対話型玩具
【課題】多数の反応データの有効活用が可能な対話型玩具を提供すること。
【解決手段】外部刺激を入力するための刺激入力装置と、多数の反応データを記憶する記憶装置と、前記記憶装置から前記反応データを読み出して反応装置に所定の反応を行わせる処理装置とを備える対話型玩具において、複数の評価レベルが設定されると共に前記反応データが複数のグループに分類され、さらに、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定され、前記外部刺激の量又は質の評価結果に応じて評価レベルが可逆的に変更できるように構成され、その時々の評価レベルに応じた反応を行うように構成されている。
【解決手段】外部刺激を入力するための刺激入力装置と、多数の反応データを記憶する記憶装置と、前記記憶装置から前記反応データを読み出して反応装置に所定の反応を行わせる処理装置とを備える対話型玩具において、複数の評価レベルが設定されると共に前記反応データが複数のグループに分類され、さらに、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定され、前記外部刺激の量又は質の評価結果に応じて評価レベルが可逆的に変更できるように構成され、その時々の評価レベルに応じた反応を行うように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対話型玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザとコミュニケーションを取っているかのように行動する対話型玩具として、人為的に与えられた特定の刺激(例えば音)を検出すると共に、その回数(刺激の入力回数)をカウントし、そのカウント数によって対話型玩具の反応内容を変化させることにより、成長していくような感覚をユーザに与えるようにしたものが知られている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特公平7−83794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この種の対話型玩具では、反応データは成長レベル(評価レベル)毎に反応データが異なり、しかも、成長レベルも不可逆的なものが多く、その場合には、使用されないか少ししか使用されない反応データが多数存在し、反応データの有効活用ができないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、多数の反応データの有効活用が可能な対話型玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の対話型玩具は、外部刺激を入力するための刺激入力装置と、多数の反応データを記憶する記憶装置と、前記記憶装置から前記反応データを読み出して反応装置に所定の反応を行わせる処理装置とを備える対話型玩具において、複数の評価レベルが設定されると共に前記反応データが複数のグループに分類され、さらに、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定され、前記外部刺激の量又は質の評価結果に応じて評価レベルが可逆的に変更できるように構成され、その時々の評価レベルに応じた反応を行うように構成されていることを特徴とする。ここで、「外部刺激を入力するための刺激入力装置」の例としては各種センサやマイク等が挙げられる。また、「反応データ」の例としては機械的動作、発光動作、音声発生動作等の動作が挙げられる。さらに、「外部刺激の量」の例としては刺激の回数、刺激時間等が挙げられる。一方、「外部刺激の質」の例としては刺激時刻、刺激箇所等が挙げられる。
【0006】
請求項2記載の対話型玩具は、請求項1記載の対話型玩具において、ユーザが就寝時刻及び起床時刻を設定するための設定時刻入力装置を備え、前記設定時刻入力装置によって入力された前記就寝時刻及び前記起床時刻から定義される就寝設定時刻、起床設定時刻及び睡眠設定時間と、ユーザが前記刺激入力装置から前記刺激として入力する就寝サイン及び起床サインの入力時刻から定義される就寝時刻、起床時刻及び睡眠時間との時間的なずれ量を考慮してユーザの睡眠を評価して評価レベルを変更できるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の対話型玩具は、請求項1又は2記載の対話型玩具において、評価レベルの変更は1日単位でできるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の対話型玩具によれば、多数の反応データがグループ化され、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定されていること、評価レベルが可逆的に変更することから、多数の反応データが有効に活用できることになる。また、評価レベルが可逆的に変化することから、あたかも対話型玩具とのコミュニケーションを取っているかのイメージが醸し出されることになる。
【0009】
請求項2記載の対話型玩具によれば、対話型玩具の睡眠ではなくユーザの睡眠の評価結果に応じて評価レベルが変化し、その評価レベルに応じた動作を対話型玩具が行うので、感情移入が容易にでき、興趣性の高い対話型玩具が実現されることになる。
【0010】
請求項3記載の対話型玩具によれば、評価レベルの変更が1日単位でできるように構成されているので、日々の動作変化を楽しむことができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る対話型人形玩具の概略図である。この対話型人形玩具1は、電池を電源としており、ユーザの睡眠状態や、ユーザの対話型人形玩具1との遊戯状態を評価し、その評価結果に基づく評価レベルに応じた音声で感情表現を行うように構成されている。この対話型人形玩具1は、図2に示すように、刺激入力装置2、設定時刻入力装置3、処理装置4、記憶装置5及び音出力装置(反応装置)6を備えている。
【0012】
ここで、刺激入力装置2は、外部から刺激を入力をするためのものである。この実施形態の対話型人形玩具1では、刺激入力装置2としてタッチセンサが使用され、対話型人形玩具1の手先をユーザが軽く握ることで刺激入力装置2によって刺激が入力されるようになっている。
【0013】
