する。その際に設定される移相器17の遅延から、伝播時間を規定することができ、それにより距離(移相器17の入力17dに伝播時間信号93として生成される)を規定することができる。クロック変化信号TWは、移相器17の変更によって、図3のとおりノイズ中に消失される。
【0039】
移相器17は、アナログ作動する回路でもよいが、デジタル信号遅延でもよい。その場合、例えば1nsのステップでクロックをシフトさせるように、高周波のクロックをカウントしてもよい。そのためには信号S16は、A/D変換器によって走査し、その結果を対応の位相のずれに変換する。
【0040】
センサ活性領域14は、高オームに、インピーダンスZ1,Z2を経て配線31,32に、また(配線20及び)インピーダンスZ3,Z4を経て配線36[,20]に、更に、駆動部(Treiber)及び増幅器23に結合され、周囲域の最小の振幅変化及び/又は位相変化も測定面において顕著に表されるようにする。それと同時に、増幅回路は、高オーム性に、測定面に結合し、それにより測定信号の振幅及び/又は位相が殆ど影響(誘導作用)を受けないようにする。実施例では、この結合は、好ましくはコンデンサ及び抵抗を介してなされるが、コイルも、またこれらの部品要素の組合せも、或いは個別の部品要素としても、その目的に使用し得る。実施例では、インピーダンスZとして、10pFと56kO(Ω)との直列回路を、クロック周波数100kHz、駆動電圧2Vで使用した。駆動部及び増幅器23に対する高オーム性の結合はほぼ同じ値となるよう構成され、実施例では、同じ値のコンデンサ、抵抗、コイル又はそれらの部品要素の組合せによりなされている。
【0041】
低キャパシタンスないし高抵抗又は高インダクタンス(実施例ではコンデンサ)によって、測定面たる電極12から最終段へ、また測定面から増幅器23への所望の高インピーダンスが得られる。それにより、物体Oが,空気の容量又は他の形式での電気的な結合によって本発明による回路の基準電位に接続されている場合、最小の変化も検知できる。これは図1では、破線で示した接地19により示されている。測定面の直接近傍にある回路の参照電位との導電性金属接続も、系の感度を擾乱させない。場の最小の変化も、比較器(複数)を備えた同期復調器D1,D2の前置増幅又は高制御出力によって、十分に検出できる。
【0042】
図8は、インダクタンスの自らの変化の結果としての場の変化を検知するための伝播時間の測定を可能とする本発明の他の実施例を示している。図8の実施例は、基本的に、電極の代りにコイルを用いた点で、図1の実施例と相違している。また、その限りでは、図8の下2/3に示した回路及びその使用は、電極の表示をコイルに置換えることによって、図1についての説明と同じになる。センサ活性領域、即ち振幅制御部18の後方(下流)及び配線31の後方(下流、図8ではこれらの符号から上方)の領域並びに増幅器23の前方(上流)の検知域は変更されている。その限り(の変更)において、大幅に、同じ参照符号が用いられている。
【0043】
クロック制御部11は、補償コイルとして用いられる別のコイル121に、出力11E,並びに、中間に配したインピーダンスZ2を備えた配線31,32、を介して、電流を供給する。それに対応して、クロック制御部11のクロックの反転に従って、移相器17及び振幅制御部18を経て、その出力18bから、中間に配したインピーダンスZ1を備えた配線37,36を経て、コイル112に電流が供給される。コイル112,121は、配線38を介して接地39されている。このようにクロック制御された電流信号は、受信コイル113により受信され、測定され、増幅器23の入力23a,23a’に与えられる。次に、出力23bから、前記振幅制御及び位相制御が行われる。コイル112,121が、(場合により振幅制御部18による制御の後に)同一のインダクタンスを持つならば、零状態に対応する信号が増幅器23の出力23bに現出される。この制御状態は、コイル112,121がセンサ活性領域14内の外部磁界内を移動される際にも得られる。しかし金属物体Oがセンサ活性領域14において例えば地中に埋置されていると、この物体は、コイル112のインダクタンスを変え、他方、本実施例では参照コイルであるコイル121は影響(誘導作用)を受けない。この変化は、クロックに従って、変化値として受信コイル113によって検知され評価される。この場合にも、この場の変化が光の伝播時間で伝搬されることにより、前述したように、クロック変化信号の位相制御によって物体Oの距離を信号93として規定することが可能となる。信号94は、同時に、物体Oの渦電流特性ないし質量についての情報も供給する。勿論、特にインダクタンスによる解決策においては、補償要素を使用せずに電圧信号としての電子的方策によっても、場の更に別の変化が起こり得る。
【0044】
有利には、本発明によれば、クロック周波数を任意に選定し、クロック周期(サイクル)毎にクロック周波数を次に任意の値とすることができる。従って、並列に配設(ないし投入)され、同期化されてない系の場合、可能な干渉を抑制するために、適宜の「周波数ホッピング」(FDMA)を問題なく使用し得る。そのため、本システムは、個別の伝播時間の区画のみならず、複数の並列の検知区間を簡単な手段によって実現するのにも好適である。
