説明

封筒検査装置及び封筒検査方法

【課題】封入物の種類によって重量が極端に異なる場合であっても,封筒に封入された封入物の過不足を正確に検査できる装置を提供する。
【解決手段】封筒検査装置1は,封筒3に封入される丁合数に合わせたときの封入物の重量と,封入物の単位重量と丁合数から算出する基準値を比較することで,封入物の過不足を封入物の種類毎に検査した後,封入物の過不足が無ければ,封入物に記憶された個体識別情報に関連付けて封入物の重量を記憶する封入物検査手段10と,封筒3に封入された封入物に記憶された個体識別情報に関連付けられて記憶された封入物の重量の合計値と封筒の重量を加算した値と,封入後の封筒3aの重量を比較することで,封入後の封筒3aに封入された封入物の過不足を検査する封筒検査手段10を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の封入物(例えば,帳票や金券)などが封入された封筒を検査するための技術に関し、更に詳しくは、重量を用いて,封筒に封入された封入物の過不足を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を封入して配送する場合、封入物の配送ミスを防止するために、封筒に封入された封入物に過不足がないことを何からの手法により検査することが求められている。
【0003】
封筒に封入する封入物の検査する際,機械的に読み取り可能なコード(例えば,バーコード)を封入物に付与し,封筒に封入する封入物を管理することが一般的な手法として用いているが,特許文献1では,機械的に読み取り可能なコードに加え,封入物の重量を利用して,封筒に封入された封入物の過不足を検査する発明が開示されている。
【0004】
特許文献1で開示されている発明では,機械的に読み取り可能なコードであるバーコードを帳票から読み取り、このバーコードにエンコードされている情報に基づいて,封入物の一つである帳票,帳票と共に封入する金券及び封筒の重量を特定し,帳票及び金券を封入した後の封筒の重量の計測値と,特定した帳票,金券及び封筒の重量を合計した理論値を比較して,封筒に封入された封入物の過不足を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-122545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし,特許文献1で開示されている発明では、所定数の封入物の総重量を所定数で除算することで一つの封入物の重量を算出していたが、同じ封筒に封入する封入物の種別によって重量が極端に異なる場合,重量が重い封入物の重量誤差内に,重量が軽い封入物の重量が含まれてしまうと、重量が軽い封入物を封筒に封入した枚数を正確に検査することができなかった。
【0007】
例えば,帳票及び金券を封入物として同じ封筒に封入する場合,一枚の金券の重量よりも帳票の重量が極端に重いと,帳票の重量の誤差範囲に一枚の金券の重量が含まれてしまい,所定枚数の金券が封筒に封入されているか否かを正確に検査することができなかった。
【0008】
そこで,本発明は,同じ封筒に封入する封入物の種類によって重量が極端に異なる場合であっても,封筒に封入された封入物の過不足を正確に検査できる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決する第1の発明は,封筒に封入される丁合数に合わせたときの封入物の重量と,封入物の単位重量と丁合数から算出する基準値を比較することで,封入物の過不足を封入物の種類毎に検査した後,封入物の過不足が無ければ,封入物に記憶された個体識別情報に関連付けて封入物の重量を記憶する封入物検査手段と,封筒に封入された封入物に記憶された個体識別情報に関連付けられて記憶された封入物の重量の合計値と封筒の重量を加算した値と,封入後の封筒の重量を比較することで,封筒に封入された封入物の過不足を検査する封筒検査手段を備えた封筒検査装置である。
【0010】
上述した第1の発明によれば,丁合数に合わせた封入物と封筒の重量を封入物の種類毎に重量計で封入前に計測し,封筒に封入する封入物の重量の計測値を用いて,封筒に封入された封入物の過不足を封筒毎に検査することで,封筒に封入された封入物の過不足の検査に利用される封入物の重量は統計値ではなく実測値になるため,同じ封筒に封入する封入物の中に,重量の重い物と重量の軽い物があった場合でも,封筒に封入された封入物の過不足を正確に検査できるようになる。
【0011】
また,非接触個体識別で利用される個体識別媒体(例えば,バーコードやRFID)にエンコードされた個体識別情報を読み取る個体識別情報読み取り手段を封用検査装置に備えさせ,封入物に付与された個体識別媒体から個体識別情報を読み取るようにすることが望ましい。
