密度分析方法、密度分析方法を実装したコンピュータプログラムおよび密度分析システム
【課題】X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて被検体の密度を分析する密度分析について分析精度を高める。
【解決手段】X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて被検体の密度を分析する密度分析方法において、撮像データに設定される複数の密度分析対象部位について、密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、その密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求め、求めた平均値を密度分析対象部位の密度値として密度分析を行うようにしている。
【解決手段】X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて被検体の密度を分析する密度分析方法において、撮像データに設定される複数の密度分析対象部位について、密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、その密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求め、求めた平均値を密度分析対象部位の密度値として密度分析を行うようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置で得られる撮像データを用いて被検体の密度を分析する密度分析方法、密度分析方法を実装したコンピュータプログラムおよび密度分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置では、加速器やX線管などのX線源から照射されるX線が被検体を透過する際に吸収・減衰される量を検出することで得られる撮像データに画像再構成処理を施すことにより被検体の2次元断面画像や3次元画像を生成する。被検体を透過する際のX線の吸収・減衰はそのX線が透過した部分における被検体の密度に相関する。すなわちX線CT装置による被検体の画像を矩形の小領域などとして構成する画素におけるCT値は、各画素に対応する被検体の部位の密度に相関した値を持つ。このことからX線CT装置による撮像データを用いて被検体を密度に関して分析することが行われている。例えばX線CT装置で撮像した断層像から電池内の活性物質の密度分布を求めることにより電池特性を評価し、製作時や使用時における電池の品質をチェックする技術がその例である(特許文献1)。この他に例えば特許文献2〜特許文献4などにもX線CT装置による撮像データから被検体の密度分析を行う技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3125120号公報
【特許文献2】特開平7−134088号公報
【特許文献3】特開平8−327525号公報
【特許文献4】特開平10−227734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線CT装置による密度分析の有用性はますます高まる方向にあり、それに伴って、より微小な密度差まで分析する高精度な密度分析に対する要求が高まってきている。例えば、電池内の活性物質の密度分布による電池特性の評価では、放電または充電後における活性物質の密度分布の差を分析することが有用であるが、このような場合には、より高精度な密度分析が求められる。
【0005】
しかし、X線CT装置には分解能がある。現在のX線CT装置における分解能は、被検体を構成する物質の密度の2%程度であるのが一般的であるが、その分解能の近辺ではノイズの影響が大きくなる。そのため分解能の近辺では有意な密度分析が行えなくなり、高精度な密度分析の要求に応えることができていないのが実情である。
【0006】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析を可能とする密度分析方法の提供を第1の目的とし、またそのような密度分析方法を実装したコンピュータプログラムの提供を第2の目的とし、さらにそのような密度分析方法を実行するための密度分析システムの提供を第3の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的のために本発明では、X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、前記撮像データに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、前記密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求め、求めた平均値を前記密度分析対象部位の密度値として密度分析を行うようにしたことを特徴としている。
【0008】
また上記第1の目的のために本発明では、X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、前記X線CT装置により同一の被検体について少なくとも2つ以上の撮像データをそれぞれ異なる時刻に取得するか、または形状、材質が同一の複数の被検体のそれぞれについて撮像データを取得する処理過程、前記撮像データ取得過程で得られた複数の撮像データについて位置合わせを行う処理過程、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定する処理過程、前記処理過程で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求める処理過程、および前記処理過程で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求める処理過程を含むことを特徴としている。
【0009】
上記第2の目的のために本発明では、上記のような密度分析方法を実装したコンピュータプログラムについて、前記X線CT装置により取得された撮像データを読み込む撮像データ読み込み機能、前記撮像データ読み込み機能で読み込まれた複数の撮像データについて位置合わせを行うための位置合わせ機能、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定するための密度検査領域設定機能、前記密度検査領域設定機能で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求めるための密度算出機能、および前記密度算出機能で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求めるための密度差算出機能を含むものとしている。
【0010】
上記第3の目的のために本発明では、X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度に関して分析する密度分析方法に用いられる密度分析システムにおいて、上記のような密度分析方法を実行するための密度分析装置を備えていることを特徴としている。
【0011】
また本発明では、上記のような密度分析システムについて、前記密度分析装置は、上記のようなコンピュータプログラムを記憶するプログラム記憶装置と、前記プログラム記憶装置から読み出した前記コンピュータプログラムを実行する演算装置とで構成するものとしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、密度分析対象部位を中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、この密度検査領域について、そこに含まれる複数の画素の各密度値の平均値を求め、これを密度分析対象部位における代表密度値とするようにしている。このようにすることにより、画素ごとにランダムに生じるノイズの影響をキャンセルして大幅に低減することができる。この結果、密度分析の精度を大幅に高めることができ、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施する上で好ましい形態について説明する。図1に第1の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示し、図2にその処理におけるX線CT装置による被検体の撮像の様子を模式化して示す。本実施形態は、同一の被検体における密度の時間的な変化、例えば被検体に対して何らかの処理を施した場合における処理前後の密度差を分析する場合の例である。そのような例としては、例えば放充電を繰り返す電池における放電または充電の前後での密度差分析がある。
