説明

対象物の周期的位置を検知するためのシステムおよび方法

1または複数の対象物たとえばタービンの回転ブレードの周期的位置を検知するためのシステムおよび方法。システムは受動渦電流検知ユニットを備え、受動渦電流検知ユニットは、1または複数の磁石と第1および第2のコイルがそれぞれ巻かれた第1および第2のコアとを有し、これらは共に第1および第2の磁界を発生させる。検知ユニットの位置は、対象物が第1および第2の磁界を周期的に連続して通過し、その結果、第1および第2のコイルが第1および第2の出力信号をそれぞれ生成するように定める。各コイルは別個に処理回路構成に接続され、処理回路構成は第1および第2の出力信号をそれぞれ受け取る。回路構成は、第1および第2の出力信号を電子的に組み合わせて、同相信号が電子的に互いに差し引き合い、回路構成の出力から、第1および第2の出力信号中に存在する任意の電磁妨害ノイズが取り除かれるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、電子機器に関し、より詳細には、受動渦電流センサを用いて回転機器を検知する、たとえばタービン・ブレードおよび他の移動対象物の到着、位置、および/または振動を検知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転機器たとえばガス・タービンのブレード(バケット)の接近および速度を検知するために、幅広い用途において、受動渦電流センサと可変リラクタンス・センサとが用いられている。別の応用例は、ガス・タービン・エンジンのファン内回転ブレード位置、ブースター、圧縮機、およびタービン部分を検知して、エンジンの調子をモニタリングすることである。特に、受動渦電流センサ(または他の好適な位置センサ)の出力を用いて、ブレード振動および定常状態ブレードの周方向位置をエンジン寿命に渡ってモニタリングすることができる。ブレード振動またはブレード静止位置に変化があれば、構成部品の損傷を示して、エンジン構成部品の突発故障を防止するために検査が必要になる場合があるという信号を送ることができる。
【0003】
受動渦電流センサは通常、1または複数の永久磁石と、それに隣接して1または複数の強磁性コア(ワイヤ・コイルが巻かれている)とを含んでいる。永久磁石は通常、高磁気エネルギー生産材料から形成される。注目に値する例としては、鉄希土類金属合金(たとえば、Nd−Fe−B)およびサマリウム合金(たとえば、Sm−Co)が挙げられる。コアは通常、磁性鋼から形成されているが、他の好適な磁性材料たとえば低炭素鋼を、動作条件に応じて用いても良い。ブレード先端の振動をモニタリングするために用いる場合、受動渦電流センサの取り付けは、各ブレードがセンサに接近して通るときに発生する電気信号が最大になるように行なう。特に、センサの配向は、ブレードがない状態で、磁束が磁石の一端を通ってロータおよびそのブレードの方に向かい、それから空間を通って弧を描いて強磁性コアに戻るように行なう。ブレードが磁界を通過すると、渦電流がブレード材料中に形成され、局所磁界がシフトして、コイルのリード両端に電圧が発生する。エンジン・ケーシングは通常、主として、チタン、ニッケル、および他の、低磁気抵抗を示す非鉄材料から形成されているため、磁石およびコアの端部を、完全にエンジン・ケーシングを通り抜けて挿入する必要はない。しかしその代わりに、壁内の外部凹部内に取り付けて、壁の一部がセンサをエンジンの高温ガス経路から隔離するようにすることができる。
【0004】
最新のガス・タービン・エンジンでは、ブレード振動をモニタリングするために用いる受動渦電流センサの出力が、エンジンのFADEC(全般デジタル・エンジン制御)に、適切なコネクタおよび配線を通して送出される。受動渦電流センサは、そのコアの構造において通常、巻数の多いワイヤが存在し必要とされるとともに、センサとエンジンFADECとの間に長いケーブルが引かれるために、電磁妨害(EMI)ノイズの影響を受けやすい。米国特許第1,932,813号明細書(ギャラント(Gallant))は、ターボ機械の速度の測定を試みるときに生じるEMIノイズに対処可能な複数のコイルを有するプローブ・デザインの例である。ギャラント・センサはE形状のコアを有し、その中心脚は磁石であり、その外側脚は強磁性体で形成されている。中心の磁石によって、2つの外部脚を通る対称的な磁界がもたらされている。各外側脚にはワイヤ・コイルが巻かれている。コイルは、単純なワイヤ接続と直列に接続されている。その結果、EMIおよび他の不要な外乱がセンサの出力信号から差し引かれる。
【0005】
