説明

密閉装置を備えたニードル軸受組立体

外殻10の中に、ニードル02と、金属補強材15を備える二重リップシール11などの密閉手段と、座金05とを備えるニードル軸受組立体が開示される。座金05は、金属補強材15を有する二重リップシール11の平面の一つとニードルの表面09の間で使用される。座金05はニードルのための接触部分09として機能し、かつ外殻10によって誘導される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、流体の漏出を阻止又は防止するための密閉装置を備えたニードル軸受組立体(ニードルブッシュ軸受組立体、ニードルブッシュ軸受)に関するものである。より詳細には、本発明は、軸受組立体の外殻の内部に補強材を有する二重リップシールと座金を備えるニードル軸受組立体に関するものである。この外殻は特定の合金鋼の細片から作製されている。
【背景技術】
【0002】
以前より知られている完全補完型のニードル軸受(外殻とニードルで構成される)は、いずれの特定のシールも有しておらず、適用する時点で、ばねタイプの回転接触タイプのゴム製シールが軸受に隣接して装着される。このような密閉工程ではシールのための追加の空間が必要となり、このシールは拡張された筐体上で装着されることが多いために組立工程が煩雑となってしまう。
【0003】
既存の従来技術から、たとえば単一のリップシールなどのシールを使用し、軸受組立体から潤滑剤などの流体が流出又は漏出するのを阻止することが知られている。しかしながら、グリースが漏出したり、水などの液体が軸受組立体の中に進入したりすることによって、早い段階で軸受が故障することが多かった。さらに、拡張された筐体上などの外部からシールを装着することや、密閉装置によって余分な空間が占領されることによって、このような軸受を含む組立体の作動や操作が複雑なものとなってしまう。また、現場で筐体からシールが取り外され、再度組み立てる際にシールが確実に適切に適応されなかった場合には、その寿命にわたる潤滑が伴わない可能性がある。
【0004】
従来技術の研究により、密閉装置としての二重リップシールの使用を考慮することも見い出された。しかしながら、二重の放射状のリップシールは、空間が原因でニードル軸受チャンバなどの特定のタイプのチャンバを密閉するのに効果的に使用できず、軸受全体の幅を変えることなくより大きな空間が割り当てられた場合には、軸受の定格荷重が低下して軸受の寿命も縮まってしまう。さらに、ニードルの面がシール部分に接触するため、シールの接触面が極度に摩耗してしまう。また、回転する際に、ニードルが二つのゴムシールの間に適切に誘導されず、シールが折り畳まれてシャフトの外径上に着地し、外殻の内腔が小さくなりすぎる。
【0005】
また、従来技術によれば、ゴムシールを外部環境に露出させるシャフトと外殻の内腔の距離が少なくとも0.4mmであるニードル軸受組立体が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明に対する従来技術に関連する問題と欠点は、拡張された筐体上など外部からのこのようなシールの装着とは対照的に、補強材を備えた二重リップシールとステンレス鋼の座金が軸受のコンパクトな幅の中に設けられる本発明によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主な目的は、そのチャンバ内に二重リップシールなどの密閉手段を備えた効率的かつコンパクトなニードルブッシュ軸受組立体を提供することである。特定の進歩的な構造上の追加及び改良によって、二重リップシールの使用を効果的にすることが本発明の目的である。また、ニードル軸受組立体のチャンバ内のニードル表面とシャフトの摩擦によって、二重リップシールの壊れやすいリップが損傷するのを防止し、また、軸受を操作する又は設置する際に堅い異物によって傷つかないようにシールリップを保護することが本発明のさらなる目的である。さらに、摩擦トルクを低くして永続的に潤滑するためにグリースを維持するために、ニードル軸受組立体のチャンバ内に二重リップシールを収容することが本発明のさらなる目的である。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態によれば、二重リップシールの本体上で補強材が使用される。別の好ましい実施形態によれば、本発明はまた金属補強材を有する二重リップシールの平坦面の片側とニードル表面の間に座金を設ける。本発明の別の実施形態によれば、少なくとも二つのリップを設け、外側のリップは異物粒子や汚染物質が軸受組立体の内部に進入するのを防止し、座金に隣接する他方の内側のリップは、二つの座金の間、すなわち外殻内径とニードルの間の空間にたまった流体や、これに限定するものではないがグリースなどの半流動体が漏出するのを防止する。座金は接触部として機能し、かつ外殻によって誘導される。外殻の一部によって、外殻フランジ内径の内側に適切に位置するように、面取り部の形態でシールの外側リップに対して空間が提供される。別の好ましい実施形態においては、シャフトと外殻の内腔の間の残存隙間は0.1mmまでに維持される。
【0009】
暫定的な明細書に添えられた添付の図面を参照して本発明を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の断面図である。
【図2】本発明の実施形態の概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態の上面/平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1、図2及び図3を参照して、二重リップシールなどの密閉装置から構成されるニードル軸受組立体を詳細に説明する。
【0012】