【0014】
被検体1を撮像するX線CT装置2は、加速器やX線管などで構成されX線2xを照射するX線源2a、X線源2aからのX線2xを検出するX線検出器2b、および被検体1を載せて回転させるターンテーブル2cを備えている。そしてターンテーブル2cを回転させながら被検体1にX線2xを照射しつつ、被検体1を透過したり被検体1の周囲を通過したりしたX線2xをX線検出器2bで検出して撮像データを取得する。
【0015】
このようなX線CT装置2により時刻T1において被検体1を撮像し、被検体1の撮像データ101を取得する(処理1001)。撮像データ101は、何らかの処理が施される前の被検体1の撮像データである。それから被検体1に所定の処理を施す(処理1002)。この処理は、被検体1が放充電を繰り返す電池の場合であれば、放電や充電である。処理後の時刻T2で新たに被検体1をX線CT装置2により撮像して撮像データ102を取得する(処理1003)。撮像データ101、102は、被検体1を異なる時刻T1、T2で別個に撮像して得られたものである。このため撮像データ101、102それぞれを再構成して生成される画像中における被検体1の位置は、図2に示すように、ずれを生じているのが通常である。そこで撮像データ101、102について位置合わせ、より具体的には撮像データ101、102における被検体1の位置を合わせる位置合わせを行う(処理1004)。
【0016】
撮像データの位置合わせは、被検体1の幾何学的形状に基づいて行うことができるし、また被検体の重心や慣性モーメント主軸に基づいて行うことができ、さらに撮像データ101、102の形状誤差を最小化する方法などで行うこともできる。以下では被検体1の幾何学的形状に基づく位置合せについて説明する。幾何学的形状に基づく位置合わせの例のイメージを図3に示す。幾何学的形状に基づいて撮像データ101と102の位置合わせを行うには、被検体1における基準となる点(基準原点)と、被検体1が有する特徴的な幾何学的形状の画像座標系4に対する傾き角度(回転角度)を求める必要がある。これらを求める一つの方法では、被検体1が交叉する直線を伴う輪郭を有するものである場合であれば、それを特徴的な幾何学的形状として、撮像データ101と撮像データ102の対応位置に、交叉する2本の直線8、8と直線8´、8´のそれぞれを定義する。撮像データ101に交叉する2本の直線8、8を定義するには、撮像データ101において、被検体1を表すデータ部と被検体1の周囲の空気を表すデータ部との境界近傍を画像上で複数点計測し、それで求まる複数の点に最善に適合する直線を計算から求める方法を用いることができる。直線8、8が定義できたらその交点を求め、それを基準原点5とする。また直線8の方向ベクトルから被検体1が画像座標系4に対してなす角度として回転角度を求める。撮像データ102についても同様に、直線8´、8´を定義してその交点を基準原点5´とし、直線8´の方向ベクトルから被検体1の回転角度を求める。
【0017】
基準原点を求める他の方法としては、図3に併せて示す例のように、撮像データ101と撮像データ102の対応位置に円7、7´を定義し、その中心点を6、6´を基準原点とする方法が可能である。以上のようにして基準原点と回転角度が求まったら、撮像データ101と撮像データ102に対してアフィン変換(一次変換)を施して位置合わせをする。図4にアフィン変換後の撮像データ101´と撮像データ102´の例を示す。
【0018】
ここで、被検体が位置合わせの指標となる幾何学的形状を有しない場合もある。そのような被検体の場合には、位置合わせの指標とし易い直線や平面あるいは円筒面などの幾何学的形状を有する位置合せ用指標体を被検体に取り付けて撮像を行うようにする。図5にその例を示す。図5の例では被検体1の輪郭が円弧形状の部分とぎざぎざな形状部分からなり、これらを回転角度の指標とすることが困難である。そこで、断面形状が四角形である位置合せ用指標体9を取り付け、これを被検体1と一緒に撮像する。このような被検体1については、その円弧形状輪郭部分を利用して基準原点を求める。すなわち、被検体1の円弧形状の輪郭部分に沿って複数の点を計測し、その複数の点に最善に適合する円弧10、10´の中心点として基準原点5、5´を求める。一方、被検体1の回転角度は位置合せ用指標体9から求める。すなわち、位置合せ用指標体9について図3に関して説明したのと同様にして直線8、8´を求め、この直線8、8´により被検体1の回転角度を求める。
【0019】
X線CT装置2は、被検体1の2次元断面画像をそれに垂直な方向に積み重ねることで被検体1の3次元形状画像を得ることもできる。またX線CT装置2が図2の例のような扇状のX線2x(ファンビーム)に代えて円錐状のX線(コーンビーム)を照射する場合には、直接に被検体1の3次元形状画像を得ることができる。被検体1について3次元形状の撮像データを得る場合には、その3次元形状撮像データについて位置合わせを行う。図6にそのような例を示す。図6の例のような3次元形状の被検体1については、まず撮像データ101における被検体1の上端面上の点を画像上で複数計測し、それらの点に最善に適合する平面12を求める。それから、被検体1の内側面あるいは外側面上の点を画像上で複数計測し、それらの点に最善に適合する円筒面11を求める。そして円筒面11の中心軸11aと平面12の交点11pとして基準原点を求める。また撮像データ101の1つの軸を円筒面11の中心軸11aとし、残りの2つの軸は、被検体1に取り付けた位置合せ用指標体9を利用して決定し、これら3つの軸から回転角度を求める。撮像データ102についても同様にして平面12´と円筒面11´を求め、それから円筒面11´の中心軸11a´と平面12´の交点11p´として基準原点を求め、また円筒面11´の中心軸11a´として求めた1つの軸と被検体1に取り付けた位置合せ用指標体9を利用して求めた残りの2つの軸から回転角度を求める。
【0020】
以上のようにして被検体1の位置合わせを終えたら、その撮像データ101´、102´のそれぞれについて密度検査領域を設定・配列する(処理1005)。密度検査領域とは、被検体1を構成する物質の密度に対応するCT値を撮像データから取得するについてCT値をサンプリングする広がりの範囲を規定する領域である。この密度検査領域の設定は、撮像データに設定される複数のCT値取得対象部位(密度分析対象部位)のそれぞれについて、その密度分析対象部位を中心にして適切な数の画素を密度分析対象部位ごとに設定することでなされる。適切な画素数つまり密度検査領域のサイズは、撮像データにおけるノイズの大きさに相関し、そのノイズの大きさは、被検体を構成物質の種類(被検体の材質)や大きさ、さらにはX線のエネルギー条件により異なる。したがって密度検査領域のサイズは、密度分析時における上記のようなパラメータを考慮して決定することになる。一の例では、撮像データが2次元の場合、密度分析対象部位のサイズを2×2の4画素ないし3×3の9画素(画素のサイズは例えば200μ程度)とし、これを中心にして周囲に隣接する状態で数百〜数千画素を密度検査領域として設定する。このような密度検査領域は、密度分析対象部位の設定間隔によっては互いに重なり合う状態になることもある。
【0021】
図4の一次変換後の撮像データ101´、102´に密度検査領域を設定・配列した例を図7に示す。図の例では複数の密度分析対象部位それぞれの密度検査領域3を同じ大きさにしてある。このように各密度検査領域3を同じ大きさに設定してあれば、撮像データ101´、102´それぞれの同一座標位置に密度検査領域3が配列されることになり、密度検査領域3内の各画素におけるCT値を平均化した値の撮像データ101´、102´間での差から撮像データ101と撮像データ102の間での密度変化量を2次元断面画像または3次元形状画像上での分布として求めることができる。
【0022】
ここで、以上の例では被検体について位置合わせを行った後に密度検査領域3を設定・配列するようにしていたが、密度検査領域3の設定・配列を予め決めておき、その設定・配列を一次変換により撮像データ101と撮像データ102のそれぞれに適合性させる方法とすることも可能である。図8に、予め設定・配列を決めておいた密度検査領域3を撮像データ101と撮像データ102のそれぞれに適合させる場合のイメージを示す。CT値は、デジタルデータとして表現されているため、画像を一次変換する場合には、有限桁数で表現されていることによる打切り誤差を生じ、撮像データ101と撮像データ101´あるいは撮像データ102と撮像データ102´の間で若干の誤差を含む。この誤差は微小な密度変化に対して影響を与える可能性がある。こうしたことを考慮すると、予め決めてある設定・配列の密度検査領域を撮像データに適合させる手法は、密度分析の高精度化に対し、より有効であるといえる。