【0012】
更に,第2の発明は,封筒に封入される丁合数に合わせたときの封入物の重量と,封入物の単位重量と丁合数から算出する基準値を比較することで,封入物の過不足を封入物の種類毎に検査した後,封入物の過不足が無ければ,封入物に記憶された個体識別情報に関連付けて封入物の重量を記憶する工程と,封筒に封入された封入物に記憶された個体識別情報に関連付けられて記憶された封入物の重量の合計値と封筒の重量を加算した値と,封入後の封筒の重量を比較することで,封筒に封入された封入物の過不足を検査する工程と,
が実行されることを特徴とする封筒検査方法で,第2の発明によれば,第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば,同じ封筒に封入する封入物の種類によって重量が極端に異なる場合であっても,封筒に封入された封入物の過不足を正確に検査できる装置及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の構成を説明する図。
【図2】封筒検査装置のブロック図。
【図3】封筒検査装置の動作を示したフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここから,本願発明の実施形態について,本願発明の技術分野に係わる当業者が,本願発明の内容を理解し,本願発明を実施できる程度に説明する。
【0016】
図1は,本実施形態の構成を説明する図である。図1では,同じ封筒3に封入する封入物として,重量の重い冊子体5と重量の軽い金券4を例示している。また,図1では,封入後の封筒3aに封入された封入物の過不足を検査する装置として,複数の重量計2が接続された封筒検査装置1を図示している。
【0017】
冊子体5の枚数が同じであっても,冊子体5の重量にはバラツキが生じてしまうため,本実施形態のように,重量の重い冊子体5と重量の軽い金券4を同一の封筒3に封入する場合,冊子体5の重量分布内に一枚の金券4の重量が含まれると,冊子体5と複数の金券4を封入後の封筒3aの重量を測定しても,封入後の封筒3aに封入された金券4の枚数を正確に検査することができなくなってしまう。
【0018】
そこで,図1で図示した封筒検査装置1は,少なくとも,丁合数に合わせた封入物(ここでは,冊子体5と金券4)の重量を封入物の種類毎に重量計2で計測し,基準値と比較しそれぞれ正しいものかを検査した後,非接触個体識別に用いられる個体識別媒体(例えば,バーコードやICタグ)によって,封入物(ここでは,冊子体5)にエンコードされた個体識別情報を読み取り,個体識別情報に関連付けてこれらの重量を記憶しておく。
【0019】
そして、封入物(ここでは,冊子体5及び金券4)を封筒3に封入する際,封筒3に封入する封入物(ここでは,冊子体5)の個体識別媒体にエンコードされた個体識別情報を読み取り,この個体識別情報に関連付けられた重量の合計値に封筒3の重量を加算した値を求め,封入後の封筒3aの重量とこの値を比較することで,封入後の封筒3aに封入された封入物の過不足を検査する。なお,封筒3の重量は,丁合数に合わせた封入物の重量を測定するときに測定してもよく,また,封筒3の単位重量を用いてもよい。
【0020】
このように,丁合数に合わせた封入物(ここでは,冊子体5と金券4)と封筒3の重量を封入物の種類毎に重量計2で封入前に計測し,封筒3に封入する封入物の重量の計測値を用いて,封入後の封筒3aに封入された封入物の過不足を検査することで,封入後の封筒3aに封入された封入物の過不足の検査に利用される封入物の重量は統計値ではなく実測値になるため,同じ封筒3に封入する封入物の中に,重量の重い物(ここでは,冊子体5)と重量の軽い物(ここでは,金券4)があった場合でも,封入後の封筒3aに封入された封入物の過不足を正確に検査できるようになる。
【0021】
なお,図1では,封筒検査装置1に重量計2を接続することで,重量計2の計測値がオンラインで封筒検査装置1に入力されるように構成しているが,重量計2の計測値がオフラインで封筒検査装置1に入力されるように構成することもできる。
【0022】
