説明

密閉型圧縮機

【課題】密閉型圧縮機の吸入マフラーの電動要素の高熱による吸入冷媒ガスの受熱損失を低減することで、冷凍性能を向上し、さらに、シリンダヘッドを樹脂で構成し、吸入マフラーと一体化する構成とすることで、組み立て性も向上した吸入マフラーを備えた密閉型圧縮機を提供する。
【解決手段】シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242を樹脂で形成し、電動要素210と近接する側の樹脂成型品250を、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242よりも熱伝導率の低い材質で構成し、電動要素210の高熱による吸入冷媒ガスの受熱損失を低減できるので、冷凍性能と生産性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型圧縮機等に関するもので、特に、吸入マフラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の吸入マフラーにおいて、対となる樹脂成型品を接合した構成が知られている。その構成は、吸入マフラーの連通管でシリンダヘッドと連結され、吸入マフラーの背面がモータと近接するよう配置したものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の吸入マフラーについて説明する。
【0004】
図5は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図6は、同密閉型圧縮機における吸入マフラーの正面図、図7は、吸入マフラーとシリンダヘッドの連結図である。
【0005】
図5において、密閉容器102の内底部には、潤滑油104が貯留されている。また、密閉容器102の内部には、圧縮機本体106がサスペンションスプリング108を介して懸架配置されている。さらに、密閉容器内には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
【0006】
圧縮機本体106は、電動要素110と、これによって駆動される圧縮要素112と、を主体に構成され、密閉容器102には電動要素110に電源を供給するための電源端子113が取り付けられている。
【0007】
電動要素110は、薄板を積層した鉄心に銅巻線を巻回することにより形成される固定子114と、固定子114の内径側に配置される回転子116と、を備え、固定子114の巻線が、導線(図示せず)を介し、電源端子113を経由して圧縮機外の電源(図示せず)に接続されている。
【0008】
圧縮要素112は、電動要素110の上方に配設され、圧縮要素112を構成するシャフト118は、主軸部120と、主軸部120と平行に偏心軸部122と、を備えている。
【0009】
また、主軸部120には、回転子116が固定されている。
【0010】
シリンダブロック124は、円筒形の内面を有する主軸受126を備え、主軸受126に、主軸部120が回転自在な状態で挿入されている。
【0011】
圧縮要素112は、偏心軸部122に作用した荷重を、偏心軸部122の下側に配置された主軸部120と主軸受126で支持する片持ち軸受の構成になっている。
【0012】
また、シャフト118は、主軸部120の表面に設けた螺旋状の溝等からなる給油機構128を備えている。
【0013】
さらに、シリンダブロック124は、円筒状の穴部であるシリンダ132を備えており、ピストン130がシリンダ132に往復自在に挿入されている。
【0014】
連結手段134は、両端に設けた穴部が、それぞれピストン130に取付けられたピス
トンピン136と偏心軸部122に嵌挿されることで、偏心軸部122とピストン130を連結している。
【0015】
シリンダ132端面には、バルブプレート138が取り付けられ、シリンダ132およびピストン130とともに圧縮室140を形成している。
【0016】
さらに、バルブプレート138を覆って蓋をするようにシリンダヘッド142が設けられており、図7に示すように、吸入マフラー144が連通管146で連結されている。この連結部には、板ばね148が設けられている。
【0017】
吸入マフラー144は、図7に示すように、対となる樹脂成型品A150と樹脂成型品B152とで外壁を構成され、樹脂成型品B152は、冷媒ガスを吸い込む吸入口154と、吸入されたガスを往復圧縮機等のシリンダ132に繋ぐ連通管146と、連通管146と接続し管の長さを延長するために別体で形成された尾管156と、を備えることで構成され、電動要素110と近接した位置に設けられる。
【0018】
以上のように構成された密閉型圧縮機において、電源端子113より電動要素110に通電されると、固定子114に発生する磁界により、回転子116がシャフト118とともに回転する。
【0019】
主軸部120の回転に伴う偏心軸部122の偏心回転(旋回運動)は、連結手段134によって往復運動に変換され、ピストン130をシリンダ132内で往復運動させる。そして、圧縮室140が容積変化することで、密閉容器102内の冷媒を圧縮室140内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