【0023】
撮像データが3次元の場合には、密度検査領域も3次元となる。図9に3次元撮像データにおける3次元の密度検査領域3の設定・配置の例を示す。このように3次元撮像データに3次元の密度検査領域3を設定・配置することで、密度変化の3次元分布(空間分布)を得ることができる。
【0024】
図10には密度検査領域の形状についての他の例を示す。(a)は円弧形状にした密度検査領域3aの例であり、(b)は部分扇形状にした密度検査領域3bの例であり、(c)は球形にした密度検査領域3cの例である。このように密度検査領域は、任意の形状で設定することが可能である。
【0025】
密度検査領域の設定を終えたら各密度検査領域3について平均密度を算出する(処理1006)。平均密度は以下の式により計算する。
【0026】
【数1】
ここで、ρiバーは撮像データ101´または撮像データ102´に設定した個々の密度検査領域における平均密度、i(=1,2…,M)は撮像データ101´、102´それぞれに設定した密度検査領域の数、ρijは各密度検査領域に含まれる個々の画素におけるCT値を密度に変換した値、j(=1,2…,N)は各密度検査領域に含まれる画素の数である。
【0027】
CT値から密度値への変換は以下の式による。
【0028】
【数2】
ここで、ρは密度、xはCT値であり、aとbは以下の式により求められる。
【0029】
【数3】
【0030】
【数4】
(3)式と(4)式において〈〉で囲まれた値は平均値を表す。なお必要に応じて分散あるいは標準偏差を計算することもできる。分散と標準偏差は下記の(5)、(6)式で計算する。
【0031】
【数5】
【0032】
【数6】
【0033】
平均密度の算出を終えたら、撮像データ101´と撮像データ102´それぞれの対応する密度検査領域間で密度差を求める(処理1007)。密度差は以下の式により計算する。
【0034】
【数7】
ここで、(ρiバー)Aは撮像データ101´に設定した密度検査領域の内のi番目の密度検査領域における平均密度、(ρiバー)Bは撮像データ102´に設定した密度検査領域の内のi番目の密度検査領域における平均密度、Δρiバーはこれらの密度差である。
【0035】
以上の処理を撮像データ101´、102´のそれぞれに設定した複数の密度検査領域の全てについて行うことで、被検体1に対する局所的な密度の時間変化量(処理前後の変化量)を求めることができる。得られた密度の変化量を各密度検査領域の中心座標における密度値(代表密度値)として、その密度値を等高線で結ぶことにより、密度変化量の2次元あるいは3次元分布図を作成することができる。密度変化量の2次元分布図の例を図11に示す。また、各密度検査領域における密度変化量を複数の密度検査領域全体にわたって積分することにより、被検体の重量の時間的変化量を算出することもできる。
【0036】
以上の例では、位置合わせした後の撮像データ101´、102´に設定した密度検査領域3について平均密度を求め、それについて差分を求めるようにしていたが、これに代えて、位置合わせした後の撮像データ101´、102´それぞれの対応する画素ごとに密度差を求め、その密度差について密度検査領域3ごとに平均値を求めるようにすることも可能である。また以上の例は、撮像データが2つの場合であったが、これに限られず、撮像データを3つ以上取得する場合にも同様な処理が可能である。
【0037】
以上のように本発明では、密度分析対象部位を中心にして適切な数の画素を含む密度検査領域を設定し、この密度検査領域について、そこに含まれる各画素のCT値から求まる各密度値から平均値を求め、これを密度分析対象部位における代表密度値とするようにしている。このようにすることにより、画素ごとにランダムに生じるノイズの影響をキャンセルして大幅に低減することができる。この結果、密度分析の精度を大幅に高めることができ、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析が可能となる。
【0038】
こうした本発明による密度分析方法は、以上の実施形態で説明したような同一の被検体における処理前後での密度変化の分析のように分析対象の密度差が微小である場合に特に有効であるが、一般的な密度分析についてもその分析の高精度性は有用である。
【0039】
図12に第2の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示す。本実施形態は、量産される製品を被検体として、各製品における密度分布の差異を分析することで製品のばらつきを評価する場合などに適用することを前提にした密度分析に関するものである。処理2001で、図2における構成においてX線CT装置2により被検体1の撮像データ201を取得する。続く処理2002では被検体1と同一形状の被検体1a(被検体1と同一の製品)について撮像データ202を取得する。以下の処理2003〜2006は図1における処理1004〜1007に対応しており、それぞれにおける処理は図1に関して説明したのと同様である。
【0040】
以下では本発明による密度分析方法を実装したコンピュータプログラムの実施形態について説明する。一実施形態によるコンピュータプログラムを実行させた場合にコンピュータの表示装置に表示される画面の例を図13〜図19に示す。本実施形態は、上記第1の実施形態による密度分析方法を実装したコンピュータプログラムの場合である。コンピュータプログラムは、撮像データ読み込み機能を含むとともに、図1に関して上で説明した各処理についての機能、すなわち位置合わせのための機能(位置合わせ機能)、密度検査領域を設定するための機能(密度検査領域設定機能)、密度検査領域ごとに平均密度を求める機能(密度算出機能)、および複数の撮像データ間で密度差を求める機能(密度差算出機能)を含んでいる。以下ではこれらの各機能について説明する。
【0041】
図13は、図1における処理1001と処理1003で得られた撮像データを撮像データ読み込み機能により読み込む処理過程で表示される画面14の例であり、X線CT装置2による撮像で得られた撮像データ101と撮像データ102をコンピュータに読み込んでそれぞれの画像を表示している状態を示している。
【0042】
図14は、位置合わせ機能を呼び出して図1における処理1004を行っている状態での画面の例を示している。すなわち位置合わせのための設定、および位置合わせ後に撮像データを一次変換した場合の画面の遷移を示している。位置合わせ機能には、被検体または被検体に取り付けた位置合せ用指標体が有する特徴的な幾何学的形状を計測する手段およびそれに基づいた位置合わせ処理を行う手段が含まれている。図の例ではそれらの手段をツール15としてまとめて画面に表示している。また図の例では、直線、円、円弧、平面、円筒面などの幾何学的形状を計測可能としている。この他に、円錐や球なども計測できるようにするようにする場合もある。位置合わせ機能による処理の内容は上で説明したのと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0043】
図15は、密度検査領域設定機能(密度検査領域配置機能)により撮像データ101´と撮像データ102´に密度検査領域を設定する処理を行っている状態での画面の遷移を示す。密度検査領域設定機能は、密度検査領域の形状を決定する手段、密度検査領域のサイズを決定する手段、および密度検査領域の配列を決定する手段を含んでおり、それらはツール16としてまとめて画面に表示される。図の例では、密度検査領域の形状として、直線、円弧、任意の曲線、矩形、円、多角形、直方体、球などを指定可能としてある。密度検査領域設定機能における密度検査領域配列決定手段には、画面17を参照しながら配列を決定する方式や数式により配列を決定する方式を適用することができる。また密度検査領域配列決定手段には、画面17上で配列した密度検査領域を撮像データ101´、102´に反映させて配列状態を確認するためのプレビュー機能を含ませてある。密度検査領域設定機能における密度検査領域サイズ決定手段には、画面17上でマウスなどの入力手段により密度検査領域のサイズを決定する方式や密度検査領域のサイズを数値で入力する方式を適用することができる。一旦決定した密度検査領域サイズを変更することもできる。図16に示すのは、図15の状態における密度検査領域のサイズを拡大修正した場合の画面の例である。