ギャラントが教示するセンサが適しているのは、ターボ機械の速度の測定であり、個々のブレードの位置および振動ではないと開示されている。ギャラントに従って構成される受動渦電流センサの評価によれば、ワイヤおよびコイルの抵抗およびインダクタンスを組み合わせたものは大きすぎて、センサの帯域幅が、個々の翼の位置および振動を正確に検知するには十分でないことが示されている。またこのようなセンサは、出力波形が制限されるという難点がある。ノイズ消去を目的としたかまたはそのような効果を有するコイル間ワイヤ接続を有する従来の受動渦電流センサにおける他の例としては、米国特許第1,967,153号明細書(ラングレイ(Langley))、米国特許第1,373,234号明細書(クルチック(Kulczyk))、および米国特許第6,483,293号明細書(チェン(Chen))が挙げられる。しかしこれらのセンサ・デザインはそれぞれ、2つのコイルの直列配線に付随して抵抗およびインダクタンスを組み合わせたことが原因で、帯域幅低下および波形変動が生じるという難点がある。
【0006】
具体的にブレード検出を対象としたもっと最近の受動渦電流センサ・デザインが、米国特許第6,927,567号明細書および第7,170,284号明細書(ローズラー(Roeseler)ら)に開示されている。開示されたセンサはそれぞれ、信号帯域幅を向上させることを目的としているか他の場合には向上させると考えられる単一コイル・プローブ・デザインである。しかしどちらも、EMI環境で動作するという問題点に対処しているようには思えず、したがって、これらの従来のセンサは、高EMI環境において信頼できる測定を実現できるようには思えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,208,135号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の点を考慮して、受動渦電流センサとして、マルチ・コイル・プローブ・デザインのEMI抵抗を示すことができる一方で、単一コイル・プローブ・デザインの高帯域幅能力を実現することができ、その結果、ガス・タービン・ブレードおよび他の移動対象物の位置を検知することができるセンサが利用可能であったら望ましいことであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって、移動対象物たとえばタービンの回転ブレードの到着、位置、および/または振動を検知するのに適したシステムおよび方法が提供される。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、本システムは、1または複数の磁石と第1および第2のコイルがそれぞれ巻かれた第1および第2のコアとを備える受動渦電流検知ユニットであって、1または複数の磁石、第1および第2のコア、第1および第2のコイルは協同して、第1および第2の磁界を生成および検出する、受動渦電流検知ユニットを備える。検知ユニットは対象物に対して、対象物が第1および第2の磁界を周期的に連続して通過するように位置し、第1および第2のコイルは第1および第2の出力信号を、第1および第2の磁界を周期的に連続して通過する対象物に応答して生成する。ワイヤ接続が第1および第2のコイル間に存在せず、その代わりに、各コイルは別個に処理回路構成に接続され、処理回路構成は第1および第2の各出力信号を別個に受け取る。処理回路構成は、第1および第2の出力信号を電子的に組み合わせて、対象物が第1および第2の磁界を周期的に連続して通過するときのタイミングに対応する出力を生成する。回路構成は、第1および第2の出力信号を組み合わせて、同相信号が電子的に互いに差し引き合い、処理回路構成の出力から、第1および第2の出力信号中に存在する任意の電磁妨害ノイズが取り除かれるようにする。第1および第2のコイル間の直列ワイヤ接続を回避することによって、第1および第2のコイル間の直列ワイヤ接続に付随する帯域幅の低下および波形の相互作用が取り除かれて、処理回路構成の出力はきれいな正弦波形を有することができる。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本方法は、受動渦電流検知ユニットを対象物に近接して配置して、対象物が第1および第2の磁界を周期的に連続して通過して別個の第1および第2の出力信号をそれぞれ生成するようにする方法を含む。次に第1および第2の出力信号を電子的に組み合わせて、対象物が第1および第2の磁界を周期的に連続して通過するときのタイミングに対応する出力を生成する。第1および第2の出力信号を組み合わせて、その同相信号が互いに差し引き合い、出力から、第1および第2の出力信号中に存在する任意の電磁妨害ノイズが取り除かれるようにする。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、本システムおよび方法は、第1および第2のコイル巻コアの第1および第2の出力信号に対してゲインをもたらすことができる。ゲイン能力によって、検知ユニットは、最小サイズを有することができる。たとえば、同等の信号レベルを生成するのに本来は必要であろうコイル巻数の5分の1〜10分の1である。コイル巻数のサイズが小さくなり、巻数が少なくなることによって、センサ帯域幅がさらに増加する。
【0013】
