封緘用粘着テープ、封緘体、封緘体の温度変化の確認方法
【課題】 缶体や箱体等の封緘体について、これに簡易な手段を施すことにより、封緘体が温度変化を受けたか否かの確認を容易に行うことができるようにすること。
【解決手段】 支持基材1および粘着剤層2を有する封緘用粘着テープTであって、
封緘用粘着テープTは、少なくとも一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部3を有する。
【解決手段】 支持基材1および粘着剤層2を有する封緘用粘着テープTであって、
封緘用粘着テープTは、少なくとも一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部3を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する封緘用粘着テープに関する。また、本発明は当該封緘用粘着テープを用いて、封緘体の封緘部を封緘した封緘体に関する。また本発明は、前記封緘体の温度変化を受けた否かを、封緘用粘着テープが有する示温性材料の変色の有無により確認する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓋を有する缶体や、段ボール箱、紙箱等の箱体等は、これらの中に、各種製品等の内容物を保管するための外装パッケージとして用いられる。これら缶体や箱体等は、各種製品を内容物として内包した後には、蓋等の封緘部を封緘することが多い。すなわち、缶体や箱体等の封緘体は、封緘部の封緘により、内包物はパッケージ内に密閉された状態となっている。前記封緘部の封緘には、封緘用粘着テープが用いられている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
したがって、封緘体である外装パッケージが不透明な場合には、外部からは内包物を確認できない。そのため、封緘体が高温下に晒さらされて内包物に熱等がかかって、内包物に変質が生じていたとしても、内包物の状態がどのような状態にあるか確認できなかった。内包物の状態を確認するには、封緘部の封緘を解除して、外装パッケージングを開放する必要があるが、製品等の販売前にパッケージングの開放は不可のため、各種製品等を販売する段階においては、内包物が変質しているか否かの確認ができない状態であった。そのため、各種製品等を販売する際に内包物が変質していたのか、販売後に利用者の管理に問題が有ったために変質が生じたのかが分からない状態にあり、製品の管理上問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、製品等の外装パッケージに、温度変化によって変色するラベルを貼り付けることが行われている。かかる温度変色ラベルは、外装パッケージの外観を損なわないように、缶体の底面等に貼り付ける場合が多い。しかし、温度変色ラベルを底面に貼り付けた場合には、温度変色ラベルの貼り付け場所が分かりにくく、どこに温度変色ラベルが貼ってあるのかが分かり難かった。また、温度変色ラベルは、基材レスの両面テープ等を介して外装パッケージに貼り付けられているため、貼り付けのための粘着加工が必要なこと、さらには温度変色ラベルを貼り付ける工程が必要となる等の貼り付け工程上の不具合があった。また、温度変色ラベルは、変色部分を保護するためにカバーフィルムが必要であることなど、コスト的にも高価なものとなっていた。
【特許文献1】特開2002−317157号公報
【特許文献2】特開2003−20457号公報
【特許文献3】特開2003−105285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、缶体や箱体等の封緘体について、これに簡易な手段を施すことにより、封緘体が温度変化を受けたか否かの確認を容易に行うことができるようにすることを課題とするものである。さらには、変色部分を保護するためにカバーフィルム等を不要とすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す封緘方法により前記目的を達成できることを見出し、本発明を解決するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、支持基材および粘着剤層を有する封緘用粘着テープであって、
封緘用粘着テープは、一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有することを特徴とする封緘用粘着テープ、に関する。
【0008】
本発明では、封緘用粘着テープの一部に温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有する。封緘用粘着テープは、封緘体の封緘部に貼り付けられるため、封緘体を陳列、管理等している場合に、ラベル等に比べて、観察しやすい位置に、示温性材料を確認できる。そのため、例えば、封緘体に係わる製品が、販売までに高温に晒されて熱がかかったか否かを容易に確認できる。また、封緘用粘着テープは、従来から、封緘体に用いられており、ラベルのように、貼り付けのための粘着加工が必要でない。また、本発明の封緘用粘着テープは、示温性材部を利用すること以外は、従来と同様の封緘用粘着テープに係わる材料を用いることができため、コスト的に安価であり、かつ、簡易な方法によって、示温性部を、封緘体に表示することができる。
【0009】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、粘着剤層の表面に、示温性層として設けることができる。
【0010】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、支持基材粘着剤層の表面に、示温性層として設けることができる。
【0011】
示温性部は、支持基材、粘着剤層のいずれの側においても、示温性層として積層することにより設けることができ、また支持基材および粘着剤層の両側に設けることができるが、示温性層は粘着剤層側に設けることが好ましい。粘着剤層側に示温性層をラベル等の形状で設ける場合に、示温性層を粘着剤層に貼り付けることにより、容易に積層することができ、示温性層の積層工程を別途設ける必要がない。また、示温性層を粘着剤層側に設ける場合には、封緘用粘着テープを、封緘体に貼り付けた際に、示温性層が、封緘体と粘着剤層に挟まれるため、当該示温性層には、カバーフィルム等を付設する必要がなく、コスト的にも安価である。
【0012】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、粘着剤層の中に含有させることができる。