【0044】
位置合わせ時に密度検査領域の一次変換を選択することもでき、それを選択した場合にも同様の機能を利用できる。ツール16における画面17に密度検査領域のサイズや配列を指定すると、撮像データ101、102上に、位置合わせ時に取得した結果に応じた一次変換を密度検査領域に対して施した状態が表示される。この処理の様子を図17に示す。
【0045】
図18は、密度算出機能(密度計測機能)により密度の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示している。密度算出機能は、密度算出対象の撮像データを選択する手段、密度の算出を実行する手段、および算出結果を表示する手段を含んでおり、それらはツール18としてまとめて画面に表示される。
【0046】
図19は、密度差算出機能(密度差計算機能)により密度差の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示している。密度差算出機能は、密度差算出対象の撮像データを選択する手段、密度差の算出を実行する手段、および算出結果を表示する手段を含んでおり、それらはツール19としてまとめて画面に表示される。図の例では、密度差算出結果として密度差分布図20も表示するようにしてある。
【0047】
ここで、以上の実施形態では、撮像データ101と撮像データ102に対して同等に行う処理を両撮像データについて同時的に施すようにしているが、各撮像データに順次的に施すような形態とすることもできる。
【0048】
以上のようなコンピュータプログラムを用いることにより、本発明による密度分析方法をより簡易にかつ効率的に進めることが可能となる。
【0049】
次に、本発明による密度分析方法を実施する上で好ましい密度分析システムの形態例について説明する。図20に第1の実施形態による密度分析システムの構成を示す。本実施形態における密度分析システムは、被検体を撮像するX線CT装置2、X線CT装置2で撮像された画像(撮像データ)を受信する画像受信装置(撮像データ受信装置)21、受信した画像を記憶しておく画像記憶装置(撮像データ記憶装置)22、画像記憶装置22に記憶されている画像を呼び出して密度分析を実行する密度分析装置23、密度分析装置23による分析結果を記憶しておく密度分析結果記憶装置24、画像や密度分析過程を表示する表示装置25を備えて構成される。
【0050】
図21に示すのは、第2の実施形態による密度分析システムの構成である。本実施形態における密度分析システムは、第1の実施形態におけるそれと基本的には同様である。相違しているのは、密度分析装置23に相当する要素として、密度分析プログラム記憶装置26と演算装置(コンピュータ)27からなる装置を備えていることである。すなわち本実施形態の密度分析システムでは、密度分析プログラム記憶装置26と演算装置27が「密度分析装置」を構成し、密度分析プログラム記憶装置26に記憶させてある密度分析プログラムを演算装置27で実行させることで密度分析を行うことになる。その密度分析プログラムには、上で説明したコンピュータプログラムが用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、X線CT装置による撮像データを用いる密度分析について、分析精度を大幅に高め、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析が可能とするものであり、さまざまな分野で求められる密度分析に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示す図である。
【図2】X線CT装置による被検体の撮像の様子を模式化して示す図である。
【図3】幾何学的形状に基づく位置合わせの例のイメージを示す図である。
【図4】一次変換後の撮像データの例を示す図である。
【図5】位置合せ用指標体を被検体に取り付けて撮像した撮像データの例を示す図である。
【図6】3次元形状撮像データについて位置合わせの例のイメージを示す図である。
【図7】図4の一次変換後の撮像データに密度検査領域を設定・配列した例を示す図である。
【図8】予め設定・配列を決めたおいた密度検査領域を撮像データに適合させる場合のイメージを示す図である。
【図9】3次元撮像データにおける3次元の密度検査領域の設定・配置の例を示す図である。
【図10】密度検査領域の形状についての他の例を示す図である。
【図11】密度変化量の2次元分布図の例を示す図である。
【図12】第2の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示す図である。
【図13】撮像データを撮像データ読み込み機能により読み込む処理過程で表示される画面の例を示す図である。
【図14】位置合わせ機能により位置合わせ処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図15】密度検査領域設定機能により密度検査領域を設定する処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図16】図15の状態における密度検査領域のサイズを拡大修正した場合の画面の例を示す図である。
【図17】位置合わせ時に密度検査領域の一次変換を選択した場合の処理の様子を示す図である。
【図18】密度算出機能により密度の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図19】密度差算出機能により密度差の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図20】第1の実施形態による密度分析システムの構成を示す図である。
【図21】第2の実施形態による密度分析システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 被検体
2 X線CT装置
3 密度検査領域
101 撮像データ
102 撮像データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置で得られる撮像データを用いて被検体の密度を分析する密度分析方法、密度分析方法を実装したコンピュータプログラムおよび密度分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置では、加速器やX線管などのX線源から照射されるX線が被検体を透過する際に吸収・減衰される量を検出することで得られる撮像データに画像再構成処理を施すことにより被検体の2次元断面画像や3次元画像を生成する。被検体を透過する際のX線の吸収・減衰はそのX線が透過した部分における被検体の密度に相関する。すなわちX線CT装置による被検体の画像を矩形の小領域などとして構成する画素におけるCT値は、各画素に対応する被検体の部位の密度に相関した値を持つ。このことからX線CT装置による撮像データを用いて被検体を密度に関して分析することが行われている。例えばX線CT装置で撮像した断層像から電池内の活性物質の密度分布を求めることにより電池特性を評価し、製作時や使用時における電池の品質をチェックする技術がその例である(特許文献1)。この他に例えば特許文献2〜特許文献4などにもX線CT装置による撮像データから被検体の密度分析を行う技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3125120号公報
【特許文献2】特開平7−134088号公報
【特許文献3】特開平8−327525号公報
【特許文献4】特開平10−227734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線CT装置による密度分析の有用性はますます高まる方向にあり、それに伴って、より微小な密度差まで分析する高精度な密度分析に対する要求が高まってきている。例えば、電池内の活性物質の密度分布による電池特性の評価では、放電または充電後における活性物質の密度分布の差を分析することが有用であるが、このような場合には、より高精度な密度分析が求められる。
【0005】
しかし、X線CT装置には分解能がある。現在のX線CT装置における分解能は、被検体を構成する物質の密度の2%程度であるのが一般的であるが、その分解能の近辺ではノイズの影響が大きくなる。そのため分解能の近辺では有意な密度分析が行えなくなり、高精度な密度分析の要求に応えることができていないのが実情である。