本発明の別の好ましい態様によれば、本システムは、タービン(たとえばガス・タービン・エンジン)上に設置されるブレード位置センサ・システムとして用いるのに適している。この場合、対象物は、ガス・タービンの複数の回転ブレードの1つであり、検知ユニットは回転ブレードに近接して配置される。この役割において、回路構成によってエンジンの動作環境内に存在するEMIの影響が十分に取り除かれて、センサ・ユニットは回転ブレードの位置を検知する作業を正確に行なうことができる。
【0014】
本発明の著しく優位な点は、受動渦電流センサが、マルチ・コイル・プローブ・デザインに付随するEMI抵抗のレベルを示せる一方で、単一コイル・プローブ・デザインに付随する高帯域幅能力も示すとともに、どちらのアプローチの場合よりも高い標的感度を実現することができるということである。本発明の他の優位な態様としては、回路構成の耐久性が挙げられる。回路構成は、125°Cを超える温度で動作および存続できることが好ましい。たとえば、検知ユニットおよびその回路構成は、ガス・タービン・エンジンの動作環境において見られる高温にさらすことが、回路構成の能動冷却を必要とすることなく可能である。
【0015】
本発明の他の目的および優位性は、以下の詳細な説明からより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】受動渦電流センサと、それが結合される回路構成であって、センサの別個の出力信号を電子的に組み合わせて出力を生成し、出力信号中に存在する電磁妨害ノイズが低減されるかまたは取り除かれる回路構成とを示す電気回路図である。
【図2】図1の回路構成により構成されたプロトタイプ回路の表現を示す図である。
【図3】図2の回路構成に接続された2つの受動渦電流センサの出力信号を示すグラフである。
【図4】ガス・タービン環境内に設置された図1のセンサおよび回路構成を概略的に表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は検知システム10の電気回路図である。検知システム10は、2つの受動渦電流センサ12Aおよび12Bと、それらが結合されるアナログ電子処理回路構成14であって、センサ12Aおよび12Bのそれぞれの別個の出力信号16Aおよび16Bを電子的に組み合わせる回路構成14とを収容している。処理回路構成14は、センサ12A〜Bの出力信号16A〜Bを組み合わせて、センサ12A〜Bの出力信号16A〜B中に存在する任意のEMIノイズを消去することによって回路構成14から発生するシステム出力18からのEMIノイズ除去を行なうようにするともに、出力信号16A〜Bにゲインをもたらす。その結果、システム10は、高帯域幅能力および標的感度の増大も示すこともできる。システム10およびセンサ12A〜Bを、回転機器(たとえば図4に示したようなガス・タービン・エンジンのブレード(バケット)20)の位置を検知することに特に適していると説明するが、他の応用例も予測できる。このような応用例では、回路構成14によって調整された後、回路構成14から発生しセンサ12A〜Bから処理された出力18を、ガス・タービン・エンジンのFADECまたは他の制御システム(図示せず)に送出してエンジンの動作を向上させることが、ブレード・チップ21の位置および振動を、ブレード20の回転速度とともにモニタリングすることによって可能である。
【0018】
図4に示すように、センサ12Aおよび12Bはセンサ・ユニット22内で組み合わされている。センサ・ユニット22は、米国特許第1,932,813号明細書(ギャラント))に開示されているマルチ・コイルE形状コア構成と似ているものである。なお当然のことながら、他のセンサ構成も可能であり本発明の範囲内である。たとえば、米国特許第6,927,567号明細書および第7,170,284号明細書(ローズラーら)に開示されるものと同様の2つの単一コイル・センサを用いることができる。センサ・ユニット22は、一対の強磁性コア26Aおよび26B間にそれらに隣接して永久磁石24を備えると示している。強磁性コア26Aおよび26Bにはそれぞれ、単一の絶縁ワイヤ・コイル28Aまたは28Bが密に巻かれている。永久磁石24は好ましくは、高磁気エネルギー生産材料たとえば鉄希土類金属合金(たとえば、Nd−Fe−B)またはサマリウム合金(たとえば、Sm−Co)から形成され、コア26Aおよび26Bは好ましくは磁性鋼から形成されるが、他の磁性材料を用いることも本発明の範囲内である。ブレード・チップ21の位置および振動をモニタリングするために、受動渦電流センサ・ユニット22を、各ブレード20がセンサ・ユニット22に接近して通るときに発生する電気信号が最大になるように取り付けていると示している。特に、センサ・ユニット22の配向は、ブレードがない状態で、磁束が磁石24の端部を通ってロータおよびそのブレード20の方に向かい、それから空間を通って弧を描いて2つの別個の磁束経路に沿って強磁性コア26Aおよび26Bのそれぞれに戻るように行なう。ブレード20が、磁束経路によって規定される磁界30Aおよび30Bを連続して通過するときに、渦電流32がブレード材料中に形成されて局所磁界30Aそして30Bにシフトが起こり、信号出力16A〜Bが、各コイル28Aおよび28Bのリード両端に電圧が発生する形態で連続して生成される。