【0020】
この圧縮動作に伴う吸入行程において、外部冷凍サイクル(図示せず)より戻ってきた低温低圧の冷媒ガスが、吸入口154から吸入マフラー144内に一旦開放され、連通管146からバルブプレート138を通過し、圧縮室140へ導かれる。
【0021】
次にピストン130が上死点側へ移動するにともない、冷媒ガスは圧縮され高温高圧となりシリンダヘッド142へ開放され、吐出管(図示せず)を通り、外部冷凍サイクル(図示せず)へ導かれて冷凍作用をなす。
【0022】
このように、吸入マフラー144は、冷媒の通り道となり、消音器としての役目も果たす。
【0023】
また、金属よりも熱伝導率の低い樹脂で構成することで、外部冷凍サイクルより戻ってきた低温の冷媒ガスの受熱を減らし、冷凍性能を高めている。
【0024】
また、吸入マフラーを真空断熱材で構成し、受熱を軽減させた吸入マフラー(例えば、特許文献2参照)、さらには、シリンダヘッドと吸入マフラーを鋳造で一体とし、組み立て性を向上させたもの(例えば、特許文献3参照)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2006−250067号公報
【特許文献2】特開2004−225645号公報
【特許文献3】特開平4−262078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかしながら、前記従来の構成では、100℃程度まで発熱する電動要素110と近接する構造であり、金属よりも熱伝導率の低い樹脂で構成された吸入マフラー144であっても、吸入マフラー144の外壁をなす樹脂成型品B152が熱をもち受熱損失が大きいという課題を有していた。
【0027】
また、吸入マフラー144を熱伝導率のきわめて低い真空断熱材で構成した場合では、材料の価格が高い、また、外被材と芯材が必要で部品数が増加する、また、真空断熱材の構造上成型が難しく、事実上不可能という課題を有していた。
【0028】
さらに、シリンダヘッド142と吸入マフラー144を一体化した鋳造品では、生産性は向上するものの、鋳造品であるため受熱損失が非常に大きく、冷凍性能が低下するという課題を有していた。
【0029】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電動要素と近接する側の樹脂成型品を、もう一方の樹脂成型品よりも熱伝導率の低い材質で構成し、効果的に受熱損失を防止し、低コスト化を実現できる。さらに、シリンダヘッドを樹脂で構成し、吸入マフラーと一体化することで、受熱損失を低減したまま部品数の削減ができ、高効率で高生産性、かつ信頼性の高い圧縮機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
前記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、樹脂成型品で構成される吸入マフラーにおいて、電動要素と近接する側の樹脂成型品を、もう一方の樹脂成型品よりも熱伝導率の低い材質で構成し、さらに、シリンダヘッドを樹脂で構成し、前記吸入マフラーと一体化する構成としたものである。
【0031】
これによって、価格の高い断熱性の高い材質で吸入マフラーを構成せずとも、効果的に断熱し、受熱損失を低減し、さらにシリンダヘッドと吸入マフラーを一体化することで、部品数も削減できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の密閉型圧縮機は、吸入マフラーにおいて、電動要素の高温による受熱損失を効果的に低減し、さらに、部品数も削減できる。したがって、冷凍性能が向上し、高効率で、高生産性、かつ信頼性の高い圧縮機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図
【図2】同実施の形態における吸入マフラーとシリンダヘッドの一体化構造の正面図
【図3】同実施の形態における吸入マフラーとシリンダヘッドの一体化構造の背面図
【図4】同実施の形態における吸入マフラーとシリンダヘッドの一体化構造の分解図
【図5】従来の密閉型圧縮機の縦断面図
【図6】従来の密閉型圧縮機の吸入マフラーの正面図
【図7】従来の吸入マフラーとシリンダヘッドの連結図
【発明を実施するための形態】
【0034】
第1の発明は、潤滑油を貯溜した密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素とで構成される電動圧縮要素を収納し、前記圧縮要素は、圧縮室を形成するシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記シリンダブロックの開口端を封止するシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドと連通する吸入マフラーと、を有し、前記吸入マフラーは、前記電動要素と近接し、別体で構成される樹脂成型品