【0006】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析を可能とする密度分析方法の提供を第1の目的とし、またそのような密度分析方法を実装したコンピュータプログラムの提供を第2の目的とし、さらにそのような密度分析方法を実行するための密度分析システムの提供を第3の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的のために本発明では、X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、前記撮像データに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、前記密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求め、求めた平均値を前記密度分析対象部位の密度値として密度分析を行うようにしたことを特徴としている。
【0008】
また上記第1の目的のために本発明では、X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、前記X線CT装置により同一の被検体について少なくとも2つ以上の撮像データをそれぞれ異なる時刻に取得するか、または形状、材質が同一の複数の被検体のそれぞれについて撮像データを取得する処理過程、前記撮像データ取得過程で得られた複数の撮像データについて位置合わせを行う処理過程、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定する処理過程、前記処理過程で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求める処理過程、および前記処理過程で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求める処理過程を含むことを特徴としている。
【0009】
上記第2の目的のために本発明では、上記のような密度分析方法を実装したコンピュータプログラムについて、前記X線CT装置により取得された撮像データを読み込む撮像データ読み込み機能、前記撮像データ読み込み機能で読み込まれた複数の撮像データについて位置合わせを行うための位置合わせ機能、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定するための密度検査領域設定機能、前記密度検査領域設定機能で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求めるための密度算出機能、および前記密度算出機能で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求めるための密度差算出機能を含むものとしている。
【0010】
上記第3の目的のために本発明では、X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度に関して分析する密度分析方法に用いられる密度分析システムにおいて、上記のような密度分析方法を実行するための密度分析装置を備えていることを特徴としている。
【0011】
また本発明では、上記のような密度分析システムについて、前記密度分析装置は、上記のようなコンピュータプログラムを記憶するプログラム記憶装置と、前記プログラム記憶装置から読み出した前記コンピュータプログラムを実行する演算装置とで構成するものとしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、密度分析対象部位を中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、この密度検査領域について、そこに含まれる複数の画素の各密度値の平均値を求め、これを密度分析対象部位における代表密度値とするようにしている。このようにすることにより、画素ごとにランダムに生じるノイズの影響をキャンセルして大幅に低減することができる。この結果、密度分析の精度を大幅に高めることができ、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施する上で好ましい形態について説明する。図1に第1の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示し、図2にその処理におけるX線CT装置による被検体の撮像の様子を模式化して示す。本実施形態は、同一の被検体における密度の時間的な変化、例えば被検体に対して何らかの処理を施した場合における処理前後の密度差を分析する場合の例である。そのような例としては、例えば放充電を繰り返す電池における放電または充電の前後での密度差分析がある。
【0014】
被検体1を撮像するX線CT装置2は、加速器やX線管などで構成されX線2xを照射するX線源2a、X線源2aからのX線2xを検出するX線検出器2b、および被検体1を載せて回転させるターンテーブル2cを備えている。そしてターンテーブル2cを回転させながら被検体1にX線2xを照射しつつ、被検体1を透過したり被検体1の周囲を通過したりしたX線2xをX線検出器2bで検出して撮像データを取得する。
【0015】
このようなX線CT装置2により時刻T1において被検体1を撮像し、被検体1の撮像データ101を取得する(処理1001)。撮像データ101は、何らかの処理が施される前の被検体1の撮像データである。それから被検体1に所定の処理を施す(処理1002)。この処理は、被検体1が放充電を繰り返す電池の場合であれば、放電や充電である。処理後の時刻T2で新たに被検体1をX線CT装置2により撮像して撮像データ102を取得する(処理1003)。撮像データ101、102は、被検体1を異なる時刻T1、T2で別個に撮像して得られたものである。このため撮像データ101、102それぞれを再構成して生成される画像中における被検体1の位置は、図2に示すように、ずれを生じているのが通常である。そこで撮像データ101、102について位置合わせ、より具体的には撮像データ101、102における被検体1の位置を合わせる位置合わせを行う(処理1004)。
【0016】
撮像データの位置合わせは、被検体1の幾何学的形状に基づいて行うことができるし、また被検体の重心や慣性モーメント主軸に基づいて行うことができ、さらに撮像データ101、102の形状誤差を最小化する方法などで行うこともできる。以下では被検体1の幾何学的形状に基づく位置合せについて説明する。幾何学的形状に基づく位置合わせの例のイメージを図3に示す。幾何学的形状に基づいて撮像データ101と102の位置合わせを行うには、被検体1における基準となる点(基準原点)と、被検体1が有する特徴的な幾何学的形状の画像座標系4に対する傾き角度(回転角度)を求める必要がある。これらを求める一つの方法では、被検体1が交叉する直線を伴う輪郭を有するものである場合であれば、それを特徴的な幾何学的形状として、撮像データ101と撮像データ102の対応位置に、交叉する2本の直線8、8と直線8´、8´のそれぞれを定義する。撮像データ101に交叉する2本の直線8、8を定義するには、撮像データ101において、被検体1を表すデータ部と被検体1の周囲の空気を表すデータ部との境界近傍を画像上で複数点計測し、それで求まる複数の点に最善に適合する直線を計算から求める方法を用いることができる。直線8、8が定義できたらその交点を求め、それを基準原点5とする。また直線8の方向ベクトルから被検体1が画像座標系4に対してなす角度として回転角度を求める。撮像データ102についても同様に、直線8´、8´を定義してその交点を基準原点5´とし、直線8´の方向ベクトルから被検体1の回転角度を求める。
【0017】
基準原点を求める他の方法としては、図3に併せて示す例のように、撮像データ101と撮像データ102の対応位置に円7、7´を定義し、その中心点を6、6´を基準原点とする方法が可能である。以上のようにして基準原点と回転角度が求まったら、撮像データ101と撮像データ102に対してアフィン変換(一次変換)を施して位置合わせをする。図4にアフィン変換後の撮像データ101´と撮像データ102´の例を示す。
【0018】