【0019】
図4に、ブレード20を囲むエンジン・ケーシング34に取り付けられたセンサ・ユニット22を示す。エンジン・ケーシング34が、主として、チタン、ニッケル、および他の、低磁気抵抗を示す非鉄材料から形成されている場合、磁石24およびコア26A〜Bの端部を、完全にエンジン・ケーシング34を通り抜けて挿入する必要はない。しかしその代わりに、ケーシング34内の外部凹部36内に取り付けて、ケーシング34の一部がセンサ・ユニット22をエンジンの高温ガス経路から隔離するようにすることができる。センサ12A〜Bの他の態様(たとえばそれらの動作、構造、および設置)は当該技術分野で知られており、これ以上は説明しない。
【0020】
図4に、センサ12Aおよび12Bの別個の出力信号16Aおよび16Bがケーブルを通って処理回路構成14まで伝わって、回路構成14が別個の出力信号16Aおよび16Bを別個に受け取るようになっている様子を示す。図1に示す回路構成14は、センサ12A〜Bの2つのコイル28A〜Bからの出力信号16A〜Bを電子的に組み合わせて、両コイル28A〜Bにおける同相信号が互いに差し引き合い、EMIノイズが取り除かれるようにしている。図1では、センサ12A(「センサA」)の負側リード線からの信号とセンサ12B(「センサB」)の正側リード線からの信号とが組み合わさり、センサ12Aの正側リード線から信号とセンサ12Bの負側リード線からの信号とが組み合わさって、増幅器に対する入力となっている。次のことに注意されたい。すなわち、回路構成14および回路構成14が図1のセンサ12A〜Bに接続される仕方は、ギャラントのセンサ構成(コアが直列に配線されている)には適合しないであろう。なぜならば、回路構成14は、ギャラントのセンサ信号を差し引いて、それらの出力を消去するであろうからである。対照的に、ブレード20が本発明のセンサ・ユニット22のそばを通るときには、結果として生じるセンサ12A〜Bの出力信号は、磁界30A〜Bがその対応するコイル28A〜Bを通る方向に起因して、逆極性である。その結果、それらの逆極性信号を差し引きすることで、ブレード通過信号を(消去する代わりに)補強することになり、信号出力16A〜Bに効果的にゲインがもたらされる。図1では、抵抗器R2およびR4の抵抗値は等しく、抵抗器R1、R3、R13、およびR12の抵抗値は等しいが、ゲインは、抵抗器R1の抵抗値に対する抵抗器R2の抵抗値の比率によって設定される。これは、図1では、ゲイン10をもたらすには比率100/10である。このゲイン能力によって、受動渦電流センサ・ユニット22の要求サイズが小さくなる。たとえば、同等の信号レベルを生成するのに必要なコイル巻数の5分の1〜10分の1であろう。コイル巻数のサイズが小さくなり、巻数が少なくなることによって、センサ帯域幅が増加するという優位点もある。
【0021】
図1に示した4つの増幅器は好ましくは、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板および処理技術を用いて設けて、動作温度として最大約260°C(約500°F)を可能にする。当該技術分野で知られているように、SOI基板は通常、絶縁体上に薄いエピタキシャル層を備えている。基板は通常、一対の半導体(たとえば、シリコン)ウェハの一方または両方の接合面を、ウェハを接合する前に酸化させることによって形成する。最も典型的には、シリコン・ウェハ上に形成したエピタキシャル層上に単一の二酸化ケイ素層を成長させる。ウェハを接合した後で、絶縁体およびエピタキシャル層(および任意的に第2のウェハのシリコン層)以外のすべてをエッチング除去して、二酸化ケイ素層が、エピタキシャル層を電気絶縁する絶縁体を形成するようにする。SOI処理技術を用いてSOI基板上に設けるソリッド・ステート増幅器の市販の例は、ハネウェル(Honeywell)から市販されるHT1104モノリシック・クワッド演算増幅器である。このような高温性能であれば、回路構成14を、センサ・ユニット12またはセンサ・ユニット12を収容するハウジング38(図4に示す)内に組み込むことが、好ましくは、回路構成14の温度を従来のエレクトロニクスに求められる125°C未満に維持する専用の能動冷却システムを用いる必要なく可能である。用語「能動冷却」を本明細書で用いる場合の意味は、センサ12A〜B、回路構成14、およびそれらのハウジング38に加わる冷却システムであって、回路構成14からの熱を伝導、対流、および/または放射によって伝達するように具体的にデザインされたシステムである。
【0022】