で外壁を形成され、前記シリンダヘッドに連通する連通管と、前記連通管と接続し管の長さを延長するための尾管と、前記密閉容器内の冷媒を吸入する吸入口と、を備えるとともに、前記吸入マフラーは、前記電動要素に近接する前記樹脂成型品は、前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品よりも低い熱伝導率としたものである。
【0035】
かかる構成とすることにより、高温となる電動要素からの受熱を低減することができ、冷凍性能を向上することができる。さらに、吸入マフラー全体を熱伝導率の低い樹脂で形成するよりも低コストであり、効果的に高効率化を実現できる。
【0036】
第2の発明は、第1の発明において、前記シリンダヘッドを樹脂で形成し、前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品と一体としたものである。
【0037】
かかる構成とすることにより、受熱損失を低減したまま部品数の削減ができ、密閉型圧縮機の組み立てもし易くなり、密閉型圧縮機の生産性を大幅に向上することができる。
【0038】
第3の発明は、第1の発明において、前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品は、前記連通管と前記尾管とを具備したものである。
【0039】
かかる構成とすることにより、電動要素に近接する樹脂成型品のみを熱伝導率の低い樹脂で形成でき、吸入マフラーの電動要素に近接する樹脂成型品以外の部分を価格の低い汎用樹脂で構成することができる。さらに、樹脂で形成したシリンダヘッドと、電動要素に近接しない側の樹脂成型品との一体化が容易になる。
【0040】
第4の発明は、第2の発明、または第3の発明において、樹脂で形成された前記シリンダヘッドと前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品の一体構造を、繊維強化樹脂、もしくは、カーボンナノチューブを含んだ樹脂で形成したものである。
【0041】
かかる構成とすることにより、シリンダヘッドの強度が増し、シリンダブロックで圧縮された冷媒ガスの応力による破損を防ぐことができ、信頼性の向上ができる。
【0042】
第5の発明は、第1の発明において、前記電動要素に近接する前記樹脂成型品を、発泡樹脂、もしくは、断熱材で形成したものである。
【0043】
かかる構成とすることにより、電動要素に近接する側の樹脂成型品による受熱損失低減効果を向上でき、冷凍性能の向上ができる。
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図である。図2は、同実施の形態における吸入マフラーとシリンダヘッドの一体化構造の正面図である。図3は、同実施の形態における吸入マフラーとシリンダヘッドの一体化構造の背面図である。図4は、同実施の形態における吸入マフラーとシリンダヘッドの一体化構造の分解図である。
【0046】
図1において、密閉容器202の内底部には、潤滑油204が貯留されている。また、密閉容器202の内部には、圧縮機本体206がサスペンションスプリング208を介して懸架配置されている。さらに、密閉容器内には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
【0047】
圧縮機本体206(密閉型圧縮機)は、電動要素210と、これによって駆動される圧縮要素212と、を主体に構成され、密閉容器202には電動要素210に電源を供給するための電源端子213が取り付けられている。
【0048】
まず、電動要素210について説明する。
【0049】
電動要素210は、薄板を積層した鉄心に銅巻線を巻回することにより形成される固定子214と、固定子214の内径側に配置される回転子216と、を備え、固定子214の巻線が、導線(図示せず)を介し、電源端子213を経由して圧縮機外の電源(図示せず)に接続されている。
【0050】
次に、圧縮要素212について説明する。
【0051】
圧縮要素212は、電動要素210の上方に配設され、圧縮要素212を構成するシャフト218は、主軸部220と、主軸部220と平行に偏心軸部222と、を備えている。
【0052】
また、主軸部220には、回転子216が固定されている。
【0053】
シリンダブロック224は、円筒形の内面を有する主軸受226を備え、主軸受226に、主軸部220が回転自在な状態で挿入されている。
【0054】
圧縮要素212は、偏心軸部222に作用した荷重を、偏心軸部222の下側に配置された主軸部220と主軸受226で支持する片持ち軸受の構成になっている。
【0055】
また、シャフト218は、主軸部220の表面に設けた螺旋状の溝等からなる給油機構228を備えている。
【0056】
さらに、シリンダブロック224は、円筒状の穴部であるシリンダ232を備えており、ピストン230がシリンダ232に往復自在に挿入されている。
【0057】
連結手段234は、両端に設けた穴部が、それぞれピストン230に取付けられたピストンピン236と偏心軸部222に嵌挿されることで、偏心軸部222とピストン230を連結している。