ここで、被検体が位置合わせの指標となる幾何学的形状を有しない場合もある。そのような被検体の場合には、位置合わせの指標とし易い直線や平面あるいは円筒面などの幾何学的形状を有する位置合せ用指標体を被検体に取り付けて撮像を行うようにする。図5にその例を示す。図5の例では被検体1の輪郭が円弧形状の部分とぎざぎざな形状部分からなり、これらを回転角度の指標とすることが困難である。そこで、断面形状が四角形である位置合せ用指標体9を取り付け、これを被検体1と一緒に撮像する。このような被検体1については、その円弧形状輪郭部分を利用して基準原点を求める。すなわち、被検体1の円弧形状の輪郭部分に沿って複数の点を計測し、その複数の点に最善に適合する円弧10、10´の中心点として基準原点5、5´を求める。一方、被検体1の回転角度は位置合せ用指標体9から求める。すなわち、位置合せ用指標体9について図3に関して説明したのと同様にして直線8、8´を求め、この直線8、8´により被検体1の回転角度を求める。
【0019】
X線CT装置2は、被検体1の2次元断面画像をそれに垂直な方向に積み重ねることで被検体1の3次元形状画像を得ることもできる。またX線CT装置2が図2の例のような扇状のX線2x(ファンビーム)に代えて円錐状のX線(コーンビーム)を照射する場合には、直接に被検体1の3次元形状画像を得ることができる。被検体1について3次元形状の撮像データを得る場合には、その3次元形状撮像データについて位置合わせを行う。図6にそのような例を示す。図6の例のような3次元形状の被検体1については、まず撮像データ101における被検体1の上端面上の点を画像上で複数計測し、それらの点に最善に適合する平面12を求める。それから、被検体1の内側面あるいは外側面上の点を画像上で複数計測し、それらの点に最善に適合する円筒面11を求める。そして円筒面11の中心軸11aと平面12の交点11pとして基準原点を求める。また撮像データ101の1つの軸を円筒面11の中心軸11aとし、残りの2つの軸は、被検体1に取り付けた位置合せ用指標体9を利用して決定し、これら3つの軸から回転角度を求める。撮像データ102についても同様にして平面12´と円筒面11´を求め、それから円筒面11´の中心軸11a´と平面12´の交点11p´として基準原点を求め、また円筒面11´の中心軸11a´として求めた1つの軸と被検体1に取り付けた位置合せ用指標体9を利用して求めた残りの2つの軸から回転角度を求める。
【0020】
以上のようにして被検体1の位置合わせを終えたら、その撮像データ101´、102´のそれぞれについて密度検査領域を設定・配列する(処理1005)。密度検査領域とは、被検体1を構成する物質の密度に対応するCT値を撮像データから取得するについてCT値をサンプリングする広がりの範囲を規定する領域である。この密度検査領域の設定は、撮像データに設定される複数のCT値取得対象部位(密度分析対象部位)のそれぞれについて、その密度分析対象部位を中心にして適切な数の画素を密度分析対象部位ごとに設定することでなされる。適切な画素数つまり密度検査領域のサイズは、撮像データにおけるノイズの大きさに相関し、そのノイズの大きさは、被検体を構成物質の種類(被検体の材質)や大きさ、さらにはX線のエネルギー条件により異なる。したがって密度検査領域のサイズは、密度分析時における上記のようなパラメータを考慮して決定することになる。一の例では、撮像データが2次元の場合、密度分析対象部位のサイズを2×2の4画素ないし3×3の9画素(画素のサイズは例えば200μ程度)とし、これを中心にして周囲に隣接する状態で数百〜数千画素を密度検査領域として設定する。このような密度検査領域は、密度分析対象部位の設定間隔によっては互いに重なり合う状態になることもある。
【0021】
図4の一次変換後の撮像データ101´、102´に密度検査領域を設定・配列した例を図7に示す。図の例では複数の密度分析対象部位それぞれの密度検査領域3を同じ大きさにしてある。このように各密度検査領域3を同じ大きさに設定してあれば、撮像データ101´、102´それぞれの同一座標位置に密度検査領域3が配列されることになり、密度検査領域3内の各画素におけるCT値を平均化した値の撮像データ101´、102´間での差から撮像データ101と撮像データ102の間での密度変化量を2次元断面画像または3次元形状画像上での分布として求めることができる。
【0022】
ここで、以上の例では被検体について位置合わせを行った後に密度検査領域3を設定・配列するようにしていたが、密度検査領域3の設定・配列を予め決めておき、その設定・配列を一次変換により撮像データ101と撮像データ102のそれぞれに適合性させる方法とすることも可能である。図8に、予め設定・配列を決めておいた密度検査領域3を撮像データ101と撮像データ102のそれぞれに適合させる場合のイメージを示す。CT値は、デジタルデータとして表現されているため、画像を一次変換する場合には、有限桁数で表現されていることによる打切り誤差を生じ、撮像データ101と撮像データ101´あるいは撮像データ102と撮像データ102´の間で若干の誤差を含む。この誤差は微小な密度変化に対して影響を与える可能性がある。こうしたことを考慮すると、予め決めてある設定・配列の密度検査領域を撮像データに適合させる手法は、密度分析の高精度化に対し、より有効であるといえる。
【0023】
撮像データが3次元の場合には、密度検査領域も3次元となる。図9に3次元撮像データにおける3次元の密度検査領域3の設定・配置の例を示す。このように3次元撮像データに3次元の密度検査領域3を設定・配置することで、密度変化の3次元分布(空間分布)を得ることができる。
【0024】
図10には密度検査領域の形状についての他の例を示す。(a)は円弧形状にした密度検査領域3aの例であり、(b)は部分扇形状にした密度検査領域3bの例であり、(c)は球形にした密度検査領域3cの例である。このように密度検査領域は、任意の形状で設定することが可能である。
【0025】
密度検査領域の設定を終えたら各密度検査領域3について平均密度を算出する(処理1006)。平均密度は以下の式により計算する。
【0026】
【数1】
ここで、ρiバーは撮像データ101´または撮像データ102´に設定した個々の密度検査領域における平均密度、i(=1,2…,M)は撮像データ101´、102´それぞれに設定した密度検査領域の数、ρijは各密度検査領域に含まれる個々の画素におけるCT値を密度に変換した値、j(=1,2…,N)は各密度検査領域に含まれる画素の数である。
【0027】
CT値から密度値への変換は以下の式による。
【0028】
【数2】
ここで、ρは密度、xはCT値であり、aとbは以下の式により求められる。
【0029】
【数3】
【0030】
【数4】
(3)式と(4)式において〈〉で囲まれた値は平均値を表す。なお必要に応じて分散あるいは標準偏差を計算することもできる。分散と標準偏差は下記の(5)、(6)式で計算する。
【0031】
【数5】
【0032】
【数6】
【0033】
平均密度の算出を終えたら、撮像データ101´と撮像データ102´それぞれの対応する密度検査領域間で密度差を求める(処理1007)。密度差は以下の式により計算する。
【0034】
【数7】
ここで、(ρiバー)Aは撮像データ101´に設定した密度検査領域の内のi番目の密度検査領域における平均密度、(ρiバー)Bは撮像データ102´に設定した密度検査領域の内のi番目の密度検査領域における平均密度、Δρiバーはこれらの密度差である。
【0035】
以上の処理を撮像データ101´、102´のそれぞれに設定した複数の密度検査領域の全てについて行うことで、被検体1に対する局所的な密度の時間変化量(処理前後の変化量)を求めることができる。得られた密度の変化量を各密度検査領域の中心座標における密度値(代表密度値)として、その密度値を等高線で結ぶことにより、密度変化量の2次元あるいは3次元分布図を作成することができる。密度変化量の2次元分布図の例を図11に示す。また、各密度検査領域における密度変化量を複数の密度検査領域全体にわたって積分することにより、被検体の重量の時間的変化量を算出することもできる。
【0036】
以上の例では、位置合わせした後の撮像データ101´、102´に設定した密度検査領域3について平均密度を求め、それについて差分を求めるようにしていたが、これに代えて、位置合わせした後の撮像データ101´、102´それぞれの対応する画素ごとに密度差を求め、その密度差について密度検査領域3ごとに平均値を求めるようにすることも可能である。また以上の例は、撮像データが2つの場合であったが、これに限られず、撮像データを3つ以上取得する場合にも同様な処理が可能である。
【0037】
以上のように本発明では、密度分析対象部位を中心にして適切な数の画素を含む密度検査領域を設定し、この密度検査領域について、そこに含まれる各画素のCT値から求まる各密度値から平均値を求め、これを密度分析対象部位における代表密度値とするようにしている。このようにすることにより、画素ごとにランダムに生じるノイズの影響をキャンセルして大幅に低減することができる。この結果、密度分析の精度を大幅に高めることができ、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析が可能となる。