【0013】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、支持基材の中に含有させることができる。
【0014】
示温度性部は、支持基材および/または粘着剤層の中に含有させることもできる。示温性部を支持基材、粘着剤層の中に含有させた場合には、示温性層を別途設ける必要はなく、封緘用粘着テープの製造、貼り付け操作が良好である。
【0015】
前記封緘用粘着テープにおいて、封緘用粘着テープの最端部は、当該粘着テープを引き剥がすための掛け部となっており、当該掛け部に、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部とすることができる。
【0016】
封緘用粘着テープの最端部に、粘着テープを引き剥がすための掛け部を設け、当該掛け部に、示温性部を含有させることで、例えば、当該示温性部に、人間の体温で不可逆的に変色する示温性材料を用いれば、当該示温性材料の変色の有無により、掛け部に人が接触したか否か、さらには、封緘用粘着テープの引き剥がし等のいたずらが行われたか否か等の判断材料とすることができる。
【0017】
また本発明は、封緘部を封緘することにより密閉される封緘体の前記封緘部に、前記封緘用粘着テープが貼り付けられており、前記封緘部が封緘されていることを特徴とする封緘体、に関する。
【0018】
本発明の封緘用粘着テープが貼り付けられている封緘体は、封緘用粘着テープが有する示温性材料の変色の有無を確認することで、封緘体内の内包物の品質管理を簡易に行うことができる。その結果、販売にあたって、内包物が変質して不良品となっているか否かを容易に判断でき、封緘体を販売したの、内包物の変質に係わるトラブルを未然に防ぐことが可能となる。
【0019】
また本発明は、前記記載の、封緘部に封緘用粘着テープが貼り付けられている封緘体に対して、封緘用粘着テープが有する示温性部の変色の有無により、封緘体が、温度変化を受けたかどうかを確認することを特徴する封緘体の温度変化の確認方法、に関する。
【0020】
本発明の封緘用粘着テープを貼り付けた封緘体は、当該封緘体が温度変化等を受けた否かを簡易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の封緘用粘着テープ等を、図面を参照しながら説明する。本発明の封緘用粘着テープTは、図1乃至図5等に示すように、支持基材1と、粘着剤層2を有する。また、本発明の封緘用粘着テープは、一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部3を有する。なお、本発明の封緘用粘着テープはシート状で用いることができる。
【0022】
図1は、示温性部3が示温性層3として、粘着剤層2に積層されている場合であり、示温性層3は、粘着剤層2に、直接、積層されている。図1(a)は、封緘用粘着テープTの断面図であり、図1(b)は、封緘用粘着テープTの斜視図である。図1(c)は、封緘用粘着テープTが、封緘体4の封緘部41に貼り付けられた状態の断面図である。
【0023】
図1の封緘用粘着テープTでは、示温性部3は、1つが記載されているが、示温性部3は、複数を有していてもよい。示温性部3は、封緘用粘着テープTにおいて、封緘体に貼り付けられる長さにおいて、少なくとも1つあればよい。また図1(b)において、示温性部3は、円形のものが例示されているが、示温性部3の形状は特に制限されず、各種形状とすることができ、また、各種模様形状や文字、記号等とすることができる。例えば、封緘体4の外装パッケージに表示されている模様(例えば、キャラクターの模様)に応じた模様を示温性部3の形状とすることができる。また、図1(b)では、示温性部3は、封緘用粘着テープTの幅方向の略中央に配置されてあるが、示温性部3の位置は特に制限されない。また、示温性部3は、封緘用粘着テープTの全幅方向に設けることができる。なお、封緘用粘着テープは、少なくとも一部に設けていればよく、示温性部3は、その全てが、示温性材料に形成されていてもよく、その一部が示温性材料により形成されていてもよい。なお、示温性部3の個数、形状、配置等は、図2乃至図5等の他の態様の封緘用粘着テープTにおいても同様に適用される。
【0024】
図2は、示温性部3を、粘着剤層2中に有する場合である。なお、図1、図2の態様では、封緘用粘着テープTとしての粘着性能を確保するため、粘着剤層2の表面における示温性部3の面積割合(示温性層3の表面積/粘着剤層2として全表面)×100(%)は、20〜90%、さらには50〜80%とするのが好ましい。
【0025】
図3は、示温性部3が示温性層3として、支持基材1に積層されている場合の封緘用粘着テープTの断面図である。図4は、示温性部3が、支持基材1中に有する場合の封緘用粘着テープTの断面図である。なお、図3、4の態様では、示温性部3を保護するために、その表面にカバーフィルム(図示せず)を設けることができる。
【0026】
図5(a)は、封緘用粘着テープの最端部に、引き剥がすための掛け部Kを設け、その掛け部Kとして、示温性部3を設けた場合の封緘用粘着テープTの断面図である。図5(b)は、その斜視図であり、封緘用粘着テープTの全幅方向に掛け部Kが設けられている。図5(a)、(b)は、示温性部3である掛け部Kを図1の態様で設けた場合であるが、図2乃至図4の態様で設けることもできる。また、示温性部3を有する掛け部Kは、図5(c)のように、粘着剤層2に積層した示温性部3が、封緘用粘着テープTの粘着剤層2により挟まれるように、封緘用粘着テープTの最端部を粘着剤層2が内側になるように折り曲げることにより形成することができる。
【0027】
図6は、封緘体4の封緘部41に、封緘用粘着テープTを貼り付けて、封緘部41を封緘したものである。図6の、封緘体4は、下部体4Bである収容部に対して、上部体4Aが蓋となる構造になっており、封緘部41において、封緘体4は封緘され密閉されている。封緘用粘着テープTは、掛け部Kを有する。示温性部3は、掛け部Kおよび支持基材1または粘着剤層の表面または中に設けられている。
【0028】
支持基材1の材質としては、特に限定されず、封緘用粘着テープに採用できる各種のものを用いることができる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;エチレン、プロピレン、ブテン−1等のα−オレフィンを1種または2種以上用いたポリオレフィン;前記α−オレフィンと環状オレフィン、スチレン等の芳香族ビニル化合物との共重合体;ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の透明プラスチックがあげられる。また、天然紙、合成紙、再生紙、クラフト紙等の紙類、織布、不織布等またはこれらのプラスチックラミネート物等があげられる。