設定時刻入力装置3は、ユーザが日時や所期の就寝時刻や起床時刻を入力するためのものである。具体的には、日時の設定は、図示しないリセットボタンを押すと、対話型人形玩具1が音声で「何月何日か教えてね。」、「最初に月、1から12まで一緒に数えてね。何月?」と聞いてくる。刺激入力装置2を組み込んだ手先を握るたびに数字が1ずつ進む。設定したい月になるまでそれを繰り返す。設定したい月まで進んだら、設定時刻入力装置3を組み込んだ頭を撫でる。次に、日の設定であるが、「何日?1から順番に数えてね。何日?」同様に刺激入力装置2を組み込んだ手先を握るたびに数字が1ずつ進む。設定したい日になるまでそれを繰り返す。設定したい日まで進んだら、設定時刻入力装置3を組み込んだ頭を撫でる。「時間の設定」や「分の設定」も同様にして行う。次に、就寝時刻や起床時刻も聞いてくるので同様にして入力を行う。以上のように、頭に組み込まれたタッチセンサ等の設定時刻入力装置3によって時刻の入力を行う。
【0014】
記憶装置5には、時刻設定プログラム、刺激種類判定プログラム、評価プログラム、エリア決定プログラム、確率を定義したテーブル、音声選出プログラム、音声の一覧、その他が格納されている。
【0015】
処理装置4は、記憶装置5に記憶された各種プログラムを実行し、音出力装置6等の制御を行う。以下、この処理装置4によってなされるデータ処理を説明する。
【0016】
1.設定時刻の格納
処理装置4は、設定時刻入力装置3からユーザが入力した就寝時刻や起床時刻を記憶装置5に格納する。
【0017】
2.刺激の種類の判定
処理装置4は、刺激入力装置2からユーザが入力した刺激がいかなる意味を持つのかを判定する。すなわち、処理装置4は、刺激入力装置2からユーザが入力した就寝時刻や起床時刻からサイン受付時間を算定し、そのサイン受付時間内に受け付けた刺激は就寝サインや起床サインであると判定する。サイン受付時間は、就寝サインの場合には就寝設定時刻より前120分から後180分の間である。また、起床サインの場合には起床設定時刻より前120分から後180分の間である。処理装置4は、サイン受付時間外の刺激は就寝サインや起床サインとは認めない。
【0018】
3.夢話催促の刺激
A.他の刺激のうち、所定時間(例えば360秒の間)内に所定回数(例えば3回)入力した刺激は夢話催促の刺激であると判定する。この場合には、対話型人形玩具1は夢話を音声出力する。
【0019】
4.他の刺激
対話型人形玩具1の反応の内容(本実施形態では音声の表現内容)に影響を与える刺激は就寝サイン、起床サイン及び夢話催促の刺激の3つである。これ以外の刺激は、本実施形態では反応の内容に影響を与えない。その刺激は反応催促の刺激として働く。勿論、設計変更によって、就寝サイン、起床サイン及び夢話催促以外の刺激も反応の内容に影響を与える因子として加えることも可能であることはいうまでもない。
【0020】
B.夢話パターン
図3に示すように、本実施形態では夢話パターンは8種類用意されている。具体的には、それは「みんなの夢」、「感情の夢」、「忘却の夢」、「歌の夢」、「予知の夢」、「冒険の夢」、「二人の夢」、「記憶の夢」の8種類である。の8種類の夢は同図に示す確率で出現する。すなわち、初期では「みんなの夢」、「感情の夢」、「忘却の夢」が70%、15%、15%の確率で出現する。中期では「歌の夢」、「冒険の夢」、「記憶の夢」も所定の確率で出現する。そして、後期ではの夢話パターン全てが所定の確率で出現する。初期、中期、後期は、対話型人形玩具1が夢話をした総時間によって決定される。すなわち、初期は出荷時から夢話をした総時間が例えば100秒までの間である。それを越えると中期となり、夢話の総時間が例えば400秒を越えると後期となる。
【0021】
C.パターン内の語彙
図4に示すように、夢話パターンは様々な種類の語群に含まれる語彙の組み合わせから構成されている。組み合わせる語彙や語彙数は各夢話パターンで異なっている。Aの語群は「王様」、「お月様」、「タヌキさん」のように「誰の語群」となっている。Bの語群は「暑いところ」、「天の川」、「お風呂」のように「場所の語群」となっている。Cの語群は「宝箱」、「バス」、「コロッケ」のように「何の語群」となっている。Dの語群は「明るい」、「可愛い」、「寒い」のように「形容詞の語群」となっている。Eの語群は「幼稚園でお歌歌ったよ」、「お花畑できょろきょろしてたよ」、「お城でご飯たべてた」のように「場所と状態の語群」となっている。Fの語群は「お相撲したよ」、「お魚釣りしたよ」、「積み木遊びした」のように「遊びや行動の語群」となっている。Gの語群は「おもしろかったなー」、「わくわくしたよ」、「こんなの初めてだよ」のように「感想の語群」となっている。Hの語群は「それからねー」、「えっとねー」、「あのねー」のように「接続言葉の語群」となっている。このようにしてIの「感想表現の語群」、Jの「忘れた言葉の語群」、Kの「特別な誰の語群」、Lの「誰が何をしたの語群」、・・・Sの「夢見たお知らせの語群」が記述されている。おおむね、夢話パターンはDRE−Sで示すSの「夢見たお知らせの語群」から始まっている。例えば、「みんなの夢」の初期の夢話をみると、DRE−S(出現率100%)、DRE−A(出現率100%)、DRE−A(出現率0%)、DRE−E(出現率0%)、DRE−H(出現率0%)、DRE−F(出現率100%)、DRE−G(出現率0%)であるから、Sの「夢見たお知らせの語群」、Aの「誰の語群」及びDの「遊びや行動の語群」の組み合わせで夢話パターンが構成される。例えば「夢見たよ」と「王様」と「お相撲したよ」の組み合わせの夢話パターンとなる。図5(A),(B),(C)にはA,B,Cの語群に含まれる語彙の例が示されている。語彙の横に付されている数字は発声に要する時間を示している。なお、図4において出現率0%が間にある部分は省略されて連続的に発声される。
【0022】
4.コミュニケーションエリアの決定
A.処理装置4は、サイン受付時間内に就寝サインや起床サインが入力された場合には、就寝設定時刻との時間的なずれ量、起床設定時刻との時間的なずれ量、及び睡眠設定時間との時間的なずれ量を算出し、それらに基づいて各ずれ量を評価する。また、処理装置4は、対話型人形玩具1が前日に夢話をした場合にはそれはユーザと対話型人形玩具1が遊んだものと評価する。そして、その評価結果に基づきエリア決定プログラムに従ってコミュニケーションエリアを決定する。図6は5×5のコミュニケーションエリアからなる評価レベルマトリクスである。この評価レベルマトリクスの中から1つのコミュニケーションエリアを決定する。