【0045】
当該装置の各(構成)要素は、特に図1〜8を参照したこれまでの説明から明らかになる通りである。
【0046】
また、この説明が、以下の請求の範囲の均等範囲に含まれる種々の変形、改変並びに応用を包含することは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
以下に本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図において
【図1】図1は、容量場においての場の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間を測定するための本発明による回路を示す略回路図である。
【図2】図2は、図1の受信器に生成されている受信信号を、所属する各々の領域に分割して示す線図である。
【図3】図3は、図2上の信号を、振幅及び位相について調整して示す線図である。
【図4】図4は、検知経路のある測定経路及び検知経路のない測定経路から成る受信器においての振幅制御及び位相制御後の信号の推移を概念化して示す線図である。
【図5】図5は、受信器への結果的な場伝播時間パルスを概念化して示す線図である。
【図6】図6は、図5からの1つのパルスを例示した線図である。
【図7】図7は、受信器及び増幅器を通過した後の、図6のパルスを示す線図である。
【図8】図8は、誘導場においての場の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間を測定するための本発明による回路を示す略回路図である。
【符号の説明】
【0048】
11 クロック制御部
11A,11E,11B,11C,11D 出力(端子)
12 電極
14 センサ活性領域
15 比較器
15a、15b 入力(端子)
15c 出力(端子)
S15 比較器15の(出力)信号
16 別の比較器
16a、16b 入力(端子)
16c 出力(端子)
S16 比較器16の(出力)差値
17 移相器
17a、17b 入力
17b、17d出力
18 振幅制御部
18a、18c 入力(端子)
18b 出力(端子)
19 Oの電位(接地)
20 配線
21 別の電極
21a 入力(端子)
22 インバータ
22a 入力(端子)
22b 出力(端子)
23 増幅器
23a 入力(端子)
23b 出力(端子)
D1,D2 同期復調器
O 物体
R1−R4,C1−C4 積分器
TW クロック変化信号(Taktwechselsignal)
Z1,Z2,Z3,Z4 インピーダンス
30−38 配線
39 接地(Masse)
40,41 配線
41A,41B,41C,41D 配線
50A,50B,50C,50D クロック配線
60A,60B,60C,60D クロック配線
70,80 配線
93 伝播時間(Laufzeit)信号(距離情報)
94 反射/質量信号
112 コイル
113 別のコイル
121 別のコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量場及び/又は誘導場の影響(ないし誘導)又は伝播時間を測定する方法において、
−クロック制御部(11)によりクロック制御される容量場及び/又は誘導場の時間的な第1の場の変化を、センサ活性領域(14)内の、該第1の場の変化を生じさせる少なくとも一の要素を介して生成させる工程と、
−送出要素と作用結合された少なくとも一の受信器を介して、場合により物体Oにより誘導された前記第1の場の変化を検知すると共に、第1の変化値を検出する工程と、
−クロック制御部(11)によりクロック制御される容量場及び/又は誘導場の少なくとも一の別の時間的な場の変化を、該別の場の変化を生じさせる少なくとも一の要素を介して生成させる工程と、
−送出要素と作用結合された前記少なくとも一の受信器を介して、場合により物体Oにより誘導された前記別の場の変化を検知すると共に、別の変化値を検出する工程と、を有することと、
−前記容量場及び/又は誘導場の前記受信器により検知された場の変化、即ち前記第一及び/又は前記他の場の変化の内少なくとも一は、物体Oの接近、滞留(停止)及び/又は離隔により誘導され得ることと、
−前記第1の変化値を前記他の変化値と、比較器(15)の出力において、比較値を生成させるためにクロックに従って比較する工程を有し、該比較値は、第1の場の変化による前記第1の変化値の振幅と前記別の場の変化値の振幅とが実質的に相等しくなるように、生成された前記第1の場の変化の振幅値及び/又は前記別の場の変化の振幅値を制御するために用いられることと、更に
−比較器(15)の入力において前記変化値の大きさが実質的に相等しい値に制御された場合、前記受信器においての前記第1の場の変化による変化値と前記別の場の変化による変化値との間の、前記容量場ないし誘導場の場の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間に対応する、クロック変化に際して生ずるクロック変化信号(TW)を、クロックに従って検出する工程と、