図2は,封入後の封筒3aの内容を検査する封筒検査装置1のブロック図である。封入後の封筒3の内容を検査する封筒検査装置1は,ハードウェアとして,CPU(CPU: Central Processing Unit)、メインメモリであるRAM(RAM: Random Access Memory)、外部記憶装置として大容量のデータ記憶装置,外部デバイスとデータ通信するための入出力インターフェース、ネットワーク通信するためのネットワークインターフェース、ディスプレイ,文字入力デバイス及びポインティングデバイスなどを備えたコンピュータで実現される装置で,ソフトウェアで実現される機能として,封筒3に封入される丁合数に合わせたときの封入物の重量と,封入物の単位重量と丁合数から算出する基準値を比較することで,封入物の過不足を封入物の種類毎に検査した後,封入物の過不足が無ければ,封入物にエンコードされた個体識別情報に関連付けて封入物の重量を記憶する封入物検査手段10と,封入後の封筒3aに封入された封入物に記憶された個体識別情報に関連付けられて記憶された封入物の重量の合計値と封筒3の重量を加算した値と,封入後の封筒3aの重量を比較することで,封入後の封筒3aに封入された封入物の過不足を検査する封筒検査手段11と,封入物に付与された個体識別媒体から個体識別情報を読み取る個体識別情報読み取り手段12が備えられ,本実施形態では,封入物検査手段10及び封筒検査手段11には重量計2が接続されている。
【0023】
また,封筒検査装置1の封入物検査手段10及び封筒検査手段11が利用する情報を記憶するデータベースとして,封筒3に封入する封入物毎に,封入物の単位重量を記憶した封入物DB14と,個体識別情報に関連付けて,個体識別情報がエンコードされた封入物を封入する封筒3の丁合仕様として丁合枚数を封入物の種類毎に記憶した丁合仕様DB15(DB: DataBase)と,個体識別情報に関連付けて,封入物及び封筒3の重量を計測した値が記憶される重量DB15がデータ記憶装置に設けられている。
【0024】
ここから,封筒3に封入された封入物の過不足を検査する封筒検査装置1の動作を説明しながら,封筒検査装置1に備えられた封入物検査手段10及び封筒検査手段11について詳細に説明する。
【0025】
図3は,封筒3に封入された封入物の過不足を検査する封筒検査装置1の動作を示したフロー図で,図3(a)は,封筒検査装置1の封入物検査手段10によって実行される動作のフロー図で,図3(b)は,封筒検査装置1の封筒検査手段11によって実行される動作のフロー図である。
【0026】
まず,図3(a)を参照しながら,封筒検査装置1の封入物検査手段10によって実行される動作について説明する。封筒3に封入物を封入する前に,封入物を封入する封筒3毎に,封筒3の丁合仕様に合わせて,封筒3に丁合する封入物の組合せが決定され,図3(a)の手順は,封筒3に丁合する封入物の組合せ毎に実行される。ここで,封筒3に丁合する封入物の組合せとは,丁合仕様に含まれる丁合枚数に合わせて選択された封入物の組合せを意味する。
【0027】
封入物の組合せが決定されると,個体識別媒体が付与されている封入物を対象とし,この個体識別媒体に記憶された個体識別情報が,個体識別情報読み取り手段12によって読み取られ,個体識別情報読み取り手段12から封筒検査装置1の封入物検査手段10へ個体識別情報が送信される(S1)。
【0028】
なお,封筒検査装置1に備えられた個体識別情報読み取り手段12の形態は,非接触個体識別に利用され,封入物(ここでは,冊子体5)に付与された個体識別媒体の形態に依存し,個体識別媒体がバーコードならば個体識別情報読み取り手段12は,図1で図示したようなバーコードリーダ1aになる。また,個体識別媒体がRFIDならば個体識別情報読み取り手段12はRFIDリーダになる。
【0029】
個体識別媒体に記憶された個体識別情報が送信されると,封筒3に丁合する封入物の組合せに含まれる封入物の重量が封入物の種類毎に重量計2によって読み取られ,更に,本実施形態では,組合せに含まれる封入物を封入する封筒3の重量が重量計2によって読み取られ,これらの重量が封筒検査装置1の封入物検査手段10へ重量計2から送信される(S2)。
【0030】
この手順で対象となる組合せに含まれる封入物及びこれらの封入物を封入する封筒3の重量が送信されると,封筒検査装置1の封入物検査手段10は,封入物の種類毎に封入物の重量と基準値を比較して,封入物の種類毎に封入物の過不足がないか検査する(S3)。
【0031】
封入物の種類毎に封入物の重量と基準値を比較する際,封筒検査装置1の封入物検査手段10は,丁合仕様DB13を参照して,個体識別情報読み取り手段12から送信された個体識別情報に関連付けられて記憶されている封入物の丁合枚数を封入物の種類毎に取得すると共に,封入物DB14を参照して,封入物の単位重量を封入物の種類毎に取得する。
【0032】
そして,この手順で対象となる組合せに含まれる封入物毎に,封入物DB14から得られた封入物の単位重量に丁合仕様DB13から得られた丁合枚数を乗算することで基準値を算出した後,重量計2から送信された封入物の重量を比較する。