【0029】
なお、封緘用粘着テープとして、図1、図2の態様で示温性層3を設ける場合には、封緘用粘着テープを貼り付けた場合に、示温性層3を視認できるように、支持基材1は、透明性材料が用いられる。封緘用粘着テープとして、図3、図4の態様で示温性層3を設ける場合には、封緘用粘着テープを貼り付けた場合にも、示温性層3を視認できるため、支持基材1は、透明性材料以外のものを用いることができ、また透明プラスチックを着色して用いることができる。着色には、適宜に顔料等が用いられる。
【0030】
支持基材1の厚さは、特に制限されないが、剥離しやすさと加工性の点から4〜150μm程度、好ましくは25〜150μmである。支持基材1のテープ幅は、封緘体の種類、封緘部の形状等に応じて適宜に決定できるが、通常、10〜100mm、好ましくは15〜50mmである。
【0031】
粘着剤層2を構成する粘着剤としては、封緘用粘着テープに採用できる各種のものを用いることができる。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの各種の粘着剤を特に制限なく使用することができる。前記粘着剤には、ベースポリマーに加えて、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤等が配合される。また前記粘着剤には、可塑剤、充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。なお、支持基材1と同様に、封緘用粘着テープとして、図1、図2の態様で示温性層3を設ける場合には、粘着剤層2は、透明性材料が用いられる。
【0032】
粘着剤層2は、支持基材1の片面に形成することにより行うことができる。粘着剤層2の形成方法は、特に制限されず、支持基材1に粘着剤を含む溶液またはエマルジョンを、コンマコーター、トップフィードリバースコーターなどを用いて直接塗布して乾燥する方法、また別途、離型フィルムに粘着剤層2を形成した後、それらを支持基材1に貼り合せる方法等を採用することができる。粘着剤層2の厚さは、封緘体の種類、封緘部の形状等に応じて適宜に決定できるが、通常、10〜200μm程度、さらには10〜50μmが好ましい。
【0033】
本発明の封緘用粘着テープTが、前記支持基材1、粘着剤層2とともに有する、示温性部3は、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する。
【0034】
示温性材料は、封緘用粘着テープを適用する封緘体内に収める内包物の種類に応じて、その内包物の品質等の管理ができるように、内包物の品質変化を生じる温度等を考慮して、選択して用いる。示温性材料は、温度変化によって不可逆的に変色するものであれば、温度の上昇に伴い変色するものでもよく、温度の低下に伴い変色するものでもよい。例えば、前記内包物として、チョコレートのように、30℃以上の温度において、変質、変形等が生じ易く、商品価値を損なうおそれがある場合には、30℃になると不可逆的に変色する材料が用いられる。示温性材料は、温度変化により変色すれば、変色の前後の色は問われないが、封緘用粘着テープを適用する封緘体の外装の色等を考慮して、所定の温度以上になったことを認識できるような色を選択するのが好ましい。例えば、所定温度以上になって変色した後の示温性部3の色と、封緘体4の外装の色とが同じになって、示温性部3の視認性を損なわないような態様を選択するのが好ましい。なお、示温性材料は、変色前は透明であり、変色後に着色するようなもの、またはその逆に、変色するものであってもよい。
【0035】
示温性材料としては、例えば、加熱により変色するものとして、例えば、ビスマス化合物と、化合物としての水を含む金属化合物および水を含む金属錯体化合物の少なくとも一方と、チオ尿素化合物とを含有する組成物があげられる。かかる組成物は、ビスマス化合物が7〜30重量部、水を含む金属化合物および水を含む金属錯体化合物の少なくとも一方が7〜30重量部、チオ尿素化合物が3〜10重量部であることが好ましい。
【0036】
ビスマス化合物としては、3,2−酸化ビスマス、硝酸水酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性酢酸ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、シュウ酸ビスマス、硫酸ビスマス、塩化ビスマスがあげられる。これら化合物は1種または2種以上が用いられる。
【0037】
化合物としての水を含む金属化合物および化合物としての水を含む金属錯体化合物は、硝酸コバルト6水和物、硝酸ニッケル6水和物、硝酸アルミニウム9水和物、硝酸クロム9水和物、硝酸鉄9水和物、硝酸コバルトとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の10水和物または含水体、硝酸コバルトと硝酸ニッケルとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の10水和物、酸化コバルトとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の9水和物、塩化コバルトとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の10水和物、臭化コバルト6水和物、酢酸コバルト4水和物、塩化コバルト6水和物、シュウ酸コバルト2水和物、塩化コバルトアンモニウム6水和物、硫酸コバルトアンモニウム6水和物および硫酸アンモニウムクロム12水和物があげられる。これら化合物は1種または2種以上が用いられる。
【0038】
チオ尿素化合物としては、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−チオ尿素、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、1,3−ジトリルチオ尿素、2,2−ジトリルチオ尿素、1,3−ジフェニル−2−チオ尿素、1−フェニル−2−チオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリルチオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、1−フェニル−3−チオセミカルバジド、4−フェニル−3−チオセミカルバジド、チオカルボヒドラジドがあげられる。これら化合物は1種または2種以上が用いられる。