【0023】
5.睡眠・遊びの評価レベル
A.睡眠の評価レベル
ア.評価レベル決定の要素
睡眠の評価レベルは、(1)就寝サインと就寝設定時刻との時間的なずれ量、(2)起床サインと起床設定時刻との時間的なずれ量、(3)就寝サインから起床サインまでのトータル時間(睡眠時間)と設定トータル時間(睡眠設定時間)との時間的なずれ量、の3つの要素から決定する。
【0024】
イ.具体的方法
(1)就寝サインと就寝設定時刻との時間的なずれ量の評価
図7に示すように、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して前後30分以内の場合には就寝時刻は良いと評価し、就寝[1]と判定する。また、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間遅れる場合には就寝時刻は普通と評価し、就寝[2+]と判定する。さらに、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間早い場合には就寝時刻は普通と評価し、就寝[2−]と判定する。また、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間遅れる場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[3+]と判定する。さらに、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間早い場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[3−]と判定する。また、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して120分を越えて180分以内の時間遅い場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[4]と判定する。さらに、就寝サイン受付時間内に就寝サインの入力がなかった場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[5]と判定する。就寝[1]等の記号は説明の便宜上のものとして使用している。
【0025】
(2)起床サインと起床設定時刻との時間的なずれ量の評価
図8に示すように、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して前後30分以内の場合には起床時刻は良いと評価し、起床[1]と判定する。また、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間遅れる場合には起床時刻は普通と評価し、起床[2+]と判定する。さらに、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間早い場合には起床時刻は普通と評価し、起床[2−]と判定する。また、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間遅れる場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[3+]と判定する。さらに、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間早い場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[3−]と判定する。また、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して120分を越えて180分以内の時間遅い場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[4]と判定する。さらに、起床サイン受付時間内に起床サインの入力がなかった場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[5]と判定する。起床[1]等の記号は説明の便宜上のものとして使用している。
【0026】
(3)睡眠時間と睡眠設定時間との時間的なずれ量の評価
図9に示すように、就寝サインから起床サインまでのトータル時間(睡眠時間)が設定トータル時間(睡眠設定時間)より30分を越えて多い場合は睡眠量は多いと評価し、睡眠[special]と判定する。また、睡眠時間が睡眠設定時間より15分を越えて30分以内の時間多い場合は睡眠量は普通と評価し、睡眠[good]と判定する。さらに、睡眠時間が睡眠設定時間より15分を越えて45分以内の時間少ない場合は睡眠量は不足気味と評価し、睡眠[normal]と判定する。さらに、睡眠時間が睡眠設定時間より45分を越えて少ない場合は睡眠量は不足と評価し、睡眠[bad]と判定する。さらに、就寝サイン及び起床サインの双方が受付時間内に入力されないときには睡眠[測定不能]と判定する。睡眠[special]等の記号は説明の便宜上のものとして使用している。
【0027】
B.遊びの評価レベル
ア.評価レベル決定の要素
遊びの評価は、就寝サインや起床サインの入力の有無と、夢話の出力の有無とを考慮してなされる。就寝サインや起床サインの入力が有った場合や夢話の出力が有った場合には良いと評価される。就寝サインや起床サインの入力の有無は直前のものが考慮され、夢話の出力の有無は前日のものが考慮される。
【0028】
[コミュニケーションエリアの決定]
処理装置4は、睡眠レベルの評価結果と遊びレベルの評価結果に従ってコミュニケーションエリアを決定する。
出荷時のコミュニケーションエリアの初期値はC/C♯の位置である。睡眠の評価レベルは、就寝時刻の評価結果、起床時間の評価結果及び睡眠時間の評価結果によって決定される。図10に示すように、例えば就寝時刻の評価結果が就寝[2+−]、起床時間の評価結果が起床[2+−]で睡眠時間の評価結果が[good]又は[special]のいずれかであるときは睡眠の評価レベルがプラス1となり、コミュニケーションエリアの現在位置からエリア1つ分右側に移行する(現在エリアがC♯の場合にはB♯へ)。ここで[2+−]とは[2+]の場合と[2−]の場合との双方を含むことを意味している。