【0038】
こうした本発明による密度分析方法は、以上の実施形態で説明したような同一の被検体における処理前後での密度変化の分析のように分析対象の密度差が微小である場合に特に有効であるが、一般的な密度分析についてもその分析の高精度性は有用である。
【0039】
図12に第2の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示す。本実施形態は、量産される製品を被検体として、各製品における密度分布の差異を分析することで製品のばらつきを評価する場合などに適用することを前提にした密度分析に関するものである。処理2001で、図2における構成においてX線CT装置2により被検体1の撮像データ201を取得する。続く処理2002では被検体1と同一形状の被検体1a(被検体1と同一の製品)について撮像データ202を取得する。以下の処理2003〜2006は図1における処理1004〜1007に対応しており、それぞれにおける処理は図1に関して説明したのと同様である。
【0040】
以下では本発明による密度分析方法を実装したコンピュータプログラムの実施形態について説明する。一実施形態によるコンピュータプログラムを実行させた場合にコンピュータの表示装置に表示される画面の例を図13〜図19に示す。本実施形態は、上記第1の実施形態による密度分析方法を実装したコンピュータプログラムの場合である。コンピュータプログラムは、撮像データ読み込み機能を含むとともに、図1に関して上で説明した各処理についての機能、すなわち位置合わせのための機能(位置合わせ機能)、密度検査領域を設定するための機能(密度検査領域設定機能)、密度検査領域ごとに平均密度を求める機能(密度算出機能)、および複数の撮像データ間で密度差を求める機能(密度差算出機能)を含んでいる。以下ではこれらの各機能について説明する。
【0041】
図13は、図1における処理1001と処理1003で得られた撮像データを撮像データ読み込み機能により読み込む処理過程で表示される画面14の例であり、X線CT装置2による撮像で得られた撮像データ101と撮像データ102をコンピュータに読み込んでそれぞれの画像を表示している状態を示している。
【0042】
図14は、位置合わせ機能を呼び出して図1における処理1004を行っている状態での画面の例を示している。すなわち位置合わせのための設定、および位置合わせ後に撮像データを一次変換した場合の画面の遷移を示している。位置合わせ機能には、被検体または被検体に取り付けた位置合せ用指標体が有する特徴的な幾何学的形状を計測する手段およびそれに基づいた位置合わせ処理を行う手段が含まれている。図の例ではそれらの手段をツール15としてまとめて画面に表示している。また図の例では、直線、円、円弧、平面、円筒面などの幾何学的形状を計測可能としている。この他に、円錐や球なども計測できるようにするようにする場合もある。位置合わせ機能による処理の内容は上で説明したのと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0043】
図15は、密度検査領域設定機能(密度検査領域配置機能)により撮像データ101´と撮像データ102´に密度検査領域を設定する処理を行っている状態での画面の遷移を示す。密度検査領域設定機能は、密度検査領域の形状を決定する手段、密度検査領域のサイズを決定する手段、および密度検査領域の配列を決定する手段を含んでおり、それらはツール16としてまとめて画面に表示される。図の例では、密度検査領域の形状として、直線、円弧、任意の曲線、矩形、円、多角形、直方体、球などを指定可能としてある。密度検査領域設定機能における密度検査領域配列決定手段には、画面17を参照しながら配列を決定する方式や数式により配列を決定する方式を適用することができる。また密度検査領域配列決定手段には、画面17上で配列した密度検査領域を撮像データ101´、102´に反映させて配列状態を確認するためのプレビュー機能を含ませてある。密度検査領域設定機能における密度検査領域サイズ決定手段には、画面17上でマウスなどの入力手段により密度検査領域のサイズを決定する方式や密度検査領域のサイズを数値で入力する方式を適用することができる。一旦決定した密度検査領域サイズを変更することもできる。図16に示すのは、図15の状態における密度検査領域のサイズを拡大修正した場合の画面の例である。
【0044】
位置合わせ時に密度検査領域の一次変換を選択することもでき、それを選択した場合にも同様の機能を利用できる。ツール16における画面17に密度検査領域のサイズや配列を指定すると、撮像データ101、102上に、位置合わせ時に取得した結果に応じた一次変換を密度検査領域に対して施した状態が表示される。この処理の様子を図17に示す。
【0045】
図18は、密度算出機能(密度計測機能)により密度の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示している。密度算出機能は、密度算出対象の撮像データを選択する手段、密度の算出を実行する手段、および算出結果を表示する手段を含んでおり、それらはツール18としてまとめて画面に表示される。
【0046】
図19は、密度差算出機能(密度差計算機能)により密度差の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示している。密度差算出機能は、密度差算出対象の撮像データを選択する手段、密度差の算出を実行する手段、および算出結果を表示する手段を含んでおり、それらはツール19としてまとめて画面に表示される。図の例では、密度差算出結果として密度差分布図20も表示するようにしてある。
【0047】
ここで、以上の実施形態では、撮像データ101と撮像データ102に対して同等に行う処理を両撮像データについて同時的に施すようにしているが、各撮像データに順次的に施すような形態とすることもできる。
【0048】
以上のようなコンピュータプログラムを用いることにより、本発明による密度分析方法をより簡易にかつ効率的に進めることが可能となる。
【0049】
次に、本発明による密度分析方法を実施する上で好ましい密度分析システムの形態例について説明する。図20に第1の実施形態による密度分析システムの構成を示す。本実施形態における密度分析システムは、被検体を撮像するX線CT装置2、X線CT装置2で撮像された画像(撮像データ)を受信する画像受信装置(撮像データ受信装置)21、受信した画像を記憶しておく画像記憶装置(撮像データ記憶装置)22、画像記憶装置22に記憶されている画像を呼び出して密度分析を実行する密度分析装置23、密度分析装置23による分析結果を記憶しておく密度分析結果記憶装置24、画像や密度分析過程を表示する表示装置25を備えて構成される。
【0050】
図21に示すのは、第2の実施形態による密度分析システムの構成である。本実施形態における密度分析システムは、第1の実施形態におけるそれと基本的には同様である。相違しているのは、密度分析装置23に相当する要素として、密度分析プログラム記憶装置26と演算装置(コンピュータ)27からなる装置を備えていることである。すなわち本実施形態の密度分析システムでは、密度分析プログラム記憶装置26と演算装置27が「密度分析装置」を構成し、密度分析プログラム記憶装置26に記憶させてある密度分析プログラムを演算装置27で実行させることで密度分析を行うことになる。その密度分析プログラムには、上で説明したコンピュータプログラムが用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、X線CT装置による撮像データを用いる密度分析について、分析精度を大幅に高め、X線CT装置における分解能の近辺でも有意な密度分析が可能とするものであり、さまざまな分野で求められる密度分析に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示す図である。
【図2】X線CT装置による被検体の撮像の様子を模式化して示す図である。
【図3】幾何学的形状に基づく位置合わせの例のイメージを示す図である。
【図4】一次変換後の撮像データの例を示す図である。
【図5】位置合せ用指標体を被検体に取り付けて撮像した撮像データの例を示す図である。
【図6】3次元形状撮像データについて位置合わせの例のイメージを示す図である。