【0039】
前記加熱変色組成物は、これを構成する各化合物の組成比率と種類とを、上記の範囲内で種々に変えることにより、任意に調製することができる。加熱変色性組成物には、上記の化合物以外にさらに他の添加剤、例えばカープレックス(商品名、塩野義製薬社製)やタルク、炭酸マグネシウムを加えても良い。
【0040】
また、示温性材料としては、有機アミンと酸塩基変色性染料を組み合わせたもの等を用いることができる。また、任意の温度でマイクロカプセルが破壊して変色するものを用いることができる。
【0041】
なお、30℃になると不可逆的に変色する材料としては、例えば、30℃でマイクロカプセルが破壊して反応変色する材料が用いられる。
【0042】
前記示温性材料により、封緘用粘着テープTの示温性部3は形成される。図1または図3に示すように、示温性部3が、示温性層として、支持基材1または粘着剤層2の表面に設けられている場合には、示温性部3の形成は、例えば、前記示温性材料を、溶剤に溶解した合成樹脂等のバインダーに混合したインク組成物により行うことができる。合成樹脂のバインダーとしては、アクリル系、ポリアミド系、ビニル系、セルロース系、ゴム系の各種バインダーがあげられる。
【0043】
前記インク組成物は、直接、支持基材1または粘着剤層2の表面に、塗布することにより形成できる。また、図7に記載のように、示温性部3をラベル形態として適用することができる。図7に記載の示温性部3は、示温性層32が基材31に設けられたラベルとして、これが、粘着剤層2の表面に貼り付けられている。基材31としては、支持基材1と同様の材料を例示できる。示温性層の厚さは、いずれの方法による場合にも、通常、1〜10μm程度が好ましい。示温性層の形成方法は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷などの従来より採用されている手段を特に制限なく採用できる。なお、図7に記載の示温性部3(示温性層32が基材31に設けられたラベル)を、支持基材1の表面に貼り付ける場合には、通常、両面粘着テープ等を介して貼り付けられる。
【0044】
図2または図4に示すように、示温性部3が、支持基材1または粘着剤層2の内部に設けられている場合には、示温性部3の形成は、示温性材料または前記インク組成物を、支持基材1または粘着剤層2に含浸させることにより行われる。なお、図2または図4では、示温性部3は支持基材1または粘着剤層2の一部に形成されているが、図2または図4の態様では、示温性部3は支持基材1または粘着剤層2の全体に含浸させることができる。
【0045】
かかる本発明の封緘用粘着テープは、封緘部を封緘することにより密閉される封緘体の封緘に用いられる。かかる封緘体としては、蓋を有する缶体や、段ボール箱、紙箱等の箱体等があげられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1(a)】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図1(b)】本発明の封緘用粘着テープの斜視図の一例である。
【図1(c)】本発明の封緘用粘着テープを封緘体に貼り付けた状態の断面図の一例である。
【図2】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図3】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図4】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図5(a)】本発明の封緘用粘着テープに掛け部を設けた場合の断面図の一例である。
【図5(b)】本発明の封緘用粘着テープに掛け部を設けた場合の断面図の一例である。
【図5(c)】本発明の封緘用粘着テープに掛け部を設けた場合の断面図の一例である。
【図6】本発明の封緘用粘着テープを封緘体に貼り付けた状態の概念図の一例である。
【図7】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【符号の説明】
【0047】
1 :支持基材
2 :粘着剤層
3 :示温性部
4 :封緘体
41:封緘部
T :封緘用粘着テープ
K :掛け部
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する封緘用粘着テープに関する。また、本発明は当該封緘用粘着テープを用いて、封緘体の封緘部を封緘した封緘体に関する。また本発明は、前記封緘体の温度変化を受けた否かを、封緘用粘着テープが有する示温性材料の変色の有無により確認する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓋を有する缶体や、段ボール箱、紙箱等の箱体等は、これらの中に、各種製品等の内容物を保管するための外装パッケージとして用いられる。これら缶体や箱体等は、各種製品を内容物として内包した後には、蓋等の封緘部を封緘することが多い。すなわち、缶体や箱体等の封緘体は、封緘部の封緘により、内包物はパッケージ内に密閉された状態となっている。前記封緘部の封緘には、封緘用粘着テープが用いられている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
したがって、封緘体である外装パッケージが不透明な場合には、外部からは内包物を確認できない。そのため、封緘体が高温下に晒さらされて内包物に熱等がかかって、内包物に変質が生じていたとしても、内包物の状態がどのような状態にあるか確認できなかった。内包物の状態を確認するには、封緘部の封緘を解除して、外装パッケージングを開放する必要があるが、製品等の販売前にパッケージングの開放は不可のため、各種製品等を販売する段階においては、内包物が変質しているか否かの確認ができない状態であった。そのため、各種製品等を販売する際に内包物が変質していたのか、販売後に利用者の管理に問題が有ったために変質が生じたのかが分からない状態にあり、製品の管理上問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、製品等の外装パッケージに、温度変化によって変色するラベルを貼り付けることが行われている。かかる温度変色ラベルは、外装パッケージの外観を損なわないように、缶体の底面等に貼り付ける場合が多い。しかし、温度変色ラベルを底面に貼り付けた場合には、温度変色ラベルの貼り付け場所が分かりにくく、どこに温度変色ラベルが貼ってあるのかが分かり難かった。また、温度変色ラベルは、基材レスの両面テープ等を介して外装パッケージに貼り付けられているため、貼り付けのための粘着加工が必要なこと、さらには温度変色ラベルを貼り付ける工程が必要となる等の貼り付け工程上の不具合があった。また、温度変色ラベルは、変色部分を保護するためにカバーフィルムが必要であることなど、コスト的にも高価なものとなっていた。