また、例えば就寝時刻の評価結果が就寝[2+−]、起床時間の評価結果が起床[2+−]で睡眠時間の評価結果が[normal]であるときは睡眠の評価レベルについては現在のエリアから移動しない。
また、例えば就寝時刻の評価結果が就寝[2+−]、起床時間の評価結果が起床[2+−]で睡眠時間の評価結果が[bad]であるときは睡眠の評価レベルがマイナス1となり、コミュニケーションエリアの現在位置からエリア1つ分左側に移行する(現在エリアがC♯の場合にはD♯へ)。
一方、遊びの評価レベルは、就寝サインや起床サインの入力の有無、夢話をしたか否かで決定される。図11に示すように、例えば就寝サイン及び起床サインの双方の入力があり、夢話をした場合には遊びの評価レベルがプラス1となり、コミュニケーションエリアの現在のエリアから上側に1つ移行する(現在エリアがCの場合にはBへ)。また、例えば例えば就寝サイン及び起床サインの双方の入力があり、夢話をしない場合には遊びの評価レベルがマイナス1となり、コミュニケーションエリアの現在のエリアから下側に1つ移行する(現在エリアがCの場合にはDへ)。
以上の両評価レベルの変更は前日(直前)の睡眠の評価結果と前日の遊びの評価結果とに基づいて起床サインが入力された直後になされる。また、評価レベルが最高又は最低になったときにはそれち側への変更はなされない。
【0029】
[音声ボックスの決定]
複数の反応データ(実施形態では多数の音声データ)が複数のグループに分類され、各グループが反応ボックス(音声ボックス)を構成している。A(KHI−A)のボックスには「はしゃぐ」、B(KHI−B)のボックスには「甘える」、C(KHI−C)のボックスには「幸せ告白」、D(KHI−D)のボックスには「心配掛ける」、E(KHI−E)のボックスには「心配してくれる」、F(KHI−F)のボックスには「お世辞」、 G(KHI−G)のボックスには「感謝する」、H(KHI−H)のボックスには「夢や希望」、I(KHI−I)のボックスには「素朴な疑問・感想」、J(KHI−J)のボックスには「寂しい気持ち」の音声データが格納されている。処理装置4は、上記で決定された評価レベルエリアで前記ボックスの出現確率が設定され、その出現確率に従って、1つの音声ボックスを決定する。図12には各評価レベルエリア内における各音声ボックスの選択確率が示されている。また、図13には音声ボックス内の各種音声の一例としてAの音声ボックス内の各種音声が示されている。なお、出現確率の総和は各コミュニケーションエリアで100%である。
【0030】
[音声データの出力]
上記で決定された音声ボックスのデータ内の各種音声データからランダムに或いは時刻等に応じて、出力すべき音声データを決定する。音声データの出力は、起床サインが入力された後(起床サインが入力された時を含む)就寝サイン受付時間前までに刺激サインが入力されたときになされる。そして、音声出力装置5から音声で感情表現が行われる。
【0031】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるモノではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では人形玩具の姿態を人間の赤ちゃんとしたが動物人形やキャラクタ人形等であってもよい。
また、上記実施形態では「遊び」と「睡眠」をマトリクス上の2軸にしたが、例えば対話型玩具が植物玩具の場合には「遊び」と「日当たり量」をマトリクス上の2軸としてもよい。さらに、マトリクスではなく単純に「睡眠量」や「睡眠の質」だけ或いは「遊び量」や「遊びの質」だけを直線上のブロックに設定するだけでもよい。
さらに、上記実施形態では外部刺激は手先に設けられた刺激入力装置2からであったが、他の場所に設けられた刺激入力装置2から入力してもよいし、それらを併用してもよい。さらに、刺激の種類に応じて入力場所を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態の対話型人形玩具の正面図である。
【図2】実施形態の対話型人形玩具の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図3】夢話パターンの出現確率を説明するための図表である。
【図4】夢話パターンの語彙の組み合わせを説明するための図である。
【図5】夢話パターンを構成する語彙群の一例を示す図表である。
【図6】多数のコミュニケーションエリアからなる評価レベルマトリクスを示す図表である。
【図7】就寝サインと就寝設定時刻との時間的なずれ量の評価方法を説明するための図表である。
【図8】起床サインと起床設定時刻との時間的なずれ量の評価方法を説明するための図表である。
【図9】睡眠時間と睡眠設定時間との時間的なずれ量の評価方法を説明するための図表である。
【図10】睡眠の評価レベルの決定方法を説明するための図表である。
【図11】遊びの評価レベルの決定方法を説明するための図表である。
【図12】各評価レベルエリア内における各音声ボックスの選択確率を説明するための図表である。
【図13】音声ボックス内の各種音声の一例を示す図表である。
【符号の説明】
【0033】
1 対話型人形玩具
2 刺激入力装置
3 設定時刻入力装置
4 処理装置
5 記憶装置
6 音出力装置(反応装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、対話型玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザとコミュニケーションを取っているかのように行動する対話型玩具として、人為的に与えられた特定の刺激(例えば音)を検出すると共に、その回数(刺激の入力回数)をカウントし、そのカウント数によって対話型玩具の反応内容を変化させることにより、成長していくような感覚をユーザに与えるようにしたものが知られている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特公平7−83794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この種の対話型玩具では、反応データは成長レベル(評価レベル)毎に反応データが異なり、しかも、成長レベルも不可逆的なものが多く、その場合には、使用されないか少ししか使用されない反応データが多数存在し、反