【図7】図4の一次変換後の撮像データに密度検査領域を設定・配列した例を示す図である。
【図8】予め設定・配列を決めたおいた密度検査領域を撮像データに適合させる場合のイメージを示す図である。
【図9】3次元撮像データにおける3次元の密度検査領域の設定・配置の例を示す図である。
【図10】密度検査領域の形状についての他の例を示す図である。
【図11】密度変化量の2次元分布図の例を示す図である。
【図12】第2の実施形態による密度分析方法における処理の流れを示す図である。
【図13】撮像データを撮像データ読み込み機能により読み込む処理過程で表示される画面の例を示す図である。
【図14】位置合わせ機能により位置合わせ処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図15】密度検査領域設定機能により密度検査領域を設定する処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図16】図15の状態における密度検査領域のサイズを拡大修正した場合の画面の例を示す図である。
【図17】位置合わせ時に密度検査領域の一次変換を選択した場合の処理の様子を示す図である。
【図18】密度算出機能により密度の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図19】密度差算出機能により密度差の算出処理を行っている状態での画面の遷移を示す図である。
【図20】第1の実施形態による密度分析システムの構成を示す図である。
【図21】第2の実施形態による密度分析システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 被検体
2 X線CT装置
3 密度検査領域
101 撮像データ
102 撮像データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、
前記撮像データに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、前記密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求め、求めた平均値を前記密度分析対象部位の密度値として密度分析を行うようにしたことを特徴とする密度分析方法。
【請求項2】
X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、
前記X線CT装置により同一の被検体について少なくとも2つ以上の撮像データをそれぞれ異なる時刻に取得するか、または形状、材質が同一の複数の被検体のそれぞれについて撮像データを取得する処理過程、前記撮像データ取得過程で得られた複数の撮像データについて位置合わせを行う処理過程、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定する処理過程、前記処理過程で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求める処理過程、および前記処理過程で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求める処理過程を含むことを特徴とする密度分析方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の密度分析方法を実装したコンピュータプログラムであって、
前記X線CT装置により取得された撮像データを読み込む撮像データ読み込み機能、前記撮像データ読み込み機能で読み込まれた複数の撮像データについて位置合わせを行うための位置合わせ機能、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定するための密度検査領域設定機能、前記密度検査領域設定機能で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求めるための密度算出機能、および前記密度算出機能で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求めるための密度差算出機能を含んでいることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項4】
X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度に関して分析する密度分析方法に用いられる密度分析システムにおいて、
請求項1または請求項2に記載の密度分析方法を実行するための密度分析装置を備えていることを特徴とする密度分析システム。
【請求項5】
前記密度分析装置は、請求項3に記載のコンピュータプログラムを記憶するプログラム記憶装置と、前記プログラム記憶装置から読み出した前記コンピュータプログラムを実行する演算装置とで構成される請求項4に記載の密度分析システム。
【請求項1】
X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、
前記撮像データに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定し、前記密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求め、求めた平均値を前記密度分析対象部位の密度値として密度分析を行うようにしたことを特徴とする密度分析方法。
【請求項2】
X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度を分析する密度分析方法において、
前記X線CT装置により同一の被検体について少なくとも2つ以上の撮像データをそれぞれ異なる時刻に取得するか、または形状、材質が同一の複数の被検体のそれぞれについて撮像データを取得する処理過程、前記撮像データ取得過程で得られた複数の撮像データについて位置合わせを行う処理過程、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定する処理過程、前記処理過程で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求める処理過程、および前記処理過程で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求める処理過程を含むことを特徴とする密度分析方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の密度分析方法を実装したコンピュータプログラムであって、
前記X線CT装置により取得された撮像データを読み込む撮像データ読み込み機能、前記撮像データ読み込み機能で読み込まれた複数の撮像データについて位置合わせを行うための位置合わせ機能、前記複数の撮像データのそれぞれに設定される複数の密度分析対象部位について、前記密度分析対象部位ごとにそれを中心にして複数の画素からなる密度検査領域を設定するための密度検査領域設定機能、前記密度検査領域設定機能で設定された密度検査領域における複数の画素の各密度値の平均値を求めるための密度算出機能、および前記密度算出機能で求められた密度値の平均値を前記密度分析対象部位の密度値とし、前記複数の撮像データ間での対応密度分析対象部位間について密度差を求めるための密度差算出機能を含んでいることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項4】
X線CT装置で被検体を撮像して得られる撮像データに基づいて前記被検体の密度に関して分析する密度分析方法に用いられる密度分析システムにおいて、
請求項1または請求項2に記載の密度分析方法を実行するための密度分析装置を備えていることを特徴とする密度分析システム。
【請求項5】
前記密度分析装置は、請求項3に記載のコンピュータプログラムを記憶するプログラム記憶装置と、前記プログラム記憶装置から読み出した前記コンピュータプログラムを実行する演算装置とで構成される請求項4に記載の密度分析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−90939(P2006−90939A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279166(P2004−279166)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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