【0058】
シリンダ232端面には、バルブプレート238が取り付けられ、シリンダ232およびピストン230とともに圧縮室240を形成している。さらに、バルブプレート238を覆って蓋をするようにシリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242が固定されている。
【0059】
次に、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242の構成について、図2、図3、図4を参照しながら説明する。
【0060】
図4に示すように、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242には、連通管244が備えられ、尾管246接続する。さらに、冷媒ガスを吸い込む吸入口248を備えた樹脂成型品250が取り付けられ、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242とともに、図4に示すように、消音室252を形成している。
【0061】
以上のように構成された密閉型圧縮機において、以下その動作、作用を説明する。
【0062】
電源端子213より電動要素210に通電されると、固定子214に発生する磁界により、回転子216がシャフト218とともに回転する。主軸部220の回転に伴う偏心軸部222の偏心回転(旋回運動)は、連結手段234によって往復運動に変換され、ピストン230をシリンダ232内で往復運動させる。そして、圧縮室240が容積変化することで、密閉容器202内の冷媒を圧縮室240内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
【0063】
この圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器202内の冷媒は、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242の吸入口248を介して圧縮室240内へ吸入される。
【0064】
そして、圧縮室240内で圧縮された高温高圧の冷媒は、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242のシリンダヘッド部254、吐出配管(図示せず)等を経由して密閉容器202から冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
【0065】
また、シャフト218の下端は、潤滑油204に浸漬しており、シャフト218が回転することによって、潤滑油204が給油機構228により圧縮要素212の各部に供給され、摺動部の潤滑を行う。
【0066】
次に、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242の動作、作用について説明する。
【0067】
図2、図3に示すように、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242は、連通管244が備えられ、尾管246が接続し、樹脂成型品250とともに消音室252を形成し、密閉外部冷凍サイクル(図示せず)より戻ってきた低温低圧の冷媒ガスが、吸入口248から吸入され消音室252に一旦開放され、連通管244からバルブプレート238を通過し、圧縮室240へ導かれる。
【0068】
次にピストン230が上死点側へ移動するにともない、冷媒ガスは圧縮され高温高圧となりシリンダヘッド部254へ開放され、吐出管(図示せず)を通り、外部冷凍サイクル(図示せず)へ導かれて冷凍作用をなす。
【0069】
この際、冷媒ガスは、冷凍サイクルの蒸発器出口から密閉容器202を介して、吸入口248から連通管244出口まで流れる間に加熱され、圧縮室240へ吸入される。
【0070】
加熱の要因としては、密閉容器202内の温度、高温に発熱する電動要素210、圧縮室240で圧縮された冷媒ガスがあるが、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242に近接する電動要素210の影響が大きい。従来、この過程で低温低圧の冷媒ガスが加熱され、冷媒循環量が減り、冷凍性能が低下していた。
【0071】
これに対し、本実施の形態では、電動要素210と近接する樹脂成型品250を、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242(すなわち、本発明では、電動要素210に近接しない側の樹脂成型品に相当する)よりも熱伝導率の低い樹脂で形成することにより、電動要素210から消音室252内の低温冷媒ガスへの加熱を防止し、受熱損失を低減することができ、冷凍性能を向上できる。すなわち、高温となる電動要素210からの受熱を低減することができ、冷凍性能を向上することができる。
【0072】
さらに、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242を熱伝導率の低い樹脂で形成するよりも低コストであり、効果的に冷凍性能を向上できる。