前記回路14はさらに、ロー・パス・フィルタリングおよび/または差動ライン駆動手段を備えていても良い。図1では、増幅器U1に伴うコンデンサC5およびC6によって、センサ12A〜Bの出力信号16A〜Bに対するロー・パス・フィルタリングが得られている。C5およびC6の値は、等しく設定され、二重コイル・デザインおよび同相モード消去回路構成の固有のノイズ消去能力を超える付加的なEMIフィルタリングが得られるように調整される。差動ライン駆動機能は、増幅器U2および抵抗器R10と、増幅器U3および抵抗器R7、R8、R9、R11とを用いて実現される。差動ライン駆動によって、センサ信号をFADECに送信することが、EMI耐性が高くなった状態で可能になる。
【0023】
本発明に至る検討において、図2に示すプロトタイプ回路を、ハネウェルHT1104増幅器を用いて構成した。動作的には、プロトタイプ回路は、図1に概略的に示した回路構成14と本質的に同一であった。2つの同一の受動渦電流センサ(図示せず)を、前記回路に接続して、EMI源の隣に配置した。次に、負荷を駆動してFADECに対する接続をシミュレートしながら、前記回路の出力をモニタした。図3に前記回路の出力を示す。同相磁気EMIノイズが前記回路によって消去されたことが証明されている。
【0024】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、当業者であれば他の形態も採用できることが明らかである。たとえば、図1に示す構成部品の電気的値は、単に参照を目的としたものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならず、センサ12A〜Bおよび回路構成14の物理的な構成は、図示したものと異なることができ、説明したもの以外の材料および処理を用いることができる。したがって、本発明の範囲は以下の請求項によってのみ限定されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の周期的位置を検知するためのシステムであって、
1または複数の磁石と第1および第2のコイルがそれぞれ巻かれた第1および第2のコアとを備える受動渦電流検知手段であって、前記1または複数の磁石、前記第1および第2のコア、前記第1および第2のコイルは協同して、第1および第2の磁界を生成および検出し、前記検知手段は前記対象物に対して、前記対象物が前記第1および第2の磁界を周期的に連続して通過するように位置し、前記第1および第2のコイルはそれぞれ第1および第2の出力信号を、前記第1および第2の磁界を周期的に連続して通過する前記対象物に応答して出力する、受動渦電流検知手段と、
前記第1および第2のコイルに別個に接続されて、前記第1および第2のコイルの前記第1および第2の出力信号をそれぞれ別個に受け取る回路構成であって、前記第1および第2の出力信号を電子的に組み合わせて、前記対象物が前記第1および第2の磁界を周期的に連続して通過するときのタイミングに対応する出力を生成し、前記第1および第2の出力信号を組み合わせて、その同相信号が互いに差し引き合い、前記出力から、前記第1および第2の出力信号中に存在する任意の電磁妨害ノイズが取り除かれるようにする、回路構成と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記回路構成はさらに、前記第1および第2の出力信号の電子ゲインをもたらし、前記出力の帯域幅および信号レベルを増加させる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1または複数の磁石は、前記第1および第2のコア間の単一の磁石であり、前記単一の磁石は、前記第1および第2のコアならびにそれらの前記第1および第2のコイルのそれぞれと協同して、前記第1および第2の磁界をそれぞれ生成する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記回路構成は、シリコン・オン・インシュレータ基板上に設けられた増幅器を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記増幅器の最大動作温度は125℃よりも大きい請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記増幅器の最大動作温度は少なくとも約260℃である請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記対象物はガス・タービンの複数の回転ブレードを含み、前記システムは、前記ガス・タービン上に設置されたブレード位置センサ・システムであり、前記検知手段は前記回転ブレードに近接して配置される請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムには前記回路構成を冷却するための能動冷却手段がない請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記回路構成および前記検知手段は共にハウジング内に収容される請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムには前記回路構成を冷却するための能動冷却手段がない請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