応データの有効活用ができないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、多数の反応データの有効活用が可能な対話型玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の対話型玩具は、外部刺激を入力するための刺激入力装置と、多数の反応データを記憶する記憶装置と、前記記憶装置から前記反応データを読み出して反応装置に所定の反応を行わせる処理装置とを備える対話型玩具において、複数の評価レベルが設定されると共に前記反応データが複数のグループに分類され、さらに、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定され、前記外部刺激の量又は質の評価結果に応じて評価レベルが可逆的に変更できるように構成され、その時々の評価レベルに応じた反応を行うように構成されていることを特徴とする。ここで、「外部刺激を入力するための刺激入力装置」の例としては各種センサやマイク等が挙げられる。また、「反応データ」の例としては機械的動作、発光動作、音声発生動作等の動作が挙げられる。さらに、「外部刺激の量」の例としては刺激の回数、刺激時間等が挙げられる。一方、「外部刺激の質」の例としては刺激時刻、刺激箇所等が挙げられる。
【0006】
請求項2記載の対話型玩具は、請求項1記載の対話型玩具において、ユーザが就寝時刻及び起床時刻を設定するための設定時刻入力装置を備え、前記設定時刻入力装置によって入力された前記就寝時刻及び前記起床時刻から定義される就寝設定時刻、起床設定時刻及び睡眠設定時間と、ユーザが前記刺激入力装置から前記刺激として入力する就寝サイン及び起床サインの入力時刻から定義される就寝時刻、起床時刻及び睡眠時間との時間的なずれ量を考慮してユーザの睡眠を評価して評価レベルを変更できるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の対話型玩具は、請求項1又は2記載の対話型玩具において、評価レベルの変更は1日単位でできるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の対話型玩具によれば、多数の反応データがグループ化され、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定されていること、評価レベルが可逆的に変更することから、多数の反応データが有効に活用できることになる。また、評価レベルが可逆的に変化することから、あたかも対話型玩具とのコミュニケーションを取っているかのイメージが醸し出されることになる。
【0009】
請求項2記載の対話型玩具によれば、対話型玩具の睡眠ではなくユーザの睡眠の評価結果に応じて評価レベルが変化し、その評価レベルに応じた動作を対話型玩具が行うので、感情移入が容易にでき、興趣性の高い対話型玩具が実現されることになる。
【0010】
請求項3記載の対話型玩具によれば、評価レベルの変更が1日単位でできるように構成されているので、日々の動作変化を楽しむことができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る対話型人形玩具の概略図である。この対話型人形玩具1は、電池を電源としており、ユーザの睡眠状態や、ユーザの対話型人形玩具1との遊戯状態を評価し、その評価結果に基づく評価レベルに応じた音声で感情表現を行うように構成されている。この対話型人形玩具1は、図2に示すように、刺激入力装置2、設定時刻入力装置3、処理装置4、記憶装置5及び音出力装置(反応装置)6を備えている。
【0012】
ここで、刺激入力装置2は、外部から刺激を入力をするためのものである。この実施形態の対話型人形玩具1では、刺激入力装置2としてタッチセンサが使用され、対話型人形玩具1の手先をユーザが軽く握ることで刺激入力装置2によって刺激が入力されるようになっている。
【0013】
設定時刻入力装置3は、ユーザが日時や所期の就寝時刻や起床時刻を入力するためのものである。具体的には、日時の設定は、図示しないリセットボタンを押すと、対話型人形玩具1が音声で「何月何日か教えてね。」、「最初に月、1から12まで一緒に数えてね。何月?」と聞いてくる。刺激入力装置2を組み込んだ手先を握るたびに数字が1ずつ進む。設定したい月になるまでそれを繰り返す。設定したい月まで進んだら、設定時刻入力装置3を組み込んだ頭を撫でる。次に、日の設定であるが、「何日?1から順番に数えてね。何日?」同様に刺激入力装置2を組み込んだ手先を握るたびに数字が1ずつ進む。設定したい日になるまでそれを繰り返す。設定したい日まで進んだら、設定時刻入力装置3を組み込んだ頭を撫でる。「時間の設定」や「分の設定」も同様にして行う。次に、就寝時刻や起床時刻も聞いてくるので同様にして入力を行う。以上のように、頭に組み込まれたタッチセンサ等の設定時刻入力装置3によって時刻の入力を行う。
【0014】
記憶装置5には、時刻設定プログラム、刺激種類判定プログラム、評価プログラム、エリア決定プログラム、確率を定義したテーブル、音声選出プログラム、音声の一覧、その他が格納されている。
【0015】
処理装置4は、記憶装置5に記憶された各種プログラムを実行し、音出力装置6等の制御を行う。以下、この処理装置4によってなされるデータ処理を説明する。
【0016】
1.設定時刻の格納
処理装置4は、設定時刻入力装置3からユーザが入力した就寝時刻や起床時刻を記憶装置5に格納する。
【0017】
2.刺激の種類の判定
処理装置4は、刺激入力装置2からユーザが入力した刺激がいかなる意味を持つのかを判定する。すなわち、処理装置4は、刺激入力装置2からユーザが入力した就寝時刻や起床時刻からサイン受付時間を算定し、そのサイン受付時間内に受け付けた刺激は就寝サインや起床サインであると判定する。サイン受付時間は、就寝サインの場合には就寝設定時刻より前120分から後180分の間である。また、起床サインの場合には起床設定時刻より前120分から後180分の間である。処理装置4は、サイン受付時間外の刺激は就寝サインや起床サインとは認めない。
【0018】
3.夢話催促の刺激
A.他の刺激のうち、所定時間(例えば360秒の間)内に所定回数(例えば3回)入力した刺激は夢話催促の刺激であると判定する。この場合には、対話型人形玩具1は夢話を音声出力する。
【0019】