−別の比較器(16)において、該クロック変化信号(TW)を振幅について比較することによって、1つの差値(S16)をクロックに従って規定する工程と、
−前記受信器においての前記第1の場の変化による変化値及び/又は前記別の場の変化による変化値を招来する、生成された前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の位相の位相遅延を変更するために、移相器(17)を介して、クロック変化信号(TW)の差値(S16)を、該差値(S16)が最小に、好ましくは零になるまで変化させる工程と、
−場に誘導作用する物体Oの接近、滞留(停止)及び/又は離隔の結果としての、容量場及び/又は誘導場の容量又は誘導の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間を定めるために、最小の差値において生ずる移相器の遅延を使用する工程とを有すること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記比較器(15)の入力においての前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の結果としての変化値が実質的に相等しい場合に、場の変化の結果としてのクロック同期変化成分(Wechselanteile)のないノイズのみが増幅器(23)の出力に生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の場の変化と別の場の変化との間の、クロック変化時に生ずるクロック変化信号(TW)の振幅クロック変化信号(TW)の振幅、或いは別の場の変化と第1の場の変化との間のクロック変化時に生ずるクロック変化信号(TW)の振幅の、クロックに従った検出が、前記比較器(15)の入力においての制御された変化値(複数)が実質的に相等しい場合に、ノイズにも係らず行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
符合が変化するクロック変化信号(TW)がゲート回路により検知され、クロック変化信号(TW)の間の差値(S16)が、位相遅延を定めるための制御ループの制御量として用いられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
受信器の受信信号から検出された変化値の由来する経路がAC結合されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記受信器においての前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の結果としての伝播時間の測定のために、送出要素(12,21)の切換え後の振幅を測定し、移相器(17)を介して零に制御することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
その際に生ずる、クロック変化信号(TW)の振幅を相互に対し零に制御する位相シフトが、物体Oの距離に対応することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の結果としての、受信器においての変化値(S13)を、複数の領域(A,B,C,D)に区画し、クロック変化が生じている領域(A,C)の中間の領域(B,D)を、クロック制御部(11)のクロックに従ってゲート回路を介して、比較器(15)の出力において比較値を生成するための変化値の比較のために使用することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の結果としての、受信器においての変化値(S13)を、複数の領域(A,B,C,D)に区画し、クロック変化が生じている領域(A,C)を、クロック制御部11のクロックに従ってゲート回路を介して、比較器(15)の出力において差値(S16)を生成するための変化値の比較のために使用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
クロック変化の領域(A,C)において測定した信号を距離の測定に使用することを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記変化値が、送出要素及び受信器として使用される成分(複数)のインピーダンスの変化であり、これらの成分が好ましくは電極(12,21)及びコイル(113,112,121)により形成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
容量場及び/又は誘導場の影響(ないし誘導)又は伝播時間を測定する装置において、
−クロック制御部(11)と、
−クロック制御部(11)によってクロック制御される、センサ活性領域(14)内の容量場及び/又は誘導場の時間的な第一の場の変化を生成させるための、少なくとも一の送出要素と、