ガス・タービンの回転ブレードの周期的位置を検知するためのシステムであって、
第1および第2の受動渦電流センサを備える検知ユニットであって、前記第1および第2の受動渦電流センサは、少なくとも1つの磁石と第1および第2のコイルがそれぞれ巻かれた第1および第2のコアとを備え、前記少なくとも1つの磁石、前記第1のコア、および前記第1のコイルは協同して第1の磁界を生成および検出し、前記少なくとも1つの磁石、前記第2のコア、および前記第2のコイルは協同して第2の磁界を生成および検出し、前記第1および第2の受動渦電流センサの前記ガス・タービン上の位置は、前記回転ブレードが前記第1および第2の磁界を周期的に連続して通過し、前記第1および第2のコイルが第1および第2の出力信号を、前記第1および第2の磁界を通過する前記回転ブレードに応答して生成するように定められている、検知ユニットと、
前記検知ユニットに結合された回路構成であって、前記第1および第2のコイルの前記第1および第2の出力信号を電子的に組み合わせて、前記回転ブレードが前記第1および第2の磁界を通過するときのタイミングに対応する出力を生成し、前記第1および第2の出力信号を組み合わせて、その同相信号が互いに差し引き合い、前記出力から、前記第1および第2の出力信号中に存在する任意の電磁妨害ノイズが取り除かれるようにし、さらに前記第1および第2の出力信号の電子ゲインをもたらして、前記出力の帯域幅および信号レベルを増加させる回路構成と、を備えるシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの磁石は、前記第1および第2のコア間の単一の磁石であり、前記単一の磁石は、前記第1および第2のコアならびにそれらの前記第1および第2のコイルのそれぞれと協同して、前記第1および第2の磁界をそれぞれ生成する請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記回路構成は、シリコン・オン・インシュレータ基板上に設けられた増幅器を備える請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記増幅器の最大動作温度は125℃よりも大きい請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記増幅器の最大動作温度は少なくとも約260℃である請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムには、前記回路構成を冷却するための能動冷却手段がない請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記回路構成および前記検知ユニットは共にハウジング内に収容される請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
対象物の周期的位置を検知する方法であって、
受動渦電流検知手段を前記対象物に近接して配置することと、
前記対象物を、前記検知手段から発生する第1および第2の磁界中を周期的に連続して通過させて、別個の第1および第2の出力信号をそれぞれ生成することと、
前記第1および第2の出力信号を電子的に組み合わせて、前記対象物が前記第1および第2の磁界を周期的に連続して通過するときのタイミングに対応する出力を生成することであって、前記第1および第2の出力信号を組み合わせて、その同相信号が互いに差し引き合い、前記出力から、前記第1および第2の出力信号中に存在する任意の電磁妨害ノイズが取り除かれるようにする、生成することと、を含む方法。
【請求項19】
前記電子的に組み合わせるステップはさらに、前記第1および第2の出力信号の電子ゲインをもたらして、前記出力の帯域幅および信号レベルを増加させる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象物はガス・タービンの複数の回転ブレードを含み、前記システムは、前記ガス・タービン上に設置されたブレード位置センサ・システムであり、前記検知手段はブレードに近接して配置される請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−501445(P2012−501445A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525068(P2011−525068)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/052973
【国際公開番号】WO2010/025017
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】