4.他の刺激
対話型人形玩具1の反応の内容(本実施形態では音声の表現内容)に影響を与える刺激は就寝サイン、起床サイン及び夢話催促の刺激の3つである。これ以外の刺激は、本実施形態では反応の内容に影響を与えない。その刺激は反応催促の刺激として働く。勿論、設計変更によって、就寝サイン、起床サイン及び夢話催促以外の刺激も反応の内容に影響を与える因子として加えることも可能であることはいうまでもない。
【0020】
B.夢話パターン
図3に示すように、本実施形態では夢話パターンは8種類用意されている。具体的には、それは「みんなの夢」、「感情の夢」、「忘却の夢」、「歌の夢」、「予知の夢」、「冒険の夢」、「二人の夢」、「記憶の夢」の8種類である。の8種類の夢は同図に示す確率で出現する。すなわち、初期では「みんなの夢」、「感情の夢」、「忘却の夢」が70%、15%、15%の確率で出現する。中期では「歌の夢」、「冒険の夢」、「記憶の夢」も所定の確率で出現する。そして、後期ではの夢話パターン全てが所定の確率で出現する。初期、中期、後期は、対話型人形玩具1が夢話をした総時間によって決定される。すなわち、初期は出荷時から夢話をした総時間が例えば100秒までの間である。それを越えると中期となり、夢話の総時間が例えば400秒を越えると後期となる。
【0021】
C.パターン内の語彙
図4に示すように、夢話パターンは様々な種類の語群に含まれる語彙の組み合わせから構成されている。組み合わせる語彙や語彙数は各夢話パターンで異なっている。Aの語群は「王様」、「お月様」、「タヌキさん」のように「誰の語群」となっている。Bの語群は「暑いところ」、「天の川」、「お風呂」のように「場所の語群」となっている。Cの語群は「宝箱」、「バス」、「コロッケ」のように「何の語群」となっている。Dの語群は「明るい」、「可愛い」、「寒い」のように「形容詞の語群」となっている。Eの語群は「幼稚園でお歌歌ったよ」、「お花畑できょろきょろしてたよ」、「お城でご飯たべてた」のように「場所と状態の語群」となっている。Fの語群は「お相撲したよ」、「お魚釣りしたよ」、「積み木遊びした」のように「遊びや行動の語群」となっている。Gの語群は「おもしろかったなー」、「わくわくしたよ」、「こんなの初めてだよ」のように「感想の語群」となっている。Hの語群は「それからねー」、「えっとねー」、「あのねー」のように「接続言葉の語群」となっている。このようにしてIの「感想表現の語群」、Jの「忘れた言葉の語群」、Kの「特別な誰の語群」、Lの「誰が何をしたの語群」、・・・Sの「夢見たお知らせの語群」が記述されている。おおむね、夢話パターンはDRE−Sで示すSの「夢見たお知らせの語群」から始まっている。例えば、「みんなの夢」の初期の夢話をみると、DRE−S(出現率100%)、DRE−A(出現率100%)、DRE−A(出現率0%)、DRE−E(出現率0%)、DRE−H(出現率0%)、DRE−F(出現率100%)、DRE−G(出現率0%)であるから、Sの「夢見たお知らせの語群」、Aの「誰の語群」及びDの「遊びや行動の語群」の組み合わせで夢話パターンが構成される。例えば「夢見たよ」と「王様」と「お相撲したよ」の組み合わせの夢話パターンとなる。図5(A),(B),(C)にはA,B,Cの語群に含まれる語彙の例が示されている。語彙の横に付されている数字は発声に要する時間を示している。なお、図4において出現率0%が間にある部分は省略されて連続的に発声される。
【0022】
4.コミュニケーションエリアの決定
A.処理装置4は、サイン受付時間内に就寝サインや起床サインが入力された場合には、就寝設定時刻との時間的なずれ量、起床設定時刻との時間的なずれ量、及び睡眠設定時間との時間的なずれ量を算出し、それらに基づいて各ずれ量を評価する。また、処理装置4は、対話型人形玩具1が前日に夢話をした場合にはそれはユーザと対話型人形玩具1が遊んだものと評価する。そして、その評価結果に基づきエリア決定プログラムに従ってコミュニケーションエリアを決定する。図6は5×5のコミュニケーションエリアからなる評価レベルマトリクスである。この評価レベルマトリクスの中から1つのコミュニケーションエリアを決定する。
【0023】
5.睡眠・遊びの評価レベル
A.睡眠の評価レベル
ア.評価レベル決定の要素
睡眠の評価レベルは、(1)就寝サインと就寝設定時刻との時間的なずれ量、(2)起床サインと起床設定時刻との時間的なずれ量、(3)就寝サインから起床サインまでのトータル時間(睡眠時間)と設定トータル時間(睡眠設定時間)との時間的なずれ量、の3つの要素から決定する。
【0024】
イ.具体的方法
(1)就寝サインと就寝設定時刻との時間的なずれ量の評価
図7に示すように、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して前後30分以内の場合には就寝時刻は良いと評価し、就寝[1]と判定する。また、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間遅れる場合には就寝時刻は普通と評価し、就寝[2+]と判定する。さらに、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間早い場合には就寝時刻は普通と評価し、就寝[2−]と判定する。また、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間遅れる場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[3+]と判定する。さらに、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間早い場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[3−]と判定する。また、就寝サインの入力時刻が就寝設定時刻に対して120分を越えて180分以内の時間遅い場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[4]と判定する。さらに、就寝サイン受付時間内に就寝サインの入力がなかった場合には就寝時刻は悪いと評価し、就寝[5]と判定する。就寝[1]等の記号は説明の便宜上のものとして使用している。
【0025】
(2)起床サインと起床設定時刻との時間的なずれ量の評価