【特許文献1】特開2002−317157号公報
【特許文献2】特開2003−20457号公報
【特許文献3】特開2003−105285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、缶体や箱体等の封緘体について、これに簡易な手段を施すことにより、封緘体が温度変化を受けたか否かの確認を容易に行うことができるようにすることを課題とするものである。さらには、変色部分を保護するためにカバーフィルム等を不要とすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す封緘方法により前記目的を達成できることを見出し、本発明を解決するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、支持基材および粘着剤層を有する封緘用粘着テープであって、
封緘用粘着テープは、一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有することを特徴とする封緘用粘着テープ、に関する。
【0008】
本発明では、封緘用粘着テープの一部に温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有する。封緘用粘着テープは、封緘体の封緘部に貼り付けられるため、封緘体を陳列、管理等している場合に、ラベル等に比べて、観察しやすい位置に、示温性材料を確認できる。そのため、例えば、封緘体に係わる製品が、販売までに高温に晒されて熱がかかったか否かを容易に確認できる。また、封緘用粘着テープは、従来から、封緘体に用いられており、ラベルのように、貼り付けのための粘着加工が必要でない。また、本発明の封緘用粘着テープは、示温性材部を利用すること以外は、従来と同様の封緘用粘着テープに係わる材料を用いることができため、コスト的に安価であり、かつ、簡易な方法によって、示温性部を、封緘体に表示することができる。
【0009】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、粘着剤層の表面に、示温性層として設けることができる。
【0010】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、支持基材粘着剤層の表面に、示温性層として設けることができる。
【0011】
示温性部は、支持基材、粘着剤層のいずれの側においても、示温性層として積層することにより設けることができ、また支持基材および粘着剤層の両側に設けることができるが、示温性層は粘着剤層側に設けることが好ましい。粘着剤層側に示温性層をラベル等の形状で設ける場合に、示温性層を粘着剤層に貼り付けることにより、容易に積層することができ、示温性層の積層工程を別途設ける必要がない。また、示温性層を粘着剤層側に設ける場合には、封緘用粘着テープを、封緘体に貼り付けた際に、示温性層が、封緘体と粘着剤層に挟まれるため、当該示温性層には、カバーフィルム等を付設する必要がなく、コスト的にも安価である。
【0012】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、粘着剤層の中に含有させることができる。
【0013】
前記封緘用粘着テープは、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を、支持基材の中に含有させることができる。
【0014】
示温度性部は、支持基材および/または粘着剤層の中に含有させることもできる。示温性部を支持基材、粘着剤層の中に含有させた場合には、示温性層を別途設ける必要はなく、封緘用粘着テープの製造、貼り付け操作が良好である。
【0015】
前記封緘用粘着テープにおいて、封緘用粘着テープの最端部は、当該粘着テープを引き剥がすための掛け部となっており、当該掛け部に、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部とすることができる。
【0016】
封緘用粘着テープの最端部に、粘着テープを引き剥がすための掛け部を設け、当該掛け部に、示温性部を含有させることで、例えば、当該示温性部に、人間の体温で不可逆的に変色する示温性材料を用いれば、当該示温性材料の変色の有無により、掛け部に人が接触したか否か、さらには、封緘用粘着テープの引き剥がし等のいたずらが行われたか否か等の判断材料とすることができる。
【0017】
また本発明は、封緘部を封緘することにより密閉される封緘体の前記封緘部に、前記封緘用粘着テープが貼り付けられており、前記封緘部が封緘されていることを特徴とする封緘体、に関する。
【0018】
本発明の封緘用粘着テープが貼り付けられている封緘体は、封緘用粘着テープが有する示温性材料の変色の有無を確認することで、封緘体内の内包物の品質管理を簡易に行うことができる。その結果、販売にあたって、内包物が変質して不良品となっているか否かを容易に判断でき、封緘体を販売したの、内包物の変質に係わるトラブルを未然に防ぐことが可能となる。
【0019】
また本発明は、前記記載の、封緘部に封緘用粘着テープが貼り付けられている封緘体に対して、封緘用粘着テープが有する示温性部の変色の有無により、封緘体が、温度変化を受けたかどうかを確認することを特徴する封緘体の温度変化の確認方法、に関する。
【0020】
本発明の封緘用粘着テープを貼り付けた封緘体は、当該封緘体が温度変化等を受けた否かを簡易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の封緘用粘着テープ等を、図面を参照しながら説明する。本発明の封緘用粘着テープTは、図1乃至図5等に示すように、支持基材1と、粘着剤層2を有する。また、本発明の封緘用粘着テープは、一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部3を有する。なお、本発明の封緘用粘着テープはシート状で用いることができる。
【0022】
図1は、示温性部3が示温性層3として、粘着剤層2に積層されている場合であり、示温性層3は、粘着剤層2に、直接、積層されている。図1(a)は、封緘用粘着テープTの断面図であり、図1(b)は、封緘用粘着テープTの斜視図である。図1(c)は、封緘用粘着テープTが、封緘体4の封緘部41に貼り付けられた状態の断面図である。