【0033】
封入物の種類毎に封入物の重量と基準値を比較し,封入物の重量と基準値の差が許容値以内であれば,封入物に過不足がないと判断し,封筒検査装置1の封入物検査手段10は,個体識別情報読み取り手段12によって読み取られた個体識別情報に関連付けて,封入物及び封筒3の重量を重量DB15に登録して(S4),この手順は終了する。
【0034】
次に,図3(b)を参照しながら,封筒検査装置1の封筒検査手段11によって実行される動作について説明する。なお,図3(b)で図示した手順は,封筒3に丁合する封入物の組合せ毎に実行される。
【0035】
封筒3に封入された封入物の過不足を検査するとき,個体識別媒体が付与されている封入物を対象とし,この個体識別媒体に記憶された個体識別情報が,個体識別情報読み取り手段12によって読み取られ,個体識別情報読み取り手段12から封筒検査装置1の封筒検査手段11へ個体識別情報が送信される(S10)。
【0036】
個体識別媒体に記憶された個体識別情報が送信されると,封筒検査装置1の封筒検査手段11は,この個体識別情報に関連づけられている封入物及び封筒3の重量を重量DB15から検索し,これらの重量の合計値を算出する(S11)。
【0037】
また,この手順で対象となる組合せに含まれる封入物が封筒3に封入されると,封入後の封筒3の重量が重量計2で測定され,封入後の封筒3の重量が重量計2から封筒検査装置1の封筒検査手段11へ送信される(S12)。
【0038】
封入後の封筒3の重量が送信されると,封筒検査装置1の封筒検査手段11は,封入物及び封筒3の重量の合計値と封入後の封筒3の重量を比較することで,封入後の封筒3に封入された封入物の過不足を検査し(S13),この手順は終了する。
【0039】
なお,封入物及び封筒3の重量の合計値と封入後の封筒3の重量を比較して,封入後の封筒3に封入された封入物の過不足を検査する際,封筒検査装置1の封筒検査手段11は,封入物及び封筒3の重量の合計値と封入後の封筒3の重量の差が許容値以内であれば,封入後の封筒3の内容は正常であると判定する。なお,この許容値は,最も軽い封入物の重量を参照し,最も軽い封入物の重量よりも小さい値に設定しておくとよい。
【符号の説明】
【0040】
1 封筒検査装置
10 封入物検査手段
11 封筒検査手段
2 重量計
3 封入前の封筒
3a 封入後の封筒
4 金券
5 冊子体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒に封入される丁合数に合わせたときの封入物の重量と,前記封入物の単位重量と丁合数から算出する基準値を比較することで,前記封入物の過不足を封入物の種類毎に検査した後,前記封入物の過不足が無ければ,前記封入物に記憶された個体識別情報に関連付けて封入物の重量を記憶する封入物検査手段と,
前記封筒に封入された前記封入物に記憶された前記個体識別情報に関連付けられて記憶された前記封入物の重量の合計値と前記封筒の重量を加算した値と,封入後の前記封筒の重量を比較することで,前記封筒に封入された前記封入物の過不足を検査する封筒検査手段と,
を備えたことを特徴とする封筒検査装置。
【請求項2】
非接触個体識別で利用される個体識別媒体にエンコードされた前記個体識別情報を読み取る個体識別情報読み取り手段を備え,前記封入物検査手段及び前記封筒検査手段は前記個体識別情報読み取り手段を用いて,前記封入物に付与された前記個体識別媒体から前記個体識別情報を読み取ることを特徴とする,請求項1に記載の封筒検査装置。
【請求項3】
封筒に封入される丁合数に合わせたときの封入物の重量と,前記封入物の単位重量と丁合数から算出する基準値を比較することで,前記封入物の過不足を封入物の種類毎に検査した後,前記封入物の過不足が無ければ,前記封入物に記憶された個体識別情報に関連付けて封入物の重量を記憶する工程と,
前記封筒に封入された前記封入物に記憶された前記個体識別情報に関連付けられて記憶された前記封入物の重量の合計値と前記封筒の重量を加算した値と,封入後の前記封筒の重量を比較することで,前記封筒に封入された前記封入物の過不足を検査する工程と,
が実行されることを特徴とする封筒検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−201630(P2011−201630A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69251(P2010−69251)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】