図8に示すように、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して前後30分以内の場合には起床時刻は良いと評価し、起床[1]と判定する。また、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間遅れる場合には起床時刻は普通と評価し、起床[2+]と判定する。さらに、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して30分を越えて60分以内の時間早い場合には起床時刻は普通と評価し、起床[2−]と判定する。また、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間遅れる場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[3+]と判定する。さらに、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して60分を越えて120分以内の時間早い場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[3−]と判定する。また、起床サインの入力時刻が起床設定時刻に対して120分を越えて180分以内の時間遅い場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[4]と判定する。さらに、起床サイン受付時間内に起床サインの入力がなかった場合には起床時刻は悪いと評価し、起床[5]と判定する。起床[1]等の記号は説明の便宜上のものとして使用している。
【0026】
(3)睡眠時間と睡眠設定時間との時間的なずれ量の評価
図9に示すように、就寝サインから起床サインまでのトータル時間(睡眠時間)が設定トータル時間(睡眠設定時間)より30分を越えて多い場合は睡眠量は多いと評価し、睡眠[special]と判定する。また、睡眠時間が睡眠設定時間より15分を越えて30分以内の時間多い場合は睡眠量は普通と評価し、睡眠[good]と判定する。さらに、睡眠時間が睡眠設定時間より15分を越えて45分以内の時間少ない場合は睡眠量は不足気味と評価し、睡眠[normal]と判定する。さらに、睡眠時間が睡眠設定時間より45分を越えて少ない場合は睡眠量は不足と評価し、睡眠[bad]と判定する。さらに、就寝サイン及び起床サインの双方が受付時間内に入力されないときには睡眠[測定不能]と判定する。睡眠[special]等の記号は説明の便宜上のものとして使用している。
【0027】
B.遊びの評価レベル
ア.評価レベル決定の要素
遊びの評価は、就寝サインや起床サインの入力の有無と、夢話の出力の有無とを考慮してなされる。就寝サインや起床サインの入力が有った場合や夢話の出力が有った場合には良いと評価される。就寝サインや起床サインの入力の有無は直前のものが考慮され、夢話の出力の有無は前日のものが考慮される。
【0028】
[コミュニケーションエリアの決定]
処理装置4は、睡眠レベルの評価結果と遊びレベルの評価結果に従ってコミュニケーションエリアを決定する。
出荷時のコミュニケーションエリアの初期値はC/C♯の位置である。睡眠の評価レベルは、就寝時刻の評価結果、起床時間の評価結果及び睡眠時間の評価結果によって決定される。図10に示すように、例えば就寝時刻の評価結果が就寝[2+−]、起床時間の評価結果が起床[2+−]で睡眠時間の評価結果が[good]又は[special]のいずれかであるときは睡眠の評価レベルがプラス1となり、コミュニケーションエリアの現在位置からエリア1つ分右側に移行する(現在エリアがC♯の場合にはB♯へ)。ここで[2+−]とは[2+]の場合と[2−]の場合との双方を含むことを意味している。
また、例えば就寝時刻の評価結果が就寝[2+−]、起床時間の評価結果が起床[2+−]で睡眠時間の評価結果が[normal]であるときは睡眠の評価レベルについては現在のエリアから移動しない。
また、例えば就寝時刻の評価結果が就寝[2+−]、起床時間の評価結果が起床[2+−]で睡眠時間の評価結果が[bad]であるときは睡眠の評価レベルがマイナス1となり、コミュニケーションエリアの現在位置からエリア1つ分左側に移行する(現在エリアがC♯の場合にはD♯へ)。
一方、遊びの評価レベルは、就寝サインや起床サインの入力の有無、夢話をしたか否かで決定される。図11に示すように、例えば就寝サイン及び起床サインの双方の入力があり、夢話をした場合には遊びの評価レベルがプラス1となり、コミュニケーションエリアの現在のエリアから上側に1つ移行する(現在エリアがCの場合にはBへ)。また、例えば例えば就寝サイン及び起床サインの双方の入力があり、夢話をしない場合には遊びの評価レベルがマイナス1となり、コミュニケーションエリアの現在のエリアから下側に1つ移行する(現在エリアがCの場合にはDへ)。
以上の両評価レベルの変更は前日(直前)の睡眠の評価結果と前日の遊びの評価結果とに基づいて起床サインが入力された直後になされる。また、評価レベルが最高又は最低になったときにはそれち側への変更はなされない。
【0029】
[音声ボックスの決定]
複数の反応データ(実施形態では多数の音声データ)が複数のグループに分類され、各グループが反応ボックス(音声ボックス)を構成している。A(KHI−A)のボックスには「はしゃぐ」、B(KHI−B)のボックスには「甘える」、C(KHI−C)のボックスには「幸せ告白」、D(KHI−D)のボックスには「心配掛ける」、E(KHI−E)のボックスには「心配してくれる」、F(KHI−F)のボックスには「お世辞」、 G(KHI−G)のボックスには「感謝する」、H(KHI−H)のボックスには「夢や希望」、I(KHI−I)のボックスには「素朴な疑問・感想」、J(KHI−J)のボックスには「寂しい気持ち」の音声データが格納されている。処理装置4は、上記で決定された評価レベルエリアで前記ボックスの出現確率が設定され、その出現確率に従って、1つの音声ボックスを決定する。図12には各評価レベルエリア内における各音声ボックスの選択確率が示されている。また、図13には音声ボックス内の各種音声の一例としてAの音声ボックス内の各種音声が示されている。なお、出現確率の総和は各コミュニケーションエリアで100%である。
【0030】
[音声データの出力]