【0023】
図1の封緘用粘着テープTでは、示温性部3は、1つが記載されているが、示温性部3は、複数を有していてもよい。示温性部3は、封緘用粘着テープTにおいて、封緘体に貼り付けられる長さにおいて、少なくとも1つあればよい。また図1(b)において、示温性部3は、円形のものが例示されているが、示温性部3の形状は特に制限されず、各種形状とすることができ、また、各種模様形状や文字、記号等とすることができる。例えば、封緘体4の外装パッケージに表示されている模様(例えば、キャラクターの模様)に応じた模様を示温性部3の形状とすることができる。また、図1(b)では、示温性部3は、封緘用粘着テープTの幅方向の略中央に配置されてあるが、示温性部3の位置は特に制限されない。また、示温性部3は、封緘用粘着テープTの全幅方向に設けることができる。なお、封緘用粘着テープは、少なくとも一部に設けていればよく、示温性部3は、その全てが、示温性材料に形成されていてもよく、その一部が示温性材料により形成されていてもよい。なお、示温性部3の個数、形状、配置等は、図2乃至図5等の他の態様の封緘用粘着テープTにおいても同様に適用される。
【0024】
図2は、示温性部3を、粘着剤層2中に有する場合である。なお、図1、図2の態様では、封緘用粘着テープTとしての粘着性能を確保するため、粘着剤層2の表面における示温性部3の面積割合(示温性層3の表面積/粘着剤層2として全表面)×100(%)は、20〜90%、さらには50〜80%とするのが好ましい。
【0025】
図3は、示温性部3が示温性層3として、支持基材1に積層されている場合の封緘用粘着テープTの断面図である。図4は、示温性部3が、支持基材1中に有する場合の封緘用粘着テープTの断面図である。なお、図3、4の態様では、示温性部3を保護するために、その表面にカバーフィルム(図示せず)を設けることができる。
【0026】
図5(a)は、封緘用粘着テープの最端部に、引き剥がすための掛け部Kを設け、その掛け部Kとして、示温性部3を設けた場合の封緘用粘着テープTの断面図である。図5(b)は、その斜視図であり、封緘用粘着テープTの全幅方向に掛け部Kが設けられている。図5(a)、(b)は、示温性部3である掛け部Kを図1の態様で設けた場合であるが、図2乃至図4の態様で設けることもできる。また、示温性部3を有する掛け部Kは、図5(c)のように、粘着剤層2に積層した示温性部3が、封緘用粘着テープTの粘着剤層2により挟まれるように、封緘用粘着テープTの最端部を粘着剤層2が内側になるように折り曲げることにより形成することができる。
【0027】
図6は、封緘体4の封緘部41に、封緘用粘着テープTを貼り付けて、封緘部41を封緘したものである。図6の、封緘体4は、下部体4Bである収容部に対して、上部体4Aが蓋となる構造になっており、封緘部41において、封緘体4は封緘され密閉されている。封緘用粘着テープTは、掛け部Kを有する。示温性部3は、掛け部Kおよび支持基材1または粘着剤層の表面または中に設けられている。
【0028】
支持基材1の材質としては、特に限定されず、封緘用粘着テープに採用できる各種のものを用いることができる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;エチレン、プロピレン、ブテン−1等のα−オレフィンを1種または2種以上用いたポリオレフィン;前記α−オレフィンと環状オレフィン、スチレン等の芳香族ビニル化合物との共重合体;ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の透明プラスチックがあげられる。また、天然紙、合成紙、再生紙、クラフト紙等の紙類、織布、不織布等またはこれらのプラスチックラミネート物等があげられる。
【0029】
なお、封緘用粘着テープとして、図1、図2の態様で示温性層3を設ける場合には、封緘用粘着テープを貼り付けた場合に、示温性層3を視認できるように、支持基材1は、透明性材料が用いられる。封緘用粘着テープとして、図3、図4の態様で示温性層3を設ける場合には、封緘用粘着テープを貼り付けた場合にも、示温性層3を視認できるため、支持基材1は、透明性材料以外のものを用いることができ、また透明プラスチックを着色して用いることができる。着色には、適宜に顔料等が用いられる。
【0030】
支持基材1の厚さは、特に制限されないが、剥離しやすさと加工性の点から4〜150μm程度、好ましくは25〜150μmである。支持基材1のテープ幅は、封緘体の種類、封緘部の形状等に応じて適宜に決定できるが、通常、10〜100mm、好ましくは15〜50mmである。
【0031】
粘着剤層2を構成する粘着剤としては、封緘用粘着テープに採用できる各種のものを用いることができる。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの各種の粘着剤を特に制限なく使用することができる。前記粘着剤には、ベースポリマーに加えて、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤等が配合される。また前記粘着剤には、可塑剤、充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。なお、支持基材1と同様に、封緘用粘着テープとして、図1、図2の態様で示温性層3を設ける場合には、粘着剤層2は、透明性材料が用いられる。
【0032】
粘着剤層2は、支持基材1の片面に形成することにより行うことができる。粘着剤層2の形成方法は、特に制限されず、支持基材1に粘着剤を含む溶液またはエマルジョンを、コンマコーター、トップフィードリバースコーターなどを用いて直接塗布して乾燥する方法、また別途、離型フィルムに粘着剤層2を形成した後、それらを支持基材1に貼り合せる方法等を採用することができる。粘着剤層2の厚さは、封緘体の種類、封緘部の形状等に応じて適宜に決定できるが、通常、10〜200μm程度、さらには10〜50μmが好ましい。
【0033】
本発明の封緘用粘着テープTが、前記支持基材1、粘着剤層2とともに有する、示温性部3は、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する。
【0034】