−クロック制御部(11)によってクロック制御される、容量場及び/又は誘導場の少なくとも一の時間的な別の場の変化を生成させる手段と、
−該送出要素と連動する、物体(O)により場合により誘導される第1の場の変化及び別の場の変化を検知するための、少なくとも一の受信器と、を有することと、前記受信器により検知される少なくとも一の場の変化、即ち容量場及び/又は誘導場の第1の場の変化及び/又は別の場の変化が、物体Oの接近、滞留(停止)及び/又は離隔により誘導され得ることと、更に
−受信器においての前記第1の場の変化及び別の場の変化の結果としての変化値を検出する手段と、
−比較値を出力に生成させるために、第1の変化値と別の変化値とをクロックに従って比較するための比較器(15)と、
−前記第1の場の変化の結果としての変化値の振幅と前記別の場の変化の結果としての変化値の振幅とが実質的に相等しくなるように、生成された第1の場の変化及び/又は別の場の変化の振幅値を制御するために該比較値(S15)を使用する振幅制御器(18)と、
−比較器(15)の入力(複数;15a,15b)において前記変化値の大きさが実質的に相等しい値に制御された場合、前記受信器においての前記第1の場の変化による変化値と前記別の場の変化による変化値との間の、前記容量場及び/又は誘導場の場の変化の影響(ないし誘導)又は伝播時間に対応する、クロック変化に際して生ずるクロック変化信号(TW)を、クロックに従って検知する手段と、
−クロック変化信号(TW)を振幅により比較することによって差値(S16)をクロックに従って規定するための別の比較器(16)と、
−前記受信器においての前記第1の場の変化及び前記別の場の変化による変化値を招来する、生成された前記第1の場の変化及び/又は前記別の場の変化の位相の位相遅延を変更するために、差値(S18)が最小に、好ましくは零になるまで、クロック変化信号(TW)の差値(S16)を変化させるための移相器(17)と、
を有する装置。
【請求項13】
前記比較器(15)が、振幅検出用の同期復調器(D1)又はゲート回路の一部であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
比較器(15)の入力において前記第1の場の変化及び前記別の場の変化の結果としての変化値が実質的に相等しい場合、増幅器(23)の出力にはクロック同期変化成分のないノイズのみが生成されることを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記クロック変化信号(TW)をクロックに従って検知する手段が、符号が変化するクロック変化信号(TW)を検知するゲート回路であり、クロック変化信号(TW)の間の差値(S16)が制御ループの制御量として用いられることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一に記載の装置。
【請求項16】
前記変化値(S13)を複数の領域(A,B,C,D)に区画する手段を有し、クロック変化の領域(A,C)の中間の領域(B,D)を、クロックに従って検知する手段として、ゲート回路を備えたことを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一に記載の装置。
【請求項17】
前記変化値(S13)を複数の領域(A,B,C,D)に区画する手段を有し、クロック変化が生じている、比較器(16)の出力において差値(S16)を生成するための変化値の比較のために、クロック制御部(11)のクロックに従ってゲート回路を介して領域(複数;A,C)を使用することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一に記載の装置。
【請求項18】
容量場ないし誘導場の容量変化ないし誘導変化を検知するために、少なくとも一の検知経路を、センサ活性域(14)に有し、該検知経路が送出要素と受信器との間に形成されることを特徴とする、請求項12〜17のいずれか一に記載の装置。
【請求項19】
該送出要素が電極(12)又はコイル(112,121)であることを特徴とする、請求項12〜18のいずれか一に記載の装置。
【請求項20】
前記受信器が、受信増幅器(23)を後置した送出電極(12)又は受信コイル(113)であることを特徴とする、請求項12〜19のいずれか一に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−503471(P2009−503471A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523265(P2008−523265)
【出願日】平成18年7月29日(2006.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007550
【国際公開番号】WO2007/012502
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508030545)
【Fターム(参考)】