上記で決定された音声ボックスのデータ内の各種音声データからランダムに或いは時刻等に応じて、出力すべき音声データを決定する。音声データの出力は、起床サインが入力された後(起床サインが入力された時を含む)就寝サイン受付時間前までに刺激サインが入力されたときになされる。そして、音声出力装置5から音声で感情表現が行われる。
【0031】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるモノではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では人形玩具の姿態を人間の赤ちゃんとしたが動物人形やキャラクタ人形等であってもよい。
また、上記実施形態では「遊び」と「睡眠」をマトリクス上の2軸にしたが、例えば対話型玩具が植物玩具の場合には「遊び」と「日当たり量」をマトリクス上の2軸としてもよい。さらに、マトリクスではなく単純に「睡眠量」や「睡眠の質」だけ或いは「遊び量」や「遊びの質」だけを直線上のブロックに設定するだけでもよい。
さらに、上記実施形態では外部刺激は手先に設けられた刺激入力装置2からであったが、他の場所に設けられた刺激入力装置2から入力してもよいし、それらを併用してもよい。さらに、刺激の種類に応じて入力場所を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態の対話型人形玩具の正面図である。
【図2】実施形態の対話型人形玩具の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図3】夢話パターンの出現確率を説明するための図表である。
【図4】夢話パターンの語彙の組み合わせを説明するための図である。
【図5】夢話パターンを構成する語彙群の一例を示す図表である。
【図6】多数のコミュニケーションエリアからなる評価レベルマトリクスを示す図表である。
【図7】就寝サインと就寝設定時刻との時間的なずれ量の評価方法を説明するための図表である。
【図8】起床サインと起床設定時刻との時間的なずれ量の評価方法を説明するための図表である。
【図9】睡眠時間と睡眠設定時間との時間的なずれ量の評価方法を説明するための図表である。
【図10】睡眠の評価レベルの決定方法を説明するための図表である。
【図11】遊びの評価レベルの決定方法を説明するための図表である。
【図12】各評価レベルエリア内における各音声ボックスの選択確率を説明するための図表である。
【図13】音声ボックス内の各種音声の一例を示す図表である。
【符号の説明】
【0033】
1 対話型人形玩具
2 刺激入力装置
3 設定時刻入力装置
4 処理装置
5 記憶装置
6 音出力装置(反応装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部刺激を入力するための刺激入力装置と、多数の反応データを記憶する記憶装置と、前記記憶装置から前記反応データを読み出して反応装置に所定の反応を行わせる処理装置とを備える対話型玩具において、複数の評価レベルが設定されると共に前記反応データが複数のグループに分類され、さらに、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定され、前記外部刺激の量又は質の評価結果に応じて評価レベルが可逆的に変更できるように構成され、その時々の評価レベルに応じた反応を行うように構成されていることを特徴とする対話型玩具。
【請求項2】
ユーザが就寝時刻及び起床時刻を設定するための設定時刻入力装置を備え、前記設定時刻入力装置によって入力された前記就寝時刻及び前記起床時刻から定義される就寝設定時刻、起床設定時刻及び睡眠設定時間と、ユーザが前記刺激入力装置から前記刺激として入力する就寝サイン及び起床サインの入力時刻から定義される就寝時刻、起床時刻及び睡眠時間との時間的なずれ量を考慮してユーザの睡眠を評価して評価レベルを変更できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の対話型玩具。
【請求項3】
評価レベルの変更は1日単位でできるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の対話型玩具。
【請求項1】
外部刺激を入力するための刺激入力装置と、多数の反応データを記憶する記憶装置と、前記記憶装置から前記反応データを読み出して反応装置に所定の反応を行わせる処理装置とを備える対話型玩具において、複数の評価レベルが設定されると共に前記反応データが複数のグループに分類され、さらに、各評価レベルで前記グループの出現確率が設定され、前記外部刺激の量又は質の評価結果に応じて評価レベルが可逆的に変更できるように構成され、その時々の評価レベルに応じた反応を行うように構成されていることを特徴とする対話型玩具。
【請求項2】
ユーザが就寝時刻及び起床時刻を設定するための設定時刻入力装置を備え、前記設定時刻入力装置によって入力された前記就寝時刻及び前記起床時刻から定義される就寝設定時刻、起床設定時刻及び睡眠設定時間と、ユーザが前記刺激入力装置から前記刺激として入力する就寝サイン及び起床サインの入力時刻から定義される就寝時刻、起床時刻及び睡眠時間との時間的なずれ量を考慮してユーザの睡眠を評価して評価レベルを変更できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の対話型玩具。
【請求項3】
評価レベルの変更は1日単位でできるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の対話型玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−95206(P2006−95206A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287445(P2004−287445)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003584)株式会社トミー (248)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003584)株式会社トミー (248)
【Fターム(参考)】
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