【0073】
加えて、本実施の形態では、従来、熱伝導率の高いアルミニウムや鋳物で形成されたシリンダヘッドを、それよりも熱伝導率の低い樹脂で形成するため、圧縮室240で圧縮さ
れシリンダヘッド部254へ開放された高温の高圧ガスによる、消音室252内の低温冷媒ガスへの加熱を防止し、受熱損失を低減することができ、冷凍性能を向上できる。
【0074】
さらに、従来、連通管と板ばねを用いて連結される、シリンダヘッドと吸入マフラーを一体で構成しているため、部品数の削減ができ、組み立て性も向上できる。
【0075】
また、シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造242を、繊維強化樹脂(例えばガラス繊維)、もしくは、カーボンナノチューブを含んだ樹脂で形成すれば、シリンダヘッド部254の強度が増し、圧縮室240で圧縮された高温高圧ガスによる破損を防ぎ、高信頼性を実現できる。
【0076】
そして、電動要素210と近接する樹脂成型品250を、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの発泡樹脂、もしくは、断熱材で形成すれば、熱伝導率をさらに低くすることができ、冷凍性能をさらに向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機の吸入マフラーは、電動要素の高温による受熱損失を効果的に低減し、密閉型圧縮機の冷凍性能と生産性を向上でき、家庭用の電気冷蔵庫、あるいはエアーコンディショナーに限らず、自動販売機等の業務用冷凍機器、さらには、産業用の冷凍装置等に広く適用できる。
【符号の説明】
【0078】
202 密閉容器
204 潤滑油
206 圧縮機本体
208 サスペンションスプリング
210 電動要素
212 圧縮要素
214 固定子
216 回転子
218 シャフト
220 主軸部
222 偏心軸部
224 シリンダブロック
226 主軸受
228 給油機構
230 ピストン
232 シリンダ
234 連結手段
236 ピストンピン
238 バルブプレート
240 圧縮室
242 シリンダヘッドと吸入マフラーの一体化構造
244 連通管
246 尾管
248 吸入口
250 樹脂成型品
252 消音室
254 シリンダヘッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油を貯溜した密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素とで構成される電動圧縮要素を収納する密閉型圧縮機であって、前記圧縮要素は、圧縮室を形成するシリンダブロックと、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記シリンダブロックの開口端を封止するシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドと連通する吸入マフラーと、を有し、前記吸入マフラーは、前記電動要素と近接し、別体で構成される樹脂成型品で外壁を形成され、前記シリンダヘッドに連通する連通管と、前記連通管と接続し管の長さを延長するための尾管と、前記密閉容器内の冷媒を吸入する吸入口と、を備えるとともに、前記吸入マフラーは、前記電動要素に近接する前記樹脂成型品は、前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品よりも低い熱伝導率とした密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記シリンダヘッドを樹脂で形成し、前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品と一体とした請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】
前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品は、前記連通管と前記尾管とを具備した請求項2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】
樹脂で形成された前記シリンダヘッドと前記電動要素に近接しない側の前記樹脂成型品の一体構造を、繊維強化樹脂、もしくは、カーボンナノチューブを含んだ樹脂で形成した請求項2または3に記載の密閉型圧縮機。
【請求項5】
前記電動要素に近接する前記樹脂成型品を、発泡樹脂、もしくは、断熱材で形成した請求項1に記載の密閉型圧縮機。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−68150(P2013−68150A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206912(P2011−206912)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】