示温性材料は、封緘用粘着テープを適用する封緘体内に収める内包物の種類に応じて、その内包物の品質等の管理ができるように、内包物の品質変化を生じる温度等を考慮して、選択して用いる。示温性材料は、温度変化によって不可逆的に変色するものであれば、温度の上昇に伴い変色するものでもよく、温度の低下に伴い変色するものでもよい。例えば、前記内包物として、チョコレートのように、30℃以上の温度において、変質、変形等が生じ易く、商品価値を損なうおそれがある場合には、30℃になると不可逆的に変色する材料が用いられる。示温性材料は、温度変化により変色すれば、変色の前後の色は問われないが、封緘用粘着テープを適用する封緘体の外装の色等を考慮して、所定の温度以上になったことを認識できるような色を選択するのが好ましい。例えば、所定温度以上になって変色した後の示温性部3の色と、封緘体4の外装の色とが同じになって、示温性部3の視認性を損なわないような態様を選択するのが好ましい。なお、示温性材料は、変色前は透明であり、変色後に着色するようなもの、またはその逆に、変色するものであってもよい。
【0035】
示温性材料としては、例えば、加熱により変色するものとして、例えば、ビスマス化合物と、化合物としての水を含む金属化合物および水を含む金属錯体化合物の少なくとも一方と、チオ尿素化合物とを含有する組成物があげられる。かかる組成物は、ビスマス化合物が7〜30重量部、水を含む金属化合物および水を含む金属錯体化合物の少なくとも一方が7〜30重量部、チオ尿素化合物が3〜10重量部であることが好ましい。
【0036】
ビスマス化合物としては、3,2−酸化ビスマス、硝酸水酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性酢酸ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、シュウ酸ビスマス、硫酸ビスマス、塩化ビスマスがあげられる。これら化合物は1種または2種以上が用いられる。
【0037】
化合物としての水を含む金属化合物および化合物としての水を含む金属錯体化合物は、硝酸コバルト6水和物、硝酸ニッケル6水和物、硝酸アルミニウム9水和物、硝酸クロム9水和物、硝酸鉄9水和物、硝酸コバルトとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の10水和物または含水体、硝酸コバルトと硝酸ニッケルとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の10水和物、酸化コバルトとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の9水和物、塩化コバルトとヘキサメチレンテトラミンとの錯体の10水和物、臭化コバルト6水和物、酢酸コバルト4水和物、塩化コバルト6水和物、シュウ酸コバルト2水和物、塩化コバルトアンモニウム6水和物、硫酸コバルトアンモニウム6水和物および硫酸アンモニウムクロム12水和物があげられる。これら化合物は1種または2種以上が用いられる。
【0038】
チオ尿素化合物としては、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−チオ尿素、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、1,3−ジトリルチオ尿素、2,2−ジトリルチオ尿素、1,3−ジフェニル−2−チオ尿素、1−フェニル−2−チオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリルチオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、1−フェニル−3−チオセミカルバジド、4−フェニル−3−チオセミカルバジド、チオカルボヒドラジドがあげられる。これら化合物は1種または2種以上が用いられる。
【0039】
前記加熱変色組成物は、これを構成する各化合物の組成比率と種類とを、上記の範囲内で種々に変えることにより、任意に調製することができる。加熱変色性組成物には、上記の化合物以外にさらに他の添加剤、例えばカープレックス(商品名、塩野義製薬社製)やタルク、炭酸マグネシウムを加えても良い。
【0040】
また、示温性材料としては、有機アミンと酸塩基変色性染料を組み合わせたもの等を用いることができる。また、任意の温度でマイクロカプセルが破壊して変色するものを用いることができる。
【0041】
なお、30℃になると不可逆的に変色する材料としては、例えば、30℃でマイクロカプセルが破壊して反応変色する材料が用いられる。
【0042】
前記示温性材料により、封緘用粘着テープTの示温性部3は形成される。図1または図3に示すように、示温性部3が、示温性層として、支持基材1または粘着剤層2の表面に設けられている場合には、示温性部3の形成は、例えば、前記示温性材料を、溶剤に溶解した合成樹脂等のバインダーに混合したインク組成物により行うことができる。合成樹脂のバインダーとしては、アクリル系、ポリアミド系、ビニル系、セルロース系、ゴム系の各種バインダーがあげられる。
【0043】
前記インク組成物は、直接、支持基材1または粘着剤層2の表面に、塗布することにより形成できる。また、図7に記載のように、示温性部3をラベル形態として適用することができる。図7に記載の示温性部3は、示温性層32が基材31に設けられたラベルとして、これが、粘着剤層2の表面に貼り付けられている。基材31としては、支持基材1と同様の材料を例示できる。示温性層の厚さは、いずれの方法による場合にも、通常、1〜10μm程度が好ましい。示温性層の形成方法は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷などの従来より採用されている手段を特に制限なく採用できる。なお、図7に記載の示温性部3(示温性層32が基材31に設けられたラベル)を、支持基材1の表面に貼り付ける場合には、通常、両面粘着テープ等を介して貼り付けられる。
【0044】
図2または図4に示すように、示温性部3が、支持基材1または粘着剤層2の内部に設けられている場合には、示温性部3の形成は、示温性材料または前記インク組成物を、支持基材1または粘着剤層2に含浸させることにより行われる。なお、図2または図4では、示温性部3は支持基材1または粘着剤層2の一部に形成されているが、図2または図4の態様では、示温性部3は支持基材1または粘着剤層2の全体に含浸させることができる。
【0045】
かかる本発明の封緘用粘着テープは、封緘部を封緘することにより密閉される封緘体の封緘に用いられる。かかる封緘体としては、蓋を有する缶体や、段ボール箱、紙箱等の箱体等があげられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1(a)】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図1(b)】本発明の封緘用粘着テープの斜視図の一例である。