ニードル軸受組立体は、特定の合金鋼材料で作製された外殻01と、シールや座金、ニードルを保持するために両端に密閉リムを備えた環状の円柱状の深く抜き取られた部分を含んでいる。軸受組立体の中で、外殻01は軸受を外部から包み込む部分として作用し、回転要素を保持し、回転する間それらを誘導し、荷重を受ける手段として作用する。外殻01は、シールを折り畳むための空間を提供するために円錐形の皿型の面取り部06を含んでいる。外殻の内腔07は軸受組立体の要素を覆い、二重リップシールを含むそれらを外部要因から保護する。さらに、シャフトと外殻の内腔の間の残存隙間は0.1mmまでに維持され、内部のゴムシールが空気などの外部要因に露出されるのを最小限にする。外殻内径08の一部は、ニードル02と座金05を誘導する。ニードル02の場合、面09はゴムシールと直接接触しない。しかしながら、本発明によると、ニードルの面09との直接の摩擦を緩和させるために、別個のステンレス鋼の座金05が中間的な接触部分として作用する。本発明の好ましい一実施形態によれば、座金部分03/05は両端において全てのニードルの誘導面として作用し、かつその中での滑らかな回転を保証する。部分05は、軸受の軸に対して位置決めしかつ整列させるために外殻内径08によって厳密に誘導される。部分06は、適切に位置するようにシールの外側リップ04に必要な空間を提供する。座金は耐腐食性の鋼材料で作製され、これにより、グリースなどの化学物質や外部の汚染物質からの悪い影響を受けない。
【0013】
本発明によれば、ゴムシール11は、外側密封リップ04と内側密封リップ12を有する弾性材料のかたまりで作製され、このゴムシール11は、少なくとも片側に低炭素鋼金属の補強材15を有する。また、ゴムシール11は成型によって形成されてよく、座金に弾性材料を同時に接合するために別個の座金がシールに取り付けられる。外殻グローブ(grove)06に隣接するシール11のリップ04によって、汚染物質を含めた異物がニードル軸受組立体に進入するのが防止される。リップ04は、組立体内で外殻グローブ(grove)06の内側にそれを折り畳むことができるように組立体の中に配置される。座金部分14に隣接するシールのリップ12は、ニードル面の両側で二つの座金03の間、すなわち外殻とニードルの間にたまったグリースなどいかなる物質の漏出も防ぐことができるように配置される。シール11の内側リップは、組立体内で座金03の内腔の内部にそれを折り畳むことができるように組立体の中に配置される。シール11は、金属補強材15によって剛性とスチフネス(stiffness)を備えている。また、座金部分03/05は補強材15と接触している。
【0014】
本発明によれば、V字型の隙間13が形成され、これにより、潤滑を容易に維持するための空間が形成され、かつその中に形成された空間によって汚染物質などの異物の進入が防止される。シール11は内向き/外向きの環状方向に、座金03の下でのリップの折り畳み、並びに軸受シャフトの上での延伸や折り畳みための空間を提供する溝14/14Aを有している。
【0015】
この全体構成によって、シャフト上で軸受を組み立てる間に軸受組立体からいかなる過剰な潤滑剤やグリースも漏れることが可能となり、過剰なグリースはシャフトの外径レベルよりも下に浮く。
【0016】
上記言及された本発明の実施形態は、障害を克服し、上記に記載される利点及び利益を達成するように意図されている。記載される発明を本発明の単一性の範囲内でさらに修正し改良することも可能であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.シールを折り畳むための空間を提供する外殻と、
b.前記外殻内の二重リップ金属補強材シールと、
c.座金と、
d.前記外殻内のニードルと、を備えるニードル軸受組立体であって、
前記座金が前記二重リップ金属補強材シールと前記ニードルの間に配置され、前記金属補強材が前記座金に隣接する前記二重リップシールの少なくとも片側に設置されているニードル軸受組立体。
【請求項2】
シャフトと外殻内腔の間の残存隙間が0.1mmまでである請求項1に記載のニードル軸受組立体。
【請求項3】
前記外殻が、リップを折り畳むために円錐台形の凸形状を呈している請求項1に記載のニードル軸受組立体。
【請求項4】
前記座金が滑らかな回転を保証するために前記ニードルの面を誘導するように配置されている請求項1に記載のニードル軸受組立体。
【請求項5】
前記二重リップシールが、リップを折り畳むための空間を提供するために内向きの環状方向に溝(14)を有している請求項1に記載のニードル軸受組立体。
【請求項6】
前記二重リップシールが、リップを折り畳むための空間を提供するために外向きの環状方向に溝(14A)を有している請求項1に記載のニードル軸受組立体。
【請求項7】
前記二重リップシールが、潤滑を維持するための手段としての隙間(13)を形成している請求項1に記載のニードル軸受組立体。
【請求項8】
前記座金がステンレス鋼からなる請求項1に記載のニードル軸受組立体。
【請求項9】
前記二重リップ金属補強材シールが、弾性材料を同時に接合するために前記金属補強材を備えた前記二重リップシールを成型することによって用意される請求項7に記載のニードル軸受組立体。
【請求項10】
前記二重リップ金属補強材シール及び座金が前記外殻内で両端に向いている請求項1から9のいずれかに記載のニードル軸受組立体。
【請求項11】
仮明細書に付随する図面を参照して記載されるニードル軸受組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−524962(P2011−524962A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514205(P2011−514205)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000355
【国際公開番号】WO2010/082213
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(510334583)エヌアールビー ベアリングス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】