【図1(c)】本発明の封緘用粘着テープを封緘体に貼り付けた状態の断面図の一例である。
【図2】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図3】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図4】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【図5(a)】本発明の封緘用粘着テープに掛け部を設けた場合の断面図の一例である。
【図5(b)】本発明の封緘用粘着テープに掛け部を設けた場合の断面図の一例である。
【図5(c)】本発明の封緘用粘着テープに掛け部を設けた場合の断面図の一例である。
【図6】本発明の封緘用粘着テープを封緘体に貼り付けた状態の概念図の一例である。
【図7】本発明の封緘用粘着テープの断面図の一例である。
【符号の説明】
【0047】
1 :支持基材
2 :粘着剤層
3 :示温性部
4 :封緘体
41:封緘部
T :封緘用粘着テープ
K :掛け部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材および粘着剤層を有する封緘用粘着テープであって、
封緘用粘着テープは、少なくとも一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有することを特徴とする封緘用粘着テープ。
【請求項2】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、粘着剤層の表面に、示温性層として設けられていることを特徴とする請求項1記載の封緘用粘着テープ。
【請求項3】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、支持基材の表面に、示温性層として設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の封緘用粘着テープ。
【請求項4】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、粘着剤層の中に含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の封緘用粘着テープ。
【請求項5】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、支持基材の中に含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の封緘用粘着テープ。
【請求項6】
封緘用粘着テープの最端部は、当該粘着テープを引き剥がすための掛け部になっており、当該掛け部に、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の封緘用粘着テープ。
【請求項7】
封緘部を封緘することにより密閉される封緘体の前記封緘部に、請求項1〜6のいずれかに記載の封緘用粘着テープが貼り付けられており、前記封緘部が封緘されていることを特徴とする封緘体。
【請求項8】
請求項7記載の、封緘部に封緘用粘着テープが貼り付けられている封緘体に対して、封緘用粘着テープが有する示温性部の変色の有無により、封緘体が、温度変化を受けたか否かを確認することを特徴する封緘体の温度変化の確認方法。
【請求項1】
支持基材および粘着剤層を有する封緘用粘着テープであって、
封緘用粘着テープは、少なくとも一部に、温度変化によって不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有することを特徴とする封緘用粘着テープ。
【請求項2】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、粘着剤層の表面に、示温性層として設けられていることを特徴とする請求項1記載の封緘用粘着テープ。
【請求項3】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、支持基材の表面に、示温性層として設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の封緘用粘着テープ。
【請求項4】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、粘着剤層の中に含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の封緘用粘着テープ。
【請求項5】
不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部が、支持基材の中に含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の封緘用粘着テープ。
【請求項6】
封緘用粘着テープの最端部は、当該粘着テープを引き剥がすための掛け部になっており、当該掛け部に、不可逆的に変色する示温性材料を有する示温性部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の封緘用粘着テープ。
【請求項7】
封緘部を封緘することにより密閉される封緘体の前記封緘部に、請求項1〜6のいずれかに記載の封緘用粘着テープが貼り付けられており、前記封緘部が封緘されていることを特徴とする封緘体。
【請求項8】
請求項7記載の、封緘部に封緘用粘着テープが貼り付けられている封緘体に対して、封緘用粘着テープが有する示温性部の変色の有無により、封緘体が、温度変化を受けたか否かを確認することを特徴する封緘体の温度変化の確認方法。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2006−273938(P2006−273938A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92174(P2005−92174)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(300007095)日東電工CSシステム株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(300007095)日東電工CSシステム株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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